異業種交流委員会開催

サンパウロ大学教授のアキヒロ・イケダ氏並びに異業種交流委員会の井上 秀司委員長(三井住友保険ブラジル)、伊藤 卓哉 副委員長(三井住友保険ブラジル)が2017年7月19日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と日下野成次総務担当と9月14日午後5時から7時まで文化福祉協会で開催される「鈴木孝憲フォーラム」について打ち合わせを行った。講演会ではシゲアキ・ウエキ元鉱山動力大臣が開催挨拶、アキヒロ・イケダ教授はテーマ;長期視点に立ったブラジル経済、アンセルモ・中谷氏はテーマ;労働法改正、最後に鈴木孝憲氏はテーマ;ブラジル経済・ビジネスを見る視点について講演を予定している。

左から日下野成次総務担当/平田藤義事務局長/サンパウロ大学教授のアキヒロ・イケダ氏/異業種交流委員会の井上 秀司委員長/伊藤 卓哉 副委員長

セアラ州ペセン港湾産業コンプレックス訪問

2017年7月18日に、ジェトロサンパウロと日本商工会議所は、MDICの協力を受け、セアラZPE(輸出加工特区)やその特区内にあるペセン製鉄所(Companhia Siderurgica do Pecem, CSP)、セアラ州のペセン港と特区を含んだペセン産業コンプレックス(Complexo Industrial e Portuário do Pecém, CIPP)、そして連邦技術訓練キャンパスを訪問し、ブラジル北東部への日系企業の進出や投資の可能性を実感してきた。

初めに、フォルタレーザ市にて、セアラ州投資経済局長であるセーザー・アウグスト・リベイロ氏と面談、セアラ州の一貫した産業政策について説明を受けた。北東部でのロジスティクスハブとして、ドイツ空港運営会社のフラポート社がフォルタレーザ空港のコンセッションを落札し、現在投資計画が進められている。またペセン港は、ロッテルダム港湾と協力するプランを敷いて、インフラ整備に力を入れていることを強調した。また、その他、セアラ州の教育水準の高さをアピールし、フルーツ産業、水資源産業、風力発電などにおいてもポテンシャルが高いことを説明した。最後に、セアラ州の潜在ポテンシャルに関する情報が少なく、南東部と比べて投資誘致の難しさを語り、ジェトロやカマラとの協力体制を敷いて、今後更なる交流を図っていくことを約束した。

次に視察一行は、約1時間かけてペセンへ移動、アントニオ・バーマン議員並びにセアラZPEのマリオ・リマ社長他、ダイレクターと会合を持った。特に、ブラジルZPEの成功例であるCSP社と今後のセアラZPEのポテンシャルについて意見交換会を行なった。

CSP社では、リカルド・パレンチダイレクターのガイドの下、製鉄所構内をマイクロバスで移動し、高炉や制御室などの視察を行なった。CSP社は、Vale社並びにPosco社、Dongkuk社のジョイントベンチャーで、特区の恩典を受け、鉄鋼スラブを競争力のある価格で、全体の約95%輸出している。Vale社の強みである原料供給やブラジル政府との連携、Posco社の強みである製鉄所のエンジニアリングと事業計画、Dongkuk社の強みである販売網が上手く機能しており、北東部で初めて建設された製鉄所で、経済効果や雇用効果もあり、セアラ州政府から多大な支援を強く受けていると感じられた。

次に訪問したペセン港では、CSP事業以外の事業拡大を見込んでの拡張計画が進められていることが見受けられ、ロッテルダム港湾と協力をしていく計画があるとの説明があった。最後に、州政府が資金援助をしている連邦技術訓練校も訪問し、産業開発と伴に人材育成制度の準備もしていると説明、日本からの企業進出や投資に向けたメッセージを送っていた。

参加者は、二宮康史政策対話副委員長(ジェトロサンパウロ)、事務局から平田事務局長、吉田調査員

セアラ州投資経済局セーザー・アウグスト・リベイロ局長と面談

アントニオ・バーマン議員並びにペセンZPEのマリオ・リマ社長、ZPEダイレクターとの集合写真

ペセン製鉄所構内の様子(ミクロバスより)

