中産階級向け住宅販売に減速傾向(2021年10月19日付けヴァロール紙)

中産階級以上向けの住宅需要は、今年のインフレ指数や金利の上昇、不透明な政治経済情勢などの要因で、過去1年半継続していた住宅ブームに陰りが表れ始めている。

低所得者層よりも先行き不透明感に敏感に反応する中級・ハイエンドの不動産の顧客は、今後の不動産市場の動向に合わせて住宅購入時により慎重になっている。

建設不動産業界の大手デベロッパーのCyrela社, Even社, EZTec社, Helbor社並びにMelnick社の今年第3四半期の住宅販売リリース軒数は増加しているにも関わらず、住宅販売件数は既に減少傾向を示している。

大衆住宅建設”私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”に替わる今年初めからの“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムの低価格の大衆住宅販売は好調を維持している。

Cury社, Cyrela社, Direcional社, Even社, EZTec社, Helbor社, Lavvi社, Melnick社, Moura Dubeux社, Mitre社, MRV&Co社, Plano&Plano社, RNI社並びにTenda社の今年初め9か月間の累計住宅販売リリース軒数は、前年同期比46.5%増加の240億⒎000万レアルに達している。

前期同様にこれらの建設不動産会社の累計住宅販売総額は、31%増加の212億8,000万レアルを記録したが、第3四半期の累計住宅販売総額(VGV)は、前年同四半期比19%増加の90億2,000万レアルに留まって減速傾向となっている。

第3四半期末の住宅販売リリース軒数が集中したために住宅販売軒数が落ち込んだが、依然として好結果が継続しているとXP住宅部門のチーフアナリストのRenan Manda氏は、楽観的な見方をしている。またCyrela社では、中級・ハイエンド、低所得層向け共に住宅販売需要は依然として旺盛と楽観的な見方をしている。

ConstrutechのAmbar社は1億レアルで競合AutoDoc社を買収 (2021年10月13日付エスタード紙)

米国資本のTPG Capital(旧 Texas Pacific Group)やブラジルのベンチャーキャピタルIgah社が出資しているブラジル建設業界のスタートアップ企業Ambar社は、同業のAutoDoc社を買収した。

Ambar社が同業のAutoDoc社を買収した目的は、建設現場のユニット化の実践と建設現場のデジタル化促進を背景にしており、工程作業の迅速化、建設コスト削減で建設業界での競争力強化を図る。

電気部品、油圧関係並びに上下水道関連部品などを製造して建築資材ユニットとして建設現場に収めている。またデジタルツールを取扱うAmbar社は、プロジェクト管理、安全性、品質、エンジニアや建築家向けのソフトウェア会社のAutoDoc社を1億レアルで買収した。

Ambar社は現在、約1,100カ所の建設現場にサービスを提供しており、不動産市場の活性化に伴って、昨年の同社の収益は倍増した。AutoDoc社の買収で両社は合わせて1,800カ所の建設現場にサービスを提供する。

民間銀行はSelic金利調整前に住宅ローン金利引上げ(2021年9月15日付エスタード紙)

連邦貯蓄金庫は今週中に住宅ローン金利の引下げの発表を予定しているにも拘らず、来週開催が予定されている中銀の金利見直し会議を前に、民間銀行は一斉に住宅ローン金利の引上げ発表を予定している。

来週開催される中銀の通貨政策委員会(Copom)では、2022年のインフレ指数を連邦政府の許容範囲に収めるために、政策誘導金利(Selic)の引き上げ幅を最低でも1.0%引上げて6.25%にすると予想されている。

今月4日にサンタンデール銀行は民間銀行のトップを切って、住宅ローン年利を7.99%+参考金利(TR)で8.99%の引上げを発表している。

サンタンデール銀行に追従する形で今月13日にブラデスコ銀行は、住宅ローン年利を顧客のプロファイルに合わせて8.50%~8.90%+参考金利(TR)に引き上げている。

また15日からイタウー-ウニバンコ銀行は住宅ローン年利を7.30%から8.30%に引き上げ+参考金利に引き上げを決定している。

民間銀行が相次いで住宅ローン向け金利引き上げを発表する前は6.5%前後であったが、金利引き上げ後は7.50%~8.00%に上昇するが、2年前の平均住宅ローン年利は10.0%~10.5%で推移していたとサンパウロ州内の不動産業界企業が加盟するサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)チーフエコノミストのCelso Petrucci氏は説明している。

民間銀行による一斉の住宅ローン金利引上げは、貧困層が最もダメージを受けるにも拘らず、住宅市場にはそれ程のダメージは与えないとサンパウロ州住宅建設業者組合(Sinduscon-SP)のJosé Romeu Ferraz Neto副組合長は指摘している。

今週中に住宅ローン金利の引下げを発表する連邦貯蓄金庫の住宅クレジットのマーケットシェアは圧倒的な67.0%を占めており、特に低所得層向け住宅クレジットのマーケットシェアは99.0%に達している。

今年第2四半期の新築住宅販売は60.7%急増(2021年8月23日付エスタード紙)

ブラジル建設工業会議所(Cbic)の発表によると、2021年第2四半期の新築住宅やアパート販売は、前年同期比60.7%増加の6万5,975軒、前四半期比では7.2%増加を記録している。

