今年5月のブラジルの公的債務残高は1.61%増加の5兆1,000億レアル(2021年6月28日付けヴァロール紙)

2021年5月の連邦政府の対内公的債務残高は、前月比1.82%増加の4兆9,400億レアル、対外公的債務残高は、441億ドルに相当する2,307億5,000万レアルを記録している。

今年5月のインフレ指数を考慮しない名目公的債務残高は、前月比1.61%増加の5兆1,710億レアル、5月の国庫庁の年間ファイナンス計画では、今年の公的債務残高は5兆5,000億レアル~5兆8,000億レアルに修正されている。

今年5月のブラジル国債の発行総額は1,568億レアル、そのうち確定金利付きブラジル国債発行残高は、全体の45.56%に相当する714億3,000万レアル、インフレ指数連動の国債発行は、全体の40.15%に相当する629億5,000万レアルであった。
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今年5月のブラジル国債の平均償還期間は、3.78年と4月の3.79年より若干短縮、世界各国の国債の平均償還期間は、4月の5.08年から5.07年に若干短縮している。

海外投資家の今年5月のブラジル国債の所有比率は、4月の9.75%の4,729億5,000万レアルから9.87%の4,878億3,000万レアルと若干上昇を記録している。

5月の年金投資ファンドのブラジル国債比率は、4月の23.84%から23.16%に若干減少、前期同様金融機関の国債所有比率は29.96%から29.71%、外国政府系ファンドは4.06%から4.0%、保険機関の国債所有比率は、3.89%から3.83%とそれぞれ若干減少している。

今年のインフレ指数予想は許容上限値を突破(2021年6月28日付けエスタード紙)

28日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.90%から5.97%に12回連続で上方修正され、6.00%に接近してきている。1か月前の予想は5.31%であった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されているが、5.97%予想は許容範囲上限値を大幅に突破している。

中銀は2022年の目標中央値のIPCA指数は、前回同様3.78%に据え置かれた。また2023年並びに2024年の目標中央値のIPCA指数は、3.25%に据え置かれている。

また2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、2022年は最低2.00%、最高5.00%に設定している。2023年の中央目標値は3.25%、最低1.75%、最高4.75%が設定されている。2024年の中央目標値は3.00%、最低1.50%、最高4.50%、各年のインフレ目標値は国家通貨審議会(CMN)によって設定されている。

2020年のインフレ指数のIPCAは、食料品高騰が牽引して4.52%と連邦政府の目標中央値4.00%を突破、2016年以降のインフレ指数では、最高のインフレを記録していた。

今年の政策誘導金利(Selic)は、前回同様6.50%に据え置いている。3月17日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を7ヶ月連続で過去最低の2.00%を維持していたにも関わらず、食料品並びに燃料価格が牽引しているインフレ圧力を抑制するために、一挙に0.75%引上げて2.75%の決定を余儀なくされた。その後5月並びに6月のCopom委員会でも連続して0.75%引上げていた経緯があった。2022年末のSelic金利は6.50%が予想されている。

今年のGDP伸び率は、前回予想の5.00%から5.05%と僅かに上方修正、2022年のGDP伸び率は2.10%から2.11%に微増したが、1か月前の予想は2.25%であった。

今年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想の6.20%から6.23%微増、1か月前の予想は5.5%であった。2022年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想2.43%から2.36%に下方修正、1か月前の予想は2.30%であった。

今年の連邦政府の財務残高は、前回予想のGDP比62.10%から61.60%と下方修正したが、1か月前の予想はGDP比63.20%であった。2022年の財務残高はGDP比64.22%から63.40%と下方修正されている。1か月前の予想はGDP比65.65%であった。

6月のインフレ指数IPCA-15は0.83%を記録(2021年6月25日付けエスタード紙)

2021年6月の5月16 日~6月15 日までの30 日間に計測されたインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、前月の0.44%増加から倍増に相当する0.83%増加を記録したとブラジル地理統計院(IBGE)は発表している。

今年6月の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)の0.83%増加した要因として、ガソリン並びに電力料金値上げがそれぞれ0.17%押し上げる結果となっている。

今年4月~6月の四半期の累計IPCA-15指数は1.88%を記録した一方で、COVID-19パンデミックの影響を受けていた昨年4月~6月の四半期の累計IPCA-15指数はマイナス0.58%を記録、今年上半期の累計IPCA-15指数は4.13% 6月の過去12か月間の累計IPCA-15指数は8.13%を記録している。

