ブラジルの鉄鋼メーカーは4月から平板価格を20%値上げ(2022年4月4日付ヴァロール紙)

ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、鉄鉱石や石炭の国際コモディティ価格の高騰及びドルに対するレアル通貨の上昇で、今年4月からブラジル国内の平板鋼価格は、20%前後の大幅な値上げを余儀なくされている。

ドルに対するレアル通貨がR$4.70に上昇して、国内外の鉄鋼製品価格が縮小してきているが、今後も継続してドル安の為替が続くか非常に不透明となっていると金融市場関係者は指摘している。

41日からナショナル製鉄所(CSN)及びウジミナス製鉄所は、鉄鋼製品価格を2分割で20%の値上げを発表、CSN41日に12.5%値上げ、今月15日に7.5%値上げでトータル20%の値上げを行う。

一方ウジミナス製鉄所は、41日に15%の値上げを発表、今月15日から20日にかけて再度5.0%の値上げを予定している。

熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ鋼板、塗装用缶などの塗装済み鋼板は、5月初めから7.5%の値上げをナショナル製鉄所(CSN)Luiz Fernando Martinez営業取締役は、示唆している。

平板鋼を生産しているエスピリット・サント州セーラ製鉄所及び冷間圧延鋼や亜鉛メッキ鋼板を生産しているサン・フランシスコ・ド・スール製鉄所を擁するアルセロールミッタル製鉄所は、 ナショナル製鉄所(CSN)及びウジミナス製鉄所と同じ率の値上げを今月4日から行う。

ブラジルの鉄鋼メーカーによる値上げで影響を受けるのは建設業、機械・装置部門、家電業界、農業機械、自動車業界及び鉄鋼卸売業界となっているが、自動車業界の年2回の価格調整で鉄鋼メーカーと長期契約をしている。

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、鉄鉱石や石炭の国際コモディティ価格の高騰で1トン当たりの半完成品の鋼板価格は、600ドルから既に1,150ドル~1,180ドルと約2倍に高騰している。ウクライナ侵攻後の石炭価格は約2倍に相当する700ドルに高騰、鉄鉱石価格も30ドル上昇している。

中国国内の1トン当たりの熱間圧延鋼板価格は、880ドル~900ドルで推移しているが、ロシアやウクライナが輸出していたヨーロッパ市場でマーケットシェアを拡大している。

今年2月の世界の粗鋼生産は前年同月比マイナス5.7%の1億4,270万トン(2022年3月22日付けヴァロール紙)

世界鉄鋼協会(World Steel Association)の発表によると、2022年2月の加盟国64カ国の粗鋼生産は、前年同月比マイナス5.7%の1億4,270万トンに留まっている。

今年2月の世界の粗鋼生産が前年同月比マイナス5.7%を記録した主因として、中国の粗鋼生産が前年同月比マイナス10%と二桁台の減産を記録している。

今年初め2か月間の世界の累計粗鋼生産は、前年同期比マイナス5.5%に相当する2億9,940万トンに留まっており、とくに中国の粗鋼生産は、マイナス10.0%に相当する1億5,800万トンであった。

加盟国64カ国の粗鋼生産は世界全体の98%を占め、オーストラリア、中国、インド、日本、ニュージーランド、台湾、ベトナム、パキスタン並びに韓国のアジア及びオセアニア地域の粗鋼生産は、世界全体の72%を占めている。

今年2月の中国に次ぐ世界2位の粗鋼生産国のインドの生産は、前年同月比7.6%増加の1,010万トンを記録した一方で、日本の粗鋼生産はマイナス2.3%、韓国はマイナス6.0%を記録していた。

今年2月の世界5位のロシアの粗鋼生産は、マイナス1.4%の580万トンを記録したが、先月25日から開始したロシアによるウクライナ侵攻で3月の粗鋼生産は、大幅な減産になると予想されている。

今年2月の米国の粗鋼生産は1.4%増加、ブラジルはマイナス6.9%に相当する270万トン、今年初め2か月間の累計粗鋼生産は、前年同期比マイナス5.8%を記録している。

CSN製鉄は20%の鉄鋼製品価格の値上げ発表(2022年3月16日付けヴァロール紙)

実業家スタインバック氏率いるナショナル製鉄所(CSN) は、製造コスト上昇で収益が圧迫されているために、卸売業者やメーカーなどの顧客に対する4月からの大幅な値上げを余儀なくされている。

ナショナル製鉄所(CSN) は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、原材料並びに消費財コストの上昇で顧客に対する価格転嫁を余儀なくされており、平板鋼並びに棒鋼価格を4月1日に12.5%、同15日に7.5%、合計20%に達する値上げの発表をLuiz Fernando Martinez取締役は説明している。

