今年下半期にM&A案件は勢いを取り戻しているが、来年は財政リスク次第(2022年12月19日付けヴァロール紙)

今年上半期の企業の買収・合併案件は弱含みで推移していたが、下半期は活力を取り戻しており、来年はルーラ新政権の投資計画の環境次第で、今年を15.0%~20.0%上回る可能性を金融市場関係者は指摘している。

2022年のM&A案件は、記録を更新した2021年の1627件並みを米国のコンサルタント会社Kroll 社は予想している。また投資銀行は、来年のM&A取引で外国資本の参加が増えると予想している。

今年初め11か月間のM&A案件は前年同期比マイナス6.0%の1,389件、今年1年間では1,600件前後をKroll 社は予想している。

Eurofarma社は 7 億 2,500 万レアルを投資して、Valdaブランドなどを擁する製薬会社を買収、 米国資本Alligned が100億レアルを投資して Pátriaファンドのデータセンター企業Odata を買収している。

来年はすでに増加しているブラジル国内の金融サービス分野などが注目を集めるとKroll 社ファイナンスディレクターのAlexandre Pierantoni 氏は指摘している。

7月末、カナダ資本Brookfield社はQuantum社を通じて、5 つの送電権を Energía Bogotá グループ (GEB) に約 43 億レアルで売却。 また再生可能エネルギー分野では、北大河州のSeridó 風力プロジェクトを18億レアルで買収している。

石油・天然ガスの企業買収や合併では、ペトロブラス石油公社がコア事業以外の傘下企業の放出を継続しており、今年は傘下の社を Cosanグループに売却している。

 

11月のポウパンサ預金の月間出超額は74億⒎4190万レアルを記録(2022年12月6日付けヴァロール紙)

2022年11月のポウパンサ預金の月間出超額は74億⒎4190万レアルを記録、ブラジル中央銀行では今年8月から政策誘導金利Selicを13.75%に据え置いているために、6か月間連続で出超を記録している。

また今年10月のポウパンサ預金の月間出超額は110億⒎00万レアルを記録、6月から5ヶ月連続での出超を記録しているとブラジル中央銀行では発表していた。

今年9月のポウパンサ預金の月間出超額は、53億4,900万レアルと10月の出超額の半分以下に留まっていたが、8月のポウパンサ預金の月間出超額は、統計を取り始めた1995年1月以降では最高となる220億1,500万レアルに達していた。

今年11月にポウパンサ預金への預金総額は3,045億8,000万レアルにたいして、引出総額は3,119億9,800万レアルに達していた。また今年初め11か月間のポウパンサ預金はSelic金利の上昇に反比例して、引出総額が預金総額を1,094億9,600万上回っている。唯一今年5月ンのポウパンサ預金は預金総額が引出総額を35億1,400万レアル上回っていた。

5月を除いた全ての月でポウパンサ預金の引出総額が預金総額を上回ったために、11月末のポウパンサ預金残高は、9月には既に1兆レアルを割込む9,864億5,900万レアルまで落込んでいる。

2020年8月にはCOVID-19パンデミックの影響で、ポウパンサ預金は増え続けて1兆レアルを上回り、今年7月迄1兆レアルを上回っていたが、Selic金利の高止まりで8月以降は1兆レアルを下回っている。

11月のポウパンサ預金の利払いは61億6,600万レアル、不動産信用 (SBPE) に適用された資金は43億 5,500 万レアルの純引き出しを記録。 また農村信用(SBPR)に適用された資金は30億6,400万レアルの流出があった。

ブラジルの10月の財政プライマリー収支は270億レアルの黒字計上(2022年11月30日付けヴァロール紙)

30日のブラジル中央銀行の発表によると、ブラジルの2022年10月の財政プライアリー収支は270億9,500万レアルの黒字を計上したが、昨年10月の財政プライアリー収支黒字353億9,900万レアルよりも80億レアル以上下回っている。

今年10月の財政プライアリー収支黒字270億9,500万レアルには、中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び州政府並びに市町村で構成される地方政府が含まれるが、ペトロブラス石油公社や公立銀行のブラジル銀行及び連邦貯蓄金庫などの収支は含まれていない。

