平成17年1月10日
商工会議所会員各位殿
在サンパウロ日本国総領事館
安全対策アンケートの結果について
先般実施した安全対策アンケートの結果について、別紙の通り送付させていただきます。ご多忙中にもかかわらず、本アンケートにご協力いただきまことにありがとうございました。
な お、今回送付いたしましたアンケート結果については、ご協力いただいた82社すべてのデータをまとめた総合結果です。この他にも、「製造、金融、商社、運 輸・通信、建設・不動産、その他」の6業種で分類した結果もございます(製造についてはさらに0~50人、51~300人、301~1000人、1001 人以上の4種類の社員数別の結果に分かれています。)ので、必要がございましたら下記連絡先までご連絡いただくようお願い致します。
連絡先
在サンパウロ日本国総領事館 担当 大熊
電 話 3254-0100
FAX 3254-0110
メール cgjseg@arcstar.com.br
別紙
1 会社の基本データ業種(合計82社)
(1)業種
製造 49 社 金融 7 社 商社 10 社 運輸・通信 7 社
建設・不動産 2 社 その他 7社
(2)規模
邦人駐在者合計 391 人 平均 4.8人
現地スタッフ
0~50人 33 社 51 ~300人 26 社 それ以上 20 社
無回答 3社
(3)会社建物
雑居ビル 32 社 一戸建て 10 社 工場を保有 14 社
雑居ビル及び工場を保有 11 社 一戸建て及び工場を保有 13 社
無回答 2 社
2 安全対策の実施状況
(1)会社として定期的に安全対策に関する会議、講習会等を行っている。
YES 17社 NO 64社 無回答 1社
(2)領事館発行の「安全対策だより」を社員全員に配布している。
YES 43社 NO 38社 無回答 1社
(3)会社で当地の治安情勢の分析を行っている。
YES 31 社 NO 50 社 無回答 1 社
(4)警備会社等専門家に委託して安全対策の講習会・訓練等を開催している。
YES 16 社 NO 65 社 無回答 1 社
3 防弾車の整備・利用状況
(1)防弾車を会社で保有している。
YES 59 社 NO 22社 無回答 1社
保有率 72.0パーセント
(2)防弾車を個人で保有している社員がいる。
YES 10社 NO 68 社 無回答 4 社
保有率 12.2パーセント
(3)会社で保有する台数
保有社数 59社
保有台数 193台
平均保有台数 3.27 台
(4)防弾車の防弾レベル
レベルⅡ 15社 レベルⅢA 24社 それ以外 1社
レベルⅡ・Ⅲ共に保有 4社 不明 11社 無回答 4社
(5)配備区分
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保有社数
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保有台数
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平均保有台数
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保有率
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社長
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55社
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68台
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1.2台
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67.1%
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重役
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22社
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47台
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2.1台
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26.8%
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社員
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10社
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40台
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4.0台
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12.2%
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家族
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2社
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2台
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1.0台
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2.4%
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現地役員
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6社
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10台
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1.7台
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7.3%
|
現地社員
|
0社
|
―
