『Sob o Signo do Sol 』出版祝賀会に事務局長が出席

2012年4月23日、日系移民の歴史を綴ったSob o Signo do Sol Levante 日の出の象徴の下で)Uma História da Imigração Japonesa no Brasil Volume 1 (1908-1941)』出版祝賀式典がブラジル日本移民史料館で行われ平田事務局長が出席した。

サンパウロ人文科学研究所理事長でサンパウロ大学教授の本山省三氏が本書を執筆、日伯社会文化統合機構(西尾義弘ロベルト会長)とブラジル日本移民100周年記念協会(上原幸啓会長)が共同出版し、祝賀式典を行った。

式典ではまず上原氏が挨拶を行い、続いて在サンパウロ日本国総領事館の小林雅彦首席領事、 João Grandino Rodasサンパウロ大学総長、渡辺和夫氏、著者である本山省三氏の挨拶後、ジョージ・オクバル氏が祝賀を述べた。100名を超える出席者が参集し盛大な祝賀式典となった。

 

4月の労働問題研究会に33人が参加して開催

企業経営委員会(上野秀雄委員長)の労働問題研究会が2012年4月19日午後4時から6時まで33人が参加して開催、司会は平瀬ワシントン副委員長が担当した。

初めにSouza, Cescon, Barrieu&Flesch Advogados弁護士事務所労働法部門のマリア・ベアトリース・ジアス弁護士が「雇用契約の事前協議に関する労働裁判所の見解」について、主に雇用契約事前協議の有効性に対する労働裁判所の見解について特にクレジット、保護サービス、警察機関、法的機関の協議について説明した。

ジアス弁護士は従業員の採用に関する面接では、次の質問は避けなければならないと指摘した。
志願者の年齢を尋ねる質問
婚姻状態、子供、扶養者、家族に関する質問
妊娠やチャイルドケアに関する質問
身長、体重、そのほか体型的なことに関する質問
医療歴や健康状態に関する質問
性志向、宗教、国籍に関する質問
雇用機会に関する政策は多くは差別禁止規制の遵守を義務付けおり、違反すれば、訴訟や罰金など厳しい懲罰を受けるが、職務遂行に必要な能力や経験に関する質問は問題ない。


また従業員採用の方法として以下を説明。
一般的な面接
運転免許の取得でも利用されている心理テスト
企業の治安保持の職種以外は禁止されている呼吸・脈拍・血圧など複数の生理現象の、電気的または物理的なシグナルとして同時に計測・記録する装置を使ったポリグラフテスト
医者や患者と直接コンタクトのある看護婦などの職種に対するエイズ検査並びに薬物検査は認められているが、一般のサラリーマンには聞取り検査を適用

続いてKanamaru Advogados弁護士事務所のナターリア・ゴンサルベス・カルバーリョ弁護士は、「企業内における個人情報保護(従業員のインターネット、Eメール使用)」について、2002年5月にGE社は勤務時間中にインターネットへのアクセス時間が異常に多い従業員33人を解雇したことをきっかけに、個人情報の保護について色々な議論されてきていると説明した。

コンピュータ経済協会の調査によると、2003年に米国企業の従業員による勤務時間中のインターネットへの過剰アクセスで53億ドルが失われたと算出、ネットワークス・アンリミテッド社は、従業員数が120人規模の企業では従業員による1年間にスポーツ関連サイトのアクセス時間は2400時間と算出しており、企業側では過剰アクセス防止に頭を痛めている。

会社のパソコン、インターネットは、業務のために用意された会社の資産であり
従業員はこれらを業務以外の目的で使用することは原則的にできないが、勤務時間中の私的なメールの送受信や業務には関係のないWebサイトを見ることを制限することは個人情報保護、プライバシー侵害の問題が絡んでくるから非常に困難であると説明した。

