今年上半期のブラジル国内の機械・装置部門販売はマイナス14%(2023年9月5日付けヴァロール紙)

ブラジル国内の機械・装置部門は他の製造業同様に逆風にさらされており、ブラジル国内の機械・装置部門販売はマイナス14%と大幅な落ち込みを記録している一方で、機械・装置輸入は14%増加を記録している。

しかしブラジル国産の機械・装置輸出は増加してきているものの、機械・装置の貿易収支は大幅な赤字を記録している。

ブラジル機械・装置工業会(Abimaq)では、今年の国内の機械・装置販売は昨年を5%~8%下回ると予想している

ブラジル国内の機械・装置部門では長年にわたって設備投資向け金利18%~24%の高金利支払いを余儀なくされていた。

またブラジル中央銀行は政策誘導金利Selic金利をルーラ政権の切り下げ圧力にもかかわらず、高金利を維持してきたが、切下げサイクルの前倒しは可能だったのではないかとブラジル機械・装置工業会(Abimaq)のJosé Velloso会長はコメントしている。

ブラジル中央銀行は8月に政策誘導金利を13.75%から13.25%に切り下げたが、Selic切下げによる効果が表れるには半年以上を要するために、年内のSelic金利引下げの直接的な効果は期待できない。

機械・装置業界では税制改革、財政枠組み、Selic金利の引下サイクルの始まりについて、より楽観的に見ており、これらはマクロ経済の重要な要素だが、ブラジルの金利高による生産コストは依然として非常に高く、足かせになっている。

ブラジル国内の製造業部門の設備の近代化及び生産性を挙げるための設備投資は、過去10年間の平均は18%~19%と依然として低く、最低でも25%が必要とVelloso会長は指摘している。

今年上半期の機械・装置部門の国内販売は前年同期比マイナス13,9%に相当する1,081億8,000万レアルの大幅な落ち込みを記録した一方で、機械・装置輸出は18,9%増加の66億ドルを記録している。

今年上半期の機械・装置部門の輸入を含めた国内販売はマイナス8%に相当する1,796億7,000万レアルを記録している。今年上半期の機械・装置部門輸入は14%増加の133億ドルを記録している。

 

 

 

今年上半期の世界の粗鋼生産は前年同期比マイナス1,1% の9億4390万トン (2023年7月25日付けヴァロール紙)

今年6月の世界の粗鋼生産は前年同月比マイナス0,1%の1億5,880万トン、上半期の世界の粗鋼生産は前年同期比マイナス1,1% の9億4,390万トンであったと世界63カ国が加盟するベルギーのブリュッセルに本部がある世界鉄鋼協会(WSA)の発表している。

世界最大の粗鋼生産で主要消費国である今年6月の中国は0.4%増加の9,110万トンとなった。今期の累積量は5億3,560万トンで、同期比1.3%増加している。

今年6月の世界の粗鋼生産の57,4%は中国の生産で世界の過半数を占めており、上半期の累積粗鋼生産は56,7%と世界の過半数を占めている。

中国の鉄鋼市場は、鉄鋼の主要消費者である不動産セクターを中心とした国内経済の不確実性によって打撃を受けており、習近平国家主席による景気刺激策導入が期待されている。

今年6月の世界の粗鋼生産では、インドの粗鋼生産は12,9%増加の1,120万トンを記録している。徐々に粗鋼生産が上昇してきているイランの今年上半期の粗鋼生産は1,610万トンで世界8位とブラジル及びトルコを追い越している。6月の粗鋼生産は320万トンであった。

今年6月の世界の粗鋼生産でマイナスを記録したのはドイツの粗鋼生産はマイナス8,4% の290万トン、世界3位の日本はマイナス1,7%の730万トン、ブラジルはマイナス(12,5%の260万トン、トルコはマイナス1,5%の290万トンを記録している。

トルコの粗鋼生産は今年2月に発生した大地震の影響を受けており、今年上半期の累計粗鋼生産はマイナス16,3%と大幅な減少に留まっている。

今年上半期のブラジルの粗鋼生産及び消費共に減少(2023年7月19日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の発表によると、2023年上半期のブラジル国内の粗鋼消費は前年同期比マイナス1.6%に相当する1,150万トンに留まり、また粗鋼消費はマイナス0.1%、今年1年間の粗鋼消費はマイナス2.6%の2,290万トンに下方修正されている。