ペセン製鉄所構内

ペセン製鉄所構内(高炉)

輸出向けに並べられた鉄鋼スラブ

2016年6月20日製造鉄鋼スラブ第一号記念碑

制御室にて

ペセン港

ペセン港

連邦技術訓練校

7月の法律委員会月例会開催

日伯法律委員会(藏掛 忠明委員長)は、2017年7月13日午後4時から6時過ぎまで45人が参加して開催、初めにSaeki Advogados外資・会社法担当のMICHELE RESTUM HAIDARパートナーは、 “海外投資家はブラジル国内では一人の共営者とのみ会社設立可能” について、TozziniFreire Advogados税制担当のCAMILA ABRUNHOSA TAPIAS パートナーは、“特別税制規制プログラム及び暫定令MP 783/17, 訓令IN 1.711/17 、省令 PGFN 690/17の概要”について、Trench, Rossi e Watanabe AdvogadosのCAROLINA MARTINS SPOSITOシニア弁護士は、“司法関連の保証と負債に対する効用”について、Gaia Silva Gaede AdvogadosのFELIPE PERALTA ANDRADEシニア弁護士は、 “ICMS-ST に対する新協定52/2017 のインパクト” .についてそれぞれ講演した。

Saeki Advogados外資・会社法担当のMICHELE RESTUM HAIDARパートナー、 “海外投資家はブラジル国内では一人の共営者とのみ会社設立可能”

TozziniFreire Advogados税制担当のCAMILA ABRUNHOSA TAPIAS パートナー、“特別税制規制プログラム及び暫定令MP 783/17, 訓令IN 1.711/17 、省令 PGFN 690/17の概要”

Trench, Rossi e Watanabe AdvogadosのCAROLINA MARTINS SPOSITOシニア弁護士、“司法関連の保証と負債に対する効用”

Gaia Silva Gaede AdvogadosのFELIPE PERALTA ANDRADEシニア弁護士、 “ICMS-ST に対する新協定52/2017 のインパクト”

Camila Abrunhosa Tapias (TozziniFreire Advogados), Felipe Peralta Andrade (Gaia Silva Gaede Advogados), Carolina Martins Sposito (Trench, Rossi e Watanabe Advogados), Michele Restum Haidar (Saeki Advogados) e Luiz Fujio Sato (Marubeni Brasil) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

 

RI / CCIJB

第4回労働法改正案勉強会開催

政策対話委員会(粟屋聡委員長)労働WGは、2017年7月11日午後4時から6時30過ぎまで、前回6月21日の第3回労働法改正案勉強会に続いて、今年4回目の労働法改正案勉強会に20人が参加して開催した。

講師のFATOR ASSESSORIA E CONSULTORIAのジルセウ佐藤氏とダクラス・マイア氏は、現行労働法及び労働改革案の改正点を比較しながら、5月15日の労働法改正案の461条の給与の平等性では、同一価値の労働の全ては性別や民族、国籍、年齢の差別なく同一賃金。性別や民族による差別は、厚生年金制度が定める年金最高給付月額の50%の罰金支払い。468条の契約変更、477条の解約では、解約時に雇用主は労働手帳に解約を記録して管轄機関に連絡、退職金支払い。

また482条の正当な理由のある解雇では、職務実施に必要な医師免許や運転免許の故意による損失を追加したものの立証は困難。484条の合意による労働契約の解約では、雇用主と労働者の合意で解約可能であるが、FGTS積立残高の20%支払い義務及びFGTS積立残高の80%までの引出可能。507条の仲裁条項では、最高年金給付金額の2倍以上の月給を受給している労働者の個別労働契約などについて説明した。

出席者は、粟屋聡政策対話委員長(双日)、東崇徳氏(トヨタブラジル)、佐久間太朗氏(双日)、浜本香織氏(トヨタブラジル)、上床憲司氏(伊藤忠ブラジル)、前田太輔氏(東レブラジル)、秋元壮介氏(キッコーマンブラジル)、森雄太氏(丸紅ブラジル)、米森俊介氏(双日ブラジル)、ジルセウ佐藤氏(FATOR ASSESSORIA E CONSULTORIA)、ダクラス・マイア氏(FATOR ASSESSORIA E CONSULTORIA)、柳本安紀氏(双日ブラジル)、加藤周平氏(南米新日鐵)、井上英樹氏(ホンダ・サウスアメリカ)、宇野怜輔氏(損保ジャパン)、山内悠輝氏(損保ジャパン)、平田藤義事務局長、吉田章則調査員、近藤千里アシスタント、大角総丙編集担当。