今年6月の住居費は1.67%と5月の0.79%から大幅に増加、特に電力エネルギーの値上げが牽引、旱魃による水力発電所危機の影響で火力発電所の稼働を余儀なくされているために、100 kWh当たりの赤旗1の追加料金4.169レアルから赤旗2は6.243レアルとなっている。

また6月の公共輸送のインパクトは1.35%を記録したが、5月はマナス0.23%であった。ガソリン価格は2.86%と最も低い値上げりに留まったが、自動車用ガスは12.41%、エタノール9.12%、ディーゼル油3.53%それぞれ値上している。

6月の食料品・飲料値上がりは0.41%と5月の0.48%から微減、一般家庭の食料品値上がりは0.15%と5月の0.50%よりも大幅に減少している。衛生・日用品は5月の1.23%増加から0.53%増加に留まっている。

5月の経常収支黒字は38億4,000万ドル(2021年6月25日付けエスタード紙)

中銀の発表によると、2021年5月のブラジルの経常収支は、農畜産物の輸出並びにドル高の為替が牽引して、4月の53億5,900万ドルの黒字に続いて38億4,000万ドルの黒字を計上している。

今年5月の貿易収支は、COVID-19パンデミックの影響を受けた前年同月比では157.7%と大幅増加の81億2,900万ドルの黒字を記録している。

2020年末から中国を中心に鉄鉱石や食肉などの国際コモディティ商品の価格上昇並びにレアル通貨に対するドル方の為替は輸出促進の一方で、輸入にブレーキをかける効果となっている。

今年初め5か月間のブラジルの経常収支は、62億1,300万ドルの赤字を計上しているにも関わらず、昨年同期の経常収支赤字240億7,400万ドルの約4分の1まで縮小している。中銀では今年のブラジルの経常収支は、30億ドルの黒字を予想している。

今年5月の海外投資家による対内直接投資は、12億2,900万ドルを記録したが、中銀が予想していた23億ドルの対内直接投資の約半分に留まっている。今年初め5か月間の対内直接投資は、前年同期比30%増加している。

今年初め5か月間の対内直接投資は、国内経済の回復に伴って224億8,200万ドルと前年同期の173億3,300万ドルよりも50億ドル増加、中銀では、今年の対内直接投資を600億ドルと見込んでいる。

今年5月のブラジル人の国際旅行収支は、1億3,900万ドルの赤字を計上したが、昨年5月の国際旅行収支は、8,700万ドルの赤字を計上していた。

リラ下院議長は、7月の郵便公社の民営化、9月の行政改革を示唆(2021年6月24日付けエスタード紙)

アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は、今年7月末までの郵便公社の民営化の国会での審議、9月初めまでの行政改革案の上院議会への提示を約束している。

24日国会では、ジャイール・ボルソナロ大統領が約束していた個人所得税の控除限度額拡大による課税率改定に関するプロジェクトを待っている。

郵便公社の民営化に関する最終テキストは、報告書作成者のGil Cutrim議員 (共和者党Republicanos-MA) が今週中に完了、来週から下院議会で議論を開始するとリラ下院議長は説明している。

また国会が休会する前日の7月17日までに修正テキスト案で合意に漕ぎ着け、直ちに最終テキスト案を上院議会に送るスケジュールをリラ下院議長は説明している。

郵便事業を独占している郵便公社は、軍部が政権を握っていた1969年に設立されたが、今年2月に国会に郵便公社の民営化を可能にする法案を提出していた経緯があった。

行政改革に関する憲法改正案(PEC)は、下院の特別委員会で議論されているが、9月上旬までには合意に達し、直ぐに上院に最終テキストを送れるとリラ下院議長は楽観視している。

ジャイール・ボルソナロ大統領は、個人所得税の控除額引き上げを約束していたが、現在の個人所得税の控除限度額の1900レアルを2500レアルに引き上げる可能性がある一方で、個人向け利益・配当金の税率引き上げの可能性が検討されている。経済省では法人向け所得税の減税も検討している。

連邦政府は税制改革は第一段階として、初めに連邦税の消費に関する社会保障賦課金(Cofins)並びに社会統合基金(PIS)の統一で、企業向けに財サービス関連オペレーションに12%、金融機関に5.8%を社会負担金として財・サービス納付金(CBS)をかける案を国会に送っている。

与党は賃貸料調整のインフレ指数変更に反対(2021年6月23日付けエスタード紙)

