今年上半期のブラジルへの対内直接投資は3位(2022年10月31日付ヴァロール紙)

経済協力開発機構(OCDE)の調査によると、今年上半期の海外投資家によるブラジルへの対内直接投資は米国並びに中国について、3位にランク付けされている。

2023 年 1 月に次期大統領に就任するルイス ・イナシオ・ ルーラ ・ダ・ シルバ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻やインフレ、金利高などの要因にも関わらず、ブラジルが海外直接投資 (FDI) を最も引き付ける 5 つの経済圏の制限されたグループにすでに戻っていることを確信している。

国連貿易開発会議(UNCTAD)の発表によると、2022年上半期の世界の対内直接投資総額は、前年同期比31.0%増加の660億ドルに達していると算出している。昨年のブラジルへの対内直接投資は7位であった。

国連貿易開発会議(UNCTAD)では、今年のブラジルへの対内直接投資は、主に多国籍企業からの収益の大半の再投資によるものが牽引しており、海外本社からブラジル子会社へのクレジット増加を記録している。

ロシアによるウクライナ侵攻以前の開発途上国への対内直接投資は、エネルギー部門や国際コモディティ関連が多かったが、ロシアによるウクライナ侵攻以降は、食糧危機とエネルギー危機、世界的なインフレ及び金利の上昇、今後の世界的な景気後退予想で投資家心理に変化をきたしている。

これらの世界的な危機の影響を受けて、対内直接投資の流れは先進国と発展途上国で落込みを記録。 発表された新規投資プロジェクトは、今年の最初の 3 四半期に引き続き低水準で推移している。

9月の実質歳入総額は1,662億8,700万レアルと9月としては過去最高を更新(2022年10月25日付ヴァロール紙)

2022年9月の国庫庁のインフレ指数を差引いた歳入歳入総額は、前年同月比4.07%増加の1,662億8,700万レアルに達し、9月の歳入額としては統計を取り始めた1995年以降では最高の歳入総額を記録している。

今年初め9か月間の累計歳入総額は、前年同期比9.52%の1兆6,300万レアルに達して統計を取り始めて以来では記録更新している。一方インフレ指数を考慮しない9月の名目累計歳入総額は、前年同期比11.53%と二桁台の増加得率を記録比ている。

連邦政府のインフレ指数を差引いた基礎的財政収支対象経費からロイヤリティ収入等の臨時歳入を除いた実質一般歳入総額は、前年同月比2.65%増加の1,596億300万レアル、名目一般歳入総額は10.01%増加を記録している。

今年初め9か月間の実質累計一般歳入総額は、前年同月比7.64%増加の1兆5,310億レアルを記録、名目累計一般歳入総額は18.83%増加を記録している。

9月のロイヤリティなどを含む臨時実質歳入総額は、54.98%増加の66億8,400万レアル、臨時名目歳入総額は66.09%増加を記録している。今年初め9か月間の累計臨時実質歳入総額は、49.56%増加の997億4,200万レアルであった。

今年9月の法人税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)による歳入総額は、前年同月比9.85%増加の284億2,800万レアル、社会保障院INSS関連歳入は、4.84%増加の457億⒎400万レアルを記録している。

9月のサラリーマンの源泉徴収所得税(IRRF)は6.71%増加の132億5,700万レアル、キャピタルゲインに対する源泉徴収所得税(IRRF)は、金利の高止まり及び確定金利付きファンドの高収益が牽引して86.41%の67億3,000万レアルと大幅な増加を記録している。

一方今年初め9月間の連邦政府の累積免税総額は1,029億5,900万レアルに達し、昨年同期の717億⒎200万レアルを311億レアル上回っている。

今年9月の外貨準備金は過去11年間で最低水準に低下(2022年10月25日付ヴァロール紙)

. 2022年9月のブラジルの外貨準備金は、前月比3.6%に相当する121億ドル減少の3,276億ドルまで低下、9月のブラジルの外貨準備金減少の要因として、米国政府による金融引締め政策に起因する金利の引上げで、債券の価格を引き下げ、他国の通貨に対するドルの価値が上昇している。

. 9月のブラジルの外貨準備金3,276億ドルは、2011年3月以降では最低水準を記録、1970年から統計を取り始めたブラジルの外貨準備金のピークは、2019年6月の3,881億ドルであった。

今年初め9か月間のブラジル中央銀行による外貨準備金の累計売却額は、20億ドルに留まっているために、外貨準備金の減少額は説明できないが、外貨準備金は、米国、ユーロ、円、金などの債券に海外で投資されており、パリティによる変動を扱うときは、ポートフォーリオをドル通貨で通知。 レアルに対するドル通貨が上昇すると、パリティ損失が発生すると中銀金融政策担当チーフの Fernando Rocha氏は説明している。