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-
|
-
|
その他
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9社
|
26台
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2.9台
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11.0%
|
(6)防弾車の利用状況
社用以外は利用しない。 5社
私用でも必要と思われる場合は使用する。 26社
公私に関係なく使用する。 28社
(7)増車予定
有り 5社
なし 54社
(8)防弾車を保有していない場合
会社として配備を具体的に検討中である 5社
個人で配備を具体的に検討している社員がいる 0社
具体的に配備を検討している場合の配備区分
社長 5社 重役 2社 社員 0社 家族 0社
現地スタッフ(役員) 0社 現地スタッフ(社員) 0社
防弾車を配備する予定がな い 13社
防弾車の配備が困難なため、フィルムを貼るなどの対策を実施している。 4社
※ 具体的対策
○ 空港送迎に使用する車には防弾タイヤを使用。邦人駐在者の私有乗用車には防弾タイヤ及びびフィルムを使用 1社
※ 防弾車を保有しない理由
○ 予算の都合 7社
○ 会社の理解が得られない 2社
○ 防弾車は目立ち、却って危険 1社
○ 効果に期待できない 5社
○ 必要を感じない 3社
4 身辺警護
(1)会社で警備会社を通じて身辺警護員を配置している。
YES 6社 NO 75社
無回答 1社 配備率 7.3%
車両追従警護 有り 2社 無し 4社
(2)個人で警備会社を通じて身辺警護員を配備している社員がいる。
YES 0社 NO 75社 無回答 7社
(3)出張者の地位に応じ警備会社を通じて身辺警護員を配備している。
YES 16社 NO 28社 無回答 38社
配備率 19.5%
一人あたり
1人 2社 2人 11社 無回答 3社
(4)身辺警護員の警護対象と警護員の人数
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配備社数
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配備人数
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平均配備人員
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配備率
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社長
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6社
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10人
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1.7人
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7.2%
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重役
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2社
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3人
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1.5人
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2.4%
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社員
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0社
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-
|
-
|
-
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家族
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0社
|
―
|
-
|
-
|
その他
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0社
|
-
|
-
|
-
|
(5)身辺警護員の警護状況
社用以外は警護させない 2社
私用でも必要な場合は警護させる 1社
公私に関係なく警護させる 3社
(6)身辺警護員の増員予定の有無
有り 0社
なし 17社
(7)身辺警護員の雇用予定
会社として身辺警護員の配備を具体的に検討中である。 1社
個人として身辺警護員の配備を具体的に検討中の社員がいる。 0社
検討している場合、その警護対象 回答無し
身辺警護員を雇用する予定はない。 71社
無回答 4社
※ 身辺警護員を雇用しない理由
○ 予算の都合 13社
○ 必要を感じない 20社
○ 会社の理解が得られない 3社
○ 目立つため却って危険 3社
○ 防弾車配備で充分 2社
○ 他社配備状況を見て考慮したい 1社
○ 周りに配備している会社がない 1社
○ 安全対策にならない 1社
5 会社建物に対する警備
(1)会社が雑居ビルにある場合
ア 社員はクラッシャーカード等の入構許可証の携帯が義務づけられている。
YES 40社 NO 9社
イ 来客がビルに入る際、身分書の提示が義務づけられている。
YES 43社 NO 6社
ウ 来客がビルに入る際、顔写真の撮影が義務づけられている。
YES 34社 NO 14社
エ ビル出入口(受付)周辺に警備員を配置している。
YES 40社 NO 9社
YESの場合、警備員の人数
|
配備人数合計
|
平均
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無回答
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営業時間
|
110人