個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドラインとして
①モニタリングの目的、すなわち取得する個人情報の利用目的をあらかじめ特定し、社
内規程に定めるとともに、従業者に明示すること
②モニタリングの実施に関する責任者とその権限を定めること
③モニタリングを実施する場合には、あらかじめモニタリングの実施について定めた社
内規程を策定するものとし、事前に社内に徹底すること
④モニタリングの実施状況については、適正に行われているか監督、または確認を行う
ことから、次の点に留意してチェックを実施すればよい。
・チェック目的が合理的であること
あくまでも私的利用の監視を目的に行わなければならない。
個人のプライベート情報の収集などにモニタリング結果を利用していけない。
・責任者とその権限を定めること。
・就業規則に明記し、事前に社内に周知徹底することなど注意点を説明した。

左からKanamaru Advogados弁護士事務所のナターリア・ゴンサルベス・カルバーリョ弁護士/Souza, Cescon, Barrieu&Flesch Advogados弁護士事務所労働法部門のマリア・ベアトリース・ジアス弁護士/平瀬ワシントン副委員長(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

33人が参加したセミナーの様子


 

AGCガラスブラジル株式会社のオープン式に出席

2012年4月18日、グァラチンゲター市でAGCガラスブラジル株式会社のオープン式が開催され、会議所から平田藤義事務局長が出席した。旭硝子株式会社本社より石村和彦代表取締役社長執行役員CEO及び島村琢哉執行役員化学品カンパニープレジデント、與名本 径AGCガラスブラジル株式会社取締役会長も駆付け、金融、保険、自動車、運輸サービス業界の日本進出企業ほか、ジェトロSPまた150社に及ぶ建設業者が出席し、約500名の参加者が集い盛大に執り行われた。式典ではまず、石村代表取締役社長が開会の挨拶を行い、続いて三輪昭日本国特命全権大使が祝賀の挨拶を述べた。AGCブラジル現地法人代表者のスピーチに続き、アントニオ・ジルベルト グァラチンゲター市長及びサンパウロ州政府代表者がそれぞれ祝賀を述べた。またオープン式司会はグローボ局ニュース番組「Bom dia Brasil」でおなじみのFrancisco de Assis Pinheiro氏が務め、開催場所であるHotel Clube dos 500を大いに盛り上げた。

同社はサンパウロ州に新社を設立、現在工場を建設中、建設用ガラス及び自動車ガラス素版を生産するフロート窯、建築用高付加価値品生産設備であるミラー及びコーティング設備、自動車用の合わせガラス及び強化ガラス生産設備を建設、2013年以降順次稼動を予定している。Grow Beyondを経営方針に、新興市場での事業拡大を戦略として見据え今回ブラジル進出の運びとなった。

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式典の様子 (Foto: Armando Jr/ISP)

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石村和彦代表取締役社長執行役員CEOの挨拶 (Foto: Armando Jr/ISP)

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AGCブラジル現地法人代表者スピーチの様子 (Foto: Armando Jr/ISP)

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三輪昭日本国特命全権大使 祝賀挨拶の様子 (Foto: Armando Jr/ISP)

コンサルタント部会主催による「M&Aに関する実務セミナー」に68人が参加して開催

コンサルタント部会(澤田吉啓部会長)主催による「M&Aに関する実務セミナー」が2012年4月17日午後4時から6時30分まで、会場一杯の68人が参加して開催された。

プライスウオーターハウスクーパーズ(PwC)会計事務所コーポレートファイナンス部のアレシャンドレ・ピエラントーニパートナーが「ブラジルのM&A マーケット概要& M&A のバイサイドプロセス」について、 昨年のブラジルのトランザクション件数は、世界のマーケットが不安定で不確実にも関わらず、746件と2010年並みの水準を維持、また公表された昨年のM&Aの取引金額が公表された1件当たりの平均は、1億8,300万ドルと中規模でディール金額の公表は36%に留まっていると説明した。

