今年6月のクレジット部門は前月比1.1%増加、過去12か月間では16.6%の二桁増加予想(2022年7月19日付ヴァロール紙)

ブラジル銀行連盟(Febraban)の事前調査によると、2022年6月のクレジット残高は前月比1.1%増加予想、過去12か月間の累積クレジット残高は前年同期比16.6%と二桁台の伸び率が予想されている。

特に6月のクレジット部門では、一般家庭向けクレジット部門は、雇用の改善及び前政権の貧困層向けボルサファミリアプログラムに替わる補助金支給プログラムの継続やCOVID-19ワクチン接種加速で一般家庭の消費増加に繋がって前月比1.4%増加が予想されている。

また6月の過去12か月間の個人向けクレジット伸び率は、5月の21.9%増加から21.7%増加と若干減少が予想されているにも関わらず、20%を突破する大幅な増加率が予想されている。

今年上半期のクレジット部門は個人向け及び法人向けともに年率換算で二桁台の伸び率を記録している。また今年下半期のGDP伸び率は予想を超える伸び率に上方修正されていると Febrabanの Rubens Sardenberg取締役は楽観視している。

今年6月の法人向けクレジットは前月比0.8%増加予想、法人向け自由クレジット伸び率は0.8%、クレジット先が限定されている法人向けクレジット伸び率は0.7%、6月の過去12か月間の法人向け累計クレジットは、5月の8.9%から9.8%と大幅な伸び率増加が予想されている。

 

大企業の間で自社が経営する学校教育への投資の動きが拡大

技術系などいくつかの業種で人材が不足していることから大企業が、自社のニーズに合わせて専門家を育成するための新たな戦略に大きな期待を寄せている。アメリカとドイツ、オーストラリアで成果を出し始めていることを受け、これらの企業は、単科大学や専門学校のような形で教育省が認定した自社の教育イニシアティブに投資している。

このコンセプトを導入した企業には、イスラエリタ・アルベルト・アインシュタイン病院(Hospital Israelita Albert Einstein)やBTGパクチュアル(BTG Pactual)、WEG、先週XP単科大学(Faculdade XP)を設立したXPインベスチメントス(XP Investimentos)などがある。

これらの企業の目的は、目的は、専門家の資格能力の拡大と有能な人材の確保を視野に、実習生を職場に統合した養成プログラムを立ち上げることだ。拡大しているこのような取り組みは、雇用主大学(employer U又はemployer university)と呼ばれる。ただし、企業側がメリットを受けるための対策の枠内であり、環境・社会・企業統治に対する責任(ESG)に対するコミットメントの形をとるため、こうした教育は、企業教育のコンセプトに収斂するといえる。

雇用主は自社文化の一員となった人たちを訓練し、生徒らは、学んだことを実務で実施、いち早く労働市場にアクセスできるようになる。

その一例は、イスラエリタ・アルベルト・アインシュタイン病院看護専修学校の中等教育第1期生として入学したカイモン・デ・パウラ・ロドリゲス・シルヴァ(Kaymon de Paula Rodrigues Silva)さん(19歳)が、5月に初めての仕事を得たケースだ。

3年目のカリキュラムを完了した2021年にシルヴァさんは、同病院が運営する事業所でインターンを開始した。そして現在、卒業し、看護地方審議会(Coren)に登録され、彼はモルンビー区の外科センターの社員である。

イスラエリタ・アルベルト・アインシュタイン病院看護専修学校では2020年の卒業生の84%が2021年末までに就職しており、この内80%が同病院の運営先で雇用されている。同病院は、全体では27か所の公立医療機関と13か所の民間医療機関を運営しており、看護専修学校の生徒に対して同校が保証するインターンシップを提供している。

アインシュタイン教育システム(Ensino Einstein)のブライディ・サンタナ(Blaidi Sant’Anna)中等教育担当取締役は、「雇用主と統合された教育では、行動力(ソフトスキル)のような、企業のニーズと適正が高く評価される。専門家は組織文化の中で育成され、雇用適性を引き上げていく」とコメントした。(2022年7月3日付けエスタード紙)

今年5月の国庫庁の歳入総額は1,653億レアルに達し、5月としては1995年以降では最高の歳入総額を記録(2022年6月23日付けヴァロール紙)

2022年5月の国庫庁のインフレ指数を考慮した実質歳入総額は、前年同月比4.13%増加の1,653億3,300万レアルに達し、5月としては1995年以降では最高の歳入総額を記録している。

