4回目の70周年記念委員会開催してドラフト資料で意見交換

4回目の70周年記念委員会(佐々木光委員長)は会議所70周年記録集作成委託業務を請け負っているサンパウロ新聞社の鈴木雅夫社長が参加して2009年11月19日正午過ぎから午後2時まで開催した。

記録集編纂の鈴木社長はドラフト資料で編纂方法、スケジュール、実施事項、データー編への挿入、写真の選定などを説明後、参加者が削除や挿入データーなどについて意見の交換を行ったが、予想以上の立派な記録集作成が見込まれて、参加者全員が納得するドラフト案に満足の様子であった。

参加者は70周年記録集担当の鈴木雅夫社長(サンパウロ新聞社)、佐々木光委員長(ジェトロ)、和田亮副委員長(日通)、壇上誠副委員長(日本経済新聞)、田中信会頭(リベルコン)、山田唯資監事会議長(個人会員)、平田藤義事務局長、柴田千鶴子事業班主任

右側手前3人目がドラフト資料で記念集について説明するサンパウロ新聞社の鈴木雅夫社長

 

スポットライトホテルオープニング式開催

ブルーツリー・ホテルを率いる実業家の青木智恵子氏の新しいコンセプトのスポットライトホテルのオープニング式が2009年11月18日午後8時からピニェイロス・スポットライトホテル開催、商工会議所からは田中信会頭並びに平田富士義事務局長がお祝いに駆けつけた。

外国人労働者:入国管理政策の現状に関するセミナーに80人が参加して開催

日伯法律委員会(松田雅信委員長)並びにコンサルタント部会(都築慎一部会長)共催の「外国人労働者-入国管理政策の現状」セミナーが2009年11月18日午後2時から6時までマクソウドホテルに80人が参加して開催された。

初めに外務省入国管理課のラルフィ・ピーター・ヘンデルソン主任はブラジルのビザ発行の現状、問題点、アーチストや特殊技能者のビザ発給、ヨーロッパの入国拒否、失業問題や不法入国者への特赦などについて説明した。


労働省入国管理課のアウド・カンジド・コスタ・フィーリョ総務コーディネーターは「ブラジルの外国人労働者-入国管理政策の現状」として労働雇用省の移住審議会の組織、歴史、審議会メンバーの構成、年間 10回の会議、プロセス分析件数、昨年の労働ビザ承認件数、そのうち航海関係が1万699人、保守サービス7477人、アーチスト 7420人、特殊技能者2301人、投資家1,357人、エグゼクチブ957人、その他1万16人とそれぞれ前年よりも増加している。


発給ビザで90日ビザが最も多く、2年ビザ 、1年ビザと続いて、パーマネントビザ発給がもっとも少なく、労働契約書が必要だった講演者にも契約書なしでビザを発給、科学者、アーチストやプロス ポート選手へのビザ発行ブロクラシーが減少して発給が早くなってきていると説明、米国からの技術者向け労働ビザ発給は1291件、フィリピン991件、英国952件、インド605件、フランスが434件と続いている。


質疑応答では90日ビザの延長の可能性、海外でのINSSの支払い、ブラジル勤務の50%のサラリー支給などについて質問されて審議会メンバーは的確にアドバイスをしてセミナーが終了、高田フェルナンド社長からアウド総務コーディネーターに記念のプレートが贈呈された。

左から労働省入国管理課のアウド・カンジド・コスタ・フィーリョ総務コーディネーター/外務省入国管理課のラルフィ・ピーター・ヘンデルソン主任/進行役の高田フェルナンド氏

左から日伯法律委員会の矢野クラウジオ副委員長/コンサルタント部会の都築慎一部会長

80人が参加して開催された「外国人労働者-入国管理政策の現状」セミナー

 

 

ヤチヨ・ド・ブラジルはリメイラ市の樹脂製燃料タンク工場の定礎式

ヤチヨ・ド・ブラジル社(亀井定男代表)はサンパウロ州リメイラ市の樹脂製燃料タンクの製造を目的とした工場建設の定礎式を2009年11月18日午前に関係者80人が参加して開催した。

同社は八千代工業(本社・埼玉県狭山市)と南米ホンダが共同出資で設立、新工場では主にシビック車に使用する樹脂製6層タンクを生産、2011年11月の操業開始が予定されている。

定礎式には日本から八千代工業の加藤正彰社長、工事の施工を行う戸田建設の林恒清社長、小林雅彦首席領事、ホンダの峯川尚社長、シルビオ・フェリックス市長が参加、商工会議所から田中信会頭、平田藤義事務局長が駆けつけた。

