7月の国庫庁の歳入総額は2,025億8,800万レアル (2022年8月26日付けエスタード紙)

2022年7月の国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比7.47%増加の2,025億8,800万レアルに達し、7月の実質歳入総額としては統計を取り始めた1995年以降では記録を更新している。

今年初め7カ月間の累積歳入総額は、前年同期比10.44%と二桁台増加の1兆2,920億レアルに達し、7月の月間記録同様に過去最高を更新している。

今年初め7か月間のインフレ指数を差引かない名目歳入総額は、前年同期比23.0%増加、法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)による歳入は、前年同期比20.83%増加、キャピタルゲインに対する源泉徴収所得税(IRRF)は、金利の高止まり及び確定金利付きファンドの高収益が牽引して61.43%と大幅な増加を記録している。

サービス部門の収益増加と雇用市場改善、企業の純益増加が歳入増加につながっており、ブラジルの輸出産業を牽引する国際コモディティ商品価格の上昇は、ブラジルの貿易収支の改善に留まらず、国庫庁の歳入増加に結び付いているとInter銀行チーフエコノミストのRafaela Vitória氏は指摘している。

7月の国庫庁の歳入統計では、輸入税及び工業製品税の減税のインパクトが表れているが、8月の国庫庁の歳入には、燃料に対する減税で社会保障賦課金(Cofins)並びに社会統合基金(PIS)の歳入減少が表面化するとRafaela Vitória氏は説明している。

第2四半期の国内総生産(GDP)が前年同期比で3%増加し、前四半期比で0.9%増加すると予測。 第 3 四半期のGDP伸び率は、予想を下回る伸び率になる可能性をInter銀行では指摘している。

5月の経常収支は35億ドルの赤字計上(2022年8月26日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の発表によると、2022年5月のブラジルの経常収支は35億600万ドルの赤字を計上したが、昨年同月は25億100万ドルの黒字を計上していた。

今年5月の過去12カ月間の累積経常収支は、GDP比1.89%に相当する328億5,500万ドルの赤字を計上、今年4月の経常収支赤字のGDP比1.57%を0.3%以上上回っている。中銀の最終四半期インフレレポートによると、2022年度のブラジルの経常収支は40億ドルの黒字が見込まれている。

中銀の発表によると、今年5月の海外からの対内直接投資額は44億8,300万ドルの黒字を計上、昨年5月の22億3,300万ドルの黒字の2倍に相当する投資金額が流入している。

今年5月の過去12か月間の累計対内直接投資額は、GDP比3.45%に相当する600億2,100万ドルと4月のGDP比3.38%を若干上回っており、5月の過去12カ月間の累積経常赤字のGDP比1.89%を十二分にカバーできる直接投資金額を記録している。

5月の海外投資家の対内直接投資のうち金融関連投資は38億6,800万ドルであったが、確定金利付き市場から6億8400万ドルが逃避していた。ブラジルの株式市場から34億5,200万ドルの資金引上げがあった。また昨年5月の金融関連投資は48億9,900万ドルであった。

5月の外資系企業の利益・配当金送金は、42億900万ドルと昨年5月の20億3,200万ドルの2倍以上を記録、今年の利益・配当金の送金総額は330億ドルに達すると予想、中銀では今年の海外投資家によるブラジル国債の投資残高は70億ドルを見込んでいる。

今年7月のクレジット部門は前月比0.8%増加、過去12か月間では16.3%増加(2022年8月22日付けヴァロール紙)

ブラジル銀行協会連盟(Febraban)によると、2022年7月の個人向けクレジットは1.4%増加、7月の過去12か月間の累計クレジット伸び率は21.5%増加、一方法人向けクレジットはマイナス0.2%、過去12か月間では9.3%増加を予想している。

個人および法人を合わせた7月のクレジット部門伸び率は前月比0.8%増加、7月の過去12か月間の累計クレジットは、16.3%増加とブラジル銀行協会連盟(Febraban)では見込んでいる。

今年のクレジット部門のインフレ指数を考慮しない名目伸び率は、6月の予想の16.9%増加を下回ると予想、7月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、6月の0.67%増加から一転してマイナス0.68%と統計を取り始めた1980年以降では月間最低記録となっている。

今年7月の法人向けクレジットはマイナス0.2%予想、そのうちクレジット先が自由に選択できる自由クレジットはマイナス0.6%、融資先が限定されている限定クレジットは、連邦政府による小零細企業向け融資制度である国家零細・小規模企業支援プログラム(Pronampe)の支援向け新規クレジットプログラムが牽引して0.6%増加している。

