9月の労働問題研究会の労働ビザ講演に会場一杯の51人が参加

企業経営委員会(石川清治委員長)の労働問題研究会は9月18日午後4時から定刻を30分オーバーする6時30分まで会場一杯の51人が参加して開催、司会は破入マルコス副委員長が務め、プライスウオーターハウス社のファービア・ベルナルデ労働部門ディレクターとフラビア・フェルナンデス上級部長が「外国人労働者のビザ、就業規定」について講演を行った。

初めにブラジルのビザの種類としてエグゼクチブや経営者に適用される永住ビザ、20万ドル投資や国外投資の登録後ブラジル人雇用確保の事業計画提示では5万ドルの投資で永住ビザが発給される可能性がある。

労働契約の一時就労ビザは2年間の滞在が可能であるが、更に2年の延長後更に1年の延長が可能であり、労働契約のない特殊技能者でも最長5年の一時就労ビザの延長が認められており、商用ビザ並びに観光ビザは滞在期間が90日であるが、一回のみの延長が可能で最長180日の滞在が可能、その他には最長4年の留学ビザ、1年の研修ビザある。

企業はブラジル人労働者を最低2/3の比率で雇用する義務があり、外国人労働者は最大で1/3まで雇用することが出来るが、労働手帳の発行や給与支払い明細書発行が義務付けられている。

源泉徴収個人所得税やキャピタルゲイン課税の支払い義務、個人所得や海外送金の申請義務、帰国時には最終帰国宣告書や税滞納不在証明書の提出義務や代理人の指定を行わなければならない。

労働契約付の一時就労ビザ取得の労働者は一般ブラジル人労働者同様に月給の取得、勤務外手当、夜間労働に対する割増手当、休暇及び13ヶ月目のサラリー、勤続期間保障基金(FGTS)への積立の権利や義務を擁している。

また間接的ベネフィット、利益分配、ボーナスやプレミアム、ストック・オプションや健康保険プランへの加入などの権利を擁しているなど広範囲に亘り説明したが、逐次質問が問いかけられて白熱を帯びた講演会となった。

 

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左から講演者のファービア・ベルナルデ弁護士/フラビアフェルナンデス弁護士

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会場一杯の参加者は熱心に講演を聞入っていた

135人が参加した9月の懇親昼食会はウジミナスのカステロ・ブランコ社長が講演

ウジミナスのマルコ・アントニオ・カステロ・ブランコ社長が「鉄鋼業界の現状、ウジミナスのプロジェクトと挑戦」と題して、過去数年間の世界の経済成長率(GDP)は安定して4.8%前後で推移しているが、今年は石油・鉱物や農産物のコモデティ価格の高騰でインフレが上昇して世界平均のGDPは3.7%前後に減少するが、鉄鋼業界は中国の需要に牽引されて今後数年は増加の一途を辿ると見込まれている。

また発展途上国の鉄鋼生産も上昇の一途を辿っているが、鉄鋼業界の再編が進んでおり、大手鉄鋼メーカーのシェアが拡大しているが、今年は原材料の石炭、鉄鋼製、鉄くずなどのコモデティ価格が急騰してコスト高を招いているが、国内経済が好調なブラジルの今年のGDP、インフレ率とも4.8%前後が見込まれている。

内需が好調で昨年の国内鉄鋼生産は3380万トン、外資のアルセロール・ミッタルが30%のシェアでトップ、ブラジル資本ではウジミナスが26%、ゲルダウ22%、CSN16%、しかし原材料の高騰で鉄鋼価格は上昇の一途を辿っており、製品価格に転嫁されてインフレ高騰の一因となっている。

ウジミナスの事業戦略として川上から川下までを網羅する経営多角化を進めており、川上事業としてミナス州セーラ・アズール地域での鉄鉱石や石灰鉱山開発での資源確保、コスト削減のための製鉄所のあるイパチンガやクバトンでの火力発電事業、ジョゼ・ボニファシオ製鉄所の増産、サンターナ・デ・パライーゾの鉄鋼所建設、リオ・ネグロ社やファザル社の鉄鋼商社での販売強化、クバトン港やインガ港及び鉄道などのロジスティック事業などに投資して、原材料調達から輸出港湾までの事業統合を進めている。

