一般家庭の負債比率は、COVID-19パンデミックの影響で58%に達して過去最高を記録(2021年6月28日付けエスタード紙)

26日の中銀の発表によると、2021年3月の金融システムにおける負債を抱えているブラジルの一般家庭の比率は58.0%と過半数以上に達して、統計を取り始めた2005年以降では最高の負債比率を記録している。

今年3月の一般家庭の住宅ローンを除いた金融システムの負債比率は、COVID-19パンデミックの影響による失業率増加並びに家庭収入の減少に伴って35.7%に上昇しており、統計を取り始めてからでは最高の負債比率を記録している。

COVID-19パンデミック直後の昨年3月の一般家庭の負債比率は、49.4%と過半数に達していなかったが、1年後の今年3月は8.6%も上昇している。

中銀の発表によると、今年5月の融資先が自由に選択できる自由クレジット総額は、前月比2.2%増加の3,475億レアル、5月の過去12か月間の自由クレジット総額は2.0%増加している。

今年5月の個人向けクレジットは、前月比4.3%増加の1,786億レアル、過去12か月間では4.8%増加。一方法人向けクレジットは0.2%増加の1,689億レアル、過去12か月間ではマイナス0.9%を記録している。

今年5月の個人向けの銀行が与信審査なしで自動的に貸してくれる特別小切手税と呼ばれる口座借越残のクレジットカードの平均年利は、4月の336.1%から6.5%減少の329.6%に低下したが、非常に高金利の貸出金利のために緊急時のクレジットとして注意を要する。

ブラジル大企業のIPOは海外投資家を魅了(2021年6月21日付けエスタード紙)

海外投資家による今年初めからサンパウロ証券取引所(B3)の株式投資による投資金流入から流出を差引いた純投資残高は、440億レアルに達しているが、今年7月にブラジルの大企業の新規株式公開(IPO)が相次ぐために、更なる海外からの資金流入が期待されている。

COVID-19対応のワクチン接種の遅れ、構造改革の遅れによる財政赤字の拡大などの要因で、ブラジルの国内経済は足踏み状況にも拘らず、今年上半期のB3への海外投資家による投資残は、440億レアルと昨年同期の760億レアルの赤字から一転して大幅な黒字を記録している。

今年7月以降に新規株式公開を予定しているブラジルの大企業として、CosanグループのRaízen社、ヴォトランチングループ傘下のCBA社、実業家ベンジャミン・スタインバック氏が率いるCSN 今年7月から9月に掛けてブラジル大企業のIPOによる資金調達総額は、400億レアルが見込まれているが、今年初めからの資金調達総額は800億レアルに達している。Itaú BBA社は、今年1年間のIPOによる資金調達総額は、1,500億レアルから1,700億レアル相当を見込んでいる。

現在は4.25%まで上昇しているが、今年3月迄の政策誘導金利(Selic)は、過去最低の2.00%であったために、確定金利付き投資らリスクの高い株式投資に資金が流れていた。2019年末のB3の個人投資家は60万人であったが、現在は370万人と6倍以上に増加している。

Cosan社並びにShell社のベンチャー企業Raízen社は、7月末に予定している新規株式公開で100億レアル以上の資金調達を目論んでいるが、二酸化炭素排出量の削減する再生可能代替燃料への資金調達を目指している。時価総額は900億レアルに達している。

CSN Cimentos社は、7月第2週にIPOで約25億レアルの資金調達を目指しているが、昨年のセメント販売は400万トン。コンペティターのMoverグループ傘下のInterCement社も7月第2週にIPOで約40億レアルに資金調達を図る。

同社はブラジル以外にもモサンビーク、エジプト、南アフリカ並びにアルゼンチンで事業を展開、昨年は世界の33カ所のセメント工場で3,700万トンのセメントを生産している。

Oncoclínicasグループは、7月末に新規株式公開で60億レアルの資金調達を予定、2010年設立で国内10州で70カ所のクリニックを経営、腫瘍学、放射線療法や骨髄移植などの分野で事業を展開している。

ヴォトランチングループ傘下CBA社は、7月第3週にサンパウロ証券取引所でIPOで20億レアルに資金調達を予定、昨年の売上は54億レアル、アルミ生産は40万8,000トン、ブラジル国内7州でアルミを生産している。フィットネスクラブを展開するSmartfit社は、IPOで20億レアルの資金調達を予定している。

金融市場はSelic金利の4.25%引上げで年末は6.5%予想(2021年6月18日付けエスタード紙)

今週水曜日の中銀の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇に伴って政策誘導金利のSelic金利を3回連続で0.75%引上げて4.25%に決定したが、大半のエコノミストは今年末のSelic金利の上方修正を余儀なくされている。

3月17日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を7ヶ月連続で過去最低の2.00%を維持していたにも関わらず、食料品並びに燃料価格が牽引しているインフレ圧力を抑制するために、一挙に0.75%引上げて2.75%の決定を余儀なくされた。その後5月並びに6月のCopom委員会でも連続して0.75%引上げていた経緯があった。

ブロードキャストプロジェクションの37金融機関対象の調査によると、大半のエコノミストは今年末の平均Selic金利を前回予想の6.25%前後から6.50%に上方修正している。

また年末のSelic金利の最低予想は前回の5.00%から5.75%、最高予想は前回予想の7.00%から7.25%それぞれ上方修正しているが、5銀行は7.00%以上を予想しているが、前回の52銀行対象の調査では、僅か1銀行が7.00%以上を予想していた。

また次回8月の中銀の通貨政策委員会(Copom)での政策導入金利(Selic)予想では、調査対象の37銀行のうち35銀行は0.75%引上げで5.00%を予想、2銀行は1.00%の引上げを予想している。

中銀の通貨政策委員会(Copom)によるインフレ圧力対応リスクの非対称的なバランス採用で、8月のSelic金利の0.75%上方修正、年末は6.75%になると投資銀行Haitong社チーフエコノミストのMarcos Ross氏は予想している。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は6.10%、しかし2022年は3.50%~3.60%と中央目標値に接近するとMarcos Ross氏は予想している。

ASA Investments社チーフエコノミストのGustavo Ribeiro氏は、中銀がインフレ圧力を早期に抑制するために、Selic金利の1.00%引上げの可能性を指摘している。またGustavo Ribeiro氏は、過去12か月間のインフレ指数のピークは8月になると予想している。

しかしInter銀行チーフエコノミストのRafaela Vitória氏は、Selic金利の引上げサイクルは10月の5.75%がピークになると予想、2022年のインフレ目標指数を3.60%に抑えることが可能と予想している。