10月の鉱工業部門生産は0.3%微増(2022年12月2日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-PF)によると、2022年10月の鉱工業部門生産量は前月比0.3%微増、8月のマイナス0.6%、9月のマイナス0.7%から反転して増加を記録している。

Valor Data社の33金融機関対象の今年10月の鉱工業部門生産調査では、最低予想はマイナス0.5%、最高予想は1.4%増加、平均予想は0.2%増加であった。

10月の鉱工業部門生産量は前年同月比1.7%増加、今年初め10か月間の累計生産量はマイナス0.8%、過去12カ月間ではマイナス1.4%、Covid‐19パンデミック前の2022年2月との比較では依然としてマイナス2.1%、過去最高を記録した2011年5月との比較ではマイナス18.4%と依然として大幅な落ち込みを記録している。

今年11月の鉱工業部門の部門別生産量では、資本財部門は前月比マイナス0.4%、前年同月比マイナス0.2%、前記同様に耐久消費財部門はマイナス2.7%、11.8%増加を記録している。

また鉱工業部門生産の55%を占める中間財部門生産量は0.7%増加、1.9%増加、非耐久消費財部門は0.3%増加、0.4%増加を記録している。

第3四半期のGDP伸び率は0.4%増加(2022年12月1日付けIBGEサイトなどより抜粋)

2022年第3四半期のブラジルの国内総生産(GDP)伸び率は前四半期比0.4%増加、前年同期比では3.6%増加、今年初め9か月間の累計GDP伸び率は3.0%増加、過去12カ月間では3.2%増加を記録している。

今年第3四半期の国内総生産は2兆5,440億レアル、今年第3四半期の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP占める比率は19.6%と昨年同期の19.4%よりも微増、貯蓄率は16.2%と昨年同期の17.2%を1.0%下回っている。

今年第3四半期のGDP伸び率の前四半期比の部門別伸び率比較では、サービス部門は1.1%増加、工業部門は0.8%増加した一方で、農畜産部門のGDP伸び率はマイナス0.9%を記録している。

また今年第3四半期の国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP伸び率は前四半期比2.8%増加、一般消費は1.0%増加、公共支出は1.3%増加を記録している。

そのうち工業部門の内訳では、建設業セクターは1.1%増加、電力・都市ガス・上下水道・汚水処理セクターは0.6%増加、製造業セクターは0.1%増加、鉱業セクターはマイナス0.1%を記録している。

今年第3四半期のサービス業部門のセクター別GDP伸び率比較では、情報通信セクターは3.6%、金融・保険関連サービスセクターは1.5%、不動産セクター1.4%、その他のサービスセクターは1.4%、輸送・郵便・倉庫セクターは1.0%それぞれ増加を記録した一方で、商業関連サービスセクターはマイナス0.1%よ微減している。

今年第3四半期の財やサービスなどの輸出セクターは3.6%増加、輸入セクターは5.8%と輸出セクターを大幅に上回る増加率を記録している。

今年第3四半期のGDP伸び率は前年同期比3.6%増加、そのうち農畜産部門は3.2%増加、特にトウモロコシは25.7%、棉15.2%、コーヒー6.7%、オレンジ4.4%それぞれ増加した一方で、砂糖はマイナス1.1%、キャサバ芋はマイナス1.3%を記録している。

前記同様に鉱工業部門は2.8%増加、そのうち電力・都市ガス・上下水道・汚水処理セクターは、降雨不足による電力エネルギー料金の値上げなどの要因で11.2%と二桁台の伸び率を記録、建設業部門は6.6%増加、製造業部門は自動車セクター向け半導体供給不足などの要因で僅か1.7%増加に留まった。鉱業部門は鉄鉱石の国際コモディティ価格下落の影響でマイナス2.6%を記録している。

またサービス業部門は4.5%増加、内訳はその他のサービスセクタ―が9.8%増加で牽引、輸送・郵便・倉庫セクター8.8%、情報・通信セクター6.9%、不動産セクター3.2%、商業サービスセクター2.0%、金融・保険関連サービスセクターは1.7%それぞれ増加を記録している。

前記同様一般家庭消費部門は、現職大統領のボルソナロ候補による前政権の貧困層向け家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わる600レアルのブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムが牽引して4.6%と大幅増加を記録している。