事業統合によるコスト削減でウジミナスの鉄鋼製品製造コストは世界平均の7.0%も低くて価格競争力があり、また国内鉄鋼企業でのトップの地位を固めて世界企業になるために鉄鋼増産、鉄鉱石確保、技術革新によるコスト削減と並行して環境保護推進も目指している。

500万トンのサンターナ・デ・パライーゾ製鉄所建設、鉄鉱石鉱山買収、ロジスティック整備に141億ドルの投資、ウジミナス・プロジェクトに対する新日鐵や三菱からの投資、付加価値の高いプレミアム圧延鋼板ヤ亜鉛メッキ鋼輸出、ハイテクノロジーの先進国向け圧板輸出に拍車をかけている。

また国際鉱物価格変動ヘッジ対策及び原材料確保のために、年産500万トンのJ・メンデス鉄鉱山を9億2500万ドル、鉄鉱石埋蔵量が18億トンと見込まれているパウ・デ・ヴィーニョ鉄鉱山をそれぞれ買収、ポートフォリオとして燐酸鉱鉱山やアルミナ鉱山の買収も進めている。

付加価値の高い鉄鉱石のペレット生産を進めるためにウジミナスでは大型投資を予定、港湾ロジスティックを進めるために、セペチバ湾内にターミナル建設の土地を買収して鉄鉱石輸出のコスト削減を図るが、これらの統合投資には莫大な資金調達が必要であり、自己資金以外に社会経済開発銀行(BNDES)、社債発行やユーロ債発行で資金調達を予定しているが、日伯経済交流では日本移民100周年を機会に両国経済交流の再活性化が進んできており、バイオ燃料の日本への輸出、ペトロブラスによる南西石油の買収、石油開発部門や自動車部門への日本企業の投資などが盛んになってきていると述べて講演を終え、田中信会頭から記念プレートが贈呈された。

正午からソフィテルホテルで開催された懇親昼食会には135人が参加、進行役は平田藤義事務局長が務めて、初めにウジミナス社のマルコ・アントニオ・カステロ・ブランコ社長、在リオ総領事館の福川正浩総領事、在サンパウロ総領事館の丸橋次郎首席領事、ジェトロの元サンパウロセンター所長で関西外国語大学の桜井悌司教授、日本ブラジル中央協会の常務理事で徳倉建設の桜井敏浩特別顧問をそれぞれ紹介した。

連絡事項では福川総領事は日伯双方が有する環境分野等での経験・科学的知見を集約し、気候変動対策、食料生産など関連する地球規模の課題への対応に、新たな日伯協力の具体的プロジェクトをアイデンティファイして、提言していく事を目指して環境フォーラムを10月13日から14日までリオ市のBNDES会議場、16日はべロオリゾンテ市FIEMG会議場で開催、リオではセルジオ・カブラル州知事カルロス・ミンク環境大臣、安井至東京大学名誉教授、ベロオリゾンテ市ではアエシオ・ネーベス州知事、リナルド・ソアーレス在ベロオリゾンテ日本国名誉総領事などが参加すると案内した。

3分間スピーチではソフィテル・ホテルのシンチア・カズコ・ハセ氏が60ルームを改修、朝食の無料サービス並びに和食も用意、ホテル利用者への車使用の無料サービスを案内、ブラジル日本移民100周年記念協会が主要団体であり、副コーディネーターを務める伊藤忠の田中一男社長は10月15日午後7時からにサーラ・サンパウロで開催される、六本木男性合唱団倶楽部のブラジル公演に会員200名を招待、作曲家の三枝成彰が会長、団員として元首相の羽田孜衆議院議員、ソムリエの田崎真也氏、日本赤十字社の近衛忠輝社長 奥田瑛ニ映画監督など早々たるメンバーが参加している。

