ブラジル国内の第2四半期の紙・パルプ販売は、18.7%増加の137万トン(2021年9月1日付ヴァロール紙)

紙・パルプ・木材パネル・林業関連生産者団体のブラジル木材工業(Ibá)の発表によると、2021年第2四半期の紙・パルプの国内販売は、前年同期比18.7%増加の137万トンを記録している。

今年第2四半期の製紙・印刷用紙の国内販売は、COVID-19パンデミックで壊滅的な影響を受けた前年同期比では、86.0%の大幅増加の33万3,000トンを記録している。

また今年上半期の国内販売は、印刷用紙、製紙、カード並びに包装紙などが牽引して、前年同期比11.4%と二桁台増加の270万トンを記録している。

また今年第2四半期の木材パネルの国内販売は、建設不動産ブーム並びにCOVID-19パンデミックの影響で減産していたメーカーの生産再開が牽引して、66.8%増加の204万平方メートルを記録。今年上半期の木材パネルの国内販売は、前年同期比43.3%増加の407万立方メートルを記録している。

また今年第2四半期の木炭生産は、16.8%増加の88万1,000トン、今年上半期の木炭生産は、11.3%増加の172万トンを記録、大半の木炭は国内消費に回される。

今年第2四半期のパルプ生産は8.9%増加の565万トン、今年上半期のパルプ生産は、8.5%増加の1,110万トンに達している。一方第2四半期のパルプ輸出は410万トン、上半期のパルプ輸出は、前年同期比マイナス0.8%の777万トンと微減している。

今年上半期の中国向けパルプ輸出は、前年同期比マイナス5.1%の13億5,000万ドル、木材関連輸出総額は41億ドル、輸出の内訳としてパルプは32億ドル、製紙は8億2,900万ドル、木材パネルは1億6,000万ドルを記録している。

今年の穀物生産は、前年比14.0%増加で記録更新予想(2021年8月26日付ヴァロール紙)

国家配給公社(Conab)では、世界的な天候異変はブラジル国内でも大きな影響を及ぼしており、ブラジル国内では旱魃と長期の寒冷前線停滞などの天候異変が継続している。

しかし国家配給公社(Conab)では、2021/22年度の穀物生産はトウモロコシ及び価格高騰が牽引して、前年比14.0%の二桁増加の2億6,960万トンに達し、過去最高記録の更新を予想している。

2021/22年度の穀物生産向け耕作地面積は、前年比4.0%増加の7,140万ヘクタール、また1ヘクタール当たりの穀物の平均収穫量は生産性の向上に伴って、前年比10.0%増加の4,058キログラムが予想されている。

今年のブラジルの穀物生産を牽引する大豆の平均生産は、3.9%増加の1億4,130万トン、最高予想は1億4,700万トン、最低予想は1億3,380万トンが見込まれている。

また今年の大豆向け栽培面積は、前年比3.6%増加の3,990万ヘクタール、最高予想は4,150万ヘクタール、最低予想は3,790万ヘクタールとなっている。生産性は0.3%増加が見込まれている。

今年上半期の天候異変で最も悪影響を受けたトウモロコシの今年の生産は1億1,600万トン、最高予想は1億1,830万トン、最低予想は1億650万トン、栽培面積は3.9%増加の2,060万ヘクタール、最低は1,890万ヘクタール、最高は2,100万ヘクタール、生産性は28.8%増加が予想されている。

今年の米生産は、前年比0.4%増加の1,180万トン予想、最低予想は1,160万トン、最高予想は1,190万トン、フェジョン豆は8.1%増加の270万トン、最低予想は250万トン、最高予想は360万トン、生産性は15.8%増加が見込まれている。

下半期の国際コモディティ商品価格は、上半期程ではないものの高値を維持か(2021年8月18日付けエスタード紙)

世界先進諸国のGDP伸び率の減速並びに全世界で拡散している新型コロナウイルス「インド発症のデルタ変異株」が中国でも感染が広がっている影響を受けて、国際コモディティ商品の価格への影響が予想されている。

