今年第1四半期のペトロブラスの純益は前年同期比約38倍に相当する445億6,000万レアルを記録(2022年5月6日付ヴァロール紙)

2022年第1四半期のペトロブラス石油公社の純益は、、石油の国際コモディティ価格の上昇、原油輸出の記録更新、液化天然ガスの輸入コストの減少並びにディーゼル燃料の売上マージン増加などの要因で、前年同期比3,718%に相当する445億6,000万レアルを記録している。

今年第1四半期の記録的な純益は洗練された企業を反映しており、連邦政府、州政府並びに市町村向け税支払い、ロイヤリティ並びに配当金支払いは純益の1.5倍に相当する700億レアルに達しているとペトロブラスのJosé Mauro Coelho総裁は説明している。

ペトロブラスは税関連支払い以外に、優良株及び普通株の1株当たりの配当金は3.7155レアルを支払い、配当金総額は485億レアルに達している。

今年第1四半期の売上総額は、前年同期比64.4%増加に相当する1,416億4,000万レアルに達している。また税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので、総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示す(Ebitda) は、58.8%増加の777億1,000万レアルを記録している。

今年3月末のペトロブラスの負債総額は昨年12月末のEbitdaの1.09倍から0.81倍に縮小、1年前の昨年3月末の2.03倍から半分以下に縮小している。またドル換算による負債総額は、1年前の584億2,000万ドルから401億ドルと180億ドル以上減少している。

今年3月末のペトロブラスの手持ち資金は、前年同期比41.0%増加に相当する876億レアルに増加している。

4月の貿易収支は13.9%減少の81億ドルの黒字計上(2022年5月5日付ヴァロール紙)

経済省通商局(Secex)の発表によると、20224月のブラジルの貿易収支は、前年同月比マイナス13.9%の814,800万ドルの黒字に留まったが、今年初め4か月間の累計貿易収支は、前年同期比10.5%増加の1994,700万ドルの黒字を計上している。

今年4月の輸出総額は、前年同月比16.7%増加の289200万ドルを記録した一方で、輸入総額は、35.7%増加の2075,400万ドルと大幅な増加を記録して、貿易収支の黒字幅の減少に繋がっている。

今年初め4か月間の累計輸出総額は、前年同期比23.8%増加の1,0118,500万ドル、累計輸入総額は、27.6%増加の8123,800万ドル、累計貿易総額は、25.5%増加の1,824,2400万ドルを記録している。

今年4月の輸出総額289200万ドルは、月間の輸出額としては過去最高記録を更新した要因として、ブラジルの輸出品目を牽引する国際コモディティ価格の高騰が輸出額増加に繋がっている。一方今年4月の輸出量はマイナス8.0%を記録している。

今年4月の輸入総額は、過去2番目となる208億ドルを記録したが、輸入量はマイナス6.9%に対して、輸入額は輸入品目の価格上昇に伴って34.4%と大幅増加を記録している。

4月の農畜産物関連輸出は前年同月比12.7%増加、鉄鉱石などの鉱業関連輸出はマイナス10.2%に対して、完成品などの製造業部門関連輸出は35.0%と大幅な増加を記録している。

一方今年4月の農畜産関連輸入は33.0%と大幅増加、鉱業関連輸入も58.1%と大幅増加、製造業部門関連輸入品は、35.5%とそれぞれ大幅な増加を記録している。

経済省通商局(Secex)の最終予想によると、今年の貿易収支は1,116億ドルの黒字を予想、輸出総額は3,488億ドル、輸入総額は2,372億ドル、貿易総額は5,860億ドルに達すると予想している。

今年4月のウクライナ向け輸出は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、前年同月比マイナス92.9%に相当する125万ドルに対して、輸入はマイナス78.7%に相当する550万ドルに留まっている。

今年4月のブラジルの農業向け肥料輸入量は、ロシアによるウクライナ侵攻にも拘らず、前年同月比81.5%増加、ロシアからの化学肥料輸入量も38.3%増加を記録しており、大半の予想を覆す結果になっている。

通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を 1.00%引上げて12.75%に決定(2022年5月4日付エスタード紙)

4日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、金融市場関係者の予想通り政策導入金利(Selic)1.00%引上げて12.75%に決定、過去5年で最高の金利水準に引き上げた。

今回の中銀の通貨政策委員会(Copom)によるSelic金利の引上げは、過去10回連続での引上げとなる。また米国連邦準備制度理事会(FRB)は、4日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催、政策金利であるフェデラル・ファンドを過去22年間で最高の0.5%引上げた。