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4.0人
|
12社
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夜間
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67人
|
2.5人
|
12社
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休日
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52人
|
2.1人
|
12社
|
オ 会社出入口周辺に警備員を配置している。
YES 16社 NO 33社
YESの場合、警備員の人数
|
配備人数合計
|
平均
|
無回答
|
営業時間
|
16人
|
2.0人
|
8社
|
夜間
|
6人
|
0.8人
|
8社
|
休日
|
6人
|
0.8人
|
8社
|
カ 出入口扉、窓に対する防犯対策の有無
YES 21社 NO 26社
• 具体的な対策
○ 防弾扉 2社
○ 鉄柵 2社
○ 複数の施錠設備 2社
○ オートロック(外部からは解放不可) 1社
キ 社内に侵入者感知アラーム、防犯カメラ等の防犯設備を設置している。
YES 30社 NO 18社 無回答 1社
(2)会社が一戸建ての場合
ア 建物外周に電気柵、赤外センサーなどの侵入防止措置が設置されている。
YES 14社 NO 21社 無回答 5社
イ 門扉周辺に警備員(門番)を配置している。
YES 31社 NO 6社 無回答 3社
YESの場合、警備員の人数
|
配備人数合計
|
平均
|
営業時間
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95人
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3.1人
|
夜間
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80人
|
2.6人
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休日
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78人
|
2.5人
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ウ 建物出入口周辺に警備員を配置している。
YES 17社 NO 18社 無回答 5社
YESの場合、警備員の人数
|
配備人数合計
|
平均
|
営業時間
|
47人
|
2.8人
|
夜間
|
38人
|
2.2人
|
休日
|
36人
|
2.1人
|
エ 出入口扉、窓に対する防犯対策の有無
有 12社 無 21社
※ 具体的な対策
○ 鉄扉 1社
○ 扉に鉄柵 1社
○ 窓部に鉄格子 2社
○ 登録クラッシャー認証機 2社
○ 窓部にブラインド及びサッシ 1社
○ 回転バー 1社
○ 鍵付きシャッター 1社
オ 建物内に侵入者感知アラーム、防犯カメラ等の防犯設備を設置している。
YES 24社 NO 12社
6 住居の安全対策
(1)一戸建てに居住する社員がいる。
YES 18社 NO 63社 無回答 1
(2)社員が住居を選択する場合には、警備上一定の基準を設けている。
YES 21社 NO 58社 無回答 3社
※ 具体的な基準
○ 原則としてアパート 10社
○ 門番(警備員含む)の有無及び質 6社
○ 総合的な住居の安全性(ハード・ソフト) 3社
○ 入居地区の指定 4社
○ アパート周辺の環境 3社
○ 玄関にドアスコープ、2重錠等の設置 3社
○ アパートの一定階数以上 2社
○ 駐車場に侵入防止ゲートの有無 1社
○ 防犯カメラの設置状況 1社
○ 長期滞在者向けフラット 1社
○ 海外安全マニュアル 1社
(3)住居の安全対策に関しては、全て社員の判断に任せている。
YES 63社 NO 19社
(4)社費で社員の住居に警備員を配置することを認めている。
YES 4社 NO 74社 無回答 4社
(5)社費で社員の住居にカメラ等の警備機器等の設置を認めている。
YES 4社 NO 75社 無回答 3社
(6)社費で社員の住宅に警備員を配備している。
YES 0社 NO 77社 無回答 5社
(7)社費で社員の住宅に警備機器を設置している。
YES 0社 NO 77社 無回答 5社
(8)私費で住居に警備員を配備している社員がいる。
YES 0社 NO 77社 無回答 5社
(9)初めから警備機器が設置され、警備員がいる住居を選定させている。
YES 29社 NO 48社 無回答 5社
(10)住居の主寝室扉を鉄扉にするなどの防犯措置を施している社員がいる。
YES 4社 NO 73社 無 回答 5社
(11)一戸建てに居住する社員がいる場合
アパートへの転居を検討させている 2社
一戸建て居住の社員には、社費で警備員の雇用、警備機器を設置させている。0社
住居の選定には社員の自由であるので、会社として一切干渉しない 16社
7 総領事館の邦人安全対策に関して
(1)総領事館の邦人安全対策についてどのように考えているか
満足している 28社
十分とは言えないが、ある程度は満足している 40社
不満である 4社
無回答 10社
(2)「不満」、「十分とは言えない」理由
○ 情報提供、広報活動が十分ではない 15社
○ どのような安全対策を行っているのか不明瞭である 9社
○ 講演会、安全対策会議等を頻繁に実施してもらいたい 5社
○ 具体的な対策を実施してもらいたい。 6社
○ 治安当局への積極的な働きかけ 2社
8 邦人安全対策に関して総領事館に希望する具体的対策
○ 安全対策情報を冊子、メールにて提供(タイムリーな邦人被害情報、新規赴任者用安全マニュアル、具体的に効果のあった防犯対策等) 8社
○ 本アンケートの結果公表及びアンケートの継続 5社
○ 定期的な安全対策講習会、防犯訓練の実施(各社の担当者、新規赴任者、家族等) 5社
○ 政府、治安当局への具体的かつ積極的な働きかけ 4社
○ 模範となる防犯対策行っている会社の紹介 2社
○ 他国の大使館、領事館等との情報交換及び情報提供 2社
○ 犯罪が発生、若しくは多発した区域を記した犯罪マップの作成 2社
○ 本社に対する現地事情に合わせた治安対策ガイドラインの提示 2社