今年上半期に高止まりしていた石油、鉄鉱石や食料品などの国際コモディティ商品価格は、世界経済の成長ペースの減速に伴って8月に入って失速、また一部の国際コモディティ商品価格は値下がりしており、多くの投資家は国際コモディティ商品価格の高止まり継続を疑問視している。

中国の青島港の1トン当たりの鉄鉱石価格は、僅か先週1週間で6.0%以上下落の162.07ドルに達したが、7月初めの1トン当たりの鉄鉱石の価格は221ドルと高止まりしていた。

また8月上旬の銅鉱石の国際コモディティ商品価格は3.3%減少、今年初めからの累計の価格下落幅は23.0%に達している。前期同様に北海のブレント原油価格の7.50%下落、今年初めからの累計の価格下落幅は36.55%と大幅な下落を記録している。

今年上半期の国際コモディティ商品価格の上昇で、ブラジルの上半期の石油派生品の貿易収支は104億ドルの黒字を計上、1989年に統計を取り始めて過去最高の貿易収支黒字を記録している。

世界最大の国際コモディティ商品を購入している中国政府は、新型コロナウイルスの「デルタ変異株」流行で感染再燃への対応として、マスクに関する新たな指針を発出、屋外の混雑した場所でも着用を義務付け、経済的に重要な地域の空港や港湾の閉鎖実施で、今後の国際コモディティ商品の価格に大きな影響を与えると予想されている。

製造業部門の急激な生産コスト上昇や一般消費者の物価上昇を懸念する中国政府は、鉄鉱石などの一部の国際コモディティ商品の原材料価格への投機を抑制する措置を講じてきている。 また中国政府は、国内経済の過熱や特定の産業のバルブ崩壊を避けるために、財政政策強化を図ってきている。

ゴールドマン銀行のエコノミストは、中国の第3四半期のGDP伸び率を下方修正し、今年通年のGDP伸び率前回予想の8.6%から8.3%に下方修正した条件として、中国政府が約1カ月程度でCovid-19感染拡大を収束させることを前提としている。

今後の見通しとして、主な国際コモディティ商品の急激な価格減少は発生しない。過去12か月間継続していた国際コモディティ商品は短期的には多少の変動の可能性はあるが、安定的に推移すると予想されている。

一方、コモディティ商品価格の安定性や増加率の高さは、理論的にはブラジルのインフレを緩和するのに役立つ可能性があるが、レアル通貨に対するドルの実質価値の修正が必要となるにも拘らず、ブラジルの政治と経済の特異性を含む他の多くの要因に依存している。

旱魃と寒冷前線停滞による低温で今年の穀物生産前年比1.2%減少に下方修正

国家配給公社(Conab)では、世界的な天候異変はブラジル国内でも大きな影響を及ぼしており、旱魃と長期の寒冷前線停滞で今年の穀物生産は、前年比1.2%減少と下方修正を余儀なくされている一方で、ブラジル地理統計院(IBGE)では、今年の穀物生産は4ヶ月連続での下方修正にも関わらず、前年比0.8%増加を見込んでいる。

国家配給公社(Conab)では、2021年度の穀物生産は、前年比1.2%減少の2億5,398万トンに下方修正しているが、ブラジル地理統計院(IBGE)では、依然として前年比0.8%増加予想にも拘らず、今後も継続して更なる下方修正を行うと予想されている。

国家配給公社(Conab)では、今年の穀物栽培面積は前年比4.0%増加しているにも関わらず、寒冷前線の長期停滞による霜害並びに旱魃による乾燥で、特に中西部地域から南部地域にかけて大きな影響を被っている。

特に今年のトウモロコシの生産は、前年比15.5%減少の8,665万トンに留まると予想、夏収穫の第一期作のトウモロコシは、前年同期比11.0%減少の2,490万トン、第二期作は、19.6%減少の6,032万トンに留まると国家配給公社(Conab)では予想している。

多くの州では僅かな降雨しかなく、その上寒冷前線の停滞で低温度が持続、パラナ州並びに南マット・グロッソ州では、霜が降りて影響を受けているとブラジル地理統計院(IBGE)農畜産部門アナリストのCarlos Antônio Barradas氏は説明している。

