中銀の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇に伴って、今年3月から過去最低を継続していた政策誘導金利(Selic)2.00%を3回連続でそれぞれ0.75%引上げて4.25%にしている。
6月から9月にかけての主に中西部地域や南東部地域の旱魃による水力発電所の貯水ダムの水位低下に伴って、電力エネルギー消費制限措置の導入の影響で、電力エネルギー価格値上げによるインフレ上昇及び国内総生産の下方修正を余儀なくされると中銀は分析している。
ブラジルでは現在、電気代の追加料金は水力発電所のダム貯水量や火力発電所の稼働率を基に算定され、追加料金は4段階に分かれいる。5月の「赤旗レベル1」の100キロワット時(kWh)当たりの追加料金は4.169レアル。今年1月~4月迄の「黄色」の時は1.343レアルであった。
現在の「赤旗レベル2」の100キロワット時(kWh)当たり電力エネルギー料金6.24レアルから7.57レアルに国家電力庁(Aneel)によって値上げされる可能性がある。
電力エネルギーの追加料金の徴収開始がされたとしても、生産コストの非常に高い火力発電所稼働などの要因で、電力エネルギーディトリビューターのコストをカバーするのは難しいと予想されている。
COVID-19パンデミックの影響で、ディトリビューターにとっては、昨年3月から電力エネルギー消費減少による売上減少及び料金滞納の増加、連邦政府による業界救済のための160億レアルの負債返済が始まる。
中銀のロベルト・カンポス・ネット総裁は、今月初めに少ない降雨量は、電力料金へのインパクトだけに留まらず、食品価格の上昇に繋がり、インフレ圧力を緩和するために、政策誘導金利(Selic)の引上げを示唆している。
旱魃による電力エネルギー供給に対して、需要に応じるための節電政策では、大口消費の製造業部門は消費電力のピークを避ける時間帯の電力消費奨励策の導入が検討されている。
2001年7月1日~2002年2月19日迄続いたブラジル全国の節電政策では、一般家庭は20%の電力エネルギー消費削減を強いられた。また2000年の鉱工業部門のGD`伸び率は4.4%増加を記録していたが、2001年は節電政策による源力消費削減でGDP伸び率は僅か1.4%増加に留まっていた経緯があった。