○ 積極的な広報活動(領事館の邦人安全対策が不明瞭、緊急時の連絡先を知らない)1社
【 当館所感 】
1 防弾車について
防弾車の保有率は、72.0パーセント(82社中59社)となっており、2年前に実施したアンケート結果とほぼ同じ結果となっておりますが、1社で保有 する台数が2.58台から3.27台に増加している他、社員個人の保有率も5.0パーセントから12.2パーセントに増加しているなど、防弾車の保有台数 が増加しております。
このことは、一昨年強盗事件の発生件数が新記録となるなど、治安の悪化に歯止めがかからない状況に加え、防弾車の安全性の認知度が高まるとともに、ブラジルの防弾架装業界が急速に世界のトップレベルにまで成長したことも一因といえます。
防弾車は、実際に賊に発砲された場合に乗員の身体の安全を確保するという実質的な効果の他、防弾車であることを賊が認知した場合、犯行をあきらめるという防犯効果も高いため、普通車と比較すれば安全対策上の効果は非常に高いと言えます。
し かし、防弾車は安全対策上万能ではあるとは言えません。その性能を過信したり、使い方を誤ったりしてはかえって危険であるとも言えます。いくら防弾車とい えども、同じ箇所を続けて撃たれると弾丸は貫通してしまうことから、そのような状況に陥らないような運転をする必要があります。防弾車を適切に使用するた めには、ドライバーに対するそれなりの教育が必要なのです。
ま た、自分が乗車する防弾車のレベルとその強度を知っておくことも重要です。今回のアンケートでは防弾車を保有する59の企業のうち、11の企業から保有す る防弾車のレベルが不明との回答をいただいておりますが、防弾架装した際の記録を調査するか若しくは業者に問い合わせるなどして確認しておくことをお勧め します。
2 身辺警護員の配備、雇用状況
身辺警護員を配備している企業は7.3%と非常に低い配備率となっております。配備をしない理由のうち最も多いのが「必要性がない」という意見ですが、 身辺警護員の配備は、誘拐、強盗などの被害を防ぐにあたり、防弾車と同じく非常に効果的な対策であると考えられます。
先日、実際にあった事例をご紹介します。
昨 年12月6日(月)午前10時20分頃、 市内ジュッセリーノ・クビシェッキ大通りと ブリガデイロ・ファリア・リマ大通りとの交差点付近(セントロ方面向き車線)を邦人が乗用車で走行中、右後方から二人乗りオートバイが接近して車両の右横 に並び、後部に乗車した男(白人、黒色ヘルメット着用、 左腕にカタカナの入れ墨、右腕に老人の顔の入れ墨 ) が車両内をのぞき込んだ。この状況に危険を感じた追従警護車両が前車との距離を詰めたところ、オートバイがそれに気づき、スピードを落として追従警護車両 内を一瞥した後、同車両の後方を回って左側を走り抜けて立ち去った。追従車両警護員によれば、彼らがけん銃を所持していたかどうかは不明であるが、前後の 状況から強盗目的で被害者を物色していたことに間違いないとのことであった。
これは、ほんの一例ですが、追従警護は、実際に襲撃された際に反撃を加えて警護することに加え、犯行をあきらめさせる防犯効果も非常に高いのです。特に 企業の社長、重役、地位の高い出張者の方等は誘拐犯、強盗犯などに狙われる可能性が高いと考えられるため、今後身辺警護員の配備についてもご検討していた だきたいと思います。
3 会社建物に対する警備
会社建物に対する警備につきましては、雑居ビル、一戸建て、工場等の建物に対して、それぞれの企業が様々な防犯対策を講じているようですが、中にはほとんど防犯対策が講じられていない企業も見受けられます。
昨年の邦人企業に対する被害をみてみますと、総領事館が認知した5件の被害のうち、3件は電話による脅迫等ですが、2件は実際に工場、事務所内に侵入さ れての強盗、窃盗被害でした。これら企業は、万全とは言えないまでも、ある程度の防犯措置を講じていたにもかかわらず、被害を防ぐことはできませんでし た。しかし、犯人側からみれば、防犯対策のレベルが低ければ低いほど犯行が容易であるのは当然のことです。限りある予算の中で、できる限りの防犯対策を講 じ、少しでも狙われる危険性を少なくするとともに、実際に被害にあったときに、社員に身体的被害が及ぶことのないよう、安全教育の徹底をお願い致します。
4 住居の安全対策
住居の選定に関しては、警備上一定の規準を設けている企業が約25%で前回のアンケート結果の約半分に減っており、住居の選択を個人の判断に任せる傾向 が強くなっているようです。しかし、サンパウロにおいては昨年『アパート一軒全戸に対する集団強盗』が多発しました。そして、その多発地区には、多くの邦 人が居住するジャルジン・パウリスタ地区やパライゾ地区が挙げられていることから、防犯対策上、住居の選定はこれまで以上に重要なポイントになっているの です。
各企業の皆様におかれましては、現在社員が居住しているアパートの防犯対策を再点検するとともに、新たな赴任者に対しては、各企業の安全対策担当者等から適切なアドバイスを与えていただきたいと思います。
また、住居が決定するまでに居住するホテルについても、宿泊客を狙った強盗事件が相次いでいることから、警備設備、人的体制などを勘案した上で決定する必要があります。
5 総領事館の安全対策
当館の邦人安全対策に関しましては、これまで、
○ 邦人の被害状況、防犯対策を掲載した『サンパウロ安全対策だより』の発行○ 安全対策会議の開催
○ 企業、団体に対する個別の安全対策ブリーフィング
などにより実施して参りましたが、本アンケートにて皆様からいただいたご意見を参考にして、新たに下記の施策を開始したところです。
① サンパウロ安全対策情報(被害速報)の発行
邦人被害及び邦人の安全対策に資する情報を得た場合、間をおかずメール及びホームページにて広報する。
② 総領事館メールサービスの開始
これまで、当地の邦人に対する電子メールでの安全情報の連絡は、商工会議所のメール網を通じてしか行っていなかったが、今後は在留届にメールア ドレスを記入した方及びメールの送付を希望する方全員に対して安全情報やその他の情報を送付することとした。(希望方法は、総領事館のメールアドレス cgjregistro2@arcstar.com.br に氏名、生年月日、送付を希望するメールアドレスを明記して送付して頂くだけの簡単なものです。)
今後とも、皆様から寄せられたご意見ご要望を元に、効果的な安全対策を実施していく所存ですので、邦人の安全対策に関するご意見ご要望、邦人の被害情報などございましたら、お気軽に当館担当者(大熊、鈴木)までご連絡下さい。