スザノ製紙はユーカリ短繊維パルプの30ドル値上げ発表(2022年2月18日のヴァロール紙)

世界最大のユーカリを原料とした短繊維パルプ生産を誇るスザノ製紙は、3月1日から1トン当たりのユーカリ短繊維パルプの30ドル値上実施を自社の顧客に通知、世界中の短繊維マーケットに影響を及ぼすと見込まれている。

今年3月1日からのユーカリ短繊維パルプの30ドル値上は、昨年12月以降では4回目の値上げとなり、3月の値上げは、ヨーロッパ向けの1トン当たりのユーカリ短繊維パルプ価格は1200ドルに上昇、北米向けは、現在の1380ドルから1410ドルに値上げされる。

またアジア向けユーカリ短繊維パルプ価格も30ドル値上げされる。Fastmarkets Foexによると、1トン当たりの短繊維パルプの中国向け現金価格は、654.14ドルに上昇、僅か1週間で2.40ドル上昇している。また過去1カ月間の中国市場の価格は、60.90ドルの上昇を記録している。

世界的に短繊維パルプの需要増加に伴って供給が追い付いていないために、短繊維パルプの在庫がタイトになっている。また今年第1四半期は、パルプ工場の保守などで操業停止が予想されているために、昨年末からパルプ価格の上昇を余儀なくされている。

スザノ社は、今年1月に中国向け短繊維パルプ価格を30ドル値上げに成功していた。2月中にアジア市場向け価格の50ドル値上げ、ヨーロッパ市場は30ドル、北米向け短繊維価格の40ドル値上げを検討していた経緯があった。

異常気象による穀物減産で莫大な損害及び食品価格の上昇圧力(2022年2月15日付けエスタード紙)

世界的な異常気象の影響で南部地域の南大河州、サンタ・カタリーナ州及びパラナ州、中西部地域の南マット・グロッソ州は、旱魃による日照り続きで穀物生産に大きな影響を与えている。

ブラジル国家農業連合(CNA) の調査によると、過去数か月間に亘る旱魃の影響で南部地域と南マット・グロッソ州の穀物生産は、2,520万トンの減産が予想されている。

これ等の地域の旱魃による大豆は、1,900万トンの減産が見込まれており、減産による損害額は621億レアルに達するとラジル国家農業連合(CNA) では見込んでいる。

またトウモロコシの第1期作は520万トンの減産で、損害額は83億レアル、コメ生産は89万トンの減産で、損害額は8億6,000万レアル、フェジョン豆の第1期作は12万5,000トンの減産で、損害額は6億1,000万レアルが見込まれている。

2022年1月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は0.54%上昇、1月としては2016年1月に記録した1.27%以降では、最高のインフレ指数を記録。食料品だけで全体の43.0%のIPCA指数を占めている。

また労使間社会経済調査・統計所(Dieese)の調査によると、今年1月の食料品基本バスケット価格調査によると、調査対象の17州都のうち16州都で上昇を記録していた。

コンサルタント会社MB associados社チーフエコノミストのSergio Vale氏は、食料品並びにガソリン価格の上昇で今年のインフレ指数のIPCA指数を前回予想の4.7%から5.8%と1.1%の上方修正をしている。

国家配給公社(Conab)によると、2021/22年度の穀物生産は、南部地域の旱魃の影響で大豆の大幅な減産が見込まれているが、最終予想は、1月の2億8,440万トンの予想を大幅に下回る2億6,820万トンに下方修正されたにも関わらず、昨年の生産2億5,270万トンを5.0%上回る予想で、記録更新が見込まれている。

 

PwCは今年は農畜産部門のM&A加速予想(2022年2月14日付けエスタード紙)

今年は農畜産部門の企業の買収・合併(M&A)が加速すると予想、特に原材料の物流、肥料、飼料、果物部門での買収・合併の増加をコンサルタント会社PwC社のLeonardo Dell’Osoパートナーは予想している。

肥料会社Eurochem社及びラテンアメリカ最大の農産物物流会社Lavoro社は、既に年内の買収・合併を表明、また5件~8件のM&A案件が進行中であり、今後3か月から6ヶ月以内に消費財部門、植林部門並びに肥料部門での買収・合併が成立するとLeonardo Dell’Osoパートナーは予想している。

高止まりしている農産物の国際コモディティ価格、記録更新を続けている穀物生産などブラジル経済を牽引している農畜産部門に対して、有望な投資先を選定している資金の豊富な投資ファンドは農畜産部門に注目している。

2022年及び2023年は農畜産部門のビジネスブームが予想されており、またドローンやビックデータ、IoT、ブロックチェーンなどの最新技術で解決するアグロテック(Aggrotech)の新しいスタートアップ企業が相次いで誕生していることも農畜産部門の企業の買収や合併に拍車をかける要因となっている。