連邦政府の公共支出部門は1.0%増加、国内総固定資本形成(FBCF)部門は5.0%増加を記録、輸出部門は食品、自動車、サービス部門が牽引して8.1%増加、輸入部門は化学製品、石油派生品、機械・装置部門が牽引して10.6%増加を記録している。

 

8月~10月の四半期の月間平均失業率は8.3%(2022年11月30日付けヴァロール紙)

今月30日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2022年8月~10月の四半期の月間平均失業率は、8.3%と今年5月~7月の前四半期の月間平均失業率9.1%を0.8%減少している。

また今年8月~10月の四半期の月間平均失業率8.3%は、前年同四半期の12.1%よりも3.8%の大幅減少を記録、10月終わりの四半期の月間平均失業率としては2014年同期の6.7%以降では最低の失業率を記録している。

Valor社の25金融機関やコンサルタント会社対象の調査によると、今年8月~10月の四半期の月間失業率の最高予想は8.7%、最低予想は8.4%平均予想は8.5%であった。また今年7月~9月の四半期の月間平均失業率は8.7%であった。

今年8月~10月の労働手帳に記載されない非正規雇用者は前四半期比2.3%増加の1,340万人、前年同期比では11.8%に相当する140万人の増加を記録している。

今年8月~10月の月間平均失業率が減少した要因として、2021年中頃から継続する失業率の低下シナリオ並びに伝統的に年末商戦向けの雇用増加をIBGE雇用・給与担当コーディネーターのAdriana Beringuy氏は指摘している。

COVID-19パンデミック対応のワクチン接種効果が顕著になってきた2021年7月から上昇してきている労働市場の回復及び、外出自粛緩和政策によるサービス部門を中心とした経済回復が牽引してきているとAdriana Beringuy氏は説明している。

また雇用回復の一因として、今年10月の地方統一選挙によるその他のサービス部門や情報通信部門、金融部門、不動産部門並びに選挙運動に関与する人々が含まれている。

地方統一選挙運動に関与する労働者は、他のサービスのセグメントに含まれる。例えば、選挙候補者のパンフレットやチラシを配布するために各政党に雇われた場合などがその他のサービスに計上される。

今年8月~10月の情報、通信、金融、不動産、専門職および管理活動に従事する労働者は、前四半期比2.8%に相当する32万4,000 人増加を記録。 その他のサービス部門の雇用は4.5% に相当する23万2,000 人増加している。

今年8月~10月の四半期の14歳以上の就職活動を行っている失業者総数は、前四半期比マイナス8.7%に相当する86万人減少、前年同期比ではマイナス30.1%に相当する390万人の減少を記録している。

今年8月~10月の四半期の労働人口総数は9,970万人に達し、統計を取り始めた2012年1月以降では記録を更新している。前四半期比では1.0%増加、前年同期比では6.1%に相当する570万人増加している。

マナウスフリーゾーンの労働人口は減少傾向(2022年11月29日付けヴァロール紙)

近年のマナウス自由貿易地域の直接雇用の減少傾向を示しており、大企業のフリーゾーンからの撤退、連邦政府の税負担の増加で、マナウスフリーゾーンは1967年の創設以来最もデリケートな時期を迎えている。

フリーゾーンのモデルに批判的なエコノミストは、フリーゾーンが連邦政府にとって最大の税制免除の原因で、税制免除は効果がなく、その役割を果たさなかったと指摘。エコノミストは、税関連の補助金終了に向けて段階的に移行することを提唱している。

国庫庁にとって、2023 年のフリーゾーンによる歳入損失は303 億レアルに達すると見込んでおり、近年は増加傾向を示している。連邦会計裁判所 (TCU) は、マナウスフリーゾーン地域は来年、連邦政府にとって最大の免税負担となり、税支出総額の 16.1% に相当すると指摘している。

アマゾナス州の産業界の代表者、学者、および連邦政府の検査官メンバーは、フリーゾーンの雇用減少にもかかわらず、フリーゾーンは依然としてアマゾナス地域の開発及び森林保護にとって不可欠であると強調しています。

