中銀はSelic金利を1.00%引上げて6.25%に決定(2021年9月21日付エスタード紙)

22日ブラジル中央銀行の通貨政策委員会(Copom) は、継続するインフレ圧力を抑制する目的で、政策誘導金利(Selic)を1.00%引上げ6.25%に決定、5回連続でのSelic金利引き上げを余儀なくされている。

中銀の通貨政策委員会(Copom) は、過去12か月間のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)が二桁台に接近しており、8月の1.00%のSelic金利に続いて同率の引上げを余儀なくされた。また8月以前の通貨政策委員会(Copom) では、3回連続でSelic金利をそれぞれ0.75%引上げていた。

今回のSelic金利6.25%は、2019年8月の6.00%を2年ぶりに突破したが、昨年8月から今年3月のSelic金利は、過去最低の2.00%を継続していた。

ブロードキャストプロジェクションの51金融機関を対象とした調査では、44金融機関が通貨政策委員会(Copom) によるSelic金利の1.00%引上げを予想していた。

しかし、先週まで、金融市場はSelic金利が1.25~1.50%ポイント上昇すると予測していた。しかし、中央銀行のロベルト・カンポス・ネト総裁は、金融当局がインフレ率の高い頻度ごとに「飛行計画」を変更しないと述べ、Selic金利による金融引き締め強化に対する期待を冷冷却する結果となった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されている。2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%。許容範囲は±1.50%に相当する最低2.00%、最高5.00%に設定されている。

今年8月のIPCA指数は、ガソリン並びに食料品の値上げが牽引して0.87%と8月としては過去21年間で最高のインフレ指数を記録、8月の過去12か月間の累計IPCA指数は9.68%であった。

20日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、2021年のインフレ指数は8.3%、2022年は4.1%、2023年は3.25%を予想している。

8月の鉄鋼製品販売は、前月比5.0%増加の27万4,500トン(2021年9月21日付ヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)の発表によると、2021年8月の鉄鋼卸売り業者による鉄鋼製品販売は、前月比5.0%増加の27万4,500トンを記録して回復傾向を示している。

しかし今年8月の鉄鋼製品販売は、COVID-19パンデミックのピークを過ぎて再稼働を始めた前年同月の37万3,800トンと26.2%と二桁台の大幅な減少を記録している。

今年8月の鉄鋼卸売り業者の鉄鋼製品在庫は、営業日数換算で3.1ヶ月分に相当する84万8,200トンに達して、通常の鉄鋼製品在庫レベルに戻っている。

今年8月の鉄鋼製品輸入量は、前月比10.2%減少の18万9,700トンを記録した一方で、COVID-19パンデミックの影響で世界的に貿易が低迷していた前年同月比では、219.7%と大幅な増加を記録している。

GM社は二交代制勤務再開(2021年9月21日付エスタード紙)

GM社の南大河州グラヴァタイ自動車工場は、半導体の供給不足で5か月間の操業停止を余儀なくされていた。またサンパウロ州サン・カエタノ・ド・スル工場も2か月間の操業停止後、生産再開を開始したと南米及びブラジルGM社のSantiago Chamorro新社長は説明している。

今月20日にサンパウロ州サン・カエタノ・ド・スル工場では、通常の二交代制勤務で自動車生産を再開、南大河州グラヴァタイ自動車工場は、10月4日から二交代制勤務体制に戻るが、半導体不足で生産中止を余儀なくされていた生産台数の挽回を図る。

8月31日に社長に就任して依然として米国に滞在しているSantiago Chamorro新社長は、22日にべストセラーカーのOnix車の生産再開を発表している。

南大河州グラヴァタイ自動車工場ではONIX車を生産していたにも関わらず、半導体供給不足で5か月間に亘って操業停止を余儀なくされていた。

またTracker車, Spin社並びにOnix Joy車を生産していたサンパウロ州サン・カエタノ・ド・スル工場も2か月間以上に亘って生産停止を余儀なくされたが、2022年から生産開始を始める新型Montana車の製造ライン工事を行っていた。

