医療保健業界の再編加速(2021年6月23日付けエスタード紙)

医療保健部門の企業の買収や統合は加速し続けており、規模の大きな医療保健企業は最大の効率を求めて企業買収に走っており、また医療サービス提供企業は、サービスの補完性確保を追求している。

今年6月だけでも病院ネットワーク、医療センター並びにラボラトリー業界では5件で23億レアルに達する買収案件が成立して業界再編が加速してきている。

2020年末から医療業界では、Rede D’Or社の新規株式公開IPOによる113億レアルの資金調達を含めて、サンパウロ証券取引所B3では252億レアルの資金調達が行われている。

医療保健業界では、新規株式公開での資金調達ができないKora Saúde社やAthena社などの中小規模グループは、投資家や自社の持ち株主に融資の要請を行っている。Viveo社は今年4月の予定していたIPOが不成立となったために、運転資金調達のために億レアルの社債を発行している。

医療保健業界の医療サービス提供企業が扱っている製品が輸入非であるために、レアル通貨に対するドルの為替高騰やインフレ上昇にも拘らず、価格転嫁が出来にために収益圧迫を余儀なくされている。

健康保険、クリニック並びに病院に至るまでの垂直型の一貫したサービス提供は、コスト削減のための最も効率的な戦略であることが証明されており、業界再編に拍車はかかっている。

ノートルダム・インターメディカ社やHapvida社などの主要な医療保健グループは、効率化を図るために積極的に企業買収を行ってマーケットシェア争いを展開している。

業界再編による川上から川下までの事業統合による効率化アップで、独自のネットワークを擁する病院の事故率は、2016年の95%から2019年には89%に低下して大幅に効率アップ、独自のネットワークを持たない病院でも、88%から84%に低下している。

ノートルダム・インターメディカ社並びにHapvida社の合併は、ミナス州ベロ・オリゾンテ市やサンパウロ州カンピーナス市の医療保健分野を独占しているUnimed社に対抗できるとÓrama Investment Banking社のAleardo Veschiパートナーは指摘している。

ベロ・オリゾンテ市のUnimed社は、病院並びに医療スタッフの水準はブラジルでも比類がない程に高いが、過去2年間でノートルダム・インターメディカ社並びにHapvida社は病院を買収して進出、Rede D’Or社も最高級レベルの病院を買収、Mater Dei社は株式公開して進出を図っている。
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医療保健業界では、ブラジル人の生活向上に伴って需要が拡大してきており、農畜産業界が好調な中西部地域のクイアバ市やカンポ・グランデ市に先を争って進出、Unimeds社がマーケットシェアを握っている南大河州に、Intermédica社は進出、またサンタ・カタリーナ州フロリアノポリス市にも足場を築いている。

ブラジル大企業のIPOは海外投資家を魅了(2021年6月21日付けエスタード紙)

海外投資家による今年初めからサンパウロ証券取引所(B3)の株式投資による投資金流入から流出を差引いた純投資残高は、440億レアルに達しているが、今年7月にブラジルの大企業の新規株式公開(IPO)が相次ぐために、更なる海外からの資金流入が期待されている。

COVID-19対応のワクチン接種の遅れ、構造改革の遅れによる財政赤字の拡大などの要因で、ブラジルの国内経済は足踏み状況にも拘らず、今年上半期のB3への海外投資家による投資残は、440億レアルと昨年同期の760億レアルの赤字から一転して大幅な黒字を記録している。

今年7月以降に新規株式公開を予定しているブラジルの大企業として、CosanグループのRaízen社、ヴォトランチングループ傘下のCBA社、実業家ベンジャミン・スタインバック氏が率いるCSN 今年7月から9月に掛けてブラジル大企業のIPOによる資金調達総額は、400億レアルが見込まれているが、今年初めからの資金調達総額は800億レアルに達している。Itaú BBA社は、今年1年間のIPOによる資金調達総額は、1,500億レアルから1,700億レアル相当を見込んでいる。