昨年の大型M&Aでは、テルニウム社のウジミナス社への27億ドルの資本参加、キリンによるスキンカリオールの25億ドルでの完全買収などがあったが、ブラジルでは負債込みのM&Aは少ない。

セクター別トランザクションでは食品・飲料セクターが41件で最も多く、平均取引金額は2億1,200万ドル、金融セクターが30件で2億2,600万ドル、小売セクターも30件で金額は1億2,300万ドル、平均取引金額が最も大きいのは鉱業セクターで6億8,300万ドルであった。

地域別の取引件数では、サンパウロ州並びにリオ州を抱える南東部地域が全体の73%、南部地域は14%、中間層並びに消費が拡大している北東部地域は6.4%、農畜産業が盛んな中西部地域は3.3%、マナウスフリーゾーンを抱える北部地域は3.1%であった。

昨年のトランザクション件数のうち63%に相当する403件は国内投資家、37%に相当する237件は海外投資家による取引、マジョリティ取引が全体の56%、マイノリティ取引が29%、ジョイントベンチャーが9.0%であった。

M&A のバイサイドプロセスについて、ブラジルでディールを行う場合に直面する課題として、不十分な情報並びに人間関係を重視する文化性、保守的なファミリー企業、コミュニケーション上の課題などが挙げられ、フェーズ①として計画及び戦略的定義からスタートして、対象企業の特定→初期コンタクトとミーティング、フェーズ②として交渉→コンタクト→クロージングの内容の詳細について説明した。

続いて、PwCトランザクションサービス部のレオナルド・デロッソパートナーは、
「日本企業がブラジルでM&Aを行う場合の留意点 – デューデリジェンスの観点」について、デューデリジェンスの典型的な交渉プロセス、実施する主な理由、セルサイド/バイサイドデューデリジェンスの立場から財務及び会計、税務と労務、監査のプロセスの注意点やリスクについて説明した。

またブラジルのデューデリジェンスにおける主な検出事項として、高い税務コンティンジェンシー並びに高い労務リスク、内部統制環境の問題、マネジメント経営管理資料やパフォーマンスモニタリングの欠如、オペレーションにおける情報のレベル、事業に登録された人の人件費、誤謬を含んだ財務情報、オフバランス債務について説明した。

PwC M&Aタックス部のホドリゴ・バストスパートナーは、「ブラジルにおける典型的な税務上の検出事項及びタックスストラクチャリング」について、トランザクションにおける税務・労務デューデリジェンスのアプローチとして納税の領域にフォーカス、労務/ペンションに焦点を絞って詳細に説明、税務ストラクチャリングの主な問題点、デューデリジェンスの準備としてシークレット情報の準備と保存、工場の現場視察とテクニカルスタッフの訪問と環境分析、アクションプランについて、マネジメントとの議論、主要検出事項の要約と同時にマネジメントによる行動について説明した。

セルサイドによるデューデリジェンスのプロセスの準備として社内スタッフとの連携や話合い、実行段階とコンプライアンスにおける役割の決定、弱点とリスクの特定、重要な問題点がトランザクションに与える影響の評価、矯正的なアクションプランの決定、バイサイドによるデューデリジェンスのプロセスの戦略的決定のためのシークレット情報の保持契約、MOU、LOI、財務ストラクチャー、対象企業の初期評価などについて説明した。

最後にL&P Advogadosのエンヒケ・ハダードパートナーは、「 ブラジルにおける典型的な法務上の検出事項及びリーガルストラクチャリング」について、法務デューデリジェンスのコンセプト、目的、実践としての販売並びにジョイントベンチャー、IPO、価値分析のプロセス、投資への傘下、新規の統括主体の任命、株主調査、分析の範囲としての会社並びに訴訟、不動産、活動の範囲として契約上、規制と環境、無形不動産、保険、M&Aトランザクションとして株式の売買、事業、資産、及び事業部門の売買、役員による経営権の購入などについて説明した。