左から講師のFATOR ASSESSORIA E CONSULTORIAのダクラス・マイア氏/ジルセウ佐藤氏

何故アルゼンチンは投資先として有望か

昨年7月、JETROが変革するアルゼンチンに大型インフラミッションを派遣してから丁度1年が経つ。また同年11月に安倍総理が訪亜、日・亜経済フォーラムを開催、マクリ政権誕生以降、特にアルゼンチンが注目を集めている。昨年11月、石毛博行JETRO理事長は亜国に於けるビジネス機能強化のためJETRO事務所の再開を宣言、既にJETROブエノスアイレスには紀井寿雄所長が就任している。

今回、JETROはサンパウロ・ブエノスアイレス サービス産業海外進出支援ミッションを7月10日から13日の期間に派遣した。スペイン語、ポル語も堪能な紀井所長が今回の現地でのミッション受け入れの立役者を担った。

同ブエノスミッションには日本から4社が参加、7月12日のブエノスアイレスミッションにはチリ―から日本企業1社、当所会員の日本企業5社に加え、亜国JETROからの特別要請に応えるため又メルコスル共同体を念頭に、会議所から平田藤義事務局長が参加した。
7月12日15時、アルゼンチン投資庁の会議室で結団式を行い、そのまま投資セミナーが行われた。投資庁のRodolfo G. Villalba 副総裁が「何故アルゼンチンは投資先として有望か」と題しアルゼンチン情勢について講演、アルゼンチンのフランチャイズおよびブランド協会メンバーのNelson Perez Alonso氏が同国のフランチャイズ業界について、又Green Eat社の取締役が同社の事業をNTT DATA Everis社のMarcelo Weinbinder CEOがEverisのアルゼンチンでの取り組みについて紹介を行った。(アルゼンチンの岩盤的なブロクラシーを同社で開発中のソフトが解消する日も間近い。)

13日午前中はアルゼンチンで売上1位、2位を争うスーパーマーケットCOTO、ショピングモールAbasto Shoppingを視察後、ミッションの一行を温かく迎えた福嶌教輝在アルゼンチン日本国特命全権大使と市内のレストランで昼食懇談会を行った。
同大使によるアルゼンチンPRを聞いたら誰でも進出してみたい気持ちになる。前向きに弾む話に余韻を残した後に、中南米のE-Commerce市場で売上80億ドル(純利益10億ドル)を誇るMercado Libre社(世界ランクでは日本の楽天を上回る規模)を視察。
中華街を自由見学した後、市内のArgentine Experienceレストランで夕食・解団式を行い、ブエノスミッションは無事成功裏に終了した。

Rodolfo G. Villalba 副総裁によるセミナー概要:
アルゼンチン政府は連邦、州レベルで多岐の分野に及ぶ2,600億ドルの投資機会を設定、金融、エンジニアリング、開発、運営等々での民間部門からの参加を歓迎している。最大規模の投資機会はエネルギーと工業、交通およびインフラ部門である。
交通分野の計画は歴史的に最も意欲的なもので950億ドルに及ぶ。道路、貨物・旅客鉄道、港湾、空港への投資プロジェクトを提案。市内の地域高速鉄道等の都市交通プロジェクトも含んでいる。
合計900億ドルを超えるエネルギーと鉱業の投資機会には広大なバカ・ムエルタ・シェールオイルおよびシェールガス田も含まれ、豊富な未採掘地域があり、さらに火力、水力、再生可能エネルギーの入札も用意されている。
600億ドル超のインフラ投資機会には水道・公衆衛生事業、灌漑システム、保健・教育施設が含まれている。
投資機会は丁度1年前(インフラミッション当時)に比べれば約3倍増に膨れ上がっている。アルゼンチンが如何に人気を集めているのかが一目瞭然だと自信満々にPR。
詳細は下記サイトを参照:

アルゼンチン投資・貿易促進庁のプレゼン資料
http://www.investandtrade.org.ar/docs/pdf/Brochure_Agencia_Digital.pdf

Pdf アルゼンチンOUTLOOK2017 ECOLATINA 社プレゼン資料

 

「第20回日本祭り」開催式に安田篤副会頭が出席

ブラジル日本都道府県人会連合会主催の「第20回日本祭り」の開催式が2017年7月8日午前11時からサンパウロ・エクスポ・エキシビジョン&コンベンションセンターで開催、商工会議所から安田篤副会頭が出席。今年も県人会を中心に53もの団体が各県人会自慢の郷土食を販売、「郷土食広場」のどの県人会ブースにも長蛇の列ができていた。今年7月7日から9日まで開催された「第20回日本祭り」の入場者数は18万2000人で昨年の16万8000人を上回った。

「第3回日伯農業・食料対話」開催

ブライロ・マッジ農務大臣並びに細田健一農林水産大臣政務官を迎えて「第3回日伯農業・食料対話」は、2017年7月7日午前9時からチボリホテルで100人以上の関係者が参加して開催された。

ブライロ・マッジ農務大臣は、100年以上から日本移民がブラジルに来て、農業部門で多大な貢献をした。また日本進出企業もブラジル工業の近代化に貢献して貿易拡大にもつながっている。今後はイノベーション技術や食の安全、害虫駆除、競争力強化で日本の協力に期待している。またブラジルもフルーツ輸出拡大の余地があり、特にアドガボやメロン、付加価値の高い加工食品など日本企業の協力で輸出が期待できる。穀物輸出では道路や鉄道のインフラ整備向け投資が不足して輸送コストが非常に高く競争力が低い。ブラジルにとってインフラ整備で競争力がつき、また日本企業にとっても投資チャンスである。またメルコスールと日本のFTA合意で農業向けテクノロジーによる生産性拡大。ブラジル農産物の輸送コスト削減や輸出拡大のために、日本企業によるブラジル国内の輸送インフラ投資を要請した。

細田健一農林水産大臣政務官は、ブラジルは日本の食糧安定供給では非常に重要であると前置きして、1970年代の日本の農業移住者によるセラード開発で両国関係は非常に深い絆で結はれている。輸送インフラ向け投資は、輸送コスト削減で両国にとっては非常に関心が高く、日伯のビジネス強化、Embrapaとの連携、マトピバ地域を含むインフラ整備が不可欠である。インフラ投資は結婚のように双方が合意しなければならない。今回の第3回日伯農業・食料対話では、よいカップルができることを期待したいと結んだ。

西森ルイス下院議員は、ブライロ・マッジ農務大臣は大規模な農場を経営しているビジネスマンでブラジルの現状をよく理解している。いつも日伯は良いパ―トナーである。 ブラジルは並外れたポテンシャルの天然資源を擁してGDPは世界9位。日伯貿易は66億ドル、そのうち農業関係は32%に相当する20億ドルに達している。日本企業からのインフラ設備投資を歓迎したい。日本からブラジルには和牛やノリ、魚介類の輸出拡大。ブラジルからマンゴーやメロン、アテモーヤ、パパイヤ、柿を輸出したい。ブラジルから日本へのオレンジジュース輸出は60%のシェアを確保しており、豚肉に次いで牛肉輸出に期待したい。一方ブラジルは、ウジミナス製鉄所やカラジャス鉱山の国家プロジェクト、草の根プロジェクトで恩恵を受けている。ブラジルの190万人の日系人のうち18万人が日本在住。インフラ投資は、日本企業にとってチャンスでブラジル国内の雇用創出に結び付くと強調した。

ブラジルにおける穀物輸送インフラの改善セッションでは、ブラジルPPI局のマルコ・シルヴァ特別補佐官は、2016年5月に設立された投資パートナーシップ・プログラム(PPI)は、目標の経済成長率達成のための民間コンセッション並びに民営化を通したインフラ整備部門投資の活性化を目的に設立、12カ月間でPPIの52%を入札、港湾11件や道路6件、鉄道8件、石油・天然ガス2件、電力エネルギー11件、鉱山開発4件の43プロジェクト、南北鉄道、Ferrograo 、Ferrovia de Integração Oeste-Lesteなどの投資計画について説明した。

