3月の日伯法律委員会に58人が参加して開催

3月の日伯法律委員会が2012年3月8日午後4時から6時まで58人が参加して開催された。司会は矢野クラウジオ副委員長が務め、初めに、会議所では過去2年間を除いて、年1回「外国人労働者-ブラジル入国管理政策の現状」セミナーを開催しており、加えて今般「出稼ぎ者(リターン)のブラジルでの雇用」などに関するセミナーの開催を検討中であり、今回アンケート調査を実施、配布したアンケート用紙への回答の協力を呼びかけた。

初めに Aoki Advogados Associados弁護士事務所のエリカ・アオキ共営者は、「新しいジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)-アイキャン(ICANN)のドメインネーム新システムにおける変更点」について、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers、アイキャン)はインターネットのIPアドレスやドメイン名などの各種資源を、全世界的に調整・管理することを目的として、1998年に設立された民間の非営利法人であり、主な業務は、インターネットの3つの識別子(ドメイン名/IPアドレスおよび自律システム(AS)番号/プロトコルポート番号およびパラメータ番号)割り振り・割り当てを全世界的かつ一意に行うシステムの調整であると説明した。

2011年6月20日、ICANNシンガポール会議にて、理事会により新gTLDプログラムの導入が承認され、2013年より「.GREEN」や「.LOVE」、「.SiTE」などの一般名称TLD(トップレベルドメイン)の他、「.CANON」や「.HITACHI」などの社名TLD、「.TOKYO」や「.NYC」、「.PARIS」などの地名TLDなど、様々な種類のドメイン名の利用が可能になると説明。今年3月5日のgTLDは207が登録、3月31日が登録締切り 、5月1日に審査が行われる。またICANNの登録契約料、年間経費、トータルコストなどについても説明した。

TozziniFreire Advogados弁護士事務所アンチトラスト部門のダニエル・オリベイラ・アンドレオリ共営者は、「新アンチトラスト法(新反トラスト法)」について、新アンチトラストは今年5月30日から施行、変更後の適用される罰則の支払い比率、主な変更点として買収・合併では、現行の事後届出制度から事前届出制度に変更、審査期間は240日で当事者かCADEが要求すれば最大330日まで延長が可能となり、現行の届出では、当事者のトータルシェアが20%以上の条件は廃止されて売上だけになる。カルテルに関する改正では、罰金の上限額が現行法の売上の30%から20%に減額になったことなどを説明した。

Pinheiro Neto Advogados弁護士事務所 税制部門のジョゼ・マルシオ・レべリョ・レゴ・ネット弁護士は、「貿易業務における課税と 主な特別通関制度」について、輸入に関する平均工業製品税は10%、平均輸入税は9.0%、平均商品流通サービス税(ICMS)は18% 、輸出に関する課税対象は、たばこや銃器、軍需品、皮革などわずかであり、ICMSやIPI 、社会統合基金(PIS)、社会保険融資納付金(Cofins)については課税されないと説明。保税倉庫による特別通関制度により、輸入品を1年間に亘って保税倉庫に保管する場合、物品の輸入に課される税金の支払いが全面的に保留される。またドローバック制度は完成品の輸出を目的として、ブラジル企業が製造工程で使用する物品の輸入に対して、課される連邦税の保留、免除または還付があることなどを説明した。

最後にTrench, Rossi e Watanabe Advogados弁護士事務所 税制訴訟部門のマリアナ・ネーヴェス・デ・ヴィット弁護士は、「日伯社会保障協定」について、日・ブラジル社会保障協定の概要では社会保障協定の主旨並びに二重加入の防止、保険料の掛け捨ての防止、日本並びにブラジルでの二重加入の防止のための手続/適用証明書の交付手続き/年金請求の手続き/協定による日本・ブラジルの年金請求の手続きについて説明した。

二重加入の防止では日本・ブラジルの年金制度のうち、いずれか一方に加入することや一時派遣の延長として総派遣期間が5年以内であれば、適用の継続は可能であるが、 3年を超える延長は認められない。また協定発効前から引き続き派遣が継続される場合は、発効日から5年以内に派遣が終了する見込みであれば、ブラジルの制度が免除される。

