12月実施予定の上下水道民営化入札の投資総額は80億レアルが見込まれている(2021年12月1日付けヴァロール紙)

2021年12月には、各州の市町村の上下水道向け民間コンセッション入札が目白押しとなっているが、上下水道の民営化の投資総額は、83億レアルに達すると予想されている。

特に12月に予定されている上下水道の民営化入札では、アラゴアス州のブロックB並びにブロックC、今年4月に入札に掛けられたにもかかわらず、応札がなかったリオ州ブロック3が注目されているが、規模は小さいが、リオ州テレゾポリス市並びにゴイアス州ゴイアネジア市の4つのブロックも入札準備を行っている。

アラゴアス州のブロックB並びにブロックCの入札は、今月13日に予定されており、8企業グループの応札が見込まれているが、ブロックBには、Agreste地域並びにSertão地域の34都市の上下水道、ブロックCは、Zona da Mata地域の27都市の上下水道コンセッションが入札に掛けられる。

アラゴアス州のブロックB並びにブロックCの上下水道向け投資総額は29億レアル、コンセッション期間は35年、ブロックBの最低入札価格は330万レアル、ブロックCの最低入札価格は3,240万レアルとなっている。

アラゴア州の州都マセイオ市都市圏の入札は2020年9月に実施され、熾烈な入札合戦をしのいだBRK Ambiental社が落札していた経緯があった。

今年6月のアマパ州の上下水道入札には、上下水道部門では伝統的な企業のAegea Saneamento社, Iguá Saneamento社並びにÁguas do Brasil社、新規参入グループとしてAllonda社, Encalso社並びにCymi社も応札したが、Equatorial Energia社が他を圧倒する価格で落札している。

リオ州ブロック3の上下水道入札には、同州で既に事業を行っているAegea社、Iguá社並びにÁguas do Brasil社が入札参加を予定、Aegea社並びにIguá社は、4月に実施されたCedae社でそれぞれブロックを落札、Águas do Brasil社はBRK社とコンソーシアムを組んでリオ市の東部地域のブロックを落札していた。

CCR社は3,400万レアルでパンプーリャ空港民営化コンセッションを落札(2021年10月5日付ヴァロール紙)

ミナス州ベロ・オリゾンテ市のパンプーリャ空港民営化コンセッションの入札は、10月5日にサンパウロ証券取引所B3で実施されたが、同じベロ・オリゾンテ市のコンフィン空港の民営化運営権を所得しているCCRグループが落札した。

CCRグループは、最低入札価格980万レアルの245.29%に相当する3,400万レアルを提示、今年に入って航空業界に進出したItapemirimグループ傘下のASAコンソーシアムと最後まで競合したにも拘らず、ミナス州で最も重要なコンフィン空港についで、パンプーリャ空港の落札に成功した。

CCR社は既にブラジル国内で15カ所の空港民営化の運営権を取得しており、パンプーリャ空港の落札は記念すべき喜びであり、国内空港の改善、収益や雇用に結びつくとCCR AirportsのCristiane Gomes社長は説明している。

パンプーリャ空港の民営化コンセッション期間は30年間、空港民営化の運営権を取得したCCR社の投資総額は1億5,100万レアル、初めの3年間の投資総額は6,500万レアルをミナス州政府は見込んでいる。

今後数か月間以内に、ミナス州内の12カ所のリージョナル空港の民営化入札を予定しているが、パンプーリャ空港入札と同様の好結果をミナス州政府インフラストラクチャ―・モビリティ局のFernando Marcato局長は期待している。

過去10年以上に亘ってミナス州政府は、財政赤字の垂れ流しを行ってきたが、私の州知事就任後に財政赤字の解消政策に舵を切った。州政府の5万人以上の削減による州政府公務員給与の49%支出削減に大ナタを振るったにも拘らず、未だに財政赤字に留まっており、今後も州政府公社の民営化による歳出削減を果敢に進めるとミナス州のRomeu Zema州知事は強調している。

Romeu Zema州知事は、次回の州内公社の民営化としてミナス州水道公社(Copasa)、ミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)並びにミナスジェライス開発会社(Codemig)が候補に挙げている。

新基本衛生法案承認で上下水道事業の民営化プロジェクト入札が加速(2021年9月28日付ヴァロール紙)