またM&Aトランザクションの主要契約の主な規定として、株式の売買、価格、支払い方法、従前の条件、責任の特定、補償の校正、競合禁止、守秘義務、包括契約、言語、司法調停と裁判所、補償として価格の一部の支払い保留、銀行保証、貸し金庫、抵当、担保、個人補償、約束手形、保証口座、主なクロージング後の問題点は、一般的に補償とストラクチャリングの手続きに関連して発生すると説明した。

また当日の資料準備、音響機器及び同時通訳の一切の費用はPwC社が負担し、同社主導で本セミナーが実現された。

左から講演者のPwC会計事務所トランザクションサービス部のレオナルド・デロッソパートナー/PwC M&Aタックス部のホドリゴ・バストスパートナー/L&P Advogadosのエンヒケ・ハダードパートナー/PwCコーポレートファイナンス部のアレシャンドレ・ピエラントーニパートナー(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

左からコンサルタント部会の澤田吉啓部会長/都築慎一副部会長/関根実副部会長

会場一杯の68人が参加して開催されたセミナー

講演を前に関係者一同が打合せ(左から澤田吉啓コンサルタント部会長、平田藤義事務局長、PwC社カロリーナ・サカマ氏、同社トランザクションサービス部のレオナルド・デロッソパートナー M&Aタックス部のホドリゴ・バストスパートナー、コーポレートファイナンス部のアレシャンドレ・ピエラントーニパートナー、矢萩信行シニアマネジャー、都築慎一コンサルタント副部会長)


 

4月の懇親昼食会に105人が参加して開催

4月の懇親昼食会は、2012年4月13日正午から2時までインターコンチネンタルホテルに105人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務めた。

招待者・特別参加者紹介では、ブラジル・トレーディング・カンパニー協会(ABECE)のイヴァン・ハマーリョ会長、小林雅彦在サンパウロ日本国首席領事、三菱商事の白木清司常務執行役員・中南米統括、ジャイール・スタングレーABECE 広報担当、ABECE 会員企業のTarget Trading社のロドリゴ・サー・セーザル・カマルゴ代表、サンパウロ日伯援護協会の菊池義治会長、アリアンサ日伯文化連盟のアンセルモ中谷会長、工藤章 三菱商事上席顧問/元ブラジル日本商工会議所会頭 、 岡田茂男大阪・サンパウロ姉妹都市協会会長/元ブラジル日本商工会議所副会頭 、ダニエル・カワチ青年会議所会頭、  ザ・ジャパンタイムズ・ワールド・アイ・リポートのメ-シ-・ヤプキアンウィ-プロジェクトマネジャー がそれぞれ紹介された。

交代挨拶では在サンパウロ日本国総領事館の佐々木真一郎副領事は、2009年4月に赴任した時はリーマンショックによる世界金融危機の真っただ中であったが、同年8月の部会長シンポジウムでは、ブラジル経済は青空が見えてきたと経済回復の速さが印象に残っており、休日はもっぱら旅行に費やして、ブラジル全土の26州並びにブラジリア連邦直轄地を旅行、帰国後は国土交通省でインフラ整備を担当するが、ブラジルではインフラ整備の重要性を感じたと述べ、最後にサンパウロでは人に恵まれて快適な生活が送れたと付け加えた。後任の遠藤諭副領事は、こんなきれいな空の下で働けることは非常に素晴らしいことであり、経済班担当として経済を中心に色々学びたいと挨拶を行った。

日本経済新聞の宮本英威サンパウロ支局長は、4月1日から支局長として赴任、メキシコからチリまで33ヵ国を担当、2週間の滞在で感じたこととして色々な人がいる多様性並びに物価高、トラブルが多くて、入国では出口のスタンプを押されたと笑いを誘い、また2つのお願いとして、ブラジルの経済情報の記事をたくさん日本に送って、ブラジルの事情を伝えたい、またブラジルの事情が伝わらない場合は、ブラジルの問題点や困ったことを日本に伝えるために自分に話してほしいと述べた。その着任挨拶後に平田事務局長はすかさず、イヴァン・ハマーリョ会長にインタビューするとよいと提案を行ったことを述べた。

