2007年3月の企業経営委員会の労働問題研究会

企業経営委員会の労働問題研究会が3月15日午後4時から25人が参加して開催された

企業経営委員会(石川清治委員長)の労働問題研究会が3月15日午後4時から6時まで、商工会議所会議室に25人が参加して開催された。

アメリカ商工会議所の社会責任戦略委員会のルーベンス・マザーニ委員長は「企業並びに個人の社会的責任」と題して、このテーマは企業にとって非常に重要であることを認識しなければならないと強調、グローバリゼーションがもたらすさまざまな弊害を解決すると共に、責任ある企業行動を国際的に進めるグローバル・コンパクト(GC),企業の社会的責任(CSR)の第三者評価基準であるグローバル・レポーティング・イ二シエイティブ(GRI),NBR16001/ISO26000などの企業への導入検討も重要である。

また人事部担当者は日常的に応用できるコンセイトの理解、共通の問題、環境問題、企業内勤務環境の整備、ボルンタリー活動のオリエンテション、積極的に地域社会に貢献できる企業活動などの導入について積極的に検討する必要があると説明した。

セミナー「日智EPA発効でどうなる」

コンサルタント部会及び日伯経済交流委員会共催のセミナー「日智EPA発効でどうなる」が3月14日午後4時から開催された

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コンサルタント部会(渡邉裕司部会長)と日伯経済交流促進委員会(大前孝雄委員長)共催のセミナー「日智EPA発行でどうなるか」が、3月14日午後4時から6時まで、商工会議所会議室に27人が参加して開催された。

第1部では在チリ日本大使館の杉本孝信一等書記官が「日智EPA〜その経緯と協定のポイント」と題して、初めに経済連携協定(EPA)と自由貿易協定(FTA)の違いについて、FTAは関税の削減・撤廃やサービスの障壁削減・撤廃を主とする協定に対して、EPAはFTAプラス人、物、金の移動の自由化など幅広い経済関係強化の協定、世界貿易機関(WTO)とFTAの関係については、WTOは全ての加盟国に対して関税を等しく削減するが、加盟国が多すぎてラウンド交渉が纏らないが、FTAは二国間の関税撤廃で締結が速やかに行なえる。

日本は資源供給国と安定供給確保のためにEPAを進めており、メキシコ、マレーシアとは協定発効、シンガポール、フィリピン,チリ、タイ、インドネシアとは大筋合意して、アジアでのEPAが進んでいる。連携交渉では物品関税、人、物、金の自由化交渉、知的財産などのルールつくりやビジネス環境整備などが、交渉の柱になっている。

チリは早くから自由貿易協定を実施しており、米国、EU、カナダなど40カ国以上とFTAを締結、アジアでは韓国、中国と締結済みで、チリでは乗用車以外日本ブランド製品に接する機会が少なく、韓国ブランドが目立っており、チリとの経済協定締結で日本企業による対チリ貿易・投資環境の改善が期待でき、銅、モリブデンなどの鉱物資源の安定供給確保、南米地域への経済進出拠点の確保が図れる。

日チリ経済連携協定の合意内容として、鉱工業部門の日本への輸出では、10年以内に関税撤廃、輸入では自動車、一般機械、電気電子製品の即時関税撤廃、農林水産関係ではワイン、サケ・マスの段階的関税撤廃、牛肉、豚肉、鶏肉などの関税割当設定、緑茶や日本酒の関税撤廃で、日本からの輸出額の99.8%が無税、輸入の90.5%が無税になる。

物品以外の分野の合意内容では、投資保護強化とより自由な投資枠組みの整備、金融サービスの貿易自由化、商用目的及び一時的滞在の円滑化、政府中立つ手続き参加の促進、知的財産保護制度の透明性の運用、ビジネス環境整備委員会の設置などで合意していると説明した。