今年初め9か月間のブラジルの外貨準備金107億ドル減少を記録した主な要因として、大半の金融市場関係者の予想を上回る米国政府の金融引き締め政策によるドル高の為替の影響とFernando Rocha氏は指摘している。

米国政府による金利引上げは、外貨準備金の目減りだけでなく、債券の価値低下につながる。 今年初め9か月のドル高の為替に起因するブラジルの債権関連の目減りは、240 億ドルに相当とFernando Rocha氏は指摘している。

外貨準備金は中央銀行によって管理され、ソブリン債、他の通貨 (ドル、ユーロ、英ポンド、円、カナダ ドル、オーストラリア ドル) の預金、国際通貨基金 (IMF) の特別引出権、国際決済銀行(BIS)と金などの資産 、米国の預金に投資される。

ブラジルは 2004 年に外貨準備を拡大し始めましたが、ブラジルへの外国資本の流れが増加したことを考慮すると、2008 年以降は外貨準備金の増加率が上昇してきていた経緯があった。

外貨準備金はドル換算が基準で為替レートの変動に左右されるために、米国の金融政策に敏感となっている。 また金融取引所に機能不全があることを中銀が察知すると、準備金の一部を売却するなどの手段で、市場を安定させることができる。

9月のブラジルの経常収支は56億⒎800万ドルの赤字計上(2022年10月24日付ヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の発表によると、2022年9月のブラジルの経常収支は56億⒎800万ドルの赤字を計上、昨年9月の経常収支赤字19億2,100万ドルの約3倍に相当する大幅な赤字を計上している。

今年9月の過去12か月間の累計経常収支はGDP比2.56%に相当する461億5,300万ドルの赤字を計上、今年8月の経常収支赤字はGDP比2.38%であった。

今年9月の海外投資家による対内直接投資額は91億8,500万ドルと8月の46億ドルの約2倍に達している。

また今年9月の過去12か月間の累積対内投資総額はGDP比4.1%に相当する738億1,100万ドルとGDP比2.56%の経常収支赤字を十二分にカバーできる対内直接投資総額を記録している。8月の対内直接投資総額はGDP比3.88%であった。

中銀の四半期インフレレポート(RTI)によると、2022年の経常収支赤字は470億ドルに対して、対内直接投資総額は700億ドルに達すると予想している。

今年9月の株式市場向け対内直接投資総額は33億2,600万ドルと昨年同月の1億1,600万ドルと比較にならない程の投資金が流入している。

9月の確定金利付き市場への対内直接投資金額は5億3,300万ドル、投資残高は12億2,200万ドルを記録している。一方株式市場への直接投資は40億400万ドルの流出残を記録している。

 

今年10月19日迄のドルに対するレアル通貨はルーブルに次いで上昇(2022年10月20日付けヴァロール紙)

Valor Data社の主な33通貨対象の今年10月19日までの米ドルに対して通貨価値が上昇したのは、僅か4通貨に留まった一方で、最も通貨価値が下落したのはアルゼンチンペソであった。

継続しているCovid‐19パンデミックによる部品供給問題や2月末からのロシアによるウクライナ侵攻、世界的なインフレの高止まりや世界的なリセッション突入に対する危惧などの要因で、大半の通貨は米ドルに対して、通貨価値が下落している。

今年初めから10月19日迄の通貨価値調査によると、ウクライナでの戦争による経済制裁に直面して、ロシア政府が課した厳格な資本規制、輸入減少と天然ガスのエネルギー輸出による歳入増加などの要因で、米ドルに対するロシアのルーブルは20.57%上昇している。

ルーブルに次いでブラジルのレアル通貨は、今後数カ月間継続するブラジルの金利の高止まりや右派が多数を占める選挙結果などの要因で5.69%上昇している。またメキシコのペソ通貨も1.90%、ペルーのソル通貨も米ドルに対して0.07%上昇している。

米ドルに対して下落が特筆されるのは日本円で‐23.27%下落、ポンドも‐17.03%、ユーロも‐14.06%それぞれ大幅な下落を記録している。

日本の通貨円は過去32年以上で最低水準に達している。大半の国は高インフレ対策として金融引き締め政策を採用している一方で、日本政府は金融緩和政策を継続しているために、1月の115円前後から150円を突破する勢いで円安が進んでいる。

