部会長シンポ発表資料作成で機械金属部会開催

機械金属部会(山田 佳宏部会長)は、2019年下期の部会長シンポジウムの発表資料作成のため2019年7月31日午後3時から5時まで19人が参加して開催、今年下半期の業種別部会長シンポジウムは、主題:「2019年上期の回顧と下期の展望」、副題: 「成長への期待、変化への対応」、参加者が自社の回顧と展望、副題について発表した。

2019年上期の回顧では、1月のヴァーレ社のダム決壊事故による鉄鉱石価格の上昇並びに鉄鋼製品価格の下落、アルゼンチン為替危機による自動車輸出減少の影響による在庫調整並びに集団休暇、人件費などのブラジルコスト、米中貿易摩擦、低調なインフラ投資、オーストラリアのサイクロン発生、低い設備稼働率などが話題となった。

今年下期の展望では、進展期待の一連の構造改革、製鉄所設備のメンテナンス、低調なバイオマス電力、労働コストの上昇、客先支払い遅延、アルゼンチンのシェールガス投資、ペルー・チリのマイニング投資継続、原価低減項目の洗出し、エンジニア育成、年金改革による景気浮上期待などが挙げられた。

副題の「成長への期待、変化への対応」では、脆弱なインフラ、環境認可、人材育成、ROTA2030、コンプライアンス課題、EU・メルコスールFTA協定締結による欧州メーカーの市場参入拡大、バルガス政権以来の構造改革への期待、高い失業率と低い生産性、身の丈経営、リードタイム短縮、差別化ソルーションでの新規顧客開拓、代替燃料市場への参入などが話題となった。

参加者は山田 部会長(三菱重工)、加藤 副部会長(メタルワン)、力石氏(AZBIL)、吉川氏(Yokogawa)、三好氏(南米日立)、小野澤氏(エバラ)、牧野氏(CBC)、木内氏(出光)、北原氏(ヤンマー)、中野氏(NTN)、永田氏(MMC)、加治氏(出光)、櫛渕氏(Mineral Brasil)、秋山氏(Nippon Steel)、平野氏(TADANO BRASIL)、岡田氏(コマツ)、中野副領事(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、大角編集担当

左から加藤 副部会長(メタルワン)/山田 部会長(三菱重工)

第22 回日伯経済合同委員会開催

 第22回日伯経済合同委員会は、2019年7月29日から30日の2日間にわたってサンパウロ州工業連盟(FIESP)大講堂に419人が参加して開催された。

 初日29日は午前9時半から開催され、開会セッションではホブソン・ブラガ・デ・アンドラーデ(Robson Braga de Andrade) ブラジル全国工業連盟(CNI)会長、エドアルド・デ・サーレス・バルトロメオ(Eduardo de Salles Bartolomeo) Vale会長、飯島 彰己 経団連日本ブラジル経済委員長、在ブラジル日本国大使館の山田彰大使、パウロ・スカフェ(Paulo Skaf)サンパウロ州工業連盟(FIESP)の順で挨拶がなされた。

第22回日伯経済合同委員会プログラム

(Foto:Rubens Ito/CCIJB)

 特別セッション1では「日伯関係における今後の経済展望」について、モデレーターを林 信光 国際協力銀行代表取締役副総裁が務め、初めにトマス・ザノット(Thomaz Zanotto)FIESP国際担当理事、讃井慎一ブラジルみずほ銀行社長、レイナルド・サルガード (Reinaldo Salgado)アジア・太平洋・ロシア二国間交渉担当長官、服部 茂 全日空上席執行役員、レナート・ダ・フォンセッカ(Renato da Fonseca)ブラジル全国工業連盟(CNI)競争力調査担当部長の順で発表した。

