スザノ製紙は193億レアルを投資して巨大パルプ工場建設(2021年11月8日付けヴァロール紙)

世界最大のユーカリを原料としたパルプ生産を誇るスザノ製紙は、南マットグロッソ州でセラードプロジェクトと呼ばれるユーカリを原料とした世界最大の短繊維パルプ工場を建設、2024年下半期からの工場の稼働を予定している。

セラードプロジェクトの総投資額は、193億レアルが見込まれており、パルプ工場は南マット・グロッソ州リバス・ド・リオ・パルド市、年間のパルプ生産能力は255万トン、1トン当たり生産コストは、400レアル以下で世界で最も低い生産コストが見込まれている。

セラードプロジェクトが生産開始すれば、スザノ製紙の生産能力は20%以上増加、年間のパルプ生産能力は1,345万トンに達する。またセラードプロジェクトは、大胆に炭素排出量を削減し、生物多様性に関する野心的な目標を設定して時間と共に同社のESG外部評価の向上を図ると同社のWalter Schalka社長は説明している。

セラードプロジェクトの総投資額193億レアルの75%は、2022年並びに2023年に加速的に投資が予定されており、2024年下半期からの工場の稼働を目標にしている。

スザノ社は今後数年間の短繊維のパルプは、長繊維の供給減少に替わって二桁台の需要を見込んでおり、短繊維パルプは、伐採後数回連続でパルプの供給できる再生可能なパルプとなっている。

セラードプロジェクトの投資総額193億レアルのうち、工場建設には147億レアル、植林や輸送ロディスティック向け投資は46億レアルが見込まれている。

セラードプロジェクトの工場建設のピーク時の直接雇用は1万人、間接雇用を数万人、工場稼働後の直接雇用は3,000人が見込まれている。

フォーカスレポートは今年のインフレ及びGDP伸び率悪化を予想(2021年11月8日付けエスタード紙)

8日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の9.17%から9.33%と31週連続で上方修正、今年のIPCA指数の上限許容範囲の5.25%を約4.0%上回る修正を余儀なくされている。1か月前の今年のIPCA指数予想は8.59%であった。また2022年のIPCA指数も前回予想の4.55%から4.63%に16週連続で上方修正されている。

多くの金融機関のエコノミストは今年のインフレの更なる上昇を見込んでおり、特にブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの財源確保のためのインフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更による2022年度の財政悪化を予想している。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されている。2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%。許容範囲は±1.50%に相当する最低2.00%、最高5.00%に設定されている。

許容範囲は±1.50%に相当する最低1.50%、最高4.50%に設定されている今年のインフレ指数が目標値を突破する見込みのため、中銀のRoberto Campos Neto総裁は、経済省のパウロ・ゲーデス経済相にインフレ指数が目標値を突破する理由を記載したレポート提出を余儀なくされている。

中銀総裁がインフレ目標値の達成が出来ずにレポート提出を行ったのは、2018年1月にIlan Goldfajn総裁が、2017年のインフレ指数が穀物生産が過去最高で食品価格の下落でインフレ指数の目標値は、最低限度値を下回った時以来のレポート提出となる。

2023年のIPCA指数は前回同様3.27%に据え置かれたが、中央目標値の3.25%に接近している。2024年のIPCA指数は前回の3.07%から3.10%に上方修正している。

一般的に不動産の賃貸契約の調整に用いられるインフレ指標の一つである今年末の総合市場物価指数(IGP−M)は前回予想の18.28%から18.40%に上方修正している。

10月27日中銀の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力上昇並びに歳出上限を無視する臨時歳出政策の導入伴って、政策誘導金利(Selic)を1.50%引上げ7.75%に決定したが、今年最終回のCopom会議でSelic金利の再度の1.50%の引上げを予想している。1か月前の予想は8.25%であった。

また2022年末のSelic金利は前回予想の10.25%から11.0%に上方修正、2023年末のSelic金利は前回予想の7.25%から7.50%に上方修正、1か月前の予想は6.50%であった。2024年末のSelic金利も6.75%から7.00%に上方修正、1か月前の予想は6.50%であった。

