6月のブラジル政府の負債総額は5兆8,000億レアル(2022年7月27日付けヴァロール紙)

2022年6月のブラジル政府の公的負債総額(DPF)は、5月の5兆7,020億レアルから5兆8,450億レアルと1,400億レアル以上増加を記録、今年の年間ファイナンスプランの許容範囲6兆~6兆4,000億レアルを下回っている。

またブラジル政府の6月の対内債務残高は、5月の5兆4,750億レアルから5兆5,950億レアルと1,200億レアルも増加を記録している。一方6月の対外債務残高は、5月の478億5,000万ドルから477億6,000万ドルと僅かに減少を記録している。

6月の国庫庁によるブラジル国債発行総額は713億4,000万レアルに対して、ブラジル国内の償還総額は僅か40億1,000万レアルに留まり、償還総額を差引いた純国債発行残高は、673億3,000万レアルを記録している。今年6月の過去12か月間の累積国債発行総額は、国債発行総額の23.11%と5月の23.37%から若干減少している。

6月のブラジル国債の平均償還期間は、5月の3.95年から3.88%年に縮小、6月の世界の平均償還期間Average Term to Maturityは、5月の5.27年から5.20年に縮小している。

今年6月のブラジル国債発行のうち後付け変動金利国債比率は、5月の36.80%から36.69%と若干減少、今年の後付け変動金利国債比率は38.0%~42.0%が予想されている。

また6月のブラジル国債発行のうち確定金利付き国債発行比率は、5月の27.21%から27.23%とほぼ同率で推移 、インフレ指数連動国債の発行比率は、5月の31.8%から31.55%ほぼ同率で推移 、為替連動国債発行比率は、5月の4.18%から4.53%に上昇している。

6月のブラジル国債への海外投資家の投資比率は、5月の9.09%から8.92%と若干減少、投資総額は5月の4,976億8,000万レアルから4,993億2,000万レアルと若干増加している。

今年6月の投資ファンドがブラジル国債に占める割合は、5月の23.19%から23.60%と微増、年金関連金融機関は23.0から22.32%と微減、一般金融機関は29.61%から30.14%と微増している。

今年4月のリボ払いクレジットカード年利は364%(2022年7月27日付ヴァロール紙)

ブラジル銀行協会連盟(Febraban)によると、2022年4月のブラジル国内のリボ払いのクレジットカードの年利は、前月比4.9%上昇の364%と天文学的な数字に達しており、クレジットカード利用時には最新の注意を払う必要がある。

リボルビングクレジットラインはカードで事前承認されており、支払い方法のクレジット機能で行われた引き出しも含まれている。 顧客のが支払い不能のデフォルトが発生した場合、銀行は未払いの残高を分割払いするか、30日以内により有利な条件で債務を決済する別の方法を提供する救済措置をとる必要がある。

一方今年4月のカードの分割払いの年利は、前月比171.7%から175.1%と3.0%以上上昇しており、銀行が与信審査なしで自動的に貸してくれる特別小切手税と呼ばれる口座借越残の年利は、3月の127.8%から132.7%と一挙に約5.0%上昇している。

今年4月のブラジル銀行システムのクレジットオペレーションの平均年利は、3月の26.7%から27.7%と1.0%上昇、4月の過去12か月間では、7.3%と大幅に金利が上昇している。

また今年4月の法人向け平均年利は18.7%から20.2%に上昇、個人向け平均年利は31.4%から32.1%に上昇している。クレジット先が自由に選択できる平均貸付年利は、37.4%から38.1%に上昇している。

また商業銀行の4月の平均スプレッドは、3月の17.0%から17.6%に上昇、個人向けクレジットオペレーションのスプレッドは、22.2%から22.8%に上昇、法人向けクレジットオペレーションのスプレッドは、8.2%から8.7%に上昇している。

今年上半期のブラジルの電力エネルギー消費は前年同期比1.4%増加(2022年7月27日付ヴァロール紙)

ブラジル電力取引市場(CCEE)の統計によると、2022年上半期のブラジル国内市場の電力エネルギー消費は、飲料部門、食品部門並びにサービス部門の経済活動の回復に伴って前年同期比1.4%増加の6万6028メガワットを記録している。

今年上半期の販売先が限定されていない自由市場向け電力エネルギー消費は6.6%増加の2万3428メガワットと電力エネルギー需要の35.5%を占めていた。

一方電力エネルギー供給先が限定されている特定市場向け電力エネルギー消費はマイナス1.3%に相当する4万2599メガワットを記録している。

国家電力庁(Aneel)の発表によると、2021年のブラジル国内の電力エネルギー発電供給不足に陥る危険性を避けるために、旱魃による水力発電所の貯水ダムの水位低下を補う目的で、コスト高の火力発電所の稼働を余儀なくされていた経緯があった。

