10月の実質経済活動指数(IBC-Br)は、マイナス0.4%(2021年12月15日のエスタード紙)

2021年10月のGDP伸び率の先行指標となる中銀発表のインフレ指数を差引いた実質経済活動指数(IBC-Br)は、前月比マイナス0.4%を記録、7月~10月の実質経済活動指数(IBC-Br)は4カ月連続でもマイナスを記録している。

今年10月の実質経済活動指数(IBC-Br)は、前月比マイナス0.4%を記録した要因として、10月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.6%、広範囲小売販売はマイナス0.90%、サービス部門生産量もマイナス1.20%とそれぞれ大幅な減少を記録している。

中銀による今年10月の経済活動指数は、9月の137.42ポイントから136.87ポイントに減少、10月の経済活動指数136.87ポイントは昨年9月に記録した135.95ポイント以降では最低の経済活動指数に落込んでいる。

今年10月の実質経済活動指数(IBC-Br)は前年同月比マイナス1.48%、10月の実質経済活動指数(IBC-Br)としては、2017年10月の135.99ポイント以降では最低の数字を記録している。

中銀の9月のインフレレポート(RTI)によると、今年のGDP伸び率は4.7%増加を予想した一方で、最終フォーカスレポートでは今年のGDP伸び率を4.65%増加と予想している。

今年初め10か月間のGDP伸び率は4.99%、10月の過去12か月間の累計IBC-Br指数は4.19%増加に留まっている。今年8月から10月の四半期のIBC-Br指数は前年同期比1.06%増加しているが、前四半期比ではマイナス0.94%となっている。

今年10月のサービス部門生産量は前月比マイナス1.2%(2021年12月14日付けIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2021年10月のサービス部門生産量(生産性指標)は、前月比マイナス1.2%を記録している。

10月の1.2%の落込み幅は、10月としては2016年に記録したマイナス1.5%以降では最高の落込み幅を記録、また月間の落込み幅の比較では、Covid-19パンデミックの第2波開始の今年3月のマイナス3.2%に次ぐ落ち込み幅を記録している。

また今年9月のサービス部門生産量はマイナス0.7%を記録したが、今年4月~8月の5ヶ月間の累計サービス部門生産量は6.2%増加していた。また今年9月並びに10月の累計サービス部門生産量は、マイナス1.9%を記録している。

今年10月のサービス部門生産量はCovid-19パンデミック開始直前の昨年2月の水準を2.1%上回っている。

今年10月のサービス部門生産量は前月比マイナス1.2%、前年同月比7.5%増加、今年初め10か月間の累計サービス部門生産量は11.0%増加、10月の過去12か月間では8.2%増加を記録している。

今年10月のセクター別サービス部門生産量比較では、一般家庭向けサービスセクターは前月比2.7%増加、今年初め10か月間の累計生産量は17.6%増加、10月の過去12か月間の累計生産量は、6.5%増加を記録している。

前期同様、情報・通信サービスセクターは1.6%増加、9.2%増加、7.8%増加、教育・研究機関などの公共サービスセクターはマイナス1.8%、7.5%増加、4.1%増加を記録している。

また輸送・輸送補助サービス・郵便サービスセクターはマイナス0.3%、15.2%増加、11.8%増加、その他のサービスセクターはマイナス6.7%、7.0%増加、7.3%増加を記録している。

2022年末のSelic金利はインフレ圧力軽減のため11.25%予想(2021年12月13日付けエスタード紙)

13日中銀の最終フォーカスレポートによると、2022年末の政策誘導金利Selicは、前回予想の11.25%から11.50%に上方修正されたが、1か月前の予想は11.0%であった。

8日の中銀の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇を軽減するために、政策誘導金利(Selic)を1.50%引上げ9.25%に決定、7回連続でのSelic金利引上げを記録。中銀の通貨政策委員会(Copom) は、次回の来年2月のCopom委員会でもSelic金利を今回同様の1.50%の引上げで、10.75%になると示唆している。

10日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2021年11月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、10月の1.25%から0.95%に減少したにも拘らず、11月としては2015年以降では最高のIPCA指数を記録している。

また今年初め11か月間の累計IPCA指数は9.26%、11月の過去12か月間の累計IPCA指数は10.74%と二桁台を記録している。

しかし最終フォーカスレポートでは、今年のIPCA指数を前回予想の10.18%から10.05%と先週まで35週連続での上方修正更一転して下方修正したが、IPCAの中央上限値5.25%を約5.00%上回っている。1か月前の予想は9.77%であった。