今年のGDP伸び率は前回予想の4.94%から4.93%、2022年のGDP伸び率は1.20%から1.00%に下方修正、1か月前の予想は1.54%であった。

9月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.4%を記録(2021年11月4日付けIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM)によると、2021年9月の鉱工業部門生産は、前月比マイナス0.4%を記録、6月~9月迄4か月間連続でマイナスを記録している。4月間の累計生産はマイナス2.6%となっている。

また今年9月の鉱工業部門生産は前年同月比マイナス3.9%、今年6月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.2%、7月はマイナス1.3%、8月はマイナス0.7%、9月はマイナス0.4%を記録、しかし今年初め9か月間の累計生産は前年同期比7.5%増加、9月の過去12か月間では6.4%増加している。

今年9月の鉱工業部門生産がマイナス0.4%を記録した要因として、調査対象の4部門のうち3部門でマイナス、26セクターのうち10セクターでマイナスを記録している。

今年9月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.4%、前年同月比マイナス3.9%、今年初め9か月間の累計生産は前年同期比7.5%増加、9月の過去12か月間の累計生産は6.4%増加を記録している。

前期同様資本財部門生産はマイナス1.6%、15.0%増加、38.2%増加、31.7%増加、中間財部門はマイナス0.1%、マイナス3.6%、5.9%増加、5.7%増加している。

また消費財部門生産は0.7%増加、マイナス8.7%、4.5%増加、3.0%増加、そのうち耐久消費財セクターはマイナス0.2%、マイナス22.3%、13.1%増加、9.5%増加、非耐久消費財セクターは0.2%増加、マイナス5.0%、2.5%増加、1.5%増加している。

9月の鉱工業部門生産で大きな落込みを記録したのは、食品セクターで前月の1.9%増加から一転してマイナス1.3%を記録、金属セクターも前月の0.4%増加からマイナス2.5%に反転している。

また皮革・履物・旅行用品セクターはマイナス5.5%、その他の輸送関連装置セクターマイナス7.6%、飲料セクターマイナス1.7%、鉱業セクターマイナス0.3%、家具セクターマイナス3.7%、情報機器・電気・光学機械セクターはマイナス1.7%であった。

9月の鉱工業部門生産がプラスを記録したセクターとして、特に医薬品セクターは6.5%、その他の化学製品セクター2.3%、石油派生品・バイオ燃料セクター1.0%、機械・装置セクター1.9%、紙・パルプセクター1.2%、電気材料セクター1.7%並びに煙草セクターは6.6&それぞれ増加を記録している。

Claro社, Vivo社並びにTim社は5G入札で主要な周波数帯域を落札 (2021年11月4日付けエスタード紙)

ブラジルの第5世代移動通信システム(5G)の入札は、11月4日に実施、700 MHz, 2,3 GHz, 3,5 GHz並びに26 GHZの4種類の異なる周波数帯域のライセンスが競売にかけられた。

ブラジルの4大セルラー会社のうちブラジル通信業界から撤退したOi社を除くClaro社, Vivo社並びにTim社は5G入札で主要な周波数帯域を落札、大手3社はブラジル国内の音声およびモバイルデータ市場の98.3%を独占する。

第5世代のモバイルインターネット(5G)の供給に最適とされる3,5 Ghz の全国4ブロックのうち3ブロックをライバル企業の社, Vivo社並びにTim社が落札している。

通信大手Claro社は、3,5 Ghz帯域のB1ブロックを最低価格を5.0%上回る3億3,800万レアルで落札、Vivo社はB2ブロックを最低価格を30.69%上回る4億2,000万レアルで落札、Tim社はB3ブロックを最低価格を9.22%上回る3億5,100万レアルで落札している。

3,5 Ghzの5Gコンセッション期間は20年間、各ブロックを落札した企業は、州都向け5G通信は2022年半ばまでに通信設備を完了する必要があるが、その他の地方都市は、人口規模に従って2029年末までに完了しなければならない。

10月の新車販売は部品供給不足の影響で24.5%減少(2021年11月4日付けヴァロール紙)