運輸省ロディステック開発担当局のエヴェルトン・コレイア・ド・カルモ コーディネーターは、輸送回廊戦略と題して5年までの短期プラン、10年までの中期プラン、25年の長期プラン、プランのコンセプト、ヨーロッパ圏輸送網を参考にした輸送網戦略、2002年に設立されたGEIPOT会社、大豆やトウモロコシ、砂糖、鉄鉱石、自動車、燃料、牛肉の輸送、中西部地域並びにマトピバ地域の穀物輸送、現在の穀物輸送は、南東部地域並びに南部地域の港湾からの輸出が主で輸送コストが非常に高いが、北部回廊整備で大幅な輸送コスト削減の可能性などについて説明した。

ブラジル三井物産の土屋信司社長は、2030年までに世界の人口は2015年比16%増加の85億人に達するが、ブラジルの栽培可能耕地面積は3億9000万ヘクタールで現在は僅かに15%の耕地面積で栽培されており、世界最大の未耕地面積を擁している。2015/2016年の穀物輸出は5100万トンであったが、2020/2021年には45%増加の7400万トンまで拡大して米国を抜いて世界トップ、2015/2026年には8600万トンまで拡大すると予想されている。

今後5年間に大豆並びにトウモロコシの生産は18%増加。マトピバ地域では26%増加。三井物産は資源大手ヴァーレ社の一般貨物輸送事業を行うVLI社に20%出資して主に鉄道輸送に投資しており、三井物産はVLI社を通して穀物輸送に貢献。VLI社は2014年から5年間で90億レアルの投資を予定、5カ所の穀物ターミナル、7000車両の貨車、250台の機関車購入に投資予定。サントス港湾ターミナルでは、年間280万トンの取扱量を年間1450万トンまで拡大、そのうち穀物並びに砂糖派生品は年間900万トン、肥料などは年間550万トンの拡大計画をヴィデオで紹介した。

マトピバ地域を抱えるマラニョン州商工局のグスターヴォ・ラーゴ氏は、イタキ港への日本企業の投資、JICAの協力体制、トカンチンス回廊、マトピバの穀物輸送、イタキ港整備向けの投資計画、トカンチンス州の穀物ターミナル能力、2014年の大豆輸出は350万トン、2015年は500万トン、2019年には1200万トンまで拡大計画、年間1200万頭の牛肉輸出能力などについて説明した。

トカンチンス州経済開発・科学技術・文化観光局のアレクサンドロ・デ・カルモ・カストロ局長は、「ブラジルから世界へ」と題して、トカンチンス州の穀物並びに牛肉、魚類輸出、南北鉄道を通したイタキ港からの輸出、道路インフラ整備向け投資、トカンチンス河やアラグアイ河の水上輸送、トカンチンス州南東部地域開発のProdesteプロジェクト、トカンチンスアグロプロジェクト、今年9月にZen(Zona Especial de Negocios)を日本で紹介することなどを説明した。

バイア州企画開発局のロメウ・テンポラル コーディネーターは、「バイア州の投資チャンス」と題して、南北鉄道、サンフランシスコ河の水上輸送、イリェウス港湾整備、サルバドール市の新都市拡大計画、サルバドール市近郊のアラツ港、東西統合鉄道計画、南港湾プロジェクト、再生可能エネルギー投資計画などについて説明した。

最後に南大河州南部地方開発銀行のオダシール・クレイン総裁は、初めに南大河州政府のイヴォ・サルトリ州知事が日本からの投資を重視していると説明。農産物や電力エネルギーの生産性をあげるためには日本の投資が不可欠。特にインフラ整備部門への投資を期待。また州都ポルト・アレグレ市に隣接するパット湖の水上輸送投資に触れ、連邦政府はPPIプロジェクトを奨励しているにも関わらず、南大河州政府は資金不足に直面しているコットなどを説明した。