Unigel社は、先週バイア州Aratu-Candeias港から1万8,500トンのアンモニアを農産物向け肥料が不足しているマダガスカル及び南アフリカ向けに輸出した。

Unigel社は、アグリビジネスの関連企業になるだけでなく、アンモニアを生産することでバリューチェーンの統合において重要な一歩を踏み出したと同社のRoberto Noronha Santos社長は説明している。

ミナス州のSatis社は、今年の純収益を前年比40%増加を目論んでいるが、昨年は主に蔬菜向け肥料、有機肥料、生物学的肥料の売上増加が牽引して売上高が32%増加している。

今年は、中西部地域並びにバイーア州西部地域での事業拡大に加え、2022/23年の収穫を目指してパラナでも事業展開をEndrigoBezerra社長は説明している。

2021/22年度の穀物生産は、2億6,820万トンに下方修正も記録更新予想(2022年2月10日付けヴァロール紙)

国家配給公社(Conab)によると、2021/22年度の穀物生産は、南部地域の旱魃の影響で大豆の大幅な減産が見込まれているが、最終予想は、1月の2億8,440万トンの予想を大幅に下回る2億6,820万トンに下方修正されたにも関わらず、昨年の生産を5.0%上回る予想で、記録更新が見込まれている。

国家配給公社(Conab)の予想では、2021/22年度の大豆生産は、1億2,550万トンと1月予想の1億4,050万トンよりも1,500万トンも下方修正されている。今年の大豆生産予想1億2,550万トンは、昨年よりも10.7%減少予想にも拘らず、過去2番目の大豆生産が見込まれている。

2021/22年度の大豆生産は、南マット・グロッソ州中南部地域、南大河州、サンタ・カタリーナ州及びパラナ州の収穫は前年比1,000万トンの減産が見込まれている。今年の南部諸州の大豆生産は、前年比12.7%減少の6,810万トンに留まると予想されている。

南部地域の旱魃による影響を受けて、今年のトウモロコシ生産は、前年の1億1,290万トンから60万トン減少の1億1,230万トンが予想されているが、世界天候異変の影響を受けた前年比では、29.0%の大幅増産が見込まれている。

また今年の米生産は前回予想の1,140万トンから1,060万トンに下方修正、前年比では10.1%の二桁台の減産が見込まれている。一方フェジョン豆は前年比6.4%増加の310万トン、棉生産は前回予想と同じ270万トン予想で、昨年よりも15.0%増産が見込まれている。

FAOは世界的な肥料の需要に対する供給不足の可能性を憂慮(2022年2月8日付けヴァロール紙)

ロシアとウクライナ間の戦争勃発の可能性の上昇に伴って、世界的な肥料供給国である両国からの肥料供給不足による食料品価格上昇への反映を国際連合食糧農業機関(FAO)は憂慮している。

ロシアとウクライナの対立が深まれば両国からの肥料輸出に障害となり、穀物をはじめとした農産物の生産コストを押し上げるために、食料品価格上昇に繋がると国際連合食糧農業機関(FAO)は指摘している。

2022年の先進諸国での農産物生産向け肥料需要は、継続して高止まりすると予想しており、新興国及び発展途上国への供給不足に陥る可能性がある。

FAO貿易市場部門のJosef Schmidhuber副所長は、ヴァロール紙とのインタビューで、地政学的問題についてコメントすることは許可されていないが、トルコ、エジプト、中国、ロシアやその他の農業生産国への肥料供給を保証する必要性を指摘している。

ロシア、ウクライナ及びベラルーシの3国は、肥料の背科的な生産大国であり、特にロシアは窒素・リン酸・カリと三大肥料のいずれにおいても重要な供給国、ウクライナは窒素肥料で一定の地歩を占めており、ベラルーシはカリ肥料の世界的な産出国及び輸出国となっている。

窒素肥料では原料として天然ガスを使用するため、ガス供給をロシアに依存するウクライナは、ロシアとの軋轢が更に高まれば自国の肥料産業は、危機的な状況に陥っている可能性がある。

肥料の三要素のカリウム生産ではカナダ、ロシアに次いで世界3位のベラルーシ―は、米国およびヨーロッパからEU域内への移民の違法な入域を促しているとして制裁を受けているが、ベラルーシ―からのカリウム供給では、劇的で世界的な供給不足には陥らないと予想されている。

ロシアは窒素肥料では世界最大の輸出国であり、カリウムは世界2位、リン酸鉱輸出では世界3位の地位を占めており、ロシアとウクライナとの軋轢が開始されれば、米国並びにヨーロッパは、即座にロシアに対する経済制裁を開始すると予想されている。

