今年6月のブラジルの財政プライマリーは489億レアルの赤字計上(2023年7月28日付けヴァロール紙)

27日のブラジル中央銀行の発表によると、2023年6月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び州政府と市町村で構成される地方政府を合わせたブラジル政府の財政プライマリー収支は、488億9,900万レアルの赤字計上したが、昨年6月は143億9,500万レアルの黒字を計上していた。

ブラジル政府の財政プライマリー収支には、ペトロブラス石油公社(Petrobras)、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)、ブラジル銀行(BB)及び連邦貯蓄金庫(Caixa)などの公立銀行の決算は含まれていない。

6月の中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー収支は、452億2,300万レアルの赤字を計上した一方で、地方政府の実質財政プライマリー収支は、53億300万レアルの黒字を計上している。

6月の過去12カ月間の財政プライマリー収支は、GDP比0.24%に相当する242億7,000万レアルの赤字を計上したが、5月の過去12カ月間の財政プライマリー収支はGDP比0.38%の黒字を計上していた。

また今年初め6か月間の財政プライマリー収支は203億6,900万レアルの赤字を計上したが、昨年同期の財政プライマリー収支は、1,298億9,500万レアルの大幅な黒字を計上していた。

今年6月の利払いを含むブラジルの名目財政プライマリー収支は896億2,500万レアルの赤字を記録、昨年6月の名目財政プライマリー収支は、837億9,300万レアルの赤字を記録していた。

6月の過去12カ月間のブラジルの名目財政プライマリー収支は、GDP比6.42%に相当する6,623億8,100万レアルと5月のGDP比6.39%を若干上回っている。また6月の実質財政プライマリー収支は、GDP比6.18%の6,381億1,100万レアルであった。

6月の中央政府の財政プライマリー収支は452億2,300万レアルの赤字計上

2023年6月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー収支は、452億2,300万レアルの赤字を計上している。

今年6月の過去12カ月間の累積財政プライマリー収支は、GDP比0.41%に相当する415億レアルの黒字を計上している。2022年6月の財政プライマリー収支は145億8,800万レアルの黒字を計上していた。

今年6月の中央政府の実質財政プライマリー収支452億2,300万レアルの赤字の内訳は、国庫庁の黒字は65億5,900万レアル、社会保障院(INSS)の赤字は517億万レアルを計上、ブラジル銀行の赤字は僅か8,200万レアルであった。

今年初め6か月間の中央政府の実質財政プライマリー収支425億900万レアルの赤字内訳は、国庫庁の決算が1,226億300万レアルの黒字を計上した一方で、社会保障院(INSS)は1,649億8,400万レアルの赤字を計上、ブラジル銀行も1億2,700万レアルの赤字を計上している。

2023年度の中央政府の財政プライマリー収支目標は、2,315億レアル以内の赤字に収めることであるにも関わらず、財務省は1,454億レアルの赤字を見込んでいる。

国庫庁の発表によると、6月の実質歳入総額は前年同月比マイナス26.1%増加の1,453億万3,400レアルの一方で、歳出総額は4.9%増加の1,905億5,700万レアルを記録していた。

今年初め6か月間の実質収入総額は前年同期比マイナス5.3%の9,378億3,200万レアル、一方支出総額は5.1%増加の9,790億8,900万レアルを記録している。

今年6月の連邦公社の配当金支出は51億5,800万レアルの一方で昨年同月の配当金支出は 270億2,100万レアルであった。

今年6月の連邦政府の公共投資はマイナス17.41%の49億8,200 万レアルの一方で、昨年同月は9.4%増加の223億万8,200レアルであった。

6月の一般消費者の信頼感指数(ICC) は、前月比4,1ポイント増加の92,3ポイント(2023年7月25日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・バルガス財団(FGV)の消費者動向調査によると、2023年6月の一般消費者の信頼感指数(ICC) は、前月比4,1ポイント増加の92,3ポイントに上昇、2019年2月に記録した94,5ポイント以降では最高の信頼感指数(ICC)を記録している。