続いて久光製薬の河田明社長は9月27日から10月5日にかけてイビラプエラ体育館で開催される第8回サロンパスカップ案内では、北京オリンピックでブラジル女子バレーボールが金メダルを獲得、ブラジル選抜の選手も多数参加するレベルの高いバレーボールが無料で見られると案内、フィナーレ花火大会in サンパウロの実行委員会事務局の荒木宏光氏は12月2日にインテルラーゴで日本の最高の文化である隅田川の江戸花火大会を再現するが、資金並びに輸送面での支援を要請した。

コンサルタント部会長などで活発に商工会議所活動を牽引したジェトロの元サンパウロセンター所長で現在は関西外国語大学の桜井悌司教授は2003年11月に日本企業にブラジルのイメージを浸透させるために浸透作戦を開始、2004年5月のFIESPミッションでは物造りサミットとして横田エンブラエル副社長、元ゴールデンベルグ科学技術相が参加してブラジルの技術をアピール、またブラジルの知られざる技術のビデオも作成、最近ではBRICs効果が現れてきており、JALがエンブラエルのジェット機を購入して日本市場に参入、ペトロブラスは南西石油を買収して市場参入の足がかりを築き、今年は移民100周年でブラジルがテレビや雑誌に取上げられており、ブラジルは技術の国であるという浸透作戦が上手く言っていると述べた。

日本ブラジル中央協会の常務理事で徳倉建設の桜井敏浩特別顧問は5月の日・アフリカサミットをきっかけに、8月30日から9月9日まで東・西・南部アフリカ向けにそれぞれ40名から60名のミッションを派遣、南部班に参加した桜井顧問はボツワナ、モザンビーク、マダガスカル、南アフリカを訪問、ボツアナは世界のダイアの1/3を生産して輸出ではトップ、2008年7月28日、ボツワナ共和国南部の都市Lobatse市(ロバッツェ)において、JOGMECボツワナ共和国・地質リモートセンシングセンター開所したが、引っ張りだこになっており、モザンビークでは日本と南部アフリカ諸国の官民協力による世界最大級のモザール・アルミ精錬プロジェクトやインフラ整備プロジェクトを急いでおり、マダガスカルではニッケル開発が行なわれており、南部アフリカのインフラは比較的良いが治安が悪くて2010年のワールドカップ開催が心配されるが、今回のミッションでは中国が輸出並びに資源確保のための投資が目立っていたが、プロジェクトの建設終了後も中国人が帰国しないで現地で定住化していると述べた。

対会議所代表交代挨拶ではMatsubara hotelのウイリアム・スドー氏が紹介され、新入会員紹介ではロリン・弁護士事務所のアントニオ・カルロス・ロリン弁護士が田中信会頭から会員証が授与された。

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講演するウジミナスのマルコ・アントニオ・カステロ・ブランコ社長

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熱心に講演を聞く参加者

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左からウジミナスのカステロ・ブランコ社長/田中信会頭/丸橋次郎首席領事

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ウジミナス社カステロ・ブランコ社長と進行役の平田藤義事務局長

日伯法律委員会に47人が参加して9月11日に開催された

日伯法律委員会(石川清治委員長)の月例会が9月11日午後4時から6時まで商工会議所大会議室に47人が参加して開催、進行役はジョゼ・オリベイラ弁護士が務め、初めにアリニ・パラジニ弁護士は社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Cofins)−会社間輸送料クレジットについて、ジューリオ・セザール・ブエノ弁護士とアレサンドラ・クリハラ弁護士がインフラプロジェクトへのリスクの割当では民営化の前後、コストオーバーランの平均は25%、ガスバイプライン建設プロジェクトでは平均37%、道路建設45%、トンネル工事は30%が予算をオーバーするために、官民との間でリスク分散が行なわれていると説明した。

ロビンソン・ラモス弁護士は輸送サービスに対する商品流通税(ICMS)免除では免除以前にはICMS税クレジットとしてトラックや燃料購入が可能であったが、税免除でかえってマイナス面が現れてきていると説明、最後にセルジオ・シルバ弁護士は税制上のデジタル簿記の公共システム(SPED)の難点として、申請が遅れた場合は売上の1.0%、不正申請と判断されれば250%の罰金が課せられ、また2009年4月から全セクターでの電子ノッタフィスカルが開始されるが、難点として250ページに及ぶ難解なマニュアル、3100点以上のアイテムの入力、ソフト会社が新規約に修正するのが難しくて、すでに2年も発行の延長が行なわれたが、これ以上の延長は難しいと説明した。