今年第2四半期のオンライン販売は2018年同期以降では最低(2022年7月26日付ヴァロール紙)

MCC/Neotrust社の調査を基にした Goldman Sachs銀行のレポートによると、2022年第2四半期のオンライン販売前年同期比マイナス4.2%を記録、調査を始めた2018年以降では初めて第2四半期のオンライン販売が前年同期比を下回った。

今年6月のオンライン販売は前年同期比マイナス5.7%を記録、5月のマイナス1.0%、4月のマイナス6.4%と3ヶ月連続で前年同月比割れを起こしてオンライン販売が停滞している。

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS) を基にしたコンサルタント会社 Ebit社によると、今年のオンライン販売は小売業全体の14.0%と昨年の13.5%ヨロも0.5%上昇すると予想されているが、調査開始の2018年以降では最低の伸び率に留まると予想されている。

COVID-19パンデミック前の2019年のオンライン小売販売は前年比7.0%増加、2021年は13.5%と二桁台の伸び率を記録、2023年のオンライン小売販売は小売販売全体の16.0%に達すると予想されている。

Neotrust社では、数か月前の今年のオンライン小売販売は8.0%増加を予想していたが、今月には5.0%増加に下方修正したが、店頭の小売販売の伸び率予想3.5%~4.0%増加を上回ると予想、10月の大統領選に向けて人気を取ろうとするための従来の貧困家庭向け現金給付策「ボルサ・ファミリア」に代わる社会福祉政策「アウシリオ・ブラジル」 の600レアルへの増額で店頭の小売販売増加が期待されている。

今年第2四半期のオンライン販売のデータ分析では、インフレや金利の高止まり、購買力の低下などの要因で、付加価値の高い耐久消費財向け需要の減速と購買力の低下を招いている。耐久消費財小売企業から直接GfKBrasilが毎月収集したデータによると、オンライン販売の総売上高に占める割合は、過去数か月は約45%で安定、残りの55%は実店舗での販売。COVID-19パンデミックが発生した2020年の耐久消費財のオンライン販売は50%以上を占めていた。

Americanas社とMagazineLuiza社は、今年第2四半期に、メルカドリブレの半分の速度でマーケットプレイスでの売上を拡大すると予測。メルカドリブレが第2四半期に総取引売上高(GMV)で17%増加すると予測している。

7月のIPCA-15 指数は燃料並びに電力エネルギー料金値下げが牽引して0.13%と大幅減少(2022年7月26日付ヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、26月16 日~7月15 日までの30 日間に計測された2022年7月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、6月の0.69%から燃料並びに電力エネルギー料金値下げが牽引して0.13%と大幅に減少している。

ヴァロールデーター社の32金融機関を対象とした7月の IPCA-15指数予想では、最低予想はマイナス0.12%、最高予想は0.34%平均予想は0.16%増加であった。

IPCA-15指数調査では、7月の燃料価格はマイナス4.88%、特にガソリン価格はマイナス5.01%、エタノール燃料価格はマイナス8.16%とそれぞれ大幅な値下げが行われた一方で、ディーゼル燃料価格は7.32%値上げされている。

7月のIPCA-15指数調査のうち輸送部門はマイナス1.08%、7月のIPCA-15指数の0.13%うちマイナス0.24%を占めている。2021年7月のIPCA-15指数は0.72%、2020年は0.02%であった。

また7月の電力エネルギー部門はマイナス4.61%を記録、特にゴイアス州の電力エネルギーの州税の柱である商品サービス流通税(ICMS) が6月23日から29%から17%引き下げられた影響で、ゴイアニア市の電力料金は12.02%値下げされている。

またパラナ州都クリチーバ市の電力エネルギー料金はマイナス10.28%、南大河州都ポルト・アレグレ市はマイナス10.19%、バイア州都サルバドール市はマイナス6.90%を記録している。

今年7月の IPCA-15の部門別比較では、住居部門は6月の0.66%増加から一転してマイナス0.78%、日用品部門は0.94%から0.39%、衣類部門は1.77%から1.39%、健康保健・パーソナルケア部門は1.27%から0.71%、情報通信部門は0.36%からマイナス0.05%とそれぞれ大幅に減少したが、教育部門は2ヶ月連続で0.07%増加を記録している。

 

今年3月の経常収支は28億ドルの赤字計上も過去5年間では最低の赤字(2022年7月25日付エスタード紙)