今年第1四半期の農畜産部門のGDP伸び率は、大豆生産が牽引して前四半期比5.7%増加を記録、今年初めの今年の農畜産部門のGDP伸び率は、前年比2.0%~3.0%増加が見込まれていたが、旱魃並びに低温、霜害などの影響で前年並みの予想に修正されている。

JBS社は、サーモン養殖の豪資本Huon社買収で水産市場に参入(2021年8月6日付けエスタード紙)

JBS社は、オーストラリアでサーモン養殖で業界2位のHuon社を約16億オーストラリアドルで発行株式の100%の完全買収でグループ傘下収め、初めて水産市場に参入、同社事業のポートフォーリオを拡大する。

JBS社はHuon Aquaculture Group Limitedとの間で、1株当たり3.85豪ドルでの買収に合意、買収金額は4億2,500万豪ドルでレアル換算では16億4,800万レアルに相当、同社の時価総額は、5億4,600万豪ドルでレアル換算では21億1,700万レアルとなっている。

Huon社の同社の株式の53%を所有しているPeter e Frances Bender を含む経営審議会は、全会一致で全ての株主に買収案件への合意を促している。

Huon社はサーモン養殖では33年間の経験を擁しており、オーストラリア国内市場では絶大な信用を得ている。またサーモン養殖は生活の向上に伴って、世界的な需要拡大が見込める魅力的なマーケットとなっている。

Huon社は過去5年間で3億5,000万豪ドルをサーモン養殖事業のインフラ部門に投資、新鮮なサーモンフィレ、真空パックなど付加価値商品開発に投資、オーストラリア国内の卸売や小売市場のみならず、輸出チャンネルの開発に投資をしていた。

ブラジル産フルーツは海外市場でシェア拡大(2021年7月19日付けエスタード紙)

ブラジル産フルーツが世界のスーパーマーケットの果物売り場の陳列棚に並ぶようになってきており、今年は既にコロンビア、ニカラグア、セネガル政府はブラジル産リンゴ、アルゼンチン政府はブラジル産イチジクの輸入許可を出している。

コロンビア向けのブラジル産リンゴ輸出は今年3月に開始、既に100トンが輸出されたが、今年末までには3,000トン~4,000トンのガラ(gala)の輸出が見込まれている。

来年のコロンビアへのブラジル産リンゴ輸出は1万トン、最終的にはコロンビアのマーケットシェア10%に相当する10万トンのブラジル産リンゴ輸出を目指しているとブラジルリンゴ生産者協会(ABPM)海外市場担当のCelso Zancan営業取締役は説明している。

コロンビアでのブラジル産リンゴのマーケットシェア拡大には、南米最大の果物輸出国のチリ産リンゴと競合しなければならないが、ブラジル産リンゴは形状ではチリ産に劣るが、味と色彩ではチリ産より優れているCelso Zancan営業取締役は説明している。

中長期的には、ブラジル産リンゴはペルー政府、エクアドール、メキシコ、フィリピン、タイ並びにマレーシア政府の輸入許可の取得を待っており、これらの国の輸入許可取得で、ブラジル産リンゴ輸出に弾みがつくと予想されている。

中国向けブラジル産ブドウ、アドカド並びにレモン輸出の植物衛生プロトコルを待っているが、ブドウ輸出の植物衛生プロトコルは1年半以内に取得できると予想、900万ドルの輸出ポテンシャルがあるとブラジル果物・派生品輸出協会(Abrafrutas)のGuilherme Coelho会長は指摘している。

ブラジル産アボカドの米国並びに日本向け輸出のチャンスを模索しており、米国並びに日本向けブラジル産果物の輸出開始はブラジル産果物の輸出に弾みがつくと指摘、昨年のブラジル産果物の輸出95%に相当する103万トンはヨーロッパ連合、英国並びに米国であった。

レアル通貨に対するドル高の為替並びに健康志向が追い風となって、今年のブラジル産果物輸出は前年比15.0%増加の10億ドルに達すると予想、今年上半期は既に4億4,000万ドルを輸出、ブラジルの果物生産は世界3位に相当する4,500万トン、500万人の雇用に繋がっている。