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左から講演者のジュリオ・セザール・ブエノ弁護士/セルジオ・シルバ弁護士/ジョゼ・オリベイラ副委員長/アレサンドラ・クリハラ弁護士/アリーネ・パラジニ弁護士/ロビンソン・ラモス弁護士

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会場一杯の47人の参加者

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手前から講師のセルジオ・シルバ弁護士/ジュリオ・セザール・ブエノ弁護士/ジョゼ・オリベイラ副委員長/アリーネ・パラジニ弁護士/ロビンソン・ラモス弁護士/アレサンドラ・クリハラ弁護士

2008年度異業種交流委員会議事録(9月)

2008年度異業種交流委員会議事録(9月)

日時:2008.09.11(木)
場所:ブラジル日本語センター
出席者(ABC順):ABE・ITAGAKI・MINAMI・NISHIOKA・OHNO・YAMASHITA

記 ABE

【議事録】
1.次回10月度担当者
・会場係   板垣 
・連絡係   阿部
・会計係   大野

2.本日の勉強会テーマ(参加者:20人)
『日本移民の心を揺さぶるエリコ・ベリッシモの文学【時と風】』(中田みちよさん)
『ブラジルにおける人事考課の一例』(日系企業人事部長 トミオ・エガシラ)

以上

日伯友好交流促進協会の臨時会合開催

日伯友好交流促進協会(田中信代表者委員長)の臨時会合が9月8日正午から商工会議所大会議室で各団体代表が参加、同促進協会の解散に伴う清算人変更、解散費用の追加、解散日程の変更、解散日程変更に伴う助成ルート変更の件などについて話合われた。

ブラジル日本文化福祉協会の上原幸啓会長、サンパウロ日伯援護協会の森口イグナシオ忠義会長、ブラジル日本都道府県人会連合会の山田康夫副会長、100周年記念協会の松尾治執行委員長、ブラジル日本文化連盟の辰巳穣会長、会議所からは田中信会頭、山田唯資監事会議長、平田藤義事務局長が出席した。

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日伯友好交流促進会の臨時会合の様子

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左から平田事務局長/山田監事会議長/田中信会頭

ブラジル三井住友銀行がパラナ州よりオルデン・ド・ピネイロ勲章授与

9月9日(火)、パラナ州・州政庁において、ブラジル三井住友銀行の窪田敏朗社長並びに地球環境部 の内田 肇部長に対して『オルデン・ド・ピネイロ』勲章の授与式が行われた。『オルデン・ド・ピネイロ』勲章は州議会令2756号に基づくパラナ州の発展に貢献し た人物に贈られるもの。

当日は在クリチバ日本国総領事館の佐藤総領事の立会いの下、ロベルト・レキオン州知事より、同行の50年に渡るブ ラジル社会経済への貢献と、近年の地球温暖化防止に対する「地球環境ビジネス」の立ち上げと推進について高い関心と感謝の言葉があった。特にパラナ州の CDM(クリーン開発メカニズム)プロジェクトから創出された排出権を日本企業へ紹介、日伯間の初めての大規模排出権取引を成約させ、同州の持続可能な発 展に貢献した日本の銀行と賞賛された。

席上、佐藤総領事からは「日系移民100周年の記念の年において、日本の銀行がブラジルで取り組ん だ新しいビジネスモデルが評価され、今般パラナ州政府から叙勲されたのは大変喜ばしいことである。引き続き地域に根ざした持続可能な発展に貢献する環境ビ ジネスの展開を期待する」との祝辞があった。
同州政府の関係者によれば『オルデン・ド・ピネイロ』勲章の邦銀関係者への授与は史上初とのこと。

