外資の株式投資増加にも拘らず、IPOを見合わせる非上場企業が続出(2022年2月17日付けヴァロール紙)

今年初めから1ヶ月半間の海外投資家によるサンパウロ証券取引所(B3)の株投資残高は、470億レアルを記録しているにも関わらず、新規株式公開(IPO)を予定していた17社の非上場企業は、IPOの先送りを余儀なくされている。

既に二桁台に達している政策誘導金利(Selic)、不透明な大統領選挙を控えているために、年中に新規株式公開をする企業は、昨年中にIPOを実施した46社を大幅に下回ると予想されている。

今年も海外投資家によるB3での株式投資は、継続しているにも関わらず、株投資の対象は知名度の高い大企業で、出来高の大きな企業に集中している。

今年のGDP伸び率が前年比僅か0.3%前後の伸び率予想、二桁台の金利、大統領選挙、高止まりするインフレ指数などによる金融ボラティリティの高止まりで、全ての関係者を満足させるIPO時の公開価格の設定が非常に困難となっている。

今年はIPOの株式の初期価格設定が難しい新規株式公開に比べて、株式市場で公開されている株のフォローオンの価格設定は、非常に優しいので、今年は増資による資金調達増加が見込まれている。

B3による資金調達は25社~35社を見込んでいるが、そのうちフォローオンによる資金調達は、20社~25社をItaú BBA投資銀行のRoderick Greenlees取締役は予想している。

チリ資本の小売販売業Cencosud社は、ブラジル国内での新規株式公開を予定していたが、IPOの先送りを発表、また化粧品メーカーのCoty社もIPOの先送りを発表しているが、続けて上場時期のモニタリングを継続する。

今年初めのIPOの先送りを予定している企業として、Bluefit社, Cantu Store社, Claranet社, Dori Alimentos社, Fulwood社 、Verzani & Sandrini社、 Cerradinho社, ISH Tech社, Madero社 Monte Rodovias社が見込まれている。

2021年の食品部門の実質売上は前年比3.2%増加(2022年2月16日付けヴァロール紙)

ブラジル食品工業会(ABIA)の発表によると、2021年の食品部門のインフレ指数を差引いた実質売上は、原材料並びに包装関連の供給不足による影響で前年比3.2%増加に留まった。

しかし昨年の食品部門のインフレ指数10.6%を考慮しない名目売上は前年比16.9%の大幅増加の9226億レアルを記録、食品部門の生産は前年比1.3%微増に留まっていた。

昨年の食品部門は農畜産の国際コモディティ価格上昇による原材料の製造コスト及び包装関連コスト上昇にも拘らず、製造コスト上昇分の最終消費者への価格転嫁ができず、収益を圧迫された。

昨年の食品部門は、COVID-19パンデミックの影響でレストランやバーの外食部門の売上は減少した一方で、巣籠需要による食品販売が大幅に増加していた。

今年のブラジルのGDP伸び率が0.5%~1.0%増加に留まる予想では、食品部門の実質売上は前年比1.5%~2.0%増加に留まると予想されている一方で、食品部門の輸出は昨年並みの450億ドルが見込まれている。

昨年のブラジル国内の食品部門の実質売上は前年比1.8%増加、食品部門生産は1.0%増加。昨年の総売上高は、2020年に24.3%減少した家庭外食品チャネルからの売上高が26%増加の6,785億レアルに達している。

昨年のインフレ指数は二桁台の上昇を記録、昨年初め9か月間の一般消費者の買い物の習慣に変化が表れており、食品の購入頻度は前年比マイナス2.1%、1回の購入額もマイナス1.8%を記録、この期間の食料品価格は11.8%上昇した一方で、購入金額は9.7%増加に留まっている。

昨年の食品価格は国際コモディティ価格の上昇に伴って値上げを余儀なくされたが、特にコーヒー価格は60%高騰、パームオイルは55%、大巣は43%それぞれ増加している。

国家配給公社(Conab)によると、2021/22年度の穀物生産は、南部地域の旱魃の影響で大豆の大幅な減産が見込まれているが、最終予想は、1月の2億8,440万トンの予想を大幅に下回る2億6,820万トンに下方修正されたにも関わらず、昨年の生産を5.0%上回る予想で、記録更新が見込まれており、食品価格の値上がりは昨年を下回ると予想されている。

 

2022年2月の小売部門の企業経営者の景況感が1.2%悪化(2022年2月16日付けヴァロール紙)