ナショナル製鉄所(CSN)による4月からの値上げ対象製品は、建設部門向け鉄筋に加えて、熱間圧延鋼、冷間圧延鋼および亜鉛メッキコイル、塗装済みおよびガルバリウム鋼が値上げの対象となっているが、錫メッキ鋼として知られている金属シートは今回の値上げの対象外となっている。

今回の20%の鉄鋼製品の値上げは、卸売り会社並びに白物家電メーカー、機械・装置メーカー並びに建設業部門の顧客が対象となっているが、一般最終消費者への値上げは避けられない。

ロシアによるウクライナ侵攻前の1トン当たりの鉄鋼メーカー向け石炭価格は400ドルであったが、現在は650ドル~700ドルに高騰している。1トン当たりの粗鋼生産には600キロの石炭消費が必要となっている。

今年1月3日の含有量が62%の1トン当たりの鉄鉱石価格は119.50ドルであったが、現在は135ドルで推移、前期同様石炭価格は354.40ドルから650ドルに高騰、レアル通貨に対するドルの為替は、R$5.63からR$5.15と37.5%高騰しているとMartinez取締役は説明している。

ロシア及びウクライナから鉄鋼製品を供給していたヨーロッパ及びトルコでの粗鋼供給を補うために、同社のポルトガル支店からの出荷に力を入れているとMartinez取締役は説明している。

昨年のナショナル製鉄所は平板鋼並びに棒鋼製品を460万トン販売したが、そのうちブラジル国内の販売は全体の2/3に相当する318万トンを占めていた。

ウクライナに対する軍事侵攻で鉄鋼価格が上昇(2022年3月3日のヴァロール紙)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻の影響を受けて、先週末のブラジルの1トン当たりの鉄鋼製品価格は740ドルであったが、今では1トン当たり最低でも780ドルでの取引価格に上昇している。

ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切って1週間が経過、今後のロシアとウクライナの戦況次第では、世界5位の粗鋼生産のロシアやウクライナの粗鋼生産に影響を及ぼす恐れがあるために、今後の平板鋼や鋼板の供給国の減産による世界の鉄鋼製品の値上がりが避けられない可能性が濃厚となってきている。

ブラジル国内の輸出用平板鋼メーカーとして、Techintグループ傘下のTernium社、ヴァーレ社並びに韓国資本のDongkuk社及びPosco社のペセン製鉄所CSP、アルセロール・ミタル・ツバロン社、Gerdau社も余剰スラブを輸出している。

粗鋼や鉄鋼メーカー向け原材料は値上りしており、1トン当たりの圧延鋼の中国のFOB価格は、800ドルから880ドルに上昇している。また鉄鋼メーカー向け1トン当たりの石炭価格は250ドルから400ドルに高騰している。

2021年のロシアの粗鋼生産は7,600万トン、ウクライナの粗鋼生産は2,100万トンと世界の85%の鉄鋼メーカーが加盟している世界鉄鋼協会(Worldsteel)では発表している。

ロシア及びウクライナの鉄鋼製品の輸出相手国は、ヨーロッパ連合及びアジア諸国、またブラジルはロシアから粗鋼製品を輸入している。また両国は鉄鉱石や付加価値の高い高炉向けパレットの中国及びヨーロッパ連合向け輸出国でもある。

2022年1月の鉄鋼卸売販売は、前年同月比8.1%大幅減少(2022年2月22日付けエスタード紙)

ブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)の発表によると、2022年1月のブラジル国内の鉄鋼卸売業者による厚板、冷間、熱間圧延や亜鉛メッキ材などの鉄鋼製品販売は、前年同月比8.1%減少の29万8,500トンに留まっている。

2021年の1年間の鉄鋼卸売業者による鉄鋼製品販売は、前年比0.7%微減の359万トンであった。今年1月のブラジル国内の鉄鋼メーカーからの卸購買及び輸入鉄鋼製品は、前年同月比10.0%減少の30万2,400トンに留まっている。

昨年1年間のブラジル国内の鉄鋼メーカーからの卸購買及び輸入鉄鋼製品は、ワクチン接種拡大による国内経済の回復に伴って前年比7.6%増加の373万トンであった。

今年1月の鉄鋼卸売業者の鉄鋼製品在庫は、前月比0.5%微増の81万8,000トン、前年同月比の鉄鋼製品在庫は19.1%と大幅な在庫となっている。

今年1月の鉄鋼卸売業者の鉄鋼製品在庫81万8,000トンは、営業日数換算では2.7ヶ月と適正な在庫水準を保っている。今年2月の鉄鋼卸売業者の鉄鋼製品販売及び購買は、それぞれ5.0%増加が予想されている。また今年2月の鉄鋼製品在庫は、前月比0.5%増加の82万2,100トン、営業日数換算では2.6ヶ月が見込まれている。