 特別セッション2では、「日メルコスールEPA」について、モデレーターの大前孝雄 経団連日本ブラジル経済委員会企画部会長は、日伯経済界が高い関心を持つ日・メルコスールEPAについて議論したい。160か国以上が加盟する世界貿易機関(WTO)は自由貿易体制の下で発展してきたが、米中貿易摩擦の保護主義の台頭で世界経済の不安定要因となっている今は自由貿易の再構築に迫られ、WTOの機能不全が指摘されている中でEPA推進が求めら、日本はリーダーシップを発揮する必要がある。2018年12月のTPP、2019年のヨーロッパ連合とのEPA発効、18か国とのEPA締結で日本の貿易額は全体の36%に達している。また交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP) 、コロンビア、トルコ、米国との二国間協定、アジア太平洋経済協力(APEC)での経済統合などメガFTAに重点が移りつつある。日本と中南米のEPA交渉の課題として、メキシコ並びにペルー、チリとしかEPAを結んでいないことがあり、メルコスールは2億5000万人、2兆4000億ドル規模のポテンシャルを擁し、日本企業はメルコスール域内に1000社以上進出しており、最後のメガEPA地域であるものの、メルコスール4カ国の積極的な姿勢に対して日本は未だ明確な姿勢を表明していない。昨年の日亜経済合同委員会ではアルゼンチンと共同声明を発表。2018年10月には経団連、日商連名による「日メルコスールEPA早期交渉開始」を求める要望書を官房長官へ提出、また今年4月の第9回日伯賢人会議での提言内容を安倍晋三内閣総理大臣に報告、7月にはブラジル日系4団体連名の日メルコスールEPAの嘆願書が山田大使に手渡されるなどの動きが続けられている。本日は日メルコスールEPA推進のCNI、経団連共同声明の採択をしたいと説明した。

大前 経団連企画部会長 (Foto: Rubens Ito/CCIJB)

 同セッションでは、初めにカルロス・エドアルド・アビジャオジ(Carlos Eduardo Abijaodi)CNI工業開発担当理事、村田俊典商工会議所会頭、レオナルド・ジニス・ラウジ(Leonardo Diniz Lahud)経済省貿易局長代理、岡田有祐 日本たばこ産業国際担当部長、ペドロ・ギマランエス・フェルナンデス(Pedro Guimaraes Fernandes)ABICS(ブラジルインスタントコーヒー協会)会長、SINCS(ブラジルインスタントコーヒー組合)会長、Cacique取締役、峯村 直志ジェトロ企画部海外地域戦略班南米担当主幹の順で発表が行われた。

 ブラジル日本商工会議所の村田俊典会頭はプレゼンの中で、「日本・メルコスールEPA」の実現に向けて会議所が取り組んでいる活動について説明。ブラジル日本商工会議所は、ブラジルで活動する日本企業、地場企業を会員とし、会員の経済活動に関する①情報提供、②人的交流、③両国政府への提言等を活動目的とする公益社団法人。1940年に設立され、第二次世界大戦の空白期間を経て、1954年に現在のブラジル日本商工会議所に改名、現在の会員企業数は350社、内215社が日本からの進出企業で、業種別では、製造業が7割、非製造業が3割となっている。

 これまでもブラジルコストの改善やブラジル産業の国際競争力強化に向けた提案をしてきたが、現在、当会議所で注力しているのは、本日のテーマである「日本・メルコスールEPA」の実現に向けた取組み。会議所内に3つの委員会の混成チームによる「EPAタスクフォース」を設置、30名のメンバーが域内のアンケート調査を実施、啓蒙活動を目的とした会員企業を対象とした勉強会を重ねるなど精力的な活動を行っている。昨年は会議所関係者の知識と理解の向上のために、計8回のセミナーを開催し、日本の有識者のみならず、ブラジルのFIESPのザノット国際担当理事にもレクチャーをお願いした。また、ブラジルのみならずアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの日系商工会議所会員および進出日系企業を対象とした「EPAに関する意識調査」も実施した。

 日本の通商協定はEPAと一般的に称されているが、貿易の自由化に加えて、投資、知的財産の保護、ビジネス環境整備、中小企業など様々な分野での協力の要素等を含む,幅広い経済関係の強化を目的とする協定となっている。会議所のEPAタスクフォースの勉強会では日墨EPAの事例を勉強。メキシコの場合、ビジネス環境整備の項目が進出企業の問題解決を促す機能的な役割を担っていることが分かった。