第2部ではジェトロ・サンチアゴの大久保敦所長は、「チリFTAネットワークとビジネス機会」と題して、チリはFTA先進国であり、米州店・欧州では大半の国と締結、アジアでのFTA推進で物流コストの低減、アジア市場の輸出開拓、アジア・中南米間貿易投資ハブを目指しており、FTA締結と並行して拡大する租税条約ネットワークで、投資・配当コスト低減により中南米広域ビジネスの誘致、また航空協定締結促進で、人の往来を促進して二重課税防止条約効果を補完、チリの強みに欠かせない生鮮食料品の航空輸送の確保している。

太平洋に4,300キロメートル以上の熱帯から南極近くまでの海岸線を要するチリは、海産物の宝庫であり、日本へは輸出の12.7%を占める海産物・加工品、10%のサケ・マス、魚粉やウニなどを輸出、銅鉱石を筆頭に鉱物・金属は輸出の75%を占め、日本からは自動車・部品・オートバイが輸出の半分、一般機械が17%を占めている。

日本側から見たチリの位置づけでは、チリのメリットとして、資源が豊富で世界的な食料生産適地、資源・食料の輸出余力、ポテンシャルの高い資源・食料産業向け機材・エネルギー供給ビジネスなどが挙げられるが、デメリットとして国内市場規模が小さい、限定的な日本の対チリ輸出、製造業への投資が少ないであるが、チリは日本製自動車の重要マーケットであり、低リスク市場でビジネスがし易いし、中南米のテストマーケットでもあり、FTA締結で鉱山用機械、紙・パルプ工業用機械、農業用機械などで更に競争力がつき、エネルギー・プラント需要が急増しており、発電・送電、LNG調達プロジェクトが期待できる。

教育熱心な国であり良質なエンジニアの確保が容易であり、多国籍企業がコールセンター、IT開発拠点や業務統括拠点を設置しており、銅、リチウム,ヨウ素などの埋蔵量は世界一であり、対アジア資源供給基地となり、地中海性気候で世界の僻地が逆に病虫害の被害が少なく、果樹栽培で養ったノウハウを生かした多種多様な食糧供給のメリットになっており、食料供給確保の観点からも、日本にとってチリとのFTA締結は重要と強調、また締結後の今年10月2日〜6日まで、サンチアゴの有名なイベント会場で「日本産業技術フェア」開催および参加企業募集を案内した。

3月9日の定例懇親昼食会

定例懇親昼食会が3月9日正午過ぎから117人が参加、プラティニー元農相が「ブラジルに於けるアグリビジネス」について講演した

定例懇親昼食会が3月9日正午過ぎから2時過ぎまで、マクソウド・プラザホテルに117人が参加、農相、商工相や鉱山エネルギー相を務めた、FIESPの農業部門上級審議会メンバーのプラティニー・デ・モラエス氏が「ブラジルに於けるアグロビジネス」と題して講演した。

プラティ二ー氏は1960年から80年代初めまでブラジルと日本の蜜月時代で、1965年には日本から「人を通した技術移転」と言われ、「ウジミナス学校」と呼ばれて職業訓練学校の役割を果たし、日本の製鉄プラントを初めて海外に移転、また1983年には川崎製鉄のバックアップでツバロン製鉄所を建設したが、80年代以降は空白が続き日伯貿易は停滞してしまっていた。

しかしブラジルの貿易は好調で、昨年の貿易黒字は460億ドル、農業部門の輸出総額も420億ドル以上であるが、農業部門の対日輸出は僅かに10億ドル前後で、鉄鉱石やアルミが多く、日本からの輸入は自動車部品、ベアリング、ICや車で輸出入品目は全然変わってないが、変える必要がある。農産品の対日輸出は停滞しているが、中国、ベトナムや、マレーシア、タイやインドなど日本以外のアジア諸国への輸出は伸びている。

