今年3月の一般消費者の景況感指数(ICC)は前月比マイナス3.1ポイント(2022年3月25日付エスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2022年3月の一般消費者の景況感指数(ICC)は、前月比マイナス3.1ポイントに相当する74.8ポイントと大幅に悪化した一方で、今年第1四半期の月間平均の一般消費者の景況感指数(ICC)は、前四半期比0.2ポイント微増している。

また今年3月の一般消費者の現状指数(ISA) は、マイナス2.6ポイントに相当する65.3ポイントと2021年4月以降では最低のレベルまで落ち込んでいる。6か月先の先行き景況感期待指数(IE)もマイナス3.2ポイントに相当する82.5ポイントと2021年10月のレベルとなっている。

年間二桁台の高止まりするインフレ指数、回復が遅れている失業率、特に低所得層の負債増加などの要因で、一般家庭の財政状況は、2016年4月以降では最低のレベルまで落ち込んでいるとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)のViviane Bittencourt氏は指摘している。

またブラジル経済の先行き景況感の悪化で、今後数カ月間にわたって消費を控える傾向が顕著になってきているとViviane Bittencourt氏は説明している。

今年3月の個人向けファイナンス満足度指数は、前月比マイナス5.2ポイントの56.9ポイントと2016年4月に記録した56.8ポイント以降では最低の水準まで落下している。現在の経済情勢の満足度指数は、74.4ポイントと同じ水準で推移している。

先行き経済状況指数はマイナス7.5ポイントの93.3ポイントと2021年3月以降では最低のレベルまで減少した一方で、一般家庭の家計の見通し指数は、4ポイント上昇して89.7ポイントを記録。 耐久消費財の購入意向指数は、すでに5.6ポイント低下して66.8ポイントとなっている。

この調査は3月1日~22日迄1457家族を対象とした消費調査結果であるが、特に家族収入が4,800レアル~9,600レアルの一般消費者の景況感指数(ICC)は、マイナス6.7ポイントの78ポイントまで減少したのが特筆されている。

今年1月の工業製品財需要は前月比マイナス2.3%(2022年3月24日付エスタード紙)

経済省応用経済調査院(Ipea)の発表によると、2022年1月のブラジル国内の工業製品財需要は前月比マイナス2.3%を記録、国内市場向け工業製品財の国内生産は前月比マイナス2.2%、輸入工業製品財もマイナス2.4%を記録している。

今年1月の過去12カ月間の工業製品財需要は前年同期比6.6%増加、そのうち国産品需要は2.7%増加に対して、輸入工業製品財需要は25.8%の二桁増加を記録している。

今年1月の耐久消費財需要は、前月比マイナス14.2%の大幅な落ち込みを記録、資本財もマイナス12.9%、中間財需要はマイナス0.7%の微減に留まったが、非耐久消費財需要はマイナス1.9%を記録している。

今年1月の工業製品財需要は、前年同月比マイナス7.7%、そのうち国産の消費財需要はマイナス9.9%を記録した一方で、輸入消費財は3.0%増加を記録している。

今年の経常収支は2007年以降で初めて黒字計上予想(2022年3月24日付ヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の最終四半期インフレレポート(RTI) によると、2022年のブラジルの経常収支は前回予想の210億ドルの赤字から一転して、貿易収支黒字の拡大で50億ドルの黒字収支に転じると予想、2007年から15年ぶりの黒字計上を予想している。

中銀の最終四半期インフレレポート(RTI) では、今年の経常収支のうち貿易収支黒字幅は拡大する一方で、サービス収支及び第一次所得収支は継続して赤字予想、対内直接投資は堅調に継続すると予想している。

前回の最終四半期インフレレポート(RTI) では、今年の貿易収支黒字は520億ドルの予想であったが、最終レポートでは830億ドルと310億ドルの上方修正の影響で、今年の経常収支は赤字から黒字予想に転じている。

ロシアのウクライナ侵攻の影響で、国際コモディティ商品価格が高騰しており、特に石油派生品や穀物価格の高騰が牽引して、今年のブラジルの輸出総額は、前回予想の2,760億ドルから3,280億ドルに上方修正されている。

しかしブラジルの南部地域の旱魃による大豆生産の大幅減少及びウクライナ侵攻による化学肥料の輸入減少の可能性、また鉱業部門の生産減少の可能性も指摘されている。

また今年の輸入総額も前回予想の2,250億ドルから2,450億ドルと国際コモディティ価格の上昇に伴って200億ドル上方修正、特に石油派生品及び化学肥料の国際コモディティ価格上昇で、上方修正を余儀なくされている。