また今年上半期のブラジル国内の粗鋼生産はマイナス8.9%に相当する1,597万トン、6月の鉄鋼メーカーの設備稼働率は前年同月比マイナス6.1%の62.7%まで落ち込んでおり、ブラジル国内の鉄鋼メーカーの粗鋼生産能力は5,100万トンを擁するにも拘らず、3,400万トンの生産に留まっているとブラジルArcelorMittal社のJefferson de Paula社長は指摘している。

今年上半期のブラジル国内の鉄鋼製品販売はマイナス5.7%の960万トン、圧延鋼販売はマイナス3.8%、棒鋼販売はマイナス8.0%とそれぞれ減少している。

今年上半期のブラジル国内の鉄鋼製品販売がマイナス5.7%の960万トンに留まっている要因として、消費の82.5%を担う主な粗鋼販売先の建設業部門や耐久消費財部門、自動車部門の消費が落ち込んでいるためとJefferson de Paula社長は指摘している。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っているが、この大衆住宅プログラムによる鉄鋼需要は今年下半期から効果が表れるとブラジル鉄鋼協会(IABr)のJefferson de Paula経営審議会会長は説明している。

今年6月初めに開始された連邦政府主導による大衆自動車販売促進プログラムによる鉄鋼メーカーの粗鋼販売は、トラックやバス、農業機械販売が低調に推移しているために、限定的と鉄鋼業界では見込んでいる。

今年上半期のブラジル鉄鋼メーカーの鉄鋼製品輸出はマイナス4.2%に対して、鉄鋼製品の輸入は43.2%と大幅な増加を記録している。

今年上半期の鉄鋼製品の輸入が43.2%と大幅な増加している要因として、レアル通貨に対するドル安の為替、過剰な世界的な粗鋼生産の拡大で過当競争になっているとJefferson de Paula経営審議会会長は説明している。

2023年のブラジル国内の見かけの粗鋼製品の消費量は2.6%減少す、粗鋼生産量は5%減少の3,238万トン予想、設備稼働率は6月に記録された値よりわずかに上昇し、63.6%となる見込みにも拘らず、2022年と比較すると3.3ポイント低下が予想されている。

今年のブラジル国内の粗鋼販売はマイナス6.0%の1,900万トンと年初予想の1.9%増加から大幅なマイナス予想に下方修正されている。また輸出はマイナス0.3%の1,190万トンと年初予想の2.5%増加から下方修正されている。

一方今年の粗鋼製品の輸入は25.6%増加の420万トンと年初予想の2.5%増加から大幅な輸入増加が予想されている。ブラジル鉄鋼協会(IABr)では現在上院議会で審議されている税制改革法案はブラジル産業界やサービス業界の進展に繋がると支援している。

最大手工作機械メーカーROMIの今年第2四半期の売上並びに純益とも減少(2023年7月18日付けヴァロール紙)

最大手工作機械メーカーROMI社は、6月の製造業部門の企業経営者の僅かな景況感指数改善で、今後数カ月間のビジネス環境改善に期待している。

サンパウロ州サンタ・バルバラ・ダ・オエステ市の本社を構える最大手工作機械メーカーROMI社は、今年第2四半期の売上並びに純益とも減少している上に、受注残が前年同期比マイナス41.0%と大幅に減少している。

ROMI社経営陣は、第2四半期の売上高の減少にも関わらず、利益率が維持されていることを強調しており、6月の全国工業連盟(CNI)加盟の製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)は回復、7月の企業経営者の景況感指数(Icei)は51.1ポイントと分岐点の50ポイントを上回っていると指摘している。

2022年10月の大統領選挙後、製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)は60.2ポイントから48.8ポイントに急落し、現在は回復が鈍化している。7月の製造業部門の設備稼働率(UCI)は、下半期からより健全な水準への回帰の始まりとなる可能性がある。

世界的なインフレと高金利のシナリオで、海外市場は投資を実行するためのより困難な環境となっているため、ブラジル国内での回復が重要となっている。

海外不況の影響により、Romi 機械部門の受注は 25% 減少しました。このような不利な状況下で、同社はドイツの子会社であるBurkhardt-Weber社の受注は19%増加を達成と指摘している。

今年第2四半期の収益悪化が堅調であったのは鋳造・機械加工部品部門で、受注が85%減少し、電力価格の下落で風力エネルギー分野の撤退や投資延長の見直しを余儀なくされている。

 

 

今年5月の機械・装置販売は前月比二桁増加も今年初め5か月間ではマイナス8,5% を落込みを記録(2023年6月28日付けヴァロール紙)

