通貨政策委員会 (Copom) は、全会一致で政策導入金利(Selic)を現行の11.25%を0,50%引き下げて10.75%に決定 (2024年3月21日付けヴァロール紙)

20日にブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、全会一致で政策導入金利(Selic)を現行の11.25%から0.50%引き下げ、10.75%とした。当局は次回会合で同規模の追加削減を示唆している。

通貨政策委員会 (Copom)の最新の発表では、基礎的なインフレ指標はインフレ目標を上回っていた」と説明。エース・キャピタルのリカルド・デナダイ氏は、中央銀行は国際情勢と国内情勢の両方に大きな不確実性があることを明確に示したと説明している。

米国の連邦準備制度理事会は20日、5.5%を上限とする現在の政策金利を5会合連続で据え置くことを決定。焦点となっている金利の引き下げについては今年、3回行う見通しを維持した。パウエル議長は今後もインフレ退治に軸足を置き、金利の引き下げは慎重に判断していくと説明している。

FRBのパウエル議長は会合後のインタビューで、先進国の金利がパンデミック以前のような低い水準に戻るとは思わないと述べた。さらに、米国の連邦準備制度理事会は、2025年と2026年の利下げはより遅いペースで行われるはずだと示唆している。

このシナリオは新興国にとって最善のものではない。先進国の金利が高止まりすれば、世界の投資家がより安全であると考えられている先進国に投資金を残しておくことを選択する可能性が高まり、新興国にとっては不利益となる。

理論的には、ブラジルのような新興国が海外投資家にとっての魅力を失わずに金利を引き下げる余地は少なくなる。しかし短期的には、国内資産はFRBの柔軟な姿勢から恩恵を受ける可能性がある。

2023年2月~2024年3月までのブラジルのSelic金利と米国のFED金利の変動

2024年の連邦政府の歳入総額は1,865億2,000万レアルに達し、2月としては過去最高を更新(2024年3月21日付けヴァロール紙)

2024年の連邦政府のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比12.27%と二桁増加の1,865億2,000万レアルに達し、2月としては過去最高を更新、またインフレ指数を差引かない名目歳入総額は、前年同月比17.31%増加を記録している。

今年2月の歳入総額1,865億2,000万レアルは、2月としては統計を取り始めた1995年以降では最高の歳入総額を記録している。

今年2月の臨時歳入を含まない一般実質歳入総額は、11.95%増加の1,790億2,100万レアル、名目歳入総額は16.98%増加を記録している。

石油派生品などのロイヤリティなどの今年2月の実質臨時歳入は、前年同月比20.41%増加の75億200万レアル、名目臨時歳入は25.83%増加を記録している。今年初め2月間の累積実質一般歳入総額は、前年同月比8.82%に相当する4671億5,800万レアルを記録している。

これらのファンドに投資された資金に対する所得税の徴収は昨年12月に始まり、同ファンドは39億レアルの収益を上げた。在庫の正規化には、納税者にとって 4 回の分割払いが必要です。

今年2月の国庫庁の歳入増加の要因として、社会統合基金/公務員財形計画(PIS/PASEP)及び社会保障賦課金(Cofins)による歳入総額は、21.37%増加の390億レアルを記録している。

今年2月のキャピタルゲインによる実質個人所得税は、前年同月比4.74%増加の111億レアルを記録。社会保障院関連による歳入は4.74%増加の総額 503 億レアル、実質給与は6.47%増加を記録している。

海外住居者の個人所得による歳入は32.77%増加の4,300万レアルを記録。今年2月の連邦政府による免税総額は101億8,400万レアル、昨年2月の免税総額は126億8,300万レアルであった。

今年2月の工業製品税IPIによる歳入は1億7,000万レアル、慈善団体Cebasは1億1,500万レアル、公共交通・基本食品バスケット5,500万レアル、その他の項目向け免税は96億4,000万レアルであった。

最終フォーカスレポートは、今年のIPCA指数を3.79%、来年は3.52%それぞれ上方修正(2024年3月19日付けヴァロール紙)

通常よりも1日遅れの19日発表のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の3,77%から3.79%に若干上方修正している。

また2025年の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の3.51%から3.52%に上方修正した一方で、2026年の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の3.50%に据置いている。

2024年, 2025年並びに2026年のIPCA指数の中央目標値は3,00%、許容範囲は±1,50%に設定されている。

2024年末の政策誘導金利 (Selic)は前回同様に9,00% に据置。2025年末のSelic金利も8,50%、2026年末のSelic金利も8,50%に据え置いている。