また今年4月~6月の新築住宅のリリース軒数は、2倍以上に相当する前年同期比114.6%増加の6万322軒、前四半期比では51.3%の大幅増加を記録している。

今年6月の過去12か月間の累計住宅販売は、前年同期比23.0%増加の23万7,157軒を記録、また前期同様に新築住宅リリース軒数は、前年同期比114.6%急増を記録している。

今年6月末の新築住宅販売向け在庫は、住宅販売件数が住宅リリース軒数を上回ったために、前年同期比7.1%減少の18万7軒と営業日数換算では8.3ヶ月分まで減少しているが、1年前の新築住宅販売向け在庫の12ヶ月分を大幅に下回る在庫減少を記録している。

新築住宅の需要が供給量を大幅に上回っているために、今後数か月間で新築住宅価格の高騰の可能性をブラジル建設工業会議所(Cbic)のJosé Carlos Martins会長は指摘している。

また新築住宅販売は好調に推移している一方で、旺盛や新規住宅販売需要並びに新築住宅の在庫減少にも拘らず、建築資材などのコスト上昇で、新規住宅販売プロジェクトの先送りを余儀なくされている。

建築資材の高騰並びに建築現場の労働者の賃金上昇で新築住宅の値上げ圧力が高まっている一方で、住宅購入希望者の所得の上昇率は、建築コストを下回っているおり、今後問題が発生する可能性をMartins会長は指摘している。

過去12か月間のブラジル建設コスト指数(INCC)は、17.3%高騰しているが、2009年のルーラ政権の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設”私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”の購入価格が最後に調整されたのは2016年10月であり、以来5年間据え置かれている。

大衆住宅建設”私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”に替わる“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムの購入価格の上限引き上げを地域開発省(MDR)で検討している。

今年第2四半期のブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムの住宅販売は、前四半期比2.1%増加の3万2,349軒、新規住宅販売リリース軒数は、29.6%増加の2万8,723軒を記録している。

今年第2四半期の大衆住宅プログラムによる新規住宅販売は、全体の49.0%を占めており、また同プログラムの新規住宅販売リリース軒数は、全体の48.0%を占めている。

第2四半期の建設業界は好調維持も金利高や資材高騰で今後の無風状態サイクルに疑問視(2021年8月19日付けエスタード紙)

サンパウロ証券取引所の上場している建設不動産業界の大手17社の今年第2四半期の純益総額は、前年同期比158%増加の9億9,100万レアルを記録。純売上は35.6%増加の72億2,400万レアルを記録している。

今年第2四半期の業界大手の決算は、好調に推移して回復企業になっているにも拘らず、建設資材コストの2倍以上の高騰で、不動産購入を希望する最終価格への転嫁を余儀なくされており、今後の業界の回復サイクルの足枷になる可能性が出てきている。

今年第2四半期の新規住宅リリース総額は、121.4%増加の107億6,900万レアル、住宅販売の純売上は、75.1%増加の87億2,900万レアルを記録している。

住宅ブームの過熱化は、建設資材コストの値上がりに繋がっており、過去12か月間のブラジル建設コスト指数(INCC)は、17.0%上昇して記録更新、建設会社は住宅販売に影を落とす可能背があるにも関わらず、最終住宅価格への価格転嫁を余儀なくされている。

Tenda社は建設資材高騰にも拘らず、今年6月迄住宅価格を据え置いたが、昨年末比で8.0%の値上げを余儀なくされている。また今年8月の住宅価格は、前月比2.0%の値上げを余儀なくされたとTenda社ファイナンシャルディレクターのRenan Sanches氏は説明している。

住宅販売減少に繋がる危険性があるにも関わらず、住宅購買需要が旺盛に託けて、過去2か月間で平均6.0%の値上げを敢行したとMRV社のEduardo Fischer社長は説明している。

今年5月のサンパウロ市内の新築アパート販売は記録更新(2021年6月24日付けエスタード紙)

サンパウロ州内の不動産業界企業が加盟するサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)の発表によると、2021年5月のサンパウロ市の新築アパート販売は前月比44.1%増加の5883軒に達して過去17年間では記録更新している。

昨年5月はCOVID-19パンデミックの影響で、不動産会社は営業自粛要請で閉鎖を余儀なくされていた結果、今年5月のサンパウロ市の新築アパート販売は、前年同月比144.6%と2.5倍増加を記録している。

また今年5月の過去12か月間のサンパウロ市内の新築アパート販売は、前年同期比20.5%増加の6万602軒に達して、記録更新している。

今年5月の新築アパートのリリース軒数は、不動産会社の景況感の改善による新規プロジェクト増加に伴って前月比77.4%の大幅増加の8443軒、前年同月比では428%増加、5月の過去12か月間では15.7%増加の7万2582軒で記録更新している。

現在は住宅ローン向け金利は、過去の平均を大幅に下回っているが、今後の政策誘導金利Selic上昇に伴う住宅ローン金利の上昇、インフレ圧力並びに建設用資材の高騰で先行きが不透明になってきているとサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)チーフエコノミストのCelso Petrucci氏は指摘している。