ブラジル仏教連合会とブラジル日本文化福祉協会の共催で2012年6月18日午後2時から恒例の開拓先亡者追悼大法要がブラジル日本文化福祉協会(文協)記念大講堂で行われた。約300人が来場。会議所からは天野一郎日系社会委員長が出席した。
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ブラジル仏教連合会とブラジル日本文化福祉協会の共催で2012年6月18日午後2時から恒例の開拓先亡者追悼大法要がブラジル日本文化福祉協会(文協)記念大講堂で行われた。約300人が来場。会議所からは天野一郎日系社会委員長が出席した。
2012年6月15日、サンパウロ市議会で大部一秋在サンパウロ日本国総領事の名誉市民賞授賞式が行われ、会議所より近藤正樹会頭と平田事務局長が出席した。
式典では先ず、木多喜八郎ブラジル日本文化福祉協会会長が挨拶を行い、続いて近藤正樹会頭、菊池義治日伯援護協会会長、アンセルモ中谷アリアンサ会長、園田明憲県連会長、ジョージ・ハトウサンパウロ州議員、ケイコ・アベ連邦下院、ジュンジ・アベ連邦下院、ジョゼ・マリア・マトレス・マンソ スペイン領事の順で祝辞を行い、大部総領事の功績を称えた。
式典の様子
Aurélio Nomura議員から名誉市民賞を受け取る大部総領事
大部総領事の挨拶
近藤会頭の祝辞
(Fotos: Assessoria Vereador Aurélio Nomura)
ラジル日本商工会議所名誉顧問でもあるサンパウロ総領事館の大部一秋総領事夫妻の送別会を兼ねた6月の懇親昼食会が2012年6月15日正午からマクソウドホテルに130人が参加して盛大に開催、司会は平田藤義事務局長が務めた。
特別参加者紹介では、Souza Ramos/Mitsubishi Motors do Brasil/Suzuki Veículos Brasil社のエドアルド・デ・ソウザ・ラモス会長、同社のロバート・デ・マセード・リッチャー社長、西島章次在ブラジル日本国大使館公使、大部一秋在サンパウロ日本国総領事夫妻、木多喜八郎ブラジル日本文化福祉協会会長などが紹介された。
ソウザ・ラモス社のエドアルド・デ・ソウザ・ラモス会長は、「ブラジルにおける日本ブランドの立ち上げ-Souza Ramosグループと三菱自動車」をテーマに講演、初めに「私は人生に於いて強運の持ち主である」と述べ、父親が自動車業界で働いていたために、実家にはいつも自動車業界関係者が訪問、ブラジル経済の激動や自動車業界の浮沈みなどを耳見聞、大学卒業後は父親のワーゲン社のディーラーで販売員として仕事を開始、その後はワーゲン社からフォード社のディーラーとなり9ディーラー店まで拡大したが、ブラジルのハイパーインフレ、金利高騰、輸入自動車の輸入税の高騰などブラジルの経済変動に翻弄されて、売上は半減して倒産直前までになったために、負債返済のために大半の財産処分を迫られた。
しかし、ブラジルには天然資源、水資源、ブラジル全土で耕作可能などブラジルのポテンシャルを信じて、”苦あれば楽ある”で、ブラジル経済は、必ず良くなると経済危機の脱出を信じ、また私の夢であるブラジル国内での自動車生産を模索していたところ、破産寸前の私にチャンスが巡ってきた。
ゴイアス州で税制恩典を得て、三菱自動車のピックアップ生産のライセンスを獲得、父親の言葉の通り、”危機は来るが、危機はまた去ってゆく”を信じて人生をかけた。それとブラジル人は、何十年に亘って色々な危機に遭遇してきたために、危機に対する免疫ができているために、危機に耐える奇想天外な発想ができると説明した。
ブラジルの金融システムは非常に強固であり、低い失業率並びに膨大な外貨準備高、可能な金利引き下げ、可能な課税率の引下げ、可能な金融取引税(IOF)の引下げなどの要因で、ヨーロッパの金融市場混乱は波及しないと断言した。
