最終フォーカスレポートは今年のインフレ指数を5.95%に下方修正も来年は4.11%に上方修正(2023年3月20日付けヴァロール紙)

20日発表のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2023年のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.96%から5.95%に下方修正した一方で、2024年の IPCA指数は4.02%から4.11%と大幅に上方修正、2025年のIPCA指数も3.80%から3.90%に上方修正している。

今年の今年末の政策導入金利(Selic)を前回同様12.50%に据え置いたが、2024年末のSelic金利は9.75%から10.00%、2025年末は前回同様に9.00%に据え置いている。

中銀の今年のインフレ指数の中央目標値は3.25%、2024年及び2025年は3.00%、許容値は±1.50%に設定されている。

今年のGDP伸び率は前回予想の0.89%から0.88%若干下方修正、2024年のGDP伸び率は1.50%から1.45%、2025年のGDP伸び率は1.80%から1.70%それぞれ下方修正している。

今月2日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2022年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は前年比2.9%増加したが、昨年第4四半期のGDP伸び率はマイナス0.2%を記録していた。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.25、2024年末及び2025年末のドルの為替はR$5.30 が予想されている。

今年2月の製造業部門生産は、2月としては2017年2月以降では最低(2023年3月16日付けヴァロール紙)

全国工業連合会(CNI)の調査によると、2023年2月の製造業部門の生産指数は、1月の47.9ポイントから45.2ポイントと2.7ポイントと大幅な減少を記録、また雇用指数も49.2ポイントから48.5ポイントに減少している。

製造業部門指数の範囲は 0ポイントから100ポイント で、分岐点の50ポイントから離れてゼロに近づくほど、状況が悪化する一方で、100ポイント近づくほど良好な数字となっている。

例年の1月及び2月の年初は一般的に指数は悪化傾向となっているが、今年は特に生産指数及び雇用指数が例年よりも悪化している。今年2月の製造業部門の生産指数45.2ポイントは、2017年2月以降では最低を記録、また過去の平均指数46.5ポイントを大幅に下回っていると全国工業連合会(CNI)経済分析担当のMarcelo Azevedo氏は指摘している。

製造業部門各指数調査は、今年3 月 1 日から 9 日までに 1,637 社の小企業、中企業、および大企業の生産評価に対する月次調査であり、 就業者数; 設備容量の平均利用率; 今後の予想在庫レベルと実際の在庫調査が対象となっている。

今年2月の製造業部門の設備稼働率(UCI)は、67ポイントと前2カ月間と同じ水準で推移しており、過去平均の設備稼働率(UCI)67.5ポイントに接近してきている。

2月の先行き計画在庫レベル指数は50.6ポイントに達し、境界レベルの50ポイントを若干上回っている。一方現実在庫水準指数は、51.2ポイントと適正理想在庫レベルをわずかに上回っており、需要が供給よりも若干下回っている。

今年3月の投資意向指数は 53.6 ポイントで、2 月に比べて 0.4 ポイント低下している。 ただし、過去平均の 51.5 ポイントを上回って推移しており、通常の水準を上回る投資を行う意向を示している。

 

ハダジ財務相は税制改革承認に向けた環境改善を図っている(2023年3月13日付けヴァロール紙)

Valor紙並びに O Globo紙共催のパネルディスカッションに参加したフェルナンド・ハダジ財務相は、テーマ「そして今 ブラジル 税制改革とブラジル経済の課題」で、税制改革による税収入の減少を憂慮している市長や州知事の懸念を払拭、税制改革のソフトランディング向けに期間を調整中で、環境が整ってきていると説明している。

ハダジ財務相は 野党を中心に抵抗があることを認めているが、対話と透明性でそれらを克服すると信じており、 たとえば、市税のサービス税(ISS) を失うことによる各市長の不安は、影響がそれほど大きくないため、回避できる可能性を指摘している。

地方自治体に送られる州税の商品流通サービス税(ICMS)は、市税のサービス税(ISS)の2倍に相当するとハダジ財務相は説明、今後最長で40年続く可能性のある税制改革の重要性を説明、国会では反対している議員達を説得できる能力を擁していると説明している。

