2023年度のフォーブスのブラジル首位はVicky Safra氏(2023年4月5日付けヴァロール紙)

米国経済誌「フォーブス」が発表した「2023年度の世界長者番付」によると、10億ドル以上の資産を保有する、いわゆる米国経済誌「フォーブス」が4月5日に発表した「世界長者番付」によると、10億ドル以上の資産を保有するビリオネアは、2022年の2,668人から2023年は2,640人に減少、そのうちブラジル人のビリオネアは62人から51人に減少している。

しかし今年のブラジル人のビリオネアは減少した一方で、ブラジル人の保有資産総額は昨年の1,250億ドルから1,604億ドルと大幅に増加したが、世界中のビリオネアの保有資産総額は昨年の12兆⒎000億ドルから12兆2,000億ドルと5,000億ドル減少を記録している。

今年のブラジルのビリオネアのトップはサフラ銀行の創設者 Joseph Safra氏の資産を受け継いだVicky Safra氏一族の167億ドルが首位に躍り出ている。

Vicky Safra氏に次いで、Jorge Paulo Lemann氏の資産総額は158億ドル、同氏は、国内外企業に投資を行うブラジルの投資会社3Gキャピタルの創設者の1人で、レマン氏は同社を通じ、世界50カ国以上に製造拠点を持ちバドワイザーなどを扱う飲料大手アンハイザー・ブッシュ・インベブの株式を保有している。

「2023年度のブラジルの長者番付TOP20」
順位     氏名          資産総額(10億ドル)
1 Vicky Safra e família 16,7
2 Jorge Paulo Lemann e família 15,8
3 Marcel Herrmann Telles 10,6
4 Eduardo Saverin 10,2
5 Carlos Alberto Sicupira e família 8,6
6 Alexandre Behring 5,2
7 André Esteves 4,7
8 João Mor
9 Walther Moreira Salles Júnior 4,1
10 Jorge Moll Filho e família 3,9
11 Fernando Roberto Moreira Salles 3,9
12 Pedro Moreira Salles 3,9
13 Maurizio Billi 3,5
14 Walter Faria 3,3
15 Luciano Hang 3,2
16 Miguel Krigsner 3,1
17 José João Abdalla Filho 2,7
18 Joesley Batista 2,6
19 Wesley Batista 2,6
20 Alceu Elias Feldmann e família 2,5

2022年末の銀行支店数は2010年以降で最低(2023年4月4日付けヴァロール紙)

ITの進化にともなって新たなサービスやビジネスモデルを展開することでコストを削減し、働き方改革や社会そのもの変革につなげる施策のデジタルトランスフォーメーション(DX)によるデジタル化の進展に伴って、各銀行の実店舗の閉鎖が加速化してきている。

銀行業務のデジタル化に伴って、2022年のブラジル国内の銀行支店数は1万7,216店舗数まで縮小、2010年の1万6,980店舗以降では最低の店舗数まで減少している。

2020年2月のCOVID-19パンデミックによる外出自粛や必需品以外の営業自粛政策導入で、銀行業務のデジタル化が加速に反比例するように、銀行支店の窓口業務の減少に繋がってきている一方で、銀行支店に必要な現金、セキュリティ、およびバックアップ業務は行わないが、対面で顧客にサービスを提供する銀行支店ユニットは増加してきている。

新しい競合他社の出現もデジタル化に貢献しており、銀行の物理的な存在とは対照的に、2022 年にブラジル市場では銀行市場の参入企業数がは前年比11% 増加、特にはクレジット フィンテックと決済機関に集中。 昨年は71の金融機関が設立され、今では710 金融機関に増加している。

ブラジル国内銀行の実店舗での対面サービス縮小は2018年から開始。それ以来、3,973の銀行支店が閉鎖に追いこ魔れた一方で、金融システム機関数は 29.6% 増加している。

2022年のクレジットフィンテックである直接および個人間ローン会社(SCDおよびSEP)は、前年比47.3%に相当する35社増加の109社迄した一方で、決済機関は前年比2倍に相当する74機関と急増している。

Getulio Vargas Foundation (FGV)大学のClaudia Yoshinaga 財務担当教授は、特に即時決済システム Pix による、最貧層の金融デジタル化がある程度進んでいると指摘。 Covid-19パンデミックは、金融システムのデジタル化プロセスを大幅に加速させた。 外出自粛政策導入で社会的孤立が高まり、高齢者などのグループを含め、多くの人々が仮想サービスへの参加を余儀なくされたと説明している。