            

ヤチヨ・ド・ブラジル社の新工場の定礎式でタイムカプセルを埋める右から峯川社長/八千代工業の加藤社長/ヤチヨ・ド・ブラジル社の亀井代表

            

ヤチヨ・ド・ブラジル社の定礎式に参加した関係者

 

前財務相のアントニオ・パロッシ下議並びに日本大使館政務班の澤田洋典参事官をスピーカーに迎えて懇親昼食会開催

11月の懇親昼食会はアントニオ・パロッシ下議並びに日本大使館政務班の澤田洋典参事官をスピーカーに迎えて、2009年11月13日正午過ぎから2時過ぎまでインターコンチネンタル・ホテルに120人が参加して開催した。

初めにアントニオ・パロッシ下議は「金融危機後のブラジルの展望」と題して、昨年の日本移民100周年記念祭では日本から皇太子殿下を初め多くの実業家のトップが訪伯して、日伯間の交流が更に緊密化してきており、金融危機後のブラジル経済の回復は世界から注目、日本企業も大いに注目しだして多くの企業がファンダメンタルズの堅固なブラジル進出を検討しだした。

慢性インフレや対外債務で常に問題を抱えていたブラジルは15年前からインフレコントロールや対外債務の減少、今では対外債務を上回る外貨準備高を擁し、国際通貨基金(IMF)からの借入れから今では金融危機の対応策として融資能力増強を急ぐIMFに対して、拠出金を借出すまで好転している。

金融危機から最も早く脱出したブラジルはワールドカップやオリンピック開催などインフレ整備の大型投資が目白押し、今後は10年以上に亘って持続的経済成長が約束されている。

またブラジルは地上デジタル放送の日本方式採用を世界に先駆けて採用、日本の最先端技術移転された日伯方式採用は南米各国で採用が決定している。

ブラジルには3つの大きなリザーブ(貯蓄)があり、対外債務を上回る2,000億ドル以上の外貨準備高、計り競れない埋蔵量を誇る岩塩層下原油、世界の肺と呼ばれて酸素を供給する広大なアマゾンの熱帯森林、環境にやさしい大半が水力発電所によるクリーンな電力エネルギー、エタノールを初めとする代替燃料など世界的に恵まれた条件化での今後の持続的経済成長が見込まれている。

また政治的にはラテンアメリカで盛んに行われている憲法改正による大統領の長期政権維持に対して、ルーラ大統領はブラジルの憲法に定められた2期連続で大統領の席から潔く去ることで、ラテンアメリカ諸国の権力者と一線を引くことで、ブラジルの政治の安定性を世界に知らしめていることも海外投資家にとってブラジルへの投資促進の呼び水にもなっている。

また世界金融危機で企業の収益が圧迫されて国庫庁の税収が落込んでいる上に、経済刺激策採用で減税や免税政策を採用して国内消費を刺激したために雇用が増加、今年は100万人の雇用創出が見込まれている。

今後は教育レベルのアップ、司法、破産法、保険法、クレジット法などの改革を図って行くことがブラジルの発展にとって重要であると強調した。

また日本や外資系企業からブラジルへの投資促進のためには煩雑な税制改革や移転価格税制を解決することが重要であり、財務省では率先して問題解決に当たっていると説明、最後に昨年の日本移民100周年で更に日伯関係は緊密化してきており、日本人とブラジル人は実の兄弟であると結んで大きな拍手が送られて講演を終了した。

続いて在ブラジル日本国大使館政務班の澤田洋典参事官は「2010年大統領選を巡るブラジル政治情勢」と題して2010年に行われる選挙として大統領、512議席の下院議員、2/3に相当する54議席の上院議員、州知事並びに州議会議員があると説明した。

有力大統領候補として与党の労働者党(PT)候補のジウマ・ローセフ官房長官、ブラジル社会民主党(PSDB)の元保健相のジョゼ・セーラSP州知事、元国家統合相のブラジル社会党(PSB)のシロ・ゴメス下院議員、元環境相で緑の党(PV)のマリーナ・シルバ上院議員を挙げた。

また10月の世論調査ではセーラ候補が40%の支持率、ジウマ15%、シロ候補12%、マリーナ候補5%で11月はジウマ候補が19%に上昇してセーラ候補は36%に減少、セーラ候補の替わりにアエシオ・ネーベス候補が立候補したシナリオではジウマ、シロ並びにアエシオ候補が20%前後で拮抗すると予想している。