ブラジル中央銀行のストライキの影響で、各種統計の発表が遅れているが、2022年3月のブラジルの経常収支は27億6,000万ドルの赤字を計上したにも関わらず、3月としては、2017年3月の1億8,550万ドルの黒字以降では最低の赤字を記録している。

今年3月の海外投資家による対内直接投資は75億ドルを記録して、今年3月のブラジルの経常収支赤字27億6,000万ドルをカバーしても約50億ドルの黒字を計上する程の対内直接残高を記録している。

ブロードキャストプロジェクションでは、今年3月の経常収支の最低予想は40億ドルの赤字、最高予想は15億ドルの黒字、平均予想は4億ドルの黒字を予想していた。

今年3月の経常収支の内訳は、貿易収支は61億ドルの黒字。サービス部門収支は22億ドルの赤字、第一次所得収支は69億5,000万ドルの赤字、ファイナンス収支は36億ドルの赤字を計上していた。

今年第1四半期の経常収支は131億ドルの赤字計上、6月の四半期インフレレポートによると連邦政府は今年の経常収支を40億ドルの黒字を予想している。

今年3月の過去12か月間の累積経常収支はGDP比1.41%に相当する235億ドルの赤字計上、2021年8月のGDP比1.40%の赤字以降では最低の赤字比率を記録している。

今年3月の対内直接投資残高は、76億ドルと昨年3月の70億ドルを上回っている。ブロードキャストプロジェクションの最低予想は45億ドル、最高予想は131億ドル、平均予想は65億ドルであった。

今年第1四半期の累積対内直接投資残高は241億ドル、中銀では今年の対内直接投資を550億ドルと予想、6月の四半期インフレレポートによると今年3月の過去12か月間の累積対内直接投資残高は、GDP比3.08%に相当する512億5,000万ドルを予想している。

 

最終フォーカスレポートでは、今年のインフレを7.30%に下方修正(2022年7月25日付エスタード紙)

25日の中央銀行の最終フォーカスレポートの発表によると、2022年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA) は、連邦政府による燃料及び電力エネルギーに対する減税による値下げが功を奏して、前回予想の7.54%から7.30%と大幅に下方修正しているが、1ヶ月前の予想は8.27%であった。

一方2023年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.20%から5.30%と16週間連続での上方修正されたが、1か月前の予想は4.91%であった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、2022年は最低2.00%、最高5.00%に設定している。2023年の中央目標値は3.25%、最低1.75%、最高4.75%が設定されている。各年のインフレ目標値は国家通貨審議会(CMN)によって設定されている。

最終フォーカスレポートでは、2024年のIPCAは2週連続の据置となる3.30%、1か月前の予想は3.25%、2025年のIPCA指数は前回同様3.00%と54週連続で据え置かれている。2024年及び2025年のIPCA指数の中央目標値は3.0%、許容範囲は1.50%から4.50%に設定されている。

先月の中銀の通貨政策委員会(Copom)は今年のインフレ指数を8.80%、2023年は4.0%、2024年は2.70%にそれぞれ設定、政策導入金利(Selic)は0.50%引上げて13.25%に決定していた。

今年末のSelic金利は5週連続で据え置きとなる13.75%を予想、1ヶ月前の予想は13.75%、2023年末のSelic金利は10.75%、1か月前の予想は10.25%であった。2024年末のSelic金利は8.00%、1か月前の予想は7.75%であった。

今年のGDPは、PEC Kamikaze(神風憲法補足法案) 及びブラジル国内経済の回復に伴って、前回予想の1.75%から1.93%を大幅に上方修正されたが、1か月前の予想は1.50%であった。また2023年のGDP伸び率は、前期予想の0.50%から0.49%に微減、1か月前の予想は0.50%であった。

2024年のGDP伸び率は、前回予想の1.80%から1.70%に下方修正、1ヶ月前の予想は1.80%であった。2025年のGDP伸び率は、前回同様2.00%に据え置かれたが、1か月前の予想も2.00%であった。

6月の国庫庁の歳入総額は前年同月比18.0%増加の1,810億レアル(2022年7月21日付けエスタード紙)

2022年6月の国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比17.96%増加の1,810億4,000万レアルを記録、6月としては1995年以降では過去最高を記録している。

今年6月の国庫庁の歳入総額が過去最高を更新した要因として、法人所得税(IRPJ)及び純益に対する社会納付金(CSLL)が、前年同月比37.47%増加の342億7,000万レアルが牽引している。