連邦貯蓄金庫の昨年末の実店舗の支店数は、3,372支店と2021年末の3,403店舗よりも31店舗の閉鎖に追いこなれている。また昨年末のブラジル銀行の支店数は、3,983店舗と2021年末の3,979店舗と逆に4店舗の増加を記録している。

2022年末の銀行支店に加えて、国内にはサービス ポイント (PA) が 11,593店舗存在する 。 2018 年は 10,914 店舗で、4年間で6.2%に相当する 679 サービスポイントが増加。 PA はより単純な構造で、支店に従属するものであるが、外国為替、財務業務、適格顧客向けの投資ファンドなどのサービスはなく、大半は一般に公開されおらず、企業、官公庁、大学などにサービスを提供することを目的としている。

昨年末のイタウー銀行は3,530支店と657PAを擁していたが、5年前は3,530支店、703PAからそれぞれ減少。ブラデスコ銀行は2,864支店及び3,524PA であったが、5年前は4,617支店、3,824PA 、サンタンデール銀行は1,701支店、1,266PA、5年前は2,283支店、1,267PAを擁していた。

上段は2009年~2022年までの銀行支店数の増減。下段は金融機関数の増減

昨年第4四半期の上場企業の赤字は急増(2023年4月3日付けヴァロール紙)

サンパウロ証券取引所B3の上場企業の中で、昨年第4四半期の決算が赤字を計上した上場企業は前年同期の8社から22社に急増、昨年1年間で赤字を計上したのは前年の9社から15社に増加している。

Valor 社が3 月 31 日に実施した調査では、Bovespa Index ポートフォリオの一部の77社 の非金融企業が含まれており、金融機関まで含めると84社を調査している。

18上場企業は2021年第4四半期の黒字から2022年第4四半期は赤字に転落、3社は赤字拡大、1社は赤字減少、純益が減少したのは28社、純益が増加したのは23社であった。

また2022年に黒字から赤字に転落したのは8社、3社は赤字が拡大、純益が減少したのは36社、純益が拡大したのは24社、2社は赤字から黒字に転じている。調査対象の77 社のうち74%に相当する 57 社の上場企業が、昨年第 4 四半期の純益が悪化している。

昨年第4四半期の純ファイナンス経費合計は 前年同期比10%増加の283 億レアルを計上、しかし、純ファイナンス経費だけでは状況を説明できない。 財務および税金控除前の営業成績も、コストの増加を反映して悪化している。

12社が2021年の第4四半期と比較して2倍の営業損失を計上、70%に相当する54 社 の企業が、第4四半期 の販売とサービスの収益を増加。年間では58 社。 しかし、第4四半期のコストを削減したのはわずか 21 社 。年間で 15 社であった。

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2022年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は前年比2.9%増加したが、昨年第4四半期のGDP伸び率はマイナス0.2%を記録していた。

昨年12 月末の 77 社の時価総額は、前年同期比 4.0% 減少。時価総額と純利益の比率は、この期間に 6.78 から 6.44 に低下している。

 

今年2月のブラジルの財政プライマリーは265億5,300万レアルの赤字計上(2023年3月31日付けヴァロール紙)

3月31日にブラジル中央銀行の発表によると、2023年2月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府並びに州政府並びに市町村で構成される地方政府を合わせたブラジルの財政プライマリーは265億5,300万レアルの赤字計上したが、昨年2月の財政プライマリー赤字34億7,100万レアルの8倍以上に膨張している。

今年2月の中央政府の財政プライマリーは、392億3,800万レアルの赤字を計上していた一方で、地方政府の財政プライマリーは9億3,800万レアルの黒字を計上していた。

今年2月の過去12カ月間の累積財政プライマリーは、GDP比0.93%に相当する932億5,000万レアルの黒字を計上しているが、今年1月の財政プライマリーはGDP比1.23%と大幅な黒字を計上していた。また今年初め2か月間の累積財政プライマリーは、725億6,000万レアルの黒字を計上している。

今年2月の利払いを含む名目財政プライマリーは、906億6,000万レアルの赤字を計上、昨年2月の名目財政プライマリーは、225億4,500万レアルの赤字の4倍以上の赤字を計上している。