3分間スピーチでは、三菱商事の工藤章上席顧問がブラジル勤務は1998年からリオ市、2000年から2008年まではサンパウロ勤務、2002年に商工会議所の会頭を務めて、微力ながら会議所の改革に携わった、22年間の南米勤務の経験を生かして国際社会貢献センター(日本貿易会)や青山学院大学、浜松学院大学や市民講座、ロータリークラブ等で講演などを行って、日本と中南米の関係強化に努めてきたが、リタイヤしても継続したいと述べ、またリタイヤしたら日本貿易会の事務方を務め、ラテンアメリカ協会や日本ブラジル中央協会にも積極的に協力したいと述べた。

岡田茂男大阪・サンパウロ姉妹都市協会会長/元ブラジル日本商工会議所副会頭は同姉妹都市協会について、橋下大阪市長旋風は大阪市の財政見直しのために、幹部が協会を訪問して3月末での支援打ち切りを宣言されたが、国際貢献を行っている協会を潰すことに反対する政治家が登場、5月に会員を集めて存続か解散かを決めるが、当分は会長を継続すると述べ、また駐日ブラジル大使館主催、大阪府並びに大阪市、大阪商工会議所、(財)大阪産業振興機構、(財)大阪国際経済振興センター共催によるブラジル経済セミナーで、パナソニック・ブラジルの松田雅信元社長が講演したが、平田事務局長を大いに持ち上げていたと述べ、大阪で岡田が、関東で工藤が大いにブラジルを宣伝しますと述べていた。

3分間スピーチでJBAC社が委託業務を行っている日本査証申請センター代表の中司竜太氏は4月9日から業務を開始、査証代行業務はインドなどの外資が独占しており、インドの企業よりも日本企業の親切で緻密なサービスを提供したいと述べ、総領事館との変更点は8時30分から17時30分の受付・問合せなどで利便性を向上、キャッシュの支払いからクレジットカードやデビットカードの使用が可能となり、査証時間の大幅な短縮などと説明した。

イヴァン・ハマーリョABECE会長の講演を前に近藤正樹会頭が歓迎の辞を述べ、
イヴァン会長は「ブラジル貿易 - 保護主義と工業政策」と題して、商工会議所は日伯経済関係に大いに貢献しており、ビジネス環境整備では色々なポジティブな問題解決に結びついていると説明、2011年からブラジル・トレーディング・カンパニー協会で会長に就任して、ブラジルの貿易拡大に励んでおり、またビジネス環境で問題があれは平田事務局長を通して申し込んでほしいと述べた。

イヴァン会長はブラジルの貿易は拡大の一途を続けており、2002年の輸出入総額は1,070億ドルであったが、昨年は4,800億ドル、今年は5,000億ドルの突破が予想、昨年の輸出は2,500億ドル、輸入は2,200億ドル、輸入では消費財並びに完成品、機械・装置などの資本財が増加、日本とは貿易でパートナーとなっており、日本への輸出では鉄鉱石、日本からの輸入は完成品が大半を占めていると説明した。

またレアル高の為替などの影響で製造業の競争力が削がれているために、工業活性化政策の発表と同時に、ブラジルの貿易では保護主義的な措置などを採用して、ブラジルで生産できない機械・装置の輸入まで制限しているのは非常にナンセンスなことであり、工業活性化政策と保護貿易主義を混同してはいけないと指摘している。

最後にイヴァン会長はブラジルの保護貿易主義の10ポイントとして、以下を述べた。

①過去10年間のブラジルの貿易の相手国は100カ国以上に拡大。

②昨年の輸出の増加率は輸入の増加率を上回っており、ブラジルの貿易危機は存在しない。

③輸入の大半は機械・装置などの製造業プロセス向け製品が82.3%を占めて、ブラジルの製造業は輸入製品に依存しており、昨年の消費財の輸入は僅かに17.7%であった。