社会経済開発銀行(BNDES)は今後数か月間以内に6カ所の上下水道プロジェクト入札を予定、州政府の新たな5プロジェクトを交渉している。

今年6月24日に国会で承認された基本衛生法案PL 4.162/2019の新基本衛生法案(法的枠組み)の下、インフレ整備部門で最も投資の遅れている上下水道事業の民営化インフレ整備プロジェクト入札が加速している。

今までは州政府や市町村の各自治体は入札をせずに、上下水道サービスを提供する州公社と契約することが可能だったが、新しい法的フレームワークは州政府、市町村などの地方自治体が上下水道の整備事業運営をするに当たり、民間事業者と契約することを後押しする新しいフレームワークとなる。

今回のフレームワーク改正で上下水道サービス事業に民間企業の事業参入が容易となる。また今回の上下水道の新規則は州政府などの水道公社と30年間以上に亘って契約更新が容易にできていた経緯があったが、契約更新は2022年3月までに制限され、来年から上下水道公社の民営化に拍車が掛かると予想されている。

フレームワーク改正で、2033年までにブラジルの人口の99%に対して水道の普及、現在46%に留まっている下水道整備の普及率を90%に引き上げる。南東部地域の下水道整備の普及率は79%に達している一方で北部地域は僅か10.5%に留まっている。

社会経済開発銀行(BNDES)の6カ所の上下水道プロジェクト入札には、アラゴアス州の2プロジェクト、リオ州、セアラー州の2プロジェクト並びに南大河州ポルト・アレグレ市の上下水道プロジェクトで投資総額は164億レアルが見込まれている。

アラゴアス州の2上下水道プロジェクト入札は12月13日が予定されている。社会経済開発銀行(BNDES)では、小規模のパライーバ州の2プロジェクト、セルジッペ州、ロンドニア州及びミナス州ジェキチニョーニャ地域の上下水道プロジェクト入札を準備している。

地域別の上下水道プロジェクトで既に民営化入札では、南マト・グロッソ州の1ブロック、リオ州の4ブロック並びにアマパ州の1ブロックが実施されている。

民間航空庁は第7回空港民営化入札承認(2021年9月21日付ヴァロール紙)

21日民間航空庁(Anac)はサンパウロ市コンゴニアス空港並びにリオ市サントス・ヅモン空港を含む第7回空港民営化入札を承認、今後45日間以内のオンライン公聴会の開催が予定されている。

今回の第7回空港民営化入札にはブラジル国内の16空港を3ブロックに分割して入札にかけられる。サンパウロ-南マット・グロッソ州の空港民営化の第1ブロックにはサンパウロ市コンゴニアス空港及びカンポ・デ・マルテ空港、南マット・グロッソ州のカンポ・グランデ空港、コルンバ空港、ポンタ・ポラン空港、パラー州アルタミーラ空港、カラジャス空港、マラバ空港並びにサンタレン空港が含まれている。

リオ州-ミナス州の第2ブロック入札には、リオ市サントス・ヅモン空港、リオ州ジャカレ・パグア空港、ミナス州モンテス・クラーロス空港、ウベラーバ空港並びにウベルランジア空港が含まれている。

北部地域の第3ブロック入札にはパラー州ベレン空港並びにアマパ州マカパ空港が民間企業による運営が見込まれている。オンライン公聴会を経て連邦会計検査院(TCU)の承認を得て民営化入札が実施される。

連邦政府によるブラジル国内の空港の民営化入札は今回で終了するが、過去数年間に亘って連邦政府は大半の国内空港民営化でInfraero公社廃止を目指していた経緯があった。

しかし北大河州サン・ゴンサロ・ド・アマランテス空港及びサンパウロ州ヴィラコッポス空港は落札した空港運営会社の運営権返還で再度空港民営化入札を余儀なくされている。

RUMO社はマット・グロッソ州で730キロメートルの鉄道建設で州政府と合意(2021年9月20日付ヴァロール紙)

20日CosanグループのRUMO社はマット・グロッソ州の農産物をサントス港湾から輸出するために、州内で総延長距離が730キロメートルに及ぶ鉄道建設をマット・グロッソ州政府と調印を交わした。

北部鉄道網と命名されていた州内のロンドノポリス市からノーヴァ・ムツン経由ルッカス・デ・リオ・ヴェルデ及び州都クイアバを結ぶ鉄道を建設するが、敬意を称して大豆王のOlacyr de Moraes 鉄道と命名されている。