今年2月の名目財政プライマリーは265億5,300万レアルの赤字に加えて、利払い総額は641億5,300万レアルに達している。

今年2月の過去12か月間の累積名目財政プライマリーは、GDP比5.62%に相当する5,658億6,300万レアルと1月のGDP比4.97%を大幅に上回っている。前記同様利払いはGDP比6.54%、1月はGDP比6.2%であった。

 

金利高を背景に2月の銀行クレジットは減少(2023年3月30日付けヴァロール紙)

低調なブラジルの国内経済活動、高止まりしている銀行金利や欧米の銀行破綻やコンペチターによる合併などの要因で、2023年2月の銀行のクレジット部門の再度の悪化信号が点灯している。

また不正会計発覚の小売大手「ロージャス・アメリカーナス」は大手サプライヤーや信用保険会社に対して、200億レアルに達する一貫性にかけた不可解な不正会計の対応に追われており、ブラジルの国内銀行の与信強化や融資に慎重に成っている一因となっている。

ブラジル中銀の発表によると、今年2月の銀行クレジットは前月比マイナス0.1%の5兆3000億レアルに縮小、過去2カ月連続で銀行クレジットが減少したのは2018年1月及び2月であり、この時期は、ブラジルは利下げのサイクルにあったにも拘らず、金融市場は前の期間の金融引き締めの影響をまだ受けていたが、特に社会経済開発銀行(BNDES)の業務縮小もクレジット縮小につながった。

経済活動と密接な関係を持つ傾向にあるクレジットと個人及び法人の資金調達では、2月の季節調整済みデータで1月と比較して2.2%減少。 2 月の金融業界の営業日数は、 1 月よりも 4 日少なかったことがクレジット縮小につながっている。

今年2月の銀行クレジットの延滞率は1月の3.2%から3.3%と微増したが、昨年2月の延滞率2.5%よりも大幅に上昇している。融資先が自由に選択できる個人向け自由クレジットの延滞率は6.1%と前月比並みで推移したが、2016年9月以降では最高の延滞率を記録している。

今年2月の自由クレジット向け金利は前月比0.7%上昇して年利は44.2%、銀行の平均金利は31.2%、融資先が限定されている限定クレジット金利は0.8%減少、スプレッドは0.2%上昇している。

海外投資家のサンパウロ株式市場からの資金逃避が加速(2023年3月29日付けヴァロール紙)

米国の銀行の倒産やブラジル国内ではルーラ新政権の舵取りの不透明感などの要因で、今年1月迄株式市場を牽引していた海外投資家は、今年2月からサンパウロ証券取引所B3からの資金逃避が加速してきている。

今年2月の海外投資家によるB3からの資金逃避は、昨年9月以降では初めて投資額を上回り、今年3月の資金逃避は2月を大幅に加速している。

B3の発表によると、今年3月1日~24日迄のB3からの資金逃避総額は、2月の16億8,000万レアルの2倍以上に相当する35億1,000万レアルに達しており、資金逃避が加速してきている。

2022年3月の海外投資家のB3への投資総額は、引揚げ総額を213億6,000万レアル上回っていた。また昨年初め3か月間の投資総額は、引き揚げ総額を653億3,000万レアル上回っていた。

一方今年初め3か月間の海外投資家のB3への投資総額は、引上げ総額を73億6,000万レアル上回っているが、昨年同期の653億3,000万レアルとは比較にならない程少ない。

今年、海外のテクノロジーセクターは好調の一方で、コモディティおよびバリュー企業のパフォーマンスは低調に推移した要因で、海外投資家のB3からの投資引揚げが加速しているとAshmore社調査部門責任者の Gustavo Medeiros氏は指摘している。

主にテクノロジー部門の企業によって形成される米国のナスダック指数が 今年現在まで 11.94% 上昇する一方で、サンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は、7.79% 下落していると Gustavo Medeiros氏は指摘している。

米連邦準備制度理事会 (FRB) をはじめとする各国の中央銀行による利上げが行われる中で、年初から続いていた世界的なリスク回避の動きは、ここ数週間、米国のSilicon Valley Bank 及びSignature Bankの倒産、クレディ・スイス銀行の売却で最高潮に達した国際金融の混乱が海外投資家によるB3からの資金逃避の背景となっている。

J.P. モーガンのラテンアメリカ株式市場ストラテジストのEmy Shayo Cherman,氏は、米国で信用懸念が表面化し始めて以来、過去2週間に亘って新興国市場への資金流入がマイナスになっていると指摘している。