 会議所としては、貿易の自由化に留まらず、日本とブラジルの間でヒト・モノ・カネの往来を増やすビジネスインフラとして機能するEPAを期待しており、昨今、ブラジルの産業競争力、生産性の問題が話題に挙がるが、生産性を向上させるためには人材や設備に投資する必要がある。多くの日本企業がEPAの枠組みを通じて、ブラジルをより身近に、より魅力的な市場として認知し、ブラジルの経済・産業発展により深い貢献ができることを会議所として目指している。

 6月末にボルソナーロ大統領が訪日し、大阪でG20が開催されたタイミングで非常に喜ばしいニュースとして、20年来交渉を続けてきたEUとメルコスールがFTAの最終合意に至った。世界的に保護主義が台頭する中で、グローバライゼーションの重要性に一石を投じた素晴らしい成果で、メルコスールはEUとのヒト・モノ・カネの往来が活発となり保護主義政策から自由主義に移行する大きな第一歩となり、多くの投資を迎え入れる契機になると期待できる。

 一方で、EUに続いて、韓国やカナダとの交渉が先行する中、未だスタートラインにも立てていない日系進出企業にとり、焦りがあるのも事実。昨年実施したEPAの意識調査でも、「欧州や韓国からの劣後を避けたい」「同じ条件での競争ができるようにすべき」といった声が多く寄せられている。今回こうしてEUが先行したことにより、日本企業の劣後は今後本格化して、日本ブランドの喪失やハイエンド市場を席巻される、との危機感は進出企業を中心に、日増しに強くなっている。特に部品メーカーも含め、裾野の広い自動車産業にとり状況は深刻で、長年地道にブラジルで取り組んできたビジネスに甚大な影響が出ることを懸念している。

 日系進出企業もこの数年、EPAの締結に向け熱心に活動を続けてきており、商工会議所としても経団連や日本商工会議所と連携して、EPAの旗振りを果たしてきたとの自負が有る。昨年ブエノスアイレスで開催されたG20では、その機会を十分に活かすことができなかったが、今年11月にはチリで開催されるAPEC首脳会合に安倍総理が参加を予定、安倍総理の中南米再訪を契機に、悲願である日本メルコスールEPAが交渉のスタートラインに立てるよう、我々商工会としては日本政府に対し粘り強く働きかけていく。

 商工会議所の会員規模数は350社程度であるが、いざ日本メルコスールEPAが成立すれば、ヒト・モノ・カネの往来の活性化により、会員数も飛躍的に伸びることが期待できる。メキシコ商工会議所のEPA発効時前の2004年にはブラジルと同程度の会員企業数であったが、現在では4倍近い約1200社が登録されるという目覚ましい前例があり、我々はこのような成功を強く望んでいる。日本・メルコスールEPAの実現に向けて、可能な限り早期に両政府に交渉を開始して頂くことを改めてお願いするとしてプレゼンを締めくくった。

村田俊典 会議所会頭(Foto: Rubens Ito/CCIJB)

Pdf村田俊典 日本ブラジル商工会議所会頭発表資料

 質疑応答では、内山田竹志トヨタ自動車取締役会長が、日本・メルコスール EPA セッションの  日本・ブラジル両国代表の パネリストの 方々の貴重なプレゼンに感謝の意を述べる一方で、コメント案として、自動車産業 の立場で日本・メルコスール EPA 締結時 の メリット や重要性 について、EPA 締結の 主なメリット は、完成車 に賦課されている 35% の輸入関税 が削減 され、環境車や高級車等、 現地生産車のラインナップを補完 する形で、 お客様の幅広いニーズ に答えることが可能となる。自動車部品に関しては 、 現地調達が困難な電子部品、モーター、ユニット部品等に対して輸入関税が18% 、 製造設備・型 等にも 最大 18 %が賦課されているため、関税削減に伴い、現地生産車の競争力強化 に繋げる ことが期待できる 。またEPA の効果は、輸入関税削減だけではなく 輸入手続きの迅速化 等、貿易・投資のルール作り や ビジネス環境の整備 が推進され、 貿易・投資の更なる拡大 にも期待できる。直近では、グローバルに 保護主義の動きがある中、ボルソナロ 大統領のリーダーシップにより、EU との FTA の政治合意は、自由貿易推進の流れを形成 するも のであり、グローバルに事業展開する企業にとって 喜ばしい。しかし日本の自動車メーカーとしては、交渉中の 韓国 、カナダ 、更に今回の EUとの比較で、メルコスール市場における 競争環境が劣後 し、長年地道に続けてきたビジネスに悪影響 がでることを大変懸念 している、と説明。日本とメルコスールのEPAを推進する必要性・重要性はこれまで以上に高まっている。 私がメンバ ー を務める日伯賢人会議は長年にわたって日本政府には引き続き 粘り強く働きかけていくが 、 ブラジル政府にも是非推進をお願いしたいと強調した。

