9月のブラジルの公的負債残高はGDP比83.0%(2021年10月29日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の発表によると、2021年9月の連邦政府のインフレ指数を考慮しない名目公的負債残高は、GDP比83%に相当する6兆9,390億レアルに上昇している。

今年8月の名目公的負債残高は,GDP比82.7%に相当する6兆8,490億レアルであったが、僅か1か月間で900億レアルも公的負債が増加を記録している。

中銀では今年9月の名目公的債務残高の増加要因として、名目利払いは0.5ポイント、レアル通貨に対するドル高の為替は0.3ポイント、ブラジル国債発行は0.2ポイントを占めていた一方で、名目GDP伸び率はマイナス0.8ポイントを記録している。

連邦政府の8月のインフレ指数を差引いた実質公的債務残高は、GDP比59.4%に相当する4兆9,180億レアルであったが、9月はGDP比58.5%に相当する4兆8,960億レアルに減少を記録している。

今年9月の実質公的債務残高の減少要因として、レアル通貨に対するドル高の為替は0.9ポイント、名目GDP伸び率は0.6ポイント、財政プライマリー収支黒字は、0.2ポイントを占めていた一方で、名目利払い調整は0.7ポイントの増加要因となっている。

今年9月の名目並びに実質公的債務残高の統計は、連邦政府、州政府と市町村で構成される地方政府、公立銀行、ペトロブラス石油公社並びにブラジル中央電力公社を除く公社で構成されている。

9月の中央政府の財政プライマリー収支は、過去9年間で初めて黒字計上(2021年10月28日付けエスタード紙)

2021年9月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー収支は、過去9年間で初めてとなる3億300万レアルの黒字を計上している。

また今年初め9か月間の中央政府の財政プライマリー収支は、844億8,600万レアルの赤字を計上、統計を取り始めた1997年以降では、過去5番目の赤字幅を記録している。

今年9月の中央政府の財政プライマリー収支の3億300万レアルの黒字は、2012年9月に記録した10億6,700万レアルの黒字以来初めて黒字を計上したが、昨年3月のCovid-19パンデミック発生で影響を受けた昨年9月の中央政府の財政プライマリー収支は、継続して膨大な緊急財政出動を余儀なくされたために、761億4,400万レアルの記録的な赤字を計上していた。また昨年1月から9月の中央政府の財政プライマリー収支は、6,774億4,600万レアルの赤字を記録していた。

今年9月の中央政府のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比12.9%増加した一方で、実質歳出総額は36.4%減少している。

今年9月の過去12か月間の中央政府の財政プライマリー収支は、GDP比1.8%に相当する1,542億レアルの赤字を計上、連邦政府が容認している今年の中央政府の財政プライマリー収支は2,471億1,800万レアルにも関わらず、最終2か月間レポートでは、Covid-19パンデミック対応の臨時歳出を含めても1,394億3,500万レアルの赤字に留まると予想されている。

ブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のために、インフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更や司法上の支払い命令が出されている個人や法人向けなどのプレカルトリオの資金を宛がる憲法改正案(PEC)による2022年の予算が不透明となっている。

10月の総合市場物価指数(IGP−M)は0.64%、過去12か月間では21.73%それぞれ上昇(2021年10月28日付けエスタード紙)

28日ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の発表によると、一般的に不動産の賃貸契約の調整に用いられるインフレ指標の一つである今年10月の総合市場物価指数(IGP−M)は、9月のマイナスの0.64%から一転して0.64%増加を記録している。

またブロードキャストプロジェクションの調査では、今年10月の総合市場物価指数(IGP−M)の平均予想は0.61%増加であった。過去12か月間の累計総合市場物価指数(IGP−M)は、前年同期比21.73%と記録的な増加を記録している。

10月の過去12か月間の累計総合市場物価指数(IGP−M)は、前年同期比21.73%と9月の21.36%を若干上回っている。また昨年10月の過去12か月間の累計総合市場物価指数(IGP−M)は、16.74%であった。

今年10月の鉄鉱石価格は、9月のマイナス21.74%からマイナス8.47%、ディーゼル燃料価格は0.00%から6.61%増加したが、今月25日に発表されていたディーゼル燃料価格の値上げは含まれていない。