同行の窪田社長からは「パラナ州は日系移民の方が多い州でもあり、こうした環境ビジネスを通じて一層の日伯関係強化が図れたのは、今後のパラナ州とブラジ ル三井住友銀行双方にとって有意義なことで、さらなる発展のチャンスがある。パラナ州の持続可能な発展に引き続き貢献して参りたい」と抱負を述べた。

授与式の後は、公邸において州知事夫人、オルランド副知事らも交えた懇親昼食会が開かれ、夫人の日本滞在の思い出話に加えて、レキオン州知事より「次回は日本酒を飲もう」との親日的なコメントが溢れた。

ブラジル三井住友銀行は05年より京都議定書を背景にした排出権を日本の需要者へ紹介するビジネスを開始。ブラジルにおける地球環境ビジネスの草分けとさ れている。07年には英国フィナンシャル・タイムス紙とIFC(国際金融公社)が共済する「サステナビリティ・バンキング・アワード」のカーボン・ファイ ナンス部門で優秀賞(Runner-up)を邦銀として初めて受賞した。最近ではブラジルは元より他の中南米諸国の排出権プロジェクトをサポートし、日本 企業への紹介を図っている。

またCSR(企業の社会的責任)推進の観点から、今年8月には同行を通じてブラジルの排出権を購入した本邦の プロサッカーチーム「清水エスパルス」のU-14チームを南大河州「スポーツクラブ・インテルナシオナル」へ招き、子供達の間でのエコ&サッカー交流をさ せる企画を立案。スポーツと地球環境を融合させて、新世代への地球環境意識の涵養、ブラジル排出権の差別化、途上国の真の持続可能な発展を図るなど画期的 な活動を展開している。

【 排出権 】
京都議定書に批准した先進国が温暖化ガスの排出削減目標を達成するために利用できる京都メカニズムのひとつ。
先進国が途上国と共同で任参加炭素削減に資する事業を途上国で行い、その際に発生する排出ガス削減分を先進国や先進国企業が「排出権」として取得できるもの。
同議定書の中で、日本は1990年比、6%の削減目標を果たす義務がある。ブラジルは発展途上国側に位置づけられており削減義務を負っていない。「排出量」「排出枠」とも言われている。

 

左からオルデン・デ・ピネイロ勲章を受賞した三井住友銀行の内田肇地球環境部長/窪田敏朗社長

左からパナラ州のロベルト・レキオン知事/窪田社長/内田部長/右端は佐藤宗一クリチバ総領事

オルデン・デ・ピネイロ勲章受賞して喜びの内田部長/窪田社長

田中信会頭が日野原重明先生のサンパウロ講演会に参加

田中信会頭は9月5日にリベルダーデ区の客家会館で3時から行なわれて800人以上が詰め掛け「第39回 老人週間」の一環として開催された日野原重明先生(96歳、聖路加国際病院名誉委員長、新老人の会会長)のサンパウロ講演会「生き方上手」並びにニッケ イ・パレスホテルで開催された歓迎夕食会に参加した。

環境セミナーでは参加者全員が内田肇講師の話術に釘付け

9月3日午後4時から開催された環境委員会(前田一郎委員長)の環境セミナーでは前田一郎委員長が講演者の内田肇副委員長並びに本岡朗副委員長を紹介した後、ブラジル三井住友銀行の地球環境部長で環境委員会の内田肇副委員長が「地球温暖化ガス排出削減の現状と今後の見通し」と題して28人の参加者を前に講演を行い、その話術の巧みさや確固とした持論に参加者全員が釘付けとなった。

初めに3年前に排出権取引ビジネスを行なうために地球環境部を立ち上げたが、コンセプトが理解されずに非常に困難をきたしたが、今では確かなビジネスに成長したので、今日は恩返しのつもりで講演を行うと切り出した。

地球温暖化は20世紀初頭から議論されていたが、国連の気候変更に関する政府間パネル(IPPC)から1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締結国会議で温室効果ガス排出削減の数値目標並びに基本ルールが織り込まれたものが京都議定書であり、日本の2012年までの削減目標は1990年の排出量の6.0%減であるが、実際には2005年までに8.0%増加しているために14.0%の大幅削減義務を負っている。