今年のインフレ指数が二桁台を記録すれば、ジウマ・ロウセフ政権時の2015年に記録した10.67%以来6年ぶりの二桁台のインフレ指数となる。

今月開催された中銀の通貨政策委員会(Copom) では、今年のインフレ指数であるIPCA指数を10.2%、2022年は4.7%、2023年は3.2%と予想している。

また今年のGDP伸び率を前回予想の4.71%から4.65%に下方修正、1か月前の予想は4.88%であった。2022年のGP伸び率は前回予想の0.51%から0.50%に下方修正したが、1か月前の予想は0.93%であった。

また2023年のGDP伸び率は前回予想の1.95%から1.90%に下方修正したが、1か月前の予想は2.00%であった。2024年のGDP伸び率は前回予想の2.10%から2.00%に下方修正している。

11月のインフレ指数は0.95%に達し、11月としては2015年以降で最高(2021年12月10日のエスタード紙)

10日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2021年11月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、10月の1.25%から0.95%に減少したにも拘らず、11月としては2015年以降では最高のIPCA指数を記録している。

また今年初め11か月間の累計IPCA指数は9.26%、11月の過去12か月間の累計IPCA指数は10.74%と二桁台を記録、2003年に記録した11.02%以降では最高のインフレ指数を記録している。

ブロードキャストプロジェクションの調査では、11月のIPCA指数の最低予想は0.94%、最高予想は1.18%、平均予想の1.10%よりも実際のIPCA指数は0.15%低い数字に留まった。

11月のIPCA指数を押し上げた要因として、輸送セグメントは燃料価格の値上がり、特にガソリン価格は7.38%値上りは、IPCA指数を0.46%押し上げる要因となっている。

またエタノール価格は10.53%、ディーゼル燃料7.48%、自動車用ガス4.30%それぞれ値上りしている。過去12カ月間のガソリン価格は50.78%、エタノール69.40%、ディーゼル燃料価格は49.56%それぞれ大幅な値上がりを記録している。

11月の新車価格は2.36%、中古車は2.38%それぞれ値上り、航空券価格は9月の28.19%、10月の33.86%のそれぞれの大幅な値上がりから一転して、6.12%の値下がりを記録している。

住居関連セグメントは1.03%増加、特に電力エネルギー料金は1.24%、プロパンガスは2.12%それぞれ値上り、過去12か月間のプロパンガスは38.88%値上りを記録している。

一方食品・飲料セグメントはマイナス0.04%、外食セグメントはマイナス0.25%、ミルクマイナス4.83%、米マイナス3.58%、食肉はマイナス1.38%とそれぞれ値下がりしている。

健康保健・衛生セグメントはマイナス0.57%、特に衛生関連はマイナス3.00%、7月の国家保健補助庁(ANS)による個人向け健康保健プランの8.19%の値下げ勧告が功を奏して、健康保険プランはマイナス0.06%を記録している。

10月の鉱工業部門生産は調査対象の15地域のうち5地域で前月比割れを記録(2021年12月9日のIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM)によると、2021年10月の鉱工業部門生産は、前月比マイナス0.6%を記録、今年6月から5カ月間連続で前月割れを起こして足踏み状態が続いている。

今年6月から10月までの5カ月間の鉱工業部門の累計生産はマイナス3.7%を記録、Covid-19パンデミック前の昨年2月の水準を依然として4.1%下回っているとブラジル地理統計院(IBGE)調査担当のAndré Macedo部長は指摘している。

今年10月の鉱工業部門生産調査の部門別調査では、調査対象の4部門の内3部門でマイナスを記録、またセクター別調査では26セクターのうち19セクターでマイナスを記録している。

ブラジル国内の15地域のうち5地域で前月比マイナスを記録、特に10月のサンタ・カタリーナ州の鉱工業部門生産は前月比マイナス4.7%と大幅な落ち込みを記録、ミナス州マイナス3.9%、サンパウロ州マイナス3.1%、エスピリット・サント州マイナス1.0%を記録している。

一方10月の鉱工業部門生産が前月比で増加した地域として、北東部地域は前月比5.1%増加、マット・グロッソ州4.8%増加、セアラー州4.1%増加とそれぞれ大幅な増加を記録している。

また今年初め10カ月間の鉱工業部門生産では、サンタ・カタリーナ州は13.8%増加、ミナス州12.0%増加、パラナ州は11.2%増加を記録、10月の過去12カ月間の鉱工業部門生産では、サンタ・カタリーナ州は13.9%増加、パラナ州12.0%、南大河州は11.4%増加を記録している。

ブラジルの10月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.6%、前年同月比マイナス7.8%、今年初め10カ月間の累計生産は5.7%増加、10月の過去12カ月間の累計生産は5.7%増加を記録している。