日本の老齢年金を受け取るためには、原則として25年(300月)の年金加入期間を必要とするが、日本の年金加入期間 だけで25年を満たすことができない場合は、ブラジルの年金制度の年金加入期間を足し合わせて計算することができる。ブラジルの老齢年金を受け取るためには、 原則として15年(180月)の年金加入期間を必要とするが、ブラジルの年金加入期間だけで15年を満たすことができない場合は、日本の年金加入期間を足し合わせて計算することができることなどについて説明した。

 

 

総合防災セミナーに参加

2012年3月7日開催された総合防災セミナーに、会議所近藤正樹会頭と平田藤義事務局長が参加。ブラジルリオデジャネイロ、東日本で発生した大規模災害から一年が経過するにあたり日伯両国の防災知見向上に向けて企画された同セミナーは、主催:サンパウロ州防災局、共催:国際協力機構(JICA)、サンパウロJICA帰国研修員同窓会(ABJICA)、後援:国連防災戦略(ISDR)で開催された。500名近くが参加し盛況に行われ、関心度の高さを伺わせた。

南米(ペルー・ベネズエラ)セミナーに56人が参加して開催

ジェトロ・サンパウロ事務所(澤田吉啓所長)並びにコンサルタント部会(都築慎一部会長)、企画戦略委員会(澤田吉啓委員長)共催の南米(ペルー・ベネズエラ)セミナーが、2012年3月2日午後2時から4時過ぎまで、会場一杯の56人が参加して開催、ジェトロ・リマ(ペルー)の石田達也所長、 ジェトロ・カラカス(ベネズエラ)の森下卓哉所長がそれぞれ講演を行った。

初めに、昨年に続いて2年連続の講演となる石田達也所長は、南米セミナーのペルー編として、欧州危機並びにウマラ政権の評価、内需の拡大の3つのキーワードでこれまでの1年間を振り返り、今後の展望を説明すると前置き。欧州危機はペルー経済への影響が少なく、今年のGDP伸び率は昨年の6.9%から減少するが、好調な内需で5.5%が見込まれる。

リマのインターネット普及率は30.3%、リマ以外では、16.4%と今後の普及が見込まれており、一般消費者向けクレジットは、GDP比3.0%とチリのGDP比19%と比較して非常に小さい。また屋根のない家から屋根付きの家やアパートの購入が拡大してきており、住宅向けクレジットも必要で伸びているために、バブルではないと説明した。石田達也所長は、今年のペルーの展望をツイッター流で説明すると、「欧州危機の影響は限定的で、ウマラ政権発足後も政策の方向性に変化は見られず、内需の拡大により2012年に5.5%程度の成長率が見込まれる」と述べた。

ウマラ大統領の名前であるオジャンタは、ケチュワ語で、「インカの兵士」を意味する。ウマラ政権の大統領選挙時の公約として、経済成長と貧困撲滅をスローガンにして当選したが、選挙時には、ウマラ政権に対する4つの不安があった。そのひとつである鉱業税制に関しては、大統領就任後に、業界と水面下で相談してうまく調整。貧困対策に関しては、条件を制限してガルシア前政権よりうまく実行。憲法改正に関しては、国内の大きな問題解決を優先するために、実施する意向はない。貿易・投資に関しては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への積極的な参加、今年3月1日の日本とのEPA協定の発効や5月のウマラ大統領の訪日などが予定されており、産業界ではウマワ政権を高く評価している。

1990年に政治的には無名の農業経済学者アルベルト・フジモリが新党「カンビオ(変革)90」を基盤に立候補し、フジモリ現象と呼ばれるほど急激に支持者を増やして、伝統的な白人支配層の推薦する著名作家バルガス・リョサを破り、初の日系人大統領となった。中産階級や貧しい先住民のための政治を掲げて、教育や経済危機の克服に力を入れ、極端だったインフレを克服し、極左ゲリラ鎮圧にも成功したため、ペルーでは、「1990年」と言う言葉がよく話しに登場するが、これはフジモリ大統領の代名詞であると付けくわえた。