また村田 会議所会頭からは、日本からの輸入車が関税面で不利な競争条件に晒されることや、自動車部品についてもそれぞれ自国からの輸入部品調達へ依存が高いことから日系メーカーは調達コスト上でも不利な条件を強いられることが強く懸念されており、会議所自動車部会でも活発な議論がなされていることに触れた。また前述の日系4団体連名の嘆願書については、EUとメルコスールが20年以上の交渉を経てEPA締結合意に至ったことを受け、ブラジルをはじめとするメルコスール地域の本格的な経済開放によるヒト・モノ・カネの往来活性化が強く期待されていることの表れとして、会議所も同様な期待感を持っていることを述べた。

 プレゼン後、大前モデレーターは同セッションの総括として、日・メルコスールEPA締結に対する非常に大きな期待を感じ、総括の1点目は両国経済界の大きなポテンシャルを擁する質の高いEPA締結が重要であり、日・メルコスールEPAの早期交渉開始の重要性を再確認。2点目は日・メルコスールEPAを前向きに進める方針が示され、民間サイドの日伯産業界から日本たばこ産業、ABICから締結によるビジネス効果の説明もあった。また包括的で質の高いEPA締結は双方にとって貿易の活性化や経済連携強化に多大な効果をもたらした日本・メキシコFTA協定の効果も紹介された、と締めくくった。

 大前氏は会場の参加者419名にEPA 支持の拍手による賛否を諮り、全会一致で採択の承認を得た。それを受けて経団連 飯島日伯経済委員長、エドアルド・バルトロメオ 日伯経済委員長が日メルコスールEPAに向けた共同報告書に署名、レオナルド経済省貿易局長代理へ手交し、記念写真撮影を行った。

日メルコスールEPAに向けた共同声明:http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/061.html(日本語)

http://www.keidanren.or.jp/en/policy/2019/061.html(English)

 

(Fotos: Rubens Ito/ CCIJB)

 特別セッション3では、「アグロビジネスとロジスティクス・インフラストラクチャー」について、モデレーターは元農務大臣のロベルト・ロドリゲスGVAgro、ジェツリオ・ヴァルガス財団コーディネーター、早田元哉ノバアグリ会長(豊田通商)、エドアルド・サンパイオ(Eduardo Sampaio) ブラジル農務省農業政策局長、佐藤真吾ブラジル三井物産社長、マルコス・ジャンキ(Marcos Jank)INSPER大学教授の順で発表した。

 翌日30日の特別セッション4の「2030年に向けた日伯コーペレーション」では、カルロス・マリアーニ・ビッテンクール FIRJAN副会長(日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議ブラジル側座長)が第9回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議の報告、モデレーターは元開発商工省大臣のルイス・フェルナンド・フルランBRF経営審議会メンバーが務め、高宮勝也三菱電機シニアアドバイザー、ウイリアム・フランコ(William Franco)ナツーラ社Industria4.0担当部長、プリニオ・ナスタリ(Plinio Nastari)DATAGRO社長、内山田竹志トヨタ自動車取締役会長、久保田伸彦IHI資源・エネルギー・環境事業領域事業開発部理事/部長、パウロ・アルヴィン(Paulo Alvim)科学技術革新通信省(MCTIC)イノベーション企画局長の順で発表した。フルラン氏による総括後、エドアルド・デ・サーレス・バルトロメオ(Eduardo de Salles Bartolomeo) Vale会長、飯島 彰己 経団連日本ブラジル経済委員長による閉会の挨拶を経て閉会となった。