京都議定書における排出量削減対象となっているのは二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)(=一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類、途上国が削減義務を負わないのは不理屈であると非難する先進国もあるが、途上国の言い分としては先進国では100年間も石炭などを燃やして地球を汚してきたと反論しているが、環境改善のために途上国への技術供与サポートが重要である。

またCDMメカニズムでは自国で排出削減達成が難しい時は途上国で代替クリーンエネルギーの事業を立上て、そのプロジェクトを国連CDM理事会に申請・登録、プロジェクトが承認された場合は排出権が発行されて、先進国との間で排出権取引を行なう。また途上国への技術移転で排出権を購入する取引も可能である。

国連承認済みのプロジェクト件数は1,146件、排出削減予測量はCO2換算で年間2億2,057万トン、プロジェクト件数ではインドと中国で過半数を占めており、ブラジル12.4%、メキシコ9.2%と続いているが、排出削減予想量では石炭による火力発電が多い中国が51.7%と世界の半分を占めており、インド14.1%、大半が水力発電のブラジル8.8%となっている。

投資国のプロジェクト件数では英国34.3%、スイス22.1%、国土の水位が低くて温暖化で影響を受けるために政府が率先しているオランダ11.2%、日本9.6%となっているが、英国やスイスは新しい事業展開ではいつも欧米に遅れをとって、リスクを避ける日本企業に高値で売買する投機目的で行なっており、最後は日本が買うからと取引権関係者が皆言うので悔しい思いをしている。

また京都議定書の排出権取引で金儲けだけを目論んでいるプロジェクトは必ず後で問題が発生、小型水力発電所(PCH)プロジェクトでは水位上昇で立退きを余儀なくされる住民に対して、移転に合意しているのか足を使ってインタビューしていると説明した。

排出権価格は気候・コモデティ価格と相関関係があり、柏原原発が止まった時は他の火力発電に切替るために取引権価格が上昇、また冷却水を川に依存している原発は旱魃になると価格が上昇、京都議定書で定められた削減目標が緩く、締約国が許可されている割当排出量(AAU)に対して、実際の排出量に余裕がある場合の余剰枠で世の中に何の役にも立たないロシア、ウクライナや東欧諸国のホットエアの潜在的供給量は73億トンに達する。

排出権取引はヨーロッパで盛んであるが、京都議定書を批准しない米国はシカゴ気候取引所、ブラジルではBM&Fで取引を行なっているが、ゴミ処理場のメタンガス回収での取引が成立したに過ぎない。

国別のCDMではプロジェクト承認済みが29件で熱帯雨林のマレーシアが野積になっている木材カスでバイオマス発電が48%、ペルーは砂糖キビ粕でのバイオガスが8.3%、チリでは地熱も利用していると説明、質疑応答では排出権の将来性、今までの取引量、ブラジルでの案件内容、植林事業による排出権取引など多岐にわたった。

講評では西林万寿夫総領事は環境問題がよく理解できて頭の整理が出来、またブラジル三井住友銀行がカーボン・ファイナンス賞の受賞は誇りであり、今後の更なる活躍を期待しているの述べ、田中信会頭も排出権取引の知識の点でも大いに収穫となり、銀行業務の新しい事業立上と実行力には感服、今後の更なる活躍を期待したいと述べて参加者から大きな拍手が送られた。

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巧妙な語り口で講演する内田肇環境副委員長

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熱心に排出権取引講演に耳を傾ける参加者

第10回カマラゴルフ大会に52人が参加して開催

第10回カマラゴルフ会は 8月30日(土)PLゴルフ場で開催されました。 当日は小雨が断続的に降り続く生憎の天気となりましたが、第一組が7時20分にスタート、当日は欠席者が一名出たものの52名がプレーし、無事全員がホールアウトしました。

結果は、Shoichiro Hommaさん(OMI Brasil)が、前半41後半42グロス83 ハンディ 15 ネットスコア68で優勝。 2位には1打差で Kazuo Tanaka  さん(ITOCHU Brasil)が入り、3位はMitsuyukiNishimuraさん(SUN CHLOREA)が入賞されました。ベストグロス賞は Masaru Horiuchiさん(MIZUHO)が41・40のトータル81で獲得されました。