また石田所長は以下エピソードを紹介した。「小さな初めて物語がビジネスにつながる」として、アディダス主催で、初めてマラソン大会を開催、初めの年は600人が参加、次の年は800人、昨年は、1100人と少しずつランナーが増えてきている。日本では売っていないような低価格の靴やスポーツ用品の販売が増加してきている。ペルーの自動車所有は、金持ちクラスだけであるにも関わらず、初めてアパートを購入する中間層は、自動車を所有していないが、将来的に所有すると見込んで、駐車場付きのアパートを購入している。初めて電気のある家に住む。初めて水道のある家に住む。初めてシャンプーを使う。しかし小袋入りのシャンプーが安く感じられるのでよく売れる。また過去5年間では、トイレットペーパーの販売が3倍増加した。また初めて銀行に口座を持ったなど初めての購入などで一般消費が伸びて、内需が旺盛なために、今年のGDPは5.5%と着実に上昇すると結んだ。

ジェトロ・カラカス(ベネズエラ)の森下卓哉所長は、「ベネズエラの2012年政治経済見通し」をテーマに、今年の大統領選挙や州知事選のスケジュールは、チャベス大統領の病状次第で変わる可能性があり、現状に疲弊している国民は変化を期待していると述べた。大統領選における野党連合候補の予備選挙で、有効票の64%を獲得して圧勝した39歳のエンリケ・カプリレス・ラドンスキ・ミランダ州知事は、第4共和政時代への逆戻りを想起させない若い人物 と評価されていると説明した。

カプリレス候補は大統領候補として、政治的思想や社会階級に関係なく、全ての国民の社会統合を目指す「君も進歩のバスに乗ろうよ」をスローガンにしており、一方、チャベス現大統領は、「21世紀型社会主義」をスローガンにしている。カプリレス候補は、為替管理制度に関して、徐々に解体、最終的には完全廃止、投資では民間企業による投資促進を掲げているが、一方のチャベス大統領は、為替管理制度に関して、現政権の経済・金融政策における根柢の制度であるために継続、また投資では、農地や企業の接収・国有化の強化を掲げている。

輸出総額に占める石油関連輸出は、チャベス大統領就任前の1998年は66.8%、現在は95.2%と26.4ポイント増加して、原油価格・輸出量の変動に影響をより受けやすい経済構造になっている。 カプリレス候補が大統領に当選すれば、石油部門のシナリオは、PDVSAの本業への専念、非政治化 、接収・国有化の中止、民間企業の参加促進 、石油依存度の低減、外交カードとしての石油の利用の中止などを実施して、石油産業の回復を図る。

チャベス大統領が再選されれば、国が過半数以上のプロジェクトを握るために開発の遅延 、PDVSAの非本来業務への従事、社会開発プロジェクトへの供出継続、中国、ベラルーシなどの”友好国”との共同プロジェクトの推進や外交カードとしての利用など、大幅な生産量増加は見込めない。

原油価格の高止まりにも関わらず、 外貨準備が増えない原因の1つとして、適正水準を超えた部分は、国家開発基金(FONDEN)へ移転させていることがある。 「物価統制」では2003年2月より基礎食料品、一部の医薬品・トイレタリー製品などに適用しているために、生産コストが販売統制価格を上回る場合も多く、悪循環に陥っている。物価統制の対象品目の価格調整が遅れて、モノ不足は悪化傾向にあり、国産品の方が値上がり が激しいので、「物価統制はインフレを 抑えるため」という当初の 目的を全く果たしていない。

自動車部門では、2008年1月から導入された「新自動車政策(輸入ライセンス制導入等)」により、輸入が激減 、またノックダウン部品の輸入許可の発行遅れや外貨の発行遅れ、電力不足、労働争議などにより、国内での製造にも影響 を与えており、国内組み立て会社7社の生産能力合計は、年25万4,000台に対し、2011年の生産台数は、10万2,000台と生産能力の半分以下の需要はあるにもかかわらず、政府の政策により供給が減少している。新車の供給が追い付かないため、 中古車が日本ではあり得ない価格まで高騰して、新車より中古車の方が高い”逆転現象”も発生している。

カプリレス候補が大統領に当選すれば、製造業部門は、接収・国有化中止や投資の保護、投資環境の改善で投資の拡大 、国内生産の奨励よる輸入依存度の低減 、為替管理の段階的な廃止による外貨問題の減少などで製造業の復興となる。 チャベス大統領が再選されれば、為替管理の継続、接収・国有化継続、民間企業のさらなる締め付け
による製造業の衰退、労働者のさらなる過保護で企業にとって、負担増加で製造業にとっては、さらに厳しい状況に 陥ると説明した。