 

連邦貯蓄金庫の第2四半期の純益は70%減少も住宅向けクレジット残高は記録更新(2022年8月18日付けヴァロール紙)

連邦貯蓄金庫の2020年第2四半期の純益は、傘下のCaixa Seguridade社の新規株式公開(IPO)及びPan銀行の持株放出などの要因で、前年同期比マイナス70.7%の18億レアルと大幅減少を記録、また前四半期比でもマイナス27.9%を記録している。

今年第2四半期の同行のクレジット部門の延滞率は減少したにも拘らず、不良貸付残高(PDD)対応の貸倒引当金は、前年同期比78.1%増加の46億800万レアルの手当てを余儀なくされたことも純益の減少につながっている。また前四半期比も44.4%増加している。同金庫のPedro Guimarães総裁は、従業員に対するセックスハラスメントで7月初めに辞任を申し出ていた。

今年第2四半期末の住宅購入向けクレジット残高は、前年同期比11.0%増加の5,952億レアルを記録して業界トップを維持しており、また前四半期比では3.3%増加している。

今年第2四半期末の農畜産業向けクレジット総額は308億レアル、そのうち個人向け農畜産クレジットは、前年同期比253.9%増加の196億レアルに達している。過去12カ月間では202.3%増加、前四半期比では45.1%増加している。

連邦貯蓄金庫の今年第2四半期末のクレジット部門総額は、過去1年間で13.7%増加の9,282億レアル、今年第2四半期だけのクレジットは18.6%増加の1,278億レアルを記録、前年同四半期末比では17.5%増加している。

今年第2四半期末のクレジット部門の延滞率は、前年同期比0.57%減少の1.89%まで低下、前四半期比では0.44%減少、不良貸付残高(PDD)対応の貸倒引当金のカバー率は244.6%であった。

今年上半期のM&A成立件数は記録更新(2022年8月17 日付けヴァロール紙)

PwC Brasil社の調査によると、2022年上半期のブラジル国内の企業の買収・合併(M&A)成立件数は、テクノロジー分野が牽引して807件に達し、昨年同期の706件の過去最高記録を更新している。

今年1年間の M&A件数は、ロシアによるウクライナ侵攻、インフレやSelic金利の高止まり、10月の大統領選挙などネガティブ要因が累積しているにも関わらず、昨年の1659件を上回って記録更新の可能性が見込まれている。

今年上半期のファイナンス関連のM&Aは大型案件が成立しており、4月には Itaú Unibanco銀行は、79億レアルを投資してXP社の11.3%の株式を取得、その多くの株式はプライベートエクイティの General Atlantic社の株式であった。

また今年1月には、米国資本 GQG Partners社はイタウー銀行の5.23%の株式を59億レアルで取得、今年上半期のファイナンス関連のM&A件数は、76件でM&A件数全体の9.42%を占めていた。

テクノロジー関連のM&A件数は過去10年間連続で首位を維持しており、今年上半期のテクノロジー関連全体の45.72%に相当する360件に達している。

今年2月にはクレジットカードとデビットカードを使用する取引のキャプチャー・伝送・処理・決済、販売時点情報管理(POS)端末の InfinitePayを擁する CloudWalk社は、 Genial社及びItaú BBA社などから21億レアルの資金を調達している。

また今年4月には生体認証(バイオメトリクス)の Unico社は、 Goldman Sachs社が主幹事として62,500万レアルに達する資金調達に成功している。

PwC社のM&A担当パートナーは、7月からブラジルの主要として運営が始まった5G テクノロジーへの投資の活性化を予想している。

別の要素として、ロシアによるウクライナ侵攻、中国の台湾問題などの要因で、大木の企業は中国やインドなどの国への依存を軽減による脱グローバル化による生産チェーンの多様化の検討を余儀なくされており、ブラジルへの投資見直し機運が高まる可能性がある。

ソフトバンクは今年4月迄のブラジルのスタートアップ投資の20%を占めている(2022年8月9日付ヴァロール紙)

孫正義率いるソフトバンクグループ傘下のラテンアメリカ市場のテクノロジー企業に特化した私募ファンドのラテンアメリカファンド1及び2は、2022年1月から4月迄にブラジル国内のスタートアップ企業に総額24億6,000万レアルを投資したが、ブラジルのスタートアップ企業への投資に20%に相当する金額を記録している。