ブラジル機械装置工業会(Abimaq)の発表によると、2023年5月の機械・装置販売は、前月比10,6%増加の249億レアルを記録したが、前年同月比ではマイナス15,6%と二桁台の大幅な落ち込みを記録している。

また今年初め5カ月間の累積売上は、前年同期比マイナス8,5%の1,175億レアルに留まって、ブラジル国内の高金利やクレジット分野の与信強化、需要の低下及び投資意欲の減衰に伴って、機械・装置業界の回復が大幅に遅れている。

今年5月のブラジル国内の機械・装置販売は、前月比4,1%増加の183憶レアルを記録した一方で、前年同月比ではマイナス14,3%と二桁台の落込みを記録している。

今年5月のブラジル国内の機械・装置部門の設備稼働率は、前年同月比マイナス6,7%、現在、機械・装置部門の注文に応えるまでに 10.7 週間の生産期間を要しているが、1年前は11.4週間を必要としていた。

今年5月のブラジルの機械・装置部門輸出金額は、前月の10億ドルからの13億ドルと35,7%増加、前年同月比では22,2%増加、今年初め5カ月間の累積輸出金額は23%増加、輸出量は11%増加している。

ブラジル機械装置工業会(Abimaq)では、ドルの為替に対するレアル通貨の価値が高くなるほど、ドルでの収益が企業の最終業績に与える影響を軽減すると指摘している。 Abimaqは年初時点で、今年のドル相場を5.10レアルから5.20レアルと想定していた。

今年初め5か月間の建設業向けの機械・装置販売は前年月同期比33,7%増加、輸出全体の30%を占めている。特に伴米向け輸出は全体の34,8%を占めている。北米向け輸出は33,8%を占めている。

今年5月の機械・装置輸入金額は前月比27%増加の26億ドル、今年初め5か月間では24,8%増加の111億ドル、貿易収支は27,8% 増加の54億ドルの赤字を計上している。

 

5月の世界の粗鋼生産は中国の減産で5.1%減少(2023年6月21日付けヴァロール紙)

世界63カ国が加盟するベルギーのブリュッセルに本部がある世界鉄鋼協会(WSA)の発表によると、2023年5月の世界の粗鋼生産は、中国の粗鋼減産の影響が響いて前年同月比5.1%減少の1億6,160万トンに留まっている。

今年初め5か月間の多くの産業用途で圧延製品に加工される粗鋼の世界生産は、前年同期比1.2%減少の7億8,600万トンに留まっている。

今年5月の世界の粗鋼生産の56%を占める中国の粗鋼生産は、前年同月比7.3%減少の9,010万トンに留まっている。一方今年初め5か月間の中国の累積粗鋼生産は、前年同期比1.6%増加の4億4,460万トンを記録している。

現在の粗鋼生産が継続すれば、今年の中国の粗鋼生産は、Covid-19パンデミックの2020年の10億5,000万トンを上回る10億7,000万トンに達する可能性が指摘されている。

粗鋼生産の原材料となる鉄鉱石生産市場関係者は、世界の粗鋼需要は中国ではなく、特にヨーロッパや米国の需要減少を指摘している。

今年初め5か月間のヨーロッパ連合およびその他の地域諸国、北米、南米の鉄鋼生産が3.6%から16.3%の範囲で減少していると世界鉄鋼協会(WSA)は説明している。

世界ランキングのトップ10のうち、2位のインドの5月の粗鋼生産は4.1%増加、5か月間では5.7%増加したが、日本と米国はそれぞれ5.2%と2.3%減少している。 また5月のブラジルの粗鋼生産は5.5%減少、今年初め5か月間では8.8%減少している。

今年第1四半期の航空機メーカーエンブラエル社は15機のジェット機納入(2023年4月26日付けヴァロール紙)

2023年第1四半期のブラジルの航空機メーカーのエンブラエル社は、前年同期比7.14%に相当する15機のジェット機を納入している。

今年第
1四半期のエンブラエル社は商業用ジェット機7機を納入、そのうち5機は E195-E2モデル、2機は E175モデルとなっている。

また今年第1四半期のエンブラエル社はエグゼクチブジェット機を8機納入、そのうち4機は Phenom 300モデル、2機は Phenom 100モデル、残り2機は Praetor 600モデルであった。

エンブラエル社の今年3月末の商用ジェット機及びエグゼクチブジェット機などのバックログ金額は、前年同期比並みの174億ドルを記録している。

エンブラエル社の今年3月末の受注残は281機、そのうち189機は E195-E2モデル、85機の E175モデル、7機は E190-E2モデルとなっている。

昨年のブラジルの粗鋼消費はトップ10から圏外へ(2023年4月24日付けヴァロール紙)