今年は大統領選挙の年であるために、政府支出は、実質で20%増加すると予想されており、インフレ指数を上回る最低サラリーや公務員サラリーの調整、補助金やミッションの強化などが予想されているが、チャベス大統領の評価は、ミッション以外はマイナス評価となっている。チャベス大統領の病状が悪化すれば、メディアに頼らざるを得ない選挙キャンペーンやカリスマ性の十分な発揮が困難となるが、特に熱烈な支持者が多い低所得者層に対しては、同情票効果になると説明した。

南米セミナーのペルー編 ジェトロ・リマ(ペルー)の石田達也所長

ベネズエラの2012年政治経済見通し ジェトロ・カラカス(ベネズエラ)の森下卓哉所長

左からジェトロサンパウロセンターの原宏次長/ジェトロ・リマ(ペルー)の石田達也所長/都築慎一コンサルタント部会長/ジェトロ・カラカス(ベネズエラ)の森下卓哉所長/ジェトロサンパウロセンターの紀井 寿雄調査担当ディレクター(Foto: Rubens Ito/CCIJB)

56人が参加して開催されたセミナーの様子

震災復興写真展オープニングに出席

東日本大震災の発生から1年を迎えるにあたり、震災復興写真展『日本の再生:ありがとう,ブラジル!』( Exposicao de fotos “Renascimento do Japao : Obrigado, Brasil!”)が在サンパウロ総領事館・国際交流基金・サンパウロ州政府・フジフィルム・ド・ブラジル共催で開催され、そのオープンニング式に近藤正樹会頭が出席した。

The Japan Times が平田事務局長をインタビュー

2012年3月1日、日本で発行されている日刊英字紙 The Japan Times におけるブラジル特集取材の為、Macy T.Yapkianwee プロジェクトマネジャー(World Eye Reports)が平田藤義事務局長をインタビュー、日伯経済・ビジネス関係の現状、両国のビジネス文化の類似点、日伯間の協力関係にある主要セクター、またより密な日伯関係においてはどのセクターが最も利益を享受できるか等の質問に対応、日下野成次総務補佐も同席した。

左からMacy T.Yapkianwee プロジェクトマネジャー、平田事務局長、日下野総務補佐(Foto: Rubens Ito/CCIJB)

金融部会、本年度の活動計画について協議

2012年2月29日午後2時から金融部会が開催され、本年度の活動計画について協議が行われた。参加者は遠藤秀憲部会長(南米安田保険)、山崎展生副部会長(ブラデスコ銀行)、米沢直宏副部会長(南米安田保険)、平田藤義事務局長、日下野成次総務補佐。

左から山崎展生副部会長、米沢直宏副部会長、遠藤秀憲部会長、日下野成次総務補佐、平田藤義事務局長(Foto: Rubens Ito)

 

あしなが「日本女子ユース東北選抜」懇談昼食会に出席

あしなが育英会(玉井義臣会長)が支援を行っている「日本女子サッカーユース東北選抜」のブラジル遠征親善試合を前に、懇談昼食会がサンパウロ市内で開催され、会議所から近藤正樹会頭が出席した。同チームは3月4日に当地クルビ・アトレチコ・ジュヴェントス女子チームと親善試合を行う予定。

第23回カマラゴルフ大会開催

2012225日(土)に第23回カマラゴルフ大会がサンパウロPLゴルフクラブで盛大に開催されました。今回はカーニバル休暇明けにもかかわらず45名の参加を頂きました。

715分、元気に第一組がスタート。全員がスムーズにプレーを行いました。表彰式も和気藹々の中で進み、大盛況の内に終了いたしました。

 

結果、個人優勝は南野さん(KANEMATSU AMERICA DO SUL)がアウト41、イン38、グロス79HC10、ネット69のスコアーで優勝されました。

2位には堀内さん(MIZUHO CORPORATE BRASIL)、3位には岐部さん(UBIK DO BRASIL)が入りました。

ベストグロス賞はアウト38、イン39、トータル77で堀内さん(MIZUHO CORPORATE BRASIL)が獲得されました。

 