今年10月の中央政府の財政プライマリー収支は302億4,400万レアルの黒字計上した一方で、地方政府の財政プライマリー収支は38億6,100万レアルの赤字を計上、連邦公社も7億1,100万レアルの赤字を計上している。

今年10月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支はGDP比1.82%に相当する1,730億5,400万レアルの黒字を計上、9月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支はGDP比1.93%の黒字を計上していた。

また今年初め10か月間の累計財政プライマリー収支は1,578億9,600万レアルの黒字を計上したが、昨年同期の累計財政プライマリー収支はCOVID-19パンデミックの影響で僅か495億7,000万レアルの黒字に留まっていた経緯があった。

10月の利払いを含むインフレ指数を差引かない名目財政プライマリー収支は、144 億 7,400 万レアルの赤字を計上したが、前年同月の250 億 1,400 万レアルの赤字よりも減少している。

今年10月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支はGDP比4.21%に相当する4,000億9,700万レアルを記録したが、9月の累計財政プライマリー収支のGDP比4.36%よりも減少している。

10月の連邦政府の公共財政負債総額はGDP比76.8%に減少(2022年11月30日付けヴァロール紙)

30日のブラジル中央銀行の発表によると、2022年10月の連邦政府の公共財政負債総額はGDP比76.8%に相当する7兆2,620億レアルを記録、9月の公共財政負債総額はGDP比77.1%に相当する7兆2,980億レアルよりも360億レアル減少している。

ブラジル中央銀行の説明よると、10月の公共財政負債総額が前月比で減少した要因として、ブラジル国債の発行の減少、利子充当率0.6ポイントアップ、為替変動による0.1ポイント引下げやGDP 拡大の効果などが要因となっている。

連邦政府資産を割り引いた非金融公部門の純公共負債総額は GDP比58.3%に相当する5 兆 5,420 億レアルに達している。

外貨準備高を含めるとブラジルは米国ドル保有では債権国となっているために、レアル通貨に対するドル安の為替は実質純負債増加に繋がる一方で、名目GDP 成長率は0.5 ポイント、また財政プライマリー収支黒字を 0.3 ポイント削減させている。

B3取引所の個人投資家は35.4%増加の450万人に急増(2022年11月17日付けヴァロール紙)

昨年から政策導入金利(Selic)が上昇サイクルに突入して13.75%を継続しているにも拘らず、2022年10月末のサンパウロ証券取引所(B3)の個人投資家総数は、前年同期比35.4%増加の450万人に急増している。

また10月末のサンパウロ証券取引所(B3)の個人投資家総数は、過去12か月間で33.7%と大幅な増加を記録している。

今年10月のサンパウロ証券取引所(B3)の1日当たりの株式の出来高は、前年同月比マイナス2.7%の351億8,000万レアルに縮小している。

10月末のB3取引所の個人投資家口座数は過去12カ月間で33.7%増加の540万口座、個人投資家数は35.4%増加の450万人を記録している。

また今年10月末のサンパウロ証券取引所(B3)の上場企業数は、前年同期比マイナス2.2%に相当する449社、時価総額は1年前の4兆9,000億レアルから4兆7,000億レアルに減少している。

10月末の店頭市場での債券の新規発行額は前年同期比 19.1% 増加。 債券額面総額は 5.1% 増加の5 兆 2,100 億レアルを記録している。

今年の株価上昇率トップはトルコの Bist 100株価(2022年11月14日付けヴァロール紙)

Valor Data社の 世界主要20か国のグローバル株価指数調査によると、今年初め1 月から11月11日にかけての株価指数 で最も上昇したのは、76.77% 上昇トルコの Bist 100 が76.77% 上昇している。

サンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は、ルーラ次期大統領の財政上限に関する発言でドル換算で 9.81% の下落したにもかかわらず、今年のIbovespa指数はドル換算で12.65% の上昇を記録し4 番目の指数となっている。

