西半球最大の鉄鋼メーカーのアルセロール・ミタッル社は、ブラジルでの付加価値の高い鉄鋼製品のマーケットシェア拡大で、大型投資を予定している。
今年は生産停止をしていたサンタ・カタリーナ州サン・フランシスコ・ド・スル市の製鉄所への投資を再開またエスピリット・サントス州のツバロン製鉄所の2023年~2030年迄の生産能力拡大計画を進めている。
エスピリット・サントス州のツバロン製鉄所の生産設備をVegaと呼ばれるサン・フランシスコ・ド・スル市の製鉄所と同等の設備投資を行い、付加価値の高い平板鋼や棒鋼及び輸出用の鉄鋼製品生産のための投資を行うとブラジルArcelorMittal社のBenjamin Baptista Filho社長は説明している。
今年2月から生産再開をしたVega製鉄所は、今後2年間に亘って3億5,000万ドルの投資が見込まれている。またツバロン製鉄所での生産拡張工事に最低でも10億ドルの投資が見込まれている。
イノベーションテクノロジーをフル活用して、自動車、白物家電、建材、農業用サイロ、再生可能エネルギー向け付加価値の高い平板鋼、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板などの生産が予定されている。
Vega製鉄所の増産は2023年9月が予定されており、ウジミナス製鉄所並びにCSN製鉄所と競合する圧延鋼などの生産を開始するが、国内での需要拡大が見込まれている。
ツバロン製鉄所では、3高炉フル稼働で年間750万トンの平板を生産、そのうち400万トンは圧延鋼板であり、更に10%増産に相当する450万トンの生産能力引上げが可能となる。
今年10月末にはツバロン製鉄所は年率換算で730万トンの平板や圧延鋼の生産が可能となり、そのうち150万トンの圧延鋼はVega製鉄所に送られて、付加価値の高い冷延鋼板や亜鉛メッキ鋼板として販売される。
今年のミッタル社の50%以上の鉄鋼製品は、半完成品の平板として輸出、約300万トンは米国、カナダ並びにヨーロッパのグループ企業に供給される。また南米市場には110万トンの圧延鋼が輸出される。
昨年のブラジルアルセロール・ミッタルの売上は、前年比2.0%増加の330億レアル、純益は前年比16.0%増加の12億3,000万レアルを記録している。