また円高の為替で日本の製造業は危機に迫られているが、今後引き続き経済が大幅に拡大するブラジルに投資する絶好の機会であり、またブラジルは日本の世界最高のテクノロジーを必要としているために、Win-Winの関係を築くことができ、また日本の自動車部品メーカーにもっと進出してきてほしいと強調して講演を終え、近藤正樹会頭から記念プレートが贈呈された。
在ブラジル日本大使館の西島章次公使は、「国際的観点からみた日本経済の今後の課題」をテーマに、30年前に2年間、サンパウロ大学で客員教授をしていたが、ハイパーインフレ並びに世界トップの高金利、慢性的な資金不足やブラジルコストなど常に危機的状況から脱出できない未来の大国等の論文を書いていたが、今では一桁台の金利、コントロールされたインフレ、強硬な金融システム、投資適格国で大きく飛躍するブラジルと変容している。
しかし、日本経済は大変な局面に直面しており、1990年代からの傾向的な経済停滞、一人当たりの名目GDPは、2000年の世界3位から2010年は14位に後退、国内的な要因として、少子高齢化の進展並びに労働生産性の低迷、ひっ迫する政府の財政、外敵要因として、国際競争力の低下並びに少ない直接投資の流入となっている。
世界の貿易に占める日本のシェアは、1980年は7.2%、2010年には4.8%まで低下している一方で、中国は1.0%から9.4%と飛躍的に増加しており、中間財・部品輸出へのシフトや輸出先や地域の多様化、日本の対外直接投資は米国並びに英国、ドイツよりも少なく、インフラ並びに金融、通信などサービス部門における日本企業の競争力不足やM&Aに不慣れなことが、グローバル化を充分に享受していない。
円高メリットを生かして急成長する新興国の国内市場を確保するために、新興国への進出が必要である一方で、国内産業の空洞化をもたらし、雇用機会を漏出させる可能性がある。
日本への対内直接投資は、欧米諸国や新興諸国と比較して極端に少なく、外資系企業の東京の株式市場の上場企業数は僅かに14社、2010年の純流出は13億ドル、東日本大震災の昨年も13億ドルの流出となっている。
日本経済が、海外企業の受け入れに対して依然として閉鎖的であり、また、日本独特の商習慣などからの理由で、外国の企業には日本市場は魅力にかけるために、法人税の実行税率の引き下げや規制緩和をする必要がある。
ブラジルへのインプリケーションとして、ブラジルで日本を拠点とするサプライチェーンを創出の可能性としては、距離の問題並びにインフラなどの効率性の問題、国産化比率などの障壁の問題などがあり、初めに生産拠点のために直接投資の必要性、短期的には難しいが、中長期的には、ブラジルは輸出基地となる可能性はあるが、インフラの改善やメルコスールとの貿易協定などが条件となってくる。
ブラジルへの直接投資における経営戦略では、日本企業のブラジルのイメージがいまだに昔のイメージしかなくて、積極的に直接投資を勧めている韓国や中国、欧米企業に後塵を拝しており、またブラジル進出には長期的なタイムスパンを持ち、現地の商習慣の熟知、徹底した現地化、借り入れに依存しない充分な自己資本、現地での採算重視、現地通貨での利益重視、リスクの危機管理能力と情報網の構築、適切なパートナーとの関係、圧倒的技術的な優位性の必要性、日系社会の活用などを指摘して講演を終えた。
続いて特別行事である大部総領事の送別会に移り、総領事は、明治維新から150年もたっていない日本は、近代国家になって日清戦争並びに日露戦争、第一次世界大戦、関東大震災、第2次世界大戦で敗戦を迎え、その後も2度の石油ショック、94年のバブル崩壊、95年の阪神大震災、昨年の東日本大震災や原子力発電所問題などや円高の為替などで経済危機にあるが、徹底した楽観主義の人物が登場してきて、良くなる歴史を繰り返してきており、世界に出て行って戦う日本人が必ず現れると述べた。
