MEIとMPEが生み出す収入は年間4,200億レアル

零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)によると、個人零細事業主(MEI)と小・零細企業(MPE)がブラジル国内で生み出している収入は年間4,200億レアルで、この内前者が1,400億レアル、後者が2,800億レアルである。同機構が7月5日、小規模ビジネス・マッピング(Atlas dos Pequenos Negócios)のレポートの一部として発表した。

大きな金額の収入を生み出す一方で、低生産性と信用供与へのアクセスの難しさといった問題が、依然としてこれらの企業の大きな障害であり続けている。Sebraeのカルロス・メレス(Carlos Melles)総裁は共同記者会見で、「これこそ、我々のゴルディアスの結び目だ」という見方を示した。同総裁によると、ブラジルが加盟に向けて取り組んでいる経済協力開発機構(OECD)も、ブラジルの低生産性をこれらの企業の課題と認識しているという。

もうひとつのネガティブな面は、MEIとMPEが融資を受けづらいという問題だ。メレス総裁はこれについて、「根本的なところで、担保の問題がある」と指摘する。

同総裁によると、融資を受けようとするMEIとMPEでは多くの場合、担保になり得るのがわずか「車1台」あるいは自社の商品しかないという。

この問題を部分的にでも緩和するため、Sebraeと社会経済開発銀行(BNDES)は、来週(7月第3週)にもそれぞれが5億レアルを拠出してこれらの企業向けの保証基金を立ち上げ、最大180億レアルの融資を受けられるようにする。

Sebraeが発表した調査によると、ブラジル国内にはMEIが670万人、会社の事業が事業主にとって唯一の収入源になっているMPEが470万社存在する。

今回のマッピングでは、これらの企業がブラジル経済にとって重要な役割を果たしていることも示した。すなわち、ブラジルの国内総生産(GDP)の30%を占め、正規雇用の54%、2021年に創出された正規雇用の78%、現時点で存在する企業の99%を占めているのである。

Sebrae総裁はさらに、「人口が少なく貧しい市であってもMEIが誕生しているところでは、人間開発指数(HDI)が改善している」と付け加えた。(2022年7月6日付けバロール紙)

メルコスールとシンガポールが22年7月第3週にもFTA締結へ

経済省と外務省は、メルコスールとシンガポールの自由貿易協定(FTA)が近日中に締結されることが確実だと受け止めている。第11ラウンド貿易交渉が7月第3週(11日から17日)にアスンシオンで開催予定であるが、双方の主張で大きく隔たっていた部分は、既にすり合わせ済みである。

舞台裏ではブラジル政府が、アルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernández)大統領が締結に抵抗感を示すアルゼンチンを、いくつかの点で説得する役割を果たした。この交渉は2018年に始まったが、その後の新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで交渉ペースが鈍化。数か月前から積極的な交渉が再開され、ハッピーエンドを迎えつつある。

協議に直接的に関わった関係者によると、新たな貿易協定により二国/地域間貿易で扱う品目のおよそ90%に対して、輸入税率をゼロに引き下げる。シンガポールは2021年にブラジルから60億ドルを輸入しており、ブラジルの多国籍企業にとっては同国が、外のアジア諸国に商品を流通させるためのある種の玄関口になっている。人口約600万人で人口1人当たりの所得が世界的に大きな国のひとつであるシンガポールは、ブラジル製品の主な国外市場としては第7位を占める。

シンガポールとの貿易協定で非関税分野は、投資の円滑化とサービス業の市場開放、電子商取引に対する規制の3分野で既にメルコスール側が妥協、より幅広い合意になると交渉担当者は話す。

ブラジルに対するシンガポール資本の直接投資のストックは、ほぼ100億ドルに達している。これらの企業には、ケッペルオフショア(Keppel Offshore)とジュロン・シップヤード(Jurong Shipyard)の造船会社、ガレオン空港を経営するチャンギ(Changi)、パルプ工業のブラセル(Bracell)などがある。ソブリン・ファンドのGICは、高速道路のコンセッショネアに出資している外、下水処理会社のアエジェア(Aegea)、ヴィブラ・エネルジア(Vibra Energia:旧BRディストリブイドーラ=BR Distribuidora)にも資本参加している。

今回の貿易協定では、上記以外の分野、例えば政府調達分野や衛生規定、植物検疫規定などを含み、通関業務のスリム化、産地規定といったものも含まれる。

経済省貿易局(Secex)がこのほどまとめた研究によると、シンガポールとのFTAは、基本的シナリオとの比較分析において、対象となった65業種のうち58業種でブラジルの輸出を後押しすることになるという。輸出拡大に大きな可能性のある品目として同局は、食肉と野菜、果物、金融サービスなどを指摘した。