2021年のブラジルのスタートアップ企業への投資総額は、502億2,000万レアル(昨日8日の為替換算では98億ドル相当)、そのうちソフトバンクの投資ファンドによる投資は全体の28.3%に相当する142億レアルを記録している。

昨年の同社はラテンアメリカ地域では、5社に達する創業10年以内に10億ドル以上の評価額が付けられている非上場企業のユニコーン企業に投資を果敢に行っている。

この投資先グループには、ブラジルの仮想通貨取引所メルカド ビットコイン社(Mercado Bitcoin)、顔認識スタートアップのユニコ(Unico)、小売業者のマデイラマデイラ(MadeiraMadeira)、オンライン ストアで株式を購入するメキシコ資本の小売業者メラマ(Merama)、および道路輸送プラットフォームのカレガンド コム(rodoviário Frete.com.)が含まれている。

また前記5社以外のユニコーン企業として、ソフトバンクが投資しているのは、デジタル バンクのInter社 並びにNubank社、不動産会社のLoft社とQuinto Andar社、e コマース テクノロジー企業のVtex社、ジム アプリのGympass社、ロジスティクス スタートアップ企業のLoggi社とフィンテックのCreditas社、配達を行うコロンビア資本のRappi社、中古車再販のメキシコ資本のKavak社 などを擁している。

ソフトバンクのラテンアメリカファンドによる今年上期の投資は88件、そのうち上場企業は7社だけであり、残り81件は非上場企業のスタートアップ企業などとなっている。

6月のブラジル政府の負債総額は5兆8,000億レアル(2022年7月27日付けヴァロール紙)

2022年6月のブラジル政府の公的負債総額(DPF)は、5月の5兆7,020億レアルから5兆8,450億レアルと1,400億レアル以上増加を記録、今年の年間ファイナンスプランの許容範囲6兆~6兆4,000億レアルを下回っている。

またブラジル政府の6月の対内債務残高は、5月の5兆4,750億レアルから5兆5,950億レアルと1,200億レアルも増加を記録している。一方6月の対外債務残高は、5月の478億5,000万ドルから477億6,000万ドルと僅かに減少を記録している。

6月の国庫庁によるブラジル国債発行総額は713億4,000万レアルに対して、ブラジル国内の償還総額は僅か40億1,000万レアルに留まり、償還総額を差引いた純国債発行残高は、673億3,000万レアルを記録している。今年6月の過去12か月間の累積国債発行総額は、国債発行総額の23.11%と5月の23.37%から若干減少している。

6月のブラジル国債の平均償還期間は、5月の3.95年から3.88%年に縮小、6月の世界の平均償還期間Average Term to Maturityは、5月の5.27年から5.20年に縮小している。

今年6月のブラジル国債発行のうち後付け変動金利国債比率は、5月の36.80%から36.69%と若干減少、今年の後付け変動金利国債比率は38.0%~42.0%が予想されている。

また6月のブラジル国債発行のうち確定金利付き国債発行比率は、5月の27.21%から27.23%とほぼ同率で推移 、インフレ指数連動国債の発行比率は、5月の31.8%から31.55%ほぼ同率で推移 、為替連動国債発行比率は、5月の4.18%から4.53%に上昇している。

6月のブラジル国債への海外投資家の投資比率は、5月の9.09%から8.92%と若干減少、投資総額は5月の4,976億8,000万レアルから4,993億2,000万レアルと若干増加している。

今年6月の投資ファンドがブラジル国債に占める割合は、5月の23.19%から23.60%と微増、年金関連金融機関は23.0から22.32%と微減、一般金融機関は29.61%から30.14%と微増している。

今年4月のリボ払いクレジットカード年利は364%(2022年7月27日付ヴァロール紙)

ブラジル銀行協会連盟(Febraban)によると、2022年4月のブラジル国内のリボ払いのクレジットカードの年利は、前月比4.9%上昇の364%と天文学的な数字に達しており、クレジットカード利用時には最新の注意を払う必要がある。

リボルビングクレジットラインはカードで事前承認されており、支払い方法のクレジット機能で行われた引き出しも含まれている。 顧客のが支払い不能のデフォルトが発生した場合、銀行は未払いの残高を分割払いするか、30日以内により有利な条件で債務を決済する別の方法を提供する救済措置をとる必要がある。

