大手鉄鋼メーカーのゲルダウ社は、中国からの生産コストを下回る不当に安価な鉄鋼製品の過剰な輸入増加及びブラジル国内の販売不振の影響を受けて生産調整を余儀なくされている。
ゲルダウ社は、過去数カ月間に同社の総従業員の5,5%以上に相当する1,000人の従業員の解雇を余儀なくされたが、今後数週間で新たな人員削減と生産能力閉鎖を検討している。
またゲルダウ社では、中国鉄鋼メーカーによる鉄鋼製品輸出における生産コストを下回る価格設定に相当する「ダンピング」行為に対する中国政府への正式な調査要請を進めることを決定した。
昨日ゲルダウ社のGustavo Werneck社長はブラジル政府が不当な中国製鉄鋼製品に対して輸入関税の25%引上げの必要性を訴えており、早急な対応策導入をブラジル政府に要請している。
ゲルダウ社が過去数カ月間に総従業員の5,5%以上に相当する1,000人の従業員の解雇を余儀なくされたのは、ブラジル政府の不当輸入品に対する対抗措置導入が遅れているためと説明しており、早急なセーフガード導入を強調している。
ゲルダウ社およびウジミナス製鉄の評価では、Gecex及びCamexで構成される外国商工会議所執行部の決定した2022年の5種類の鉄鋼製品の12% ~16%への輸入関税引下ではセーフガードの効果はないと指摘している。
ブラジル鉄鋼院(IABr)では中国製輸入鉄鋼製品に対する25%の輸入関税の要請、もう一つの可能性は輸入割当の導入であり、ゲルダウ社およびウジミナス製鉄はダンピング調査を要請する際の戦略を明確にするために話し合っている。
ブラジル鉄鋼院(IABr)によると、昨年のブラジルの鉄鋼製品輸入は、500万トンで過去最高の輸入量を記録していた。昨年12月の輸入鉄鋼製品のブラジル国内のマーケットシェアは25%に達し、2024年もこの比率が継続する可能性を指摘している。
中国製輸入熱間圧延製品などの最新のダンピング調査では、可能性が判明したにもかかわらず、他の鉄鋼製品分野が影響を受ける可能性があると考慮されたために、関税の適用には至らなかった。さらに、この種のダンピング調査の平均期間は18カ月であり、この分野の緊急のニーズを満たしていない。
ゲルダウ社はオープンな自由貿易主義を支持しているが、ブラジル鉄鋼業界の状況は限界を超えている。中国輸入製品との競争は平等ではなく、公平ではないと同社のGustavo Werneck社長は指摘している。また税制改革がブラジルコストによって生じた歪みを短期的に修正するという考えは誤りであり、この点に関してブラジル政府が最初に採用した措置は結果的に競争条件を悪化させる結果となったと指摘している。
中国からの不当な鉄鋼製品輸入の拡大にも拘らず、2024年の国内の鉄鋼メーカーの投資は当初予定の 60億レアルを変更しないが、ブラジル政府が他国同様のセーフガードを発令しなければブラジルの鉄鋼業界は益々立ちいかなくなると指摘している。