一方、シンガポールは非常に低い輸入税率を既に実践している。しかしFTAでは、輸入税率がゼロあるいはゼロ近辺に定めることが保証されるため、財の相互貿易により安全性が高まる。投資面では、合意は介入主義的な対策が講じられる可能性に対するハードルを引き上げることで、双方の「資本の所有者」に対してより大きな安心感を与える傾向がある。

シンガポールとのFTAにおいてセンシティブな問題のひとつは、原産地規定だった。これは、プロダクトが国産(メルコスールの場合は地域産)と認定されるために必要な、現地調達の割合を定めた規定である。アジアの小さな島のシンガポールは、全世界のサプライヤーから投入財を調達してきた経緯がある。

そこでメルコスールは、同国の製品に関して欧州連合(EU)と合意した条件を今回も導入することを決定、業種によるが製品によって最低で50%から55%の現地調達比率を確保していればシンガポール製と認める判断を下した。

またこの点が、まさにアルゼンチンとの間で生じた摩擦の大きな原因となった。フェルナンデス政権はメルコスール内の協議で、EUと合意したコミットメントについて、マウリシオ・マクリ(Mauricio Macri)大統領時代(2015―2019)のものでありシンガポールとは同じ判断を繰り返さないことが望ましいと発言していた。しかし関係者によると、アルゼンチンの当局者らが妥協し、この貿易協定の重要性について理解したのだという。

仮に交渉が妥結する場合、メルコスール(ブラジルとアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)の4か国は、次回の首脳会談で合意を発表する意向だ。この首脳会談は21日、パラグアイが既に持ち回りの議長国となっていることからアスンソンで開催が予定されている。この会談には、ブラジルからジャイール・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領(PL:自由党)が現地を訪問、出席する予定だ。

この貿易協定は、2018年の大統領選の選挙キャンペーンで経済の開放を公約に掲げたパウロ・ゲデス(Paulo Guedes)経済大臣にとって、大統領選挙の投票日まで3か月を切ったタイミングで同大臣のPR要素になると期待されている。EU及び欧州自由貿易連合(EFTA:アイスランドとノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)との自由貿易協定は、2019年に合意に達したものの、その直後に欧州側が、アマゾン熱帯雨林の森林伐採が大規模に行われている間は署名と批准を拒否する事態に陥って凍結されている。

さらに、例えばメルコスール=カナダ貿易協定やメルコスール=韓国貿易協定のようにブラジルが重視している別の貿易協定は、今のところ、規定をまとめるまでに至っていない。このためシンガポールとの貿易協定を現政権は、切り札と位置付けている。アジアの国々は、最近になって署名された地域的な包括的経済連携協定(RCEP)及び包括的・漸進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)という大規模協定の関係行である。前者は、中韓を軸としたアジア太平洋の協定。後者は、アジア太平洋諸国とカナダ、メキシコ、チリ、ペルーが参加している。いずれにおいても、日本とオーストラリア、ニュージーランドが参加している。加えて、シンガポールは世界貿易機関(WTO)に対して、27か国とのFTAを締結していると申告している。(2022年7月4日付けバロール紙)

2022年2―5月の失業率が過去7年で最低の9.8%に低下したとIBGEが発表

ブラジル地理統計院(IBGE)は6月30日、2022年3―5月に失業率が9.8%を記録して2―4月の10.5%から低下したとする継続的全国家庭サンプル調査(Pnad Continua)の調査結果を発表した。今回の予想は、エスタード紙が市場から集めた事前予想の平均(10.2%)だけでなく、下限(9.9%)も下回った。予想の上限は、10.6%だった。

Pnad Continuaで計測した失業率が10%を下回るのは、9.6%を記録した2016年1月(2015年11月―2016年1月)以来である。同様に、5月までの3か月間の失業率としては、8.3%を記録した2015年以来の低い水準となる。

2021年3―5月の失業率は14.7%だった。なお、2022年2―4月の3か月間の失業率は、10.5%。

国内の総失業者数は1,063万1,000人。希望する労働時間未満の条件で就労している人と、どうせ仕事が得られないと求職しない人(求職意欲喪失者)を含めると、労働者の希望に対して活用が不十分な労働力は、2,540万1,000人となる。IBGEのアドリアーナ・ベリングイ(Adriana Beringuy)労働・所得調査主任は、「これは、進行中の回復プロセスだ」と受け止めている。