サンパウロ州サントス港とマット・グロッソ州ロンドノポリス市は既に運営されているが、一大穀倉地帯の州北部の農産物をトラック輸送から鉄道輸送でサントス港湾からの輸出が可能となり、輸送コストの大幅な削減に繋がり、競争力強化に繋がる。

RUMO社では、鉄道向けの環境ライセンスは6ヶ月以内に取得できると見られており、鉄道建設開始は2022年末~2023年初めと予想されている。

730キロメートルの鉄道建設の投資総額は90億レアル~110億レアルをRUMO社のBeto Abreu社長は見込んでおり、鉄道完成は2028年~2030年が見込まれているが、鉄道建設小売開始は2025年からロンドノポリスと200キロメートルの区間が見込まれている。

国内最大の鉄道プロジェクトFerrogrão(フェログラン)は熾烈な争いが予想されている(2021年8月9日付けエスタード紙)

Ferrogrão(フェログラン)と命名されているマット・グロッソ州シノップ市とパラー州イタイツーバ市を結ぶ933キロメートルの鉄道建設構想は、最優先プロジェクトにも拘らず、既に5年間以上も経過しているが、未だに着手されていない。

国内最大の鉄道建設プロジェクトのFerrogrão(フェログラン)は、ブラジル最大の穀倉地帯のマット・グロッソ州からパラー州経由の北回廊の輸出ルートとなり、輸送コストや輸送時間の大幅な短縮に繋がる非常に重要なプロジェクトとなっている。
北部回廊経由のFerrogrão鉄道が完成すれば、1トン当たりの穀物の輸送費は半分以下に減少、また輸送日数も4日間の短縮が可能となり、穀物生産者にとっては、大きなコスト削減で価格競争力が飛躍的に増加する。

しかし穀倉地帯のマット・グロッソ州からパラー州と横断するFerrogrão鉄道ルートは、ブラジル国内の鉄道貨物輸送を大きく塗り替えるプロジェクトであるが、アマゾン地域の熱帯雨林の伐採禁止、先住民族の社会的保護や保護地区への不侵入などの保証が不可欠となっている。

Cosanグループ傘下のRumo社は、ブラジル国内の中西部地域並びに南東部地域で鉄道網を張り巡らせており、北部地域からの穀物輸出網を獲得するためには、入札ではコンペチターを大幅に下回る価格提示の可能性が予想されている。

Ferrogrão鉄道の入札には、Cosanグループ傘下のRumo社以外にも資源大手ヴァーレ社傘下のVLI社、Hidrovias do Brasil社傘下の投資ファンドPátria社の参加が見込まれている。

2019年3月にRumo社は、南北鉄道のトカンチンス州Porto Nacionalとサンパウロ州Estrela D’Oesteを結ぶ南部地区を最低価格の2倍以上となる27億1,900万レアルで落札した。

トカンチンス州Porto Nacionalとマラニョン州Açailândia間の鉄道を運営しているVLI社が落札すると予想されていた。VLI社は最低価格13億5,000万レアルに対して20億6,500万レアルを提示したが、Rumo社が27億1,900万レアルで落札していた。

昨年末にRumo社は、サントス港湾を含むサンパウロ州内を網羅するパウリスタ鉄道網の30年契約延長を締結、今後60億レアル以上の鉄道網への投資を約束、サンパウロ州とマット・グロッソ州Rondonópolisを結ぶ北部鉄道網も落札している。

昨年の中国のブラジル投資は、74.0%減少も過去14年間で661億ドル投資(2021年8月5日付けエスタード紙)

2020年の中国資本のブラジルへの投資は、COVID-19パンデミックの影響を受けて、前年比74.0%の大幅減少の19億ドルに留まり、2014年以降では最低の投資残高を記録とブラジル中国ビジネスセンター(CEBC)が発表している。

2020年の海外への投資状況は、世界的なCOVID-19パンデミックで、世界経済の縮小を余儀なくされた影響を受けて、全ての地域で前年割れが発生していた経緯があった。

しかし2007年~2020年の過去14年間の中国資本によるブラジルへの累計投資総額は176件の投資案件で661億ドル、レアル換算では3,432億レアルに達している。この期間の中国のブラジルへの投資は南米地域全体の47.0%を占めていた。

ブラジル中央銀行の発表によると、2020年のブラジルへの対内直接投資残高(IDP)は341億6,700万ドル、世界の対内直接投資残高(IDP)は前年比35.0%減少の1兆ドルに留まったと国連貿易開発会議(UNCTAD)では発表している。

