今年8月の住宅賃貸調整率(IVAR) は1,86%と大幅値上率を記録(2023年9月6日付けヴァロール紙)

ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)の調査によると、2023年8月の住宅賃貸調整率(IVAR) は1,86%と大幅な値上率を記録している。

今年7月の住宅賃貸調整率(IVAR)である0,51%の3倍以上の値上を記録、また今年8月の過去12か月間の累積住宅賃貸調整率(IVAR)は7,49%と7月の住宅賃貸調整率(IVAR)の7,37%を0.12%上回っている。

今年7月のサンパウロ市内の住宅賃貸調整率(IVAR)は、前月のマイナス0,35%のデフレから1,46%と大幅な値上げに反転している。

前記同様にリオ市の住宅賃貸調整率(IVAR)は1,00%から1,09%、ベロ・オリゾンテ市は2,54%から2,84%、ポルト・アレグレ市の住宅賃貸調整率(IVAR)は0,58%から2,50%それぞれ上昇を記録している。

一方で今年8月の過去12か月間の前年同期比との住宅賃貸調整率(IVAR)では、リオ市は9,49%から9,42%、ポルト・アレグレ市は5,76%から5,62%、ベロ・オリゾンテ市は10,73%から10,45%とそれぞれ減少を記録している一方で、唯一サンパウロ市の住宅賃貸調整率(IVAR)は5,97%から6,42%に上昇している。

住宅賃貸調整率(IVAR)はブラジル国内の不動産市場における住宅家賃の月次推移を測定するために用いられている。

今年上半期のアパート賃貸料の値上げ幅はインフレ指数の3 倍に相当する9,24% (2023年7月18日付けUOLサイトより抜粋)

ブラジル国内50都市の広告に掲載された販売価格を基準にまとめられる1平方メートル当たりの不動産価格動向を取り扱う「FipeZap」によると、2023年上半期のアパート賃貸料の値上げ幅は、インフレ指数の3 倍に相当する9,24%を記録している。

今年上半期の累積インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は2,87%に留まっているために、上半期のアパート賃貸料の平均値上げ幅9,24%はインフレ指数を軽く3倍以上上回る値上げを記録している。

特に上半期のアパート賃貸料の値上げ幅が大幅に上昇したのは、調査対象の11州都のうちゴイアニア市は24,03%の大幅値上げ、続いてサンタ・カタリーナ州のフロリアノポリス市23,72%、セアラー州フォルタレーザ市は13,56%と二桁台の値上げを記録している。

今年上半期のアパートの賃貸料上昇幅はワンベッドルームのアパートが10.38%増加を記録した一方で、4寝室の増加率は5.05%に留まっている。DataZAP+エコノミストのPedro Tenório氏は、「寝室カテゴリー別のオープン価格の推移を比較すると、2020年2月以降、1寝室の賃貸の平方メートル当たりの価格の上昇が最も少ないと説明している。

平方メートル当たりの賃貸料比較では、サンパウロ州バルエリ市が53,14レアルで最も高い。続いてサンパウロ市48,92レアル、フロリアノポリス市は48,26レアル、調査対象の平均は40,03レアルであった。

 

2023年上半期の各州都のアパートの賃貸料値上げ率比較

 

2023年上半期の各州の主要都市のアパートの賃貸料値上げ率比較

 

2023年上半期の各州の主要都市の平方メートル当たりのアパートの賃貸料比較

 

 

今年上半期のセメント業界は低迷したが、トンネルの先に薄明かりが見える(2023年7月11日付けヴァロール紙)

全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、経済動向の指標の一つである2023年上半期のセメント販売は、前年同期比マイナス1,8%に相当する3,030万トンに留まった。

しかし今年5月からわずかながら回復基調に突入、6月のセメント販売は前年同月比1,3%増加の530万トンとトンネルの先に薄明かりが見える状況となってきている。

今年上半期のブラジル国内のセメント販売は、前年同期比マイナス1,8%に相当する3,030万トンで留まったが、唯一北東部地域のセメント販売は0,3%微増している。

今年5月及び6月のブラジル国内の47%のマーケットシェアを占める南東部地域のセメント販売は、前年同期比でプラスに転じており、回復基調に突入していると全国セメント工業組合(SNIC)のPaulo Camillo Penna会長は指摘している。