トルコの Bist 100の株価の上昇に次いで、チリの IPSA株価指数は18.90%と大幅な値上がりを記録、3位にはアルゼンチンの Merval指数の15.16%、ブラジルに次いで5位には日本の Nikkei株価指数は10.80%、6位にはメキシコの IPC株価指数は2.14%上昇している。

一方今年初めから11月11日迄の平均株価指数がマイナスを記録しているのは、米国のDow Jonesはマイナス7.13%、英国のはマイナス13.44%、スペインIBEX-35はマイナス15.30%、フランスCAC-40はマイナス15.94%、米国のはマイナス16.22%を記録している。

現地通貨換算で今年最も平均株価指数を上げたのは、トルコのBist 100は139.85%、アルゼンチンのMerval80.14%、IPSAの24.19%、ブラジルのは7.09%上昇を記録している。

イタウー銀行の第3四半期の純益は80億レアル(2022年11月10日付けヴァロール紙)

イタウーウニバンコ銀行の2022年第3四半期の純益は5.2%増加の80億⒎900万レアルに達し、過去最高の記録を更新、過去12か月間の累積純益は19.2%増加を記録、今年第3四半期の純益予想は81億1,000万レアルであった。

今年第3四半期の決算は、同行の多様な事業分野での長期にわたる業績の強さと一貫性を反映しており、 リスク管理と業務効率の規律により、与信業務とサービス業務を持続的に成長させることができたと Alexsandro Broedel副頭取は説明している。

イタウー銀行の第3四半期末のクレジット残高は前四半期比2.5%増加の1兆1,110億レアル、前年同期比では22.5%増加を記録、クレジット部門の延滞率は2.8%と前四半期の2.7%から若干微増、前年同期は2.6%であった。

第3四半期の不良貸付残高(PDD)対応の貸倒引当金は、前四半期比5.9%増加の82億7,500万レアル、前年同期比では49.8%と大幅増加を余儀なくされている。第3四半期末の個人向けクレジット残高は前四半期比3.4%増加の3847億レアル、過去12か月間の累積クレジット残高は前年同期比27.0%と大幅な増加を記録している。

また同期の法人向けクレジット残高は前四半期比1.9%増加の3,010億レアル、過去12か月間の累積クレジット残高は13.8%増加している。ラテンアメリカ向けクレジット残高は1.6%増加の1,947億レアルを記録した一方で、過去12か月間の累積クレジット残高はマイナス2.7%を記録している。

イタウー銀行の今年第 3 四半期のファイナンシャルマージンは前四半期比5.6%増加の239 億 1,000 万レアル、前年同期は 22.5% 増加している。 また顧客マージンは6.4%増加の 233 億 8,500 万レアル、過去12か月間では33.0%増加。オペレーションマージンはマイナス20.6%の5億1,600万レアル、過去12か月間ではマイナス73.2%を記録している。

イタウー銀行の今年第 3 四半期のクレジット部門の15日から90日迄の短期の延滞率は前四半期の2.1%から2.3%に増加、また昨年同期の1.7%から0.4%増加している。

イタウー銀行の今年第3四半期の自己資本に対してどれくらいの収益を生み出したかを見ることができる指標(ROE)は、前四半期の20.8%から21.0%と微増、前年同期は19.7%であった。また前記同様にバーゼル自己資本比率は14.7%、14.1%、14.7%であった。

連邦貯蓄金庫の第3四半期の純益は前年同期比0.5%微増の32億レアル(2022年11月9日付ヴァロール紙)

連邦貯蓄金庫の2022年第3四半期の純益は、前年同期比0.5%微増の32億レアルに留まった一方で、前四半期比では75.9%と大幅増加を記録。今年7月に新頭取に就任したエコノミストの Daniella Marques氏にとっては初めての決算発表となっている。

今年第3四半期の純益が前四半期比で75.9%の大幅増加を記録した要因として、同行の一貫したリスク管理によるサービス収入の増加とポートフォリオのクオリティの改善によって可能になり、過去最高を記録したリスク レベル AA ~ C に分類されたポートフォリオの比率は92.5%に達している。