④過去10年間の資本財の輸入は20%、ブラジル・マイオールプランはイノベーションや投資の拡大を目的にしているが、機械・装置の関税増加や輸入規制は競争力を削ぐ。

⑤保護貿易主義はブラジル経済を更に閉鎖して関税やブロクラシーの増加につながっている。ブラジルのGDPに占める輸入の割合は12% とインド並びに中国、トルコよりも低く、ブラジルはG-20 の中で最も閉鎖的であり、海外でのブラジルのイメージを損ねている。

⑥ブラジルの製造業に対する重税並びにフレ-ト代並びに保険、港湾ロジスティックなどのブラジルコストでブラジルの製品は輸入製品より高額。

⑦昨年のブラジルの失業率は過去最低の6.5%。ハイテク技術を必要とする生産プロジェクトには機械・装置の輸入が欠かせない。これらの輸入は製造業部門や農業部門の雇用の創出につながる。保護貿易主義の強い部門では輸入は雇用を創出しないと批判している。

⑧輸入はインフレ圧力コントロールにとって重要である。経済閉鎖並びに保護貿易主義による製造業向け消費財の輸入製品価格は国内の物価上昇につながり、競争力を削ぐ。インフレ悪化は中銀の金利低下を阻害して製造業の競争力を削ぐ。

⑨発展途上国の経済拡大プロセスでは、サービス部門の伸び率が拡大して工業部門のGDPを上回る。昨年のブラジルの農業部門並びにサービス部門のGDP伸び率は工業部門を上回った。

⑩ブラジルの製造業部門の低い競争力は高金利並びに投資の減退、レアル高の為替、高価な電力エネルギー、重税、労働法、ブラジル経済の構造上の問題が要因。輸入は国内の製造業の競争力を削ぐものではなく、また保護貿易主義は新しい投資の阻害要因に結びつく。

「ブラジル貿易 - 保護主義と工業政策」ブラジル・トレーディング・カンパニー協会(ABECE)のイヴァン・ハマーリョ会長(日本語版)

「ブラジル貿易 - 保護主義と工業政策」ブラジル・トレーディング・カンパニー協会(ABECE)のイヴァン・ハマーリョ会長(ポルトガル語版)

ブラジル・トレーディング・カンパニー協会(ABECE)のイヴァン・ハマーリョ会長(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

歓迎の辞を述べる近藤正樹会頭

左からイヴァン・ハマーリョ会長/近藤正樹会頭/小林雅彦在サンパウロ日本国首席領事

イヴァン・ハマーリョ会長を囲んで記念撮影

左から近藤正樹会頭/記念プレートを受取るイヴァン・ハマーリョ会長

左から近藤正樹会頭/贈呈された日本酒を持つイヴァン・ハマーリョ会長/平田藤義事務局長

105人が参加した懇親昼食会

 

 



 

4月の日伯法律委員会に60人が参加して開催

4月の日伯法律委員会が2012年4月12日午後4時から6時まで60人が参加して開催、司会は矢野クラウジオ副委員長が務めた。

初めにFelsberg & Associados 弁護士事務所のマイサ・デ・サ・ピトンド弁護士が「賠償金分割支払における社会負担金免除について-正しい理解とPGFN(大蔵省検察総局)及びAGU(連邦総弁護庁)の対応」について、従業員に対する昼食用食券の現金払い、学費援助、産休並びに休暇の消化など関する社会負担金免除について説明した。