今年の経常収支のうちサービス部門は、旅行収支の回復の遅れでCovid‐19パンデミック前のレベルを下回る260億ドルの赤字計上が予想されている。

第一次所得では、国際コモディティ商品価格の上昇及びでドルに対するレアル通貨高の為替で輸出企業の収益性にプラスとなる。今年の対内直接投資は、GDP比3.0%の550億ドルと昨年の水準に据置かれている。

ロシアのウクライナ侵攻でカリウム価格は3倍に高騰で過去最高(2022年3月23日付けエスタード紙)

今年2月末のロシアのウクライナ侵攻で世界的な肥料供給国である両国からの肥料供給が懸念されている影響で、特に1トン当たりのカリウム価格は、1年前の300ドルから今では1,100ドルと3倍以上に高騰している。

ロシア、ウクライナ及びベラルーシの3国は、肥料の背科的な生産大国であり、特にロシアは窒素・リン酸・カリと三大肥料のいずれにおいても重要な供給国、ウクライナは窒素肥料で一定の地歩を占めており、ベラルーシはカリ肥料の世界的な産出国及び輸出国となっている。

カリウム肥料はブラジルの主要な農産物輸出の大豆、トウモロコシ、コーヒー、小麦、コメ、サトウキビや果物に栽培にとっては不可欠であり、ブラジルはカリウム肥料の国内消費の85%を輸入に依存している。

カリウム鉱石が産出される国はわずか12ヶ国、カナダ46%、ロシア35%、ベラルーシ8%と上位3ヶ国だけで8割、それ以外はわずかながらブラジル3%、チリと中国が2%、ドイツと米国が1%、イスラエルとヨルダンが0.5%とその他と、カリ資源が上位2ヶ国に偏在している。

リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけとした世界金融危機の2008年から2009年にかけて、1トン当たりのカリウム肥料価格が700ドルに達して過去最高を記録していたが、当時のドルに対するレアル通貨の為替はR$2.20であった。

ブラジル政府にとって、ロシアとウクライナの戦争終結が見通せない現状では早急に供給先を見つける必要があるにも拘らず、通常はカリウム鉱は地下600メートルから800メートルから採掘するために、数年間に亘る長期投資が不可欠となっている。

ブラジルのカリウム鉱の在庫は僅か3か月間であり、ロシア以外の供給先であるノルウエー資Yara Fertilizantes 社及びカナダ資本Mosaic Fertilizantes社と供給増加で交渉している。

世界150カ国にカリウム鉱を供給しているYara社にとって同社の最大の顧客であるブラジルには生産の20%を供給しており、カリウム鉱増産で最大限の供給を約束している。

カリウム鉱などの肥料の高騰は農産物価格に転嫁を余儀なくされるが、肥料代は生産コストの30%~40%を占めるために、今後の穀物の国際コモディティ価格の上昇は避けられない。

国家配給公社(Conab)によると、南大河州パッソ・フンド地域の小麦生産に対する化学肥料のコストは生産コストの330%を占めている。パラナ州カスカベル地域では生産コストの38%。マット・グロッソ州ソリーゾ地域のトウモロコシ生産では生産コストの37%を占めている。

ブラジル肥料普及協会(Anda) の発表によると、2021年のブラジルの化学肥料輸入は前年比19.3%増加の3,920万トンに対して、国内の化学肥料生産は全体の15.0%に相当する690万トンに留まっている。

ジャイール・ボルソナロ大統領が、ロシアのウクライナ侵攻に伴いロシアから肥料を入手できなくなるとして、アマゾン熱帯雨林などに広がる先住民保護区で資源開発を進める必要を強調しているにも関わらず、実際はブラジル国内の肥料が改造されている地域の90%以上は先住民保護区以外となっている。

今年2月のペトロブラスの石油生産はマイナス4.9%(2022年3月22日付けヴァロール紙)

ブラジル石油監督庁(ANP)の発表によると、2022年2月のペトロブラス石油公社の石油・天然ガスの1日当りの平均生産量は、前月比マイナス4.9%に相当する270万2,000バレル(boe/dia)に留まっている。

今年2月の同社の天然ガスを除いた石油の1日当りの平均生産量は、前月比マイナス5.1%に相当する208万7、000バレルに留まっている。

一方今年2月の天然ガスの生産量は、前月比マイナス4.1%に相当する9,770万立方メートルに留まり、1月に達した1億立法メートルを下回っている。

今年2月のブラジル国内のペトロブラスや外資系企業を合わせた石油・天然ガスの生産量は、前月比マイナス3.6%に相当する375万4,000バレルを記録していた。

また今年2月のブラジル国内の石油生産量はマイナス3.8%に相当する291万6,000バレル、天然ガス生産はマイナス3.0%に相当する1億3,320万立方メートルを記録している。