今のブラジルは千客万来の状態であり、日本企業は、戦略的に攻めるアプローチが始まっており、今後は黄金の10年が続き、2014年のワールドカップ、2016年のリオのオリンピック、2020年には、サンパウロの万博などが目白押しとなっている。
ブラジルは『坂の上の雲』で何でもあり、2032年ぐらいまで世界の注目を集め、北の米国、南のブラジルとなる可能性を秘めており、すごい時代でわくわくしており、長期的なビジョンでは、日伯は相互補完関係にあり、昨年の日本のブラジルへの投資は75億ドルと拡大している。
日本が生きてゆくにはブラジルが必要であり、104年前に日本人がブラジルへ移住してから104年で日系人が150万人いるが、1000万人程度の影響力があるように感じており、また日本企業が進出できる地ならしができており、何時でも心の中でサンパウロは生きており、今後もサポートしてゆきたいと結んだ。
連絡事項では6月18日午後8時からサンパウロ州議会でのブラジル日本移民104周年記念式典で、商業並びに文化、経済面における日伯関係強化といったサンパウロ社会へ大きく貢献した団体を対象とした表彰式が行われ、商工会議所は羽藤ジョージ州議会副議長の推薦で表彰されるために、平田事務局長が出席者に参加を呼びかけた。
代表者交代では国際協力銀行 (JBIC) の細島孝宏氏は、通算で8年間のブラジル勤務、ブラジルの融資残高がインドネシアを抜いてトップとなり、社会経済開発銀行(BNDES)とタイアップしたレアル建てクレジットやアフリカ並びに中南米の第3国の枠組み造り、リオのカーニバルへの参加などを述べ、MOL BRASIL LTDA.の寺元清隆氏は、2008年にサンパウロに赴任後は充実したサンパウロ生活を送り、カマラゴルフで優勝したと述べ、着任したNISSHINBO DO BRASIL INDÚSTRIA TÊXTIL LTDA.の小金沢薫氏は田邊義雄前社長の帰国挨拶文を代読、7年半のブラジル勤務で、昨年の繊維業界の不況以外は順調で、社内では良い人間関係が築け、プライベートでは、ブラジル人のライフスタイルから人生の楽しみ方や家族関係を大切にすることなどを学んだ。
K-I CHEMICAL DO BRASIL LTDA.の江口克己氏は、ブラジルの農薬のマーケットは世界最大で、赴任中は大いに実績が伸びたが、6年間のブラジル勤務中に2回、強盗にあったと述べ、後任の高橋智氏は、農薬販売はお天気商売で相場が替わるが、ブラジルの周辺諸国にも積極的に事業を拡大したいと述べ、デンソーの斉藤隆昭氏はブラジルに2回赴任、クリチーバ近郊の製造工場以外にもサンパウロ州サンタ・バルバラ市で製造工場が稼働、ブラジルの自動車産業発展に貢献、会議所活動では自動車部会の副部会長を務めて、大いに意見交換を行ったと述べ、後任の福井氏はミュンヘンからブラジルに赴任したことを述べ、パイロットペンの早乙女辰男氏はサンミゲル工場が手狭になったために、2013年からジュンジャイ工場が稼働予定であり、ブラジル産の商品の開発を予定していることを述べた。
最後に木多喜八郎ブラジル日本文化福祉協会会長が、6月26日19時30分より文協で開催される大部総領事送別会の案内を行い、昼食会の出席者に参加を呼び掛けた。
ブラジル日本商工会議所名誉顧問でもあるサンパウロ総領事館の大部一秋総領事
(Fotos: Rubens Ito/CCIJB)
Souza Ramos/Mitsubishi Motors do Brasil/Suzuki Veículos Brasil社のエドアルド・デ・ソウザ・ラモス会長
西島章次在ブラジル日本国大使館公使
歓迎の辞を述べる近藤正樹会頭
左からエドアルド・デ・ソウザ・ラモス会長/西島章次在ブラジル日本国大使館公使/
近藤正樹会頭
左から近藤正樹会頭/大部一秋総領事夫妻/平田藤義事務局長
