ブラジルは魚類輸出増加にも拘らず、貿易赤字拡大(2021年10月19日付けヴァロール紙)

2021年初め9か月間のブラジルの魚類輸出は、前年同期比10%増加の1,280万ドルを記録、今年第3四半期の魚類輸出は、前年同四半期比71.0%増加の570万ドルを記録している。

ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)並びにブラジル養魚協会(PeixeBR) の調査によると、今年9月のブラジルの魚類輸出は230万ドル、今年第3四半期の魚類輸出は、前四半期比43.0%を大幅な伸び率を記録している。

ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)養魚部門のManoel Pedroza調査員は、今年のブラジルの魚類輸出は、最小限でも前年比15.0%増加すると予想している。

ブラジルの魚類輸出は、淡水魚のティラピアが牽引しており、今年第3四半期のティラピア輸出は490万ドル、今年初め9か月間の累計ティラピア輸出は、全体の85%に相当する1,090万ドルに達している。

今年初め9か月間の内陸の南マット・グロッソ州で養殖されているティラピアの輸出は190万ドルで他州を牽引、また淡水魚のタンバキやクリンバタも輸出されている。

ブラジルの魚類輸出は米国が約半分を占めており、今年初め9か月間の米国向け魚類輸出は、全体の54%に相当する700万ドルを占めているが、ペルー、コロンビアやチリなど南米諸国の魚類輸出は全体の20%以上を占めている。

ブラジルの魚類輸出は増加傾向を占めている一方で、今年第3四半期のサーモン、マスやナマズを中心とした魚類輸入は1億9,900万ドルに達した要因で、今年第3四半期の魚類の貿易収支は1億9,300万ドルの赤字を計上している。

今年初め8か月間の25州政府は歳入増加を記録(2021年10月19日付けヴァロール紙)

今月19日発表の各州政府の予算実行レポートによると、全国27州政府のうちアマパ州政府並びにピアウイ州政府以外の25州政府の今年初め8か月間の歳入総額は、前年同期比で増加を記録している。

しかし今年初め8か月間のアマパ州政府の歳入総額は、前年同期比マイナス11.0%を記録、ピアウイ州政府の歳入総額もマイナス3.0%を記録している。

今年初め8か月間のリオ州政府の歳入総額は、前年同期比45.0%増加を記録、次いでアラゴアス州政府は36.0%増加、北大河州政府、ミナス州並びにバイア州政府の歳入総額は、それぞれ22.0%増加を記録している。

また今年初め8か月間の歳出が前年同期を下回ったのは、エスピリット・サント州政府の歳出総額は前年同期比マイナス5.0%、アマパ政府はマイナス1.0%、南大河州は前年同期比では同水準に留まったが、ローライマ州政府の歳出は28.0%と大幅増加、アマゾナス州政府並びにマラニョン州政府の歳出はそれぞれ21.0%増加している。

今年初め8か月間の各州政府の純歳入総額から純歳出総額を差引いた実質黒字総額は18.0%と昨年同期の14.0%を上回っている。

ラテンアメリカのスタートアップ企業に世界中の投資家が注目(2021年10月18日付けヴァロール紙)

昨年のCovid-19パンデミックにも拘らず、ラテンアメリカのスタートアップ企業向け投資は、東南アジアを上回り、海外投資家の注目を集めいている。

ラテンアメリカ地域での中古車の購入、アパートの賃貸契約や商業銀行の口座開設手続きは、煩雑なブロクラシーや無気力な官僚制度の前に、低所得層にとってはなかなか手が届かなかった。

しかしスタートアップ企業による最新テクノロジーや簡易ソフト開発の活用で、ラテンアメリカなどの新興国の低所得者層にも低価格でのアクセスが可能となってきている。

2020年のラテンアメリカ地域のスタートアップ企業への投資総額は41億ドルに達し、東南アジア地域のスタートアップ企業への投資総額33億ドルを上回っている。

また昨年のラテンアメリカ地域のスタートアップ企業への投資総額はアフリカ、中近東、東欧、中欧地域を上回っているとGlobal Private Capital Associationは指摘している。

今年上半期のラテンアメリカ地域のスタートアップ企業への投資総額は65億ドルに達し、インドのスタートアップ企業への投資総額83億ドルとそれ程違わない魅力的な投資先となっている。

2013年に創業したNubankのコロンビア人のDavid Vélez氏がサンパウロで口座開設するのに6か月間を要したが、今ではデジタル銀行では最大の顧客を擁している。