2024年のブラジルのGDP伸び率は、前回予想の1.78%から1.80%に微調整、2025年及び2026年のGDP伸び率は、前回同様2.00%に据置いている。

18日のブラジル中銀発表の2024年1月のGDP伸び率の先行指標となる経済活動指数(IBC-Br)は前月比0.60%増加、昨年12月の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比0.82%増加よりも大幅に減少している。

Valor Data社の22金融機関及びコンサルタント会社の調査によると、最低予想はマイナス0.20%、最高予想は1.6%増加、平均予想は0.7%増加となっている。また11社は今年のGDP伸び率を2.0%増加を予想している。

ブラジル地理統計院 (IBGE) による少なくとも 2 回の月次調査を統合したものでは、小売業とサービス業の業績がそれぞれの予測を大幅に上回ったと報告されている。

2024年末のレアル通貨に対するドルの為替は、前回同様R$ 4,93からR$ 4,95に調整、2025年はR$ 5,00に据置。2026年末のドルの為替は前回予想のR$ 5,04に据え置かれている。

2024年、2025年、2026年のIPCA指数の推移予想

2024年、2025年、2026年のSelic金利の推移予想

2024年、2025年及び2026年のGDP伸び率の推移予想

 

 

2024年、2025年、2026年のレアル通貨に対するドルの為替の推移予想

2024年1月の経済活動指数(IBC-Br)は前月比0.60%増加(2024年3月18日付けヴァロール紙)

18日のブラジル中銀発表の2024年1月のGDP伸び率の先行指標となる経済活動指数(IBC-Br)は前月比0.60%増加、昨年12月の経済活動指数(IBC-Br)は前月比0.82%増加よりも大幅に減少している。

Valor Data社の22金融機関及びコンサルタント会社の調査によると、最低予想はマイナス0.20%、最高予想は1.6%増加、平均予想は0.7%増加となっている。また11社は今年のGDP伸び率を2.0%増加を予想している。

2024年1月の過去12カ月間の累積経済活動指数(IBC-Br)は2.47%増加、2023年1月の過去12カ月間の累積経済活動指数(IBC-Br)は3.45%増加、昨年11月~今年1月の四半期の月間平均経済活動指数(IBC-Br)は0.50%増加であった。

IBC-Br の計算方法は、ブラジル地理統計院(IBGE) が計算する国内総生産の計算方法とは異なり、毎月の頻度の BC 指標は、経済活動の進化をより頻繁にモニタリングすることを可能にし、四半期ごとの頻度の国内総生産 (GDP) は、より包括的な状況を説明している。

 

2023年1月~2024年1月の月間N%経済活動指数(IBC-Br)の増減

2023年1月~2024年1月の過去12カ月間の累計経済活動指数(IBC-Br)の増減

2024年1月のサービス部門提供量は前月比0.7%増加(2024年3月15日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2024年1月のサービス部門提供量(生産性指標)は前月比0.7%増加、昨年12月の0.7%増加に続いて大幅な増加を記録している。

Valor Data社が27社のコンサルタント会社及び金融機関対象の調査では、最低予想はマイナス1.5%、最高予想は0.3%増加、平均予想のマイナス0.5%を大幅に上回る0.7%増加を記録している。

1月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前年月比4.5%増加と予想を大幅に上回る増加幅を記録、Valor Data社の調査では、最低予想はマイナス1.7%、最高予想は3.3%増加、平均予想の1.5%増加であった。

今年1月のサービス部門提供量は、Covid-19パンデミック直後の2020年2月の水準を13.5%と大幅に上回っているが、過去最高を記録した2022年12月の水準を0.7%下回っている。

今年1月のサービス部門提供量の調査対象の5部門のうち4部門で前月比増加を記録、特に情報通信部門は1.5%増加と4カ月連続で増加を記録、4か月間の累積サービス量は3.8%増加、教育・研究機関などの公共サービス部門は1.1%増加、輸送部門は0.7%増加を記録している。その他のサービス部門は前月のマイナス1.2%から0.2%増加に転じている。

今年1月のサービス部門で唯一前月比でマイナスを記録したのは、一般家庭向け部門のサービス提供量はマイナス2.7%を記録したが、昨年11月及び12月の累積提供量は7.4%増加を記録していた。

2023年1月~2024年1月までの月間サービス量の増減推移

2023年1月~2024年1月までの過去12カ月間の累積月間サービス量の増減推移

 