現在は4.25%まで上昇しているが、今年3月迄の政策誘導金利(Selic)は、過去最低の2.00%であったために、確定金利付き投資らリスクの高い株式投資に資金が流れていた。2019年末のB3の個人投資家は60万人であったが、現在は370万人と6倍以上に増加している。

Cosan社並びにShell社のベンチャー企業Raízen社は、7月末に予定している新規株式公開で100億レアル以上の資金調達を目論んでいるが、二酸化炭素排出量の削減する再生可能代替燃料への資金調達を目指している。時価総額は900億レアルに達している。

CSN Cimentos社は、7月第2週にIPOで約25億レアルの資金調達を目指しているが、昨年のセメント販売は400万トン。コンペティターのMoverグループ傘下のInterCement社も7月第2週にIPOで約40億レアルに資金調達を図る。

同社はブラジル以外にもモサンビーク、エジプト、南アフリカ並びにアルゼンチンで事業を展開、昨年は世界の33カ所のセメント工場で3,700万トンのセメントを生産している。

Oncoclínicasグループは、7月末に新規株式公開で60億レアルの資金調達を予定、2010年設立で国内10州で70カ所のクリニックを経営、腫瘍学、放射線療法や骨髄移植などの分野で事業を展開している。

ヴォトランチングループ傘下CBA社は、7月第3週にサンパウロ証券取引所でIPOで20億レアルに資金調達を予定、昨年の売上は54億レアル、アルミ生産は40万8,000トン、ブラジル国内7州でアルミを生産している。フィットネスクラブを展開するSmartfit社は、IPOで20億レアルの資金調達を予定している。

半導体不足で、自動車業界の回復遅延(2021年6月21日付けエスタード紙)

ワーゲン社並びにGM社の自動車工場は、自動車用半導体の供給問題で今月21日から操業停止、現代自動車は製造ラインの減少を余儀なくされており、今年の下半期も継続して半導体不足による生産調整を余儀なくされると予想されている。

伝統的に自動車販売は下半期に増加する傾向となっている上に、COVID-19対応ワクチンの接種拡大並びに今年のGDP伸び率の上方修正にも関わらず、自動車業界は半導体不足による減産で、売上増加が見込めない状況となっている。

半導体の供給問題で、今年下半期の新車供給は、需要に応じる事が非常に難しい状況になっていると全国自動車工業会(Anfavea)のLuiz Carlos Moraes会長は指摘している。

Moraes e outros executivos da cadeia preveem que o equilíbrio entre oferta e demanda se dará ao longo de 2022. Hoje, a espera por modelos como as picapes Strada e Toro, da Fiat, pode passar de três meses.
ピックアップ車のStrada車やToro車の受注から納車まで3か月以上要しており、新車の需給バランスが整うのは2022年以降になるとLuiz Carlos Moraes会長は指摘している。
“Se tudo der certo, o segundo semestre de fato será bom para a economia brasileira, o que deve aumentar a confiança do consumidor, reduzir o desemprego e melhorar a renda da população, mas não vai ter carro para entregar por falta de semicondutores”, avalia Ricardo Bacellar, da consultoria KPMG do Brasil. “Isso vai ser um problemão para a indústria.”