現在の選挙戦情勢では政治経験、知名度や現役のSP州知事であるセーラ候補がリードしているが、ルーラ大統領と常に多岐に亘る式典に出席して知名度アップを狙っているジウマ候補が追い上げてきており、北東伯では知名度の高いシロ候補が健闘、環境問題が世界的に話題となっているシナリオはマリーナ候補の参入は時流に乗って好感を持たれているが、本格的な選挙合戦は来年にずれ込む。

大統領選の注目点としてカーニバルが終了しないと経済活動が始まらないブラジルの慣例、また南アフリカで開催されるワールドカップではブラジル人はサッカー辺倒の状態に陥るために7月以降に本格化、また80%の支持率を集めるルーラ大統領の影響力、セーラ候補とアエシオ候補のPSDB党の動向、シロ候補とマリーナ候補の動向などが大きく左右する。

高支持を維持するルーラ大統領は強力な選挙マシーンであり、ジウマ候補を常にルーラ大統領と行動を共にしてメディアに登場、また来年3月に放映が予定されているルーラ大統領物語「ブラジルの子供」の影響、文盲でも投票が可能な電子投票の影響やブラジル民主運動党(PMDB)との協力など大きく選挙戦に影響する。

PSDB党の動向としては高支持率を維持しているルーラ大統領との直接対決イメージを回避するために、大統領立候補を来年3月に先送りを予定しているが、全国的に知名度の低いアエシオ・ネーヴェス・ミナス州知事は同党の大統領候補の年内決定を主張、前回の大統領選では北東地域の票の取組みに完敗したために、副大統領候補として北東地域から選出する可能性がある。

セーラ候補の政策は与党に近いが、1994年以降の国民投票的選挙では与党が勝利を収めているために来年の大統領選挙はPT党有利、しかしネーヴェス候補は大統領就任前に死亡したタンクレード・ネーヴェス氏の孫でカリスマ性がありPT党に警戒感を与えている。

PSB党のシロ候補はPT党との連立与党であり、ジウマ候補との票の奪い合いを懸念しているために、ルーラ大統領はシロ候補のサンパウロ州知事選を支持、しかし党内のマルタ・スプリシー女史などが抵抗、シロ候補の支持率が20%を超えれば大統領選の可能性もでてくる。

マリーナ候補は元環境相で各党が環境をテーマにしている時点での立候補は非常にタイムリーであり、またマンネリ化していたPT党対PSDB党の二極構造に待ったをかけ、ルーラ大統領との似た生い立ち、著名人の幅広い支持、副大統領候補にNatura社の社長を選んで他の候補の票を奪う可能性が大きい。

大統領選は5回連続でPT党とPSDB党の対決が続いており、カルドーゾ大統領とルーラ大統領で16年とブラジルの政治は安定、国際舞台でも大きく活躍しているが、有権者にとっては選択の幅がなく、中傷合戦になりがちであり、第3勢力の出現で政治の質の向上が期待されている。

PMDBは閣僚6人、州知事は1/3に相当する9人、下院議員は92人、上院議員は17人でそれぞれ議長席を維持、1,201市長で党員が200万人を抱える最大政党となっているが、大統領選挙では惨敗、1995年以降は常に政権側に付いている。

また上院の汚職、腐敗問題が続出しており、上院は政治ボスの集まりであり、来年の上院選では2/3が改選されるために大物政治家の落選危機が見込まれているが、改革は有権者の手に委ねられていると結んで講演を終えた直後に平田事務局長はプログラムには予定されていないが、パロッシ元財務相のテーブルへ行き、澤田参事官の講演のコメントや感想を求めると快諾、パロッシ元財務相は澤田洋典参事官の「2010年大統領選を巡るブラジル政治情勢」はよく分析されていて素晴らしい講演であったと最大級の称賛の言葉を贈った。

平田事務局長は去る6月19日にアメリカ商工会議所で行われたGIE(主要14カ国で構成する外国投資家グループ)会合でパロッシ元財務相にお逢いの際、GIEとしてお願いした移転価格税制改善要請に対する前向きなスピーチについて非常に感謝の意を表明。

8月以降の定例昼食会にご招待して来たが、今回は三度目の正直、ご多忙な日程を特別調整され、たまたま13日の金曜日又PT党の選挙番号13に偶然ながら一致する日にご講演下さった事に何らかの縁起があると悦んだ。

