過去10年間で鉱工業部門は9,600社と100万人の雇用喪失(2022年7月21日付けIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2011年~2020年の10年間にブラジルの鉱工業部門は3.1%に相当する9,579社及び11.6%に相当する100万人に相当する雇用を喪失、100万人の雇用喪失の内訳は鉱業部門が5,747人、製造業部門が99万8,200人となっている。

また2019年~2020年の2年間の鉱工業部門は0.9%に相当する2,865企業が消滅した一方で、新規雇用は0.5%に相当する3万5,241が創出されている。

2020年の鉱工業部門の売上総額は4兆レアルに達したが、製造業部門が全体の93.1%を占めていた。過去10年間の鉱工業部門のうち食品関連部門の売上総額は5.9%増加の24.1%を占めて牽引しており、2019年~2020年の2年間では約3.6%の鉱工業部門シェアを拡大している。

また鉱工業部門のうち自動車関連部門は過去10年間で4.9%のシェアを拡大、2011年の鉱工業部門シェア7.1%から2020年は12.0%に上昇している。

2020年の鉱工業部門のうち鉱業部門の売上シェアは全体の6.9%を占めているが、特に金属鉱物関連部門は4.7%、石油・天然ガス部門は1.4%のシェアを占めている。

2020年の鉱工業部門の雇用総数は770万人、そのうち製造業部門は97.4%を占めていた。2011年~2020年の10年間にブラジルの鉱工業部門は11.6%に相当する100万人に相当する雇用を喪失したが、ピーク時の2013年比では15.3%の雇用喪失となっている。

2011年~2020年の10年間のブラジルの鉱工業部門の最も雇用喪失したのは、繊維・衣類・アクセサリー部門で25万8,400人、また皮革・旅行用品・履物関連部門は13万8,100人、機械・装置を除く金属製品部門は13万4,200人の雇用喪失を記録している。

メルコスールがシンガポールとのFTA交渉妥結(2022年7月21日付ヴァロール紙)

7月20日、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ及びウルグアイの4カ国代表で構成する共同市場審議会(CMC)は、メルコスールが対外共通関税率引き下げで合意、またシンガポールとの自由貿易協定(FTA)の交渉も妥結したと発表している。

ブラジル政府はシンガポールとのFTA締結成立で、ブラジル及びメルコスールから東南アジア地域及び太平洋地域への製品輸出の橋頭堡になると諸手を挙げて歓迎している。

メルコスールとシンガポールとのFTA交渉は4年前から開始されていたが、COVID-19パンデミック開始で交渉が非常に遅れていたが、COVID-19パンデミック軽減に伴って過去数か月間で交渉が加速していた経緯があった。

メルコスールとシンガポールとの自由貿易協定(FTA)が締結すれば二国間貿易の約90%の輸入関税が免除されるために、二国間貿易及び東南アジア及び太平洋地域への貿易が加速すると予想されている。

メルコスールとシンガポールとのFTA合意による関税撤廃で、投資の促進、サービスの開放、電子商取引ルール緩和で、これらの3分野が活性化すると自由貿易協定(FTA)担当者は説明している。

シンガポールは米国やヨーロッパ連合を含む27国や地域とを締結しており、またCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、オーストラリア、ニュージーランド、日本、メキシコ、ペルーやチリと既にFTAを締結している。

シンガポールからブラジルへの直接投資残高は、約100億ドルに達する。ブラジルへのシンガポール企業として、造船業界ではKeppelOffshore社およびJurongShipyard社、空港運営企業ではGaleão国際空港を運営しているChangi社、パルプ業界ではBracell社が大型投資を行っている。

7月の企業経営者の景況感指数は29セクターのうち18セクターでマイナスを記録(2022年7月20日付ヴァロール紙)

製造業部門の企業経営者対象の全国工業連盟(CNI)調査によると、2022年7月の前月比の企業経営者の景況感指数(Icei) 調査対象の39セクターのうち18セクターでマイナスを記録している。