左から近藤正樹会頭/大部一秋総領事/エドアルド・デ・ソウザ・ラモス会長/大部栄子夫人
関係者一同が記念撮影
130人が参加した6月の懇親昼食会の様子
日伯法律委員会並びにコンサルタント部会共催による2012年税制変更セミナーが2012年6月13日午後1時から6時まで、マクソウドホテルに110人が参加して開催、進行役は矢野クラウジオ副委員長が務めた。
初めに GAIA, SILVA, GAEDE& ASSOCIADOS – ADVOCACIA E CONSULTORIA JURÍDICA のマウリシオ・バーロス部長 は、PIS(社会統合基金)COFINS(社会保険融資納付金)に対する税率の概念 について、 PISに関する暫定令66号/2002、COFINSに関する暫定令135号/2003での変更、税制クレジットやファイナンスクレジットの概要、アウトソーシングのマンパワーに対するクレジットの禁止、税務上訴審議会(CARF)の判例などについて説明した。
TOZZINIFREIRE ADVOGADOSのジェリー・レヴェルス・デ・アブレウ共営者は、自動車産業にかかわるイノベーション・科学技術・すそ野産業振興プログラム(INOVAR-AUTO)について、最低国産化比率が65%以上に適用される法令が2013年1月から適用、新製品の開発並びに既製品の改善、コスト削減、環境分野へのインパクトの低減、生産能力の向上に対する優遇税制の適用のためには売上の0.5%以上をP&Dにあてる義務、優遇税制の適用は製造、成型、塗装、プラスチックインジェクション、二輪車工場、トランスミッション工場、エンジン工場、サスペンションシステムなど11セクションのうち最低でも6セクションでの改善などを説明した。
ERNST & YOUNG TERCOのロビンソン・ロッシ・ラモス取締役は、輸入商品に対するICMS(商品流通サービス税)税率-連邦上院の決議第13/2012号) について、一部の州において商品の輸入に対する商品サービス流通税(ICMS)の優遇措置を導入していること を受けて、「港湾戦争」問題の解消のため、ICMSを4%に引き下げる問題に対する議論、国産化比率40%の問題点、製品配送コスト、工場移転などのメリットやデメリット、誘致した製造業を引き留めるための各州の対応などについて説明した。
PWCのフェルナンダ・アマラウ税制担当部長は、移転価格税制-暫定措置法第563/2012号による変更点について、再販価格基準法(PRL)の40%の利益マージンへの変更は、医薬及び化学品製 造並びにタバコ製造、光学、写真映像機器の製造、歯科を含む医療機器の販売、石油・天然ガスの採掘、石油製品製造、30%の利益マージンへの変更は化学製 品製造、ガラス並びにガラス製品の製造、パルプ、紙及び紙製品の製造、治金精錬、その他の産業は20%のマージン率に変更、輸入品の国内販売事業者に対して、暫定措置563号の前は税込み価格の20%の粗利益であったが、今後は税抜き価格の20%から40%の粗利益になることなどについて説明した。
DELOITTE TOUCHE TOHMATSU のアレシャンドレ・ガルシア・ケルキリ税制担当部長は、輸出業者助成策-特別払戻税「Reintegra」について、ブラジル・マイオール・プランに含まれる税制恩典で、輸出業者助成策 (.REINTEGRA)では工業品の製造者の輸出につき、輸入部品が一定限度内で使用されていることを条件に輸出売上高の3%までの金額を還付 (2012年未までの輸出)•還付割合は輸出業者の事業により異なり政府の政令で決定、還付は、現金または他の税金の支払いに充当させるクレジットの何れかの選択を通じて行われることなどを説明した。