9 月末、イギリスの新首相リズ・トラスが発表した減税パッケージの結果、ポンドは歴史的な安値を記録。 イギリス政府の減税策が内外で批判され市場が混乱した事態を受け、トラス首相は10月14日に盟友のクワーテング財務相を解任し、後任にはジェレミー・ハント元外相を据えた。すでに撤回していた所得税率の最高税率廃止に加え、首相はこの日さらに、法人税引き上げの廃止を撤回すると発表。新しく財務相になったハント氏は15日、前任者が発表した減税策「ミニ・バジェット」には問題があった発言していた。20日トラス首相は辞任している。

ロシアによるウクライナ侵攻によるヨーロッパのレセッション及び電力エネルギー危機の発生の可能性などの要因で、8月にユーロは米ドルに対して下げている。9 月には中国の通貨元は、米ドルに対して 2008 年以来最も低い水準に達し、現在は‐12.18%下落している。

 

上院独立税制監査院(IFI)は今年の財政プライマリー収支黒字を大幅に下方修正(2022年10月20日付けヴァロール紙)

上院独立税制監査院(IFI)の10月の税制レポートによると、2022年の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー収支は、前回予想の712億レアルの黒字から200億レアル以上下回る509億レアルに留まると下方修正している。

今年の中央政府のインフラ指数を差引いた実質歳入総額は、前回予想を300億レアル下回る1兆8,630億レアルに留まると税制レポートでは示唆している。

上院独立税制監査院(IFI)では、今年の中央政府の実質財政プライマリー収支は、前回予想の712億レアルから200億レアル以上下回る509億レアルに黒字に修正しているにも拘らず、連邦政府の経済省では僅か135億レアルの黒字を予想、先月末の予想は400億レアルを上回るとPaulo Valle財務長官は予想していた経緯があった。

ブラジルの中央政府の財政プライマリー収支が黒字を計上したのは2013年が最後であった。今年8月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支は741億レアルの黒字を計上していた。

上院独立税制監査院(IFI)では、9月の中央政府の実質財政プライマリー収支を113億レアルの黒字と予想しており、今年初め9か月間の累積財政プライマリー収支は335億レアルに達すると予想されている。

また上院独立税制監査院(IFI)では、今年末の連邦政府の負債総額は、GDP比77.3%と前回予想のGDP比78.1%よりも0.4%下方修正している。

上院独立税制監査院(IFI)では、2023年の連邦政府の負債総額はGDP比79.2%、財政プライマリー収支は45億レアルの赤字を予想している一方で、仮に前政権の貧困層向け家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムによる600レアルの給付金支給が継続されれば、財政プライマリー収支赤字は1,030億レアルの予想に伴って、連邦政府の負債総額はGDP比80.7%に達すると2本のシナリオを見立てている。

 

9月の一般家庭の負債及び延滞率は3ヶ月連続で記録更新(2022年10月10日付けヴァロール紙)

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)の消費者の負債・返済調査によると、2022年9月の一般消費者の負債比率は、調査対象の79.3%と8月の79.0%から0.3%増加、昨年9月の74.0%から5.0%以上の大幅増加を記録している。

また今年9月の一般消費者の負債返済期間が遅れているのは8月の29.6%から30.0%に上昇、昨年9月の25.5%と比較して4.5%増加を記録、統計を取り始めた2010年初めからでは記録更新している。

今年9月の負債返済の見通しが立たない一般消費者の比率は10.7%と8月の10.8%よりも若干減少したが、昨年9月の10.3%よりも0.4%増加しており、延滞率が悪化してきている。

負債を抱えている一般消費者の85.6%は9月にクレジットカードの支払義務を擁しているが、昨年9月との比較では1.0%増加している。また今年9月に小売店舗の分割払い手帳(カルネ―)による負債は全体の19.4%と今年5月から上昇に転じている。

大銀行の銀行市場寡占化が減少(2022年10月6日付けヴァロール紙)

2021年のブラジル国内の5大銀行によるクレジット市場の寡占率は、前年よりも0.5%減少の78.7%と2018年以来継続して寡占化率が徐々に減少してきているとブラジル中央銀行の銀行経済レポート(REB)で判明している。

旧式の指標ではブラジルの5大銀行は連邦貯蓄金庫、ブラジル銀行、イタウー銀行、ブラデスコ銀行並びにサンタンデール銀行が占めていたが、新指標ではサンタンデール銀行はリストから除外されている。

2021年の協同組合、フィンテック、金融会社などの非銀行部門を含めた場合のクレジット市場の寡占率は、67.9% を占めているが、2020 年よりも 0.6 %減少している。