2019年の中国のブラジルへの対内直接投資残高は前年比117.0%増加の73億ドルを記録していたにも拘らず、COVID-19パンデミックの影響を受けた昨年は、僅か19億ドルの投資に留まっている。

2007年~2020年の中国のブラジルへの累計投資総額661億ドルの48.0%相当は電力エネルギー部門への投資、28.0%は石油・天然ガス関連投資であった。

中国のブラジルの電力エネルギー部門への投資で特筆されるのは、中国資本State Grid Corp of China社はCPFL Energia社や、ベロ・モンテ水力力発電所の送電部門コンセッションに投資、中国の民間最大の電力エネルギー企業China Three Gorges(CTG)社は、電力エネルギー部門に投資を行っているとブラジル中国企業評議会(CEBC)は説明している。

中国資本によるブラジル国内の石油・天然ガス部門への投資では、Sinopec社、Sinochem社、CNPC社並びにCNOOC社は主にペトロブラス石油公社とコンソーシアムを組んで、岩塩層下)プレソルト油田に大型投資を行っている。

また中国資本はブラジルの電力エネルギーや石油・天然ガス部門以外にも外資系資本への規制緩和が進んでいる輸送部門、ロディスティック部門に積極的に投資を行っている。

2007年~2020年の中国資本によるブラジルへの176件の投資案件のうち、31.0%は電力エネルギー部門への投資、28.0%は自動車、電気電子、石油化学、機械・装置部門などの製造業部門となっている。

ブラジルの製造業部門に投資している主な中国企業としては、BYD社, TCL社, Gree社, Midea社, Sanxing Electric社, Chery社, Sany社, XCMG社並びにLiugong社が挙げられる。

サンパウロ州内の22地方空港入札の平均プレミアムは僅か11.0%に留まる(2021年7月15日付けエスタード)

15日に実施されたサンパウロ州内のリージョナルエアポートの民営化入札の平均プレミアムは、最低入札価格の11.0%に留まり、落札総額は2,200万レアル、30年間のコンセッション期間の投資総額は4億4,700万レアル、コンセッションの初期4年間の投資契約総額は、1億3,700万レアルが義務付けされている。

Socicam社をリーダーとするAeroportos Paulistaコンソーシアムは、リージョナルエアポート民営化入札の北東部ブロック入札では、唯一のコンソーシアムとして入札に参加した。

北東部ブロックはSão José do Rio Preto空港, Presidente Prudente空港, Araçatuba空港、Barretos空港, Assis空港, Dracena空港, Votuporanga空港, Penápolis空港, Tupã空港, Andradina空港並びにPresidente Epitácio空港で構成されている。

コンソーシアムVoa NW並びにVoa SEが11.5%のプレミアムに相当する1,470万レアルで落札した南東部ブロックは、Ribeirão Preto空港, Bauru-Arealva空港, Marília空港, Araraquara空港, São Carlos空港, Sorocaba空港, Franca空港, Guaratinguetá空港, Avaré-Arandu空港, Registro空港並びにSão Manuel空港で構成されている。

サンパウロ州内のリージョナルエアポートの民営化入札の平均プレミアムは最低入札価格の11.0%、落札総額は2,200万レアルに留まったにも関わらず、入札に参加したコンソーシアムは、サンパウロ州政府への信頼と経済回復に投資して入札は成功を収めたとサンパウロ州政府のRodrigo Garcia副知事は強調している。

今回のリージョナルエアポートの入札で、州政府管轄の空港はなくなり、全て民間コンソーシアムが今後30年間に亘って投資を継続する。サンパウロ州政府にとって年間平均7,000万レアルの支出削減に繋がるために、サンパウロ州政府は余剰金を衛生保健、教育並びに公共治安部門への強化が可能となる。

サンパウロ州内の22地方空港入札の平均プレミアムは僅か11.0%に留まる(2021年7月15日付けエスタード)

15日に実施されたサンパウロ州内のリージョナルエアポートの民営化入札の平均プレミアムは、最低入札価格の11.0%に留まり、落札総額は2,200万レアル、30年間のコンセッション期間の投資総額は4億4,700万レアル、コンセッションの初期4年間の投資契約総額は、1億3,700万レアルが義務付けされている。

Socicam社をリーダーとするAeroportos Paulistaコンソーシアムは、リージョナルエアポート民営化入札の北東部ブロック入札では、唯一のコンソーシアムとして入札に参加した。