その他特別賞は次の通りです。

ドラコン賞:  岡野さん(NSK BRASIL)、横内さん(TERUMO MEDICAL

二アピン賞: 岡野さん(NSK BRASIL)

                 岐部さん(UBIK DO BRASIL

                 堀内さん(MIZUHO CORPORATE BRASIL)イン2個獲得

 

次回、第24回開催は513日(日)の予定です。

特別企画も用意します。

奮ってのご参加をお待ちしています。

 

個人優勝

 

労働問題研究会に35人が参加して開催される

企業経営委員会(上野秀雄委員長)の労働問題研究会に35人が参加して2012年2月16日午後4時から6時まで開催され、司会は平瀬ワシントン副委員長が行った。

初めにTrench, Rossi e Watanabe Advogados弁護士事務所のルシアナ・シモエス・デ・ソウザ企業税制係争担当弁護士が「法令 12.546/2011号による社会保障について – 給与に関する社会保険(INSS)負担軽減」について講演を行った。暫定法540/2011号に派生する法令12.546/2011号は、特に繊維、靴、家具、情報テクノロジーサービス企業(IT)、情報テクノロジー・コミュニケーションサービス企業(TIC)といったセクターのコスト削減や輸出の活性化、雇用拡大を行うためのブラジル政府によるイニシアティブであるが、しかしながら制限期間内でなければイニシアティブが無効になるなど還元金回収法について様々な解釈があることを説明した。

また企業の社会保障院(INSS)への積立金軽減措置として、衣類部品やアクセサリー、履物製造企業に対して、役員給与報酬の20%の支払いもしくは売上の1.5%のINSSへの積立、同じくIT企業に対しては売上の2.5%の積立もしくは役員給与報酬の20%支払いへと変更されたことなどについて説明した。

Ferreira Rodrigues Sociedade de Advogados弁護士事務所 企業労働訴訟・コンサルタント部門責任者/事務所共営者のウイリアム・ロドリゲス弁護士は、「法令12.440/2011号- 労働負債者登録( CNDT – Cadastro Nacional de DevedoresTrabalhistas)と 労働負債無存在証明書( Certidão Negativa de Débitos Trabalhistas)」について講演、2012年1月4日に施行となった本法令は、企業への特に公共入札への参加企業にその影響と事業遂行義務を求めるものであると説明、判決の確定、計算方法、異議申し立て/不服申し立ての意思表示、支払いの決定、入札に関するCNDT,CNDTの形態や企業の異議申し立の有効期限180日などについて説明した。

左から講師のウイリアム・ロドリゲス弁護士/ルシアナ・シモエス・デ・ソウザ弁護士/上野秀雄委員長/平瀬ワシントン副委員長 (Foto: Rubens Ito)

熱心に講演を聞く参加者

 

2012年度官民合同会議に外務本省から山田彰中南米局長が参加して開催

2012年度官民合同会議が2012年2月15日午前9時から午後1時30分まで、サンパウロ市内インターコンチネンタル・ホテルにて、外務本省から山田彰中南米局長、在伯日本大使館の三輪昭大使など50人が参加して開催された。

司会は在伯日本大使館の荒木要参事官が担当。初めに山田中南米局長が対ブラジル経済外交の基本方針について、ブラジルは未来の大国から現在の大国になりつつあるにも関わらず、日本ではブラジルや中南米に対して古いイメージがあり、現在の正しいイメージが伝わっていない、また中南米の正しいイメージを伝えることが外務省の責任であると強調。日本進出企業の増加に伴って、商工会議所会員も増えてきている事にも触れた。

日本からブラジルへの直接投資は4位に上昇して、大きなビジネスチャンスが拡大していること、またブラジルや各国からの東日本大震災の被害に対する多岐にわたる支援で、日本が世界から信頼されていると肌で感じていること、更なる両国関係の促進のために、是非、ジウマ・ロウセフ大統領の訪日を期待したい、またブラジルのエクスポージャーが増え利益が上がっているものの、税制やインフラ整備の遅れなどのブラジルコストやその他の多くのビジネス環境に関する問題があることも説明。しかし今回のマルチビザの発給や2012年3月施行の日本ブラジル社会保障協定など前進したものもあり、さらにビジネス環境整備でサポートしたいと説明した。