今年上半期の中西部地域のセメント販売は、農畜産物の国際コモディティ価格の減少に伴って前年同期比マイナス5%と地域別では最大の落込みを記録、北部地域はマイナス3,5%、南部地域はマイナス2,2%となっている。

今年のセメント販売は前年比±1%前後で推移するとPaulo Camillo Penna会長は説明、下半期の販売は年間売上の約 60%を占めて、主に 9 月~11 月の3カ月間の売上上昇で左右されると指摘している。

ルーラ新政権の新規経済成長加速プログラム(PAC)及び2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を再度経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの新たな限度額35万レアルと低所得層向けの金利引下げはセメント業界にとって朗報とPaulo Camillo Penna会長は説明している。

ブラジル国内のセメント消費の70%が不動産建設部門の売上によるもので、今年は依然としてSelic金利が高止まりしているためにセメント消費にブレーキをかけていると指摘している。

ルーラ政権が大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムで約束した2026年末までの200万戸の住宅建設には、約1,000万トンのセメント需要に相当するとPaulo Camillo Penna会長は胸算用している。

8月に予定されているブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) でのSelic金利の利下げ開始に伴い、年末には金利が1.25ポイントから1.5ポイントの低下予想も今後のセメント販売には好材料となっている。

景気回復で正規雇用が増加すると、労働者の実質氏賃金が上昇、 またインフレと金利の低下で、一般労働者は金融資産への投資ではなく、不動産の購入に戻るようになるかもしれないとPaulo Camillo Penna会長は期待している。

6月の建材部門の売上は前年同月比マイナス3,8% 、上半期の売上もマイナス3,3% (2023年7月10日付けヴァロール紙)

ブラジル建設材料工業協会(Abramat)の発表によると、2023年6月のブラジル国内の建材部門売上は前年同月比マイナス3,8% 、前月比でもマイナス1,9%を記録している。また今年上半期の累積売上も前年同期比マイナス3,3%を記録している。

今年6月の建材部門売上は前年同月比マイナス3,8%、上半期の累積売上も前年同期比マイナス3,3%を記録した要因として、建材部門の仕上げ関連資材の販売減少が牽引、今年上半期の仕上げ関連資材の累積売上は前年同期比マイナス8,7%と大幅に減少した一方で、基本建材部門売上は0,3%増加を記録している。

今年6月の過去12カ月間の建材部門の累計売上は前年同期比マイナス4,4%を記録、特に仕上げ関連資材の売上はマイナス7,6%を記録した一方で、基本建材部門売上は2,3%増加を記録している。

ブラジル建設材料工業協会(Abramat)は、今年の建材部門の売り上げは前年比マイナス1%を予想しているが、昨年の建材部門の売上の前年比マイナス6,9%から回復傾向になると予想している。

今年下半期の金利は依然として高水準で、厳しい下半期になるとブラジル建設材料工業協会(Abramat)のRodrigo Navarro会長は指摘している。

もうすぐ発表が予定されているルーラ新政権の新規経済成長加速プログラム(PAC)及び2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を再度経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムで、今年の建材部門の売上は、プラス予想に転じることをRodrigo Navarro会長は期待している。

今年第1四半期のセメント販売は前年同期比マイナス1.2%(2023年4月11日付けヴァロール紙)

全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、経済動向の指標の一つである2023年第1四半期のセメント販売は、前年同期比マイナス1.2%に相当する1,470万トンに留まっている。