また今年初め5か月間の国庫庁の累計実質歳入総額は、前年同期比9.75%のほぼ二桁台の増加に相当する9,085億5,100万レアルに達し、過去最高の記録を更新している。

今年5月の国庫庁のインフレ指数を考慮しない名目歳入総額は、前年同月比16.35%増加の1,421億600万レアルを記録している。5月の実質一般歳入総額は、前年同月比3.37%増加の1,593億400万レアル、前記同様に名目一般歳入は15.50%増加を記録している。

善意同様に今年初め5か月間の累計実質一般歳入総額は、15.50%増加の8,506億8,200万レアル、累計名目一般歳入総額は、19.49%増加を記録している。

今年5月のロイヤリティなどの実質臨時歳入総額は、前年同月比29.14%増加の60億2,900万レアル、前記同様に名目臨時歳入総額は44.29%増加、今年初め5か月間の累計実質臨時歳入総額は、58.22%増加の578億6,800万レアルを記録している。

 

 

5月の過去12か月間の累計クレジット残高は、前年同期比16.3%増加(2022年6月21日付ヴァロール紙)

ブラジル銀行連盟(Febraban)の調査によると、2022年5月のブラジル国内の銀行のクレジット残高は前月比1.0%増加、5月の過去12か月間の累計クレジット残高は、前年同期比16.3%の二桁増加を記録しているが、今年4月の過去12ヶ月間の累計クレジット残高は前年同期比16.5%増加していた。

今年上半期のクレジット部門は、一般家庭向けクレジットが牽引して、継続して堅調な伸び率を記録しているとブラジル銀行連盟(Febraban)は説明している。

ブラジル中央銀行のストライキの影響で、今年2月からブラジル国内のクレジット部門の正式な統計の発表は行われていないが、政策誘導金利Selicが二桁台に達しているにも関わらず、一般家庭の消費が牽引して堅調に増加している。

COVID-19対応ワクチン接種拡大による国内経済活動の正常化、雇用の回復、1,000レアルまでの現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金の引出、年金・恩給受有者向け給与・年金口座連動型クレジット拡大、年金・恩給受給者に対する13ヶ月サラリーの半額前払いなどで一般家庭のクレジットが拡大してきている。

今年5月の個人向けクレジットは前月比1.7%増加、5月の過去12か月間の累計では21.9%増加を記録、過去最高を記録した2011年6月の22.2%増加に接近している。一方法人向けクレジットは8.9%増加を記録している。

営業日数の多かった今年5月のクレジット残高は,前月比12.8%増加した一方で、1日当りの平均クレジット残高は前月比2.6%減少、5月の過去12か月間の累積クレジット残高は24.5%増加している。

今年5月の一般家庭向けクレジットは10.2%増加した一方で、1日当りの平均クレジット残高は4.8%減少、過去12か月間では24.1%増加、前期同様に法人向けクレジット残高は15.9%増加、1日当りの平均クレジット残高は0.1%微増、5月の過去12か月間の法人向け累積クレジット残高は25.0%増加を記録している。

 

Copom議事録発表後にJ.P. Morganは2023年のSelic金利を11.0%に上方修正(2022年6月21日付エスタード紙)

ブラジル中央銀行の先週開催された通貨政策委員会(Copom)の議事録の発表によると、 政策導入金利(Selic)の引下げサイクルは2023年第1四半期になると示唆されている。 J.P. Morgan銀行エコノミストは今年末のSelic金利は13.75%、2023年末のSelic金利は前回予想の9.75%から11.0%と大幅な引き上げを余儀なくされている。

今月15日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を 現行の12.75%を0.5%引上げて13.25%に決定、11回連続での引上げで過去5年半のSelic金利としては最高金利に達している。

今回の通貨政策委員会(Copom)による政策導入金利(Selic)の引上げ開始時の2021年3月のSelic金利は、過去最低の2.00%であったが、連続11回の引上げ幅は11.25%に達し、1999年以来では最高のショック療法となっている。

Copom委員会開催前の15日午后に米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を0・75%引上げを決定。1994年11月以来、27年7カ月ぶりの上げ幅で、従来の3倍。約40年ぶりとなる記録的なインフレを抑制するため、異例の金融引き締めに踏み切っている。利上げは3会合連続で、政策金利の誘導目標は1.5%~1,75%に設定している。