失業率が低下したことについてLCAコンスルトーレス(LCA Consultores)のエコノミスト、ブルーノ・イマイズミ(Bruno Imaizumi)氏は、2022年上半期(1―6月期)に記録した経済回復の影響を受けたと分析しているが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが発生後、女性と高齢者を中心に一定数の労働者が労働市場に復帰していないことも影響していると指摘した。

今回の結果についてイマイズミ氏は、「5月の結果を2020年2月と比較すれば、依然として280万人が労働力人口の枠外に移っている。これらは、労働市場に復帰できなかった人たちだ」と同氏は話す。「パンデミックによって育児に関する支援と援助のネットワークが大規模に崩壊した時、最も打撃を受けたのが女性たちだった。高齢者のケースでは、年金の繰り上げ需給の外、COVID-19感染と感染後の長期にわたる後遺症への懸念が大きく影響している」と同氏は指摘した。(2022年7月1日付けエスタード紙)

税収が増加したものの2022年5月に中央政府の財政収支は393億レアルの赤字

連邦税の税収が増加したものの、中央政府(国庫管理局と中央銀行、社会保障院)は2022年5月に財政赤字を計上した。5月の財政収支は、393億5,000万レアルの赤字。4月の286億レアルの黒字から、赤字に転落したことになる。

国庫管理局と社会保障院、中銀の収支を考慮した金額。5月としては、1,266億レアルの赤字を計上した2020年以来の大きな赤字となる。

また5月の歳入は、インフレを考慮した実質比較で前年同月比+5.6%を記録。一方の歳出は、実質比較で+7.9%を記録した。

また1―5月で見ると、依然として黒字で推移している。2022年初からの5か月間では、中央政府の歳入が392億レアルに達し、この期間としては2011年以来の高水準を記録。前年同期の歳入は、199億レアルだった。

また5月までの過去12か月では、中央政府の歳入はGDP比0.26%に相当する213億レアルだった。なお、2022年の中央政府の財政目標は、1,705億レアル以下の赤字であるが、連邦政府の経済スタッフは、経済省が発表した見通しの中で赤字が659億レアルになると予想している。

年金問題
パウロ・バレ(Paulo Valle)国庫管理局長は今回、社会保障サービス(INSS)の受給者に対する13か月分の給付日程が前倒しされたことを受けて5月の支払いが増加したと説明した。

連邦政府はこれより先、年金受給者と恩給受給者に対する13か月分の支払いを4月と5月に前倒しすると決定。これに伴って5月の社会保障の給付額が、207億レアル上振れした。

またバレ国庫管理局長は5月の中央政府の財政収支を象徴するものとして、税収の増加に伴って歳入が押し上げられたことを強調した。ただし純歳入として見ると、石油開発鉱区事業入札の結果を受けて州政府と市役所に移転した総額77億レアル分が減少している。(2022年6月30日付けエスタード紙)

Cagedの集計で2022年5月は国内で27万7,018人の正規雇用を創出

労働社会保障省は6月28日、2022年5月に国内で27万7,018人の正規雇用の純増を記録したとする全就労・失業者台帳(Caged)の集計結果を発表した。4月の正規雇用の純増減は、19万6,966人の純増だった。2021年5月と比較した場合でも、前年同月は26万5,000人の正規雇用の純増だったことから労働市場が好転していることが示された。ただし、新規に雇用された正規労働者の平均賃金は1,898.02レアルとなり、インフレを考慮した実質比較で前月から18.05レアルの減少となった。

 

金融市場は、2022年5月に正規雇用の増加ペースが減速すると予想していたが、実際には、エスタード紙が市場から集めた予想の平均値(18万1,250人の純増)を上回る結果が出た。なお市場は、下は8万人、上は28万2,416人と予想しており、大きなばらつきがあった。

 

今回の発表にあたってジョゼー・カルロス・オリベイラ(José Carlos Oliveira)労働社会保障大臣は、2022年にブラジル国内で創出される正規雇用が150万人以上になるという見方を示した。また、1―5月期の正規雇用の純増減は、105万1,503人の純増だった。なお、労働社会保障省はCagedの集計データに関して、新規の雇用の創出と消失が発生してから最大で1年後まで修正を加える可能性がある。例えば2021年1月末に経済省は、2020年に正規雇用の創出数が消失数を14万2,690人上回ったと発表した。しかし2021年11月になって同じ2020年の正規雇用の純増減に関して、19万1,502人の純増とする新たなデータを発表している。

 

なお、5月の正規雇用の純増は、12万0,294人の純増を記録したサービス業が全体を牽引、次いで貢献したのは商業で4万7,557人の純増だった。さらに工業が4万6,975人の純増、建築業でも3万5,445人の純増。なお農牧畜業は、2万6,747人の純増だった。(2022年6月29日付けエスタード紙)