世界鉄鋼協会(WSA)の発表によると、2022年のブラジルの粗鋼消費は、2,480万トンを記録したメキシコに追い抜かれて、世界トップ10から圏外に落込んでいる。

ブラジル国内の鉄鋼製品消費は10年以上低迷しており、2013年の鉄鋼消費は2,800万トンを記録したが、2015年から2018年の経済危機時には1,800万トンまで落ち込んでいた経緯があった。

高止まりしているインフレ指数や金利、クレジット部門の縮小、低迷している消費など経済危機の影響で、ブラジル国内の鉄鋼製品の消費が低迷している。

2022年の世界の鉄鋼製品消費ランクでは中国が9億2,100万トンで断トツ、インド、米国、日本、韓国、ロシア、トルコ、ドイツ、イタリアが続いている。

ブラジル鉄鋼協会では、今年のブラジル国内の鉄鋼消費を前年比マイナス1.0%の2320万トンと予想している。

過去10年間のブラジル人の一人当たりの年間の鉄鋼製品消費は、100キログラムから125キログラムの範囲で推移している一方で、中国の鉄鋼製品消費は500キログラムを突破、韓国は1トンを上回っている。

2023年の世界の鉄鋼生産は、前年比2.3%増加の18億2,000万トンが見込まれているが、2022年はロシアによるウクライナ侵攻、世界的なインフレ高、中国政府によるCovid-19パンデミックゼロ政策の悪影響を受けていた。

世界鉄鋼協会(WSA)は世界的なインフレは、鉄鋼製品需要を抑制するが、2024年は大半の地域での鉄鋼需要の増加を見込んでいる一方で、中国の鉄鋼需要は低迷すると予想している。

鉄鋼メーカー団体は2023年の粗鋼生産を下方修正(2023年4月17日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会は、今年第1四半期の鉄鋼製品の需要低迷しており、2023年のブラジル国内の粗鋼生産、鉄鋼製品の輸出及び輸入ともに見直しを余儀なくされている。

昨年11月の今年の粗鋼生産は前年比1.5%増加が見込まれていたが、13.75%の高止まりの政策誘導金利Selicやインフレでブラジルの国内経済の低迷、不透明な海外の金融市場などの影響で、今年の粗鋼生産は前年比マイナス1.0%の2,320万トンに下方修正している。

今年3月の鉄鋼製品需要は僅かに回復したにも拘らず、今年第1四半期のブラジル国内の粗鋼販売は前年同期比2.0%増加、粗鋼消費は3.4%増加している。

今年3月の鉄鋼製品輸出は前年同月比マイナス6.1%、粗鋼生産はマイナス6.8%を記録した一方で、鉄鋼製品輸入は、22.2%の二桁台の増加を記録している。

今年のブラジル国内の鉄鋼製品販売はマイナス0.7%の2,010万トン、粗鋼生産は2.0%増加の3,465万トン、輸出は7.6%増加、輸入は2.5%増加が見込まれている。

2026年までの鉄鋼業界の投資総額は、新規プロジェクト、近代化や拡張工事など406億レアルに達すると予想されている。

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ政権時の2009年の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムは、2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を行っていた経緯があった。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っている。

今年初め2か月間の機械・装置販売は減少(2023年3月27日付けヴァロール紙)

ブラジル機械装置工業会(Abimaq)の発表によると、2023年初め2か月間の機械・装置部門の純売上は、前年同期比7.1%減少の421億レアルに留まっている。

今年初め2か月間の機械・装置部門の内部純売上は、前年同期比13.2%減少の312億レアル、2月の機械・装置部門の内部純売上は、前年同月比13.5%減少の161億レアルであったが、前月比では7.1%増加を記録している。

今年初め2か月間のブラジル国内での機械・装置生産及び輸入機械・装置の消費は、前年同期比12.7%減少の527億レアル、2月の消費は11.6%減少の271億レアル、前月比では5.9%増加している。

今年初め2か月間の機械・装置輸出は32%増加の21億ドル、2月の輸出は24.5%増加の11億ドル、前月比では7.6%増加している。

一方今年初め2か月間の機械・装置輸入は5.3%増加の40億ドル、2月の機械・装置輸入は4.2%減少の18億ドル、前月比では11.9%増加している。

今年初め2か月間の機械・装置の貿易収支は、前年同期比13.9%減少の19億ドルの赤字を計上、2月の貿易収支は7億8,776万ドルの赤字を計上している。