今年の財政プライマリー収支は1,135億レアルから1,470億レアルの赤字に修正(2023年12月14日付けヴァロール紙)

財務省のプリズム財政レポート(Prisma Fiscal )を基にした財務省エコノミストの2023年度のブラジル連邦政府の財政プライマリー収支は、前回予想の1,135億レアルから1,470億レアルの赤字に修正している。

一方で2024年のブラジル連邦政府の財政プライマリー収支は、前回予想の902億レアルから900億レアルの赤字にわずかではあるが下方修正している。

連邦政府では来年の財政プライマリー収支はGDP比零を目指しているが、許容範囲としてGDP比±0,25%を容認している。

連邦政府の公的債務残高の主な指標である一般政府総債務残高(DBGG)の場合、市場予測は今年末時点でGDP比75.81%から75.65%に上方修正。2024年の一般政府総債務(DBGG)残高は前回同様GDP比78.8%に据え置かれた。

また2023 年の連邦政府の歳入総額は前回予想の2 兆 3,300 億レアルから 2 兆 3,270 億レアルに下方修正された。純歳入総額は前回予想の1兆9,060億レアルから1兆9,030億レアルに微減。連邦政府の支出総額は前回予想の2兆200億レアルから2兆390億レアルに微増されている。

11月の資金調達向け社債発行総額は前年同月比96%増加の445億レアルに達した(2023年12月12日付けヴァロール紙)

ブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)の発表によると、2023年11月のブラジル国内の金融市場における資金調達向け社債発行などによる発行総額は、前年同月比96%増加の445億レアルに達している。

11月のブラジル国内の資金調達向け社債発行総額は、前年同月比200%増加の254憶レアルに達して、11月の資金調達総額の57%を占めている。

今年11月は新規株式公開(IPO)がなかったため、変動金利付けによる資金調達額は11億レアルに留まった。2022年2月以降、ブラジルの株式市場での新規株式公開によるに上場した企業は存在しない。

今年11月の社債発行による資金調達の主な用途がインフラ投資であり、全体の29%強を占めている。償還期間は 7.9 年と平均の 8.8 年を下回っている。

今年11月のアグリビジネス債権(CRA)発行総額は48億レアルと不動産債権(CRI)の発行総額は40億レアルで合わせて資本市場の発行高のほぼ20%を占めた。

今年初め11か月間の金融市場による資金調達総額は、前年同期比マイナス18%に相当する3,840億レアル、そのうち社債発行による資金調達総額はマイナス16%に相当する1,966億レアルに留まっている。

10月のブラジル国内のクレジット部門の平均年利はマイナス0,8%の29,7%まで減少 (2023年12月5日付けヴァロール紙)

2023年10月のブラジル銀行システムのクレジット部門の平均年利は、前月比マイナス0,8%の29,7%まで減少、今年10月の過去12カ月間の累計金利は前年同期比ではマイナス0,4%を記録している。

今年10月の法人向けクレジットの平均年利は、前月並みの19,7%で推移した一方で、個人向けクレジットの平均年利は前月の36%から34,8%と1.2%の減少を記録している。

今年10月の融資先を自由に選択できる自由クレジットの平均年利は、前月の43,3%から42,2%に減少している。

今年10月の銀行システムのスプレッド金利は前月の21,2%から20,3%と0.9%減少、個人向けクレジットのスプレッド金利は、前月の27,1%から25,8%に減少した一方で、法人向けクレジットのスプレッド金利は、前月並みの9,6%で推移している。

10月の連邦政府の公的債務残高は前月比は1,58% 増加の6兆1,710億レアルに膨張 (2023年11月29日付けヴァロール紙)

2023年10月の連邦公的債務(DPF)は、1,58% 増加の過去最高水準に接近する6兆1,710億レアルに達したと国庫庁の公的債務業務管理調整官であるロベルト・ロバリニャス氏が今週水曜日に発表した。