細田健一農林水産大臣政務官は、民間企業関係の参加者が多いのはブラジルへの投資の関心の高さのあらわれであるが、投資リスク軽減と利益確保が重要、連邦政府の外貨規制改善やOECD加盟プロセスを高く評価したいとコメントした。

ブラジルにおける投資・ビジネス環境の改善セッションでは、ブラジル日本商工会議所食品部会の秋元壮介副部会長は、日伯連携強化の提言として、2014年並びに2016年の提言として競争力強化、通関手続きの簡素化、付加価値の向上、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)との産学交流促進、環境負荷の低減、バリューチェーンの価値向上などについて説明した。

三井アリメントスの降旗英樹氏は、「ブラジルにおける持続的成長のコーヒー事業」について、三井アリメントスの世界事業展開として、グループ企業の従業員は65か国で4万3600人、462子会社を擁している。ブラジルからのコーヒー輸出は主にアジア地域。国内マーケット向け製品紹介、ブラジルは世界トップのコーヒー生産国で消費は2位、2012年からのコーヒー輸出推移、日本向けコーヒー輸出推移、ブラジル国内のコーヒー生産はミナス州が53%でトップ、エスピリット・サント州は25%で2位、バイア州やロンドニア州、サンパウロ州、パラナ州、マット・グロッソ州でも僅かに生産、コーヒー栽培面積は、減少しているものの収穫高は上昇して生産性が上昇。持続的コーヒー栽培についての提案を紹介した。

ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)と日系企業の連携体制の構築セッションでは、島津製作所の的場俊英社長は、「ブラジル農産品品質に関する食料安全の分析テクノロジー」と題して、ノーベル化学賞受賞した社員の田中耕一氏の研究内容や科学技術で世界に貢献する自社を紹介、ブラジルには1988年に進出、カストマーソリューションセンター設立、自社の分析機器紹介、残留農薬問題、EMBRAPAや国立農業研究所、大学機関などにおける自社機器の利用、2014年から宮崎県と食品安全でパートナーを組んで残留農薬分析のための安全分析センター開設、島津製作所の提案として、カストマーソリューションセンターの分析機器の提供、技術者支援、技術者養成などについて説明した。

NEC社の髙田 正純社長は、NEC社の紹介ではグループ企業数は217社で従業員総数は10万人、160か国に進出、ブラジルには50年前に進出、社会に貢献するNECソリューション事業、ICTを通してブラジルに貢献、E-Voucher Solutionの説明、センサーで集積したデーターを分析してブラジル農業の生産システム向上への貢献を提案した。

最後に、ブラジル日本商工会議所とブラジル農牧研究公社との連携体制の構築について共同発表が為された。

Pdf「ブラジル日本商工会議所(CCIJB)とブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)の産学連携に関する共同発表」

佐藤 悟大使よりブラジルに進出している日本企業に対して実施したアンケート等に基づく「日本側からブラジル側への提案書」について説明を行い、細田政務官より伯側に手交した。

Pdf日本側からブラジル側への提案書

Pdf日本側からブラジル側への提案書(ポルトガル語)

APEXのエドアルド・カルダス氏は、ブラジル輸出投資振興庁(APEX)の輸出プロモーション、ミッション、対日輸出品目、農業のイノベーション技術や持続可能農業、付加価値向上開発などについて説明。日伯相互のビジネスの強化セッションでは、農林水産省退陣官房の柱本修参事官は、「南米の日系農業従事者との協力や交流プロジェクト」について、プロジェクトのバックグラウンドとして、100年以上の日本移民によるブラジル農業への貢献、190万人に達するブラジル国内の日系人口、1970年代から開始した国家プロジェクト、ブラジルは世界トップの穀物生産国で日本への安定食料供給の重要性。ブラジル並びにアルゼンチン、パラグアイ、ボリビアの農業リーダーの育成、サンパウロや日本での研修、日本とラテンアメリカの棒業ビジネス開発などについて説明した。