昨年の肥料価格が2倍に高騰している影響で、2022/23向けの世界の肥料の消費量は、前年比3.0%減少で推移すると世界肥料協会(IFA) は予想している。

今年の第2四半期に北半球と南半球で窒素とリン派生品の不足が予測されており、これらの肥料価格が現在のレベルを維持すれば、2022/23年の肥料需要の減少をJosef Schmidhuber副所長は指摘している。

たとえば、小麦栽培では窒素肥料が不足した場合、小麦生産量とクオリティが低下するために、少量の肥料で生産可能なトウモロコシに転作する農家が増加すると予想されている。

ブラジル国内で窒素肥料が供給不足した場合は、南マット・グロッソ州、パラナ州、南大河州及びサンタ・カタリーナ州の生産者は、トウモロコシ及び棉栽培から大豆栽培に切り替える可能性をJosef Schmidhuber副所長は指摘している。

2021年の段ボール箱派生品は前年比4.3%増加の408万トン(2022年2月3日付けヴァロール紙)

ブラジル包装紙協会(Empapel)の月間統計速報によると、2021年の経済動向のバロメーターの段ボール箱派生品出荷量は、前年比4.3%増加の408万トンを記録している。

しかし2021年第4四半期の段ボール箱派生品出荷量は、インフレ指数や金利上昇による国内経済の先行き不透明感などの要因で、前年同四半期比マイナス5.3%を記録している。

昨年12月のブラジル段ボール箱指数(IBPO) は、前年同月比4.3%減少の139.3ポイントまで減少、12月としては、2018年同月以降で初めて減少を記録している。

昨年12月の段ボール箱やアクセサリーなどの派生品出荷量は、31万2,800トンを記録し、過去2年間連続で月間30万トンを上回っているとブラジル包装紙協会(Empapel)は指摘している。

季節的な影響のないデータを考慮すると、昨年7月~11月迄5か月連続で減少後、昨年12月の段ボール箱派生品の出荷量は、前月比1.6%増加の31万2,800トンに達し、2021年9月以来の最高値を記録している。また昨年12月の1日平均の出荷量は1万2,777トンであった。

南部地域の旱魃の影響で、今年の大豆輸出は前年比5.0%減少予想(2022年1月27日付けヴァロール紙)

大手加工業者や貿易業者が加入しているブラジル植物油脂工業会(Abiove)によると、2022年の大豆生産は、南部地域の旱魃の影響を受けて減産を余儀なくされるが、今年の大豆輸出は、前年比5.0%に相当する420万トンの減少が見込まれている。

ブラジルの穀物輸出を牽引する今年の大豆輸出は、8,690万トンが見込まれているが、前回の予想9,110万トンから5.0%下方修正されているにも拘らず、2021年の大豆輸出予想8,610万トンを僅かに1.0%上回ると予想されている。

南部地域の旱魃の影響で、今年の大豆生産は下方修正されているにも関わらず、大豆派生品の輸出に対して楽観的な見方をブラジル植物油脂工業会(Abiove)している。

今年の大豆粕の輸出は、前回予想の1,810万トンから前年比6.0%増加の1,830万トンに上方修正、大豆油は前年比3.0%増加の170万トンに据え置かれている。

今年の穀物輸出総額は、前年比19.4%増加に相当する461億ドルが見込まれている。大豆粕の輸出は9.3%増加の81億ドル、大豆油は9.6%増加の22億ドル、大豆派生品輸出総額は、17.3%増加の563億ドルが見込まれている。

2022年のブラジルの大豆生産は、前回予想の1億4,000万トンから1億3,580万トンに下方修正されたが、昨年の1億3,880万トンを22万トン下回る可能性も否定できない。国家配給公社(Conab)の今年の大豆生産予想は、1億3,730万トンとなっている。

農業フィンテックのアグロランド社は1億2,000万レアル調達(2022年1月19日付けエスタード紙)

中小規模向け農業分野向けクレジット部門に特化したフィンテック企業Agrolend社は、同社に投資する企業及び投資家のリスクを分散するために、ブラジル国内の色々な地域や農産物向けのクレジット戦略を拡大している。

Fintech Agrolend社は、金融市場の専門家グループが集まって1年以上前に設立され、シリーズAの投資ラウンドで8,000万レアルを調達した。

シリーズAの投資ラウンドによる8,000万レアルの調達を基に、同社は2021年に4,000万レアルのクレジット、2022年は約4億レアル。 2023年のクレジット総額は10億レアルに達する可能性を見込んでいる。