今後2週間後からGM社の国内3カ所の自動車工場では二交代勤務体制を再開、サンパウロ州サン・ジョゼ・ドス・カンポス工場では、picape S10車並びにSUV Trailblazer車の生産を再開する。

8月中旬から南大河州並びにサンパウロ州奥地の自動車生産工場は1シフト勤務体制を再開した影響で、現在のトラックやバスを除く新車のマーケットシェアは12.0%に回復、ベストセラーカーのOnix車の生産停止を余儀なくされていた期間のマーケットシェアは、7.0%前後まで減少していた経緯があった。

Evergrande Groupの破綻危機の影響で、ブラジル企業の海外での資金調達に障害(2021年9月21日付エスタード紙)

中国の不動産開発大手、恒大集団(Evergrande Group)が、巨額の債務を抱えて経営破綻すれば、海外での新興国やラテンアメリカ諸国の資金調達が困難になると予想されている。

3000億ドル超の負債を抱える中国恒大は、流動性危機に直面しており、金融機関やサプライヤーへの支払いに向けた資金調達に追われている。23日には8350万ドルの社債利払いが期日を迎える。

10社以上のブラジル大企業は、2022年の大統領選を前に、来年の海外での資金調達が難しくなる前に、年内の海外での社債発行などで資金調達を見込んでいたが、恒大集団の倒産危機で資金調達がより困難になると予想されている。

一方今月7日、ブラジル航空大手のGOL航空は米航空大手デルタ航空と長期提携契約を発表。デルタがGOLに1億ドルを出資し、役員も派遣。米国―ブラジル間を含む共同運航便を運営するほか、顧客サービスなどを含め広範に協力で合意している。GOL社は償還期間が2026年の社債発行をする。

恒大集団の190億ドルに達する債務再編が現実味を帯びつつあり、今月20日が銀行ローンの利払い日となっているが、支払いは行われない様子であり、Ashmore社, BlackRock社並びにUBS社は、恒大集団に大口出資をしている。

昨日20日のブラジルの社債や国債、貸付債権などの信用リスクに対して、保険の役割を果たすデリバティブ契約の5年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、先週金曜日の180ポイントから20ポイントに相当する11.0%急増の200ポイントに達している。

恒大集団の倒産危機の影響で、中国向け輸出企業は、国際コモディティ価格の下落や中国の需要減少で大きな影響が見込まれているが、特に鉄鉱石の国際コモディティ価格下落でヴァーレ社並びにナショナル製鉄所の収益悪化が見込まれている。

民間航空庁は第7回空港民営化入札承認(2021年9月21日付ヴァロール紙)

21日民間航空庁(Anac)はサンパウロ市コンゴニアス空港並びにリオ市サントス・ヅモン空港を含む第7回空港民営化入札を承認、今後45日間以内のオンライン公聴会の開催が予定されている。

今回の第7回空港民営化入札にはブラジル国内の16空港を3ブロックに分割して入札にかけられる。サンパウロ-南マット・グロッソ州の空港民営化の第1ブロックにはサンパウロ市コンゴニアス空港及びカンポ・デ・マルテ空港、南マット・グロッソ州のカンポ・グランデ空港、コルンバ空港、ポンタ・ポラン空港、パラー州アルタミーラ空港、カラジャス空港、マラバ空港並びにサンタレン空港が含まれている。

リオ州-ミナス州の第2ブロック入札には、リオ市サントス・ヅモン空港、リオ州ジャカレ・パグア空港、ミナス州モンテス・クラーロス空港、ウベラーバ空港並びにウベルランジア空港が含まれている。

北部地域の第3ブロック入札にはパラー州ベレン空港並びにアマパ州マカパ空港が民間企業による運営が見込まれている。オンライン公聴会を経て連邦会計検査院(TCU)の承認を得て民営化入札が実施される。

連邦政府によるブラジル国内の空港の民営化入札は今回で終了するが、過去数年間に亘って連邦政府は大半の国内空港民営化でInfraero公社廃止を目指していた経緯があった。