なぜ日本はブラジル産牛肉を買わないのか。口蹄疫がアマゾンで発生したが、この広いブラジルのアマゾンは牛肉生産地帯から隔離されており、184ヵ国ではブラジル産の美味しい牛肉を輸入しているが、日本は融通の効かない食品衛生保護主義国である。口蹄疫は人には移らないが、牛凶病と呼ばれる牛海綿状脳症(BSE)は人に感染するが、アマゾンの奥地で発生した口蹄疫でもブラジルからの牛肉輸入を認めていないのは、食品衛生保護主義に他ならない。

ブラジルの牛は、放牧地で牧草のみを食べて非常に健康であるが、オーストラリアの牛は、トウモロコシばかりでトウモロコシの味がするのでバーべキュウソースをかけて食べるが、ブラジルの牛は岩塩だけで非常に美味しい。日本からブラジルに出張で来る日本人は、シュラスカリアでいやというほど牛肉を堪能して評判がいいのに、どうもブラジルは牛肉の売り方を知らないのではないか。ドバイで牛肉のプロモーションをした時は、シュラスコとカイピリーニャを組合わせたら、アラブ人には人気が高かった。

牛肉の輸出先では、ロシア、エジプト、ブルガリア、イラン、アルメニアと意外な国が多いが、食品衛生保護主義の日本と米国を筆頭に、カナダ、メキシコも買ってくれないが、ブラジルは日本、米国、韓国、台湾をターゲットに、付加価値を付けて新しいマーケットの開拓を予定している。

忘れてもらっては困るのは、ブラジルは世界で最後に残された農業開拓が可能な国であり、世界最大の食料供給国になれる国であり、資源供給確保と同じように食料供給確保も非常に大事な事を確認しなければならないと警告、政府から手厚い保護を受けている日本の農家は世界一の補助金を受けており、金だけ出せば簡単に食料を確保できると考えていると足元を掬われるので、食糧確保に手を打っておかなければならないと強調した。

昼食会では初めに特別ゲストのプラティ二ー・デ・モラエスFIESP上級審議会メンバー及び西林万寿夫総領事を紹介、第12回ブラジル日本経済合同会議の参加報告として、田中信会頭は話題としてはエタノール関係、岩村哲夫副会頭の移転価格税制(TP)のプレゼンテーション及び大蔵次官がTPの検討を約束、JALのエンブラエル社のジェット機、購入新しい話ではフルラン開発商工相が牛肉の日本向け輸出表明などであった。

新入会員紹会ではCisaトレーティング社のアンドレ・マッソン氏、DPZ広告代理店のロベルト・ヅアイリービ氏が自社紹介、対会議所代表ではブラジル日本青年商工会議所のレアンドロ・ハットリ新会長、3分間スピーチではジェトロの井澤俊和氏が、 3月15日に東京で開催されるアマゾナス日系商工会議所の山岸照明会頭の講演会「マナウスのゾーナフランカの今後」の案内、6月10日に実施されるビジネス日本語テストの案内、第12回ブラジル日本経済合同会議のジェトロの発表資料はジェトロサンパウロのポルトガル語サイトに掲載を案内、飛入りでマクソウドホテルのぺーロラ広報担当がシアターの案内、イエローページ社広報担当が同社の事業内容及び活用について、窓際OL作家の斉藤由香氏がブラジルのパラー州トメアスーをベレンから船で訪問、日本移民の苦労の足跡訪問で感激したことなどを報告した。

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日伯法律委員会の3月月例会

  日伯法律委員会(押切フラビオ委員長)の3月月例会が8日午後4時から6時まで、商工会議所会議室に28人が参加して開催された。

  進行役はクラウジオ・ヤノ副部会長が務め、初めにアレサンドラ・クリハラ弁護士が2002年の上院法案第243号の変更について、アドルフォ・ベルガミーニ弁護士が職務上の罰金に関する新制度、ルイス・バルボーザ弁護士は、法律第1,1452号のソフトウエア使用のライセンス料送金に関する免税について、クラウジオ・ヤノ弁護士は経済成長加速プログラム(PAC)の主要税務措置―暫定令240号、348 号、349号、351号、352号、法律6003号、6024号、6025号について解説した。