原油のAPI度が非常に高い軽質油で商業価値の高い岩塩層下(プレソルト) 油田の石油生産は、前月期比マイナス2.4%に相当する280万バレルでブラジル全体の75.7%を占めている。

今年3月の一般家庭の消費意欲指数は2020年5月以降で最高(2022年3月23日付けヴァロール紙)

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)の調査によると、2022年3月の一般家庭の月間平均消費意図指数(ICF)は前月比1.8%増加の78.1ポイントに上昇、2020年8月に記録した81.7ポイント以降では最も上昇、前年同月比では5.9%上昇を記録している。

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)の一般消費者対象の7種類の前月比の消費意図指数調査では、現状の雇用は2.6%、昇進見込み2.8%、現在の収入3.2%、クレジットへのアクセス1.0%、現在の消費レベル1.7%、耐久消費財の購入タイミングは0.8%とそれぞれ増加を記録した一方で、唯一今後の消費の見通しはマイナス1.2%を記録している。

また今年3月の前年同月比の比較では、現状の雇用は13.4%と二桁増加、昇進見込み3.1%、現在の収入10.8%、現在の消費レベル10.8%、消費の見通し16.0%とそれぞれ大幅に増加した一方で、クレジットアクセスはマイナス5.2%、耐久消費財の購入タイミングはマイナス9.9%を記録している。

耐久消費財購入調査では、購入金額が高いために大半は分割払いによる購入で過去数か月間は減少していたが、3月の耐久消費財の購入タイミング指数は前月比0.8%増加している。

3月の耐久消費財タイミングの意識調査では、分割払いでの購入に関する消費者の認識の改善を裏付けているとCNCエコノミストのCatarina Carneiro da Silva氏は指摘している。

今年の新規株式公開による資金調達は、ウクライナ侵攻で来年に先送り(2022年3月22日付けエスタード紙)

2022年中のサンパウロ証券取引所B3 での新規株式公開(IPO) を予定していた非上場企業は、ロシアによるウクライナ侵攻で政策誘導金利(Selic)の更なる上昇及び高止まりが見込まれているために、大半の非上場企業は来年のIPO先送りを余儀なくされている。

今年3月に新規株式公開による資金調達を諦めたのは、CSN Cimentos社、Vix Logística社、 スポーツアカデミー網のSelfit社など5社以上に達している。

今年初め2か月半の間に新規株式公開をキャンセルしたのは25社に達して過去最高を記録、資金調達総額は最低に見積もっても300億レアルに達すると見込まれていた。

ウクライナ侵攻による世界的な金融ボラティリティの上昇、予想を上回る金利の上昇サイクル並びに不透明な大統領選挙の行方などの要因で、年内のIPOによる資金調達を来年まで先伸ばす非上場企業が増加の一途となっている。

政策誘導金利が既に11.75%に達しており、今後の更なる金利上昇が見込まれているために、今年初めから個人及び法人投資家は株式ファンドやマルチマーケットファンド投資から資金を逃避させている。

今年初め2か月間の株式投資ファンドからの資金引揚げは210億レアル、マルチマーケットファンド投資からの資金引揚げは380億レアルに達しているとブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)の統計に表れている。

今年初め2か月間の株式投資ファンド並びにマルチマーケットファンドから確定金利付き投資ファンドへの資金移動は640億レアルに達している。また先週の株式ファンドからの資金逃避は24億レアル以上に達している。

ロシアによるウクライナ侵攻で石油や農産物の国際コモディティ価格の高騰で更にインフレ圧力が増加するために、今年のSelic金利は、13.0%に達するとBarclays銀行並びにRabobank銀行は予想している。

今年2月の世界の粗鋼生産は前年同月比マイナス5.7%の1億4,270万トン(2022年3月22日付けヴァロール紙)

世界鉄鋼協会(World Steel Association)の発表によると、2022年2月の加盟国64カ国の粗鋼生産は、前年同月比マイナス5.7%の1億4,270万トンに留まっている。

今年2月の世界の粗鋼生産が前年同月比マイナス5.7%を記録した主因として、中国の粗鋼生産が前年同月比マイナス10%と二桁台の減産を記録している。

今年初め2か月間の世界の累計粗鋼生産は、前年同期比マイナス5.5%に相当する2億9,940万トンに留まっており、とくに中国の粗鋼生産は、マイナス10.0%に相当する1億5,800万トンであった。