 

6月の予想インフレ指数のIPCA-15 は0.69%の再度加速(2022年6月24日のエスタード紙)

2022年5月16 日~6月15 日までの期間に計測された6月のインフレを予測するインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、5月の0.59%から0.69%に上昇して、今後のインフレの再度加速が懸念されている。

今年5月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)が0.59%に留まった要因として、電力エネルギー料金の特別臨時料金の停止であったが、6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)が0.69%に上昇した要因として、財・サービスグループの値上げであり、特に健康保険プランや医薬品の値上げ、下水道料金、エアーチケット及び新車価格の値上げが牽引している。

今年6月の過去12カ月の累計広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、12.04%を依然として二桁台を維持しており、ブラジル中央銀行の今年のインフレの中央目標値3.50%、インフレ許容範囲の2.00%~5.00%を遥かに上回っている。2021年のIPCA指数は10.06%に達し、中銀の中央目標値3.75%、許容上限値5.25%の約2倍に達していた経緯があった。

今年6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)を押し上げた要因として、輸送セクターは0.84%上昇して、インパクト指数は0.19ポイントを記録しているが、5月の1.80%増加を大幅に下回っている。

また今年6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)のセクター別比較では、衣類セクターは1.77%増加、インパクト指数は0.08%を記録、続いて医療費・健康保険セクターは1.27%増加、インパクト指数は0.16ポイントを記録、住居関連セクターは、5月のマイナス3.85%から一転して0.66%増加、教育関連セクターは0.94%増加している。

今年初めの健康保険プランの料金改正は8.19% の値下げが実施されたが、5月26日に個人向け健康保険プランが15.5%の二桁台の値上げ発表した影響で、6月の健康保険プランは2.99%上昇、インパクト指数は0.10%を記録している。

 

今年6月の一般消費者の景況感指数(ICC) は前月比3.5ポイント上昇(2022年6月24日のエスタード紙)

ジェツリオ・バルガス財団(FGV)の消費者動向調査によると、2022年6月の一般消費者の景況感指数(ICC)  は、前月比3.5ポイント上昇して79.0ポイントに達している。また第2四半期の一般消費者の景況感指数(ICC)  は1.4ポイント上昇を記録している。

6月の一般消費者の景況感指数(ICC) は、連邦政府による景気刺激策パッケージの導入で大半の所得層で改善しているにも拘らず、低所得層の景況感指数は悪化してきており、今後数カ月間の低所得層の景況感指数(ICC) は、ボラティリティが継続するとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)調査担当のViviane Seda Bittencourtコーディネーターは指摘している。

所得が高い富裕層の景況感指数(ICC) は、連邦政府による景気刺激策の導入で2カ月連続で上昇している一方で、失業率の高い所得の低い貧困層は雇用改善が不透明なために、景況感指数の目安となる分岐点の100ポイントを下回っているとViviane Seda Bittencourtコーディネーターは説明している。また今年10月の大統領選挙を控えて今後数か月間の一般消費者の景況感指数(ICC) は予測が難しいと指摘している。

今年6月の一般消費者の現状景況感指数(ISA)は、前月比1.3ポイント上昇の70.4ポイント、また一般消費者の先行き景況感期待指数(IEC)は、4.9ポイント上昇の85.9ポイントに上昇している。

一般消費者の現状経済状況指数は0.5ポイント上昇の76.7ポイント、また一般消費者の家庭ファイナンス状況指数は、2.1ポイント上昇の64.7ポイントとそれぞれ過去の平均を下回っているとジェツリオ・バルガス財団(FGV)は指摘している。

今年6月の一般消費者の景況感指数(ICC) を押上げている一因の今後6カ月間後の先行き経済状況指数は6.5ポイント上昇の103.2ポイント、今後6カ月間後の経済状況見通し指数は、4.5ポイント上昇の85.8ポイントを記録している。

また今年6月の一般消費者の耐久消費財購買意欲指数は前月比3.1ポイント上昇の70.6ポイントを記録したが、Covid-19パンデミック前の水準には達していない。

今年2月~4月の全ての州政府の歳入は前年同期比増加を記録(2022年6月21日付ヴァロール紙)

20日の国庫庁の発表によると、2022年2月~4月の全ての州政府の歳入総額は前年同期比増加を記録、特にリオ州政府の歳入総額は40%増加、パラー州政府の歳入総額は34%と増加を記録している。最も歳入の増加率が低かったのは南大河州政府の僅か4.0%増加、ミナス州政府は9.0%増加に留まっている。