JALがエンブラエル社のジェット機を導入

日本ブラジル経済合同委員会開催を前に、JALがエンブラエル社の新小型ジェット機「エンブラエル170」の導入を決定、購入台数は15機で、 10機は確定、残り5機はオプション契約。エンブラエル社は小中型ジェット機製造では世界トップメーカーであり、同型機は欧米などではリージョナルジェッ トとして数多く利用されている。この商談をきっかけに両国の経済関係強化に向けて拍車がかかりそうだ。諸外国からの経済ミッションに農業国のイメージを払 拭、ハイテク産業がブラジルにも存在する事をアピールする絶好の機会と言える。

 JAL GROUP NEWS

経団連及びCNI共催の第12回日本ブラジル経済合同委員会

経団連及びCNI共催の第12回日本ブラジル経済合同委員会が3月6日午前9時から午後6時まで、ルネッサンスホテルに会場一杯の約400人が出席して開催された

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経団連(御手洗富士夫会長)及び全国工業連盟CNI(アルマンド・モンテイロ会長)共催の第12回日本ブラジル経済合同委員会が、3月6日午前9時から午後 6時まで、ルイス・フェルナンド・フルラン開発商工相、ルイス・カルロス・ゲーデス・ピント農相、島内憲駐ブラジル日本大使、槍田松瑩経団連日本ブラジル経済委員長、マスカレーニャスCNI日本ブラジル経済委員長、パウロ・スカフィFIESP会長、マトーゾ・アマード駐日ブラジル大使などそうそうたるメンバーが参加、両国経済の展望、ブラジルへの投資機会、インフラ整備、ビジネスチャンスや経済連携協定の重要性などについて大いにパネルデスカッションされ、日本からの参加者91人、ブラジル側参加者300人以上で、会場一杯の約400人の聴衆は熱心に、2008年の交流念を契機に更に活性化する両国経済 関係の今後の動向、ビジネス環境整備、FTA締結の役割などについて注目していた。

午前9時から始まった経済合同委員会のトップとしてスカフィFIESP会長は、笠戸丸で始まったブラジルへの日本人移住は来年100周年を迎え、日本移民はブラジルにとって特別に素晴しい国民であり、日本の自動車製造メーカーの活発な投資、デジタルテレビ放送の日本方式の採用など多分野にわたって投資が活発化してきており、このイベントを機会にブラジルへの投資を期待していると開会の挨拶をした。

またマスカレーニャスCNI日本ブラジル経済委員長は、両国の貿易は2005年からブラジルの対日輸出が輸入よりも増加、輸出品目では鉄鉱石、アルミ、鶏 肉、パルプ、コーヒーなどの第一産品が大半を占めているが、日本では余り知られていないが今後はIT関連、航空機、オーガニック製品や化粧品なども有望であり、日本からの投資を期待していると述べた。

続いて槍田経団連日本ブラジル委員長は開会挨拶で、2004年の小泉純一郎首相のブラジル訪問、 2005年のルーラ大統領の訪日で両国経済関係改善に兆しが出てきており、2008年の交流年で、ブラジルに対する注目がにわかに盛り上がってきており、 デジタルテレビ放送の日本方式採用やJALのエンブラエル製ジェット機の購入などもあり、再活性化に向けてCNIと共同ステートメントとして議論してき た。WTO新ラウンド交渉を推進するためには、農業分野での協力が不可欠であり、2004年の日墨のETA締結、年内のチリとのEPA締結など、日本は2カ国間経済提携交渉を進めているが、資源の乏しい日本にとって南米諸国との共同開発などEPA締結で特に資源、インフラ、情報通信などの分野で活性化していくと述べた。