加盟国64カ国の粗鋼生産は世界全体の98%を占め、オーストラリア、中国、インド、日本、ニュージーランド、台湾、ベトナム、パキスタン並びに韓国のアジア及びオセアニア地域の粗鋼生産は、世界全体の72%を占めている。

今年2月の中国に次ぐ世界2位の粗鋼生産国のインドの生産は、前年同月比7.6%増加の1,010万トンを記録した一方で、日本の粗鋼生産はマイナス2.3%、韓国はマイナス6.0%を記録していた。

今年2月の世界5位のロシアの粗鋼生産は、マイナス1.4%の580万トンを記録したが、先月25日から開始したロシアによるウクライナ侵攻で3月の粗鋼生産は、大幅な減産になると予想されている。

今年2月の米国の粗鋼生産は1.4%増加、ブラジルはマイナス6.9%に相当する270万トン、今年初め2か月間の累計粗鋼生産は、前年同期比マイナス5.8%を記録している。

今年1月のスーパーやレストランの売上は前年同月比マイナス2.7%(2022年3月22日付けエスタード紙)

2022年1月のスーパーマーケットやレストランの売上は、オミクロン株の感染拡大、インフレ圧力の上昇、実質所得の減少や消費習慣の変化のインパクトを受けた。

経済調査院(Fipe)及びクレジットカードAlelo社の共同調査によると、2022年のスーパーマーケットやレストランの売上は、前年同月比マイナス2.7%を記録している。

今年1月のレストランの消費指数(ICR) は、前年同月比マイナス0.7%、レストラン軒数はマイナス2.5%と外食部門はCOVID-19パンデミックによる一般消費者の生活習慣の変化をAlelo社のCesario Nakamura社長は指摘している。

また今年1月のスーパーマーケット消費指数(ICS)調査では、スーパーマーケット軒数は前年同月比5.5%増加、売上は6.6%増加を記録している。

今年1月のレストラン消費指数(ICR) のCOVID-19パンデミック前の2019年1月との比較では、純益はマイナス25.0%、売上はマイナス40.3%を記録した一方で、レストラン軒数は1.7%増加している。

また今年1月のスーパーマーケット消費指数(ICS)調査では、売上は前年同月比9.8%増加、スーパーマーケット軒数は14.1%増加したが、販売量はマイナス1.3%を記録している。

2021年のスーパーマーケットの販売は、COVID-19パンデミック前の2019年比では約10%減少していたが、今年1月の販売は、COVID-19パンデミック前の2019年1月比では僅かマイナス1.3%まで回復している。

スーパーマーケット消費指数(ICS)調査対象は、がスーパーマーケット、八百屋、食料品店、hortifrutis、食料品店で行われる取引を調査する一方で、レストラン消費指数(ICR) 調査は、バー、スナックバー、パン屋、配達サービスとテイクアウトサービスを対象に調査しているが、レストランなどでの調理済み料理の内食の消費拡大による食習慣の変化を指摘している。

今年の貿易収支は750億ドルの黒字予想(2022年3月20日付けヴァロール紙)

国際コモディティ価格の高騰が牽引して、2022年のブラジルの貿易収支は、昨年の610億ドルの黒字を大幅に上回る750億ドルの黒字計上をMCM Consultores社では予想比ている。

ロシアのウクライナ侵攻で、ブラジルの輸出向け主要品目の国際コモディティ価格が上昇しており、ブラジルの輸出の70%はコモディティ商品となっている。

特に原油並びに鉄鉱石の国際コモディティ価格の高騰で今年のブラジルの輸出総額は前回予想の2,686億ドルから3,053億ドルと約400億ドルの上方修正を行っている。

ウクライナ侵攻で短期的には肥料や半導体の輸入金額の上昇で、今年のブラジルの輸入総額は、前回予想の2,059億ドルから2,382億ドルと300億ドル以上増加すると予想されている。

イタウー銀行は今年のブラジルの貿易収支は前回予想の670億ドルから740億ドルの黒字に上方修正、ブラデスコ銀行も2月の貿易黒字予想610億ドルから754億ドルに上方修正している。

ロシアのウクライナ侵攻、米国の金利引き上げサイクル突入などの要因で、今年のブラジルの経常収支赤字は、前回予想のGDP比1.1%から0.7%に減少するとイタウー銀行では予想、昨年の経常収支赤字はGDP比1.8%であった。