また今年初め6か月間の実質累積歳入総額は、前年同期比11.0%増加の1兆890億レアルを記録、上半期の累積歳入総額も1995年以降では過去最高を記録している。今年6月の国庫庁のインフレ指数を差引かない名目歳入総額は、前年同月比31.98%増加の1,371億6,900万レアルに達している。

今年6月の実質一般歳入総額は17.12%増加の1,743億200万レアル、名目歳入総額は31.05%増加、今年上半期の実質累計一般歳入総額は9.0%増加の1兆240億レアル、名目累計一般歳入総額は21.31%増加を記録している。

6月の石油などの実質臨時歳入総額は44.73%増加の67億3,800万レアル、名目臨時歳入総額は61.93%増加を記録している。また今年上半期の実質臨時歳入総額は、56.73%増加の646億700万レアルであった。

連邦政府は、今年初め6カ月間に累計396億3,000万レアルを免税、昨年上半期の免税総額317億5,300万レアルを80億レアル上回っている。また6月の免税総額は100億5,700万レアルであった。

過去10年間で鉱工業部門は9,600社と100万人の雇用喪失(2022年7月21日付けIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2011年~2020年の10年間にブラジルの鉱工業部門は3.1%に相当する9,579社及び11.6%に相当する100万人に相当する雇用を喪失、100万人の雇用喪失の内訳は鉱業部門が5,747人、製造業部門が99万8,200人となっている。

また2019年~2020年の2年間の鉱工業部門は0.9%に相当する2,865企業が消滅した一方で、新規雇用は0.5%に相当する3万5,241が創出されている。

2020年の鉱工業部門の売上総額は4兆レアルに達したが、製造業部門が全体の93.1%を占めていた。過去10年間の鉱工業部門のうち食品関連部門の売上総額は5.9%増加の24.1%を占めて牽引しており、2019年~2020年の2年間では約3.6%の鉱工業部門シェアを拡大している。

また鉱工業部門のうち自動車関連部門は過去10年間で4.9%のシェアを拡大、2011年の鉱工業部門シェア7.1%から2020年は12.0%に上昇している。

2020年の鉱工業部門のうち鉱業部門の売上シェアは全体の6.9%を占めているが、特に金属鉱物関連部門は4.7%、石油・天然ガス部門は1.4%のシェアを占めている。

2020年の鉱工業部門の雇用総数は770万人、そのうち製造業部門は97.4%を占めていた。2011年~2020年の10年間にブラジルの鉱工業部門は11.6%に相当する100万人に相当する雇用を喪失したが、ピーク時の2013年比では15.3%の雇用喪失となっている。

2011年~2020年の10年間のブラジルの鉱工業部門の最も雇用喪失したのは、繊維・衣類・アクセサリー部門で25万8,400人、また皮革・旅行用品・履物関連部門は13万8,100人、機械・装置を除く金属製品部門は13万4,200人の雇用喪失を記録している。

メルコスールがシンガポールとのFTA交渉妥結(2022年7月21日付ヴァロール紙)

7月20日、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ及びウルグアイの4カ国代表で構成する共同市場審議会(CMC)は、メルコスールが対外共通関税率引き下げで合意、またシンガポールとの自由貿易協定(FTA)の交渉も妥結したと発表している。

ブラジル政府はシンガポールとのFTA締結成立で、ブラジル及びメルコスールから東南アジア地域及び太平洋地域への製品輸出の橋頭堡になると諸手を挙げて歓迎している。

メルコスールとシンガポールとのFTA交渉は4年前から開始されていたが、COVID-19パンデミック開始で交渉が非常に遅れていたが、COVID-19パンデミック軽減に伴って過去数か月間で交渉が加速していた経緯があった。

メルコスールとシンガポールとの自由貿易協定(FTA)が締結すれば二国間貿易の約90%の輸入関税が免除されるために、二国間貿易及び東南アジア及び太平洋地域への貿易が加速すると予想されている。

メルコスールとシンガポールとのFTA合意による関税撤廃で、投資の促進、サービスの開放、電子商取引ルール緩和で、これらの3分野が活性化すると自由貿易協定(FTA)担当者は説明している。

シンガポールは米国やヨーロッパ連合を含む27国や地域とを締結しており、またCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、オーストラリア、ニュージーランド、日本、メキシコ、ペルーやチリと既にFTAを締結している。

シンガポールからブラジルへの直接投資残高は、約100億ドルに達する。ブラジルへのシンガポール企業として、造船業界ではKeppelOffshore社およびJurongShipyard社、空港運営企業ではGaleão国際空港を運営しているChangi社、パルプ業界ではBracell社が大型投資を行っている。