金融スペシャリストはまた、議事録のインフレシナリオに関連して、「タカ派」[保守的]な見方を示していると指摘している。 さらに議事録の内容が、来年のインフレ率を4%と予測して、目標に近いレベルにするというCopomの戦略に明確に言及していると指摘している。

J.P. Morgan銀行エコノミストは、今年下半期から経済リセッションに突入可能性はあるもののインフレ圧力は継続して下降サイクルに突入するのが遅れるために、8月に開催される次回の中銀のCopom会議ではSelic金利の0.5%引上げて13.75%を予想している。

 

今年第1四半期のポウパンサ預金は7四半期連続増加から一転して減少(2022年6月20日付けヴァロール紙)

経済調査院金融市場研究センター(Cemec-Fipe)の調査によると、2022年第1四半期のポウパンサ預金は、前四半期比6.1%に相当する324億レアル減少、2021年第4四半期の758億レアルの増加から一転して減少に転じている。

COVID-19パンデミック直前の2019年第1四半期からCOVID-19対応のワクチン接種拡大による社会的活動の正常化が顕著になってきた2021年第4四半期まで7四半期連続で増加を記録していたが、COVID-19パンデミックに対する不安解消による一般消費の拡大に伴って、今年第1四半期のポウパンサ預金の引出が堅調になってきている。

2022年第1四半期の国内総生産(GDP)伸び率は、サービス部門のGDP伸び率が牽引して前四半期比1.0%増加を記録、前年同期比では1.7%増加、過去1年間の累計GDP伸び率は4.7%増加、今年第1四半期の国内総生産額は2兆2,000億レアルを記録している。

しかし高止まりするインフレ指数、実質賃金の減少、一般家庭の負債増加などの要因で、今後のポウパンサ預金の引き出しは継続すると金融市場関係者は予想している。

2019年第1四半期から2021年第4四半期のポウパンサ預金の預金総額は5,276億レアルを記録した一方で、今年第1四半期のポウパンサ預金はマイナス324億レアルを記録、2019年第1四半期から2022年第1四半期のポウパンサ預金の預金総額は4,971億レアルとなっている。

COVID-19パンデミック期間中のポウパンサ預金が大幅に増加した要因として、外出自粛や必需品以外の営業自粛による特にサービス部門の消費減少、COVID-19パンデミックによる先行き不安がポウパンサ預金の増加要因と経済調査院金融市場研究センター(Cemec-Fipe)コーディネーターのCarlos Antonio Rocca氏は指摘している。

 

従来の銀行顧客はフィンテック企業発行のクレジットカードに注目(2022年6月17日付けヴァロール紙)

従来の伝統的な銀行の顧客の三分の一は、主な銀行決済でデジタル銀行発行のクレジットカードの使用を行っているとコンサルタント会社McKinsey社の調査で判明している。

一方で、デジタル銀行の顧客の僅か19% が主な銀行決済で従来の銀行発行のクレジットカードの使用を行っているとコンサルタント会社McKinsey社の調査で判明している。

デジタル銀行発行のクレジットカード決済の昨年の選択肢調査では、銀行の手数料の無料が29%と断トツの選択肢となっているが、一昨年の調査の34%よりも減少している。またクレジットカードの限度額調査では、一昨年の 11%から昨年は13% に増加している。

キャッシュバックやマイルなどのベネフィット調査では、二年連続で14% と銀行手数料の無料に次ぐ選択肢となっているが、貧困層の顧客はマイルを貯め込む習慣がないためにマイルよりもキャッシュバックによるベネフィットを好む傾向がある。

この調査はオンライン形式で 4.023人を対象に実施、デジタル銀行発行のクレジットカードに対する一般消費者のクレジットカード利用度、習慣やモチベーションを調査している。

4月の中央政府の財政プライマリー収支は285億5,300万レアルの黒字計上(2022年6月14日付けヴァロール紙)

2022年4月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー収支は285億5,300万レアルの黒字計上、月間黒字幅としては2011年以降では最高の黒字幅を計上している。

今年4月の中央政府の財政プライマリー収支の内訳は、国庫庁の黒字は529億⒎00万レアルを計上した一方で、社会保障院(INSS)は2429,000万レアルの赤字を計上、ブラジル中央銀行も6,400万レアルの赤字を計上していた。

