製造業部門の部品供給不足はブラジル経済回復の足枷の可能性(2021年7月8日付けエスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、今年6月の製造業部門の主要18セクターのうち8セクターでは、半導体や電機・電子部品を中心とした部品供給不足の影響で、通常の在庫水準よりも低い在庫での操業を余儀なくされている。

「我々は景気回復による需要増加が要因で、製造メーカーからの製品供給が追着いていないのであれば、設備稼働率は高いはずであるが、設備稼働率は低いレベルで推移しており、サプライヤーからの部品供給問題でメーカーの生産体制に支障をきたしている」とIbre/FGVのAloisio Campelo Júnior総裁は指摘している。

今年6月の製造業部門のセクター別の在庫状況調査では、非鉄金属セクターの在庫は通常レベルよりも33.1%減少、金属製品セクターは15.3%、鉄鋼セクター13.5%はそれぞれ二桁台の在庫不足をきたしており、2020年下半期から供給問題が発生している。

前期同様プラスティックセクター5.5%、機械・装置セクター4.9%、機械・電気材料セクター2.5%、繊維セクター0.7%、石油派生品・バイオ燃料セクターの在庫不足は、通常の僅か0.2%に留まっている。

今年4月の製造業部門で部品不足による生産調整を余儀なくされているセクターとして、機械・電気材料セクターの27.6%の企業が生産調整を強いられており、次いで金属製品セクターの23.8%、プラスティックセクター22.3%とそれぞれ20%以上の企業が影響を受けている。

前期同様機械・装置セクターは19.3%、金属セクター16.9%、繊維セクター8.4%、非鉄金属セクター8.2%、石油派生品・バイオ燃料セクターは僅か1.0%に留まっている。

今年6月のインフレ指数は電力料金値上げが牽引して0.53%、過去12か月間では8.35%に達す(2021年7月8日付けエスタード紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2021年6月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、5月の0.83%から0.30%減少の0.53%に減少、今年5月のIPCA指数0.83%は、2018年6月に記録した1.26%以来の3年ぶりの高インフレ指数を記録していた。

今年6月のIPCA指数0.53%を牽引したのは、電力エネルギー料金の値上げであった。また今年上半期の累計IPCA指数は3.77%、過去12か月間の累計IPCA指数は8.35%に達し、2016年9月に記録した8.48%以来で最高のIPCA指数を記録、昨年6月のIPCA指数は僅か0.26%であった。

今年6月のIPCA指数のグループ別調査では、調査対象の9グループのうち8グループで前月比増加を記録、住居グループのIPCA指数は、電力エネルギーの1.95%増加が牽引して1.10%増加を記録したが、5月の住居グループのIPCA指数は、電力エネルギー料金値上げが牽引して5.37%上昇していた。

6月の「赤旗レベル2」の100キロワット時(kWh)当たり電力エネルギー料金は、5月の「赤旗レベル1」の4.169レアルから一挙に6.24レアルに値上げされていた。

また今年6月の食品・飲料グループのIPCA指数は0.43%上昇、輸送グループは0.41%上昇している。家庭内食料品のIPCA指数は、5月の0.23%から0.33%に上昇、5か月連続で上昇している食肉のIPCA指数は1.32%上昇、6月の過去12か月間の累計では38.17%の大幅な値上がりを記録している。

6月の輸送グループのIPCA指数は0.41%、燃料グループは0.87%、過去12か月間では43.92%と大幅に上昇、ガソリン価格は0.69%、エタノール価格は2.14%、ディーゼル燃料価格は1.10%、自動車用ガスは0.16%それぞれ値上がりしている。

6月の衣類グループのIPCA指数は、1.21%上昇、そのうち履物は1.53%、男性用衣服は1.52%、女性用衣服は1.10%それぞれ上昇を記録している。

医療保険プラン加入者が2016年7月以降で最高(2021年7月5日付けヴァロール紙)

国家医療サービス監督庁(​ANS)の調査によると、2021年6月の民間医療保険プランの加入者は、昨年3月のCOVID-19パンデミック発生後の加速的に増加して、2016年7月以降では最大となる4,810万人に達している。