全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によると、過去数か月間続いている大半がアジアで生産される自動車向け半導体の供給問題が解消していない影響を受けて、各自動車メーカーは減産を余儀なくされており、半導体の供給不足問題は、今後数か月間に亘って継続すると予想している。

2021年10月のトラックやバスを含む新車登録台数は、前年同月比24.49%減少の16万2,300台に留まっており、依然として世界的な半導体供給不足で減産を余儀なくされている。

しかし今年初め10か月間の新車登録台数は、Covid-19パンデミックの影響を受けていた昨年同期比では、9.46%増加の174万台を記録している。

新車購入の需要は旺盛にも拘らず、世界的な半導体をはじめとした電子部品などの供給不足の影響で、自動車メーカーやディーラーの在庫不足をきたしており、新車の納品には数か月間を要している。

世界的な自動車向け半導体供給不足問題が解決するのは、2022年下半期にずれる可能性を全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)のAlarico Assumpção Júnior会長は指摘している。

10月のブラジルの貿易収支は20億ドルの黒字計上(2021年11月3日付けヴァロール紙)

経済省通商局(Secex)の発表によると、2021年10月のブラジルの貿易収支は、前年同月比54.5%減少の20億300万ドルの黒字に留まっている。

今年10月の輸出総額は225億1,900万ドル、1日当りの平均輸出額は前年同月比29.6%増加を記録している。また10月の輸入総額は205億1,500万ドル、1日当りの平均輸入額は前年同月比54.9%増加を記録している。

今年初め10か月間の累積貿易黒字は、前年同期比29.6%増加の585億⒎800万ドルを計上している。今年初め10か月間の累積輸出総額は、前年同期比36%増加の2,358億⒎000万ドル、輸入総額は、38.3%増加の1,772億9,100万ドルを記録している。

今年10月の1日当りの農畜産部門の輸出は、前年同月比19.36%増加、鉱業部門の輸出は40.54%増加、製造業部門の輸出は24.44%増加を記録している。

今年10月の1日当りの農畜産部門の輸入は、前年同月比45.09%増加、鉱業部門は141.74%増加、製造業部門は51.38%増加を記録している。

経済省通商局(Secex)の最終予想によると、今年の貿易収支は709億ドルの黒字収支を見込んでいる。輸出総額は2,810億ドル、輸入総額は2,101億ドル、貿易総額は4,911億ドルを見込んでいる。

9月の段ボール派生品出荷は前月比0.3%減少(2021年11月3日付けヴァロール紙)

ブラジル包装紙協会(Empapel)の月間統計速報によると、2021年9月の経済動向のバロメーターの段ボール箱派生品指数(IBPO) は、3ヶ月連続となる0.3%減少の144.7ポイントに留まっている。

今年初め9か月間の累計段ボール箱派生品出荷量は、32万4,300トンを記録、1日当りの平均段ボール箱派生品出荷量は、前年同期比3.7%増加の1万2,973トンとなっている。

今年第3四半期の段ボール箱派生品出荷量は、前四半期比2.3%減少の98万3,100トン、今年9月の段ボール箱派生品指数(IBPO) は、前年同月比6.0%減少の147.3ポイントとなっている。

中銀は2022年のSelic金利は二桁台は不可避と説明(2021年11月3日付けエスタード紙)

10月27日中銀の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力上昇並びに歳出上限を無視する臨時歳出政策の導入伴って、政策誘導金利(Selic)を1.50%引上げ7.75%に決定、ジャイール・ボルソナロ政権では最高のSelic金利レベルに達している。

また日中銀の通貨政策委員会(Copom)の議事録では、次回12月に開催される通貨政策委員会(Copom)では、政策誘導金利(Selic)を再度1.50%引上げて9.25%になる可能性を示唆している。

2022年のインフレ指数を連邦政府の目標中央値である3.50%に近づけるためにはSelic金利が二桁台に乗せることは不可欠となっていることを示唆している。

前政権の家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のために、インフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更で特別委員会で合意した結果を受けて、前回のCOPOM会議前の先月26日には、金融市場関係者はSelic金利の引上げ予想を1.00%から1.25%若しくは1.50%に引き上げていたが、エコノミストの中にはSelic金利の引上げ幅を1.75%、2.00%、最高予想は3.00%の引上げを見込んでいた。