ショッピングセンターのテナント代調整の基準となる今年5月の過去12か月間のインフレ指標の一つである総合市場物価指数(IGP−M)は37.0%を大幅な上昇を記録している。

しかし連邦政府の公式インフレ指数である5月の過去12か月間の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、8.0%に留まっているために、テナント契約者は賃貸料支払いに苦慮しているために、賃貸料調整をIGP−MからIPCA指数への変更を要請している。

一方、ショッピングセンターや商業ビルなどのテナントオーナーや連邦政府は、安易な賃貸料調整の指数変更は、海外投資家のブラジル国内の建設不動産部門への意欲を削ぐと反対しており、賃貸料の自由交渉を支持している。

Vinicius Carvalho下院議員 (Republicanos-SP)による賃貸料調整の指数変更案件は、ショッピングセンターのオーナーや不動産ファンドを管理する金融機関関係者の反対で、下院議会で止まっている。

COVID-19パンデミックの影響で、売上が壊滅的に減少しているテナント賃貸者にとって総合市場物価指数(IGP−M)による賃貸料調整は不可能とVinicius Carvalho下院議員と指摘している。

1991年の賃貸料に関する法令では、賃貸料調整は特定のインフレ指数の採用を指定していないにも拘らず、不動産業界では総合市場物価指数(IGP−M)による賃貸料調整は伝統的に慣例となっている。

今年5月の過去12か月間の総合市場物価指数(IGP−M)が37.0%と大幅上昇した要因として、レアル通貨に対するドル為替の高騰並びに国際コモディティ価格の高騰が挙げられる。

IGP-M指数の60%は卸売物価指数で生産者の生産コストを左右する。また30%は一般消費者の物価指数、固法の10%は建設業部門のインフレ指数で構成されている。

IPCA指数は、ブラジル国内の大都市の消費者の400アイテムの物価指数で構成される公式インフレ指数、ブラジル国債の利率の基準となる指数。

医療保健業界の再編加速(2021年6月23日付けエスタード紙)

医療保健部門の企業の買収や統合は加速し続けており、規模の大きな医療保健企業は最大の効率を求めて企業買収に走っており、また医療サービス提供企業は、サービスの補完性確保を追求している。

今年6月だけでも病院ネットワーク、医療センター並びにラボラトリー業界では5件で23億レアルに達する買収案件が成立して業界再編が加速してきている。

2020年末から医療業界では、Rede D’Or社の新規株式公開IPOによる113億レアルの資金調達を含めて、サンパウロ証券取引所B3では252億レアルの資金調達が行われている。

医療保健業界では、新規株式公開での資金調達ができないKora Saúde社やAthena社などの中小規模グループは、投資家や自社の持ち株主に融資の要請を行っている。Viveo社は今年4月の予定していたIPOが不成立となったために、運転資金調達のために億レアルの社債を発行している。

医療保健業界の医療サービス提供企業が扱っている製品が輸入非であるために、レアル通貨に対するドルの為替高騰やインフレ上昇にも拘らず、価格転嫁が出来にために収益圧迫を余儀なくされている。

健康保険、クリニック並びに病院に至るまでの垂直型の一貫したサービス提供は、コスト削減のための最も効率的な戦略であることが証明されており、業界再編に拍車はかかっている。

ノートルダム・インターメディカ社やHapvida社などの主要な医療保健グループは、効率化を図るために積極的に企業買収を行ってマーケットシェア争いを展開している。

業界再編による川上から川下までの事業統合による効率化アップで、独自のネットワークを擁する病院の事故率は、2016年の95%から2019年には89%に低下して大幅に効率アップ、独自のネットワークを持たない病院でも、88%から84%に低下している。

ノートルダム・インターメディカ社並びにHapvida社の合併は、ミナス州ベロ・オリゾンテ市やサンパウロ州カンピーナス市の医療保健分野を独占しているUnimed社に対抗できるとÓrama Investment Banking社のAleardo Veschiパートナーは指摘している。

ベロ・オリゾンテ市のUnimed社は、病院並びに医療スタッフの水準はブラジルでも比類がない程に高いが、過去2年間でノートルダム・インターメディカ社並びにHapvida社は病院を買収して進出、Rede D’Or社も最高級レベルの病院を買収、Mater Dei社は株式公開して進出を図っている。
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医療保健業界では、ブラジル人の生活向上に伴って需要が拡大してきており、農畜産業界が好調な中西部地域のクイアバ市やカンポ・グランデ市に先を争って進出、Unimeds社がマーケットシェアを握っている南大河州に、Intermédica社は進出、またサンタ・カタリーナ州フロリアノポリス市にも足場を築いている。