しかし北大河州サン・ゴンサロ・ド・アマランテス空港及びサンパウロ州ヴィラコッポス空港は落札した空港運営会社の運営権返還で再度空港民営化入札を余儀なくされている。

OECDは来年のブラジルの経済成長率を2.3%予想(2021年9月21日付ヴァロール紙)

経済協力開発機構(OCDE)の「経済見通し2021(Economic Outlook 2021)」によると、2021年のブラジルのGDP伸び率を今年5月の3.7%を1.5%上方修正した5.2%増加を予想した一方で、2022年のブラジルのGDP伸び率は、前回予想の2.5%を0.2%下回る2.3%に下方修正している。

しかし中銀最終フォーカスレポートは、2022年のブラジルのGDP伸び率は前回予想の1.72%から1.63%に下方修正、1か月前の予想は2.0%であった。また多くの金融スペシャリストは、来年のブラジルのGDP伸び率を1.0%前後に留まると予想している。

今年5月の経済協力開発機構(OCDE)は、2021年のブラジルのインフレ指数を7.2%と予想していたが、現在は1.0%増加の8.2%に上方修正、前期同様に2022年のインフレ指数は、4.9%から0.9%増加の5.8%に上方修正している。

OECDでは今年の新興国の経済成長率はまだら模様で、中国はCOVID-19パンデミック前の水準を突破、国際コモディティ商品の輸出国は、国際コモディティ商品価値の高止まり及び世界の需要の恩恵を受けると予想している。

一方ブラジルの一般家庭は、食料品並びに電力エネルギー料金値上げ、デルタ株の感染拡大、ワクチン接種、政策誘導金利Selicの引上げなどインフレ圧力が増している。

RUMO社はマット・グロッソ州で730キロメートルの鉄道建設で州政府と合意(2021年9月20日付ヴァロール紙)

20日CosanグループのRUMO社はマット・グロッソ州の農産物をサントス港湾から輸出するために、州内で総延長距離が730キロメートルに及ぶ鉄道建設をマット・グロッソ州政府と調印を交わした。

北部鉄道網と命名されていた州内のロンドノポリス市からノーヴァ・ムツン経由ルッカス・デ・リオ・ヴェルデ及び州都クイアバを結ぶ鉄道を建設するが、敬意を称して大豆王のOlacyr de Moraes 鉄道と命名されている。

サンパウロ州サントス港とマット・グロッソ州ロンドノポリス市は既に運営されているが、一大穀倉地帯の州北部の農産物をトラック輸送から鉄道輸送でサントス港湾からの輸出が可能となり、輸送コストの大幅な削減に繋がり、競争力強化に繋がる。

RUMO社では、鉄道向けの環境ライセンスは6ヶ月以内に取得できると見られており、鉄道建設開始は2022年末~2023年初めと予想されている。

730キロメートルの鉄道建設の投資総額は90億レアル~110億レアルをRUMO社のBeto Abreu社長は見込んでおり、鉄道完成は2028年~2030年が見込まれているが、鉄道建設小売開始は2025年からロンドノポリスと200キロメートルの区間が見込まれている。

不透明な中国経済並びにEvergrande Groupの破綻危機で鉄鉱石価格が下落(2021年9月20日付ヴァロール紙)

過去15か月間に亘って1トン当たりの鉄鉱石の国際コモディティ価格は100ドルを上回っていたが、中国の不動産開発大手、恒大集団(Evergrande Group)が、巨額の債務を抱えて経営破綻に直面しているニュースで、鉄鉱石価格は100ドルを割っている。

また中国の鉄鉱石需要の低下に伴って、過去15か月間に亘って100ドル以上の鉄鉱石価格は、100ドルを下回っており、今年初めから既に42%も下落している。

Fastmarkets MB指標によれば、含有量が62%の中国青島港での取引価格は8.8%減少の92.98ドルまで下落しており、2020年5月14日以降では最安価格を記録している。

Evergrande社は、中国最大級の民間企業で、不動産開発大手。280以上の都市で事業を展開しており、中国政府が推し進めてきた改革開放路線の下、ここ数十年間、不動産開発事業で急成長してきた。