2022年2月~2023年3月迄の海外投資家によるサンパウロ証券取引所の投資金の増減

今年2月の国庫庁のブラジル国債の純残高は14億6,000万レアル(2023年3月28日付けヴァロール紙)

ブラジル国庫庁の2023年2月のブラジル国債発行総額から償還総額を差引いたブラジル国際発行残高は14億6,000万レアル、国債発行総額は36億2,000万レアル、償還総額は21億6,000万レアルを記録している。

今年2月のブラジル国債購入希望のための国庫庁への新規登録者数は33万1,710人を数え、2月末のブラジル国内購入の投資者総数は前年同月比34.5%増加の2,335万5,547人、投資を継続している人数は212万1,791人、2月の新規投資者数は前月比2万4,884人増加している。

また今年2月の1000レアル迄の国債購入投資家は全体の56.8%を占め、ブラジル国債の平均投資額は7300.82レアルとなっている。

今年2月のブラジル国内で最も多くの投資を集めたのは、政策誘導金利(Tesouro Selic) 連動型国債で全体の60.9%に相当する22億レアルに達している。

またインフレ連動式ブラジル国債の購入比率は全体の24.9%に相当する9億300万レアル、半年間の確定金利付きブラジル国債は14.1%の5億1,230万レアル、新規Treasury RendAや Extra Retirement国債は 4.8%に相当する1 億 7,550 万レアルであった。

2月のブラジル国債発行のうち償還期間が5年物から10年物の比率は全体の44.4%に達し、償還期間が1年物から5年物がTOPを占めていた2021年7月以降では初めての出来事となった。償還期間が10年以上の国債比率は16.9%、償還期間が1年物から5年物は38.7%であった。

今年2月のブラジル国債プログラム残高は前月比2.3%増加の1,081億レアルに達している。インフレ指数連動国債残高は全体の51.3%に相当する554億8,000万レアル、Selic連動国債残高は35.4%の383億レアル、固定金利連動国債は13.3%に相当する143億レアルとなっている。

償還期間が1年未満のブラジル国債残高の比率は3.1%に相当する34億レアル、償還期間が1年物から5年物は65.7%に相当する710億レアル、5年以上の国債残高は31.2%の337億レアルとなっている。

2023年2月の海外投資家によるブラジルへの対内直接投資は64億5,100万ドル(2023年3月23日付けヴァロール紙)

2023年2月の海外投資家によるブラジルへの対内直接投資は、64億5,100万ドルと昨年2月の197億9,300万ドルの3分の1以下に留まっている。

また今年2月の過去12か月間の累積対内直接投資残高は、GDP比4.49%に相当する880億300万ドルを記録、昨年2月の過去12か月間の累積対内直接投資残高はGDP比3.01%であった。

今年2月の過去12か月間の累積対内直接投資残高880億300万ドルは、今年2月の過去12か月間の累積経常収支赤字545億1,400万ドルを十二分にカバーする直接投資残高を記録している。

今年2月の経常収支赤字は、28億Ⅰ,500万ドルと昨年2月の41億5,500万ドルの経常収支赤字を大幅に下回っている。

ブラジル中央銀行の四半期インフレレポート (RTI)では、今年の対内直接投資残高を750億ドルを見込んでいる一方で、今年の経常収支は490億ドルの赤字を見込んでいる。

今年2月の海外投資家の株式投資は、10億⒎800万ドルと昨年2月の21億6,400万ドルの半分以下に留まっている。ブラジル国内などの確定金利付き投資は8億4,300万ドルとなっている。

中銀では今年の海外投資家によるブラジル株式市場から50億ドルが逃避すると予想、今年2月の本国への利益・配当金送金は、20億9,400万ドルと昨年2月の29億3,300万ドルを下回っている。今年の利益・配当金送金は350億ドルを予想している。

2022年2月~ 2023年2月の経常収支推移

今年2月のクレジット総額は0.3%微増で減速(2023年3月24日付けヴァロール紙)

ブラジル銀行協会連盟(Febraban)によると、2023年2月のクレジット総額は0.3%微増に留まった一方で、2月の過去12カ月間の累計クレジット総額は、1月の12.9%増加から13.6%増加と上昇を記録している。

今年2月のクレジット総額が0.3%微増に留まった要因として、不正会計発覚の小売大手「ロージャス・アメリカーナス」は大手サプライヤーや信用保険会社に対して、200億レアルに達する一貫性にかけた不可解な不正会計の発覚、停滞している国内経済活動、クレジット部門の延滞率の増加及び与信強化が牽引している。