またメキシコやコロンビア、チリは太平洋同盟、ブラジルはメルコスールとそれぞれ地域統合が進み、ブラジルの経済発展はメルコスールに良い影響を与えており、例えば自動車部品工業メーカーなどのメルコスールへの進出を促進していること、ブラジルは中南米の好調な経済を牽引しており、日本はブラジルとグローバルな視点から付き合っていく必要があること、最後にブラジルでは新たなビジネスチャンスが多くあり、本会合では現場の声を吸い上げるためビジネス環境で問題にとなっていることを多く挙げてほしいと説明した。

次に三輪大使は、1月の世論調査ではジウマ・ロウセフ大統領の支持率が大統領1年目では過去最高の58%に達し、汚職と戦っている大統領のイメージが支持率を支えていること、内政ではルーラ政権の政策を踏襲しボルサ・ファミリアや経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設など社会政策の拡大を実施している点を説明。経済面では昨年のGDPが英国を抜いて世界6位の予想であるが、実質GDPは一昨年の7.5%から3.0%程度に減速したこと、また産業力強化がブラジルの最重要課題であることを説明。併せてブラジル・マイオール計画の実施などについても説明した。

続いて荒木要参事官は、ブラジル政府は人材不足解消のために、先進国に10万人のブラジル人留学生の送り出し計画を進め、科学技術発展の促進、産業競争力の向上を図ることを説明。この計画では、日本留学からの帰伯者を活用し在伯日本企業の人材強化につなげるよう、留学後のフォローアップ等を通じた側面支援策を検討中であることを説明した。

今西靖治参事官は、日伯商用査証覚書の署名並びに、日伯社会保障協定の締結について説明した後、ビジネス環境整備のために困っていることを挙げてほしいと参加者に意見を求めた。それに対してアルゼンチンの輸入許可の厳格化、ブラジルのマイオール計画でも改善されていない困難な中古資本財の輸入、サンタ・カタリーナ州では輸出振興のために商品流通サービス税(ICMS)のクレジット供与も州内でしか使用出来ず現金での払戻への変更が必要なこと、インターネット予約で3カ月以上かかる外国人登録(RNE)の取得手続き改善などが意見として挙がった。

佐久間有児書記官は、移転価格税制の暫定措置令案はジウマ大統領の承認待ちであり、利益マージン率の具体的数値は不明であるが検討していた数値より低い可能性があること、再保険規制については、ローカル再保険会社に対して最低40%の再保険契約の実施、及び海外の関連会社に対する再保険は20%を上限と決められており、インフラ事業コスト増加の懸念があるために、下院にこの規制停止の法案が提出されていることなどを説明した。

中谷誠志書記官は、日本は防災対策に関する豊富な知識・経験及び高い技術を有しており、ブラジル政府から大きな期待が寄せられているために、2010年から日伯防災セミナーをサンパウロ、リオやブラジリアで開催していること、またブラジル政府関係者5人が日本で研修中であることを説明。また交通インフラでは昨年7月の高速鉄道入札には応札者がなかったために、ブラジル政府は上下分離方式の新入札を予定しており、日本からは既に14回の官民ミッションを実施されていることを説明。またブラジル政府は人口70万人以上の都市に交通インフラ24プロジェクトを計画中、及びプレサル深海油田開発向けの石油生産設備や輸送船などの大規模発注が予定されており、3月の日伯セミナー開催やブラジル関係者の招聘、官民ミッションの派遣などについて説明した。

福代孝良書記官は、日伯科学技術協力として、宇宙・海洋・バイオ農業・希少金属資源開発のための高付加価値産業育成・人材育成の必要性や日本の技術を生かしたレアメタル・レアアース協力調査、アマゾン熱帯雨林の違法伐採監視のレーダー衛星への技術協力、プレサル油田開発の関連プラントの売り込みに対する官民連携などについて説明した。

