インド由来のデルタ株によるブラジル国内の新型コロナ感染かくっだい、先行き不透明感が増加した世界経済の成長率並びにブラジルの政治情勢などの要因で、今年7月だけで海外投資家はサンパウロ証券取引所(B3)から総額70億レアルに達する株投資金を引き揚げている。
今年3月から海外投資家は継続してブラジルの金融取引市場での投資を拡大しており、7月の海外投資家によるB3市場から70億レアルに達する資金引き揚げにも拘らず、今年の累積金融投資は410億レアルの資金が国内に留まっている。昨年の海外投資家は総額320億レアルに達する資金引き揚げを行っていた。
中国経済の減速によるブラジルの主力輸出商品である国際コモディティ価格下落の可能性を元中銀国際担当重役でWHG社チーフストラテジストのTony Volpon氏は指摘している。
また中国政府による情報テクノロジー部門や教育部門の個人情報管理強化への介入は、過去数日にわたって世界の金融市場にストレスを与えているとXP社チーフストラテジストのFernando Ferreira氏は指摘している。
パンデミック初期は、ブラジルの株式市場は他の地域よりも悪影響を受けていたが、世界的な金利が依然として低く、ブラジルも過去最低水準の金利、連邦政府にゆるCOVID-19パンデミック対応の緊急救済策の導入などで、まだ遅いペースでも国内経済は回復基調となっている。
今年初め7か月間のサンパウロ平均株価Ibovespaは5.6%上昇を記録している一方で、米国の主な投資インデックスは10%以上上昇、S&P 500は17.0%上昇を記録している。ヨーロッパの株式市場でもサンパウロ平均株価を下回っているのは僅かであり、トルコはマイナス、中国を含むアジアの主な株式市場は赤字を記録している。
ブラジルの制度環境の脆弱さを示すものとして、ブラジル政府が最近提案した配当の課税に関する変更の税制改革案に注目が集まっており、海外投資家による投資延期に結びつく可能性をグスタボ・フランコ元中央銀行総裁が設立したリオ・ブラボー社エコノミストのジョアン・リール氏は指摘している。