一方今年4月のカードの分割払いの年利は、前月比171.7%から175.1%と3.0%以上上昇しており、銀行が与信審査なしで自動的に貸してくれる特別小切手税と呼ばれる口座借越残の年利は、3月の127.8%から132.7%と一挙に約5.0%上昇している。

今年4月のブラジル銀行システムのクレジットオペレーションの平均年利は、3月の26.7%から27.7%と1.0%上昇、4月の過去12か月間では、7.3%と大幅に金利が上昇している。

また今年4月の法人向け平均年利は18.7%から20.2%に上昇、個人向け平均年利は31.4%から32.1%に上昇している。クレジット先が自由に選択できる平均貸付年利は、37.4%から38.1%に上昇している。

また商業銀行の4月の平均スプレッドは、3月の17.0%から17.6%に上昇、個人向けクレジットオペレーションのスプレッドは、22.2%から22.8%に上昇、法人向けクレジットオペレーションのスプレッドは、8.2%から8.7%に上昇している。

今年3月の経常収支は28億ドルの赤字計上も過去5年間では最低の赤字(2022年7月25日付エスタード紙)

ブラジル中央銀行のストライキの影響で、各種統計の発表が遅れているが、2022年3月のブラジルの経常収支は27億6,000万ドルの赤字を計上したにも関わらず、3月としては、2017年3月の1億8,550万ドルの黒字以降では最低の赤字を記録している。

今年3月の海外投資家による対内直接投資は75億ドルを記録して、今年3月のブラジルの経常収支赤字27億6,000万ドルをカバーしても約50億ドルの黒字を計上する程の対内直接残高を記録している。

ブロードキャストプロジェクションでは、今年3月の経常収支の最低予想は40億ドルの赤字、最高予想は15億ドルの黒字、平均予想は4億ドルの黒字を予想していた。

今年3月の経常収支の内訳は、貿易収支は61億ドルの黒字。サービス部門収支は22億ドルの赤字、第一次所得収支は69億5,000万ドルの赤字、ファイナンス収支は36億ドルの赤字を計上していた。

今年第1四半期の経常収支は131億ドルの赤字計上、6月の四半期インフレレポートによると連邦政府は今年の経常収支を40億ドルの黒字を予想している。

今年3月の過去12か月間の累積経常収支はGDP比1.41%に相当する235億ドルの赤字計上、2021年8月のGDP比1.40%の赤字以降では最低の赤字比率を記録している。

今年3月の対内直接投資残高は、76億ドルと昨年3月の70億ドルを上回っている。ブロードキャストプロジェクションの最低予想は45億ドル、最高予想は131億ドル、平均予想は65億ドルであった。

今年第1四半期の累積対内直接投資残高は241億ドル、中銀では今年の対内直接投資を550億ドルと予想、6月の四半期インフレレポートによると今年3月の過去12か月間の累積対内直接投資残高は、GDP比3.08%に相当する512億5,000万ドルを予想している。

 

今年上半期のブラジル国内のM&A 件数は前年同期比2.3%減少(2022年7月19日付エスタード紙)

コンサルタント会社 Kroll社の調査によると、2022年上半期のブラジル国内の企業買収・吸収合併案件は、ロシアによるウクライナ侵攻、高止まりするインフレや金利などの外的要因で、前年同期比2.3%減少に相当する735件に留まっている。

また今年上半期のブラジルの企業買収・合併(M&A)案件のトップ20の投資総額は620億レアルに留まっている。6月のM&A案件は前年同月比19.6%減少に相当する94件まで縮小、3月から6月迄のM&A案件数は、4か月間連続で前年割れを記録している。

今年上半期の企業買収・合併(M&A)は、世界的なインフレや金利上昇に伴って世界全体の株式市場から投資逃避が続いて株価が低迷しており、上場企業の時価総額が目減りして投資意欲を削がれていると同時に手持ち資金の確保を優先している。

2021年のサンパウロ証券取引所(B3)における新規株式公開(IP0)並びに追加公募増資(フォローオン)による資金調達総額は、全体の10.0%に相当する400億レアルを記録していた。

2023年のM&A シナリオは、今年のように10月の大統領選挙を見据えた様子見、世界的なインフレや金利上昇による世界的な株式市場の低迷で、今年のM&A投資とそれほど変わらないと予想されている。

M&A投資を牽引する金融サービスセクターと並んでテクノロジーセクターは、世界的な株価低迷を最も受けているセクターであり、またロディスティックセクター、電力エネルギーセクター及び消費財セクターへのM&A投資も影響を受けている。