TRENCH, ROSSI E WATANABE ADVOGADOSのマリアナ・ネヴェス・デ・ヴィット弁護士は、ブラジル・マイオール・プラン - 社会保障納付金における変更について、一部業界の負担金軽減を目的に、法令 12.546号/2011と 暫定法 563号/2012が負担金を売上高から納付する新しい形式を可能にし、特定の活動を行う企業へ社会保障院への積立金軽減措置を適用、ブラジル・マイオール・プランでは社会保障院(INSS)積立金の20%の免除の代りに、売上の1%から3%を納付、情報テクノロジー企業並びにIT企業(TI)と通信企業(TIC)、コールセンターのサービスを提供するアウトソーシング企業に対してのINSSへの納税、情報テクノロジー企業のサービスの内容などについて説明、また衣類セクター並びに繊維セクター、履物セクター、皮革セクターの製造メーカーの売り上げに対する納付金比率、社会保障情報及び勤続期間保証基金の納付書(GFIP)並びに社会医療福祉制度(RGPS)での社会保障院(INSS)への納付についても説明した。
HONDA ESTEVÃO ADVOGADOSのアレシャンドレ・シルヴェイロ・カインゾス税制担当部長は、ICMS(商品流通サービス税)の負担代替メカニズムをめぐる論争について、医薬品並びに電気製品、電気材料、衛生用品などの付加価値マージンの計算方法、建材並びに自動車部品、電気材料、飲料水などの主なプロトコーロなどについて説明した。
KPMGのヴァルテル・マサオ・シミズ取締役は、日伯間のオペレーションにおけるサービス、コストシェアリング、利息について、ブラジルと日本の利益・配当金送金の問題点、課税システムの違い、日本の課税システムの変更、日伯間の課税システムのギャップなどについて説明した。
左から矢野クラウジオ副委員長/ERNST & YOUNG TERCOのロビンソン・ロッシ・ラモス取締役/PWCのフェルナンダ・アマラウ税制担当部長/TOZZINIFREIRE ADVOGADOSのジェリー・レヴェルス・デ・アブレウ共営者 (Foto: Rubens Ito/CCIJB)
左からKPMGのヴァルテル・マサオ・シミズ取締役/矢野クラウジオ副委員長/TRENCH, ROSSI E WATANABE ADVOGADOSのマリアナ・ネヴェス・デ・ヴィット弁護士/HONDA ESTEVÃO ADVOGADOSのアレシャンドレ・シルヴェイロ・カインゾス税制担当部長/DELOITTE TOUCHE TOHMATSU のアレシャンドレ・ガルシア・ケルキリ税制担当部長
会場一杯の110人の参加者
2012年6月13日、サンパウロ市内レストランにて、大部一秋在サンパウロ総領事及び伊藤友久副会頭の送別会が会議所主催で開催され、近藤正樹会頭以下理事諸氏が参加した。会では始めに、近藤会頭が両氏への謝辞を述べ、続いて大部総領事が答辞を行い、在任中には100以上の都市を訪問し日系社会とも深いつながりを築いたこと、また商工会議所とも連携を図り日伯関係の強化に取り組んできたことなどを回顧。伊藤副会頭が帰任の挨拶を行なった後、藤井副会頭が乾杯の音頭を取り、歓談を交え両氏の壮行を行った。
出席者は、大部一秋総領事、坪井 俊宣領事、近藤 正樹会頭、伊藤 友久副会頭、藤井晋介副会頭、澤田吉啓専任理事、上野 秀雄専任理事、江上知剛専任理事、天野一郎専任理事、伊吹洋二専任理事、廣瀬 孝専任理事、中村 敏幸監事会議長、堀内 勝監事会員、遠藤秀憲金融部会長、岡田 幸平繊維部会長、篠原 一宇電気電子部会長、三上 悟建設不動産部会長、平田 藤義事務局長。
挨拶をする近藤会頭
大部総領事が答辞
帰任の挨拶をする伊藤副会頭
藤井副会頭による乾杯の音頭
イベントの模様
(Foto: CCIJB)
2012年6月5日12時30分から大部一秋在サンパウロ日本国総領事(会議所名誉顧問)壮行会に向けての準備会合が日系主要団体代表者によりブラジル日本文化福祉協会(文協)会議室で開催された。