北東部ブロックはSão José do Rio Preto空港, Presidente Prudente空港, Araçatuba空港、Barretos空港, Assis空港, Dracena空港, Votuporanga空港, Penápolis空港, Tupã空港, Andradina空港並びにPresidente Epitácio空港で構成されている。

コンソーシアムVoa NW並びにVoa SEが11.5%のプレミアムに相当する1,470万レアルで落札した南東部ブロックは、Ribeirão Preto空港, Bauru-Arealva空港, Marília空港, Araraquara空港, São Carlos空港, Sorocaba空港, Franca空港, Guaratinguetá空港, Avaré-Arandu空港, Registro空港並びにSão Manuel空港で構成されている。

サンパウロ州内のリージョナルエアポートの民営化入札の平均プレミアムは最低入札価格の11.0%、落札総額は2,200万レアルに留まったにも関わらず、入札に参加したコンソーシアムは、サンパウロ州政府への信頼と経済回復に投資して入札は成功を収めたとサンパウロ州政府のRodrigo Garcia副知事は強調している。

今回のリージョナルエアポートの入札で、州政府管轄の空港はなくなり、全て民間コンソーシアムが今後30年間に亘って投資を継続する。サンパウロ州政府にとって年間平均7,000万レアルの支出削減に繋がるために、サンパウロ州政府は余剰金を衛生保健、教育並びに公共治安部門への強化が可能となる。

2020年のインフラ部門投資はコロナ禍の影響で2000年以降で最低(2021年7月1日付けエスタード紙)

リーマン財団などによって2017年8月から作成されている世界競争力の柱となるインフラ部門の進捗状況をモニタリングするインフレ2038年レポートによると、2020年のインフラ部門への投資はGDP比1.55%まで減少、2000年以降では最低の投資比率を記録している。

昨年のインフラ部門投資のGDP比1.55%に留まった要因として、コロナ禍対応による連邦政府の緊急給付金(auxílio emergencial)の膨大な支出で、インフラ部門などの財政支出の削減を余儀なくされていた。

連邦政府によるインフラ部門に対する投資の減少は、2013年から始まっており、ペトロブラス石油公社をめぐるラヴァ・ジャット汚職事件の連邦警察による捜査が2014年3月に開始、ゼネコン最大手のOdebrecht社(オデブレヒト社)が長年にわたって常習的に取引先企業との契約で水増し請求をさせ,捻出した裏金を政党や有力政治家に繰り返し渡していた事件の発覚で、同社をはじめブラジル国内の大手ゼネコンの多くは企業閉鎖を余儀なくされ、また2014年からのブラジル国内の経済リセッションなどインフラ部門への投資が年々縮小を示していた。

2020年のブラジルのインフラ部門への投資は、GDP比1.55%に相当する1158億レアルに留まって2019年比では5.4%減少、2019年のブラジルの競争力は78位まで後退している。2022年のインフラ部門への投資は、公社民営化入札の活性化でGDP比1.99%まで増加すると予想されている。

ブラジルの競争力が2038年に世界ランク20位まで上昇するためには、インフラ整備部門に年間平均3,390億レアルの投資を継続しなければならない。2038年迄毎年3,390億レアルの投資を継続すれば920万人の雇用創出に結びつく。

今年4月末に実施されたリオ州上下水道公社(Cedae)の株式譲渡による民営化入札では、契約期間の35年間で総額250億レアルの上下水道関連のインフラ部門への投資が見込まれている。

社会経済開発銀行(BNDES)によると、2022年上半期までに5件の上下水道関連公社の民営化プロジェクト入札が予定されており、投資総額は170億レアルに達し、1,040万人の雇用創出に繋がると予想されている。

2021年のインフラ部門への投資は、電力エネルギー部門や輸送部門などが牽引して前年比18.0%前後の増加が見込まれているが、南北鉄道や東西鉄道、再生可能エネルギー部門への投資が見込まれている。
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2019年の上下水道部門へのインフラ投資は160億レアルであったが、2020年はコロナ禍の影響で137億レアルに縮小、今年は175億レアルの投資が見込まれている。

前期同様に電力エネルギー部門への投資は、454億レアル、420億レアルに縮小、今年は470億レアルに回復。通信部門は330億レアル、311億レアルに縮小、今年は365億レアルに回復。輸送部門は280億レアル、290億レアルに微増、今年は360億レアルが見込まれている。