全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)のリテール業界の企業経営者対象の景況感調査によると、2022年1月の企業経営者の景況感指数(ICEC)は、前月比マイナス1.2%の119.3ポイントに減少している。

今年2月のリテール業界の企業経営者の景況感指数(ICEC)の1.2%の悪化は、今年1月の景況感の大幅な改善を帳消しにする悪影響の結果となっている。

今年2月のリテール業界の企業経営者の景況感指数(ICEC)が前月比で悪化したのは、現状景況感がマイナス1.4%、今後数か月間先の見通し景況感はマイナス1.6%、投資意欲指数はマイナス0.9%を記録している。

一方今年2月のリテール業界の企業経営者の景況感指数(ICEC)のCOVID-19パンデミックの影響を受けていた昨年2月比では、現状景況感が25.3%増加、今後数か月間先の見通し景況感は7.1%増加、投資意欲指数は15.3%増加を記録している。

今年2月のリテール業界の企業経営者の景況感指数(ICEC)はマイナス1.2%、今年1月は1.4%増加、今年初め2か月間の累計景況感指数(ICEC)はマイナス0.2%微増を記録している。

今年2月のリテール業界の企業経営者の景況感指数(ICEC)調査では、調査対象の54.2%の企業経営者は景気の悪化を感じている一方で、45.8%の企業経営者は楽観的な見方をしている。

アジアからの海上輸送運賃はCOVID-19パンデミック前の5.7倍に高騰(2022年2月16日付けエスタード紙)

全国工業連合会(CNI)の調査によると、2022年2月のアジアからブラジルへの海上輸送運賃は、COVID-19パンデミック前の5.7倍に高騰しており、今後数年間継続する可能性がある。

2020年3月開始の世界的なCOVID-19パンデミックで、世界各国が採用を余儀なくされた外出自粛で世界的な需要縮小による世界貿易が停止していたが、2020年下半期から世界経済の回復に伴って、貿易再開による海上輸送運賃が上昇を開始した。

しかし世界貿易の活性化で港湾サービス、保税倉庫、コンテナ船などの需給バランスの均衡崩壊で、海上輸送運賃は右肩上がりの一途であった。

全国工業連合会(CNI)の調査によると、2021年1月のアジアからブラジルへの20フィートコンテナの海上輸送運賃は、8,900ドルに高騰、COVID-19パンデミック直前の2020年1月の海上輸送運賃の4.6倍に高騰していた。

2021年3月のコンテナ船の海上輸送運賃は、6,200ドルに減少したにも拘らず、昨年12月には9,700ドルに高騰、今年1月にはCOVID-19パンデミック前の2020年1月の5.7倍に相当する1万1,150ドルを記録している。

海上輸送運賃が高騰している一因として、COVID-19感染拡大予防のために、一般消費者は外出する必要のないEコマース販売を通した商品購入が一般的になってきて、生活スタイルの変化が一因となっている。

世界貿易の90%相当は海上輸送に依存しており、またEコマース販売も海上輸送のコンテナ船の需給バランスを不均衡にさせて、海上輸送コストを引上げる要因となっている。

異常気象による穀物減産で莫大な損害及び食品価格の上昇圧力(2022年2月15日付けエスタード紙)

世界的な異常気象の影響で南部地域の南大河州、サンタ・カタリーナ州及びパラナ州、中西部地域の南マット・グロッソ州は、旱魃による日照り続きで穀物生産に大きな影響を与えている。

ブラジル国家農業連合(CNA) の調査によると、過去数か月間に亘る旱魃の影響で南部地域と南マット・グロッソ州の穀物生産は、2,520万トンの減産が予想されている。

これ等の地域の旱魃による大豆は、1,900万トンの減産が見込まれており、減産による損害額は621億レアルに達するとラジル国家農業連合(CNA) では見込んでいる。

またトウモロコシの第1期作は520万トンの減産で、損害額は83億レアル、コメ生産は89万トンの減産で、損害額は8億6,000万レアル、フェジョン豆の第1期作は12万5,000トンの減産で、損害額は6億1,000万レアルが見込まれている。

2022年1月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は0.54%上昇、1月としては2016年1月に記録した1.27%以降では、最高のインフレ指数を記録。食料品だけで全体の43.0%のIPCA指数を占めている。

また労使間社会経済調査・統計所(Dieese)の調査によると、今年1月の食料品基本バスケット価格調査によると、調査対象の17州都のうち16州都で上昇を記録していた。