昨年3月のCOVID-19パンデミック発生後の民間医療保険プランの加入者は、失業率が高止まりしているにも関わらず、継続して加入を余儀なくされたが、過去1年間の民間医療保険プランの新規加入者は、140万人に達している

昨年4月の民間医療保険プランの州別加入状況比較では、今年4月のサンパウロ州、ミナス州並びにパラナ州での新規加入が大幅に増加している。

今年5月のブラジル国内の民間医療保険プランのうち歯科医療保険プランの加入者は、2,760万人と昨年5月との比較では230万人が新規加入者リストに加わっている。

ブラジルの医療保障制度は、1988年の憲法に規定されて、ブラジル全土に統一医療システム Sistema Único de Saúde(SUS)に網羅されているが、2億人を突破しているブラジル国民の全てをカバーするのは不可能であり、高額にも拘らず、民間医療保険プラン利用が不可欠となっている。

今年のインフレを6.07%に上方修正(2021年7月5日付けエスタード紙)

5日発表に中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.97%から6.07%に上方修正したが、1か月前の予想は5.44%であった。

また2022年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の3.78%から3.77%と若干下方修正を行ったが、1か月前の予想は3.70%であった。

2023年のIPCA指数は3.25%、2024年のIPCA指数は3.25%とそれぞれ据え置きにされたが、1か月前の予想は3.25%であった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されているが、6.07%予想は許容範囲上限値を大幅に突破している。

また2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、2022年は最低2.00%、最高5.00%に設定している。2023年の中央目標値は3.25%、最低1.75%、最高4.75%が設定されている。2024年の中央目標値は3.00%、最低1.50%、最高4.50%、各年のインフレ目標値は国家通貨審議会(CMN)によって設定されている。

また今年のGDP伸び率は、COVID-19ワクチン接種拡大や国際コモディティ価格の上昇に伴って、前回予想の5.05%から5.18%と11回連続で上方修正している。

今年初めの今年のGDP伸び率は3.4%に留まると見込まれていたが、過去数か月間の食料品や鉄鉱石などの国際コモディティ価格の上昇に伴って、輸出が好調に推移している。しかし2022年のGDP伸び率は前回予想の2.11%から2.10%と若干下方修正している。

今年末の政策誘導金利(Selic)は、前回同様6.50%の据置されたが、3月17日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を7ヶ月連続で過去最低の2.00%を維持していたにも関わらず、食料品並びに燃料価格が牽引しているインフレ圧力を抑制するために、一挙に0.75%引上げて2.75%の決定を余儀なくされた。その後5月並びに6月のCopom委員会でも連続して0.75%引上げていた経緯があった。2022年末のSelic金利は前回予想の6.50%から6.75%に引き上げている。

今年5月の鉱工業部門生産は前月比1.4%増加(2021年7月2日付けエスタード紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2021年5月の鉱工業部門生産は、2月~4月迄の3か月間連続のマイナスから一転して前月比1.4%増加を記録している。

5月の鉱工業部門生産レベルは、COVID-19パンデミック前の昨年2月の水準まで回復したにも関わらず、過去最高の生産レベルを記録した2011年5月の生産レベルよりも依然としてマイナス16.7%の水準に留まっている。

ブロードキャストプロジェクションの5月の鉱工業部門生産調査では、最低予想はマイナス1.0%、最高予想は3.30%増加、平均予想の1.60%を下回っている。

今年5月の鉱工業部門生産は、COVID-19パンデミックの影響で鉱工業部門の生産活動の操業停止や減速を余儀なくされていた前年同月比では24.0%と二桁増加を記録している.