6月の消費者信頼感指数の回復は、調査対象のすべての所得階層に波及したことに加え、現状認識の改善と今後数カ月間の期待の両方によってもたらされている。

今後数カ月間の耐久財の消費意向を示す指標が同月の結果の主な要因となっており、インフレの緩和と将来の金利低下期待を踏まえると支出意向の悲観が後退していることを示唆している。

一部の消費者信頼感指数はここ数カ月良好の結果を達成しているにもかかわらず、消費者信頼感の持続的な改善を確認するにはまだ時期尚早であり、その主な理由は、大きな一般家庭の負債が消費者の消費傾向に影を落としており、一般世帯の経済状況が依然として非常に満足のいくレベルにないためとジェツリオ・バルガス財団(FGV)エコノミストのAnna Carolina Gouveia氏は指摘している。

消費期待指数(IE)は、2か月連続で3.6ポイント上昇して104.0ポイントに改善し、現状指数(ISA)は4.4ポイント上昇して75.7ポイントとなり、新型コロナウイルス感染症パンデミックが始まった2020年3月に記録した76.1ポイント以来の最高水準に達している。

一般消費者の信頼感指数(ICC)を構成する項目のうち耐久財の購入意向を示す指標は、指数の改善に最も影響を及ぼし、11.7ポイント上昇の91.6ポイントとなり、2014年10月に記録した92.5ポイント以来遠ざかっていた90ポイントの水準に達している。

現状の経済状況に対する信頼感指数は、2,3ポイント上昇の118,4ポイントを記録、消費者の先行き信頼感指数IE-Cはマイナス4,0ポイントの101,3ポイントに減少している。

連邦政府は製造業部門活性化で設備投資向け優遇税制検討(2023年7月24日付けヴァロール紙)

ブラジル国内の製造業部門活性化のために、設備の近代化や最新鋭装置や機械の導入活性化に向けた政策の導入を検討しているとフェルナンド・ハダジ財務相は発表している。

製造業部門の設備の近代化や最新鋭装置や機械の導入活性化に向けた政策導入の予算として30億レアル~150億レアルが見込まれているが、政策導入は2024年からが予定されている。

連邦政府では、ブラジル国内の製造業部門の機械・装置の使用年数が減価償却期間を大幅に上回っており、早急な機械・装置の入れ替えや最新鋭機械・装置の導入を行う必要があるとジェラウド・アウキミン副大統領は指摘している。

新たな工業政策プログラムは「新産業化」計画を補完するもので、生産性を向上させ、より多くの経済成長、より多くの雇用と国民の収入を生み出すための措置を講じて、地元産業を国際舞台で再位置づけすることも目的とアウキミン副大統領は指摘している。

ハダジ財務相は、この工業政策導入に伴う税制恩典は、財政に影響を及ぼすものではないと説明、ブラジルの製造業部門の活性化には不可欠な工業政策になると説明している。

5月の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比マイナス2.0% (2023年7月17日付けヴァロール紙)

17日ブラジル中銀発表の2023年5月のGDP伸び率の先行指標となる経済活動指数(IBC-Br)は、前月比マイナス2.0%と4月の0.56%増加から一転して減少に転じている。

Valor Data社によるコンサルタント会社及び金融機関対象の5月の経済活動指数(IBC-Br)調査では、最低予想はマイナス1.3%、最高予想は1.0%増加、平均予想はマイナス0.1%であった。

今年5月の過去12カ月間の累計経済活動指数(IBC-Br)は前年同期比3,43%増加、今年3月~5月の四半期の平均月間経済活動指数(IBC-Br)は2月~4月の四半期比ではマイナス0,49%であった。

IBC-Br の計算方法は、ブラジル地理統計院(IBGE) が計算する国内総生産の計算方法とは異なり、毎月の頻度の BC 指標は、経済活動の進化をより頻繁にモニタリングすることを可能にし、四半期ごとの頻度の国内総生産 (GDP) は、より包括的な状況を説明している。

2022年5月~2023年5月までの経済活動指数(IBC-Br)の推移

2022年5月~2023年5月までの過去12カ月間の累計経済活動指数(IBC-Br)の推移

最終フォーカスレポートでは2025年のIPCA指数を3,60%から3,55%に下方修正(2023年7月17日付けヴァロール紙)

17日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると発表によると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回同様4,95%に据置かれている