Evergrande社が倒産すれば、鉄鋼需要の大きな建設業界に大きな影響が見込まれており、中国の鉄鋼需要の先行き不透明感が上昇すると見込まれている。

今年9月の鉄鉱石の国際コモディティ価格は39.5%下落、今年5月の鉄鉱石価格を240ドルを記録したが、既に61%も下落を記録している。また、中国政府は、二酸化炭素排出削減目標を達成するため、国内の製鉄所の稼働率を下げる取り組みを拡大してきている。

今年のインフレを8.35%と大幅に上方修正(2021年9月20日付ヴァロール紙)

20日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の8.00%から8.35%と24週連続となる上方修正を余儀なくされたが、1か月前の予想は7.11%であった。

また2022年の広範囲消費者物価指数(IPCA)も前回予想の4.03%から4.10%に上方修正、9週連続での上方修正を記録している。中銀は毎週100人以上のエコノミストを対象に調査を行っている。

2023年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回同様3.25%に据え置かれたが、2024年のIPCA指数は前回予想の3.03%から3.00%と下方修正されている。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されている。2022年のIPCA指数の中央目標値は3.50%。許容範囲は±1.50%に相当する最低2.00%、最高5.00%に設定されている。

2023年のIPCA指数の中央目標値は3.25%。許容範囲は±1.50%に相当する最低1.75%、最高4.75%に設定されている。2024年のIPCA指数の中央目標値は3.00%。許容範囲は±1.50%に相当する最低1.50%、最高4.50%に設定されている。

先週経済省は今年のIPCA指数を前回予想の5.90%から7.90%と大幅に上方修正、2022年のIPCA指数も前回予想の3.50%から3.75%に上方修正している。

また最終フォーカスレポートでは今年末の政策誘導金利(Selic)を前回予想の8.00%から8.25%引上げたが、1か月前の予想は7.50%であった。2022年のSelic金利は前回予想の8.00%から8.50%に上方修正したが、1か月前の予想は7.50%であった。

中銀の通貨政策委員会(Copom) は、21日並びに22日にかけて開催されるが、先週中銀のRoberto Campos Neto総裁はSelic金利の1.0%引上げを示唆していた。

今年のGDP伸び率は前回同様に5.04%に据置、2022年のGDP伸び率は前回予想の1.72%から1.63%に下方修正、1か月前の予想は2.0%であった。また2023年のGDP伸び率は2.30%、2024年のGDP伸び率は2.50%それぞれ据え置いている。

ボルソナロ大統領は新ボルサ・ファミリア制度の財源確保のために金融取引税の税率アップ(2021年9月17日付ヴァロール紙)

16日ジャイール・ボルソナロ大統領は、新家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラム向けの財源確保のために、個人並びに法人向け金融取引税(IOF) の税率を今年12月31日まで一時的に引き上げる暫定令にサインした。

貧困層向け社会補助政策のボルサ・ファミリアプログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムの財源確保のための金融取引税の税率アップによる臨時歳入は、21億4000万レアルが見込まれている。

金融取引税(IOF) の税率アップによる臨時歳入21億4000万レアルのうち16億レアルは、年内に実施開始が予定されている平均補助金額が300レアルのブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラム向け支出に宛がわれる。

COVID-19パンデミック対応の失策、インフレ高騰、急上昇するSelic金利、一向に改善しない国内経済などの要因で、2022年の大統領選で再選を目指しているジャイール・ボルソナロ大統領の支持率は、過去最低に下落した一方で、拒否率は上昇の一途を辿っている。

公的機関の債務回収、司法上の支払い命令が出されている個人や法人向けなどのプレカルトリオの長期分割払い並びに所得税修正案の拒否などの要因で、ブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムの財源確保に苦慮していたが、最後の手段として金融取引税の税率アップによる財源確保を決めた。

現行の個人向け金融取引税は0.0041%、年率換算では1.50%を0.00559%で年率換算では2.04%に引き上げる。また現行の法人向け金融取引税は0.0082%、年率換算では3.00%を0.01118%で年率換算では4.08%に引き上げる。