IGP-Mのインフレ指数には、農畜産部門、製造業部門並びに建設業部門で使用される原材料などの財やサービス価格変動が含まれており、為替や卸売製品価格の変動に左右される。

今年10月の消費者向け価格指数(IPC-M) は、9月の1.19%から1.05%増加に減少、過去12か月間のIPC-M指数は、9.50%から7.41%に減少している。

今年10月のブラジル建設コスト指数(INCC-M) は、9月の0.56%から0.80%に上昇、過去12か月間では15.35%、今年初め10か月間では12.88%それぞれ大幅増加を記録している。

10月の企業経営者の景況感指数は調査対象の30セクターのうち22セクターで減少(2021年10月27日付けヴァロール紙)

製造業部門の企業経営者対象の全国工業連盟(CNI)調査によると、2021年10月の企業経営者の景況感指数(Icei) 調査対象の30セクターのうち22セクターで減少を記録したにも拘らず、30セクター全てで分岐点の50ポイントを上回っている。

企業経営者の景況感指数(Icei) は、0ポイントから100ポイントで評価されるが、50ポイントを割れば企業経営者の景況感指数が悪化しているシグナルとなる。

調査対象の30セクターのうち22セクターで減少した要因として、現状の国内経済と企業収益悪化を憂慮しているが、今後6か月後の景況感見通しは、ポディティブとなっていると全国工業連盟(CNI)エコノミストのLarissa Nocko氏は指摘している。

今年10月のその他の輸送機器セクターの企業経営者の景況感指数(Icei) は、9月の58.1ポイントから53.9ポイントと大幅に悪化している。

またパルプ・紙派生品セクターも58.4ポイントから55.5ポイントに減少、特殊建設サービスセクターも56.8ポイントから54.2ポイントに悪化している。

一方今年10月の企業経営者の景況感指数(Icei) が改善したのは、生皮革・人工皮革セクターで9月の56.1ポイントから10月は60.7ポイントと大幅に上昇、印刷・録画再生セクターも55.1ポイントから57.1ポイントに改善、家具セクターは1.9ポイント上昇の54.7ポイントを記録している。

全国工業連盟(CNI)の今年10月の企業経営者の景況感指数(Icei) 調査は、今月1日~15日かけて加盟企業2413社対象に行われ、小企業は961社、中企業は890社、対企業は562社であった。

8月の失業率は13.2%、失業者総数は1,370万人(2021年10月27日付けヴァロール紙)

27日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2021年6月~8月のブラジルの月間平均失業率は、13.2%を記録している。

ブロードキャストプロジェクションの調査によると、今年6月~8月のブラジルの月間平均失業率予想は13.5%、最低予想は13.2%、最高予想は13.7%であった。

また昨年同期の平均失業率は、Covid-19パンデミックの影響を受けて14.4%に達していた。今年5月~7月の月間平均失業率は13.7%であった。

今年6月~8月のブラジルの月間平均失業率13.2%は1,370万人が就職活動を行っているが、就職活動を諦めている失業者は、500万人以上存在すると予想されている。

今年6月~8月のブラジルの月間平均失業者数1,370万人は、前四半期に相当する今年3月~5月の月間平均失業者1,480万人を7.7%減少に相当する110万人が雇用されている。またこの期間に就職活動を諦めていた失業者は530万人に達していた。

今年6月~8月の家政婦を除いた民間部門の月間平均正規雇用者は、前四半期比4.2%に相当する120万人増加で3,100万人に達している。また前年同四半期比では、6.8%に相当する200万人の正規雇用増加を記録している。

また同期間の労働手帳に記載されない非正規雇用者は、10.1%に相当する98万7,000人増加に相当する1,080万人、前年同四半期比では、23.3%に相当する200万人の非正規雇用増加を記録している。

今年6月~8月のインフレ指数を差引いた平均実質賃金は2,771レアル、前年同期比では10.2%と二桁台の減少を記録している。また同期の労働者の賃金総額は、前年同期比0.7%減少の2,192億レアルであった。

9月の国庫庁の歳入総額は12%増加で、9月の月間記録更新(2021年10月26日付けヴァロール紙)

2021年9月の国庫庁のインフレ指数を考慮した実質歳入総額は、前年同月比12.87%の二桁増加の1491億200万レアルに達し、1995年初めから統計を取り始めて9月としては、過去の記録を更新している。