コーヒーブレークの後、モデレーターを務めた荒木参事官が臨機応変に予定になかった質疑応答の時間を設けて大使館に対する要望などについて、平田藤義事務局長に尋ねたところ、今回マルチビザは実施されたものの、「日系人活用セミナー」の講師として訪伯する大阪商業大学の古沢昌之教授から要請を受け、ビザ取得のために商工会議所から招聘状を送付しビザ発行に漕ぎ着け、また別件として米国西海岸のブラジル総領事館でも市場調査のための渡伯者に招聘状が要求され商工会議所へ止むを得ず発行依頼が来たことを事例として挙げ、技術、研修ビザなどについてもまだまだ問題があると、同事務局長より指摘があった。また海外投資家にとって明確でない移転価格税制の暫定措置令案は、他の暫定法案とともにジウマ大統領の承認待ちであるが、他法案とは分離した形で本件を早急に政治的に解決するようサンパウロ州工業連盟(FIESP)に動きがあることもコメントされた。

今西参事官はこの意見に対して、ビザについては時間短縮などブラジル政府への要請を続けていきたいと説明。移転価格税制については、ブラジル側は淡々と手続きを進めていると回答していることを説明。また他の案件に対する要望として、江上知剛会議所専任理事が、日本語が話せない日系人が多いために、韓国政府が韓伯学園建設で50%の支援をしているように、日系人に対する日本語教育や日本文化継承のために日本政府の支援の必要性を指摘。また平田事務局長は、古沢教授と訪問した幼稚園児から高校生が在籍する8000平方メートルの敷地を有する韓伯学園について、韓国政府の資金援助や教師の派遣があること、またドイツ商工会議所のフンボルト高校への教育支援、ドイツ企業に役立つ制度などがあることを説明した。

大部一秋総領事は、江上専任理事の話は本質論として非常に重要であり、ある自動車部品メーカーは、日本で働く日系ブラジル人を幹部としてブラジルに送っていること、ジャイカの派遣ボランティアの60%は日本語教師であることを説明。ジャイカの室澤智史所長は、日系社会の支援事業として、ブラジルでシニアボランティア70人が活動、その60%から70%は日本語教師、また日系人リーダーとして日伯のかけ橋になるために、年間80人を支援していることを説明した。

日伯経済交流促進委員長の藤井晋介会議所副会頭は、「進出企業の抱えるビジネス上の問題」のアンケート結果について、29社からの回答があり、輸入手続き・輸入許可申請の簡素化・透明化、複雑な会社設立・生産手続きの改善、永住ビザ・トレーニービザの改善、技術移転契約に対する規制や自動車免許取得問題などについて意見があったことを説明した。

自動車部会のプレゼンテーションは末一義部会長代理、コンサルタント部会は都築慎一部会長、金融部会は遠藤秀憲部会長、貿易部会は加藤彰彦副部会長、電気電子部会は篠原一宇部会長が、部会長シンポジウムの発表時間を大幅に短縮した形でそれぞれ発表した。

国際石油開発帝石(INPEX)の名倉弘支店長は、プレサル油田開発について、ブラジルの石油開発の歴史、石油生産量の推移、1970年代から開始された石油海洋開発、1998年の100万バレルへの増産、成功率の高いプレサル油田開発等について説明した。

続いて山田中南米局長は、国連持続可能な開発会議(リオ+20)について、21世紀の開発のあり方や新しい考え方がでる可能性がある。日本は防災や環境対策における最先端の技術を発信するよい機会であり、また日本パビリオンで東日本大震災の復興や技術の展示のために実行委員会を立上げることを説明、併せて進出企業の協力を要請した。

最後に近藤会議所会頭は、今後も官民一体でビジネス環境整備を進めること、今日の官民合同会議は外国人登録問題や移転価格問題など色々な話し合いが出来たことを評価、商工会議所として今後も提言していくことを述べた。またマルチビザや社会保障協定の締結などこれまでの尽力が実を結んできており、2国間問題は優先順位をつけて行うこと、世界から注目されているブラジルで開催されるリオ+20は、日本のプレゼンスを高めるチャンスであると結んだ。

三輪大使は、日伯関係は着実によくなってきており、ビジネス環境整備のために要望に耳を傾けるので、大いに要望を出してほしいと結んだ。

山田中南米局長は、ブラジルコストなどはブラジル政府による解決が必要であるが、友好国として、ビジネス環境整備のために協力や働きかけを行い、官民一体で日本のため、ブラジルのため、日伯のために、積極的に問題解決を図っていきたいと結んだ。

50人が参加した官民合同会議

50人が参加してビジネス環境整備について活発に意見の交換が行われた

左から3人目が山田彰中南米局長/右は三輪昭大使