今年の機械・装置メーカーの投資総額は155億レアル予想(2022年1月27日付けヴァロール紙)

2022年の機械・装置業界は、生産性向上のための機械設備の近代化を中心に154億5,000万レアルの投資予定、売上総額を前年比6.0%引上げるとブラジル機械装置工業会(Abimaq)のJosé Velloso会長は説明している。

2021年の機械・装置業界の投資総額は、Covid-19パンデミックの影響で落ち込んでいた前年比68.0%大幅増加の145億2,000万レアルを記録していた。

今年の機械・装置業界の投資総額154億5,000万レアルの38.2%は、業界の生産性エフィシエンシー向上のための最先端テクノロジーの導入に充てられるとJosé Velloso会長は説明している。

今年の業界の純売上総額は前年比6.0%増加を予想、2021年の輸出などを含む売上総額は、前年比21.6%増加の2,224億4,000万レアル、名目売上(消費)は、前年比14.8%増加の3,089億1,000万レアル、国内純売上は、25.3%増加の1,680億8,000万レアルを記録していた。

昨年の機械・装置業界の売上は過去最高を更新したが、今年はインフラ整備部門並びに建設業部門が牽引して、大幅な伸び率が見込まれている。機械・装置生産は前年比4.5%増加、輸出は15.6%の大幅増加とブラジル機械装置工業会(Abimaq)では楽観的な見方をしている。

昨年の機械メーカーの受注残は、営業日数換算で10.8週に相当、前年比21.3%増加を記録していた。また機械メーカーの設備稼働率は79.2%に達していた。

昨年の機械・装置業界の輸出総額は、前年比34.2%増加の93億⒎000万ドルに対して、輸入総額は、23.4%増加の211億6,000万ドルと依然として100億ドルを上回る貿易赤字を計上している。

昨年の機械・装置業界の従業員総数は、前年よりも4万2,000人増加の36万⒎500人を雇用、今年の業界の従業員総数は、前年比5.0%増加が予想されている。

2022年の国内の鉄鋼製品販売は前年比5.0%増加どまり(2022年1月26日付けヴァロール紙)

2022年のブラジル国内の鉄鋼製品販売は、好調に推移すると予想されているが、昨年ほど堅調ではないとブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)のCarlos Loureiro会長は指摘している。

今年の自動車、白物家電並びに機械・装置向け平板鋼販売は、前年比3.0%~5.0%増加予想で、Covid-19パンデミック前の2019年の水準に回復するとCarlos Loureiro会長は予想している。

今年の国内の平板鋼販売は、風力発電並びに太陽光発電、農業機械並びに建設業向け鉄鋼製品需要が牽引するとCarlos Loureiro会長は予想している。

2021年のブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)を通した平板鋼販売は、前年比7.6%増加の372万トンを記録した一方で、昨年12月の平板鋼販売は、前年同月比マイナス25.4%を記録していた。

ブラジル鉄鋼卸売業者の昨年末の鉄鋼製品在庫は、前年末の67万5,700トンから81万4,200トンと約14万トン増加して、営業日数換算で3か月分の適正在庫に達している。

昨年の平板鋼輸入は前年比117.8%増加の202万トンと前年の倍以上の輸入を記録したが、2010年の平板鋼の輸入量370万トンの約半分まで減少している。

64カ国の約170鉄鋼メーカーが加盟している世界鉄鋼協会(Worldsteel)の発表によると、2021年の世界の粗鋼生産は前年比3.7%増加の1億9,500万トン、中国の粗鋼生産は世界全体の52%と過半数を占めており、粗鋼製品価格の決定に大きな影響力を擁している。

しかし習近平国家主席が打ち出した目標の2030年の二酸化炭素(CO2)排出のピークアウト、2060年のカーボンニュートラルの実現のため、2021年は粗鋼の生産能力を抑え、減産すると発表したが、先進国のインフレ圧力に繋がる可能性がある。昨年の中国の粗鋼生産は前年比マイナス3.0%の10億3,000万トンに減産している。

中国に次いで昨年のインドの粗鋼生産は前年比17.8%増加の1億1,810万トン、日本は15.8%増加の9,630万トン、米国は18.3%増加の8,600万トン、ブラジルの世界ランクは9位で前年比14.7%増加の3,600万トンに留まっている。

2021年12月の世界の粗鋼生産は前年同月比マイナス3.0%の1億5,870万トン、また昨年12月の中国の粗鋼生産は高炉再稼働にも拘らず、マイナス6.8%を記録していた。