その他の成績は次の通りです。
NP Fujiwaraさん(NEC do Brasil)、Kawasakiさん(EQUIGAS)、Taniguchiさん(EISHIN)、Yamadaさん(SOJITZ) LD Ken Nishimuraさん(SUN CHLORELLA)、 Horiuchiさん(MUZUHO) 大波賞 Miyazakiさん(MMC MATERIAL)、小波賞 Horiuchiさん(MIZUHO)水平賞 Misonoさん(TDK)

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写真は喜びの優勝者 本間さん(右)と田中会頭(左)

デジタルTVセミナーの専門家の話に参加者35人は聞入っていた

企画戦略委員会(田中一男委員長)、コンサルタント部会(佐々木光部会長)並びに電気電子部会(松田雅信部会長)共催の「ブラジルに於けるデジタルTVの普及の見込みと中南米諸国での日伯方式採用の可能性に関する」勉強会が8月28日午前10時から11時まで35人が参加して開催、地上デジタルテレビ規格(SBTVD)に係る技術移転・標準化ワークショップで講師を務めた中京テレビの山中強司専務取締役、電波産業会の横尾忠晃理事が講演を行なった。

進行役は田中一男企画戦略委員長が務め、初めにテレビ実機提供のパナソニック社、セットボックス実機提供のプリモテックス社に御礼を述べた後、初めに横尾理事がブラジルに於ける日本方式採用SBTVD決定までの過程、SBTVDに係る技術移転・標準化、人材育成支援、電気電子産業支援並びにファイナンス分科会で構成される共同作業部会の役割について説明した。

また2003年末に開始された日本のデジタル放送関係では昨年末までに3,000万台のチューナー内蔵型のデジタルTVが普及しているが、未だに7,000万台のアナログTVが存在、アナログ放送が終了する2011年には3,000万台のアナログTVが存在すると見込まれているために、政府は格安チューナー対策などの必要性に迫られる。

日本の年間広告費は6〜7兆円規模であり、テレビ2兆円、新聞1兆円、インターネット広告が5,000〜6,000億円規模にまで増加してきているのに反比例して、新聞広告がシェアを失ってきている。視聴者が満足するコンテンツ、セルラーを通して低額な有料コンテンツ事業、格安コンテンツのダウンロードなども広がってきていると説明した。

続いて山中専務取締役は地上デジタル放送の魅力として16:9のワイド画面、リア・スピーカで臨場感と迫力を感じるハイビジョンの高画質、ゴーストのない鮮明な画像、1週間先までの番組情報がテレビで見られ、簡単な録画、暮らしに役立つデーター放送、インターネット接続などでの双方向サービス、複数番組のマルチ編成、高齢者・障害者に優しい字幕放送、通常ワンセグと呼ばれる携帯・移動体向けサービスなどを紹介した。

またブラジルに於けるデジタル放送の円滑な導入支援とともに、ブラジル政府と連携しながら他の南米諸国が日本方式採用に積極的な働きかけを行なっており、ウルグアイは昨年8月にヨーロッパ方式を採用したが、今回のワークショップには放送開始時期未定のアルゼンチンから政府関係者が多数参加、チリ、ベネズエラ、エクアドルなどは今年中の方式決定が予想されているが、米国やヨーロッパも導入売込みにしのぎを削っていると説明した。

質疑応答ではローヤリティ支払い、南米諸国の導入予想、放送用コンテンツ、セットボックス価格、デジタルTVとパソコンの融合、コンテンツの知財権などが質問され、最後に佐々木光コンサルタント部会代理のジェトロ・サンパウロセンターの原宏次長が閉会の挨拶として、デジタルTV放送はハード・ソフト両面ではビジネスチャンスが大きいが、注目されている割には導入している会員が少ないとコメント、またコンサルタント部会では9月中の政治セミナー開催を予定していると述べた。

左から講演者の中京テレビの山中強司専務取締役/電波産業会の横尾忠晃理事

熱心に講演を聞く参加者