ブロードキャストプロジェクションの5月の前年同月比との比較鉱工業部門生産調査では、最低予想は17.20%増加、最高予想は30.00%増加、平均予想は24.90%増加であった。

今年5月の鉱工業部門生産のセクター別比較では、食品セクターは前月のマイナスから2.9%増加、石油派生品・バイオ燃料セクターは前月のマイナス10%から3.0%増加、鉱業セクター2.0%増加を記録している。

また今年5月の金属セクターは3.2%増加、その他の化学製品セクターは2.9%増加、医薬品セクター8.0%増加、飲料セクター2.9%増加、衣類・アクセサリーセクター6.2%増加を記録している。

5月の鉱工業部門生産で依然として低迷しているセクターとして、ゴム・プラスティックセクターはマイナス3.8%、機械・装置セクターマイナス1.8%、繊維製品セクターはマイナス6.1%を記録している。

今年5月の鉱工業部門生産で前月比で増加に転じたセクターでも比較する4月の生産レベルが低いために増加している可能性をブラジル地理統計院(IBGE)の調査担当マネージャーは指摘している。

今年5月の鉱工業部門生産は前月比1.4%増加、前年同月比24.0%増加、今年初め5か月間では13.10%増加、5月の過去12か月間では4.9%増加を記録している。

前期同様資本財セクターは1.3%、76.7%、43.7%、14.1%それぞれ増加。中間財セクターはマイナス0.6%、18.1%、10.9%、5.8%それぞれ増加している。

消費財セクターは1.5%、27.0%、11.7%、1.8%それぞれ増加を記録。そのうち耐久消費財セクターはマイナス2.4%、149.4%、37.5%、6.3%それぞれ増加。非耐久消費財セクターは3.6%、13.2%、6.3%、0.7%それぞれ増加を記録している。

今年5月の正規雇用は28万人(2021年7月1日付けエスタード紙)

就労・失業者管理センター(Caged)の統計を基にした経済省の発表によると、2021年5月の労働手帳に記載される正規雇用は、28万666人を記録、今年初め5か月間の正規雇用総数は123万3,000人となっている。

今年5月の新規雇用総数は154万8,000人に対して、解雇総数は126万8,000人、昨年5月のCOVID-19パンデミックの影響を受けて、解雇数が雇用数を37万3,888人上回り、失業率が大幅に上昇していた。

今年5月の28万人の正規雇用はブラジル国内の経済回復に伴って、全ての州や産業部門で新規雇用が生まれている。特にCOVID-19パンデミックの影響を受けていたサービス部門で急回復しているとパウロ・ゲーデス経済相は強調している。

ブロードキャストプロジェクションの今年5月の正規雇用予想によると、最低予想は7万1,000人、最高予想は36万2,000人、平均予想15万7,500人の約2倍の正規雇用を記録している。

今年初め5か月間の正規雇用は、123万3,000人増加を記録した一方で、昨年同期はCOVID-19パンデミックの影響で、114万4,000人減少していた。

De acordo com o ministério, 3,485 milhões de trabalhadores seguiam com garantia provisória de emprego em maio. Para cada mês de suspensão ou redução de jornada no ano passado, o trabalhador tem o mesmo período de proteção à sua vaga.

Setores e regiões
O setor de serviços foi novamente o que mais gerou vagas em maio, com a criação de 110.956 postos formais, seguido pelo comércio, que abriu 60.480 vagas.
今年5月の部門別正規雇用では、サービス部門の正規雇用総数は11万956人で他の部門を圧倒、商業部門は6万480人、製造業部門は4万4,146人、農畜産部門は4万2,526人、建設業部門の正規雇用は2万2,611人を記録している。
A indústria geral abriu 44.146 vagas em maio, enquanto houve um saldo de 42.526 contratações na agropecuária. Na construção civil, foram criadas 22.611 vagas no mês.

No quinto mês do ano, todas as 27 unidades da federação tiveram resultado positivo. O melhor resultado foi registrado em São Paulo novamente, com a abertura de 104.707 postos de trabalho. O pior desempenho foi o de Roraima, com criação de 256 vagas.
また今年5月の州別正規雇用では、サンパウロ州の正規雇用は10万4,707人の一方で、ローライマ州の正規雇用は僅か256人だけに留まっている。今年5月の正規雇用者の平均給与は、1,797レアルと4月の1,873レアルよりも約75レアル減少している。

今年5月の連邦政府の公共負債はGDP比84.5%に微減(2021年6月30日付けエスタード紙)

