6月の懇親昼食会は、2017年6月23日正午から午後2時までブッフェ・コロニアルに150人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務めた。初めに特別参加者として、Embrapa研究開発局のLadislau Martin Netoエグゼクティブディレクター、中前 隆博 在サンパウロ日本国総領事/会議所名誉顧問、日伯セラード農業開発協力事業(PRODECER5)の立役者CAMPOS社のEmiliano Botelho社長が紹介された。
会頭挨拶で松永 愛一郎会頭は、今日の懇親昼食会は中前 隆博 在サンパウロ日本国総領事の送別会を兼ねていると述べ、初めに5月24日、食品部会(藤江太郎部会長)は7月開催予定の第3回日伯農業・食料対話セミナー開催、議題としてブラジルにおける穀物輸送インフラ並びにブラジルの農産物輸出に関するビジネス環境、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)との産学交流促進やEMBRAPAの業務内容紹介の機会設定、最近の日伯政府間の農業・食料関係動向、第3回日伯農業・食料対話セミナーに向けてのスケジュール調整などについて意見交換した。
続いて政策対話委員会の活動として、6月7日に第2回及び6月21日には第3回目の労働法改正に関する勉強会が政策対話委員会労働ワーキンググループの主催で開催。いずれも約20人が参加して、会議所会員であるジルセウ佐藤氏とダクラス・マイア氏による労働改革案の相違点や解釈の違いについての説明が行われた。6月9日には、2017年の活動計画について、13人が参加して課税ワーキンググループ会議が開催。6月12日、政策対話委員会と全国工業連合(CNI)が参加して2国間協定などに関する意見交換会開催。また6月12日、インフラワーキンググループは、FVG大学のクラウジオ・フルタド教授を招聘して、インフラ投資における為替リスクに対する新しい為替保険モデルに関する勉強会に22人が参加して開催。
6月13日には、産業競争力強化・中小企業支援ワーキンググループが、ABDIとの技術協力合意書や2017年の活動計画について、13人が参加して意見交換会を開催した。5月20日には、食品部会(藤江太郎部会長)主催でモジダスクルーゼス市のMNグループの見学会が40人以上参加のもと開催。MN社社長の松田氏による発表の他、CETAL食品分析センター、プロポリス工場と焼酎工場見学、見学会の後にMNラーメン店にて試食が行われ、非常に有意義な見学会となった。
また6月6日(火)~8日(木)、ジェトロ並びに商工会議所の相互啓発委員会と企画戦略委員会が共同でビジネス・投資環境調査を目的とした約20社の日本企業のミッションをパラグアイに派遣、工場、港湾インフラ、大型小売店舗等の視察を実施。 4月には会議所大会議室でレイテ パラグアイ商工大臣参加のもと会議所大会議室でビジネスセミナーが開催されていた経緯があった。
6月14日午後、日伯法律委員会(藏掛忠明委員長)並びにコンサルタント部会(西口阿弥部会長)共催による2017年上期税制変更に関するセミナーがマクスルドプラザホテルで開催、110人が参加。 会員企業であるコンサルタント会社や弁護士事務所の専門家が直近の税制に関する変更や改定について説明した。
連絡事項では、政策対話委員会課税WGの古本尋海グループ長は、課税に関するアンケート調査への協力要請として、世界でもっとも複雑なブラジルの税制について、ブラジル政府にいろいろ要請しているが、6月13日から月末までアンケートを実施しているので協力を要請。金融部会の田中 泉副部会長は、講演会「ブラジル金融マーケットの歴史と仕組み」の案内について、6月14日に回章で案内しているが、ブラジルに新たに赴任する駐在員やブラジル金融マーケットに関する知識を深めたい人向けのセミナーで複利計算やデリバティブ商品など欧米と違うマーケットで勉強になる。まだ若干席があるので参加を要請した。