会議所からは近藤正樹会頭に代わって平田藤義事務局長が出席した。
平田藤義事務局長は2012年6月5日午前10時からサンパウロ州工業連盟(FIESP)のルイス・カルロス・トリポド氏がコーディネーターを務める海外投資家(GPAII)グループの会合に参加、4月に暫定措置令563号で交付された移転価格税制の変更について、意見交換が行われた。
環境委員会(廣瀬孝委員長)並びにJICAブラジル事務所(室澤智史所長)との共催による『アマゾン森林保全・違法伐採防止の為のALOS衛星画像の利用プロジェクト』の講演会が2012年6月1日午後4時から5時過ぎまで26人が参加して開催、財団法人リモートセンシング技術センター の小野誠総括研究員が講演した。
日本の陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS Advanced Land Observing Satellite)のレーダー画像をアマゾンの森林違法伐採防止に活用する技術・能力を、ブラジル環境再生可能天然資源院(IBAMA )及びブラジル連邦警察(DPF )が獲得することを目的としたJICA 技術協力プロジェクト「アマゾン森林保全・違法伐採防止のためのALOS衛生画像の利用プロジェクト」について、初めに小野誠総括研究員は財団法人リモートセンシング技術センター(RESTEC)の組織、ミッション、世界各国での活動などについて説明、
ブラジル、ボリビア、ペルーなど8カ国にまたがり、アマゾン川流域を中心に広がる、世界最大の 熱帯雨林の面積はブラジル国内のアマゾン地域だけでも日本の国土の12倍もあり、アマゾン河域内を流れる水量は世界の淡水の20%を上回り、ブラジル政府が1970年代にアマゾンへの移住を推進する政策を採用したために、熱帯雨林は急速に伐採されて農地や牧草地への開墾が急速に進み、森林保護政策が浸透して伐採ペースが落ちてきた現在でも、毎年、アマゾン河流域 で失われる森林面積は広大となっている。
このアマゾン河流域の熱帯雨林は世界最大の生物多様性の宝庫で、二酸化炭素の貯蔵庫 としても、森林保全は非常に重要であるが、いくら規制強化や罰則を強化しても、地域が余りに広大なため監視の目が行き届かないために、不法伐採は止 まらないために、ブラジル政府はすでに1970年代から人工衛星から撮影した画像を利用して森林伐採の監視を進めており、現在では世界で最も羨望される熱帯雨林監視システムが構築されているが、その最大の欠点は5ヶ月 におよぶ雨季の間、雲に覆われて地表が見えなくなってしまうことであったと説明した。
雨季になると地表が見えないという、従来の衛星による監視の欠点を補う画期的な新技術を普及させるために、4年前に打ち上げられた日本の誇る地表観測技術衛星「だいち」(ALOS=Advanced Land Observing Satellite) は、3種類の地表観測センサーを積んでおり、中でも「フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー」はマイクロ波という波長の短い電磁波を 使って、昼夜・天候にかかわらず地表の状態を観測することができ、これまでの衛星による監視の限界を簡単に乗り越えて、効果的な伐採取り締まりにつなげる ことができる。
2009年から3年間の予定で、「アマゾン森林保全・違法伐採防止のためのALOS衛星画像の利用」プロジェクトを開始、プロジェクトではブラジルにJICAから派遣されたリモートセンシングの専門家や地理情報システム専門家が、ブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)とブラジル連邦警察に技術移転を行い、両機関の連携プレーによる伐採取り締まり能力の向上を図っており、ブラジル側からは情報加工技術の習得のため、「ALOS衛星画像の利用プロジェクト」の技術者たちが来日し、衛星画像解析の専門機関である、RESTECでの技術研修などを受けている。