現在、輸入税 (II)、輸出税 (IE)、工業製品税 (IPI)、PIS および Cofins などの税の減免の恩恵を受けている4万1,773 の登録企業のうちアマゾナス州だけで 1万8,054 社と約半数近くに達している。ブラジル鉱工業部門のGDPの2.4%はフリー ゾーンが担っているが、過去10年間ではフリーゾーンの雇用数の減少が顕著になってきている。

ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2012年のマナウスフリーゾーン域内の雇用数は12 万人に達し、この地域の正式雇用数の6.5% に相当していたが、。 2021 年末には 10万3000人 に減少し、正式雇用数の4.59% のレベルまで大幅に減少。 2020 年以降は80 社以上の企業がマナウスフリーゾーン域内から撤退している。

この地域のビジネスリーダーは、最終的な税制改革が自由貿易地域を維持しない場合、より多くの企業や産業がフリーゾーンから撤退すると憂慮しており、経済省の生産性と競争力担当の特別事務局 (Sepec) に関連する機関であるマナウス自由貿易地域監督局 (Suframa) によると、現在 225 万 5,000 人の住民がいるマナウスの全人口の 50% 以上が、フリーゾーンに依存している。

2011年から2014 年まで財務省の元経済政策長官を務めたホランド氏によると、フリーゾーンにとっての最大の課題は、税制上の優遇措置への依存度を下げて、この地域への投資の誘致を維持することと指摘している。

「この課題の解決方法として、ブラジルは、消費税への付加価値税の採用を含む、広範かつ抜本的な税制改革を推進する必要がある。 しかし、付加価値税(IVA)は目的地で計算されるため、アマゾナス州への投資を促進する税制上の優遇措置の構造を覆すものです」とホランド氏は説明している。 ブラジルの税制に必要な改革をどのように実行し、このフリーゾーン地域への既存の投資を維持するかは大きな課題となっている。

一方、55年前のマナウス地域への製造業誘導の試みは、数年間の税関連補助金があれば、人口増加と国内経済の他の部分や海外との強い関係を備えた新しい製造業ゾーンを作るのに十分であるという原則に基づいていたが、実際には実現しなかったとInsper の共同研究者であるエコノミストの Marcos Mendes は説明。 フリーゾーンが生き残るためには多額の補助金に依存している飛び地であり、フリーゾーンは一晩で消えることはないが、新しいモデルへの移行は10 年以上必要と見られている。

今年、税制改革が進んでいないにもかかわらず、マナウス自由貿易地域で製造された製品の工業製品税率IPIを引き下げる法令が発布された後、フリーゾーン域内の企業の間で懸念が生じていたために、連邦最高裁判所 (STF) に提訴、アレシャンドレ・デ・モラエス長官は、新しい法令が域内を危うくするという理由で、法令の一部を一時停止した経緯があった。

ルーラ新政権による税制改革が進むことを期待して、この地域のビジネスリーダーは、議会とともに、マナウスフリーゾーンへの影響を軽減し、アマゾン地域での活動を維持する方法を計算し、明確にしています。

今日、最大の懸念は、下院による 憲法改正案PEC 45 に関するものであり、これは税制上の優遇措置が存在しないことを前提としている。 憲法改正案PEC 45 はマナウスフリーゾーンにとって死に至る可能性をアマゾナス州産業センター(Cieam)のルイス・アウグスト・ロシャ理事長は指摘している。

一方上院の憲法改正案PEC 110は、フリーゾーンのための独自の法案を設けているが、同地の地域リーダーによると、この法案内容はより好意的であるが、まだ改善の余地がある。地域にとって、この法案の主な懸念は、補完的な法律による、地域での税制上の優遇措置を維持するための期間の規制です。マナウスフリーゾーンの税制恩典は2073 年まで憲法で保証されている。

税制改革はアマゾン地域を考慮する必要があり、アマゾン流域全体に2,500万人の住民がおり、戦略的に考える必要があると、ボルソナロ大統領によって任命され、モデルの擁護者であるアルガシル・アントニオ・ポルシン将軍は指摘している。

税制問題に加えて、この地域の将来には他に2つの主要な課題があると説明、それは、業界における技術の進歩と消費パターンの変化を考慮して、投資を呼び込み、労働力を維持することであるとポルシン将軍は説明している。

 

10月の国庫庁の歳入総額は7.97%増加の2054億⒎500万レアル(2022年11月29日付けヴァロール紙)