10月の連邦公的債務残高(DPF)は、国庫庁の年間ファイナンス計画(PAF)の2023年度の公的債務残高の目標許容範囲の6兆4,000億レアル~6兆8,000億レアルを大幅に下回っている。

今年10月の連邦政府の対内債務残高(DPMFi)は、前月比1,60%増加の5兆9,270億レアルを記録したが、対外投資残高は前月比1,05%増加の2443億2,000万レアル (US$ 483億1,000万ドル相当)を記録している。

今年10月のブラジル国債発行総額は727億1,000万レアルに対して、償還総額は272億4,000万レアルに留まり、純国債発行残高は454億7,000万レアルを記録している。

. 12カ月以内に償還期間を迎えるブラジル国債の比率は、全体の20,81%と前月の20,65%から若干増加、ブラジル国債の平均償還期間は4,09年と前月の4,14年から若干短縮している。他国の国債の平均償還期間は5,45年を下回っている。

ブラジル国債の確定金利付き国債比率は、全体の38,58%と前月の39,19%よりも若干減少、連邦政府の今年の確定金利付き国債比率は、全体の38%から42%に設定している。

ブラジル国債の変動金利付き国債比率は全体の25,98%と前月の26,39%よりも若干減少、インフレ指数連動国債は30,65%と前月の30,81%よりも若干減少、為替連動国債は4,18%と前月の4,21%よりも若干減少している。

今年10月のブラジル国債に占める海外投資家の比率は10,18%と前月の9,94%と若干上昇、また今年10月の海外投資家のブラジル国債保有残高は、6,032億3,000万レアルと前月の5,800億1,000万レアルを230億レアル上回っている。

今年10月のブラジル国債に占める投資ファンドの比率は23,45%と前月の23,40%並みで推移。前記同様に社会保障院関連は23,29%と前月の23,11%よりも若干上昇、金融機関関連は28,28%と前月の28,55%並みで推移、保険関連は4,08%と前月の4,19%よりも若干減少している。

2021年11月以降のブラジル国債に占める海外投資家の比率の推移

ブラジル国債購入の60%以上は1,000レアルまでの投資(2023年11月24日付けヴァロール紙)

2023年10月のブラジル国債の純発行金額は6億5,900万レアルを記録、今年10月のブラジル国債発行残高は、前月比1.3%増加の1,250億レアルを記録している。

今年10月のブラジル国債オペレーション件数は58万2,000件、ブラジル国債購入総額は33億レアルに対して、償還総額27億レアルであった。今年10月のブラジル国債の投資者数は2万3,600人増加、投資者総数は242万人に達している。

ブラジル国債購入金額が1,000レアルまでは全体の63.1%を占めているが、平均投資金額は5,708レアルとなっている。

償還期間が5年~10年のブラジル国債は全体の49.7%と約半数を占めており、償還期間が1年~5年は32.4%、償還期間が10年以上は17.9%を占めている。

償還期間が1年~5年のブラジル国債の比率は全体の45.2%、5年以上は40.8%、償還期間が1年未満は14.0%となっている。

10月のブラジル国債で最も需要が多いのは、政策誘導金利Selic連動国債で全体の62.8%を占めており、次いでインフレ連動国債の26.1%、確定金利付国債は11.1%となっている。

またブラジル国債残高比較では、インフレ連動国債は全体の49.2%、Selic金利連動国債37.1%、確定金利付国債は13.8%となっている。

 

今年10月のクレジット部門伸び率は0.4%微増予想(2023年11月23日付けヴァロール紙)

ブラジル銀行協会連盟(Febraban)によると、2023年9月のクレジット部門伸び率は、前月比0.4%微増したにも拘らず、クレジット部門の伸び率は減少傾向が継続している。今年のクレジット部門伸び率は、前年の8.0%から7.4%増加に縮小すると予想されている。