ブラジル側発表者資料など:https://www.portaldaindustria.com.br/cni/eventos/22a-reuniao-plenaria-do-cebraj-conselho-empresarial-brasil-japao/

生活産業部会では部会長シンポ発表資料作成で意見交換

建設不動産部会並びに繊維部会統合の生活産業部会(今川 尚彦部会長)は、2019年7月26日午後4時から5時まで10人が参加して開催、8月22日開催の業種別部会長シンポジウム発表資料作成では、参加者が自社の上期の回顧と下期の展望について発表した。

上期の回顧では、大統領選挙後の期待ほど経済回復の進展なし、小売市場は継続して停滞、高止まりする失業率、アグリビジネスは天候不順で低迷、顧客の在庫過多傾向、レアル安の為替に伴うコストアップ、石油価格の高騰、米中貿易摩擦問題、ブレグジット問題、新規案件受注、高土間英するガス価格、アルゼンチンの景気後退の景況、停滞する不動産業界、設備投資意欲の低下、労務費上昇などが挙げられた。

下期の展望では、採算確保のための施行の効率化、バイオマス案件への期待、小売販売の回復期待、自動車生産台数回復への期待、天候次第のアグリビジネス、年金改革案の国会承認、税制改革の進展、金利の引下などが挙げられた。

副題の「内外の環境変化にどう対応するか」では、依然として繊維業界は底を低迷、顕著な川上の在庫増加、高付加価値商品開発、為替変動で不安定な輸入品コスト、地場の材料調達や内製化の検討、世界規模の気候変動の影響、駐在員の減少傾向、アパートの賃貸料金上昇傾向、付加価値サービスの提供、ガス配給会社の民営化によるガス価格の変動が話題となった。鈴木ワグネル副部会長  (HOSS建設)に替わって大滝守副部会長(HOSS建設)が就任した。

参加者は今川部会長(戸田建設)、大滝副部会長(ホス建設)、中村氏(ECOGEN)、森口氏(スターツ)、南村氏(東洋紡)、力石氏(AZBIL)、上岡氏(戸田建設)、中野領事(サンパウロ総領事館)、商工会議所から平田事務局長、大角編集担当

今川 尚彦部会長

鈴木康友浜松市長一行が商工会議所を訪問

ブラジルオリンピック委員会とのホストタウン協定締結のために訪伯している鈴木康友浜松市長一行は、2019年7月25日午前10時に商工会議所を訪問、初めに平田藤義事務局長は、開催挨拶で先月11日から14日の日程で浜松や名古屋、大阪、東大阪など中小企業のブラジル進出による会員増加目的での訪問を説明した。

また鈴木康友市長は、浜松市はリオおよびサンパウロのオリンピック委員会から東京五輪のパラリンピックのブラジル代表団の事前合宿地(ホストタウン)の認定を受け協定書締結などについて説明。浜松市は日系ブラジル人が多くてブラジルとの関係が深い。東京2020オリンピック、特にパラリンピックは全種目の選手を受け入れる。またボランティア希望者も当初予定の1000人から1500人増加で多文化交流の拡大、ブラジルとの更なる友好関係強化に期待したいと抱負を語った。

参加者の自己紹介後、商工会議所活動をビデオで紹介。意見交換会では、浜松を発祥の地とする日本企業のブラジル進出や企業活動状況、ドリア・サンパウロ州知事一行の訪日経済ミッション、メルコスールとEUとの自由貿易協定の政治合意、先行するシンガポール並びにカナダ、韓国とメルコスールのFTA交渉並びに日本企業の危機感、マナウスフリーゾーン問題、パラグアイのマキラ制度、国費留学生の活用、日本のメディアによる南米諸国の実態との乖離、中小企業の跡継ぎ問題、出稼ぎの活用や教育問題、入管法改正、日伯Win-Winへの導入方法模索、中小企業のブラジル進出促進など多岐に亘って取上げられた。