Trench, Rossi e Watanabe Advogados 弁護士事務所税制部門のヴァネッサ・カルドーゾ弁護士が「ブラジルとの二重課税防止条約締結国に拠点を持つ企業から提供されるサービスへの源泉徴収税免除」について、ブラジルと企業のサービスに関する所得税の二重課税防止条約締結国として、アルゼンチン並びにチリ、カナダ、中国、日本、エクアドール、スペイン、メキシコ、ペルー、スエーデン、ポルトガル、韓国など30ヵ国がすでに締結、二重課税防止条約のコンセプトや適用などについて説明した。

Ernst & Young Terco社企業アシスタント部門のフェリッペ・トマス・デ・アキノシニアマネージャーが「法令 7.699号  輸出業者に対するデリバティブ取引のIOF税(金融取引税)」について、暫定令539号/2011から法令7.699号までの推移、輸出業者に対する金融取引税(IOF)のクレジット並びに割引、法人税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)、社会保障院への積立金に関する減税などについて説明した。

最後にPinheiro Neto Advogados弁護士事務所社会保障部門のクリスティアネ・マツモト弁護士が「日伯社会保障協定-法的見地から」について、今年3月1日から日伯社会保障協定が発効、日・ブラジル社会保障協定の概要では社会保障協定の主旨並びに二重加入の防止、一時派遣、保険期間の通算、保険料の掛け捨ての防止、日本並びにブラジルでの二重加入の防止のための手続/適用、二重加入の防止では日本・ブラジルの年金制度のうち、いずれか一方に加入することや一時派遣の延長として総派遣期間が5年以内であれば、適用の継続は可能であるが、 3年を超える延長は認められないことなどを説明した。

左からPinheiro Neto Advogados弁護士事務所社会保障部門のクリスティアネ・マツモト弁護士/Trench, Rossi e Watanabe Advogados 弁護士事務所税制部門のヴァネッサ・カルドーゾ弁護士/Felsberg & Associados 弁護士事務所のマイサ・デ・サ・ピトンド弁護士/Ernst & Young Terco社企業アシスタント部門のフェリッペ・トマス・デ・アキノシニアマネージャー/矢野クラウジオ副委員長

熱心に講演を聞く参加者

会場一杯の60人が参加した講演会


 

日伯社会保障協定に関するセミナーに会場一杯の66人が参加して開催

コンサルタント部会(澤田吉啓部会長)の日伯社会保障協定に関するセミナーが2012年4月11日午後4時から6時まで会場一杯の66人が参加して開催、元厚生労働省年金局国際年金係長で、ブラジルとの社会保障協定の提携で大いに力を発揮したサンパウロ総領事館の坪井俊宣領事が講師を務めた。

初めにコンサルタント部会の澤田吉啓部会長が開催挨拶として、回章をだしてから2時間で満員御礼を出すほど会員の関心が高いセミナーであり、日伯社会保障協定に関する疑問点を払拭してほしいと説明した。

初めに坪井領事は日伯社会保障協定について、INSS保険料の企業負担分の取扱いや、現地法人の役員への本協定の適用について様々な憶測が飛び交ったことについて、非常に重要なことは正確な情報の把握であり、本日の説明会では協定条文を資料として配布し、個々の事項の根拠がどこにあるのかについても併せて説明したいと述べた。


【社会保障協定の概要】

社会保障協定の狙いは国際的な人材交流の活発化に伴う年金等の問題解決であり、日本が協定締結している国は欧米諸国など14カ国、ブラジルとの協定締結は南米で初めてであり、今後は他のBRICS諸国との協定締結が予定されている。

なお、中国には13万人の日本人が生活しており、今年7月から外国人にも社会保険強制加入が適用され、二重加入が発生して年金の掛け捨てとなるために、社会保障協定の締結が急がれている。


【一時派遣について】

坪井領事は例として派遣期間が5年以上となる場合、協定第7条2項に基づき、プロジェクトが伸びた場合など明確な理由があれば、3年までの延長が可能であると説明。また、場合によればフレキシブルな対応もしてもらえると付け加えた。