日伯法律委員会の吉田 高幸副委員長は、日本語による2017年上期税制変更に関するセミナー開催案内では、7月4日(火)13時50分~17時30分までマクスルドプラザホテルで開催、法律委員会から5人の税務専門家が講演、税制改革法案やe-Social、 ICMS税などについて講演を案内。在サンパウロ日本国総領事館の藍原 健副領事は、第3回日伯農業・食料対話について、すでに第3回日伯農業・食料対話に関するアンケート調査を実施。7月7日にサンパウロ市内のホテルで開催予定。ブラジル連邦政府との間で平成26年8月の安倍総理のブラジル訪問の際に、両国農業省間で農業・食料分野における官民合同の対話の開催決定、これまで平成26年12月に第1回日伯農業・食料対話、平成28年2月に第2回日伯農業・食料対話を実施。第3回日伯農業・食料対話を開催し、①穀物輸送インフラ改善、②日系企業とブラジル研究機関(EMBRAPA)との産学連携、③ブラジルの投資環境整備等をテーマに、ブラジルにおけるフードバリューチェーン構築に関する意見交換。ブラジル農務省との間でスケジュールを調整中で参加を案内した。
代表者交代では、国際交流基金サンパウロ日本文化センターの深沢 陽所長は、3年の任期が過ぎで今月帰国予定。着任中はリオオリンピックなどのスポーツの祭典だけでなく、ジャパン・ハウスなどの立ち上げなど文化祭典も多かった。確固とした日系人社会のおかげで受け入れ団体があり、文化交流のしやすさでは世界トップであり、またカマラが日本人会を兼ねている組織には驚いた。平田事務局長の先導に感謝していると述べた。後任の洲崎 勝所長はメキシコに10年勤務。ブラジルでは企業に適した文化交流を推進したいが、スペイン語交じりのポルトニョールで話すので理解を求めた。
帰国するNTT DOCOMO BRASIL SERVIÇOS DE TELECOMUNICAÇÃO LTDA.の大渕 博亮社長は、サンパウロで4年3カ月勤務、一人社長として赴任、マサエさんと二人三脚で基礎を築けた。またゴルフでは理事長杯やホールインワンを達成。皆様には感謝の一言ですと述べた。後任の吉澤 俊明社長は、10年間IoTに携わってきた。国によって事情は違うがサッカーボールやゴルフボール関連のブラジル発のIoTを作っていきたいと意気込みを語った。
YOKOGAWA AMÉRICA DO SUL LTDAの正田 康晴社長は、3年間のブラジル勤務であったが、不況のあおりで案件が少なかった。しかし後任の吉川さんは、マーケット専門で農業など新しい分野でパワーを発揮してくれると期待、新しい分野で事業拡大するので日系社会の支援を要請した。後任の吉川 光社長は、マーケティング専門でIoT技術を使ってマーケットを開拓したいと述べた。
新入会員紹介では、YOKOHAMA RUBBER LATIN AMERICA INDÚSTRIA E COMÉRCIO LTDA.の淺羽 英樹社長は、2008年にブラジルに進出したが、カマラ活動を停止していた。今回カマラに再入会。YOKOHAMAタイヤには隠し味のオレンジオイル使用のために低温や降雨時でもタイヤと道路の接触が良いと説明、松永 愛一郎 会頭から会員証が授与された。
3分間スピーチでは、ブッフェコロニアの吉川 卓志社長は、懐石料理店「RYO」では会員向けに30%の特別割引を行っていると説明。東 直子 ライス氏は“Litro de Luz”ONGの事業紹介で、ペットボトルを用いて太陽光エネルギー発電で世界20カ国の最貧国で無償事業展開を説明。田港 アナパオラ氏は、Interkaikans Beneficenteについて、1994年から憩いの園、子供の園、安らぎホームなどに寄付を行っていると説明。矢野 リカルド氏は、ABEUNI日系人グループについて、30年間に44都市で2,000人の医者や看護婦のボランテアが医療キャラバンを展開していると説明。梶山 秀雄 アンドレイ氏は、Seinen Bunkyo並びにInterkaikans、サンパウロ総領事館支援によるリベルダーデ地区再生の一環として大掃除のミッションなどについて説明した。