ガソリンやディーゼル燃料、電力エネルギー、通信サービス並びに公共輸送サービスに関する州税の商品サービス流通税(ICMS)の課税率の引下げで州政府は歳入減少を余儀なくされるために、国会での連邦政府と州政府との対立が続いている。

州政府は通常、ガソリンなどの品目に商品サービス流通税(ICMS)として約25%の税率で課税しているが、先週承認された補完法プロジェクト(PLP)18は、上限課税率を17%に制限している。

各州政府では、商品サービス流通税(ICMS)の減税による影響で、各州住民の安全保障、健康、教育などの公共サービスの質の低下で危険にさらさないように、連邦政府による損失の補償として年間830億レアルを主張している。

一方今年2月~4月の州政府の支出の比較では、リオ州政府は前年同期比19.0%増加、パラー州政府の歳出は20%増加している。最も歳出が増加したのはローライマ州政府で35%増加したが、歳入は10%の増加に留まっている。

 

今年4月のブラジルのGDP伸び率は前月比0.3%増加予想(2022年6月21日付エスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2022年4月のブラジルのGDP伸び率は前月比0.3%増加、前年同月比では3.6%増加を予想している。

今年4月のGDP伸び率の前月比0.3%増加は3か月連続での増加予想にも関わらず、4月のGDP伸び率は減少傾向を示しており、鉱工業部門並びに農畜産部門は引き続いて増加傾向もサービス部門は輸送セクター及び小売セクターの停滞で足踏み状態となっている。

一般家庭の消費は3ヶ月連続で増加傾向を示しているが、唯一耐久消費財セクターは金利の上昇や不透明な大統領選挙などの要因でマイナスを記録しているとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)コーディネーターの Juliana Trece氏は指摘している。

今年2月~4月の四半期のGDP伸び率は前年同期比2.8%増加、そのうち一般家庭の消費は4.8%増加、サービスセクターは7.5%増加、非耐久消費財セクターは2.1%増加、半耐久消費財セクターは13.3%増加を記録している。

また今年2月~4月の四半期の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)セクターのGDP伸び率は、機械・装置セクターがマイナス10.7%と大幅な減少を記録したためにマイナス5.2%に留まっている。

 

中銀はSelic金利を0.5%引上げて13.25%に決定(2022年6月15日付けエスタード紙)

15日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic) 現行の12.75%を0.5%引上げて13.25%に決定、11回連続での引上げで過去5年半のSelic金利としては最高金利に達している。

今回の通貨政策委員会(Copom)による政策導入金利(Selic)の引上げ開始時の20213月のSelic金利は、過去最低の2.00%であったが、連続11回の引上げ幅は11.25%に達し、1999年以来では最高のショック療法となっている。

Copom委員会開催前の15日午后に米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を075%引上げを決定。199411月以来、277カ月ぶりの上げ幅で、従来の3倍。約40年ぶりとなる記録的なインフレを抑制するため、異例の金融引き締めに踏み切っている。利上げは3会合連続で、政策金利の誘導目標は1.51,75%に設定している。

米国やブラジルの金利引き上げによる金融政策は、インフレ抑制の一方でクレジット金利の引上げや連邦政府の公共負債コストの上昇に繋がり、公共投資の削減、GDP伸び率、雇用や賃金の抑制に繋がって景気減速を余儀なくされる。

ブロードキャストプロジェクションの50金融機関対象の調査では、46金融機関は0.50%のSelic金利の引上げで13.25%を予想、3金融機関は0.75%の引上げ予想で13.50%、1金融機関は1.00%の引上げで13.75%を予想していた。

今年2月の中央銀行のRoberto Campos Neto総裁は、ブラジルのインフレは4月から5月にかけてピークを迎ええ、その後は下降サイクルに入るとコメントしていた経緯があった。

今年5月のブラジルの正式インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、0.47%と前月よりも大幅に減少したが、過去12か月間の累積IPCA指数は11.73%と依然として二桁台に留まっている。

2022年のインフレ指数の中央目標値は3.50%に設定、最低許容値は2.00%、最高許容値が5.00%に設定しているにも関わらず、っ中銀及び金融市場関係者は今年のIPCA指数を8.89%前後を予想している。

40か国対象の実質金利比較では、今回のSekic金利の13.25%への引上げで、ブラジルのインフレ指数を差引いた実質金利は、8.10%に上昇して世界最高金利と Infinity Asset Management社は説明している。ブラジルに次ぐ実質金利はメキシコの4.48%、続いてコロンビアは4.47%となっている。