今年の鉄鋼製品消費は、前年比1.5%増加の2,700万トン予想(2022年1月4日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の予想によると、2022年のブラジル国内の鉄鋼製品消費は、今年のブラジルのGDP伸び率がマイナスになる可能性も否定できないために、前年比僅か1.5%増加の2,700万トンに留まると予想されている。

今年のブラジル国内の粗鋼生産は、前年比2.2%増加の3,680万トンが予想されている一方で、ブラジル国内の粗鋼販売は、前年比2.5%増加の2,330万トンをブラジル鉄鋼協会(IABr)は予想している。

昨年発生したように顧客による補充用ストックを持つ動きは見られない。また国内の鉄鋼需要は、2014年から継続していた需要減少から回復傾向を示しているとItaú BBA社のDaniel Sassonアナリストは指摘している。

終息が不透明なCovid-19やオミクロン株、世界的な部品供給問題、不透明な大統領選挙や構造改革などの要因で、今年の鉄鋼製品消費は減速すると予想、また昨年発生した鉄鋼製品の相次ぐ値上げは、発生しないとブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)のCarlos Loureiro会長は指摘している。

昨年11月の輸入平板鋼の価格は最高を記録した上に、未だに港湾で輸入されていない平板鋼が留まっており、今後3か月間は値上げの可能性はないとCarlos Loureiro会長は指摘している。

 

CSNは今後3年間で海外での企業買収や新規プロジェクトに30億ドルを投資(2021年12月8日のエスタード紙)

ナショナル製鉄所(CSN)オーナーの実業家ベンジャミン・ステインブルック氏は、今後3年間に海外での企業買収や新規プロジェクトに総額30億ドルの投資を行うと発表した。

今後3年間で海外市場に於いて事業が存在しない状況において独占的な条件で事業をスタートさせるグリーンフィールド並びに現在、工場などの建物が建っている土地に、新たに設備投資をして新しい工場を建設したり、既存設備を刷新したりするブラウンフィールドに投資を予定している。

ブラウンフィールド投資では、事業規模を2倍に拡大する計画を立てているドイツやポルトガルでの既存の設備や工場の活用でマーケットシェア拡大を果敢に行う予定となっている。

CSN社のベンジャミン社長は、来年3月の米国でのグリーンフィールドプロジェクトを抱えており、ブラジルでの鉄鋼生産を補強する計画を立てている。

ベンジャミン社長は、来年の鉄鋼関連事業は今年ほどではないけれど、今後数年間で鉄鉱石の供給確保をしなければ後れを取ると強調している。

CSN社では今年末の決算で負債総額は150億レアルを見込んでいる。また今後数年間の鉄鋼生産目標を達成するためには、来年の鉄鉱石購入は3,600万トンから3,700万トン、2022年は3,900万トンから4,100万トンを見込んでいる。

鉄鋼製品輸入比率は来年正常化に戻る(2021年9月30日付ヴァロール紙)

昨年3月からCOVID-19パンデミックの影響を受けて、ブラジル国内の鉄鋼メーカーは、生産調整のため高炉の操業停止などで、大幅な生産減少を余儀なくされていた経緯があった。

昨年下半期からのブラジル国内の景気回復に伴って、鉄鋼製品の輸入増加を余儀なくされた結果、輸入鉄鋼製品の国内マーケットシェアは、通常の11.0%前後を大幅に上回っていたが、2022年には通常の11.0%前後のマーケットシェアに落ち着くとウジミナス製鉄所のセルジオ・レイテ社長は説明している。

昨年の鉄鋼製品輸入が急増した要因として、ブラジルと貿易均衡のとれた国からの輸入ではなく、反ダンピングの最大のターゲットである中国のようなブラジルとの貿易関係に対称性がない国からの輸入をセルジオ・レイテ社長は指摘している。

ブラジル鉄鋼協会(IABr)の発表によると、今年初め8か月間の鉄鋼製品輸入は、前年同期比163.90%増加の350万トンに達している。またブラジル国内の鉄鋼製品消費は、前年同期比41.7%増加の1,880万トンに達している。

ブラジル国内の鉄鋼製品増産で障害となっているのは、鉄鋼メーカー向け石炭価格の高騰であり、現在1トン当たり400ドルまで高騰しているが、2022年初めには正常な価格に戻るとTernium社のMarcelo Chara社長は指摘している。

中国がオーストラリア産石炭輸入を中断して石炭価格が急騰している状況で、オーストラリアは新規の石炭輸出先を探しているが、石炭の国際コモディティ価格が通常価格に戻るのは2022年初めになると予想されている。