ラテンアメリカ地域で最も市場価値が高いメルカド・リブレ社は、「南米のアマゾン社」と呼ばれているが、時価総額は790億ドルに達すると見込まれている。

今年9月にソフトバンクのラテンアメリカ地域担当のボリビア人Marcelo Claure代表は、2019年の50億ドルの投資ファンドに続いて、30億ドルの投資ファンドを発表している。

メキシコのスタートアップ企業で、メキシコとアルゼンチンの中古車市場を破壊したKavak社は、メキシコのスタートアップ企業では初めてのユニコーン企業であり、時価総額は87億ドルに達すると見込まれている。

チリ発フードテック系スタートアップ企業のノット・カンパニー(NotCo)が2020年1月から植物由来のハンバーガーパティを発売すると発表、同社は2015年11月にチリ人起業家3人によって設立されたスタートアップで、自社の人工知能(AI)を搭載した機械学習ソフトウエア「Guiseppe(ジュゼッペ)」を用いて、既存の動物性原材料を使用する食品を植物性食品のみで代替した製品の開発、販売。同社は既に米国やカナダに進出している。

最終フォーカスレポートは、今年のインフレ率を上方修正(2021年10月18日付けエスタード紙)

18日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の8.59%から8.69%と28週間連続で上方修正、1か月前の予想は8.35%であった。

また2022年の広範囲消費者物価指数(IPCA)も前回予想の4.17%から4.18%と13週間連続で上方修正したが、1か月前の予想は4.10%であった。2023年のIPCA指数は3.25%、2024年のIPCA指数は3.00%を予想している。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されている。2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%。許容範囲は±1.50%に相当する最低2.00%、最高5.00%に設定されている。

今年のブラジルのGDP伸び率は、前回予想の5.04%から5.01%と僅かに下方修正、2022年のGDP伸び率も前回予想の1.54%から1.50%に下方修正している。

今年末の政策誘導金利(Selic)は、インフレ指数を引上げたにも拘らず、前回同様8.25%、2022年末のSelic金利は、8.75%と前回予想と同率にそれぞれ据え置いている。

9月に開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)では、Selic金利を1.00%引上げて6.25%に決定、今月26日並びに27日に開催される通貨政策委員会(Copom)では、Selic金利の1.00%引上げが予想されている。

9月の農業部門の貿易黒字は88億ドルを計上(2021年10月18日付けエスタード紙)

2021年9月のブラジルの農畜産部門の輸出額は、大豆派生品が約3分の1を占めて牽引して、月間記録を更新する90億ドル近くの貿易黒字を計上している。

今年9月の農畜産部門の貿易黒字は、前年同月比21.0%増加の88億4,900万ドルを記録、9月の農畜産部門の輸出総額は、21.0%増加の101億ドルで記録更新、輸入総額は、19.2%増加の12億5,000万ドルを記録している。

また今年初め9か月間の農畜産部門の累積貿易収支は、昨年同期の684億1,300万ドルの黒字を20.4%上回る823億7,800万ドルを記録している。

今年9月の大豆派生品の輸出額は中国向け輸出が牽引して、昨年9月の21億3,000万ドルを10億6,000万ドル上回る31億9,000万ドルを記録している。

また今年9月の食肉輸出は、初めて20億ドルを突破する22億1,000万ドルを記録、昨年9月の食肉輸出金額を62.3%上回り、過去最高記録を更新している。

8月の経済活動指数(IBC-Br)はマイナス0.15%を記録(2021年10月15日付けエスタード紙)

2021年8月のGDP伸び率の先行指標となる中銀発表のインフレ指数を差引いた実質経済活動指数(IBC-Br)は、広範囲小売販売並びに鉱工業部門の不振が牽引して、前月比マイナス0.15%を記録している。

今年8月の実質経済活動指数(IBC-Br)は、前月の0.23%増加から一転してマイナス0.15%を記録、今年初め8か月間の累積IBC-Br指数は6.41%増加、8月の過去12か月間の累積IBC-Br指数は、3.9%増加を記録している。

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間小売調査(PMC)によると、今年8月の自動車や建材を含む広範囲小売販売は、前月比マイナス2.5%を記録、8月のブラジルの鉱工業部門生産は、世界的な部品供給問題の影響を受けて、前月比マイナス0.7%と3ヶ月連続でマイナスを記録、この間の鉱工業部門の累積生産は、マイナス2.3%と大幅に後退していた。

一方ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2021年8月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比0.5%増加を記録している。

また今年4月~8月の5か月間のサービス部門の累計提供量は、前年同期比6.5%増加して、Covid-19パンデミック直前の昨年2月の水準を4.6%上回って、2015年11月以降では最高の水準に達している。