中銀の発表によると、COVID-19パンデミック対応の緊急給付金(auxílio emergencial)の再支給などの連邦政府の臨時財政支出にも関わらず、2021年5月のブラジル政府の債務残高は、GDP比84.5%に相当する6兆6,960億レアルと僅かに減少している。過去最低の連邦政府の債務残高は、2013年12月に記録したGDP比51.5%であった。

COVID-19パンデミック対応の緊急給付金の支給は、今後数か月間に亘って支給されるために、連邦政府の債務残高は、継続して高止まりすると予想されている。今年4月の連邦政府の債務残高はGDP比85.6%であった。

今年5月の海外金融市場のボラティリティに対応する外貨準備金を除いたブラジル政府の純公共負債残高は、GDP比59.7%と4月のGDP比59.8%から僅かに減少の4兆7,300億レアルを記録している。

中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)を含む中央政府と地方政府(州政府・市町村)を併せたブラジル政府の財政プライマリー収支は、155億4,100万レアルの赤字を計上している。

昨年5月のブラジル政府の財政プライマリー収支は、COVID-19パンデミック対応の膨大な緊急財政支出並びに各種納税の先送りを余儀なくされた影響で、1,314億3,800万レアルの赤字を計上していた経緯があった。

今年5月の中央政府の財政プライマリー収支は、209億2,400万レアルの赤字を計上していた一方で、地方政府の財政プライマリー収支は、52億4,800万レアルの黒字を計上していた。

今年5月の地方政府の財政プライマリー収支52億4,800万レアルの黒字の内訳は、州政府は42億9,200万レアルの黒字計上、市町村は9億5,700万レアルの黒字計上、地方自治体の公社は1億3,400万レアルの黒字を計上していた。

今年初め5か月間のブラジル政府の財政プライマリー収支は、603億レアルの黒字を計上したが、昨年同期の財政プライマリー収支は、昨年3月から始まったCOVID-19パンデミック対応の緊急財政支出を余儀なくされた影響で、2140億2,100万レアルの赤字を計上していた。

今年2月~4月の四半期の平均失業率は14.7%を継続(2021年6月30日付けIBGEサイトより抜粋)

2021年2月~4月の四半期の平均失業率は、14.7%は前月に続いて同率で統計を取り始めた2012年以降では最高の失業率を更新、前年同四半期よりも2.1%増加、昨年11月~今年2月の失業率を0.4%上回っている。

今年2月~4月の四半期の労働に従事していない非労働人口は、前四半期比3.4%に相当する48万9,000人増加の1,480万人を記録、前年同四半期の1,280万人の15.2%に相当する190万人増加を記録している。

今年2月~4月の四半期の月間平均労働人口は、前四半期比同率レベルの8,590万人、前年同四半期比では、3.7%に相当する330万人と大幅に減少している。

今年2月~4月の四半期の労働人口に占める労働者の月間平均比率は、前四半期比では同水準の48.5%で推移した一方で、前年同四半期比の51.6%よりも3.1%減少している。

今年2月~4月の四半期の非労働人口は、前四半期比で同水準の7,640万人であったにも関わらず、前年同四半期比では、7.7%に相当する550万人と大幅に増加している。

同期の就職活動を諦めた人口は、前四半期比で同水準の600万人、前年同四半期比では、18.7%と大幅に増加している。労働人口に占める就職活動を諦めた比率は、前四半期比で同水準の5.6%であったが、前年同四半期比では4.7%から0.9%上昇している。

同期の民間部門の労働手帳に記載される正規労働者は、前四半期比で同水準の2,960万人であったが、前年同四半期比では、8.1%に相当する260万人の減少を記録している。

また同期の民間部門の非正規労働者は、前四半期比で同水準の980万人であったが、前年同四半期比では、3.7%に相当する37万4,000人の減少を記録している。

同期の自営業者は、前四半期比2.3%に相当する53万7,000人増加の2,400万人を記録、前年同四半期比では、2.8%に相当する66万1,000人増加を記録している。

今年2月~4月の四半期の家政婦人口は、前四半期比で同水準の500万人、前年同四半期比では、10.4%に相当する57万2,000人の二桁台の減少を記録している。

また同期の企業経営者人口は、前四半期比で同水準の380万人で推移したが、前年同四半期比では10.4%に相当する43万5,000人減少、全国法人登録台帳(CNPJ)を所持する自営業者は、2016年以降では最低の310万人まで減少、前年同四半期比では、10.2%に相当する35万3,000人の減少を記録している。