島内憲大使は今まではBRICs諸国の中でもブラジルに対する関心は低かったが、日本でもエタノールや資源開発などでブラジルのポテンシャルに注目、来年の交流年も良い機会であり、この会議では両国経済関係活性化や新しいビ ジネスチャンスなどについて、大いに話合ってほしいと述べた。

ゲーデス・ピント農相は来 年100周年を迎える日本移民は農業面でブラジルに多大に貢献して、ブラジル国民に日本移民の勤勉性、組織力や能力の高さなどブラジル国民に大きなインパ クトを与えた。特に不毛の地域といわれていたセラード開発で大豆などの食料増産面でも大いに貢献、エタノールやバイオジーゼル開発などの農業分野に対する 日本企業の投資を期待していると述べた。

フルラン開発商工相は、ここ10年間、両国経済 関係は沈滞していたが、ブラジルはルーラ第一次政権の4年間で輸出は120%増加の1,370億ドルで、輸出先も多岐に広がってきているが、日本向け輸出はアルミと鉄鉱石で50%を占めているが、南米や米国 向け輸出では自動車、エンジン、バス、重機などの完成品が多い。日本ではブラジルの資源国のイメージが抜けないが、来年の交流年には工業国で計り知れない 潜在力を持ったブラジルの湾曲していないイメージを日本に植付け、メルコスールとのEPA早期締結で、両国の新しい貿易フェーズ開始を強調、また1月に発 表された経済成長促進プログラム(PAC)のインフラ整備に対する投資は、日本企業にとって非常に魅力であり、大いに投資して欲しいと述べた。

第一セッションのパネルデスカッションでは、両国経済の現状と展望、成長に向けた政策について、ウジミナス製鉄のリカルド・カンポス・ソアーレス社長は、民営化や規制緩和で投資環境が改善したブラジルへの日本企業による投資の再活性化、科学技術面での技術協力、人的、文化の交流の重要性を強調した。

続いてJALの西松遥社長は日本在住ブラジル人が30万人、ブラジルの日系ブラジル人は140万人で、最近の両国関係は活性化してきている。今回、ジェッ ト機製造では世界のトップメーカーであるブラジルのエンブラエル社から170型10機を購入して、混雑している羽田空港のスロットに投入、主にローカル線 に利用する。昨年の日本人の海外旅行客は1,753万人であったが、ブラジルへの日本人旅行客は僅かに6万8,000人と少なく、ブラジルの魅力として世 界文化遺産10ヵ所、世界自然遺産7ヵ所もあり、来年は交流年でJALのブラジル進出30周年でもあり、大いにブラジルの観光プロモーションをしていく。また今後数年、毎年200万人から300万人の団塊世代がリタイヤするが、海外旅行に対するアンケートでは第1に安全、次が入国手続きとなっており、トラ ブルを失くすためには人的交流、文化、言語など相互理解が大切であると述べた。

国際協力銀行(JBIC)の斉藤浩理事は、ルーラ政権下ではプライマリー収支黒字はGDP比4%以上、貿易収支黒字は460億ドル、為替も安定してマクロ経済も しっかりしており、2006年度の投資環境では、前年の9位から7位に上昇した要因は今後のブラジル市場の成長性に注目、2010年までに5,000億レアル投資のPACプログラムで、JBICは民間投資促進が必要な道路、鉄道、港湾などのインフラ整備部門に注目、資源エネルギー分野では資源確保の観点か ら石油精製、輸送や資金協力で、鉄鉱石開発ではリオドーセ社と有効な関係を築いている。バイオエタノール分野では、ブラジルだけが輸出可能となるバイオマ ス開発、共同事業や販売事業での融資など対日輸出で積極的に協力、5日にはペトロブラス社とエタノール覚書で合意、JBICのブラジルへの投資残高は80 億ドルでインドネシアに次いで多く、1995年以来108件の融資を行なってきており、今後も大いにバックアップしていくと述べた。