2022年の国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比7.97%増加の2,054億⒎500万レアルを記録、今年初め10か月間の累計実質歳入総額は、前年同期比9.35%増加の1兆8360億レアルに達している。

今年10月の実質歳入総額は、前年同月比7.97%増加の2054億⒎500万レアルは統計を取り始めた1995年1月以降では最高の月間歳入総額を記録を記録している。

また今年10月のインフレ指数を差引かない名目歳入総額は前年同月比14.34%増加、今年初め10か月間の名目歳入総額は、前年同期比7.62%増加の1兆⒎160億レアルに達している。

今年10月のロイヤリティ収入などの実質臨時歳入は、前年同月比42.05%増加の1,199億3,300万レアルを記録している。今年初め10か月間の連邦政府の免税総額は1,149億2,400万レアルと前年同期の779億5,700万レアルよりも373億2,600万レアルも免税総額が増加している。今年10月の連邦政府の免税総額は、119億6,400万レアルと前年同月と61億3,900万レアル上回っている。

今年初め10か月間の工業製品税IPIによる歳入は327億3,100万レアル、社会保障賦課金(Cofins)並びに社会統合基金(PIS)及びは307億1,600万レアル、源泉徴収所得税(IRRF)66億6,400万レアル、健康保険プラン関連は25億2,000万レアル、純益に対する社会納付金(CSLL)は24億8,700万レアルを記録している。

第3四半期のGDP伸び率は南部地域と北部地域で増加を記録(2022年11月29日付けヴァロール紙)

29日発表の中央銀行のリージョナルレポートによると、2022年第3四半期の5地域別対象のGDP伸び率調査によると、南部地域及びの北部地域は前四半期比で増加を記録した一方で、北東部地域及び中西部地域では減少を記録している。

今年第3四半期の北東部地域のGDP伸び率予想は前四半期比2.1%の大幅増加を記録、中西部地域のGDP伸び率は0.7%増加を記録している。

北東部地域のGDP伸び率予想2.1%増加の要因として、製造業部門及び商業部門が牽引したが、サービス部門のプラスを記録している。特に正規雇用及び非正規雇用の改善及び緩やかな所得の回復が記録されている。

中西部地域は農畜産部門の不振及び輸送部門、商業部門が不振であったが、特に自動車及び建設業部門がGDP伸び率の足枷となっている。

南東部地域の今年第3四半期のGDP伸び率予想は0.9%増加、特にサービス部門が牽引した一方で、商業部門が足を引っ張っている。

今年第3四半期の北部地域のGDP伸び率はパラー州の鉱業部門が牽引して1.4%と大幅に増加、また電力エネルギー部門、天然ガス、上下水道、廃棄物処理関連サービスが堅調であった。

今年第3四半期の南部地域のGDP伸び率は1.5%増加予想はトウモロコシの増産、法人向けを除くサービス部門が好調であった一方で、小売販売及び製造業部門は不振をかこっていた。

工業生産は、過去 3 四半期の連続での増加後、マイナスに転じ、商業部門は2四半期連続でのマイナス後に増加に転じている。労働市場では、正規雇用の創出にわずかな減速を記録したが、失業率は引き続き低下している。

エコノミストは今年第3四半期のGDP伸び率を0.6%増加予想(2022年11月28日付けヴァロール紙)

ヴァロール紙及びブラジル地理統計院(IBGE)の統計を基にした75金融機関のエコノミスト対象の調査によると、2022年第3四半期のGDP伸び率はサービス部門及び雇用部門が牽引して、前四半期比0.6%増加を予想しているが、今年第2四半期のGDP伸び率1.2%増加の半分に留まると予想されている。今年第3四半期の正式なGDP伸び率は12月1日にブラジル地理統計院(IBGE)から発表される。

また71金融機関対象の今年第3四半期のGDP伸び率は前年同期比3.6%増加が予想されているが、今年第2四半期のGDP伸び率は前年四半期比3.2%増加であった。

昨年第4四半期以降の各四半期のGDP伸び率は平均1.0%増加した要因として、高止まりする国際コモディティ価格、covid-19 パンデミック対応のワクチン接種拡大による経済活動の活性化、現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金の特別引出許可、年金・恩給受給者の13ヶ月サラリーの早期支給とC6銀行チーフエコノミストの Felipe Salles氏は指摘している。