最終フォーカスレポートでは、今年のインフレ指数は許容上限値突破予想(2021年6月21日付けエスタード紙)

21日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年の国内総生産(GDP)伸び率は、世界経済の回復並びにブラジルの輸出を牽引する食料品、鉄鉱石や原油などの国際コモディティ商品価格の上昇で、前回予想4.85%から5.00%大幅修正、1か月前の予想は3.52%であった。

しかし2022年のGDP伸び率は、前回予想の2.20%から2.10%に下方修正している。6月1日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、今年第1四半期のブラジルのGDP伸び率は、前四半期比1.2%増加を記録している。

今年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想の6.11%から6.20%に上方修正したが、1か月前の予想は5.50%であった。2022年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想の2.50%~2.43%に下方修正、1か月前の予想は2.30%であった。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.82%から5.90%に11回連続で上方修正、1か月前の予想は5.24%であった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されているが、5.90%予想は、許容範囲上限値を大幅に突破している。

また2022年のIPCA指数は、前回同様3.78%の据え置かれたが、2022年のIPCA指数の中央目標値は、3.50%を上回っている。1か月前の予想は3.67%であった。2023年のIPCA指数は3.25%予想となっている。

今年末の政策誘導金利(Selic)は、前回予想6.25%から6.50%に上方修正、中銀は今年3月にSelic金利を過去最低の2.00%から2.75%、5月に3.50%、6月に4.25%に引き上げていた。

上院議会はEletrobras民営化暫定令を僅差で承認(2021年6月18日付けエスタード紙)

今月17日、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)民営化のための暫定令は上院議会で、賛成票42票、反対票37票の僅差で承認されたが、MPの法令化期限22日の1日前の21日に下院議会での承認を得る必要がある。

今年2月23日付け官報に掲載されたブラジル中央電力公社(Eletrobras)民営化のための暫定令MP1031号/21は、5月19日に下院議会で賛成票313票、反対票166票で承認されたが、MPの法令化には、6月22日までに上院議会での承認を得なければならない。

暫定令MPのオリジナルテキストは、下院議会並びに上院議会で理解しがたい要求を含めたテキストの変更されたために、今後長期にわたって一般消費者や企業の電力エネルギーコストは840億レアルに相当すると見込まれている。

5月19日に下院議会で承認されたブラジル中央電力公社(Eletrobras)民営化のための暫定令MP1031号/21のテキストには、コストの非常に高い火力発電所や小型水力発電所(PCHs). の建設が義務付けされており、一般消費者にとって電力エネルギー料金値上げに繋がる。

エレトロブラス公社の株式の60%は連邦政府が所有して、経営権を握っているが、民営化後の株式所有比率は45%まで減少するものの、継続して保留する45%の株式はゴールデンシェアと呼ばれる特別優先株であり、経営審議会で拒否権を発動できる。

民営化のための暫定令MP1031号/21のテキスト内容には、一般消費者に対する電力料金値下げに繋がる可能性は少なく、火力電力に依存する割合が少ない北東部地域の電力料金値上げ比率が大きい。

Elmar Nascimento下院議員 (DEM-BA)による暫定令MP1031号/21の主なテキスト内容の変更として、下院では6ギガワットであったが、上院では更に8ギガワットに変更、火力発電所との契約義務は天然ガスパイプライン網の少ない北東部地域、北部地域並びに中西部地域の入札で行われる。

しかし連邦政府は、エレトロブラス公社の民営化で電力エネルギー料金は最大7.36%安くなると説明しているにも拘らず、計算方法の根拠の詳細は提示していないが、テキストは来週下院議会での新たな分析が必要となっている。

パウロ・ゲーデス経済相が率いる経済省では、今まで連邦公社の民営化は何一つ実現していない一方で、航空管制を担当する銀部関連のNAV公社を設立している。

貯水ダム面積が3キロ平方メートル以下の発電能力が50メガワットまでの小型水力発電所(PCHs)入札では、2026年までに40%を契約、コンセッション契約期間は20年間が予定されているが、一般消費者への価格転嫁を余儀なくされると予想されている。

ローライマ州を国家電力統合システム(SIN)に統合するアマゾナス州マナウス市とローライマ州ボアビスタ市を結ぶ電力送電工事開始に対して、連邦政府は、ブラジル環境・再生可能天然資源院(Ibama)及び国立インジオ保護財団(Funai)を無視する形でゴーサインを出している。