前記同様サンパウロ州はマイナス3.1%、マイナス12.8%、7.2%増加、7.3%増加、マナウスフリーゾーンを擁するアマゾナス州は0.4%増加、マイナス11.9%、9.4%増加、9.4%増加を記録している。

中銀は、インフレ圧力軽減するために政策誘導金利(Selic)を9.25%引上げて過去4年間で最高金利に肩を並べる(2021年12月8日付けヴァロール紙)

8日の中銀の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇を軽減するために、政策誘導金利(Selic)を1.50%引上げ9.25%に決定、7回連続でのSelic金利引上げを記録している。

今回のSelic金利の大幅な引き上げは、10月の通貨政策委員会(Copom) の議事録で既に示唆されていたが、過去4年間で最高のSelic金利と同率を記録している。

今回のSekic金利の1.50%の引上げは、Covid-19パンデミック中に記録していた過去最低のSelic金利2.00%から7回連続での引上げを記録、7回連続でのSelic金利の引上げのうち初め3回連続で0.75%、8月及び9月はそれぞれ1.00%、今回は過去20年間で最高となる一挙に1.50%の引上げとなっている。

2015年7月から2016年8月迄Selic金利は、過去最高となる14.25%を続けていたが、2016年10月の14.0%から2018年2月の6.75%まで下降サイクルを継続、2018年3月から2019年6月迄は6.25%で推移、2019年7月から2020年6月迄は再度下降サイクルを継続、2020年8月から2021年1月迄は過去最低のSelic金利2.00%を続けていた経緯があった。

ジャイール・ボルソナロ政権発足時のSelic金利は6.50%であったが、2020年8月迄下降サイクル、今年3月の2.75%から12月の9.25%まで、Selic金利は10か月間で6.50%も急上昇している。

中銀の通貨政策委員会(Copom) は、次回の来年2月のCopom委員会でもSelic金利を今回同様の1.50%の引上げで、10.75%になると示唆している。

今年のインフレは二桁台の予想、今年第3四半期のGDP伸び率はマイナス0.1%と2四半期連続でマイナスを記録したためにテクニカルリセッション入り、ブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向け支出確保向け予算外予算を扱うプレカルトリオも憲法改正案(PEC)承認などの困難で、Selic金利の大幅な引き上げは予想されていた。

ブロードキャストプロジェクションの51金融機関対象の調査によると、大半の金融機関は、Copomm委員会によるSelic金利の1.50%引上げを予想していた。

今回のSelic金利の9.25%の引上げで、ブラジルのインフレ指数を差引いた実質金利は5.03%に上昇、ロシアの実質金利の4.23%を追い越して世界3位に上昇している。

最終フォーカスレポートは、今年及び来年のIPCAは上限値を突破予想(2021年12月6日付けエスタード紙)

6日発表のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートでは、2022年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の5.00%から5.02%と20週連続で上方修正を行った。1か月前の予想は4.63%であった。

また今年のIPCA指数は、前回予想の10.15%から10.19%と35週連続で上方修正を余儀なくされたが、今年の上限目標値5.25%を約5.00%上回っている。1か月前の予想は9.33%であった。

今年のIPCA指数が10%を突破すれば、2015年のジウマ・ロウセフ政権時に記録した10.67%以降では、最高のインフレ指数を記録すると予想されている。

また2023年のIPCA指数は、前回予想の3.42%から3.50%、2024年のIPCA指数は、前回同様3.10%に据え置かれたが、1か月前の2023年のIPCA指数は3.27%、2024年のIPCA指数は3.10%であった。

2023年のIPCAの中央目標値は3.25%、許容範囲は1.75%~4.75%、2024年のIPCAの中央目標値3.00%、許容範囲は1.5%~4.5%となっている。

今年のGDP伸び率は前回予想の4.78%から4.71%に下方修正、1か月前の予想は4.93%、2022年のGDP伸び率は0.58%から0.51%に下方修正、1か月前の予想は1.00%であった。

また2023年のGDP伸び率は前回予想の2.00%から1.95%に下方修正した一方で、2024年のGDP伸び率は、前回予想の2.00%から2.10%と若干上方修正している。最終フォーカスレポートでは、今年末の政策誘導金利Selicは9.25%、2022年末のSelic金利は11.25%を予想している

ブロードキャストプロジェクションの51金融機関のエコノミスト対象の調査によると、今週開催される中銀の通貨政策委員会(Copom) では、現在のSelic金利7.75%を1.50%引上げて9.25%になると予想している。