今年10月の個人向けクレジット部門伸び率は1.0%、自由クレジット伸び率はクレジットカード部門が牽引して1.0%、限定クレジットは自動車向けクレジットが牽引して0.9%それぞれ増加を記録している。

金融機関が不渡りリスクを軽減しようとしているため、リボルビング信用枠は減少するはずであることは言及するに値する。

10月の過去12か月間の個人向けクレジット部門伸び率は、9月の10.5%から9.6%増加に減少、前記同様に法人向けクレジット部門は、4.4%から4.1%に減少している。

自由クレジット部門伸び率は1.4%減少が見込まれているために、10月の法人向けクレジット部門伸び率は0.5%減少が見込まれている。

10月のクレジット部門伸び率は0.7%減少に留まると予想されているが、営業日数換算では5.5%の大幅な減少が見込まれている。

10月の過去12カ月間のクレジット部門伸び率は、9月の5.3%から4.7%増加に減少、前記同様に法人向けクレジット部門伸び率は、1.0%増加から0.6%増加、個人向けクレジット部門伸び率は、9.1%増加から8.2%増加に減少している。

新規株式上場は過去25年間で最低(2023年11月13日付けヴァロール紙)

ブラジル証券取引所における新規株式公開(IPO)は過去25年間で最大の干ばつ状況に低迷、資本市場は新たな企業が上場しないまま2年間を迎えている。

世界的な高金利と対外的な地政学的紛争という環境の中、投資家は慎重を期しており、オフシーズンは少なくとも来年の第1四半期まで続く可能性がある。

新規株式公開(IPO)が停止している要因として、米国の金利の動向、ブラジル中銀による2024年末までの政策誘導金利Selicの下げ幅、ロシアによるウクライナ侵攻の行方、イスラエルとテロ組織ハマスの戦争の行方など不確定要素が重なっている。

しかし、2024年第1・四半期にIPOの買収提案を出すためには、文書議定書を12月中旬までに証券取引委員会(CVM)に提出する必要があり、そのためすでに投資銀行は来年4月のIPO回復見通しを延期し始めている。

このようなIPO事態は少なくとも1997年と1998年の2年間以来起こっていない。地域的に非常に不安定だった2015年でもこれほどIPOが少なかった時期はない。

現在、米国では最悪の水準の金利上昇が見られる時期にあり、11月に金利を5.25%から5.5%の間に維持したFRB(連邦準備制度、アメリカの中央銀行)の動きが注目されている。不確実性は債券市場よりも株式市場を混乱させているとブラデスコBBIの投資部門責任者フェリペ・トゥーット氏は説明。来年第1・四半期にIPOの可能性を予想している。

過去2年間の株式市場はfollow-onがメインになっており、今年末までにfollow-on での100億レアルの資金調達が見込まれている。

現在の株式市場はイスラエルとハマスの戦争といった地政学的な対立に注目が集まっており、戦争が激化する可能性があるかどうか、またそれが石油価格にどのような影響を与えるかについて懸念があるとフェリペ・トゥーット氏は指摘している。

金融市場関係者らは、数10社の未上場企業がIPO窓口の再開を待って列に並んでいると予想されているが、2年間のIPO空白時期の後の最初のオファーはおそらく、良好な業績と大規模な事業を実行する能力を備えたすでに統合された企業と外国投資家および機関投資家は見込んでいる。

一方、これらの優良企業は安価な公開価格を受け入れず、急いでオファーを出そうともしていない、最もIPOに意欲的な企業は資金を必要としている企業であり、多くの場合、これらの企業は投資家が投資したい企業ではないと指摘している。またイスラエルのハマスの戦争で不透明感が増加しており、来年初めのIPO開始の可能性が薄らいできている。

10月のサンパウロ証券取引所の平均出来高は34.1%減少(2023年11月13日付けヴァロール紙)