今週は司法上の支払い命令が出されている個人や法人向けなどのプレカルトリオの資金を宛がる憲法改正案(PEC)の採決が予定されており、またブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向けの400レアルの財源確保のために、インフレ指数の計算方法の変更による歳出上限変更など来年度の財政支出増加が不透明となっている。

9月のブラジルの財政プライマリー収支は約130億レアルの黒字計上(2021年10月29日付けヴァロール紙)

2021年9月の中央政府並びに地方政府を合わせたブラジル政府の財政プライマリー収支は、129億3,300万レアルの黒字を計上、9月としては、2010年以降では最高の黒字を計上している。

一方昨年9月の財政プライマリー収支は、Covid-19パンデミック対応の緊急歳出出動を余儀なくされたために645億5,900万レアルの大幅な赤字を計上していた。

今年9月のブラジルの政府の財政プライマリー収支には、中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府、州政府と市町村で構成される地方政府並びに公立銀行及び、ペトロブラス石油公社並びにブラジル中央電力公社を除く公社の決算が含まれている。

今年9月の中央政府の財政プライマリー収支は、7億800万レアルの黒字を計上して2012年以降の9月としては最高の黒字を計上、また地方政府の財政プライマリー収支は、104億3,900万レアルの黒字を計上、公社の財政プライマリー収支は、17億8,600万レアルの黒字を計上している。

今年初め9か月間のブラジル政府の財政プライマリー収支は、141億⒎100万レアルの黒字を計上、2013年以降では最高の黒字を記録したが、Covid-19パンデミックの影響を受けていた昨年同期は大幅な赤字を計上していた。

今年9月の過去12か月間のブラジル政府の財政プライマリー収支は、GDP比0.63%に相当する528億5,400万レアルの赤字を計上したが、今年8月の財政プライマリー収支は、GDP比1.57%に相当する赤字を計上していた。

9月の過去12か月間のブラジル政府の財政プライマリー収支赤字528億5,400万レアルは、Covid-19パンデミック対応の緊急財政出動による昨年同期の7,030億レアルの赤字とは比較にならない程少ない赤字となっていると中銀統計部のFernando Rocha課長は説明している。

今年9月の過去12か月間のブラジルのインフレ指数を考慮しない名目財政プライマリー収支赤字は、GDP比4.84%に相当する4,044億6,900万レアルと8月のGDP比5.62%よりも大幅に減少している。

今年初め9か月間の名目財政プライマリー収支赤字は、2,919億6,400万レアルに達し、昨年同期の2,525億9,600万レアルよりも400億レアル近く赤字幅が増加している。

9月のブラジルの公的負債残高はGDP比83.0%(2021年10月29日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の発表によると、2021年9月の連邦政府のインフレ指数を考慮しない名目公的負債残高は、GDP比83%に相当する6兆9,390億レアルに上昇している。

今年8月の名目公的負債残高は,GDP比82.7%に相当する6兆8,490億レアルであったが、僅か1か月間で900億レアルも公的負債が増加を記録している。

中銀では今年9月の名目公的債務残高の増加要因として、名目利払いは0.5ポイント、レアル通貨に対するドル高の為替は0.3ポイント、ブラジル国債発行は0.2ポイントを占めていた一方で、名目GDP伸び率はマイナス0.8ポイントを記録している。

連邦政府の8月のインフレ指数を差引いた実質公的債務残高は、GDP比59.4%に相当する4兆9,180億レアルであったが、9月はGDP比58.5%に相当する4兆8,960億レアルに減少を記録している。

今年9月の実質公的債務残高の減少要因として、レアル通貨に対するドル高の為替は0.9ポイント、名目GDP伸び率は0.6ポイント、財政プライマリー収支黒字は、0.2ポイントを占めていた一方で、名目利払い調整は0.7ポイントの増加要因となっている。

今年9月の名目並びに実質公的債務残高の統計は、連邦政府、州政府と市町村で構成される地方政府、公立銀行、ペトロブラス石油公社並びにブラジル中央電力公社を除く公社で構成されている。