また調査対象の46金融機関のうち27金融機関は、Selic金利の引上げサイクルは11.75%を予想、19金融機関は10.0%~11.50%を予想している。

今年10月に中銀はSelic金利を6回連続で7.75%に引き上げたが、今年3月にSelic金利は約6年ぶりとなる2.75%に引き上げ、5月のSelic金利は3.50%、6月は4.25%、8月は5.25%、9月は6.25%であった。

最終フォーカスレポートでは、2023年末のSelic金利は前回予想の7.75%から8.00%、1か月前の予想は7.75%、2024年末のSelic金利は7.00%が見込まれている

10月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.6%(2021年12月3日のエスタード紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM)によると、2021年10月の鉱工業部門生産は、前月比マイナス0.6%を記録、今年7月から5カ月間連続で前月割れを起こしている。

ブロードキャストプロジェクションの調査では、10月の鉱工業部門生産の最低予想はマイナス0.7%、最高予想は1.8%、平均予想は0.7%増加から大きく外れる結果となっている。

また今年10月の鉱工業部門の累計生産は前年同月比マイナス7.8%、今年初め10カ月間の累計生産は5.7%増加、10月の過去12カ月間の鉱工業部門の累計生産も前年同期比で5.7%増加を記録している。

今年7月から10月までの5カ月間の鉱工業部門の累計生産はマイナス3.7%を記録、Covid-19パンデミック前の昨年2月の水準を依然として4.1%下回っているとブラジル地理統計院(IBGE)調査担当のAndré Macedo部長は指摘している。

今年10月の鉱工業部門生産調査の部門別調査では、調査対象の4部門の内3部門でマイナスを記録、またセクター別調査では26セクターのうち19セクターでマイナスを記録している。

10月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.6%、前年同月比マイナス7.8%、今年初め10月間の累計は5.7%増加、10月の過去12カ月間の累計生産は5.7%増加を記録している。

前記同様資本財部門は2.0増加、8.4%増加、34.1%増加、32.1%増加、中間財部門はマイナス0.9%、マイナス6.3%、4.6%増加、4.8%増加を記録している。

また消費財部門はマイナス0.6%、マイナス14.0%、2.1%増加、2.0%増加、そのうち耐久消費財部門はマイナス1.9%、マイナス27.8%、7.1%増加、7.2%増加、非耐久消費財部門はマイナス1.2%、マイナス10.3%、0.9%増加、0.7%増加を記録している。

今年10月の鉱工業部門生産が依然としてマイナスを記録している要因として、輸入品の海上輸送費やコンテナの高騰、半導体や電気部品の世界的な供給不足など生産コストの上昇、在庫不足による生産調整などが余儀なくされている。

今年10月の鉱工業部門生産では、特に鉱業セクターは前月比マイナス8.6%、食品セクターは、マイナス4.2%とそれぞれ大幅な減少をきたして足枷となっている。

鉱工業セクターの90%を占めていた鉄鉱石や石油の国際コモディティ価格の下落がネガティブなインパクトを与えており、食品セクターは、中西部地域から南部地域にかけての天候異変によるサトウキビの収穫時期の前倒しによる砂糖の生産減少、中国向け牛肉輸出は、最大の供給元であるブラジルのBSE(牛海綿状脳症)による輸出停止したことが大きく影響している。

また今年10月の鉱工業部門生産のマイナス要因として、機械・装置セクターは前月比マイナス4.9%、電気材料・装置セクターマイナス5.6%、繊維セクターマイナス7.7%、金属セクターマイナス1.9%、機械・装置据付・保守セクターマイナス21.6%、木材関連セクターマイナス6.6%、衣類・アクセサリーセクターマイナス4.1%、自動車・輸送機器セクターマイナス0.8%、医薬品・医療化学セクターはマイナス2.4%を記録している。

 

第3四半期のGDP伸び率はマイナス0.1%でテクニカルリセッション入り(2021年12月2日のエスタード紙)

2020年第3四半期から9カ月連続で国内総生産は増加を継続していたが、今年第2四半期のGDP伸び率はマイナス0.4%、今年第3四半期は、マイナス0.1%と2四半期連続でマイナスを記録したために、テクニカルリセッション入りと判断されている。

しかし今年第3四半期のGDP伸び率は、前四半期比マイナス0.1%を記録したにも関わらず、Covid-19対応ワクチン接種の拡大に伴って、サービス部門の活性化に伴う雇用増加で、GDPの70%を占めるサービス部門のGDP伸び率は1.1%増加を記録している。

年央の旱魃による穀物生産へのダメージの影響で、第3四半期の農畜産部門は、前四半期比マイナス8.0%と大きな落ち込みを記録して、第3四半期のGDP伸び率の足枷となっている。