米国の金利引上げ、ヨーロッパのエネルギー供給問題、中国のcovidゼロ政策の継続並びに国際コモディティ価格の減少開始などの要因で、今年下半期のブラジルのGDP伸び率シナリオは前回の予想を下回るとSalles氏は指摘している。

今年第3四半期のGDP伸び率は前四半期比0.6%増加、そのうち鉱工業部門のGDP伸び率は0.3%増加、今年は1.4%増加、前記同様のサービス部門は0.8%増加、今年1年間では3.7%増加、農畜産部門は2.0%増加、マイナス0.1%が予想されている。

また前記同様住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP伸び率は1.3%増加、今年はマイナス0.2%、一般家庭消費は0.6%増加、3.5%増加、政府支出は0.6%増加、1.2%増加、輸出は3.0%増加、2.9%増加、輸入は3.7%増加、マイナス0.8%が見込まれている。

 

ルーラ新政権の来年は消費拡大によるGDP伸び率は低調か(2022年11月24日付けヴァロール紙)

2023年1月に大統領に就任するルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ新大統領は、最低賃金の実質引き上げや Auxílio Brasil/Bolsa Familia の拡大など、一般家庭の所得増加政策導入で消費力を高めることができる措置をすでに発表している。

消費への刺激による国内総生産 (GDP) の成長は、以前に政権を担っていたルーラ政権下では広く活用された戦略であったが、 来年からのルーラ政権下では同じ方法によるブラジルの経済活性化するには過去との条件が違っており、高いインフレ率と金利、多額の債務を抱えた一般家庭、中国を含む世界全体の景気が急激に減速している。

2003年から2010年のルーラ政権 では、所得移転、最低賃金の引き上げ、信用へのアクセスに基づく経済政策により、 GDP は平均年率4.0% に対して、一般家庭の消費は4.8%とGDP伸び率を上回っていた。

2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ (PL) 政権の 4 年間 では、 2020 年2月末からのCOVID-19パンデミックショックに直面した一方で、いくつかの一時的なインセンティブ政策の採用で年平均のGDP伸び率は2.0%に対して、消費は3.0%が見込まれている。

ルーラ次期大統領は、最貧層がそのような財政支出上限法を保証するために苦しむことを強いられているのかとの演説の翌日には、レアル通貨に対するドル為替の高騰及び株価の下落でブラジル金融市場はボラティリティに見舞われた経緯があった。

ルーラ政権が採用する政策にはさらなる国内生産の成長と雇用であり、これを達成する方法の1つは、Selic 金利を引き下げることであり、中央銀行が金利を引き下げるためには、財政の枠組みと、次期政府による最小限の穏健な対応が必要と指摘している。

ルーラ政権が誕生した2003 年は、カルドーゾ前政権の経済的課題を継続し、前政権が実施した実施した各種改革の効果で潜在的なGDPにプラスに作用していた経緯があった。

2003年の国際コモディティ指数は、258.1ポイント から 2010 年には 451.5ポイントに上昇した。中央銀行によって測定されるブラジル商品指数 (IC-Br) は、2003 年初頭の70 ポイントのレベルから2011年には150ポイントまで上昇していた。

またその当時は中国の力強いGDP成長が国際コモディティ需要を後押しし、ブラジルの輸出に恩恵をもたらした。 世界銀行のデータによると、2003 年から 2010 年の間に、中国の GDP は 2 桁以上またはほぼ 2 桁に近い年率で成長し、2007 年には 14.2% に達していた経緯があった。

COVID-19パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界的な生産チェーンの工業製品のインフレ率は、2021 年に 11.9% に達し、最終フォーカスの予想では、今年は 9.2%、2023 年には 3.5%、2027年迄は 3.0% まで緩やかに減速することが予想されている。

コモディティのブームで当時のルーラ政権の政府歳入を大幅に増加して、早くも2005年には財政政策の緩和を開始する余地が出来て、税制上の優遇措置を付与し、政府の歳出を増やしていた経緯があった。

対照的に、ボルソナロ政権下の2021 年の財政プライマリー収支は、前年迄7年間連続の赤字からGDP比0.7%の黒字を記録、今年の財政プライマリー収支はGDP比0.5%の黒字が見込まれている。