今回のSelic金利の12.75%の引上げは、20172月の13.0%以降では最高水準となり、Selic金利はインフレ圧力抑制のために20213月の通貨政策委員会(Copom)による引上げサイクル開始から10回連続となり、1999年に中銀が一挙に20%引上げて以来の引上げサイクルを記録している。

中銀の基本金利の上昇は銀行金利の上昇に反映するが、中銀のSelic金利決定からクレジット部門などへの経済効果には6か月から9か月間の遅延がある。 Selic金利の上昇は、一般国民の消費と製造部門向け投資にブレーキをかけて悪影響を及ぼす。

今年3月に開催されたCopom 会議の議事録では、5月のCopom会議での1.00%のSelic金利引き上げを暗示していた。また5月でのSelic金利の引上げサイクルの終焉を示唆していた経緯があった。

ブラジル国内でのインフレ圧力の継続及びロシアによるウクライナ侵攻などの海外の不透明なボラティリティ要因で、次回6月に開催されるCopom会議でも継続して、Selic金利の0.5%の引上げの可能性を金融市場関係者は予想している。

今回のSelic金利12.75%はインフレ指数を差引いた実質金利6.69%となり、再び世界最高金利に復帰した。ブラジルに次いでコロンビアの実質金利は3.86%、3位にはメキシコの3.59%となっている。

ワーゲン社は半導体不足で今年2回目の集団休暇採用を余儀なくされている(2022年5月4日付エスタード紙)

ワーゲン社のサンパウロ州サン・ベルナルド・カンポス自動車工場では、今月9日から20日間に亘って、自動車用半導体の供給不足の影響で、製造業ラインの従業員に対して集団休暇制度の導入を余儀なくされている。

ABC金属労連によると、サン・ベルナルド・カンポス自動車工場で2交代勤務の製造ラインの従業員2,500人は、今月9日から20日間の集団休暇で職場を離れるために、20日間の自動車生産の操業停止を余儀なくされる。

ワーゲン社のサン・ベルナルド・カンポス自動車工場には、事務職や製造ラインなどの従業員総数は8,000人に達するが、製造ラインの従業員4,500人のうち2,500人は集団休暇制度で職場を離れるにも拘らず、残りの2,000人の従業員は、引き続き製造工場に出勤して、ヤードで部品不足の不完全な車を組み立てる。

全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、今年初め4か月間のブラジル国内の自動車メーカーは、主に半導体の供給不足の影響で、約10万台に達する新車生産の停止を余儀なくされている。

ワーゲン社のサン・ベルナルド・カンポス自動車工場では、 Nivus, Virtus, Polo車及びSaveiro車を生産しているが、418日~29日迄部品不足による新車生産の中止を余儀なくされていた。

またワーゲン社のスポーツタイプ型T-Cross車を生産しているパラナ州サン・ジョゼ・ドス・ピニャエス工場では、今月2日から2交代制勤務から1交代制勤務にシフトして、580人の製造ライン従業員に5か月間のレイオフを導入している。

3月の鉱工業部門生産は前月比0.3%増加(2022年5月3日付IBGEサイトより抜粋)

20223月の鉱工業部門生産は前月比0.3%増加、また調査対象の4部門のうち3部門で増加を記録、調査対象の26セクターのうち14セクターで増加を記録している。
また今年3月の鉱工業部門生産は前年同月比マイナス2.1%と8ヶ月連続でマイナスを記録、今年第1四半期の鉱工業部門生産は前年同期比マイナス4.5%、3月の過去2か月間の累積生産は1.8%増加、今年第1四半期の鉱工業部門の月間平均生産はマイナス0.4%を記録している。
今年3月の鉱工業部門生産を牽引したのは、自動車・トラック・輸送機器セクターは前月比6.9%増加、その他の化学製品セクター7.8%、飲料セクター6.4%、機械・装置セクター4.9%それぞれ大幅に増加、前期同様1月はそれぞれ4.3%、0.6%、6.1%増加を記録していた。
また今年3月の鉱工業部門生産で特筆されるのは、情報機器・光学機械・電気製品セクターは7.9%、皮革・履物・旅行用品セクターは8.9%それぞれ大幅に増加、鉱業セクターは0.9%増加を記録している。
今年3月の鉱工業部門生産が前月比でマイナスを記録したのは、食品セクターはマイナス1.7%、石油派生品・バイオ燃料・コークスセクターマイナス2.1%、医薬品・医化学製品セクターマイナス8.4%はそれぞれ大幅に落ち込んでいる。
今年3月の鉱工業部門生産は前月比0.3%増加、前年同月比マイナス2.1%、今年第1四半期の累計生産はマイナス4.5%、3月の過去12か月間の累計生産は1.8増加を記録している。
前期同様鉱工業部門の資本財セクターは8.0%増加、4.4%増加、マイナス2.6%、20.9%増加、また中間財セクターは0.6%増加、マイナス2.2%、マイナス3.4%、1.3%増加している。
消費財セクターはマイナス2.5%、マイナス3.8%、マイナス7.4%、マイナス1.9%、そのうち耐久消費財セクターは2.5%増加、マイナス12.8%、マイナス18.3%、マイナス2.9%、非耐久消費財セクターはマイナス3.3%、マイナス1.2%、マイナス4.4%、マイナス1.7%であった。