Embrapa研究開発局のLadislau Martin Netoエグゼクティブディレクターは、「農牧業の未来、研究とイノベーションの重要性」と題して、今後50年間の人類の10大挑戦として、2050年までにアフリカやアジアを中心に23億人の人口増加に対応する食料増産、2015年に2億トンを突破したブラジルの穀物生産並びに農産物の貿易収支の推移、今年の穀物生産は2億3,000万トン予想、食肉2,620万トン、フルーツ3,890万トン、酪農製品3,520万トン、2050年までに世界の食糧生産は70%増産が必須であるが、そのうちブラジルは40%増産を余儀なくされている。
ブラジルの熱帯農業開発、世界平均の再生可能エネルギー元は僅かに14%であるがブラジルは45%で二酸化炭素ガス排出は非常に低い。ブラジル国内の耕作可能面積は8億5,000万ヘクタール、そのうちアマゾン保護地域は5億ヘクタール、現在の穀物や農産物の栽培面積は7,000万ヘクタール、そのうち再生林は600万ヘクタール、サトウキビ栽培は800万ヘクタール、放牧地は1億9,000万ヘクタール。2050年の世界の経済大国は中国、インド、米国、インドネシア、ブラジルは5位、ロシア、メキシコ、日本は現在の4位から8位に後退、世界の灌漑地域地図、2,080年までの気候変動による影響、ブラジル農業に対するテクノロジーの比重の推移、ブラジル国内の農村部と都市部の人口推移、農業部門へのビッグデーター並びにIoTの活用、17州に点在するEmbrapaリサーチネットワーク網、70農業大学との提携、46カ所に及ぶEmbrapa開発センター、8,860人の従業員、2,500人に及ぶ科学博士、2,500人のアナリスト、今年の予算10億ドル、米国並びに日本、中国、ドイツ、英国、フランスとの科学技術提携、アフリカ諸国との技術提携、2014年―2034年のターゲットにしたインテリジェンシーフラットフォームEmbrapa“AGROPENSA”戦略、EmbrapaProjects -IT Toolsのマネージメント及びモニタリング、R & D Topics、セラード農業におけるメインテクノロジー、2010年―2020年の低二酸化炭素排出農業計画、ブラジル新興農業開発地域のマラニョン州(MA)南部、トカンチンス州(TO)東部、ピアウイ州(PI)南部、バイア州(BA)西部の4地区に跨る「マトピバ地域」の土壌分析並びにインフラ整備、ロディステック、バイオ生物多様性の研究開発、70万サンプルを擁するGeneticBankなどについて説明した。
最後にお別れの挨拶で中前 隆博 在サンパウロ日本国総領事は、「ジャパン・ハウス」並びに有識者懇談会、青年会議所活動に期待。日本政府の文化広報施設「ジャパン・ハウス」の第1 号館は、2017年4月30日に350人が参加して開館。オープン時は4,300人、月末には5,000人、1カ月間で10万人突破、年間目標入場者を15万人としていたが、すでに目標達成。竹細工展示は7月9日で終了。その後はデザイン監修で建築家の隈研 吾氏の作品を展示予定。ジャパン・ハウスは企業とのコラボレーションを考えているので参加を要請。若い日系リーダーの青年会議所ではリベルダーデ地区の清掃を下半期から開始。2年前の6月9日に着任。2年1か月の勤務。若いリーダーが育っている日系社会には楽観視している。雨男の私がカンタレーラ貯水池を一杯にしたがサンパウロ州政府は認めてくれない。2年間でブラキチになったと思う。もう1年勤務すると抜け出せなくなるので潮時ですと笑わせ、松永会頭から記念品が贈呈された。
Embrapa研究開発局のLadislau Martin Netoエグゼクティブディレクター 「農牧業の未来、研究とイノベーションの重要性」
講演中のEmbrapa研究開発局のLadislau Martin Netoエグゼクティブディレクター
左からEmbrapa研究開発局のLadislau Martin Netoエグゼクティブディレクター/松永愛一郎会頭
Ladislau エグゼクティブディレクターにプレートを贈呈する松永愛一郎
お別れのスピーチを行う中前総領事
中前総領事に感謝プレートを贈呈する松永会頭
Fotos: Rubens Ito / CCIJB