銀行の預金に関しては、5大銀行の銀行部門では75.9%、非銀行部門では 70% の寡占率を占めているが、5大銀行の総資産では、銀行部門全体の 74.9%、非銀行部門の 65.2% を占めている。

5大銀行の寡占率は銀行の全ての分野で低下がみられるが、特に銀行の預金分野での低下が顕著になっているとブラジル中央銀行の銀行経済レポート(REB)で判明している。

過去14か月間のポウパンサ預金引出残高は1,336億レアルに達す(2022年10月5日付けヴァロール紙)

2021年8月6日のポウパンサ預金残高は1兆500億レアルに達して過去最高記録を更新したにも拘らず、その後の14ヶ月間のポウパンサ預金の預金総額3兆9,693億レアルに対して、ポウパンサ預金引出総額は4兆1,029億レアル、ポウパンサ預金残高はマイナス12.7%に相当する1,336億レアルを記録している。

過去14か月間のポウパンサ預金の利払い総額は、14か月前の預金総額の6.5%に相当する683億レアルに相当、今年9月26日のポウパンサの預金残高は14ヶ月前比マイナス6.3%に相当する9,839億レアルに減少している。

COVID-19パンデミック期間中のポウパンサ預金が急増した要因として、外出自粛や必需品以外の営業自粛奨励、先行きの雇用不安などで、一般家庭の消費減少がポウパンサ預金増加に繋がっているとブラデスコ銀行チーフエコノミストの Fernando Honorato氏は指摘している。

2016年半ばから2020年3月までのCOVID-19パンデミック前の年間平均増加率は8.1%であったが、COVID-19パンデミック期間中の2020年4月~2021年8月初めまでは14.7%と大幅に増加していた経緯があった。

COVID-19パンデミック期間中の感染予防に対する社会的孤立の終焉及びブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムによる給付金支給に伴って、多くの国民は消費のためにポウパンサ預金の引き出しを行ったことがポウパンサ預金残高の大幅な減少に繋がっているとFernando Honorato氏は指摘している。

COVID-19パンデミック期間中の2020年4月から9月迄の貧困層向け給付金のブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムによる連邦政府による給付金支給総額は2,370億レアルに達している。

また政策誘導金利Selicが二桁台の高金利を継続しているために、ポウパンサ預金から金利の高い銀行間預金証(CDB)や確定金利付きブラジル国債、不動産や農畜産関連クレジットへの投資に移動していることもポウパンサ預金残高の減少に繋がっている。

大手医療ラボラトリー網Fleuryグループは、過去2年間で10億レアルを投資してマーケットシェア拡大(2022年10月4日付けヴァロール紙)

. 3日大手医療ラボラトリー網Fleuryグループは、ミナス州南部地域で26カ所の臨床検査ラボラトリーを擁する Méthodos社の株式100%を2,740万レアルで取得したが、先週も眼科専門クリニックの臨床分析ラボネットワークを2,100万レアルで買収していた経緯があった。

. Fleuryグループは過去2年間で10億レアルを投資して、臨床検査ラボラトリーやヘルスケア関連事業を積極的に買収して医療関連分野での事業拡大を図っているが、 Pardini社の買収案件は、日本の公正取引委員会に相当する経済防衛行政評議会(Cade)が買収案件を分析中で承認待ちとなっている。画像診断ラボなど買収案件を継続して探しているとFleuryグループの Jeane Tsutsui社長は説明している。

Méthodos社の買収は、Fleuryグループのミナス州参入の橋頭堡となり、 ミナス州南部地域に既に 15 都市に既に26カ所の臨床検査ラボラトリー研究所の資産の取得に 2,700 万レアルを投資することは、グリーンフィールドのようにゼロから事業を立ち上げるよりも有利とみている。

臨床検査ラボラトリー研究所の新規開設費用に加えて、ブランドの認知度、医療界との関係、オペレーターとの認定など他にも買収による多くのメリットが見込まれている。 36 年前に設立された Méthodos 社の 2021 年の売上は 5,170 万レアルであった。

FleuryグループはMéthodos社の買収を含めてブラジリア連邦直轄地並びに9州で300カ所以上の医療関連施設を擁しており、更にマーケットシェア拡大で投資継続を予定している。

ミナス 州は、医療保険の利用者が最も多い 3 つの州の 1 つであり、近年、医療分野への投資が拡大している。 合併後に現在単一のグループとして運営されている Hapvida社 と NotreDame Intermedica社 は、ミナス州内ですでに 30 億レアル以上の投資を行っている。 州都ベロ・オリゾンテ市に 1 ユニットしかなかった Mater Dei 病院ネットワークは、ミナス州内での業務を拡大を図っている。