今年7月の製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)調査は7月1日から11日にかけて2225企業の企業経営者を対象に実施、企業規模は小企業が870社、中企業は815社、大企業は540社であった。

企業経営者の景況感指数(Icei) は、0ポイントから100ポイントで評価されるが、50ポイントを割れば企業経営者の景況感指数が悪化しているシグナルとなる。

今年7月の製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)が大幅にマイナスを記録したのはバイオ燃料セクターで前月の58.9ポイントから54.8ポイントと4.1ポイントのマイナスを記録している。

今年6月から7月にかけての製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)が改善したセクターはインフラストラクチャーセクターで53.3ポイントから55.6ポイントに改善している。

前期同様に飲料セクターは55.9ポイントから57.9ポイント、皮革・人工皮革セクターは52.8ポイントから54.3ポイントとそれぞれ改善したが、木材派生品セクターは前月並みで推移している。

今年7月の地域別の製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)調査では、唯一北東部地域が前月比1.1%改善した一方で、中西部地域はマイナス1.4%、南東部地域はバイオ燃料セクターのマイナス5.1%が牽引してマイナス1.3%を記録している。

今年7月の北部地域の製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)は、情報機器・電気製品セクターが前月比マイナス0.9%を記録、南部地域の企業経営者の景況感指数(Icei)マイナス0.6%を記録している。

今年7月の規模別の製造業部門の企業経営者の景況感指数(Icei)調査では、全ての企業規模でマイナスを記録、小企業はマイナス1.3%、中企業はマイナス0.5%、大企業の企業経営者の景況感指数(Icei)はマイナス0.4%であった。

最終フォーカスレポートは、今年のIPCA指数を7.67%から7.54%に下方修正(2022年7月18日付エスタード紙)

ブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2022年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、燃料関連減税の影響を受けて、3週間連続で前回予想の7.67%から7.54%に下方修正していた一方で、2023年のIPCA指数は15週間連続で前回予想の5.09%から5.20%に上方修正、1か月前の今年のIPCA指数予想は8.27%、2023年のIPCA指数は4.83%であった。

今年のIPCAの中央目標値は3.50%、許容上限値は5.00%に設定されているものの3年連続で許容上限値突破すると予想されている。また2023年のIPCAの中央目標値は3.25%、許容範囲は1.75%~4.75%、2024年及び2025年のIPCAの中央目標値3.00%、許容範囲は1.5%~4.5%となっている。

2024年のIPCA指数は前回同様3.30%に据え置かれたが、1ヶ月前の予想は3.25%、2025年のIPCA指数は、前回同様3.00%の据え置かれたが、53週間連続で据え置かれている。

先月の中銀の通貨政策委員会(Copom)では今年のIPCA指数を8.80%、2023年は4.0%、2024年は2.7%、政策導入金利(Selic)0.50%引上げて13.25%に決定していた。

今年末の政策導入金利(Selic)を前回同様13.75%に据え置いたが、2023年のSelic金利は、前回予想の10.50%から10.75%に引き上げている。1ヶ月前の予想は10.25%であった。

2024年末のSelic金利は4週連続で8.00%に据え置いたが、2025年末のSelic金利は4週間連続で7.50%に据え置いている。また国内経済活動指数の回復及び大統領選挙を前にした神風憲法改正案(PEC Kamikaze)の国会承認などの影響で、今年のGDP伸び率は前回予想の1.59%から1.75%に上方修正したが、1か月前の予想は1.50%であった。2023年のGDP伸び率は4週連続で0.50%に据え置いている。

また2024年のGDP伸び率は、前回同様2.00%に据え置いているが、1か月前の予想は1.81%。2025年のGDP伸び率も前回同様2.00%に据え置かれたが、1か月前の予想は2.00%であった。

今年5月のGDP伸び率はマイナス0.8%(2022年7月18日付ヴァロール紙)

ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGVIbre)の調査によると、20225月のGDP伸び率は、前月比マイナス0.8%を記録したが、前年同月比4.4%増加、今年3月から5月の累計GDP伸び率は3.7%増加を記録している。