Paradas
A Volkswagen suspendeu a produção por dez dias em São Bernardo do Campo e São Carlos (SP). A fábrica de São José dos Pinhais (PR), fechada desde o dia 7, voltaria hoje, mas teve a paralisação estendida até início de julho. A de Taubaté, que parou no mesmo dia, voltou na quinta-feira.
ワーゲン社は、サンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポス工場並びにサン・カルロス工場の新車生産を10日間に亘って操業停止、パラナ州サン・ジョゼ ・ドス・ ピニャイス市の自動車工場は今月7日から操業停止、21日からの操業再開を予定していたにも関わらず、半導体不足で来月初めまで延長する。またサンパウロ州タウバテ工場も今月7日から操業停止していたが、先週木曜日から操業再開している。
A GM suspendeu operações em São Caetano por seis semanas, mas aproveita e prepara a linha para a produção de uma nova picape. A planta de Gravataí (RS) está parada desde abril e volta só em meados de agosto.
GM社は、サンパウロ州サン・カエタ―ノ工場を6週間に亘って操業停止している。また南大河州グラバタイ工場は、今年4月から工業停止を継続、8月中旬から操業再開を予定している。
A Hyundai passou a operar com apenas um turno de trabalho. O terceiro tinha sido suspenso no fim de maio, e agora o segundo turno também foi interrompido, até o fim do mês.
現代自動車は販売好調で3勤務交代体制を採用していたが、5月末に2交代制、今月末まで1勤務交代体制を導入して、半導体不足による生産調整を余儀なくされている。
Prejuízos
Por causa da escassez de itens eletrônicos, em sistemas de segurança, aceleração, freios e iluminação, entre outros, a indústria global de veículos deve deixar de produzir entre 2,5 milhões e 4 milhões de veículos este ano. Antes, a previsão para o total da produção era de 84 milhões de unidades.
今年の新車生産は8,400万台が予想されていたが、世界的な自動車向け半導体不足で、250万台~400万台の減産を強いられると予想されている。ブラジルの今年の新車生産は252万台が見込まれていたが、半導体不足で12万台の下方修正が見込まれている。

最終フォーカスレポートでは、今年のインフレ指数は許容上限値突破予想(2021年6月21日付けエスタード紙)

21日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年の国内総生産(GDP)伸び率は、世界経済の回復並びにブラジルの輸出を牽引する食料品、鉄鉱石や原油などの国際コモディティ商品価格の上昇で、前回予想4.85%から5.00%大幅修正、1か月前の予想は3.52%であった。

しかし2022年のGDP伸び率は、前回予想の2.20%から2.10%に下方修正している。6月1日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、今年第1四半期のブラジルのGDP伸び率は、前四半期比1.2%増加を記録している。

今年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想の6.11%から6.20%に上方修正したが、1か月前の予想は5.50%であった。2022年の鉱工業部門のGDP伸び率は、前回予想の2.50%~2.43%に下方修正、1か月前の予想は2.30%であった。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.82%から5.90%に11回連続で上方修正、1か月前の予想は5.24%であった。

今年のIPCA指数の中央目標値は3.75%、許容範囲は±1.50%に相当する最低2.25%、最高5.25%に設定されているが、5.90%予想は、許容範囲上限値を大幅に突破している。

また2022年のIPCA指数は、前回同様3.78%の据え置かれたが、2022年のIPCA指数の中央目標値は、3.50%を上回っている。1か月前の予想は3.67%であった。2023年のIPCA指数は3.25%予想となっている。

今年末の政策誘導金利(Selic)は、前回予想6.25%から6.50%に上方修正、中銀は今年3月にSelic金利を過去最低の2.00%から2.75%、5月に3.50%、6月に4.25%に引き上げていた。

上院議会はEletrobras民営化暫定令を僅差で承認(2021年6月18日付けエスタード紙)

今月17日、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)民営化のための暫定令は上院議会で、賛成票42票、反対票37票の僅差で承認されたが、MPの法令化期限22日の1日前の21日に下院議会での承認を得る必要がある。

今年2月23日付け官報に掲載されたブラジル中央電力公社(Eletrobras)民営化のための暫定令MP1031号/21は、5月19日に下院議会で賛成票313票、反対票166票で承認されたが、MPの法令化には、6月22日までに上院議会での承認を得なければならない。

暫定令MPのオリジナルテキストは、下院議会並びに上院議会で理解しがたい要求を含めたテキストの変更されたために、今後長期にわたって一般消費者や企業の電力エネルギーコストは840億レアルに相当すると見込まれている。

5月19日に下院議会で承認されたブラジル中央電力公社(Eletrobras)民営化のための暫定令MP1031号/21のテキストには、コストの非常に高い火力発電所や小型水力発電所(PCHs). の建設が義務付けされており、一般消費者にとって電力エネルギー料金値上げに繋がる。