Agrolend社の資金調達は、ValorCapital Groupが主導し、エンジェル投資家に加えて、米国のベンチャキャピタル企業のContinental Grain社、SP Ventures社、Provence Ventures社、BarnInvest社などの投資家が参加している。 フィンテック企業にとってシリーズAによる資金調達は、クレジット契約、スタッフ、収益を伴う企業としての統合を表すためんは画期的な出来事となっている

Agrolend社は2020年12月に初めて9万レアルの資金を調達、2021年10月には、新クレジット投資ファンド(Credit Rights Investment Funds)を通して4億レアルを調達、この投資ファンドにはItaú Asset社, Verde Asset社並びにAugme社が出資している。

子の4億レアルのクレジットは、ブラジル国内の11州の100市町村以上の大豆、トウモロコシ、コーヒー、牛肉、乳牛、果物、サトウキビなどの農産物生産者300人以上に融資された。

最終的には、農業向け肥料、農薬や農業機械関連の約50再販業者、機械メーカー、その他の企業と提携する必要があった。これらの提携企業は、クレジット供与と農産物生産者の間の架け橋となっただけでなく、クレジット供与される農業生産者のリスク分析にも役立っている。

2022年に計画されている4億レアルのポートフォリオは、すでに同社がクレジットサービスを提供している17州の2,000人〜2,500人の農村生産者向けの農薬、肥料、種子や農業機械向け購入に資金を提供が可能となる。

現在同社の北東部地域での存在感は非常に微々たるものであり、果物輸出の農業フロンティアであるアラゴアス州やセアラー州でのビジネスチャンスを探っているが、この地域では、バイア州南部の生産者にのみクレジット供与しただけに留まっている。

現在、Agrolend社は、パラナ州、南マットグロッソ州、ゴイアス州、マットグロッソ州、サンパウロ州、ミナス州でクレジットを供与している。

Agrolend社は、ロンドニア州などの周辺農業州に浸透を開始、パラー州やトカンティンス州にも進出、ミナス州で更なる強化を図ってマーケットシェア拡大を目指している。

ブラジルは初めてフルーツ輸出額が10億ドル突破(2022年1月17日付けヴァロール紙)

ブラジル果物・派生品輸出協会(Abrafrutas)の発表によると、2021年のブラジルのフルーツ輸出は、前年比18.0%増加に相当する120万トンを記録している。

2021年のブラジルのフルーツ輸出量は、前年比二桁増加の120万トンを記録、フルーツ輸出総額は、前年比20%増加の10億6,000万ドルとはじめて10億ドルの大台を突破している。

昨年のブラジル産フルーツ輸出が10億ドルの大台を突破した要因として、レアル通貨に対する米国ドルやユーロの大幅な為替上昇が牽引、また欧米諸国の健康志向による熱帯フルーツの需要拡大が後押ししている。

2021年のブラジル産フルーツ輸出を牽引したのは、ブラジル産マンゴの輸出は、前年比12.0%増加の27万2,500トンを二桁増加を記録している。

また昨年のブラジル産フルーツ輸出では、ブラジル産リンゴは前年比58.0%増加の9万9,000トンに達している。特にヨーロッパン連合向けブラジル産フルーツ輸出は、全体の70%を占めていた。

南部地域の旱魃予想で今年の穀物生産予想を下方修正(2022年1月11日付けヴァロール紙)

国家配給公社(Conab)によると、2021/22年度の穀物生産は、南部地域の旱魃の影響を受けると見込んでおり、前年を12.5%上回る2億8,439万トンを予想しているが、昨年12月の最終予想の2億9,107万トンを下方修正している。

南部地域の旱魃予想にも拘らず、2021/22年度の穀物生産は、昨年の2億5,279万トンを12.5%上回る2億8,439万トン予想の要因として、すでに確定している夏向け穀物の栽培面積は、前年同期比4.5%増加の7,211万ヘクタールが見込まれている。

南部地域の旱魃予想にも拘らず、今年の大豆栽培面積は前年比3.8%増加の1億4,050万トン予想、昨年12月の最終予想1億4,280万トンを約230万トン下回るが、昨年の2.3%増加が見込まれている。

今年の夏季栽培のトウモロコシ生産は、昨年を僅か0.3%上回る2,480万トン予想。今年の3期作のトウモロコシ生産は、冬期栽培が旱魃の影響予想にも拘らず、前年比29.7%増加の1億1,290万トン予想されている。

米栽培を牽引する南大河州が旱魃の影響を受ける予想にも拘らず、今年の米生産は、前年比マイナス3.2%の1,140万トンが見込まれている。

ブラジル人の食卓に欠かせない今年のフェジョン豆生産は、前年比7.2%増加の308万トン予想、パラナでの減産で昨年末の予想を1.7%下方修正している。