今年2月から4月のGDP伸び率は、前月比では3ヶ月連続で増加を記録したが、5月は鉱工業部門のGDP伸び率がマイナスを記録、インフレ及び金利の高止まりで一般家庭の消費減少が牽引して、一転してマイナス0.8%に反転しているとゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGVIbre)の Juliana Treceコーディネーターは指摘している。

今年5月の一般家庭の消費はマイナス2.1%を記録したが、前年同月比では4.7%増加、今年3月~5月の累積消費は5.8%増加、今年5月のサービス部門及び耐久消費財以外の小売販売は順調に推移していた。

5月の住宅投資並びに設備投資、公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)は、前月比1.6%増加した一方で前年同月比ではマイナス2.0%、特に機械・装置セクターはマイナス6.9%と大幅に落ち込んでいる。

今年5月の財・サービス輸出は前月比マイナス7.6%、3月から5月の累計輸出は、鉱物及び農畜産部門が不振でマイナス5.4%を記録していた。また今年5月の財・サービス輸入は、中間財を中心に前月比マイナス1.6%、前年同月比ではマイナス5.1%、今年初め5か月間の累計GDP金額は、38,310億レアルを記録している。

経済省は今年のGDP伸び率を1.5%から2.0%に上方修正(2022年7月14日付けエスタード紙)

14日経済省経済政策局の発表によると、2022年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は、前回予想の1.5%増加から2.00%増加と0.5%の大幅な上方修正を行っている。

一方ブラジル国内の金融市場関係者とは異なる予想として、経済省では2023年、2024年並びに2025年のGDP伸び率を前回同様のそれぞれ2.5%増加に据置いている。

労働市場及び投資関連データは、2022年と2023年のGDP伸び率予測をサポートするのに役立が、今後も継続してモニタリングする必要がある。また特に、ロシアによるウクライナへの侵攻が及ぼす国際コモディティ商品供給に影響を与える世界的なバリューチェーン、財政状態の悪化、国際貿易とブラジルの支払いのバランスに対する紛争の影響。さらに、経済成長とインフレに対するパンデミックの影響は引き続き注視する必要がある。

中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のGDP伸び率は1.59%、2023年のGDP伸び率は僅か0.5%増加、ブラジル国内の金融市場では、2024年のGDP伸び率は1.8%増加、2025年のGDP伸び率を2.0%増加と予想している。

経済省では、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の7.9%から7.2%に下方修正した一方で、2023年のIPCA指数は、3.6%から4.5%と大幅な上方修正を行っている。中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のIPCA指数を7.67%、2023年のIPCA指数を5.09%を予想している。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.00%、最高5.00%に設定されている。また2023年のIPCA指数の中央目標値は3.25%、許容範囲は±1.50%に相当する最低1.75%、最高4.75%に設定されている。

経済省ではサラリー調整の指標となる2022年のインフレ指数の全国消費者物価指数(INPC)は、前回予想の8.10%から7.41%に下方修正、一方2023年の全国消費者物価指数(INPC)は、前回予想の3.70%から4.86%と大幅に上方修正している。

ゼツリオ・バルガス財団(FGV)の今年の総合物価指数(IGP-DI)は、前回予想の11.4%から11.51%に上方修正した一方で、2023年の総合物価指数(IGP-DI)は、前回予想の4.57%から4.55%と若干下方修正している。

5月の経済活動指数(IBC-Br)は前月比マイナス0.11% (2022年7月14日付ヴァロール紙)

20225月のGDP伸び率の先行指標となる14日の中銀発表の経済活動指数(IBC-Br)は、 前月比マイナス0.11%を記録、今年4月の経済活動指数(IBC-Br)のマイナス0.44%に次いで、2ヶ月連続で前月比割れを記録している。