今年2月の法人向けクレジットは0.4%増加した一方で、一般家庭の個人向けクレジットは0.2%の微増に留まっている。法人向けクレジットのうち自由クレジットは0.4%増加、融資先が決められている限定クレジットは0.3%増加であった。

ルーラ新政権による公共投資の再開及び従来からブラジルの発展に貢献する長期融資を行うことができる唯一の連邦政府系金融機関である社会経済開発銀行(BNDES)のクレジット拡大予想で、今年のクレジット部門伸び率は前回予想の7.5%から7.9%に上方修正している。

今年の限定クレジット部門伸び率は、農村部の与信の良好なパフォーマンスと建設不動産部門のある程度の回復力を反映して、0.7%増加が見込まれている。

昨年末のブラックフライデーやクリスマス商戦後の一般家庭の消費の落込みのインパクト、高止まりしているインフレや高金利など先行き見通しが不明で、今年の融資先が自由に選択できる自由クレジットは、前年比0.2%微減が予想されている。2月の過去12か月間の累積個人向けクレジットは、1月の17.7%から17.1%と減少したが、依然として高い水準を保っている。

今年2月のクレジット総額は前月比8.6%と大幅に減少しているが、2月はカーニバルの影響で営業日数が少なかったために、1日平均当たりのクレジットは5.0%増加している。

ブラジル中央銀行はSelic金利の13.75%据置を全会一致で決定(2023年3月22日付けヴァロール紙等から抜粋)

3月22日開催のブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、ルーラ大統領初め与党のブラジル中銀の金利政策批判にも関わらず、高止まりするインフレの財政リスクへの影響緩和を維持するために、政策誘導金利Selicを全会一致で13.75%の据置を決定した。

ヴァロール社が112金融機関対象の調査によると、111社は3月のSelic金利は5回連続となる13.75%据置を予想していたが、唯一コンサルタント会社 Siegen社がSelic金利0.25%の切下げを予想していた。

今回のブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) はルーラ政権下では2回目の会合となったが、ルーラ大統領は2月から公然と中央銀行のSelic金利政策を批判していた経緯があった。

2 月の通貨政策委員会 (Copom) で、中央銀行は、まだ国会に提出されていない新しい枠組みをめぐる騒ぎの後、財政リスクに関する警告を強めたが、通貨政策委員会 (Copom) の議事録では財務省の努力を認めることでその口調を和らげていた。

2021 年 3 月に始まった中央銀行によるSelic金利の上昇サイクルを通じて、金融当局は昨年 8 月まで 12 回連続でSelic金利を 11.75 ポイント引き上げていた。 次回のCopom 会議は 5 月 2 日と 3 日に開催される。

. 22日米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、記録的なインフレの抑制を優先しするために、政策金利の0.25%引き上げを決定。9回連続での会合連続の利上げで、政策金利の誘導目標は4.75~5.00%となる。

昨年6月から4回連続での理事会会合で政策金利を従来の3倍に相当する0.75%の大幅利上げを決定した後、昨年12月の会合では0.5%、今年2月の会合では0.25%にそれぞれ利上げ幅を下げていた経緯があった。

しかし米国の今年2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比6.0%上昇と8カ月連続で鈍化したにも関わらず、連邦準備制度理事会(FRB)の目標とする2.00%を依然として大幅に上回っている経緯があった。

3月7日の米議会の公聴会で、予定より早期の金融引き締めを余儀なくされる統計が出てくれば、利上げを加速する用意がある」と、パウエル議長は利上げサイクルを再加速させる可能性を示唆していた。金融市場では3月の会合でFRBが利上げ幅を0.5%に戻す」との見方をしていた。

しかし、その数日後、FRBの急激な利上げに伴う国債価格の下落を背景に、今月10日に米中堅のシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻、12日にはニューヨーク州に拠点を置くシグネチャー銀行も破綻に追い込まれ、2行が相次いで経営破綻。中小規模の銀行から預金を引き出す動きが加速し、金融システムへの不安が広がっていた経緯があった。

またヨーロッパでも金融大手クレディ・スイスの経営不安が再燃し、世界金融市場では一転してFRBが大幅な利上げをするのは難しいとの見方が増え、利上げを見送るとの見方も出ていた経緯があった。

Selic金利の推移