今年3月のセメント販売は前年同月比マイナス2.1%の540万トン、第1四半期の1日当りのセメント販売はマイナス2.3%を記録している。

今年3月の1日当りのセメント販売はマイナス5.9%に相当する21万5,900トン、前月比ではマイナス2.3%となっている。

今年3月の過去12か月間の累積セメント販売は前年同期比マイナス2.3%の6,250万トン、今年2月の今年のセメント販売は前年比0.8%~1.0%増加が見込まれていたが、現在の予想は、高止まりしているインフレや金利、一般家庭の負債増加、高止まりしている生産コストなどの要因で、昨年を若干下回ると全国セメント工業組合(SNIC)の Paulo Camillo Penna会長は下方修正している。

建設資材以外の分野では生産コストが抑制されているが、セメント製造用の資材が再び上昇しており、第 1 四半期の電力エネルギーが 24%、包装紙が 25%、耐火物が 17% 増加している。石油コークスは 2022 年に 3%、今年第 1 四半期に 4% 減少しましたが、2020 年以降では 200% 上昇している。

新築住宅リリース軒数の減少、上下水道関連の法律の変更、税制改革など依然として不透明であり、今後のセメント販売の動向が把握できていない。また2020年~2021年にかけての住宅建築ラッシュによるブームの終焉を Penna会長は憂慮している。

一般基本衛生法に関連する新しい政令は、公的部門の努力を取り入れているという点で肯定的な点がある一方で、工事が始まる時期に規制上の不安をもたらすとPenna会長は指摘している。税制改革については、建設業界は建設面積の優遇措置を及び税率の差別化を要求している。

大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムは今年下半期から加速する一方で、新規の中高級住宅プログラムは減少するが、バランスが取れるとPenna会長は指摘している。

連邦政府は2026 年までに 200 万戸の住宅を建設するという目標は、建設方法 (石積みブロックまたはコンクリート壁) に応じて、その期間に 800 万トンから 1,200 万トンのセメントの追加販売が期待できる。

3月の住宅賃貸調整率は0.97%上昇(2023年4月5日付けヴァロール紙)

ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)の調査によると、2023年3月の住宅賃貸調整率(IVAR) は0.97%上昇したが、今年2月の1.06%の住宅賃貸調整率(IVAR)を下回っている。今年3月の過去12か月間の累積住宅賃貸調整率(IVAR)は、2月の8.73%から8.90%微増している。

今年3月の南大河州の州都ポルト・アレグレ市の住宅賃貸調整率(IVAR)は、2月のマイナス4.71%からマイナス1.67%と唯一上昇している。

今年3月のサンパウロ市の住宅賃貸調整率(IVAR)は2月の2.10%から0.74%と大幅に減少、リオ市も3.11%から2.50%、ベロ・オリゾンテ市も5.97%から4.76%それぞれ減少している。

今年3月のリオ市の過去12か月間の累積住宅賃貸調整率(IVAR)は、昨年3月の9.10%から10.24%増加を記録した一方で、サンパウロ市は7.91%から7.32%、ポルト・アレグレ市も7.42%から6.95%それぞれ減少している。

2020年の新築不動産販売は9.0%増加の一方で新築不動産リリースはマイナス16.0%(2023年3月29日付けヴァロール紙)

18社の不動産会社が加盟するブラジル不動産開発業者協会(Abrainc)の発表によると、2022年の新築不動産販売は、前年比9.2%増加の15万6,700軒と統計を取り始めた2014年以降では最高の年間販売軒数を記録している。

昨年の中高所得者向け新築不動産販売は、前年比67.8%の大幅増加の4万6,900軒を記録した一方で、“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムによる新築住宅販売軒数は、マイナス6.4%の10万5,800軒に留まっていた。

昨年の大衆住宅プログラムによる新築住宅販売軒数は、マイナス6.4%の10万5,800軒に留まった要因として、ボルソナロ政権が昨年下半期に、漸く同プログラム向け補助金の新たな配分や価格上限の引き上げなどの調整を行ったが、昨年上半期の大衆住宅向け新築住宅販売軒数が落ち込んでいた。

今年第1四半期の中高所得者向け新築不動産販売は好調に推移している要因として、不動産購入クレジット金利が高止まりしているにも関わらず、物件の価値上昇がSelic金利を上回っているとブラジル不動産開発業者協会(Abrainc)のLuiz França会長は指摘している。