コーヒーブレークの後の第2セッションではブラジルの新しい投資機会(バイオエネルギー、インフラ整備、農業関連産業等)について、初めにゲーデス農相は ブラジルの電力エネルギーの45%は再生可能な水力発電やバイオマスであり、この比率は世界一であり、ブラジルの自動車メーカー9社のうち8社が世界で注 目を集めているフレックス車を生産している。アマゾン熱帯雨林での大豆栽培による森林破壊で温暖化が進むと、アマゾン開発でブラジルは世界から非難を浴び ているが、実際のアマゾン地域は原生林の熱帯雨林地域と潅木が生えて放牧が盛んなパンタナル湿原地域に分かれており、ブラジル大豆生産の僅かに4.9%が パンタナル地域で栽培されており、アマゾン流域の0.3%の面積で大豆栽培が行なわれているに過ぎず、パンタナル地域の88%は環境保全がしっかり行なわ れていると強調、この100年間の森林伐採比較ではヨーロッパが僅かに0.3%の森林が残っているに過ぎず、アジアが5.6%、アフリカ7.8%、ロシア が29.3%、北米は34%しか残っていないが、ブラジルは69.4%も森林が残っており、世界で一番緑の多い国であり、世界から非難されるのは可笑しい と強調した。また現在、利用されていない放牧地が9,800万ヘクタールあり、また1ヘクタール当たり1.4頭の牛を飼育すると7,000万ヘクタールで 収まり、これ以上の自然林の伐採をする必要はなく、大豆生産を上げることができる。また中西部及び北東部の放棄されている放牧地利用で、エタノール生産が 充分行なえるとブラジル農業のポテンシャビリティを強調した。

丸紅の和田文彦常務執行役 員はブラジル丸紅の事業戦略について、大豆、大豆粕、鶏肉などを主に中西部で生産して、サンタ・カタリーナ州サンフランシスコ・ド・スール港からアジア向けに輸出、アジアでの販売ネットワークを利用、そのほかに物流、サイロ、インスタントコーヒー、バイオジーゼルプロジェクトなど積極的に投資を行なって事 業展開していると説明した。

続いてオエノンホールディングス社の高木祥人取締役は、同社はアルコール輸入をしてドリンク用に精製、この蒸留技術を利用してバイオエタノール事業に参入してビジネスチャンスを模索、日本では現在、燃料用エタノールの利用で3%までのガソリン混入(E3)が認められており、流通インフラ整備のための設備投資が3,000億円かかると予想されており、アサヒビールが 砂糖キビ栽培、エタノール製造して自動車用燃料までの工程全般を通した実証研究分野に参入した。2010年までには308万キロリットルとエタノール利用が予想されており、将来は10%までのエタノール混合も予想されるが、日本でのエタノール生産目標はコーンや米で5万キロリットルであるが、食糧生産に影 響を与えないバイオマス原料の開発が急がれていると説明した。

ブラジル三井物産の大前孝 雄社長は、8日にはブッシュ大統領が中南米において米国の石油の代替燃料となるエタノール資源供給について協議するために訪伯、エタノール供給大国である ブラジルは世界の注目を集めている。日本企業もブラジルからのエタノール安定供給ビジネスに取組んでいるが、穀物メジャーのカーギル社やブンゲ社も取組み始めた。ブラジルの需給動向として、国内でのフレックス車販売が急上昇しており、現在274万台のフレックス車は2015年には1,500万台になると予想、2013年のエタノール生産は3,600万キロリットルで700万キロリットルが輸出可能、米国のエタノール原料のトウモロコシよりも生産コストは半分以下であり、セラード地域での砂糖キビ栽培は現在の耕地面積の50倍まで可能で、アマゾン地域までは行かないと説明した。

サンパウロ州砂糖キビ栽培者連合(UNICA)のアルフレッド・スツワルク会長補佐は、UNICAのエタノール生産量はサンパウロ州の60%を占め、今後 も州内の栽培面積は拡大していくが、セラード地域のミナス州やゴイアス州での砂糖キビ栽培が拡大していく。また77ヵ所のエタノール精製工場建設が予定さ れているが、そのうち半数はサンパウロ州内であり、残りはミナス州、ゴイアス州、マット・グロッソ州での建設が予定されていると説明した。