参加者は浜松市の鈴木康友市長、同寺田聖子文化振興担当部長、同誘致支援グループ長で市民部スポーツ振興課の山口貴弘副主幹、同エツオ・イシカワ顧問、LRI弁護士事務所のマリオ・マサノリ・イワミズ弁護士、ホンダ・サウスアメリカの木俣真吾副社長、yamaha musical do brasil ltdaの井沢修社長、商工会議所から平田藤義事務局長、日下野成次総務担当

鈴木康友浜松市長

左から浜松市の鈴木康友市長、同寺田聖子文化振興担当部長、同誘致支援グループ長で市民部スポーツ振興課の山口貴弘副主幹

左からホンダ・サウスアメリカの木俣真吾副社長/yamaha musical do brasil ltdaの井沢修社長/商工会議所の平田藤義事務局長

 

7月の労働問題研究会開催

 企業経営・地場企業推進委員会(ワグネル 鈴木委員長)の労働問題研究会は2019年7月24日午後4時から6時まで43人が参加して開催、進行役はフェルナンド三原副委員長、ワグネル 鈴木委員長が務め、初めにFNGV AdvogadosのMARCUS VERSOLATTOパートナーは、テーマ『労働環境に於ける労働改正法のインパクトについて』、Ueno Profit Assessoria em ControladoriaのMAMI UENO代表は、テーマ 『労働改正法 労働者代表委員会と労働者管理インパクトについて』それぞれポルトガル語で講演した。

PDF anexos:
1. "Impactos da Reforma Trabalhista na prática processual trabalhista"
2. "Reforma Trabalhista: comissão dos empregados e seus impactos na gestão de pessoas"
 

 Marcus Versolatto (FNGV Advogados), Mami Ueno (Ueno Profit Assessoria em Controladoria), Wagner Suzuki (Construtora Hoss) e Fernando Seiji Mihara (Stüssi-Neves Advogados) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

RI / CCIJB – 24/07/2019

10人が参加して金融部会開催

金融部会(津田双羅部会長)は、2019年7月24日午前10時から10人が参加して開催、津田部会長は、8月1日から種村新部会長の就任を説明。7月19日の常任理事会での金融部会の活動報告、8月22日午後1時から6時までインタコンチネンタルホテルで開催される2019年下期の業種別部会長シンポジウムはテーマ:「2018年上期の回顧と下期の展望」、副題 : 「内外の環境変化にどう対応するか」。業種別部会長シンポジウムにおけるマクロ経済概要、銀行業界動向、保険業界動向の発表に対するアンケート調査の発送、結果の取り纏めなどについて説明。また10月25日に開催予定のフィンテックセミナーの説明、10月18日の懇親昼食会での米中貿易摩擦をテーマにした講演会などについて意見交換を行った。

参加者は津田部会長(Banco Bradesco)、種村新部会長(Banco Bradesco)、東副部会長(ブラジル東京海上日動火災保険)、岡本氏(Sompo Seguro S.A.)、北村氏(みずほ銀行)、長野氏(三井住友保険)、栗原氏(三井住友銀行)、上田領事(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、大角編集担当。

進行役の津田双羅部会長

労働ワーキンググループ会合開催

2019年7月23日(火)15時より、政策対話委員会(佐藤真吾委員長)労働ワーキンググループ(山崎一郎グループ長)会合が、同ワーキンググループ主催の「転換するブラジルの社会福祉」セミナーの前に開催された。今回の会合では、今までの活動、今後の方針について議論が行なわれ、現時点での政府関連の要請事項というよりは、労働法、移民法、安全関連など、人事担当者が交換した場合に有効な情報提供を行なう活動を中心に、メンバー間の交流を強化していくことが話し合われた。

参加者は、山崎一郎氏(グループ長、ブラジル味の素)、深江堅允氏(ブラジルトヨタ自動車)、加藤周平氏(南米日本製鉄)、石川耕介氏(コマツブラジル)、森雄太氏(丸紅ブラジル)、諸岡朱美氏(EY)、そして事務局からは、日下野成次総務補佐、吉田章則調査員。