また今年初め9か月間の国庫庁の実質累計歳入総額は、Covid-19パンデミックの影響を受けていた前年同期比22.30%増加の1兆3490億レアルを記録している。

また今年9月のインフレ指数を考慮しない名目歳入総額は、前年同月に記録した1198億2500万レアルを24.43%上回る数字を記録している。

今年初め9か月間の歳入総額は、既に昨年同期を3230億レアル上回っており、9か月間のうち7か月間は月間記録を更新しているとJosé Tostes特別税務長官は説明している。
昨年8か月から国庫庁の歳入は、景気回復に伴う増加を記録しており、今年の歳入総額を予想を上回るとJosé Tostes特別税務長官は説明している。

今年9月の基礎的財政収支対象経費からロイヤリティ収入等の臨時歳入を除いた実質一般歳入総額は、12.45%増加の1450億⒎800万レアル、名目一般歳入総額は23.97%増加を記録している。
今年初め9か月間の実質一般歳入総額は、前年同期比21.50%増加の1兆2880億レアル、名目一般歳入総額は、30.57%増加を記録している。

9月の石油などのロイヤリティなどを含む実質臨時歳入総額は、前年同月比30.23%増加の40億2400万レアル、名目臨時歳入総額は、43.57%増加を記録している。

また今年初め9か月間の国庫庁管轄以外の各省庁の実質歳入総額は、42.18%増加の603億9400万レアルを記録、ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)では、今年9月の歳入総額を12.7%増加の1488億8400万レアルを予想していた。

9月の法人税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)による歳入総額は、36.1%増加、臨時歳入総額は、20億レアルに達している。

Covid-19パンデミックの影響を緩和するための措置として採用された昨年9月のクレジット関連の金融取引税IOFの税率引き下げによる歳入減少は、23億5,000万レアルに達していた。

9月の正規雇用は31万3900人(2021年10月26日付けエスタード紙)

就労・失業者管理センター(Caged)の統計を基にした経済省の発表によると、2021年9月の労働手帳に記載される正規雇用は、31万3,902人を記録したにも拘らず、 8月の正規雇用総数36万8,091人を5万5,000人下回っている。

今年9月の正規雇用総数は178万人に対して、解雇総数は146万6,000人、昨年9月の正規雇用総数は31万9,151人であった。今年初め9か月間の正規雇用総数は、251万3,000人を記録している。

ブロードキャストプロジェクションの今年9月の最低正規雇用総数は23万8,000人、最高予想は40万人、平均雇用予想は31万9,000人であった。

今年初め9か月間の正規雇用総数は、251万3,000人を記録した一方で、Covid-19パンデミックの影響を受けていた昨年初め9か月間の正規雇用総数は、解雇総数が55万8,597人上回ってマイナスを記録していた。

今年4月28日から連邦政府による雇用並びに所得メンテナンス向け緊急ベネフィット(BEm)プログラムの再導入で、更に4か月間に亘って207万7,000人に対して、雇用の保証が確保されている。

9月の部門別の正規雇用数比較では、サービス業部門の正規雇用は14万3,418人が牽引、続いて製造業部門は7万6,169人、商業部門は6万809人、建設業部門は2万4,513人、農畜産部門の正規雇用は9,084人であった。

今年初め9か月間の州別正規雇用では、サンパウロ州が8万4,887人で牽引、アマパ州の正規雇用は僅か281人に留まっている。8月の新規雇用の平均サラリーは1,813.57レアルから9月は1,795,46レアルに減少している

最終フォーカスレポートは今年のGDP伸び率を4.97%に下方修正(2021年10月25日付けヴァロール紙)

与党は前政権の家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のために、特別委員会でインフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更を承認したために、25日の中銀の最終フォーカスレポートは、今年のGDP伸び率を前回予想の5.01%から4.97%の下方修正を余儀なくされている。

2022年のGDP伸び率は、前回予想の1.50%から1.40%に下方修正されたが、1か月前の来年のGDP伸び率は1.57%であった。また1か月前の今年のGDP伸び率予想は、5.04%であった。

2023年のGDP伸び率は、前回予想の2.10%から2.00%に下方修正されたが、1か月前の予想は2.20%であった。2024年のGDP伸び率は、前回予想の2.50%から2.25%に下方修正されたが、1か月前の予想は2.50%であった。

ブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のためのインフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更による財政悪化予想で、今年末の政策誘導金利Selicは前回予想の8.25%から8.75%と大幅な上方修正されている。

また2022年末のSelic金利は、前回予想の8.75%から9.50%と一挙に0.75%の上方修正が行われたが、1か月前の予想は8.50%であった。2023年末のSelic金利は、前回予想の6.50%から7.00%、2024年末のSelic金利は、前回同様6.50%に据え置かれている。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の8.69%から8.96%と29週連続で上方修正、1か月前の予想は8.45%であった。

また2022年のIPCA指数は、前回予想の4.18%から4.40%と14週連続で上方修正されたが、1か月前の予想は8.45%であった。2023年のIPCA指数は、前回予想の3.25%から3.27%、2024年のIPCA指数は、3.00%から3.02%とそれぞれ若干調整されたが、1か月前の予想は3.25%、3.00%であった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されている。2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%。許容範囲は±1.50%に相当する最低2.00%、最高5.00%に設定されている。

9月の経常収支は16億9,900万ドルの赤字計上(2021年10月22日付けヴァロール紙及びエスタード紙より抜粋)

22日ブラジル中央銀行の発表によると、2021年9月のブラジルの経常収支は、16億9,900万ドルの赤字を計上したにも関わらず、金融市場関係者の19億ドルの赤字を下回った。昨年9月の経常収支は、3億4,600万ドルの赤字を記録していた。

今年9月の過去12か月間の累積経常収支は、GDP比1.22%に相当する207億200万ドルの赤字を計上、中銀の最終四半期インフレレポート(RTI)によると、今年の経常収支は210億ドルの赤字が予想されている。

今年9月のブラジル人旅行者による海外での支出は、4億⒎366万ドルを記録したが、Covid-19パンデミックの影響を受けていた昨年9月は3億100万ドルを50%以上上回っている。

一方今年9月の海外旅行者によるブラジル国内の支出総額は、2億3,600万ドルを記録したが、昨年9月の1億3,800万ドルを大幅に上回っている。またの最終四半期インフレレポート(RTI)によると、今年の旅行収支は20億ドルの赤字が予想されている。

今年9月の貿易収支は、24億6,100万ドルの黒字を計上、サービス収支は13億5,700万ドルの赤字計上、第一次所得収支は、30億⒎300万ドルの赤字計上、金融収支は17億5,100万ドルの赤字を計上している。

9月の海外投資家による対内直接投資残高は、44億9,500万ドルと昨年9月の34億2,400万ドルを10億以上上回って、海外投資家の回帰傾向を示している。

ブロードキャストプロジェクションの今年9月の対内直接投資の平均予想は52億ドル、最低予想は37億5,000万ドル、最高予想は57億ドル、中銀は50億ドルを予想していた。

今年初め9か月間の累積対内直接投資残高は、407億4,000万ドルを記録しているが、中銀では550億ドルを予想していた。また今年9月の過去12か月間の累積対内直接投資残高は、GDP比3.16%に相当する502億2,700万ドルであった。

ブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの財源確保で歳出上限変更(2021年10月21日付けエスタード紙)

21日午前、与党は前政権の家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のために、インフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更で合意した。

ジャイール・ボルソナロ政権は、大統領選挙の年に当たる2022年で自身の再選を最優先させるために、836億レアルに相当する歳出上限の上乗せで、過去数日間に亘って難航していた政府内の政治的、経済的調整で合意に達した。

現在の歳出上限の基準の計算方法として、前年6月迄の過去12か月間のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を基にしていたが、2016年に考察されていた前年1月から12月のインフレ指数に基づいたインフレ修正に変更される可能性がある。

歳出上限の計算方法が変更されれば400億レアルの臨時歳出が可能となり、すでに経済班が国会に提示した司法債務のプレカトリオ措置の支払い上限調整を含めて836億レアルの上乗せが可能となると予想されている。

ボルソナロ大統領は、ブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムの20%の恒久的な調整と 400レアルに達する一時的な部分の変更と議会改正への支出で511億レアルの追加支出を確保すると予想されている。

我々は連邦政府の財政支出上限を守る責任があり、誰も上限を破るものはいないが、ボルサ・ファミリアプログラムを上回る1700万人の貧困者を見捨てるわけにはいかないとボルソナロ大統領は強調している。