2024年1月の純正規雇用総数は18万395人を記録(2024年3月15日付けヴァロール紙)

今月15 日の就労・失業者管理センター(Caged)の統計を基にした労働・雇用省の発表によると、2024年1月の労働手帳に記載される雇用総数から解雇総数を差引いた純正規雇用総数は18万395人を記録している。

Valor Data社の金融機関対象の1月の純正規雇用調査によると、最低予想は3万3,000人、最高予想は11万5,400人、平均予想は8万6,500人を2倍以上の純雇用を記録している。

今年1月の新規雇用総数は、206万7,817人に対して解雇総数は188万7,422人であった。今年1月の純雇用総数は、昨年1月の純雇用総数9万117人の2倍に相当する18万395人であった。

今年1月の新規雇用のインフレ指数を差引いた実質平均サラリーは、前月の3.38%に相当する69.23レアル多い2,118.32レアルであった。

今年1月の新規雇用の部門別調査では、サービス業部門は8万587人、農畜産・林業・漁業部門は2万1,900人、鉱工業部門は6万7,029人、建設業部門は4万9,091人それぞれ増加した一方で、商業・四輪・二輪修理部門はマイナス3万8,212人と唯一解雇総数が新規雇用総数を上回った。

今年1月地域別純雇用調査では、南東部地域は5万7,243人、南部地域は6万7,218人、中西部地域は4万26人、北東部地域は1万1,606人、北部地域は4,296人それぞれ増加を記録している。

最大30時間の労働時間で雇用された見習い、臨時労働者を含む断続的な新規雇用総数は3万7,001人を記録したが、内訳は新規雇用総数は30万1,484人に対して、解雇総数は26万4,483人であった。

2022年のブラジルの人間開発指数は89位に悪化(2024年3月14日付けヴァロール紙)

平均余命・教育・所得の側面から人間開発の達成度を示す指数の2022年のブラジルの人間開発指数( Human Development Index, HDI)は、前年の87位から89位に後退している。

2022年のブラジルの人間開発指数(HDI)は、前年までの2年連続の低下から一転して2ランクアップして悪化しているが、2022年のブラジルの人間開発指数(HDI)は、依然としてCovid-19 パンデミック前よりも低い水準にある。

さらに、政治的二極化が進む世界的な傾向がブラジルでも見られ、国民の生活の質の向上が妨げられている。これは、国連(UN)の国連開発計画(UNDP)が今月13日に発表した人間開発報告書(HDR)が示している。

人間開発指数(HDI) は、平均余命、就学年数、一人当たり収入などの要素に基づいて、国の生活の質を測定することを目的とした指標であり、スケールは 0 から 1 までで、指数が 1 に近づくほど、その国の生活の質は向上する。

2022年のブラジルの人間開発指数(HDI)は0.760に達し、2020年の0.758や2021年の0.754よりは高い水準となったが、それでも2018年以降の水準よりは低い。

ブラジルの人間開発指数(HDI)0.760と同レベルには、ペルー、アゼルバイジャン、北マケドニアなどであり、このレベルは人間開発指数が非常に高いと考えられる高水準レベルよりも低いレベルに留まっている。

1990年代初頭から2010年代半ばにかけて生活の質の向上という点でブラジルは急速な進歩を遂げたと強調。過去10年間、この傾向は停滞していたとPnud統計担当のYanchun Zhangチーフは説明している。

ブラジルは世界的な政治的二極化が進む状況の中に置かれており、二極化が生活の質の向上に及ぼす悪影響をPnudのPedro Conceição理事は指摘している。

2020年から2021年にかけての世界の人間開発指数(HDI)の低下は、パンデミックだけが原因ではなかったとPnudのPedro Conceição理事は述べた。同氏はまた、二極化が社会問題や環境問題の解決にもたらす障害についても言及している。

一例として、「パンデミック中にワクチンを接種するかマスクを着用するか」という決定が挙げられる。この決定は多くの場合、これらの措置の有効性よりも、人々が所属する特定のグループの意見に基づいたものであったが、同じことが気候変動でも起こりうる

ラテンアメリカとカリブ海地域は、高いレベルの不平等や貧困、生産性の低さなどのさらなる課題に直面しており、そのためこれらの国々は他の地域よりも外的ショックに対して脆弱になっているとPnudラテンアメリカ及びカリブ担当のMichelle Muschett理事は説明している。