政策対話委員会労働ワーキンググループセミナー開催

政策対話委員会(佐藤真吾委員長)労働ワーキンググループ(山崎一郎グループ長)主催のセミナーは、2019年7月23日午後4時から5時30分まで約50人が参加して開催、講師はジェトロ・アジア経済研究所の海外調査員(サンパウロ大学客員教授)の近田亮平氏がテーマ「転換するブラジルの社会福祉 -右派・保守、イデオロギー色の強いボルソナロ政権-」 で講演した。

近田亮平講師は、初めにアジア研究所の設立経緯や目的、発展途上国の学術調査内容、ホームページなどを紹介、今回のセミナーはボルソナロ新政権誕生後のブラジルの社会福祉の方向性などに関する要請で開催に結び付いたことを説明した。

右派・保守イデオロギー色の強いボルソナロ政権の福祉レジームを理解するために、初めにブラジルの社会福祉制度概観として、1985年の民政移管後に制定された「市民の憲法」と呼ばれる1988年憲法によるすべての国民を対象とした社会保障の普遍化を理念として掲げ、1990年以降は貧困層を対象としたターゲティング政策の採用。社会福祉の年金部門では、1990年以降の直接・間接年金受給率は90%を超えている。公的年金制度として公務員社会保障制度(RPPS)並びに一般社会保障制度(RGPS)が存在するが、国民の格差是正のための社会扶助的機能として1992年に設けられた「農村年金」、1996年の「継続扶助(BPC)」を説明した。

ブラジルの少子高齢化や年金制度の歪みで社会保障院(INSS)の赤字累積が年々拡大しており、早急な年金改革実施が避けられない。働く現在現役の人が払い込んだ金を現在の高齢者に支給する賦課方式に替わる個人的キャピタリゼーションシステム導入(個人積立方式)の検討などが今後避けて通れない。

また社会福祉の保健医療部門では、1990年に導入された「保健医療統一システム(SUS)」は無料公的保険医療サービスにも拘らず、充分や医療サービスの提供ができず、また資金・人員・能力不足であり、高額な民間医療保険との間に大きなサービスの質に格差が存在する。

社会福祉の社会扶助・貧困対策部門では、1993年の「社会扶助基本法(LOAS)」や65歳以上の貧困高齢者と障碍者を対象とした最低賃金支給の「継続扶助(BPC)」、条件付き現金支給政策(CCT)としてBolsa Escola制度や労働者党(PT)政権時に導入された Bolsa Familia制度を説明した。

社会福祉の教育部門では、ブラジルの学校制度、1998年導入の全国中等教育テスト(Enem)、2004年の大学促進プログラム(ProUni)、教育部門が抱える問題として、難しい進級による中途退学による教育放棄、公立と私立学校の教育レベル格差によるねじれを説明した。

社会福祉の雇用・労働部門では、1943年の統一労働法(CLT)を根幹に、1966年の金属期間保証基金(FGTS)、1986年の失業保険の本格導入、1985年以前の軍事政権下でのスト禁止や労働組合を介したコーポラティズム体制、1990年代のマクロ経済安定や経済のグローバル化による労働や雇用の柔軟化政策、社会弱者への支援、2017年の労働改革による労働組合の納付金支払いの任意化による労働組合の大幅な財源の減少に結び付いている。

2018年の大統領選挙ではファシズムへの不安にも拘らず、労働者党(PT)に対する反感でボルソナロ政権誕生。今後の右派・保守イデオロギーの強いボルソナロ政権は、議会のBala(銃弾)、Boi(牛)、Biblia(聖書)の「BBB」との親和的な関係性を維持しながら、銃規制の緩和並びに小さな政府、年金改革、労働組合規制強化などの社会福祉の転換を予兆する政策や措置の導入で政権発足から1ー2年が勝負になると説明。また社会民主主義的から家族主義的への転換の可能性も付け加えた。質疑応答ではボルソナロ大統領と議会の関係、年金改革法案の国会承認後の日本企業への影響などが挙げられた。