東キリン社の尾崎英之社長は、83年前の東キリン社の設立は日本移民のための日本酒造りから開始、三菱グループの三綱領、東山農場のロケーション、米や味噌、ミリンなど製品類の紹介、日本酒生産のオートメーション化、日本酒の生産量推移、2008年のISO 9001取得、2004年のISO 14001取得などを説明した。

Foram discutidos potenciais investimentos no país e abertura de mercado do Japão a produtos brasileiros. 
(Foto: Divulgação/MAPA)

(写真提供 ニッケイ新聞 國分雪月記者)

ブラジル三井住友銀行の井上和雄 氏が「ブラジル金融マーケットの歴史と仕組み」と題して講演

金融部会 部会( 栗原 裕二部会長)は、2017年7月6日午後4時から5時30分までラジル三井住友銀行の井上和雄氏を講師に「ブラジル金融マーケットの歴史と仕組み」と題して講演、会場一杯の40人が参加。田中 泉副部会長は、開催挨拶でわからないことが多いブラジルの金融システムを為替業務などに造詣の深い井上和雄氏に分かりやすく説明してもらうと紹介した。

井上和雄講師は、ブラジルの金融マーケットは、木の幹に実をつけるジャブチカバのように先進諸国とはかけ離れたブラジル独特の制度であると説明。ブラジルはハイパーインフレで苦しんできた歴史があり、指数連動のインレグレーションを1964年に開始、過去15年間の累積インフレは300倍パーセント。大幅な財政調整や新通貨「レアル」を導入した1994年のレアルプランから収束。1996年6月に金融政策としてインフレ目標政策を導入、インフレ指標としてIPCAを採用、今年から今後3年間のインフレ目標を決定している。

インフレ目標政策を導入した1996年から目標未達に終わったのは昨年を含めて5回のみ。インフレ指標としてIPCAを採用後の累計IPCA指数は4743.30%。中銀がIPCAを導入したのは最低サラリーの40倍まで計測が可能で、データーは1970年から蓄積されている。ブラジルではインフレ目標は国家通貨審議会(CVM)が決めているが、先進諸国では中銀が決めている。中銀は1979年に中銀国債システム(Selic)、1986年に無担保翌日物銀行間金利(CDI)を導入、Selic金利はあくまで誘導目標金利であり、金融政策委員会(Copom)で決定。過去にはハイパーインフレが継続したために、1967年以降では5回のデノミネーションを相次いで実施。1999年には固定相場制から連動相場制に移行したが、現在は介入が正式に許容された変動相場制となっている。

IMFによる為替制度の定義ではブラジルは自由変動相場制ではなく、また為替介入として通貨スワップやFXクレジットライン、実弾介入、租税改正がある。レアル相場は海外資本規制と密接な関係がある。ブラジルでは一般に金利は複利で計算、複利回数が多いほど有利となる。また年利は252日で計算。為替取引ではスポット取引並びに日本よりも先に導入された先物取引があり、ブラジルでの先物取引とスポット取引の10倍以上。ブラジルではデリバティブ商品取引が盛んに行われている。代表的なデリバティブ商品として先物為替(DOL)、レアル金利先物(DI)、ドル金利先物(DDI)。一般的な為替ヘッジ手法として為替予約とNDFが主流を形成、5年以上の中長期の為替ヘッジなどについて説明、質疑応答ではSelic金利と銀行金利、為替介入、スワップ取引、社会開発銀行(BNDES)の長期金利(TJLP)などについて質問された。

講演中のラジル三井住友銀行の井上和雄氏

初めての日本語による2017年上期税制変更セミナーは大評判裏に終了

日伯法律委員会( 藏掛忠明委員長)並びにコンサルタント部会( 西口阿弥部会長)共催による初めての日本語による2017年上期税制変更セミナーは、2017年7月4日午後1時50分から5時30分までマクソウドホテルに80人以上が参加して開催、西口阿弥部会長が進行役を務めた。

初めにEY社の林 裕孝 シニアマネージャーは、テーマ BEPS (税源浸食と利益移転) とは何か、在伯企業に与える実務影響について、グローバル企業によるクロス・ボーダー取引増加に伴う脱税による税収減や財政赤字防御に対して、OECD主導によるBEPS報告書の15アクションで特にブラジルの日本進出に影響あるアクションの説明、移転価格税制に関する新規情報提供、日本本社と連携した税務情報の収集と税務コスト/リスク管理、ブラジルにおけるBEPS影響、国別報告書開示事項などについて説明した。