かつては定例昼食会に現職のルーラ大統領が大統領候補者に選ばれる以前、本日のパロッシ元財務相同様ご講演された事を想起、ブラジル日本商工会議所でご講演される方は決まって大統領に選出されると言うジンクスがあると会場の笑いを誘いながら、来年ジルマ大統領候補への講演依頼がもし実現されない場合は、替ってもう一度パロッシさんに又是非お願いしたいと会場を沸かした。

山田唯資監事会議長は「2009年第3四半期の会議所の業務、会計監査結果」として、10月21日に監事3名が出席して開催、山田監事会議長は事前に会計の動きを記帳した書類や銀行からの照合票及び伝票を1枚1枚チェック並びに金庫内有り高の精査を実施した。

監事会は初めに平田事務局長から最初にこの期間中の業務の推移について説明、次いで会計事務所が作成、提出した貸借対照表、損益計算書、それに事務所が準備して米倉財務委員長並びに10月9日の常任理事会によって承認された月別会計種目別収支明細書、予算、実績対比表、財産目録、会費滞納現況表並びに2009年度第2四半期の各委員会や部会の予算と実績について逐一会計担当職員も加えての事務局サイドからの報告があり、それに対する監事側からの質問など等相互間で活発な討議が行われて審議、その結果、監事会は「2009年度第3四半期の会議所の業務遂行とその会計処理は適切であった」事を認めた。

3分間スピーチではパラナ州マリンガ市のシルビオ・マガリャエス・バーロス市長が「パルケ・ド・ジャパンへのご協力お願い」として、敷地面積が10万平方メートルの日本公園の完成のために免税口座団体(OSCIP)でレシーボ発行が可能であるリッファ(くじ引き)協力券販売で資金を調達するために、会員企業の協力券購入を訴えた。また平田事務局長は商工会議所の財政強化のためにも、出版物委託販売同様に会議所からのリッファ購入を会員企業にお願いした。

EMDOCサービス社のレネー・ラモス氏は「ブラジルと日本-移住及び査証」出版について、ポルトガル語/英語/日本語3カ国版の本を商工会議所で委託販売すると説明した。同書は実業界、人事スタッフ及び国際労働法の専門家に、ブラジル及び日本両国の各種就労査証について情報を提供し、両国の移住に関する法規の主な特徴を紹介することを目指しているという。

ブルーツリーホテルの広瀬純子ディレクターがエコノミークラスのスポットライトホテルは安らぎのコンセプトに食事はコンベニエンス・スタイル、マネージャーは日本の旅館の女将さんのように感謝をこめて接待するので同ホテルの利用を呼びかけた。

新入会員紹介ではブラジル・アステラス製薬のデヴァネイ・バカリン氏が山之内製薬と藤沢薬品が合併して誕生し、日本では2位で世界の売上げが100億ドル以上と自社を紹介して田中信会頭から会員証が授与された。

左は澤田参事官の講演内容についてコメントをするパロッシ元財務相/田中信会頭

 

マイクを持つパロッシ元財務相は澤田洋典参事官の「2010年大統領選を巡るブラジル政治情勢」の講演は素晴らしく分析されていると最大級の称賛の言葉を贈った。

                       

在ブラジル日本国大使館政務班の澤田洋典参事官は「2010年大統領選を巡るブラジル政治情勢」と題して講演

     

パラナ州マリンガ市のシルビオ・マガリャエス・バーロス市長が「パルケ・ド・ジャパンへのご協力お願い」について3分間スピーチ

120人が参加した11月の懇親昼食会の様子

 


 

日伯法律委員会に45人が参加して開催

日伯法律委員会(松田雅信委員長)は2009年11月12日午後4時から6まで45人が参加して開催、クラウジオ・ヤノ副委員長が進行役を務めた。

初めにKPMG Auditores Independentes 税務課シニア課長のリカルド・パスコアル弁護士が「SPED(税務及び会計デジタル簿記の公共システム)FCONT:暫定税務会計コントロール」について法律11638号/07、減価償却、登録などについて説明、Deloitte Touche Tohmatsu 移転価格部シニア課長のエジネイ・コチ弁護士が「移転価格:利率の変更」で各移転価格の利率変更と推移、計算方法などについて説明した。

Gaia, Silva, Gaede & Associados Advocacia e Consultoria Jurídicaのリヴィア・ナオミ・ヤマモト・シニア・コンサルタント弁護士が.「サービス課税伝票の電子化プロジェクト」としてチリのシステムを参考、電子ノッタ発行はすでに5億枚に達しているなどと説明、Pinheiro Neto Advogados のレナト・カオモ弁護士が.「金融危機における税務回復プログラム(REFIS)」ではプログラムの概要などについて説明した。