Pdf「転換するブラジルの社会福祉 -右派・保守、イデオロギー色の強いボルソナロ政権-」ジェトロ・アジア経済研究所の海外調査員(サンパウロ大学客員教授)の近田亮平氏

講師のジェトロ・アジア経済研究所の海外調査員(サンパウロ大学客員教授)の近田亮平氏

左から労働ワーキンググループの山崎一郎グループ長/森雄太氏

ブラジル日系主要4団体、日メルコEPA早期交渉開始の嘆願書を山田大使に手交 

 日伯文化福祉協会(文協)、サンパウロ援護協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、日伯文化連盟の4団体が7月23日、山田 彰在ブラジル日本国大使に嘆願書を手渡した。

 去る6月28日、20年間の紆余曲折を経てEU-メルコスール自由貿易協定(FTA)が合意、またメルコスールとカナダ、韓国やその他地域との合意交渉が進展する中、劣後・不安感が日系社会に高まっているからだ。

 山田大使は「日系主要団体からの嘆願書は重要かつ非常に意義がある」と前置き、「今まで日本政府は慎重な姿勢で望んでいたが、G20大阪でボロソナーロ大統領が安倍総理と会談、ブラジル駐箚日本国特命全権大使として早期交渉開始に努力する」と表明した。

 日本の農業に悪影響を及ぼす懸念の声も聞くが、日本からの輸出が増えヒト、モノ、カネの流れが加速され双方向にメリットがあり、ヨーロッパや韓国などと劣後しないような考えや日本にとって最後に残された唯一のメガEPAである事は日本の外務省内で共有されていると語った。

   商工会議所からは村田俊典会頭と平田藤義事務局長が同席した。

4団体を代表し山田大使(右)に嘆願書を手渡す石川文協会長

左から村田会議所会頭、石川レナト文協会長、山田彰大使、山田康夫県連会長、吉田エドアルドアリアンサ会長

( Fotos: Consulado Geral do Japão em São Paulo)

10人が参加して運輸サービス部会開催

運輸サービス部会(宮川俊介部会長)は、2019 年7月22日午前9時から10時30分過ぎまで10人が参加して開催、進行役は宮川部会長が担当、2019年下期の業種別部会長シンポジウムの発表資料作成のために、物流業界並びに貨物業界、海運業界、旅行・ホテル業界、通信・IT業界、航空旅行業界の参加企業代表は2019年上期の回顧並びに下期の展望、副題:「内外の環境変化にどう対応するか」について、各自が作成したドラフト資料を基に発表した。

2019年上期の回顧では、海上輸送燃料価格の推移、ホルムズ海峡問題、上海とサントス間のフライトレートトレンド、MARPOL2020、パナマ運河の水位低下問題、ばら積み貨物輸送量推移、ヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダム決壊事故による鉄鉱石の大幅減産の影響、米中貿易摩擦、中国の豚ペストによる穀物輸出への影響、旅客業界の単価引き下げ並びに企業規定、航空会社の質の低下、空港の税関ストライキ発生なし、アルゼンチンの為替危機の影響による自動車輸出の落込み、木材パレット燻蒸処理スタンプ不鮮明による貨物遅延などが挙げられた。

2019年下期の展望では、年金改革後の景気浮上への期待、ドル安傾向の為替、航空業界の外資参入許可による競争激化による運賃低下、日系旅行社の過当競争の継続、米朝貿易摩擦の長期化懸念、継続予想のアルゼンチン向け自動車輸出の減少傾向、今年末のブラジル輸出入税関システム「Portal Unico」開始による厳格化アルゼンチンの大統領選挙の行方などが挙げられた。また次回の部会での物流業界並びに貨物業界、海運業界、旅行・ホテル業界、通信・IT業界、航空旅行業界の資料発表者を決定した。

参加者は宮川部会長(ONE)、湯原副部会長(NYKブラジル)、今安副部会長(ブラジル日本航空)、大胡氏(MOL),藤代氏(日通)、金子氏(K-Line)、堤氏(ツニブラ)、上田領事(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、大角編集担当