コンサルタント会社MB associados社チーフエコノミストのSergio Vale氏は、食料品並びにガソリン価格の上昇で今年のインフレ指数のIPCA指数を前回予想の4.7%から5.8%と1.1%の上方修正をしている。

国家配給公社(Conab)によると、2021/22年度の穀物生産は、南部地域の旱魃の影響で大豆の大幅な減産が見込まれているが、最終予想は、1月の2億8,440万トンの予想を大幅に下回る2億6,820万トンに下方修正されたにも関わらず、昨年の生産2億5,270万トンを5.0%上回る予想で、記録更新が見込まれている。

 

大手民間銀行のクレジットの延滞率増加でクレジット部門の縮小予想(2022年2月15日付けエスタード紙)

イタウー銀行、ブラデスコ銀行やサンタンデール銀行などの大手民間銀行は、二桁台に上昇している政策誘導金利(Selic)、減速してきている国内経済及び商業銀行のクレジット部門の延滞率増加などの要因で、今年のクレジット部門の縮小を余儀なくされると予想されている。

今月2日ブラジル中央銀行の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇に伴って政策誘導金利(Selic)を8回連続での引上げを余儀なくされ、現在のSelic金利9.25%を1.50%引上げて10.75%に決定している。

今年のクレジット部門は、二桁台のSelic金利、国内経済の停滞、延滞率増加などに伴って、クレジット返済期間の短縮化、住宅購入向けクレジットやクレジットカード部門の与信強化やクレジット縮小が見込まれている。

ブラジル銀行連盟(Febraban)は先月、今年のクレジット部門の伸び率は前回予想の前年比7.3%増加から6.7%増加に下方修正している。ブラデスコ銀行のOctavio de Lazari Jr.頭取は、今年の同行のクレジット部門の伸び率は前年比10%~14.0%増加を予想、昨年のクレジット部門伸び率の18.0%を大幅に下回る予想に下方修正している。

ブラジル最大の民間銀行イタウー銀行のMilton Maluhy Filho頭取は、今年のクレジット部門伸び率は、前年比11.5%~14.5%増加と2021年の23.0%を約半分の伸び率に設定している。

サンタンデール銀行は、今年のクレジット部門伸び率を一桁台の9.0%増加と昨年の10.3%増加よりも低く設定している。また延滞率上昇に対応するため138億レアルの貸倒引当金を宛がっている。

2022年のサンパウロ市内の新築住宅販売伸び率は昨年を下回る予想(2022年2月15日付けエスタード紙)

サンパウロ州内の不動産業界企業が加盟するサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)の予想によると、2021年のサンパウロ市内の新築住宅リリース軒数は、上半期は低率で推移していた銀行金利や住宅ブームで、前年比36.0%大幅増加に相当する8万1,800軒を記録していた。

しかし2020年のサンパウロ市内の新規住宅リリース販売は、既に二桁台に達した政策誘導金利Selicは更なる金利上昇予想による住宅ローン金利の上昇や高止まりするインフレ指数や景況感の悪化で、前年比17.0%~25.0%増加に相当する7万軒~7万5,000軒に留まると予想されている。

昨年のサンパウロ市内の住宅販売は、前年比29.0%増加の6万6,100軒、今年の住宅販売は、前年比17.0%~26.0%増加に相当する6万軒~6万5,000軒に留まると予想されている。

しかし年初の今年の住宅販売は、前年比マイナス10%~マイナス15%に相当する5万5,000軒~6万軒が予想されていた。一方今年の新築住宅のリリース軒数は、前年比マイナス10%~マイナス15%に相当する6万5,000軒~7万軒が予想されていた。、

今年のサンパウロ市にの住宅販売は、二桁台で推移する銀行金利や今年のGDP伸び率が僅か0.30%増加、クレジット部門縮小予想を反映するとサンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)チーフエコノミストのCelso Petrucci氏は指摘している。

PwCは今年は農畜産部門のM&A加速予想(2022年2月14日付けエスタード紙)

今年は農畜産部門の企業の買収・合併(M&A)が加速すると予想、特に原材料の物流、肥料、飼料、果物部門での買収・合併の増加をコンサルタント会社PwC社のLeonardo Dell’Osoパートナーは予想している。