2022年の平均住宅価格指数IGMI-Rは、政策誘導金利Selicを上回る15.06%と大幅な増加を記録していた。新築住宅価格指数 Abrainc-Fipeは前年比10.0%上昇、平均新築住宅価格は34万4,500レアル、新築住宅の平均価格は11.4%増加の38万1,400レアルであった。

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ政権時の2009年の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムは、2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を行っていた経緯があった。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っている。

大衆住宅プログラム向け暫定令公示(2023年2月15日付けヴァロール紙)

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ政権時の2009年の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムは、2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を行っていた経緯があった。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っている。

大衆住宅建設MCMVプログラムの暫定令では、都市部で大衆住宅を購入できるのは月間総世帯収入が8.000レアル迄、農村部は年間総世帯収入が9万6.000レアルの世帯が対象となっている。

都市部のMCMVプログラムの場合、3ランクに分けられており、ランク1は月間総収入が2,640レアルまでの世帯。 ランク2 回は、2,640.01レアル から 4,400レアル、ランク3は、4.400,01レアルから8.000レアルとなっている。

また農村部のMCMVプログラムの場合、3ランクに分けられており、ランク1は年間総世帯収入が 3万1.680レアル、ランク2は3万1.680,01レアルから5万2.800レアル、ランク3は5万2.800,01 レアルから9万6.000レアルとなっている。

大衆住宅購入のための所得範囲に適合させるために、総家族所得値の計算では、疾病手当、事故手当、失業保険、社会保障院(INSS)の審査待ちの勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)、およびボルサファミリアプログラム、またはそれらに代わる可能性のある他のプログラムは考慮されない。

2022年1月~11月の新築住宅販売は前年同期比12.0%増加(2023年2月13日付けヴァロール紙)

18社の不動産会社が加盟するブラジル不動産開発業者協会(Abrainc)の発表によると、2022年1月~11月のボルソナロ政権下の“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムによる新築住宅販売は前年同期比12.2%増加の9万9,244軒を記録している。

昨年1月~11月の住宅販売軒数は14万6,412軒と2021年の1年間の住宅販売軒数14万3,576軒を既に1.9%上回っている。

“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムによる新築住宅販売軒数9万9,244軒は、Abrainc が手掛けた住宅販売件数の67.7%を占めている。

ミディアムおよびハイエンド セグメントの住宅販売軒数 (MAP) は、住宅販売の売上高の 29.8% を占めている。 その他のセグメントは、販売台数の 3.5% を占めている。

昨年初め11か月間の住宅納入軒数は前年同期比4.5%増加の7万4,319軒、そのうちミディアムおよびハイエンド セグメントは11.7%を占めている。また2021年同期のミディアムおよびハイエンド セグメントの住宅納入軒数は9.3%であった。

 

今年1月のセメント販売は前年同月比6.3%増加の490万トン(2023年2月8日付けヴァロール紙)

全国セメント工業組合(SNIC)の発表によると、経済動向の指標の一つである2022年のセメント販売は、前年比マイナス2.8%を記録した一方で、2023年1月のブラジル国内のセメント販売は、前年同月比6.3%増加の490万トンを記録している。また今年1月のセメント販売金額は前年同月比7.9%増加している。

今年1月の1日当りの平均セメント販売は前年同期比2.4%増加の2万100トンに留まった一方で、前月比では8.1%と大幅増加を記録している。

今年1月の過去12か月間のセメントの累計販売量は、前年同期比マイナス1.5%に相当する6,296万トンに留まっている。

ルーラ新政権の不透明な経済政策動向、高止まりするインフレ、高金利、家族の負債増加などの要因で、今後数か月間のセメント販売は先行き不透明感が増している。

先行き不透明感が支配しているブラジルの政治経済の現状では、今年のセメント販売は前年比1.0%増加の6,400万トンを達成すれば上出来と全国セメント工業組合(SNIC)の Paulo Camillo Penna 会長は割と悲観的な予測をしている。