しかし今年8月のサービス部門提供量レベルは、今年初めまでCovid-19パンデミックの影響を受けていた影響で、2014年11月の過去最高の水準には依然として、7.1%低いレベルに留まっている。

今年8月の実質経済活動指数(IBC-Br)は、7月の139.44ポイントから139.23ポイントと微減したが、6月の139.12ポイントを若干上回っている。

ブロードキャストプロジェクションの調査では、今年8月の実質経済活動指数(IBC-Br)の最低予想はマイナス0.99%、最高予想は0.10%増加であった。
中銀の最終四半期インフレレポート(RTI)によると、今年のGDP伸び率は4.70%増加予想、中銀の最終フォーカスレポートでは、今年のGDP伸び率を5.01%増加を予想している。

8月のサービス部門提供量は前月比0.5%増加で2015年以降では最高水準(2021年10月14日付エスタード紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2021年8月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比0.5%増加を記録している。

また今年4月~8月の5か月間のサービス部門の累計提供量は、前年同期比6.5%増加して、Covid-19パンデミック直前の昨年2月の水準を4.6%上回って、2015年11月以降では最高の水準に達している。

しかし今年8月のサービス部門提供量レベルは、今年初めまでCovid-19パンデミックの影響を受けていた影響で、2014年11月の過去最高の水準には依然として、7.1%低いレベルに留まっている。

今年8月のサービス部門提供量レベルは、前年同月比16.7%と二桁台の増加を記録、今年初め8か月間では11.5%増加、8月の過去12か月間の累計提供量は5.1%増加を記録している。

今年8月のサービス部門提供量は、Covid-19対応ワクチン接種の加速化に伴って継続して回復傾向を示しているが、Covid-19の第二次感染拡大で、各地方自治体の要請による必需品以外の営業自粛による落込みを除いて、昨年6月から回復傾向となっているとブラジル地理統計院(IBGE)調査部のRodrigo Lobo部長は説明している。

今年8月のサービス部門のセクター別提供量調査では、調査対象の5セクターのうち4セクターで増加を記録、特に情報・通信サービスセクター生産量レベルは前月比1.2%増加、、輸送・輸送補助サービス・郵便サービスセクターは1.1%増加を記録している。

また8月の一般家庭向けサービスセクターは4,1%増加と5月から連続4か月で増加を記録、5月~8月の一般家庭向けサービスセクターの累計提供量は50.5%増加、特に住居・食品・ホテル・レストランセクターが牽引したが、8月の一般家庭向けサービスセクターのサービス提供量は、Covid-19パンデミック直前の昨年2月の水準を依然として17.4%下回っている。

今年8月の観光セクターのサービス提供量は、4か月連続となる前月比4.6%と大幅に増加したが、今年5月~8月の累計サービス提供量は49.1%増加したにも関わらず、Covid-19パンデミック直前の昨年2月の水準を20.8%下回っている。

降雨と水資源の消費減少は貯水ダムの水位低下を緩和するも依然として危機的状況(2021年10月14日付エスタード紙)

南部地域、南東部地域並びに中西部地域の貯水ダムは、過去数日間の降雨と水資源の消費減少で、2001年同様の電力エネルギーの節電対策リスクは減少したにも拘らず、依然として危機的状況にあると気象関連スペシャリストは警告している。また火力発電所の稼働は2022年迄の継続を余儀なくされると予想している。

南部地域の水力発電所の貯水ダムの貯水能力はブラジル全体の7.0%に匹敵するが、今月初めから現在までの南部地域の平均水位は28.35%から34.13%と5.78%上昇している。

前期同様に南東部地域並びに中西部地域の貯水ダムの貯水能力はブラジルの70%を占めるが、今月6日の平均水位は16.49%、今月12日は僅かな降雨で16.82%と微増に留まっている。

国家電気システム (ONS)の調査によると、今年9月の電力エネルギーの自主的消費減少プログラムによる節電効果は442メガワット、10月は600メガワットが見込まれているが、国家電力庁(Aneel)が許可した火力発電所並びに風力発電所による前倒しの発電も含まれている。

国家電気システム (ONS)は、年内の電力エネルギー危機リスクは後退したが、2022年も継続して節電対策の継続は避けられず、火力発電所の稼働は継続されるが、一般消費者に対する電力エネルギー料金値上げ圧力は増加。火力発電所による生産コストをカバーするためには1MHh当たり1600レアルに達する可能性をリオ連邦大学のNivalde de Castro教授は指摘している。