「1年のインターバル規定」では、協定第7条3で規定されており、また二重加入は協定第12条で強制加入について解消される旨規定されているが、任意加入は認められていると述べた上で、ホームページに記載されているように、3月1日から厚生年金についても任意加入できるようになったと説明した。

「適用証明書」の取り扱いについて、ブラジル当局の担当官との間で何か問題が生じた場合には、担当部署や担当官の名前、誰のケースについてなのか等の具体的な情報を提供していただければ、問題解決に繋がると述べた。

これについて、ある企業の方より、INSSへの保険料の支払いをする必要が無いとは認識しているが、ブラジル当局側の対応に対して不安があるので、もう少し様子を見る必要があると聞いたとのコメントが出されたが、これに対して、坪井領事は法律的には問題は無く、監査が入っても適用証明書を提示すればよいと考えるが、もし問題が生じた場合には具体的な情報を提供してほしいと述べた。

また派遣期間の起算点に関する質問に対して、坪井領事は3月1日以前からブラジルで就労していた人は3月1日に就労開始とみなされ、3月1日以降に赴任した人は赴任日(適用証明書に記載されている派遣開始日)となると説明した。


【保険期間の通算について】

日本の年金法では、日本国籍を有している者の海外滞在期間はカラ期間となり、年金額には加えられないが、年金受給資格期間に加えることが可能。

例えば、日本に10年、ブランスに10年、米国に10年、ブラジルに10年それぞれ加入していたといった場合(いずれも二重加入ではない。)には、日本の年金受給のために二国間の通算は可能であるが、第三国の保険期間は算入しないと説明した。


【その他】

ブラジルの労災保険はINSS保険料に一体不可分なものとして含まれており、協定により当該保険料が免除されるとブラジル労災保険は適用されないことに加え、日本の労災保険は海外で就労する労働者に適用されないため、何らかの労災保険に加入することを勧めると述べた。

協定発効前にブラジルで年金保険料を納めた人が日本に帰国して65歳になれば、ブラジルの年金が受給できるのかの問い合わせに対して、坪井領事は受給できると思われるが、帰国前に書類や記録を確認しておくことを薦めると説明、また協定締結後は日本でブラジルの年金請求が可能となったと付け加えた。

澤田部会長は今回のセミナーに参加できなかった会員も多いので、要望があれば再度、セミナーを開催並びに地方都市や他州の会員向けのセミナー開催も坪井領事に快諾してもらっていると丁寧にお礼を述べ、参加者は不安一掃できたために、坪井領事に大きな拍手が送られ、素晴らしいセミナーとなった。

講演者のサンパウロ総領事館の坪井俊宣領事(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

会場一杯の66人が参加して開催されたセミナー

 

日本査証申請センターオープニングセレモニーに出席

日本査証申請センターのオープニングセレモニーが2012年4月5日開催され、会議所から平田藤義事務局長が参加した。セレモニーには同センターの運営元であるJBAC社(JBAC SERVICOS ADMINISTRATIVOS BRASIL LTDA.)の波多野英夫本社代表取締役会長、吉原篤人執行役員が日本から駆けつけ盛大に執り行われた。サンパウロ州政府を代表しEMPRESA PAULISTA DE TURISMO E EVENTOSのペドロ・ダレッシオ氏、総領事館からは小林雅彦首席領事と植田敏博領事、また主要日系団体からも多数の参加があった。

はじめにJBAC社センターの中司竜太氏が開会の挨拶を行い、続いて小林首席領事、文協の山下譲二副会長がそれぞれ祝辞を述べ、会議所平田事務局長が乾杯の音頭を取り同センターの開設を祝った。

査証受付の時間拡大と今後のサービス・利便性の向上を目的に、在サンパウロ日本国総領事館から業務委託、9日より同センター窓口業務が開始する。問い合わせは電話(11)-3171-3104 、詳細は以下サイトリンクを参照。(http://jbac-world.com/jpn/