左からGaia, Silva, Gaede & Associados Advocacia e Consultoria Jurídicaのリヴィア・ナオミ・ヤマモト・シニア・コンサルタント弁護士/Pinheiro Neto Advogados のレナト・カオモ弁護士/クラウジオ・ヤノ副委員長/ロベルト・コウチヤマ副委員長/Deloitte Touche Tohmatsu 移転価格部シニア課長のエジネイ・コチ弁護士

45人が参加して開催された法律委員会

熱心に講師の話に聞き入る参加者

 

相互啓発委員会メンバーが忘年会の打ち合わせで訪問

相互啓発委員会の北條喜載副委員長(丸紅)、田邊義雄副委員長(日清紡)並びに委員会メンバーの立野雄介氏(丸紅)が2009年11月12日に、12月10日に開催される忘年会の打ち合わせで商工会議所を表敬訪問、平田藤義事務局長、柴田千鶴子事業班主任、日下野成次総務担当と詳細に亘り意見交換を行った。

相互啓発委員会主催の「サンフランシスコ河流域プロジェクト」セミナー開催

相互啓発委員会(前田一郎委員長)主催の「サンフランシスコ河流域プロジェクト」セミナーが2009年11月10日午前9時から大統領のサンパウロ事務所に26人が参加して開催、国家統合省のジョアン・レイス・サンタナ・フィリョ事務次官が約3時間に亘ってプロジェクトを紹介した。

初めにジョアン事務次官はブラジルの歴史は僅か500年で初めにパライーバ州からバイア州イリェウスまでの地域でサトウキビ栽培、ミナス州で金採掘、その後はコーヒー栽培の時代が長く続き、工業や金融市場の発展はサンパウロ、リオやミナス州に集中、20年前のサンパウロの金融取引はブラジル全体の50%、リオが35%を占めて、北東地域などは忘れ去られていた。

しかしルーラ大統領はブラジルの持続的経済成長には米国のように国内消費を高める必要があり、大半の歴代大統領が開発に着手しなかった北東地域や中西部開発への投資の重要性を認識、僅かなインフレを維持しながら経済発展を図り、人口が5,400万人に達する北東地域への投資で国内消費を高める政策を果敢に採用した。

北東地域は広大な半乾燥地域が大半を占めるが、気候は非常に植物育成に適して灌漑施設に投資すれば食料基地に変貌できる。ブラジルは熱帯雨林伐採で世界中から非難されているにも関わらず、ヨーロッパでは国土の99%、米国は68%も森林を伐採したが、ブラジルは国土の30%未満を農地に転用したにとどまっている。

サンフランシスコ灌漑プロジェクトでは半乾燥地帯の2,000万ヘクタールが耕作可能となり、旱魃に悩まされる時代から世界の食料供給基地となって、計り知れないビジネスチャンスが訪れつつある。

北東地域は面積が156万平方メートルで9州にまたがり、気候は高湿度赤道地帯気候、高湿度海岸地帯気候、熱帯性気候並びに半乾燥熱帯気候に区別され、年間の日照時間は2,300時間から3,000時間と年間8ヶ月間に亘って植物が育成してイスラエルやヨルダンの乾燥地帯とは比較にならない好条件であり、 植生はマングローブ、耐乾性植物やサバンナ地帯に分かれている。

農業ではサトウキビ、綿花、カカオ、トロピカルフルーツ、特にマモーナ(トウゴマ)の種は簡単な装置で50%に達するバイオ油が採集可能、種の殻はすばらしい肥料、葉は蚕の餌となり、60日で収穫可能であるにも関わらず、バイオ燃料プロジェクトは止まったままとなっている。地域別雨量では大豆や綿花の一大栽培地に変身したバイア州西部は年間1,100ミリ、同州中央部500ミリ、海岸地域2,000ミリから2,500ミリ、鉱物資源ではブラジルのタングステン生産の98%、石油、マンガン、ニッケル、カオリンなどが豊富、エネルギーでは風力発電、太陽光発電やバイオエネルギーが有望となっている。