またリモートセンシング並びに生態学、環境学、気象学、地理学等の研究を行うブラジルの研究者及び学生を対象とした、アマゾンの植生および気候変動モニタリングのためのALOSデータの解析技術研修をブラジルでも実施している。
小野誠総括研究員はALOSの技術、特徴、精度、解析度、利用方法、性能の向上、システム、2014年のワールドカップや2016年のリオのオリンピックなどへの応用方法、植生の分析、土地利用、海面分布、天候・雲の分布、水資源の分析、資源災害への応用、2013年にモニタリング開始予定のALOS-2の性能などについても説明した。
財団法人リモートセンシング技術センター の小野誠総括研究員 (Foto: Rubens Ito/CCIJB)
開催挨拶を行う環境委員会の廣瀬孝委員長
『アマゾン森林保全・違法伐採防止の為のALOS衛星画像の利用プロジェクト』の講演会の様子
セミナー開催前に講演者の小野誠総括研究員(右から2人目)を囲んで打合せを行う関係者
2012年5月、ブラジル開発商工省のフェルナンド・ピメンテル大臣が訪日、日本政財界の権威及び日本企業とインフラとテクノロジーに関するブラジルへの投資について会談を行った。前田武志国土交通相との会談では、港湾、空港、鉄道、またカンピーナス -サンパウロ - リオデジャネイロ間を結ぶ新幹線の建設事業への日本企業の積極的な参入、また今後6~8年で500船舶を要するブラジル海洋開発事業への協力を呼び掛けた。日本経済団体連合会で行った講演では、ブラジルでのビジネスチャンスや好調なブラジル経済指標についても述べている。
今回の訪日スケジュールの中で、ピメンテル大臣は以下2点の協力覚書に調印。海洋開発・海事分野における両国間の技術移転・関係強化に関する覚書に前田国土交通相と調印、期限5年で岩塩層下原油開発におけるブラジル海洋資源開発市場への技術的支援を取り決め、また枝野経済産業省と調印した覚書ではSOG Oleo e Gas S/A と東洋エンジニアリング株式会社の企業合弁について合意、今後2社は石油化学プラントなどの建設事業をブラジルで行う2企業を設立、オペレーションは2012年6月開始の予定。(出所:ブラジル開発商工省プレス)
■ ピメンテル大臣インタビュー(以下インタビューは商工開発省プレスによる再現文で、日本経済新聞社とのインタビュー原文ではありません)
日経新聞社:最近のドル高はブラジル経済にどのような影響を与えていますか。インフレリスクなく上昇出来るのはどのあたりまでと思いますか。
ピメンテル大臣:レアル高により2つの動きがありました。ブラジルは輸出の競争力を無くし、輸入品は非常に安価になっていました。今我々が見守っているのは、方向性の転換ということです。これまでブラジル政府は、インフレリスクがこの為替変動から発生するということ把握していませんでした。市場介入を行う中央銀行は昨日(5月23日)、ドルがR$2.10の障壁を超えることを阻止し、許容できるのはR$2.00前後であることを述べています。
日経新聞社:ブラジルはどのような形で日本との商業関係強化を望んでいますか。
ピメンテル大臣:ブラジルと日本はすでに確固とした、また歴史ある関係を結んでいます。したがって、今後はもっと多くの日本企業を惹きつけ、またここブラジルで生産を行うよう進出してもらうことを望んでいます。特に、造船・海洋分野、電気電子、自動車、石油、ガスといったテクノロジー分野への興味が大きいと思われます。我々ブラジル市場は、これまで資源と食料を主に供給してきました。その関係を今後より向上していきたいと思います。ただ単に日本がブラジルへ製品を販売するのではなく、ブラジル産業の品質改善へ繋げていきたいと思います。