2024年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は3,92%に据置かれたが、2025年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の3,60% から3,55%に下方修正されている。

今年末の政策誘導金利Selicは前回同様12%に据置かれたが、2024年末のSelic金利は9,50%、2025年末のSelic金利は9,00%それぞれ据え置かれている。

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

2023年のGDP伸び率は前回予想の2,19%から2,24%、2024年は1,20% から1,30%、2025年のGDP伸び率は前回予想の1,80%から1,88%それぞれ上方修正されている。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回同様にR$ 5,00に据置いたが、2024末の為替はR$5, 06からR$ 5,05、2025年末の為替は前回同様にR$ 5,15に据置いている。

IBGE鉱工業部門生産調査によると、2023年5月の15地域のうち10地域で前月比増加を記録。(2023年7月13日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-REGIONAL)によると、2023年5月の15地域のうち10地域で前月比増加を記録している。

今年5月のブラジルの鉱工業部門の平均生産量は前月比0.3%増加、特にアマゾナス州は12.8%と二桁台の増加率を記録、ペルナンブーコ州5.6%、パラナ州5.3%とそれぞれ大幅な増加を記録した一方で、サンタ・カタリーナ州はマイナス2.7%、バイア州はマイナス2.4%と大幅に後退している。

ブラジルの鉱工業部門生産を牽引するサンパウロ州の5月の鉱工業部門生産は、全国平均の0.3%増加を大幅に上回る2.9%増加を記録している。

5月の鉱工業部門生産は前年同月比では調査対象の15地域のうち12地域で増加を記録、全国平均は1.9%増加、特にパラー州の鉱工業部門生産は29.6%増加、アマゾナス州7.6%、ペルナンブーコ州6.3%、マット・グロッソ州は5.3%それぞれ増加を記録したいる。

前記同様ミナス州は5.2%増加、パラナ州5.0%、南マット・グロッソ州4.5%、北大河州4.2%、リオ州2.9%、サンパウロ州2.6%それぞれ増加を記録した一方で、マランニョン州はマイナス9.6%、セアラー州はマイナス8.1%と大幅な減少を記録している。

5月のサンパウロ州の鉱工業部門生産は、前年同月比2.6%増加と全国平均の1.9%増加を上回っている。特にパラー州の鉱工業部門生産が29.6%増加した要因として、昨年5月の鉱工業生産がマイナス20.9%を記録していたこと及び鉱業部門が36.6%と大幅な増加に起因している。

5月のサンパウロ州の鉱工業部門生産が前年同月比2.6%増加した要因として、石油派生品、粗糖を中心とした食品及び自動車部門が牽引したとブラジル地理統計院(IBGE)アナリストのBernardo Almeida氏が指摘している。

5月のサンパウロ州の鉱工業部門生産が前年同月比2.6%増加を記録したことで、Covid-19 パンデミック前の2020年2月の水準を0.6%上回っているにも拘らず、過去最高を記録した2011年3月の水準を依然として21.8%下回っている。

2023年5月の州別鉱工業部門の生産の前月比、前年同期比、今年初め5か月間の累計、過去12カ月間の累計伸び率比較リスト

5月のサービス部門提供量は前月比0,9%増加(2023年7月12日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2023年5月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比0,9%増加と前月のマイナス1,5%から一転して増加に転じている。

今年5月のサービス部門提供量(生産性指標)は前年同月比4,7%増加、5月の過去 12 か月間の累積提供量は前年同期比 6,4%増加、今年初め5か月間の累積提供量は前年同期比 4,8%増加を記録している。

Valor Data社が20社のコンサルタント会社や金融機関対象の調査によると、最高予想は1,9%、平均予想は0,5%と実際の0,9%増加を大幅に下回っていた。また今年のサービス部門提供量(生産性指標)の前年比の最低予想は2,6%、最高予想は5,7%、平均予想は3,9%増加となっている。

今年5月のサービス部門提供量レベルは、Covid-19 パンデミック前の2020年2月の水準を既に11,5%と二桁台の増加を記録している。

今年5月のサービス部門提供量の地域別比較では27地域中 24地域で増加を記録、特にマット・グロッソ州は22,5%増加、リオ州3,4%増加、ミナス州2,6%、南大河州2,0%、ゴイアス州5,0%とそれぞれ増加を記録した一方でサンパウロ州はマイナス1,5%を記録している。