ヴァロールデーター社による今年5月の国内総生産伸び率の最低予想値はマイナス1.1%、最高予想値は0.9%増加であった。

今年5月の経済活動指数(IBC-Br)は前年同月比3.74%増加、今年5月の過去12か月間の累計経済活動指数(IBC-Br)は2.66%増加を記録している。

中銀の経済活動指数(IBC-Brの計算方法は、ブラジル地理統計資料院(IBGE)によって計算される国内総生産GDPの計算方式とは異なり、中銀の経済活動指数(IBC-Brは、毎月ごとの頻度で経済活動の進展をより頻繁でモニタリングできるが、国内総生産(GDP)は、四半期ごとの頻度でモニタリングしている。

 

5月のサービス部門提供量伸び率は前月比0.9%増加(2022年7月12日付IBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、20225月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比0.9%増加を記録、今年初め5か月間のサービス部門の累計提供量は9.4%増加、今年5月の過去12か月間のサービス部門の累計提供量は11.7%増加を記録している。

また今年5月のサービス部門提供量レベルはCOVID-19パンデミック前の20202月の水準を8.4%上回っている一方で、201411月の過去最高水準よりも依然として2.8%下回っている。

今年5月のサービス部門提供量は前年同月比9.2%増加、過去15か月間連続で増加を記録、過去12か月間のサービス部門の累計提供量は、4月の12.8%増加から11.7%増加に縮小している。また3月の13.6%増加から継続して2ヶ月間連続で減少している。

今年5月のサービス部門提供量調査では、大枠の5部門のうち5部門全てで増加を記録、情報・通信サービス部門は、前月比0.9%増加と4月のマイナス2.5%から一転して増加を記録している。

また今年5月の情報・通信サービス部門は0.9%増加、過去3か月間の累計提供量は3.4%増加を記録している。またその他のサービス部門は3.1%増加、教育・研究機関などの公共サービス部門は1.0%増加を記録、前期同様に一般家庭向けサービス部門は1.9%増加を記録している。

今年3月から5月の四半期のサービス部門の前年同期比の月間平均提供量比較では、一般家庭向けサービス部門は2.6%増加、情報・通信サービス部門は1.1%増加、教育・研究機関などの公共サービス部門は0.8%増加、輸送・輸送補助サービス・郵便サービス部門提供量は0.6%増加、その他のサービス部門は0.5%増加を記録している。

また今年5月の前年同月比のサービス部門提供量比較では、15ヶ月連続となる9.2%増加を記録、特に輸送・輸送補助サービス・郵便サービス部門提供量は12.5%増加、一般家庭向けサービス部門は、レストラン、ホテル並びに外食部門、貨物の陸上輸送部門、一般航空旅客部門並びに海上輸送部門が牽引して39.0%の大幅増加を記録している。

前期同様に教育・研究機関などの公共サービス部門は9.6%増加、情報・通信サービス部門は4.0%増加、特にレンタカー、電子決済、エンジニアリングサービス部門、アルバイト部門、プロバイダーサービス、コンピュータープログラム開発部門などが牽引している。

 

2022年4月のIBC-Brが前月比-0.44% 6月のIC-Brは-0.95%

中央銀行は7月7日、2022年4月の中央銀行経済活動指数(IBC-Br)が前月比-0.44%だったと発表した。3月のIBC-Brは前月比+1.09%だった。

また4月を前年同月と比較すると、+2.23%。4月までの12か月でIBC-Brは、+3.46%を記録した。月次で集計される同指数は、常にレビューが行われるため月間での計測よりも12か月の累積指数の方が信頼性がより高いとされている。

また4月を期末とする四半期で見ると、3月を期末とする四半期と比較して、+0.45%だった。

IBC-Brは、ブラジル地理統計院(IBGE)が計測する国民経済統計(GDP統計)と異る方法論により計測される。中央銀行の指数はIBGEの分野別調査に基づくが、月次で計測され、経済活動の進捗をより高頻度で観察する。一方、IBGEのGDP統計は四半期ごとに計測され、より包括的な観察になる。

なお、今回のIABrは、7月5日に終了した中央銀行職員のストを受け、2か月遅れで発表された。

また中央銀行が同じく7日に発表した中央銀行コモディティー物価指数(IC-Br)によると、インフレに影響する原材料価格は、5月に+3.22%を記録した後、6月には-0.95%を記録。12か月で同指数は+32.13%を記録した。