日経新聞社:ブラジル―メルコスール間でフリー貿易協定締結の可能性はありますか。
ピメンテル大臣:可能性はあります。しかし、現在の世界的な経済危機がその可能性を遠ざけています。経済危機によってメルコスール諸国はより貿易に関して自己防衛的になり、アルゼンチンは為替と商業面において最も問題がある国と私は思っています。今日では、特に日本に対してのみならず、どの国に対しても協定締結への困難があるでしょう。今は経済危機の最も厳しい時期であり、これから1~2年後には協定にむけ舵取りが出来ることと信じています。もちろんブラジルは日本との協定に関心をもっています。
日本経済新聞:なぜブラジルは自動車への工業税(IPI)増税やメキシコとの協定見直しなど、保護貿易主義政策を取り入れているのでしょうか。
ピメンテル大臣:保護貿易主義政策ではありません。ブラジルで製造を行う企業のためにブラジル国内市場を保護しているのです。ブラジルにある自動車製造企業は日本企業を含めてすべて外国進出企業です。我々が行っていることはブラジルへの投資誘致です。ブラジルで単純に販売を行う企業はこれからブラジルでの生産を開始すればよいのです。ブラジルの自動車消費市場はアメリカ、中国に次いで世界第3位。我々はもっと多くの企業を招致したいのです。
日本経済新聞社:しかし、外部との競争がなくては国内企業は弱体化しないか。
ピメンテル大臣:ブラジル市場はオープンで、製品への制限は一切ありません。我々が行ったことは、ブラジルで製造を行う企業へ有利な条件を備えたということです。今日、ブラジル消費市場の15~20%は輸入品が占めていますが、数年前まではその比率は10%に達していませんでした。我々は市場を閉鎖しているわけではなく、ブラジルで製造を行う企業を望んでいるのです。
日本経済新聞:目標GDP成長率4.5%をどのように達成する予定でしょうか。
ピメンテル大臣:世界経済危機はブラジルの経済成長にも影響、ブラジル市場を減速化し、そのためギド・マンテガ大蔵大臣はすでに目標値を見直しました。ブラジル政府は目標達成のためにすでに対応を進めています。最近では新車に対する減税と、他適切な減税、消費と投資拡大のためクレジット枠の拡大を行いました。景気の回復を促す環境作りを進めています。
日本経済新聞:アジア諸国は経済圏を作り上げ、また現在メキシコ、チリ、ペルーと協定を結ぶよう動きを進めています。アジア経済圏へ近づくためブラジルはどのような政策を取る予定でしょうか。
ピメンテル大臣:それぞれの国がそれぞれの歴史と特質を持っています。これらラテンアメリカ3諸国は太平洋へのアクセスがあります。ブラジルはその代わりというか、アジアとの長い良好な関係があります。中国はブラジルにとって最大の商業パートナーです。一方の日本は、文化、外交、歴史、政治面において長い相互関係を有する国の一つです。単なる商業関係以上のものがあります。日本企業のブラジル進出は60、70年前にさかのぼり、日本のテクノロジー分野の素晴らしい知識をブラジルへ取り込みました。我々にとって、更なる日伯関係強化へのモチベーションに繋がるものであり、今回このようにアジアを訪問しています。(出所:ブラジル開発商工省プレス)
2012年5月29日、近藤正樹会頭が松本剛明元外務大臣を表敬訪問、マルチ商用ビザ3年延長また日伯社会保障協定締結実現に対する同氏の支援と尽力に感謝の意を表した。松本外相(当時)は2011年6月に来伯、ブラジリアでパトリオッタ外務大臣と日伯外相会談を行う一方、当会議所役員と懇談会を持ちブラジルの政治・経済情勢に関する意見交換を行い、会議所より査証期間延長を要請していた経緯がある。同氏の支援なくしてこのような早期の延長実現は困難であり、また今回の表敬訪問の中でも、同氏は日伯関係の重要性を改めて強調、今後インフラ案件など官民一体で推進すべき課題が多くあるとする。