6月7日、国際金融公社(IFC)とファイナンシャル・タイムズ紙はロンドンに於いてSASUTAINABLE BNKING 賞の授与式を行った。
世界51カ国100以上の銀行から、151の応募があり(6月7日ファイナンシャル・タイムズ紙スペシャルレポート)、その中から総合トップに選ばれたの は、オランダABNアムロ銀行、次点が英国バークレイ銀行であったが、ブラジルからはブラジル三井住友銀行がカーボン・ファイナンス賞、スダメリス銀行を 傘下に置くABN AMRO REALはエマージングマーケット・サステイナブル・バンク賞に、又伯銀のBANCO DO BRASILはサステイナブ ル・バンカーズ賞を見事に受賞した。
受賞に輝いた3銀行共、当会議所の会員であり極めて名誉な快挙、これを切掛けにCO2排出権取引が今後さらに活発化しそうだ。
1997 年12月11日の気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書において地球温暖化を引き起こす原因とされる二酸化炭素、メタン等について、1990年を ベースとした先進国における削減率を各国別に定め、約束期間内に数値目標を達成する事が謳われた。この京都議定書において京都メカニズム(CDMのメカニ ズム、排出権取引のメカニズム、共同実施のメカニズム、吸収源活動のメカニズム)が盛り込まれ、それから10年を経過した現在、ヨーロッパ、ブラジル、な ど世界的にCO2の排出権取引などを中心に活発な動きがあった。
2006年8月、社会、環境および企業統治の目的を銀行の本来業務に統合 させる事から世界銀行の姉妹機関である国際金融公社(IFC)とイギリスのファイナンシャル・タイムズ紙が共同で持続可能な銀行取引(サステイナブル・バ ンキング)賞を創設、先進国や発展途上国で活動する民間金融機関から応募を受付、同年度から表彰が開始された。
表彰は5つのカテゴリーに 分かれサステイナブル・バンク(持続可能な銀行)賞、エマージングマーケット・サステイナブル・バンク(新興市場の持続可能な銀行)賞、サステイナブル・ バンカーズ(持続可能な銀行家)賞、サステイナブル・ディール(持続可能な取引)賞とサステイナブル・カーボン・ファイナンス(持続可能なカーボン・ファ イナンス)賞から成っている。
事務局長談話
今から約5年前、事務局長として就任直後、対外的な活動に関する仕事の第一歩は、当会議所が一刻も早く在ブラジル主要4カ国の会議所が設立した「炭素委員会」に正式メンバーとして参加する事であった。(下記のCDM活動の歩みを参照)
当 初、幾多の手探りの勉強会を重ねていたが、常に当会議所の活動よりも一歩先行していたブラジル三井住友銀行が遂にカーボン・ファイナンス賞の優秀賞に輝い たのは非常に素晴らしくお目出度い事だ。特に同銀行の内田 肇 地球環境部長は今回の受賞の立役者であり日本でも活躍、昨年は会議所主催のCDMセミナー の講師役も勤めて戴きお世話になった方である。
また、同じ会員企業である地場の他の2行も揃って受賞、CDM先進国になった実感がする。これからもCDMを担当する環境委員会を中心に更なる活動に期待したい。 事務局としてもベストを尽くしフォーローをするつもりである。
当会議所のCDM活動の歩み
2002年8月8日、在ブラジル・ドイツ商工会議所の主導下、アメリカ、フランス、イギリスの4商工会議所が発起人になり「炭素クレジット委員会」が設立された。
第 3回気候変動枠組み条約締約国会議COP3の議長国が日本であった理由から当会議所にも「炭素クレジット委員会」への参加要請があり、当会議所の GIE(外国投資家グループ)メンバーが同年9月23日、炭素クレジット委員会の第1回会合にイタリア、ベルギー、スイスおよびユーロの会議所と一緒に参加。
その後、カーボン・クレデイットの取引が、将来有望なビジネスになる可能性を秘めているため当会議所の貿易部会が中心となって各種勉強会やJETROやJBICの協力を得てCDMの講演会も数多く開催。
主要外国会議所との交流をさらに深めて行く事から2004年4月、当所のGIE委員会の中にCDM研究会を発足。当時の金岡正洋委員長はその目的、組織また活動内容を下記のように策定した。
1) 目的:CDMビジネスの動きにつき情報収集、調査、広報、意見交換等を行うことによって、商工会議所の会員企業のビジネスに資することを目的とする
2) 組織
① GIE委員会の分科会とするが貿易部会、JBIC,JETROの協力を得る.
② 研究会は、特に回数は決めないが、GIEの炭素委員会が2ヶ月に1回の頻度で開催されるので、それをメドとする
③ 研究会への参加は20社程度をメドとするが、特に定数は定めない
④ 会員は会議所メンバーで参加を希望する社全てを対象とする
3) 活動内容
① CDMビジネスについての情報収集
② CDM関連の調査の実施、単独、他機関との協力による調査
③ CDMビジネスについての研究会会員間の意見・情報交換、及び会議所会員に対する情報提供
④ CDM関連のセミナー・講演会の開催
⑤ GIEの炭素委員会に向けての準備、意見調整、提案
4) ブラジル政府等への提言等
その後、CDM研究会は他の主要国会議所の組織に倣い、新たに環境委員会を設け活動を継続、現在に至っている。
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