東北部地域を中心にブラジル国内で風力発電所及び太陽光発電所の建設が進んでおり、風力発電所及び太陽光発電所による電力エネルギー生産は全体の21%まで上昇している。太陽光発電はブラジル全体の僅か2.0%に留まっているが、今後は南東部地域を中心に太陽光発電所建設が進むとComerc社のCristopher Vlavianos社長は指摘している。

今年初め8か月間のスーパーの売上は、3.15%増加も2020年1月以降では最低レベル(2021年10月14日付けヴァロール紙)

ブラジルスーパーマーケット協会(Abras)の発表によると、2021年8月のスーパーマーケット業界の売上は、前年同月比1.78%増加した一方で、前月比ではマイナス2.33%を記録、今年のスーパーマーケット業界の売上は、前年比4.5%増加を見込んでいる。

今年初め8か月間のスーパーマーケット業界の累積売上は、前年同期比3.15%増加したにも関わらず、2020年1月以降では、最低記録のレベルに留まっている。

今年4月から4か月間限定の緊急給付金(auxílio emergencial)支給の再開の可能性は非常に小さい上に、インフレ圧力の上昇が高まっているとブラジルスーパーマーケット協会(Abras)のMarcio Milan副会長は指摘。今年8月のスーパーの売上は前年同月比マイナス1.78%、前月比では、マイナス2.33%の落込みを記録している。

ブラジルスーパーマーケット協会(Abras)では、今年のスーパー業界の売上伸び率は、前年比4.5%増加予想を確信しており、年末にかけて所得税の払い戻しや13か月目のサラリー支給などの要因で、国内景気は良くなると予想している。

またアメリカの祝日「感謝祭(11月第4木曜日)」の翌日金曜日、アメリカ最大規模のセール「クリスマスセール(ホリデーシーズン)」の初日にあたる日で、多くの企業・商店が大型商戦を仕掛け、黒字を想起させるのでブラックフライデーと呼ばれるが、ブラックフライデー向けの製品在庫不足のリスクは少ないとMarcio Milan副会長は説明している。

今年8月の食料品、衛生用品や身の回り品など35アイテムで構成される基本スーパーマーケットバスケットは、前年同月比22.23%増加の675.73レアルまで高騰したが、前月比では1.07%増加している。

今年初め8か月間のスーパーマーケットのAbrasインデックスは、6.41%増加とインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)の5.67%を上回っている。

一般消費者はスーパーでの値上げ幅の大きい牛肉購買は、20%以上減少している一方で、鶏卵の購入は、昨年末の年間220個から現在は250個に増加しているとMilan副会長は指摘している。

今年初め9か月間のコモディティ商品輸出は69.7%を占めている(2021年10月13日付ヴァロール紙)

Covid-19パンデミック以降、鉄鉱石、原油や農畜産物の国際コモディティ商品価格は、一早くCovid-19パンデミックから抜け出した中国の国内経済が牽引して上昇を続けている。

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の貿易指数(Icomex)調査によると、2021年初め9か月間のブラジルの輸出のうちコモディティ商品の輸出量は微増にも拘らず、コモディティ商品価格の高騰で全体の69.7%を占めている。

昨年初め9か月間のブラジルの輸出のうちコモディティ商品の全体に占めるIcomex指数の割合は67.5%、2019年同時期は60.6%と僅か2年間で約10%も上昇を記録している。

2001年初め9か月間のブラジルの輸出に占めるコモディティ商品の全体に占めるIcomex指数の割合は37.4%であったが、2009年には54.5%まで上昇している。

一方2001年初め9か月間の付加価値の高い完成品の全体に占めるIcomex指数の割合は60.4%を占めていたが、2009年には49.3%と過半数を割っており、今年初め9か月間では32.8%を3分の1以下迄低下している。

国際コモディティ価格の高騰は、電力エネルギーコスト、天然ガスや輸送コスト高に繋がって世界的なインフレ傾向は2022年迄継続するとOurinvest社貿易ストラテジストのWelber Barral氏は指摘している。

今年初め9か月間の鉄鉱石、大豆並びに原油の輸出全体に占めるIcomex指数の割合は、コモディティ商品価格の高騰で前年同期の38.3%から43.7%と大幅に上昇、2013年は30.7%、2001年は僅か11.9%であった。

国際コモディティ商品価格が常に高止まりすると考えるのは錯覚であり、早急な構造改革の実施でブラジルコストの低減による製造業の活性化で付加価値の高い製品輸出が不可欠とブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。