ブラジル国内の農業用地は、過去20年間で最高の値上がり(2021年7月12日付けエスタード紙)

IHS Markit社の調査によると、穀物や食肉の国際コモディティ価格の上昇に伴って、ブラジルの穀倉地帯の農業用地の価格が上昇を続けており、今年4月の過去12か月間の農業用地の平均価格は、約30%も値上がりを記録している。

マット・グロッソ州のヴァーレ・ド・アラグアイア地域で、農畜産会社Agro Oeste社を経営するGuilherme Pinezzi Honório氏は、1万1300ヘクタールで大豆、トウモロコシ並びにゴマの生産、牧畜を営んでいるが、過去10年間に亘って農業用地を購入していなかった。

しかしHonório氏は、今年3月のマット・グロッソ州セーラ・ドラーダ地域の750ヘクタールの牧草地、同州サン・フェリックス地域の2500ヘクタールの牧草地を穀物栽培に転用するために購入を決定した。

Honório氏は農地転用の牧草地を購入した土地の価格は、過去20年間で最高の値上がりを記録、4月の過去12か月間では、18.0%の値上がりを記録している。

Honório氏は、農業用地の購入価格は希望価格よりも25%高かったにも拘らず、購入を決定したのは、農畜産物の国際コモディティ価格の上昇並びにインフレ圧力の上昇に伴って、土地の購入を先延ばしすればするほど購入が難しくなると判断している。

Honório氏が農業用地購入を決定した要因として、生産している大豆やトウモロコシ、牛肉の国際コモディティ価格の上昇、レアル通貨に対するドル高の為替、依然として非常に低い政策誘導金利(Selic)、農業向けクレジットの緩和政策が牽引している。

2020年から始まった農畜産製品の国際コモディティ生産ブーム、中西部地域の国道BR-163線の舗装、農畜産物輸出のFerrogrão(フェログラン)と命名されているマット・グロッソ州シノップ市とパラー州ミリチツーバ市を結ぶ1,142キロメートルの鉄道建設構想などの要因で、中西部地域を農業用地価格が値上がりを続けている。

今年4月の過去12か月間のブラジル国内の穀物栽培用農地の平均土地価格は30%値上がりしている。コーヒー並びに植林向け農地は14.0%値上がり、牧草地は11.5%値上がり、サトウキビ栽培用地は10%値上がりしている。パラナ州の穀物栽培向け1ヘクタール当たりの平均農業用地は5万レアル、特にパラナ州カスカベル地域の農業用地は8万レアル~10万レアルで取引されている。

マット・グロッソ州ロンドノポリス市、タンガラーダ・ダ・セーラ市、シノップ市の4月の過去12か月間の1ヘクタール当たりの穀物栽培用地は平均60%~70%値上がりしている。また同州の牧草地も81%値上がりを記録している。

痩せた牧草地を安価で購入して、肥料による土地改良で穀物栽培向け土地に転用すれば、世界的に問題になっている熱帯雨林の伐採を行う必要はないとIHS Markit社アナリストのLeydiane Brito氏は指摘している。

農業専門不動産会社Fazendas Mato Grosso社のMauro Melo共営者は、現在最も需要の高い農業用地はマット・グロッソ州、トカンチンス州、バイア州西部地域並びにパラー州の低価格の牧草地で、土地価格が非常に高い穀物栽培向けに転用する。

大規模な農業用地を積極的に購買しているのは、大規模農業グループ、製造業や小売業のオーナー、ブラジル企業を通した海外投資家もブラジル国内の農業用地に投資を行っている。

Mato Grosso社のMelo氏は、COVID-19パンデミック以前の年間取引は15件から20件のファーム売買契約であったが、COVID-19パンデミック以後の6ヶ月間では、過去20年間で最高となる30件のファーム売買契約が成立していると説明している。

COVID-19パンデミック前の大規模農業用地の分割払いの平均返済期間は6年から7年であったが、現在の平均返済期間は3年、長くて4年に短縮しているとBorges Imóveis Rurais社ブローカーのLuciano Borges氏は説明している。