IC-Brを構成する3つのサブグループの中では、農業コモディティーが6月に-2.27%、12か月では+21.94%を記録した。一方、金属コモディティーは6月に-5.20%で、12か月では+0.90%。さらにエネルギー・コモディティー(ブレント石油と天然ガス、石炭)は、6月に+4.85%で、12か月では値上がりが103.80%に達した。(2022年7月8日付けバロール紙)

連邦政府がリチウムへの新規投資の促進を目的とした政令を制定

連邦政府は、鉱物とリチウム及びその派生品の資源活動に対する法規を近代化することで、国内のリチウム生産で最大の埋蔵資源が集中しているとされるミナス・ジェライス州ヴァーレ・ド・ジェキチニョーニャ(Vale do Jequitinhonha)地域を中心に2030年までに150億レアル前後の投資につながると推算している。7月6日に公示された大統領令により、この業界における生産と取引に対する事前の承認と割り当て、制限が撤廃された。

リチウムは、例えば携帯電話端末と電気自動車(EV)が使用するバッテリーの、主原料のひとつである。エネルギー転換政策を見据え、再生可能エネルギーの貯蔵能力という観点からこの装置には、世界的な関心が高まり続けている。

鉱山動力省(MME)によると「大統領令は、グローバル・チェーンにおいて競争力のある形でリチウムのブラジル市場の開放と刺激を促進し、この資源の調査と生産、それにコンポーネント及びバッテリーへの加工と生産段階での生産能力の向上への投資の呼び込みを目的にしている」という。

今回の大統領政令が公布されるまで、この分野のプロジェクトは、MMEの外郭団体である国家原子力エネルギー委員会の事前の審査を必要とした。予測可能性を高めて国際市場で競争する条件を充実させることで、連邦政府は、ヴァーレ・ド・ジェキチニョーニャ地域のような潜在的に有望な生産地と目されながらも現状では経済的に貧しい状況に置かれている地域に投資を呼び込みたい意向だ。

ブラジルに進出してほぼ10年になる、カナダ資本のシグマ・リチウム(Sigma Lithium)は、既にミナス・ジェライス州のこの地域で事業を展開しており、このほど、グリーン技術による電池用リチウム精鉱の生産計画を拡張した。

バロール紙とのインタビューで同社のアナ・カブラル=ガードナー(Ana Cabral-Gardner)共同CEOは、今回の政令に賛辞を送るとともに、業界の主要な潜在的プレイヤーとブラジルが競争できるようになる「変革」だと位置付けた。

ブラジルは、その他の国でも発見されているようにリチウム精鉱の埋蔵資源が豊富な上、生産者の間で次第に関心が高まっているクリーンエネルギーが供給可能な数少ない国のひとつとして、アドバンテージを持っている。

「ブラジルはグリーン経済の牽引役になれる」と同CEOは指摘。その上で、「ブラジルの電力システムは環境負荷を発生させないことから、グリーン・ボーナスと位置付けられる。グリーン・オペレーションを確保できるなら石炭火力発電の排出炭素量の相殺にコストを支払う必要がなくなるので、ブラジルはこのチェーンの中間領域の事業を立ち上げるのに有利な土地だ。バッテリーからプレケミカルに至るチェーンで、4つのテーマとリンクしている」という。

鉱物探査に求められる要件を低減するという観点では、初期投資がより早く回収できるような政策を通じて新規投資に対するより高い安全性を国が保証しなければならないとシグマ・リチウムのカブラル=ガードナーCEOは指摘する。

なお連邦政府は、業界の近代化によって2030年までに、生産会社が年間1億レアルの鉱物資源ロイヤルティを支払うだけでなく、資源業界で約7,000人の直接雇用と生産チェーン全体で直接及び間接で8万4,000人の雇用が生み出されると期待している。(2022年7月7日付けバロール紙)