第3四半期末のクレジット残高は前四半期比5.3%増加の9,770億レアル、前年同期比では16.0%と二桁台の伸び率を記録、第3四半期のクレジット総額は1,466億レアルに達し、四半期のクレジット総額としては記録更新、9月末の過去12か月間の累計クレジット総額は前年同期比23.4%増加、前四半期比では12.8%増加を記録している。

第3四半期のクレジット部門売上は前四半期比11.8%増加の267億レアル、前年同期比では47.1%と大幅増加を記録している。また第3四半期のクレジット部門の延滞率は1.94%と前四半期の1.89%よりも増加した一方で、前年同期の2.16%よりも大幅に減少している。

第3四半期の住宅購入向けクレジット部門の売上は、前年同期比25.6%増加の482億レアルを記録した要因として、クロスセリング、顧客関係の強化、競争力のある新商品発売、および住宅アプリによるプロセスのデジタル化が収益強化に繋がっている。

また第3四半期の農畜産業向けクレジット部門売上は、前年同期比204.4%増加の129億レアル、そのうち個人向けクレジットは466.7%増加の104億レアル、法人向けクレジットは2.3%微増の24億レアルであった。

 

10月の一般家庭のクレジット延滞率は3ヶ月連続で記録更新(2022年11月8日付ヴァロール紙)

高止まりするインフレ指数、13.75%の政策誘導金利などの影響で、一般家庭は負債軽減に苦慮しており、クレジットの延滞率が依然として上昇傾向を示している。

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)の消費者の負債・返済調査によると、2022年10月の一般消費者の平均延滞率は30.3%に達して3ヶ月連続で記録を更新している。昨年10月の平均延滞率は25.7%であった。

調査対象の27州のうち4州での一般家庭の平均延滞率は40%を上回っており、延滞率が最も高いのはバイア州の43.7%、北大河州42.4%、ミナス州42.2%、セアラー州は41.9%であった。10月の延滞率が9月を上回ったのは12州に達している。

滞納している一般家庭の 30.3% は、消費者債務と滞納調査 (Peic) が始まった 2010 年 1 月以来の最高の延滞率レベルに達しており、延滞率の急激な低下は見込めないとCNC エコノミストの Izis Ferreira氏は指摘している。

一般家庭の平均延滞率が30%に達しているのは、COVID-19パンデミックの外出自粛政策の緩和措置が開始された2020年半ば以降の債務の増​​加を反映しており、家計へのインフレの圧力と、債務コストに対する金利上昇が追い打ちをかけている。

10月の10最低サラリー以上の富裕層の負債率は、9月の75.9%から75.4%と若干減少しており、また10最低サラリー以下の所得層も80.3%から80.2%と若干減少している。

10月のポウパンサ預金の月間出超額が110億⒎00万レアルを記録(2022年11月7日付ヴァロール紙)

2022年10月のポウパンサ預金の月間出超額は110億⒎00万レアルを記録、6月から5ヶ月連続での出超を記録しているとブラジル中央銀行では発表している。

今年9月のポウパンサ預金の月間出超額は、53億4,900万レアルと10月の出超額の半分以下に留まっていたが、8月のポウパンサ預金の月間出超額は、統計を取り始めた1995年1月以降では最高となる220億1,500万レアルに達していた。

今年のポウパンサ預金は、5月の月間入超額の35億1,400万レアル以外は全ての月で月間出超額を記録していた経緯があった。

今年9月のポウパンサ預金の預金総額は3,020億5,400万レアルに対して、ポウパンサ預金の引出し総額は3,130億6,100万レアル、今年初め1月からのポウパンサ預金の出超総額は1,020億7,700万レアルに達しているが、2021年のポウパンサ預金の出超総額は354億6,900万レアルに留まっていた。

今年10月末のポウパンサ預金残高は9,877億1,300万レアルと1兆レアルを割り込んでいるが、2020 年 8 月には、covid-19 のパンデミックにより数か月連続で大幅にプラスを記録していた経緯があった。

10月のポウパンサ預金の利払いは62億8,700万レアル、不動産信用 (SBPE) に適用された資金は94 億 2,600 万レアルの純引き出しを記録。 また農村信用(SBPR)に適用された資金は15億8,000万レアルの流出があった。