今年4月の新車販売は前年同月比マイナス15.9%(2022年5月3日付エスタード紙)

自動車販売代理店が加盟する全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によると、20224月のトラックやバスを含む新車販売台数は、 前月比0.3%微増の147,200台を記録した一方で、前年同月比ではマイナス15.9%と二桁台の減少を記録している。

今年4月の新車販売は前年同月比マイナス15.9%を記録したにも関わらず、2006年以降の毎年2月の月間販売比較では、COVID-19パンデミックの影響で多くの自動車ディーラーが営業停止をした昨年4月の売上高を上回っている。

昨年から継続する世界的な半導体不足による各自動車メーカーは減産を余儀なくされている影響で、今年初め4か月間の新車販売は、前年同期比マイナス21.4%に相当する552,800台に留まって、過去16年間では最低の新車販売台数に留まっている。

連邦政府は今年2月末に新車に対する工業製品税(IPI)の減税政策を導入したにも関わらず、減税の効果は新車販売には反映していない上に、1年以上前から相次ぐ新車価格の値上げの上に、新車購入ローン金利の上昇も需要減少に繋がっている一方で、新車在庫の増加をもたらしている。

4月のピックアップ車やバンを含む新車販売は、前年同月比マイナス16.8%の13万6,300台に留まっている。マーケットシェアトップはフィアット社の22.2%、GM社14.0%、トヨタ11.1%、現代自動車は10.7%であった。

今年4月のトラック販売は半導体不足による生産減少が影響して前年同月比マイナス4.4%の9,400台に留まった。またバス販売は、COVID-19パンデミックで減産を強いられていた前年同月比では9.0%増加の1,500台を記録している。

今年の鉄鋼製品輸入は内需の減少で大幅減少予想(2022年5月3日付ヴァロール紙)

上昇を続けるインフレや政策誘導金利、レアル通貨に対するドル為替のボラティリティ、ブラジル国内経済の停滞による需要減少に伴って、2022年の鉄鋼製品輸入は大幅に減少すると予想されている。

中国の主要都市のロックダウンの影響で、ブラジルへの貨物輸送は180日を要する遅延、国内経済停滞による鉄鋼製品需要減少などの要因で、今年のブラジル国内の鉄鋼製品消費は、前年比1.5%増加に留まるとブラジル鉄鋼協会(IABr)では予想している。

好調な穀物生産が牽引してトラック販売が好調を維持している一方で、特に半導体の供給問題による新車の生産減少が余儀なくされ、ブラジル国内の鉄鋼製品需要は低調に推移している。

昨年から続く建設不動産部門は好調を維持して、70平方メートルから90平方メートルの新築アパートのリリース軒数は堅調に推移しているが、今後の更なる住宅販売向けローン金利の上昇が足かせになると予想されている。

また今年の鉄鋼製品輸入の減少予想要因として、ロシアによるウクライナ侵攻、輸入鉄鋼製品の50%以上を依存している中国のCOVID-19対応のロックダウンによる中国の鉄鋼製品減産及び輸送ロティステック問題の発生を指摘している。

今年第1四半期のブラジル国内の鉄鋼製品販売は前年同期比マイナス19.7%、鉄鋼製品消費はマイナス17.7%を記録した一方で、今年3月の圧延鋼輸出は28.3%増加を記録している。

今年第1四半期の平板鋼輸入は、5.3%増加の544,800トンを記録した一方で、建設業向け棒鋼輸入は、マイナス17.1%の268,900トン、今年第1四半期の鉄鋼製品輸入はマイナス3.4%を記録している。

2021年の鉄鋼製品輸入は、前年比144.2%の大幅増加の497万トンを記録した一方で、ブラジル国内の鉄鋼製品生産は、20207月~20216月にかけてのCOVID-19パンデミックによる減産を強いられたためにマイナス12.0%を記録、今年の鉄鋼製品輸入は、国内消費の16.3%に相当する438万トンが見込まれている。

2月のブラジルの財政プライマリー収支は34億⒎100万レアルの黒字計上(2022年5月2日付エスタード紙)

中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び州政府と市町村で構成される地方政府を合わせたブラジルの20222月の財政プライマリー収支は34億⒎100万レアルの黒字を計上している。

今年2月のブラジルの財政プライマリー収支黒字34億⒎100万レアルは、20122月に計上した951,400万レアルの黒字に次ぐ記録となったが、大幅な黒字幅は地方政府の黒字が牽引している。尚ブラジルの財政プライマリー収支には、ペトロブラス石油公社並びにラジル中央電力公社(Eletrobras)の決算は含まれていない.