ハダジ財務相は、ロドリゴ・パシェコ上院議長とアツール・リラ下院議長の業績を称賛しており、彼らとの対話は良好であり、優先政府プロジェクトの承認の基本となり、最も公平な税制改革を抽出するために、すべての関連部門と話し合う意思があることを保証している。

ハダジ財務相は、下院議長及び上院議長と腹を割って話し合う関係にあり、前政権からの引継ぎはスムーズにいっている。また連立与党のリーダー、対立野党のリーダー、州知事や市長、経済界とも良好な関係を築いていると説明している。

各州知事との対話も進んでおり、、これを証明するのがICMSとの損失補償に関する合意であるが、多くの人は懐疑的であった。私は本当に自信を持っている。私は楽観主義を売り込んでいるわけではない。多くの人と意見交換を行ってきていると説明している。

税率の差額 (Difal) の請求など、州政府で懸案となっている問題を解決するための取り組みで、各州知事の段階的な遵守が行われている。

税制改革草案が 6 月から 7 月の間に下院で、9 月から 10 月に上院で投票される見通しとなっており、CPMF(金融取引暫定賦課金)の復活する可能性は、連邦政府では議論されていないことを保証している。

税制改革は徴税目的に関して中立的であり、消費税を引き上げるつもりはない。 我々は中長期的に計画を立てる必要があり、税金は消費よりも所得に対して引き下げられるべきであり、ブラジルの平均 [消費税] は OECD 平均よりも高い。

ジャイール・ボルソナロ前政権は、税制改革実施のための投票したくなかったが、法案を支持するなら承認されていた。 問題は、当時のパウロ・ゲデス経済相が単一の税という考えに取りつかれていた経緯があった。

最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数を5.96%に上方修正(2023年3月13日付けヴァロール紙)

13日発表のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2023年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.90%から5.96%に上方修正している。

また2024年のIPCA指数は4.02%、2025年のIPCA指数は3.80%それぞれ前回同様に据え置いている。今年末の政策導入金利(Selic)を前回同様12.75%に据え置いたが、2023年のSelic金利は前回予想の10.00%、2025年9.00%それぞれ据え置いている。

また2023年のIPCAの中央目標値は3.25%、許容範囲は1.75%~4.75%、2024年及び2025年のIPCAの中央目標値3.00%、許容範囲は1.5%~4.5%となっている。

今年のGDP伸び率は前回の0.85%から0.89%に上方修正している。2024年のGDP伸び率は1.50%、2025年のGDP伸び率は1.80%それぞれ据え置いている。

2日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2022年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は前年比2.9%増加、国内総生産額は9兆9000億レアル、国民一人当たりのGDPは4万6155レアルを記録している。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.25 、2024年及び2025年末のドルの為替はR$5.30レアルを予想している。

 

今年2月のインフレ指数は予想を上回る0.84%を記録(2023年3月10日付けヴァロール紙)

10日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2023年2月のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、1月の0.53%から0.84%と大幅に上昇、昨年2月のIPCA指数は1.01%であった。

Valor Data社の42金融機関及びコンサルタント会社対象の調査では、今年2月のIPCA指数の最低予想は0.62%、最高予想は0.89%、平均予想の0.78%を0.6%上回っている。

今年2月の過去12カ月間の累計IPCA指数は5.60%と1月の5.77%よりも減少しているが、Valor Data社の最低予想5.37%、最高予想5.65%、平均予想の5.53%を上回っている。

ブラジル中央銀行の今年の目標IPCA指数は3.25%、許容範囲は±1.50%に設定されているが、今年2月の過去12カ月間の累計IPCA指数5.60%は、上限許容値4.75%を依然として0.85%上回っている。

今年2月のIPCA指数で最もインパクトを与えたのは、教育セクターの6.28%で2月は授業料の値上げが実施されるために上昇を余儀なくされる。教育セクターの6.28%は2004年に記録した6.70%以降では、最高のIPCA指数を記録している。