インフラ基幹産業協会のパウロ・ゴドイ会長は、経済成長加速プログラム(PAC)のインフラ部門への投資金として長期ファイナンスが必要であり、総額 400億ドルに達するが投資ファンドの設立、また民間からも総額2,000億レアルに達する投資が必要であり、2,600キロメートルに及ぶ国道整備の入 札、大都市環状道路建設工事、イタジャイ港やサンフランシスコ・ド・スール港の港湾整備、総額650億レアルの3,400MWの発電能力を擁するマデイラ 河水力発電所、3,000キロメートルの送電線建設工事、サントス沖やエスピリット・サント州での天然ガス開発など、日本企業にとっても大いにビジネス チャンスが広がっていると強調した。

ブラジル三井物産の大前孝雄社長はブラジルのインフ ラについて、連邦政府が発表したPACはブラジルの経済成長には不可欠であり、エネルギー、都市インフラ、物流部門への投資で2010年までに5,000 億レアルの投資が予定されている。ブラジル三井物産ではインフラ部門を優先分野として、鉄道及び石油・天然ガスの2分野に盛んに事業を展開、都市近郊線・ 地下鉄の1,500両の車両やレンタル事業、信号システム納入、官民合同プロジェクト(PPP)案件第1号の地下鉄4号線に日本企業としては初めて参加、 石油・ガス分野ではパイプラインの敷設などに投資して、ブラジルコスト低減に参加していると説明した。

第3セクションでは外国企業による対ブラジル投資の成功事例と課題では、ブラジルIBM社のロジェリオ・オリベイラ社長は、IBMのブラジル進出は90年前で、米国以外では初めての海外進出国であり、南米のGDPの35%を占めるブラジルの潜在ポ テンシャルは大きく、特にサンパウロ州のGDPはアルゼンチンより大きく、優秀な人材が豊富であり、年間5万人の工学系大卒や大学院卒がいるので、国内で 人材調達が可能、IBMは世界に4ヵ所の開発拠点を持っており、ブラジルではリナックス開発センター、ハイパーフォーマンス開発センター、アクセスビリ ティセンターを有しており、サンパウロ州のオルトランジア開発センターでは、4言語を使う技術者達が国内100の顧客と海外60の顧客をカバーしており、人材面での豊富で優秀な技術者が多くいるブラジルでは、アウトソーシングやコンサルタント部門でも事業進出には問題ないと強調した。

続いて三菱商事金属グループのCEOの小塚睦実常務執行役員は、ブラジルには1954年に進出、1955年から日本向けに鉄鉱石の輸出を開始、2005年 には3,300万トンを日本向けに輸出、ウジミナス社設立時には出資、合弁事業などで友好関係を保っており、1970年代から自動車用鋼板をブラジルに供給、鋼材加工販売会社に出資、鉄鋼商社メタルワンの設立、2006年にはガゼッタ・メルカンチル紙で最優秀企業に選ばれたリオ・ネグロ社やウジミナス社な ど良いパートナーにめぐり合えたことが事業の発展に大きな比重を占めたと説明した。