肥料会社Eurochem社及びラテンアメリカ最大の農産物物流会社Lavoro社は、既に年内の買収・合併を表明、また5件~8件のM&A案件が進行中であり、今後3か月から6ヶ月以内に消費財部門、植林部門並びに肥料部門での買収・合併が成立するとLeonardo Dell’Osoパートナーは予想している。

高止まりしている農産物の国際コモディティ価格、記録更新を続けている穀物生産などブラジル経済を牽引している農畜産部門に対して、有望な投資先を選定している資金の豊富な投資ファンドは農畜産部門に注目している。

2022年及び2023年は農畜産部門のビジネスブームが予想されており、またドローンやビックデータ、IoT、ブロックチェーンなどの最新技術で解決するアグロテック(Aggrotech)の新しいスタートアップ企業が相次いで誕生していることも農畜産部門の企業の買収や合併に拍車をかける要因となっている。

Unigel社は、先週バイア州Aratu-Candeias港から1万8,500トンのアンモニアを農産物向け肥料が不足しているマダガスカル及び南アフリカ向けに輸出した。

Unigel社は、アグリビジネスの関連企業になるだけでなく、アンモニアを生産することでバリューチェーンの統合において重要な一歩を踏み出したと同社のRoberto Noronha Santos社長は説明している。

ミナス州のSatis社は、今年の純収益を前年比40%増加を目論んでいるが、昨年は主に蔬菜向け肥料、有機肥料、生物学的肥料の売上増加が牽引して売上高が32%増加している。

今年は、中西部地域並びにバイーア州西部地域での事業拡大に加え、2022/23年の収穫を目指してパラナでも事業展開をEndrigoBezerra社長は説明している。

最終フォーカスレポートでは、今年のインフレ指数を5週間連続で上方修正(2022年2月14日付けエスタード紙)

14日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2022年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の5.44%から5.50%に5週間連続で上昇修正、1か月前の予想は5.09%であった。

中銀の今年の広範囲消費者物価指数(IPCA)の中央目標値3.50%、最低許容値2.0%、最高許容値の5.0%を既に大幅に突破している。昨年のIPCA指数10.06%は最高許容値を4.81%上回っていた。

2023年のIPCA指数は前回同様の3.50%に据え置いたが、中銀の中央目標値の3.25%を上回っている。また2024年のIPCA指数は、前回予想の3.00%から3.04%に上方修正、2025年のIPCA指数は前回同様3.00%に据え置いたが、1か月前の予想は3.00%であった。

今月開催されたの金融政策委員会(Copom)の議事録では、今年のIPCA指数5.40%、2023年のIPCA指数を3.20%に設定、今月2日のブラジル中央銀行の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇に伴って、政策誘導金利(Selic)を8回連続での引上げを余儀なくされ、現在のSelic金利9.25%を1.50%引上げて10.75%に決定していた。

今年のGDP伸び率は前回同様0.30%増加に据え置いたが、1か月前の予想は0.29%増加、2023年のGDP伸び率は、前回予想の1.53%から1.50%に下方修正、1か月前の予想は1.75%であった。

フォーカスレポートの2024年のGDP伸び率は前回同様2.00%、2025年のGDP伸び率も前回同様2.00%に据え置いたが、1か月前の予想も2.00%であった。

2021年の燃料販売は1,395億リットルで記録更新(2022年2月14日付けエスタード紙)

ブラジル石油監督庁(ANP)の発表によると、2021年のブラジルのガソリン、ディーゼル燃料、エタノール、ケロシンなどの燃料販売は、COVID-19対応のワクチン接種の拡大や国内経済の回復に伴って前年比6.0%増加の1,395億リットルを記録、ANP監督庁が統計を取り始めた2000年以降では記録更新している。

また昨年のガソリン、ディーゼル燃料及びエタノール販売は、1,180億リットルで記録更新、特にディーゼル燃料販売は、トラック輸送の拡大に伴って前年比8.1%増加の621億リットルに達しており、2000年の350億リットルの約2倍の販売を記録している。

昨年のガソリン販売は、前年比9.7%増加の393億リットルを記録した一方で、エタノール販売は、マイナス13.0%の二桁台減少の157億リットルに留まっており、COVID-19パンデミック前の2019年よりも220億リットル減少している。また液化天然ガス販売は、前年比マイナス1.0%の134億立方メートルであった。

2021年のケロシン販売はCOVID-19パンデミックの影響で、世界的な航空機の運航減少で、前年比マイナス22.8%の43億リットルの減少を余儀なくされていた。