今年8月末の一般家庭の負債残高と可処分所得の比率は、52.9%と7月の53.1%よりも若干減少したが、収入に対する月間負債返済額は29.4%と記録を更新しているが、ルーラ政権初年度の一般家庭の負債は、クレジットに対する与信が厳格であったために現在よりの遙かに低かった。

ルーラ政権と現在のボルソナロ政権では、連邦政府の財政支出の上限に対する厳しい統制や一般家庭の負債比率、高止まりしているインフレや金利など政権運営の大きな違いが発生しているために、慎重な政権運営が期待されている。

最終フォーカスレポートは来年のインフレ及び金利を上方修正(2022年11月21日付けヴァロール紙)

21日発表のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.82%から5.88%に上方修正している。

また2023年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想4.94%から5.01%に上方修正した一方で、2024年のIPCA指数は前回同様3.50%に据置いている。

今年末の政策導入金利(Selic)は前回同様13.75%の据え置いたが、2023年末のSelic金利は前回予想の11.25%から11.50%に上方修正、2024年末のSelic金利は前回同様8.00%に据え置いている。

10月末に開催された中銀の最後の通貨政策委員会(Copom)では、Selic金利は9月と同様に13.75%に据え置かれたが、12月6日及び7日に開催される次回の中銀の通貨政策委員会(Copom)でもSelic金利は、13.75%に据え置かれると予想されている。

連邦政府の今年のインフレの中央目標値3.5%、許容範囲値の±1.50%、2023年の中央目標値は3.25%、2024年の中央目標値は3.00%に設定されている。

今年のGDP伸び率は前回予想の2.77%から2.80%若干上方修正、2023年のGDP伸び率は前回同様0.70%据置、2024年のGDP伸び率は1.80%から1.70%に下方修正されている。

ブラジル地理統計院(IBGE)の9月初めのGDP伸び率発表によると、2022年第2四半期の国内総生産(GDP)伸び率は、1.2%増加の2兆4040億レアルと昨年第3四半期から4回連続で増加を記録している。第3四半期のGDP伸び率は12月1日の発表が予定されている。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回予想のR$5.20からR$5.25に若干下方修正、2023年末はR$5.20 、2024年末は前回予想のR$5.15からR$5.20%と若干下方修正されている。

2年以上の就職活動をしている失業者は失業者全体の27%に達している(2022年11月17日付けヴァロール紙)

今月17日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2022年9月末の就職活動をしている946万人の失業者のうち27%に相当する257万人の失業者は2年以上に亘って就職活動をしているにも拘らず、依然として定職についていないことが判明している。

先週のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、今年第3四半期の月間平均失業率は、8.7%と第2四半期の平均失業率9.3%よりも0.6%と大幅に改善している。

2年以上に亘って就職活動をしている失業者全体の27%に相当する257万人の失業者にとっては、失業期間が延びるに従って就職が困難になる傾向があり、失業期間が1年から2年未満の失業者は、失業者全体の11.7%に相当する110万人に達している。

また失業期間が1カ月から1年未満の失業者は、失業者全体の44.5%に相当する420万8,000人となっている一方で、失業期間が1カ月未満の失業者は全体の16.6%に相当する157万3,000人となっている。

ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、今年第3四半期の27州対象の失業者調査によると、27州の50%以上では非正規労働市場での労働が過半数を占めている。

特に非正規労働比率が高い州はパラー州は労働者人口の60.5%を占めてトップ、2位にはマラニョン州59.1%、アマゾナス州57.1%と北部地域での非正規労働の比率が非常に高い。続いてピアウイ州54.5%、バイア州53.3%、セアラー州52.2%、セルジッペ州51.4%、パライーバ州50.7%、ペルナンブーコ州は50.6%よ穂首地域に続いて非正規労働の比率が高い。

一方非正規労働の比率が低い州はサンパウロ州の30.6%、ブラジルの行政機関が集中しているブラジリア連邦直轄地は29.8%、サンタ・カタリーナ州は25.9%と最も低い比率となっている。

今年第2四半期から第3四半期にかけて非正規労働比率が減少したのはサンタ・カタリーナ州、南大河州、エスピリット・サント州、ペルナンブーコ州および北大河州の一方で、リオ州は36.5%から38.5%と増加している。