今年5月のサービス部門提供量の前月比のセクター別比較では、情報・通信サービスセクターは2,2%増加と前月のマイナス4,3%から一転して大幅な増加に転じている。

また一般家庭向けサービスセクターは 2,2%増加、その他のサービスセクターは0,6%増加と前2か月間の累積 1,7% から回復している。教育・研究機関などの公共サービスセクターはマイナス1,0%を記録している。

2022年5月~2023年5月までのサービス部門提供量の月間伸び率推移

3月~5月のセクター別サービス部門提供量の月間伸び率推移(IBGEサイトより抜粋)

6月のインフレ指数はマイナス0,08%とデフレに反転 、過去12カ月間では3,16% (2023年7月11日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、6月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)はマイナス0,08%と5月の0,23%のインフレから一転してデフレに転じている。

昨年6月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は0,67%と高いインフレ指数を記録していた。今年6月のIPCA指数マイナス0,08%は2017年6月以降では最低の指数を記録している。

今年6月のIPCA指数がマイナス0,08%を記録した要因として、食品・飲料部門のIPCA指数がマイナス0,66%と0,14ポイント下げる効果、輸送部門はマイナス0,41%と0,08ポイント下げる効果に繋がっている。

Valor Data社の35社のコンサルタント会社や金融機関対象の調査では、最低予想はマイナス0,16%、最高予想はマイナス0,01%、平均予想はマイナス0,10%であった。

今年6月の過去12カ月間の累計IPCA指数は、5月の3,94%から3,16%と大幅に減少と2020年9月に記録した3,14%以降では最低を記録、中央銀行の今年のインフレ指数の中央目標値3,25%を下回っている。

今年初め6か月間の累計IPCA指数は2,87%まで減少している。IBGEでは、IPCA指数の集計としてゴイアニア、カンポ・グランデ、リオ・ブランコ、サン・ルイス、アラカジュ、ブラジリアの各自治体に加え、10大都市圏をカバーする最低賃金1~40の世帯の消費バスケットに基づいてブラジルの公式インフレを計算している。

2022年6月~2023年6月までのIPCA指数の推移

2022年6月~2022年6月~2023年6月までの過去12カ月間の累積IPCA指数、許容値の上限・下限値の推移

2023年6月のIPCA指数のセクター別増減

最終フォーカスレポートは今年のインフレを4,95% に下方修正(2023年7月10日付けヴァロール紙)

10日発表のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2023年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の4,98%から4,95%と下方修正を行っている。

また2024年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の3,92%、2025年も3,60%とそれぞれ据置いている。

今年末の政策誘導金利Selicは前回予想の12%、2024年末のSelic金利は9,50%、2025年末のSelic金利は前回同様に9,00%にそれぞれ据置いている。

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

金融市場関係者は今年のGDP伸び率は前回同様に2,19%に据置いたが、フォーカスレポートでは今年のGDP伸び率を1,28%に据置、2024年のGDP伸び率は1,81% から1,80%に下方修正した。

今年第1四半期のGDP伸び率は前四半期比1,9%増加を記録、ヴァロール社が72社のコンサルタント会社及び金融機関対象の調査では、今年第1四半期のGDP伸び率の最低予想は-0,1%、最高予想は+2,2%.平均予想は1,3%増加であった。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$ 5,00、2024年末は前回予想のR$ 5, 08からR$ 5,06、2025年末の為替は前回予想のR$ 5,17からR$ 5,15に修正している。

的中率が最も高いトップ5の今年末のIPCA指数は前回予想の4,93%から4,85%に下方修正している。2024年のIPCA指数は3,77%、2025年のIPCA指数は3,80%に据置いている。

トップ5の今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$ 5,00、2024年はR$ 5,10、2025年はR$ 5,10に据置いている。

過去1年間の2023年及び2024年のIPCA指数の予想推移

過去1年間の2023年及び2024年のSelicの予想推移

過去1年間の2023年及び2024年のGDPの予想推移

過去1年間の2023年及び2024年のレアル通貨に対するドルの為替の予想推移