しかし、この地域が北米と西ヨーロッパに次いで世界で3番目に民主的であることが指標で示されているという事実など、調査できる前向きな点もある。ブラジルは社会正義の問題を非常に強力に取り入れ、不平等に取り組んでいるとMichelle Muschett理事は説明している。

2024年2月の段ボール箱出荷は前年同月比11.1%増加(2024年3月12日付けヴァロール紙)

2024年2月の経済動向のバロメーターの段ボール箱、シート並びに板紙付属品を含む段ボール箱派生品出荷量は、前年同月比11.1%と二桁台の増加を記録とブラジル包装紙協会(Empapel)では発表している。

今年2月の段ボール箱指数(IBPO)は、145.5ポイントに相当する32万6,723トンを記録しており、2月の月間出荷高としては過去最高を記録した2021年2月の33万2,024トンに次ぐ記録となっている。

今年2月の1営業日当たりの出荷量は前年同期比6.5%増加の1万3,613トンで、今年2月は前年同月よりも1営業日多い24営業日であった。

季節の影響を受けないデータを考慮すると、2月のIBPO は1.4% 増加の156 ポイントとなり、出荷量では34万9,631トンを記録している。また1営業日当たりの平均出荷量は9.8%増加の1万4,568トンであった。

 

最終フォーカスレポートは今年のIPCA指数を3.77%に上方修正(2024年3月12日付けヴァロール紙)

通常よりも1日遅れの12日発表のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の3,76%から3.77%に若干上方修正している。

2025年のIPCA指数は前回同様3,51%に据置。また2026年のIPCA指数は, 前回同様3,50%に据置いている。また2024年, 2025年並びに2026年のIPCA指数の中央目標値は3,00%、許容範囲は±1,50%に設定されている。

2024年末の政策誘導金利 Selicは前回同様に9,00% に据置。2025年末のSelic金利も8,50%、2026年末のSelic金利も8,50%に据え置いている。

2024年のブラジルのGDP伸び率は前回予想の1.77%から1.78%に微調整、2025年及び2026年のGDP伸び率は前回同様2.00%に据置いている。

ブラジル地理統計院(IBGE)が先週発表した2023年第4四半期のブラジルのGDP伸び率は安定しており、バロール報告書が聞き取り調査したコンサルタント会社や銀行66社の予測中央値の0.1%増加をわずかに下回った。2023年のブラジルのGDP伸び率は2.9%増加を記録している。

2024年末のレアル通貨に対するドルの為替は、前回同様R$ 4,93に据置、2025年はR$ 5,00に据置。2026年末のドルの為替は前回予想のR$ 5,04に据え置かれている。

2024年、2025年、2026年のSelic金利の推移予想

2024年、2025年及び2026年のGDP伸び率の推移予想

2024年、2025年、2026年のレアル通貨に対するドルの為替の推移予想

2024年2月のインフレ指数は予想を上回る0.83%を記録(2024年3月12日付けヴァロール紙)

ブラジルの正式なインフレ指数である2024年2月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、1月の0.42%の約2倍に達する0.83%を記録、2023年2月のIPCA指数は0.84%であった。

Valor Data社が38社の金融機関及びコンサルタント会社対象の今年2月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)調査によると、最低予想は0,57%、最高予想は0,88%、平均予想は0,78%であった。

今年2月の過去12カ月間の累計IPCA指数は、1月の4.51%から4.50%と若干減少、Valor Data社の調査では最低予想4.23%、最高予想4.55%、平均予想の4.44%を若干上回っている。

連邦政府の2024年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)の中央目標値は3,00%、許容範囲は±1.5%であり、目標下限値は1.50%,目標上限値4.50%と同率となっている。

今年2月のIPCA指数のうち住居部門は1月の0.25%から0.27%と若干上昇、前記同様に輸送部門はマイナス0.65%から0.72%、通信部門はマイナス0.08%から1.56%それぞれを大幅に上昇している。

一方今年2月のIPCA指数が減少したのは、食糧・飲料部門で1.38%から0.95%、家庭用品部門は0.22%からマイナス0.07%、衣類部門は0.14%からマイナス0.44%、健康・パーソナルケア部門は0.83%から0.65%、個人消費部門は0.82%から0.65%それぞれ減少している。

2023年2月~2024年2月までのIPCAの月間推移

 

2023年2月~2024年2月までのIPCAの中央目標値(青色)、上限値(赤色)、過去12カ月間の累計(緑色)の月間推移

2024年2月のIPCA指数の部門別増減