北東地域の半乾燥地域は98万平方キロメートルでミナス州にまでまたがり、セアラー州ジャグアリーバ水系、北大河州アポジ水系、パライーバ州パライーバ水系、5州にまたがるサンフランシスコ水系は64万平方キロメートル、平均水量は1秒間に2,980立方メートル、ソブラジーニョ貯水池の排水量1,850立方メートル、貯水能力は340億立方メートル、トレス・マリア貯水池は190億立方メートル、灌漑用水資源利用許可は僅かに1.4%で1,200万人が恩恵を受けるが、サンパウロ州のピラシカーバ川の70%、パライーバ・ド・スール川の68%の水資源利用とは比較にならないぐらいの僅かな水資源利用であり、専門知識の不足による渇水や植物や動物生態系を変えるなど現実離れした誤解を招く言い方もされている。

ソブラジーニョ貯水池のペトロリーナ市やジュアゼイロ市近郊ではブドウをフランスに輸出、またサンパウロからイタリア系ブラジル人が入植してワイン造りを行って、年々その技術が向上して素晴らしいワインが造られてきている。

サンフランシスコ河プロジェクトのコンクリート使用量は北部並びに東部運河の合計は22階建てビル750棟が建設可能な150万トン、運河掘削のための除去する土砂はマラカナン・スタジアムが900杯に相当する8,200万立方メートル、セメントは50万トン,鉄鋼は15万トンと巨大プロジェクトで完成後の北部運河の灌漑用水資源利用は1秒当たり50立方メートル、東部運河は14立方メートルに達する。

北部運河の最終距離は420キロメートル、240キロメートル間で工事中、揚水高度は180メートル、東部運河は210キロ、185キロ間で工事中、揚水高度は300メートルに達する。

同プロジェクトでは36種の環境プログラムがあり、施行管理計画、社会コミュニティ計画、動物形態計画、環境教育プログラム、インジオやアフリカ系(キロンボ)コミュニティ支援、水質調査プログラム、河川沿岸再計画、森林回復計画、廃棄物回収計画、支流流域堆積物除去計画、沿岸住民支援など環境問題を非常に重視している。

世界の灌漑面積比較ではインドが5,580万ヘクタールでトップ、中国5,460万、米国2,240万、パキスタン1,820万、イラン770万、メキシコ630万ヘクタールで6位、エジプトは340万ヘクタールで14位、ブラジルは290万ヘクタールで17位となっている。

世界の耕地面積の18%が灌漑設備を擁して収穫量の44%を占めて生産性が非常に高い。ブラジルは世界の真水の12%、12の大水系でアマゾン水系が68%を占め、北東地域は3%でサンフランシスコ水系が70%を占めている。ブラジルの灌漑能力は2980万ヘクタールで灌漑利用率は11.6%の344万ヘクタールに留まっている。

灌漑農業の1人当たりの雇用向け投資は5,500ドル、一般農業の3万7,000ドルの1/7、観光6万6,000ドル、資本財9万8,000ドル、製鉄14万5,000ドルなどと比較して非常に効率が優れ、また灌漑農業の生産効率は一般農業の3.5倍、収益率は7倍に達する。

最後にジョアン事務次官は会議所会員の同プロジェクト見学要望があれば統合省で全て手配するので大歓迎であると述べたのに対して、前田委員長はお蔭様で同プロジェクトの環境に配慮した実態が分り、北東地域の発展に役立つプロジェクトの視察を是非、計画したいと述べ、最後に平田藤義事務局長は今回のセミナー開催に尽力されたサンスイ・プラスティックの平崎靖之社長補佐に厚くお礼を述べて、相互啓発委員会が見学会を計画してほしいと結んだ。

            

左から前田一郎相互啓発委員長/田中信会頭/国家統合省のジョアン・レイス・サンタナ・フィリョ事務次官

            

左から前田一郎相互啓発委員長/国家統合省のセバスチアン・エドアルド・ダ・クーニャ事務次官補佐官/田中信会頭/ジョアン・レイス・サンタナ・フィリョ事務次官/平田藤義事務局長

             

セミナー終了後国家統合省のジョアン・レイス・サンタナ・フィリョ事務次官から送られたワインを受取る田中会頭

             

 26人が参加したセミナーの様子

 

 

田中信会頭はアレンカール副大統領のFIESP名誉総裁就任式に出席

田中信会頭は2009年11月9日午後7時30分からFIESP文化センターで開催されたジョゼ・アレンカール・ゴメス・ダ・シルバ副大統領のサンパウロ州工業連盟(FIESP パウロ・スカフェ会長)の名誉総裁就任式に出席して名誉総裁就任を出席者全員で祝った。