4月の中央政府の過去12か月間の累積財政プライマリー収支はGDP0.06%に相当する46億レアルの赤字を計上している。

昨年4月の中央政府の財政プライマリー収支は166億5,800万レアルの黒字を計上、2021年の中央政府の財政プライマリー収支はGDP比0.4%に相当する350億レアルの赤字を計上していた。

今年初め4か月間の国庫庁は1,590億9,900万レアルの黒字を計上した一方で、社会保障院は797億8,100万レアルの赤字、中銀は5,500万レアルの赤字を計上している。

今年の連邦政府の財政プライマリー収支の許容上限赤字は1,705億レアルに設定しているが、連邦政府では655億レアルの赤字に留まる可能性が大きいと予想している。

今年4月の中央政府のインフレ指数を差引いた純収益は前年同期比5.9%増加の1,656億1,400万レアルを記録していた。一方純支出は0.5%減少の1,3706,100万レアルであった。

今年初め4か月間の連邦政府の支出総額は、最高許容額の1兆6,800億レアルの31%に相当する5,217億8,000万レアルを記録している。

4月の連邦政府の公社などによる配当金収入は7億5,030万レアルと昨年同月の39億1,500万レアルの5分の1以下に留まっている。今年初め4か月間の連邦政府の累計配当金収入は594,100万レアルと昨年同月の594,300万レアルと同レベルで推移している。

過去3年間でラテンアメリカ地域のフィッテック企業は112%増加

米州開発銀行(BID)の調査によると、ラテンアメリカ地域の2018年のフィンテック企業数は1166社であったったが、3年後の2021年末の意は112.0%増加に相当する2482社と急増している。

ラテンアメリカ地域のフィンテック企業が3年間で112%増加した要因として、ブラジルのフィンテック企業が急増、464社から771社と急増してラテンアメリカ地域のマーケットシェアの31.0%を占めてトップ、メキシコのマーケットシェアは21.0%、コロンビア11.0%、アルゼンチンも11.0%チリは7.0%を占めている。

世界のフィンテック企業総数は1万1000社に達しているが、そのうちラテンアメリカ地域のフィンテック企業数は世界全体の22.6%を占めて急拡大している。

世界の有望な投資先としてスタートアップ企業をターゲットにしている投資家は、ラテンアメリカ地域でクレジット支払いのデジタルソルーション、銀行窓口業務などで頭角を現しそうな有望なフィンテック企業に注目している。

ラテンアメリカ地域、特にブラジル国内でのデジタルトランスフォーメーション企業は雇用創出につながっていると米州開発銀行(BID)のMauricio Claver-Carone総裁は指摘している。

2013年にブラジルで設立されたNubankは昨年末に新規株式公開IPOを実施、ブラジル国内はもとよりメキシコやアルゼンチンで事業を拡大しており、更なる業務の国際化に積極的に事業を拡大している。

昨年のブラジルの直接投資残高は世界6位

国際貿易開発会議 (UNCTAD) はグローバルな海外直接投資の傾向についての「世界投資報告書2021」発表によると、昨年のブラジルへの対内直接投資残高は、前年よりも3ランクアップの6位に上昇している。

昨年のブラジルへの対内直接投資残高は、Covid‐19パンデミックで大きな影響を受けていた前年比では77.9%の大幅増加の503億ドルに上昇したが、2020年のブラジルへの対内直接投資残高は283億ドルに留まっていた経緯があった。

昨年のブラジルへの対内直接投資は前年比大幅に上昇したにも関わらず、Covid‐19パンデミック前の2019年の650億ドルには大幅な差が存在するが、昨年の対内直接投資は外資系企業による再投資が幅を占めていた。

今年のブラジル向け対内直接投資は、国際コモディティ価格の高騰で、石油・天然ガスや金属などの鉱業部門や農畜産部門への投資拡大を国際貿易開発会議 (UNCTAD) 投資担当部門のJames Zhan理事は予想している。

昨年の世界の対内投資ランクでは、米国への投資がトップ、次いで中国、香港、シンガポール、カナダに次いでブラジルは6位と年間平均のGDP伸び率が8.0%のインドを追い越している。

昨年ブラジルへの対内直接投資503億ドルの18%は民間部門の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)であったが、2020年のFBCF比率は11.8%であった。

昨年末のブラジルへの累計対内直接投資残高は、前年比マイナス0.4%に相当する5,927億ドル、昨年の対内直接投資額はGDP比36.9%に相当するが、2020年は41.1%であった。