2月の教育セクター6.28%は1月の0.36%から驚異的な上昇を記録、また住居関連セクターは0.33%から0.82%、衣類セクターはマイナス0.27%からマイナス0.24%、健康・パーソナルケアセクターは0.16%から1.26%を記録している。

一方1月のIPCA指数から2月のIPCAが減少を記録したのは、食品・飲料セクターで0.59%から0.16%、家庭用品セクターは0.70%空0.11%、輸送セクターは0.55%から0.37%、個人的支出セクターは0.76%から0.44%、通信セクターは2.09%から0.98%それぞれ減少している。

ブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、1最低サラリーから40最低サラリーの所得層を対象に調査、ブラジリア連邦直轄地とゴイアニア市の地方自治体に加えて、10大都市圏を対象に調査されている。

2022年2月~ 2023年2月までの月間IPCA指数の推移

2022年2月~ 2023年2月までの過去12カ月間の月間累計IPCA指数、最高許容範囲、最低許容範囲の推移

2023年2月のIPCA指数のセクター別増減率

 

 

ルーラ新政権は各州政府に燃料向けICMS税補填で269億レアル支給で合意(2023年3月10日付けヴァロール紙)

今年1月から政権を担っているルーラ新政権は、ジャイール・ボルソナロ前大統領による州税である燃料関連の商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げによる州政府の歳入減少に対する補填で合意に達した。

各州政府は昨年の燃料関連の商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げによる州政府の歳入減少に対する補填として、国庫庁に450億レアルの支払いを要求して交渉を行ってきた経緯があった。

しかしルーラ新政権は燃料関連の商品流通サービス税(ICMS)の税収減少の補填として130億レアルの支払を提示していたが、各州政府に対して総額269億レアルの補填で合意に達している。フェルナンド・ハダジ財務相が州政府との合意発表を予定している。

各州政府に対して総額269億レアルの補填合意には、国庫庁のRogerio Ceron長官及び補填交渉を先導したピアウイ州のRafael Fonteles州知事が交渉にあたっていた。

昨年10月2日に大統領選を控えるボルソナロ大統領や連邦議会からの圧力で、ペトロブラス石油会社は昨年7月下旬にガソリン卸売価格を引き下げを余儀なくされていた。また各州政府でも、天然ガス、電気、通信、公共交通機関にかかる商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げ実施を余儀なくされていた経緯があった。

 

 

今年1月の製造業部門の雇用、賃金、労働時間はそれぞれ増加(2023年3月8日付けヴァロール紙)

全国工業連合会(CNI)の調査によると、2023年1月の製造業部門の雇用、給与、労働時間は前月比でぞれぞれ増加を記録した一方で、インフレ指数を差引いた製造業企業の実質売上、労働者の平均所得は減少している。

また今年1月の製造業部門の2022 年 1 月との比較では、雇用率、労働時間、賃金、平均労働者所得は増加した一方で、製造業企業の売上は1.1%減少、設備稼働率も1.5%減少している。

今年1月の製造業部門の実質売上は前月比0.9%減少、前年同月比では1.1%減少、前記同様に実質賃金は0.3%減少、2022年1月からの累計実質賃金は高止まりするインフレ指数で6.6%と大幅に減少している。

過去 5 か月間の製造業部門の雇用は比較的安定しており、昨年 同月比では1.0%増加、賃金は1.5%増加、昨年1 月からの累積賃金レベルでは7.8% 増加。 一方、前記同様労働時間は、 0.5%増加、3.2% 増加している。

今年1月の製造業部門の設備稼働率は前月比同率の79.7%を記録、しかし設備稼働率は前年同月比では1.5%減少している。

男女平等の賃金支払い拒否に対する罰金は、企業支払いの最高給与の10 倍相当。(2023年3月8日付けヴァロール紙)

シモーニ・テべテ予算企画相は、同じ職務を遂行する男性と女性の同一賃金を順守しない会社に対する罰金は、会社が支払った最高給与の 10 倍になると説明した。

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領 (労働者党-PT) は、毎年3月8日の国際女性デーに、男女間の同一賃金を順守しないブラジル国内の企業に対する罰する法案に署名した。