ブロードキャストプロジェクションの調査では、今年2月の財政プライマリー収支の最低予想は450億レアルの赤字、最高予想は29億レアルの黒字、平均予想は97500万レアルの赤字予想であった。

今年2月の中央政府の財政プライマリー収支は、1918,100万レアルの赤字に対して、地方政府の財政プライマリー収支は、201億⒎200万レアルの黒字計上、内訳は州政府の財政プライマリー収支は、155億⒎100万レアルの黒字、市町村は46100万レアルの黒字計上、公社は248,000万レアルの黒字を計上している。

今年2月のブラジルの名目負債総額は、GDP79.2%と1月のGDP79.5%よりも若干減少、過去最少のブラジルの名目負債総額は、201312月に記録したGDP51.5%であった。

今年2月の外貨準備高を考慮したブラジルの純負債総額は、GDP57.1%と1月のGDP56.6%よりも0.5%上昇の5470億レアルに達している。

今年2月の経済活動指数(IBC-Br)は0.32%増加(2022年5月2日付エスタード紙)

20222月のGDP伸び率の先行指標となる中銀発表の経済活動指数(IBC-Br)は、前月比0.34%増加を記録、マイナス0.73%を記録していた1月の経済活動指数(IBC-Br)から一転して増加に転じている。

今年2月の経済活動指数(IBC-Br)の発表は414日に予定されていたが、中銀の業務停止の影響で遅れていた経緯があった。中銀の3月の最終四半期インフレレポート(RTI)によると、今年のブラジルのGDP伸び率は1.0%増加を予想している。

今年2月の経済活動指数(IBC-Br)は、1月の138.83ポイントから139.30ポイントに上昇、昨年12月のは139.85ポイントを記録していた。ブロードキャストプロジェクションの調査では、最低予想はマイナス0.20%、最高予想は1.70%増加、平均予想は0.40%増加であった。

今年2月の経済活動指数(IBC-Br)は、前年同月比0.66%増加の135.52ポイントを記録して20152月に記録した136.65ポイント以降では、最高の経済活動指数(IBC-Br)を記録している。

中銀の最終フォーカスレポートは、今年のインフレ指数を16回連続で上方修正(2022年5月2日付エスタード紙)

2日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、 今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の7.65%から7.89%と16週連続で上方修正したが、1か月前の予想は6.97%であった。

また2023年の広範囲消費者物価指数(IPCA) も前回予想の4.00%から4.10%に上方修正、2023年の中央目標値は3.25%、最低1.75%、最高4.75%が設定されている。各年のインフレ目標値は国家通貨審議会(CMN)によって設定されている。

過去5日間の102金融機関対象の調査によると、今年のIPCA指数の平均予想は、前回の7.72%から7.95%、2023年のIPCA指数は、4.00%から4.12%に上方修正されている。

また2024年のIPCA指数は、前回予想の3.12%から3.20%に上方修正、2025年のIPCA指数は、前回同様3.00%に据え置かれたが、1ヶ月前の予想も3.00%であった。

2024年のIPCA指数の中央目標値は3.00%、許容範囲は1.5%から4.5%に設定されているが、2025年のIPCA指数は国家通貨審議会(CMN)から未だに発表されていない。

今月3日及び4日に開催される中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を現在の11.75%を1.00%引上げて12.75%が予想されており 、今回のSelic金利の引上げで引下げサイクルは終了すると予想されている。

最終フォーカスレポートでは、2023年末のSelic金利を前回予想の9.00%から9.25%に上方修正したが、2024年末のSelic金利は、前回同様7.00%に据え置いている。

また今年のGDP伸び率は、前回予想の0.65%から0.70%に若干上方修正したが、1か月前の予想は0.52%であった。過去5日間の56金融機関対象の調査では、前回予想の0.70%から0.75%に上方修正されている。

2023年のGDP伸び率は前回同様1.00%に据え置かれたが、1か月前の予想は1.30%であった。また2024年及び2025年のGDPの伸び率は、1か月前の予想と同じ2.00%に据え置かれている。