同期の非正規雇用は、労働人口の39.8%に相当する3,420万人と前四半期の39.7%よりも微増、前年同四半期は38.8%であった。またインフレ指数を差引いた月間平均収入は2,532レアル、総収入は2,123億レアルであったが、前年同四半期では5.4%に相当する121億レアルの減少を記録している。

連邦政府は外債発行で22億5,000万ドル調達(2021年6月29日付けエスタード紙)

国庫庁は償還期間が2031年9月12日のドル建ての外債Global 2031を15億ドル発行、金利クーポンは年利3.750%、利払いは毎年3月12日と9月12日となっている。

外債Global 2031は額面の98.948%で発行、投資家に対する利払いは3.875%となり、米国トレジャリーを上回る240.2ベーシスポイントのスプレッドに相当する。

昨年12月のグローバル債2030の再発行は、それまでの10年建て物の外国債発行の基準であり、投資家に対して年間3.450%の利回りを確保してた。

また国庫庁はグローバル債2050の発行で7億5000万ドルを調達、償還期間は2050年1月14日、年利は4.750%、利払いは毎年1月14日並びに7月14日、投資家のグローバル債2050の需要は40億ドルに達していた。

外債Global 2050は額面の97.333%で発行、投資家に対する利払いは4.925%となり、米国トレジャリーを上回る282.5ベーシスポイントのスプレッドに相当する。

昨年12月のグローバル債2050は今回と同じ外債の初めての再発行であるが、COVID-19パンデミックの影響を引きずっていたために、投資家に対して年間4.50%の利回りを確保していた。

今回のグローバル債2030並びにグローバル債2050の発行の幹事会社はBradesco BBI社, Goldman Sachs並びにHSBC銀行で7月7日で締め切られる予定となっている。

製造業部門の鉱工業部門に占める比率が減少(2021年6月29日付けエスタード紙)

自動車セクターや電機・電子セクターなどの製造業部門は、食料品セクターや飲料セクターを含む鉱工業部門に占める比率が減少して、付加価値の高い雇用の減少に結びついているとエコノミストは指摘している。

2008年~2018年の過去10年間の耐久消費財や資本財を生産する情報テクノロジーセクターや自動車セクターなどハイテク製造業部門が鉱工業部門に占める割合は、23.8%から18.7%と5.0%以上後退している。

製造業部門は、膨大な研究開発や投資にブラジル経済活性化を牽引する部門であり、大きな雇用並びに優秀な人材育成に欠かせない部門となっている。

一方伝統的に食品部門や飲料部門は、イノベーション技術や優秀なマンパワー育成にそれ程投資は行っていないにも拘らず、過去10年間の鉱工業部門に占める比率は、25.6%から35.0%と10.0%以上増加している。

また過去10年間の木材セクターや紙・パルプセクターなどの中間材生産部門の鉱工業部門に占める割合は、49.3%から44.4%に減少していると全国工業連合会(CNI)チーフエコノミストのRenato da Fonseca氏は指摘している。

2019年~2020年にかけての製造業部門の鉱工業部門に占める割合は更に後退、2014年から始まった経済リセッションから非工業化が始まったと工業開発分析研究所(Iedi)エコノミストのRafael Cagnin氏は指摘している。

製造業部門の後退の一方で、鉱業部門や農畜産部門のブラジルの主な輸出品の国際コモディティ価格の上昇に伴って、付加価値の低い鉱工業部門の比率が上昇してきている。

2008年~2018年の自動車部門の鉱工業部門に占める割合は、10.8%から7.4%に減少した一方で、食品部門は10.3%~18.0%と大幅に増加してきていると全国工業連合会(CNI)のRenato da Fonseca氏は指摘している。

過去10年間の農畜産部門の年間平均GDP伸び率は3.5%を記録、ブラジルの平均GDP伸び率は0.1%~0.3%増加した一方で、製造業部門の年間平均GDP伸び率は、マイナス1.6%と継続して大幅に後退している。