DELOITTE TOUCHE TOHMATSUの池谷 裕一 シニアマネジャーは、ビジネス税務の主要ポイントについて、ビジネスマンが最低限知っておいてほしい情報提供として、61種類に及ぶ連邦税や州税、市税、OECD加盟国平均の12倍に相当する税務コスト、税収の10%に相当する政治汚職、税制改革の背景として徴税効率化以外にも税制のシンプル化による経済活性化による雇用創出、国民の生活向上を図る好循環化。税制改革や労働規制改革、年金改革の国会での主な討議内容などについて説明した。

KPMG日系企業総合窓口、GJP南米地域統括責任者の吉田 幸司 駐在パートナーは、“eSocial”について、連邦政府は“eSocial”及び“EFD-REINF”導入によるクロスチェックによる整合性、情報提供が年次から月次に変更 、SPEDプロジェクトの進捗状況、“eSocial”及び“EFD-REINF”の統合効果、DCTF WEBの目的や効果、“eSocial”及び“EFD-REINF”の適用時期や導入による影響、検討事項、導入事例、準拠できない場合のリスクなどについて説明した。   

FATOR ASSESSORIA E CONSULTORIAのダグラス・マイア弁護士がポルトガル語で説明後に佐藤ジルセウ弁護士が日本語に翻訳、課税対象:消費から所得へと題して、経済的観点から見る税金および法律的観点から見る税金の相違、2015年7月開始の税制改革の推移、消費と所得対象課税の比較、課税対象別税収、国会で審議中の税制改革法案では、消費を対象とする税金(PIS, COFINS, ICMS e ISSQN)を減らし、代わりに2つの税金「IVA (付加価値税)とImposto Seletivo(選択税)」を設ける上、所得をベースとする税金(所得税)を増やすことなどの改革案について説明した。

 PWCの矢萩信行 ディレクターは、送金時に関る税務事項について、サービス、ロイヤリティ及びソフトウエアの概念、ブラジル国内の各サービスに関する税金および納税者、税率、銀行への書類提出の有無、厳選税率の非課税/減税、関連会社間のコストシェア契約、配当や利子の送金の留意点などについて説明した。

質疑応答ではBEPS国別報告書提出、移転価格税制、OECDへの加盟、税制改革の遅れ、ビットコイン、ロイヤリティ送金などが話題となったが、大半の参加者からの日本語による税制セミナー開催継続の要望が強く、非常にわかりやすい税制変更、労働法改正、年金改革の解説や現状の説明に満足していた。

PdfEY社の林 裕孝 シニアマネージャー テーマ BEPS (税源浸食と利益移転) とは何か、在伯企業に与える実務影響

PdfDELOITTE TOUCHE TOHMATSUの池谷 裕一 シニアマネジャー ビジネス税務の主要ポイント

PdfKPMGの吉田 幸司 駐在パートナー “eSocial”

PdfFATOR ASSESSORIA E CONSULTORIAのダグラス・マイア弁護士 佐藤ジルセウ弁護士 課税対象:消費から所得へ

Pdf PWCの矢萩信行 ディレクター 送金時に関る税務事項

Cláudio Yukio Yano (PwC), Aya Nishiguchi (EY), Koji Yoshida (KPMG), Hirotaka Hayashi (EY) e Yuichi Ikegaya (Deloitte Touche Tohmatsu) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

Dirceu Sato e Douglas Leonardo Costa Maia (Fator Assessoria e Consultoria), Aya Nishiguchi (EY), Cláudio Yukio Yano e Nobuyuki Yahagi (PwC)

 

異業種交流委員会は今年の委員会活動で意見交換

異業種交流委員会の井上 秀司委員長並びに伊藤 卓哉副委員長が2017年6月30日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長並びに日下野成次総務担当と今年の委員会活動について意見交換を行った。

左から平田藤義事務局長/日下野成次総務担当/異業種交流委員会の伊藤 卓哉副委員長/井上 秀司委員長