また第3四半期の鉱工業部門のGDP伸び率は、世界的な輸送機器向け半導体などの部品供給問題やコンテナ不足や海上輸送費の高騰などが足を引っ張って、前四半期比では同率となっている。

ワクチン接種の拡大による自粛緩和政策の導入に伴って、第3四半期の一般家庭消費の伸び率は前四半期比0.9%増加、美容院、映画館、バーやレストランでの消費が拡大してきている。

ワクチン接種の拡大に伴って、経済活動や雇用は徐々に回復してきている一方で、高騰するインフレによる実質賃金の目減りは、特に低所得者層の消費意欲を削ぐ原因となっている。

第3四半期の国内総固定資本形成(FBCF)伸び率は、連邦政府の財政悪化や来年の大統領選挙など不透明な見通しで投資意欲を削がれているためにマイナス0.1%を記録している。

9月のブロードキャストプロジェクションの調査では、上昇を続けるインフレ指数、中銀によるSelic金利の上方修正などの要因で、今年のGDP伸び率を4.8%、2022年のGDP伸び率を0.5%とそれぞれ下方修正を余儀なくされている。

与党は前政権の家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のために、インフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更、司法の有罪判決から生じる連邦政府の支払いであるプレカトリオス向け緊急憲法改正案(PEC)による与野党の攻防などの影響で、サンパウロ平均株価の下落やレアル通貨に対するドル高の為替を引き起こしている。

2021年第3四半期のブラジルのGDP伸び率は前四半期比マイナス0.1%、農畜産部門はマイナス8.0%、鉱工業部門は0.0%、サービス部門は1.1%、FBCF部門はマイナス0.1%、一般家庭消費は0.9%増加、公共支出は0.8%増加を記録している。

前記同様に前年同四半期の比較では、4.0%増加、マイナス9.0%、1.3%増加、5.8%増加、18.8%増加、4.2%増加、3.5%増加、また過去12か月間の累計では、3.9%増加、0.2%増加、5.1%増加、3.3%増加、20.2%増加、2.1%増加、0.4%増加を記録している。

今年第3四半期のブラジルの国内総生産は2.2兆レアル、農畜産部門は1237億レアル、鉱工業部門は4554億レアル、サービス業部門は1.3兆レアル、FBCF部門は4305億レアル、一般消費部門は1.3兆レアル、連邦政府の公共支出は4062億レアルを記録している。

第3四半期の失業率は12.6%に縮小も平均給与は11.0%減少(2021年11月30日付けエスタード紙)

30日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2021年第3四半期のブラジルの月間平均失業率は、第2四半期の14.2%から1.6%の大幅減少の12.6%を記録している。

今年第3四半期の就職活動をしている失業者は、前四半期比9.3%減少に相当する1,350万人まで減少、一方雇用総数は、4.0%増加の9,300万人に達している。

今年第3四半期の労働人口に占める雇用者総数は、第2四半期の52.1%から2.0%上昇の54.1%に達している。しかし第3四半期の平均賃金は、前四半期比4.0%に相当する102レアル減少している。

また第3四半期の平均賃金は、前年同期比では二桁台の11.1%に相当する307レアル減少の2,459レアルに留まり、給与の減少幅は2012年から統計を取り始めて最大の減少幅を記録している。

今年第3四半期の雇用の54.0%は労働手帳に記載されない非正規雇用であり、民間部門の非正規雇用は、10.2%増加に相当する1,170万人を記録している

今年第3四半期の部門別雇用では、商業部門の雇用は前四半期比7.5%に相当する120万人が新たに職を得ている。また家政婦は前四半期比9.2%に相当する540万人に達し、増加率では、統計を取り始めた2012年以降では最高記録、第3四半期の非正規雇用は、10.8%に相当する39万6,000人増加を記録している。

Covid-19パンデミック以前の2020年第1四半期の家政婦部門は600万人が従事していたが、Covid-19パンデミックによる失業では最も打撃を受けた職種となっていた。

また今年第3四半期の自営業者は、前四半期比3.3%増加の2,550万人に達して、統計を取り始めて最高の比率を記録、全国法人登録台帳(CNPJ)を所持しない自営業者は1.9%増加、非正規雇用は40.6%に相当する3,800万人を記録している。

今年第3四半期の商業部門の新規雇用は7.5%に相当する120万人増加、鉱工業部門は6.3%に相当する72万1,000人増加、建設業部門は7.3%に相当する48万6,000人増加、家庭内サービス部門の雇用は、8.9%に相当する44万4,000人増加を記録している。