2023年10月のサンパウロ証券取引所(B3)の1日当たりの平均出来高は、前年同月比34.1%と大幅減少の232億200万レアルに留まっており、また前月比でも0.5%微減している。

サンパウロ証券取引所(B3)の10月末の預金口座数は 572 万 2,000口座 、12 か月間で 5.6% 増加、個人投資家の数は6.7% 増加の 489 万 3,000 人に達しており、上場企業数は449社で横ばいとなっている。

上場企業449社の平均時価総額は政策誘導金利の高止まりによる株価の低迷で、前年同月比10.9%減少の4兆2,010億レアルに留まっている。

金利、通貨、商品を含む先物取引部門では、1 日あたりの平均取引高は 101.2% 増加75 億 4,000 万レアルを記録。契約当たりの平均収益は 45.9% 減少した。

店頭市場では、債券の新規発行額は前年比12%増の1兆5,040億レアルとなった。債券残高は15.9%増加の6兆430億レアルとなっている。

 

10月のポウパンサ預金は120億レアルの赤字計上(2023年11月9日付けヴァロール紙)

今月10日のブラジル中央銀行の発表によると、2023年10月のポウパンサ預金は、引出総額が預入総額を120億1,570万レアル上回り、大幅な赤字を計上している。

また今年9月のポウパンサ預金も、引出総額が預入総額を58億3,500万レアル上回り、2カ月連続で大幅な赤字を計上している。

今年初め10か月間のポウパンサ預金は、引出総額が預入総額を982億8,500万レアル上回っており、大幅な赤字計上が続いている。

2022年10月のポウパンサ預金は、引出総額が預入総額を110億600万レアル上回っており、昨年1年間では1,032億3,700万レアルの赤字を計上していた。

今年10月末のポウパンサ預金残高は9,617億6,300万レアル、今年10月のポウパンサ預金の利払いは56億3,100万レアル、不動産クレジット(SBPE)向けポウパンサ預金は88億2,500万レアル、農村クレジット(SBPR)向けポウパンサ預金は33億3,100万レアルが利用されている。

ブラジルの銀行システムの収益性は今年第2四半期以降改善傾向(2023年11月9日付けヴァロール紙)

2023年上半期のブラジルの銀行システムの収益性は引き続き圧迫されていたが、第2四半期以降から改善の兆しが出てきているとブラジル中央銀行では評価している。

しかし、9日に発表された2023年上半期の金融安定報告書によると、リボ払いクレジットカードの利息制限に関する議論は、注意を払う必要があると指摘している。

今年上半期の銀行システムの収益性低下は、貸倒引当金を伴うコスト増加、営業収益の伸びの低下、管理費の圧迫など、前年同期に見られた動きの継続を反映していると報告されている。

一方、今年第 1 四半期と第 2 四半期を比較すると、収益性の改善要因として、主に貸倒引当金支出への圧力の低下、クレジット部門の収益性の改善及び比重の増加、資金調達支出の安定化が寄与している。

今年上半期のブラジルの銀行システムの純利益は、前年同期比3.0%増加の679億レアルを記録した一方で、6月末の過去12カ月間の累積純益は、前年同期比マイナス6.0%の1344億レアルに留まってる。

今年6月末の過去 12 か月の自己資本利益率 (利益率の指標である自己資本利益率 – ROE) は、前年同期比2.1%減少の 13.6% に留まった要因として、ROEがマイナスの企業数の増加や、システム上重要性の高い金融機関の収益性低下など、金融機関の業績に対する圧力が一層高まっている状況を反映している。

個人向けクレジットに関しては、支払い能力も圧迫されているにもかかわらず、最近の雇用の質の向上は今後数カ月間の改善を示しており、中小・小規模企業向けクレジットに関しては、短期的には反転の兆しはないと予想されている。

中央銀行では、銀行システムは予想される損失の水準に対して十分な引当金を備えているために、金融の安定に関連するリスクはないと評価している。