エレトロブラス公社の株式の60%は連邦政府が所有して、経営権を握っているが、民営化後の株式所有比率は45%まで減少するものの、継続して保留する45%の株式はゴールデンシェアと呼ばれる特別優先株であり、経営審議会で拒否権を発動できる。

民営化のための暫定令MP1031号/21のテキスト内容には、一般消費者に対する電力料金値下げに繋がる可能性は少なく、火力電力に依存する割合が少ない北東部地域の電力料金値上げ比率が大きい。

Elmar Nascimento下院議員 (DEM-BA)による暫定令MP1031号/21の主なテキスト内容の変更として、下院では6ギガワットであったが、上院では更に8ギガワットに変更、火力発電所との契約義務は天然ガスパイプライン網の少ない北東部地域、北部地域並びに中西部地域の入札で行われる。

しかし連邦政府は、エレトロブラス公社の民営化で電力エネルギー料金は最大7.36%安くなると説明しているにも拘らず、計算方法の根拠の詳細は提示していないが、テキストは来週下院議会での新たな分析が必要となっている。

パウロ・ゲーデス経済相が率いる経済省では、今まで連邦公社の民営化は何一つ実現していない一方で、航空管制を担当する銀部関連のNAV公社を設立している。

貯水ダム面積が3キロ平方メートル以下の発電能力が50メガワットまでの小型水力発電所(PCHs)入札では、2026年までに40%を契約、コンセッション契約期間は20年間が予定されているが、一般消費者への価格転嫁を余儀なくされると予想されている。

ローライマ州を国家電力統合システム(SIN)に統合するアマゾナス州マナウス市とローライマ州ボアビスタ市を結ぶ電力送電工事開始に対して、連邦政府は、ブラジル環境・再生可能天然資源院(Ibama)及び国立インジオ保護財団(Funai)を無視する形でゴーサインを出している。

金融市場はSelic金利の4.25%引上げで年末は6.5%予想(2021年6月18日付けエスタード紙)

今週水曜日の中銀の通貨政策委員会(Copom) は、インフレ圧力の上昇に伴って政策誘導金利のSelic金利を3回連続で0.75%引上げて4.25%に決定したが、大半のエコノミストは今年末のSelic金利の上方修正を余儀なくされている。

3月17日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を7ヶ月連続で過去最低の2.00%を維持していたにも関わらず、食料品並びに燃料価格が牽引しているインフレ圧力を抑制するために、一挙に0.75%引上げて2.75%の決定を余儀なくされた。その後5月並びに6月のCopom委員会でも連続して0.75%引上げていた経緯があった。

ブロードキャストプロジェクションの37金融機関対象の調査によると、大半のエコノミストは今年末の平均Selic金利を前回予想の6.25%前後から6.50%に上方修正している。

また年末のSelic金利の最低予想は前回の5.00%から5.75%、最高予想は前回予想の7.00%から7.25%それぞれ上方修正しているが、5銀行は7.00%以上を予想しているが、前回の52銀行対象の調査では、僅か1銀行が7.00%以上を予想していた。

また次回8月の中銀の通貨政策委員会(Copom)での政策導入金利(Selic)予想では、調査対象の37銀行のうち35銀行は0.75%引上げで5.00%を予想、2銀行は1.00%の引上げを予想している。

中銀の通貨政策委員会(Copom)によるインフレ圧力対応リスクの非対称的なバランス採用で、8月のSelic金利の0.75%上方修正、年末は6.75%になると投資銀行Haitong社チーフエコノミストのMarcos Ross氏は予想している。

今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は6.10%、しかし2022年は3.50%~3.60%と中央目標値に接近するとMarcos Ross氏は予想している。

ASA Investments社チーフエコノミストのGustavo Ribeiro氏は、中銀がインフレ圧力を早期に抑制するために、Selic金利の1.00%引上げの可能性を指摘している。またGustavo Ribeiro氏は、過去12か月間のインフレ指数のピークは8月になると予想している。

しかしInter銀行チーフエコノミストのRafaela Vitória氏は、Selic金利の引上げサイクルは10月の5.75%がピークになると予想、2022年のインフレ目標指数を3.60%に抑えることが可能と予想している。