ルーラ大統領は、女性に対する男性との同一賃金支払いを望まない企業は多く存在するが、女性は能力に見合った賃金を男性同様に得る権利があり、企業経営者には法を確実に遵守するよう司法に監視強化を求めている。

格付け機関は企業の格付け見直しを加速(2023年3月8日付けヴァロール紙)

今年初め僅か 2 か月で、停滞するブラジル国内の経済活動、高金利、金融市場における流動性の逼迫という致命的な組み合わせに加えて、小売大手のロージャス・アメリカーナ社によって引き起こされた不正会計発覚危機の影響で、企業の信用リスクを測定する格付け機関では、格付け見直しを加速させている。

ムーディーズ(Moody’s Corporation)、スタンダード&プアーズ(Standard & Poor’s)、フィッチレーティングスリミテッド(Fitch Ratings Limited)の3大格付け会社の一つであるフィッチ社は、今年既に昨年と同数に相当する上場企業の格付けを 9 回引き下げている。 ムーディーズでは、昨年の格付けの引下げ企業2 社に対して、今年初め僅か2か月間に既に4 社の格付けが引き下げている。

ロージャス・アメリカーナ社によって引き起こされた不正会計発覚で、今年初めから高いレバレッジに圧迫された企業の支払条件が急速に悪化している様子で、債務の繰り越しが困難なため、状況はさらに悪化し、短期満期の企業の首を絞めている。

ロージャス・アメリカーナ社は、今年1 月に不正会計発覚で会計上の赤字が表面化した後、S&P を含む 3 つの主要なリスク評価機関から格下げに見舞われており、企業の存続危機が表面化している。

今年はより堅調な経済活動は予見されなかったが、クレジット市場の流動性危機により、ブラジル企業の財務健全性に黄信号が灯ったとフィッチ・レーティングス社法人担当エグゼクティブ・ディレクターのリカルド・カルバーリョ氏は指摘している。

フィッチは、COVID-19パンデミックが始まった 2020 年は経済活動への強い影響と多くの不確実性により、9 社の格下げを余儀なくされた。 今年は高金利や先行き不透明な経済活動などで企業の収益増加はあまり見込めないが、問題は、ロージャス・アメリカーナ社の不正会計発覚で、一晩で企業が負債の借り換えをする能力がなくなったこととカルバーリョ氏は指摘している。

ロージャス・アメリカーナ社の不正会計発覚の影響で、信用不足のシナリオがいつまで続くか不透明となっており、より多くの企業が会社更生法に基づく裁判手続きに入ることが予測されている。これは、流動性の供給がほとんどないため、困難な状況にある企業は現金の迅速な保護を求める必要がある。

債権者からの負債返済圧力と格下げを受けて、Azul 社と Gol社 の航空会社は、債務を軽減するための措置を発表。 Azul社は航空機リースの義務を再交渉することに成功し、Gol社はAbra保有を完了したために、バランスシートが改善している。

 

2023年1月~2月にかけて格付け引き下げられた企業及びランク付け

最終フォーカスレポートは今年のGDP伸び率を0.85%に上方修正(2023年3月6日付けヴァロール紙)

2日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2022年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は前年比2.9%増加、国内総生産額は9兆9,000億レアル、国民一人当たりのGDPは4万6,155レアルを記録している。

ブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2022年第4四半期のGDP伸び率は前四半期比マイナス0.2%を記録したにも関わらず、今年のGDP伸び率を前回予想の0.84%から0.85%と僅かながら上方修正している 。

また2024年のブラジルのGDP伸び率は1.50%、2025年のGDP伸び率は1.80%と前回同様にそれぞれ据え置いている。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は5.90%、2024年のIPCA指数は4.02%、2025年のIPCA指数は3.80%それぞれ据え置いている。

今年末の政策誘導金利(Selic)は12.75%、2024年は10.0%、2025年のSelic金利は9.00%それぞれ前回同様に据え置いている。2023年のIPCAの中央目標値は3.25%、許容範囲は1.75%~4.75%、2024年及び2025年のIPCAの中央目標値3.00%、許容範囲は1.5%~4.5%となっている。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.25 、2024年末及び2025年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.30と前回同様に据え置いている。