第4セッションの両国経済関係の拡大と深化、経済連携協定の役割として、サウスアメリカ・ホンダの岩村哲夫社長は、事業活動の企業理念として、ローカリゼーションでは現地の人との協力、地域的最適化、需要のあるところでの生産、人、物、金の現地化を挙げ、グローバリゼーションでは世界的最適化、世界的技術の 提供、地域の特産化を挙げ、南米での事業展開としてブラジル、アルゼンチン、ペルー、ヴェネズエラで生産拠点を持ち、ブラジルでの二輪生産開始は1976 年、1984年のテキーラショックで失われた10年を経験、多くの企業が撤退したがホンダは続け、1994年のレアルプランで為替が安定後の1997年か ら四輪車製造開始、2002年の二輪車生産は50万台、昨年の二輪車生産は100万台、今年の取組みとして四輪車の製造能力を10万台、二輪車の生産能力 150万台、輸出11万台を予定、企業の社会的責任プログラムとして、安全運転普及センターの設立などを積極的に展開しているが、ブラジル市場では中国製 コピー二輪車が出回っており、これによってブラジルはコピー二輪車では技術移転が行なわれず、メーカーの投資意欲を削ぐために、当局の管理強化及び特許訴 訟のスピードアップの改善、また移転価格税制(TP)ではOECDのガイドラインに沿わないブラジルのTP税制では、事前承認制度の適用など両国の税務当 局のみでしか解決できない問題の早急な改善を説明した。

ブラジル化学工業会のカルロス・マリアーニ会長は、日伯貿易では日本からは工業製品、ブラジルからは日本へは第一産品輸出が主要であるが、日本の検疫制度が非常に厳しく、輸出許可に時間 がかかる。また日墨EPA提携では農業部門では問題とならなかったが、日本とブラジルのFTA提携交渉では農業問題がネックになると述べた。

ジェトロの山本俊一中南米担当理事は、日本とブラジルの経済交流発展のためにはFTA締結が必須であり、日本ではすでに東アジアでEPAを推進して経済統 合を推進めている。ASEANプラス6カ国(日/中/韓/インド/オーストラリア/ニュージーランド)の東アジアの域内貿易比率は、54%でNAFTAの 45%を上回り、域内の貿易が拡大を続けている。最近は対中国投資だけではなくリスク分散のための中国プラスワンとしてタイ、ベトナム、インドが注目され ている。日本が提言したASEANプラス6カ国のEPA構想、米国はAPECとのEPA提案などEPA締結では活発な動き、ジェトロでは東アジアの統合で 10項目の提言をしており、統合支援、日本・ASEANが中心になっての統合、11分野の関税撤廃/引下げなど。日本はすでに4カ国とEPA締結、新たに 4カ国と合意寸前、3カ国と研究中であり、オーストラリアとは今年から交渉開始するが、輸入食料の8.3%をオーストラリアから輸入しているので、今後の ブラジルとのFTAの農業交渉の参考となる。1年後には18カ国と交渉を終える。日墨EPA締結の翌年の両国の貿易高は22.7%増加、また直接投資高も 増加してEPA締結のメリットを強調した。

またFIESPのジアネッテ・フォンセッカ理 事は、ブラジル貿易は世界平均以上に拡大を続けており、 1998年は世界貿易の0.8%を占めるに過ぎなかったが、2006年は1.2%に上昇、対日輸出は5年間で2倍、海外からのブラジルへの直接投資は南米 の50%、再送可能なエタノール、バイオ燃料、水力発電所などについても触れたが、ブラジルへの投資のネックはGDP比38%に達する課税率や労働法改正 を含む構造改革で早急な改善の必要性を述べた。

閉会の挨拶では槍田松瑩経団連日本ブラジル経済委員長は、新しいビジネスチャンスが生まれる事、今後、ブラジルは工業大国になる事を確信、2008年は交流年であり、今後益々経済交流が盛んになる事を確信できた素晴しい会合であったと述べた。

またマスカレーニャスCNI日本ブラジル経済委員長は、今回の会議は今までのどの会議よりも素晴しかった。ブラジルからはアジアへの資源供給、数々の新し いプロジェクトの紹介など日本からブラジルに対する熱いまなざしを感じることができ、兎に角、日本とブラジルとの早急なEPA締結を望むと強調して閉会の 辞とした。

尚、前日5日の同ホテルのアマゾナスサロンで開かれた前夜祭には日本からの90人近い参加者など200人が参加、7日、8日はブラジリアで政府要人訪問、9日はエンブラエル社の航空機製造工程などを視察する。