10月の農畜産物輸出は133億ドルを記録(2023年11月14日付けヴァロール紙)

2023年10月のブラジルのアグロビジネス輸出は、前年同月比2.3%減少の133億8,000万ドルに留まっている。

10月のブラジルのアグロビジネス輸出金額の前年同月比減少の要因として、2022/23シーズンの記録的な穀物の収穫を受けて輸出量が増加したため、農産物の国際価格が下落したことが影響している。

ブラジル農務省の発表によると、今年10月のブラジルの農畜産物の輸出価格指数は、前年同月比9.1%と大幅な減少の影響で輸出金額の微減に反映している。今年10月の食料品価格は、前年同月比7.7%と大幅に減少、また前月比でも1.7%減少を記録している。

国際連合食糧農業機関(FAO)の調査によると、今年10月の過去12か月の食料価格指数は10.9%下落したとFAO商務・国際担当のレポートで説明されている。

今年10月の農畜産物の輸出量は前年同月比7.5%増加。今年初め10か月間の穀物出荷量は、昨年同期を3,000万トン以上上回っている。

2022/2023年の穀物収穫全体の50%以上が、今年初め10か月間ですでに輸出されている。これまでの輸出量は1億6,408万トンに達した。 2023年10月のトウモロコシと大豆の輸出量の合計は、実質1,400万トンを記録している。

今年9月のサービス部門提供量は前月比マイナス0,3%(2023年11月14日付けヴァロール紙及びIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2023年9月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比マイナス0,3%を記録している。今年8月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比マイナス1.3%に続いて落込みを記録している。

Valor Data社が22社のコンサルタント会社及び金融機関対象の調査では、最低予想はマイナス0.4%、最高予想は1.5%増加、平均予想は0.5%増加であった。

今年9月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前年同月比マイナス1.2%、過去12か月間のサービス部門提供量は4.4%増加、今年初め9か月間の累計では3.4%増加を記録している。

今年9月のサービス部門提供量はCovid-19 パンデミック直前の20020年2月の水準を10.8%上回っているが、過去最高水準を記録した2022年12月の水準を2.6%下回っている。

今年9月のインフレ指数を考慮しない名目サービス部門売上は前月比1.0%増加、前年同月比では3.1%増加を記録している。

調査対象の5部門のうち3部門で前月比マイナスを記録、教育・研究機関などの公共サービス部門は、マイナス1.1%と8月の0.8%増加から一転してマイナスに転じている。

今年9月の情報・通信サービス部門のサービス提供量はマイナス0.7%を記録して7月から3カ月連続でマイナスを記録、輸送部門もマイナス0.2%と8月のマイナス2.1%に引き続いてマイナスを記録している。

一方今年9月のサービス提供量で増加を記録したのは、一般家庭向け部門のサービス提供量は3.0%増加と8月のマイナス3.7%から一挙に反転、その他のサービス部門は0.8%増加を記録している。

2023年7月から9月の各部門別のサービス提供量の増減推移

過去1年間のサービス部門提供量の月間推移

新規株式上場は過去25年間で最低(2023年11月13日付けヴァロール紙)

ブラジル証券取引所における新規株式公開(IPO)は過去25年間で最大の干ばつ状況に低迷、資本市場は新たな企業が上場しないまま2年間を迎えている。

世界的な高金利と対外的な地政学的紛争という環境の中、投資家は慎重を期しており、オフシーズンは少なくとも来年の第1四半期まで続く可能性がある。

新規株式公開(IPO)が停止している要因として、米国の金利の動向、ブラジル中銀による2024年末までの政策誘導金利Selicの下げ幅、ロシアによるウクライナ侵攻の行方、イスラエルとテロ組織ハマスの戦争の行方など不確定要素が重なっている。

しかし、2024年第1・四半期にIPOの買収提案を出すためには、文書議定書を12月中旬までに証券取引委員会(CVM)に提出する必要があり、そのためすでに投資銀行は来年4月のIPO回復見通しを延期し始めている。

このようなIPO事態は少なくとも1997年と1998年の2年間以来起こっていない。地域的に非常に不安定だった2015年でもこれほどIPOが少なかった時期はない。

現在、米国では最悪の水準の金利上昇が見られる時期にあり、11月に金利を5.25%から5.5%の間に維持したFRB(連邦準備制度、アメリカの中央銀行)の動きが注目されている。不確実性は債券市場よりも株式市場を混乱させているとブラデスコBBIの投資部門責任者フェリペ・トゥーット氏は説明。来年第1・四半期にIPOの可能性を予想している。

過去2年間の株式市場はfollow-onがメインになっており、今年末までにfollow-on での100億レアルの資金調達が見込まれている。

現在の株式市場はイスラエルとハマスの戦争といった地政学的な対立に注目が集まっており、戦争が激化する可能性があるかどうか、またそれが石油価格にどのような影響を与えるかについて懸念があるとフェリペ・トゥーット氏は指摘している。

金融市場関係者らは、数10社の未上場企業がIPO窓口の再開を待って列に並んでいると予想されているが、2年間のIPO空白時期の後の最初のオファーはおそらく、良好な業績と大規模な事業を実行する能力を備えたすでに統合された企業と外国投資家および機関投資家は見込んでいる。

一方、これらの優良企業は安価な公開価格を受け入れず、急いでオファーを出そうともしていない、最もIPOに意欲的な企業は資金を必要としている企業であり、多くの場合、これらの企業は投資家が投資したい企業ではないと指摘している。またイスラエルのハマスの戦争で不透明感が増加しており、来年初めのIPO開始の可能性が薄らいできている。

10月のサンパウロ証券取引所の平均出来高は34.1%減少(2023年11月13日付けヴァロール紙)

2023年10月のサンパウロ証券取引所(B3)の1日当たりの平均出来高は、前年同月比34.1%と大幅減少の232億200万レアルに留まっており、また前月比でも0.5%微減している。

サンパウロ証券取引所(B3)の10月末の預金口座数は 572 万 2,000口座 、12 か月間で 5.6% 増加、個人投資家の数は6.7% 増加の 489 万 3,000 人に達しており、上場企業数は449社で横ばいとなっている。

上場企業449社の平均時価総額は政策誘導金利の高止まりによる株価の低迷で、前年同月比10.9%減少の4兆2,010億レアルに留まっている。

金利、通貨、商品を含む先物取引部門では、1 日あたりの平均取引高は 101.2% 増加75 億 4,000 万レアルを記録。契約当たりの平均収益は 45.9% 減少した。

店頭市場では、債券の新規発行額は前年比12%増の1兆5,040億レアルとなった。債券残高は15.9%増加の6兆430億レアルとなっている。

 

最終フォーカスレポートは今年のインフレ指数を下方修正の一方で来年のインフレ指数を上方修正(2023年11月13日付けヴァロール紙)

13日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2023年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の4,63%から4,59%に下方修正している。来年のIPCA指数は3,91% から3,92%に上方修正したが. 2025年のIPCA指数は3,50%に据置いている。

今年末の政策誘導金利Selicは前回同様11.75%に据置、2024年末は9,25%、2025年末のSelic金利は8,75%それぞれ据え置いている。

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

今年のGDP伸び率は前回同様2,89%%を予想、2024年のGDP伸び率は1,50%、2025年のGDP伸び率は1,90% から1,93%に上方修正している。

ブラジル地理統計院(IBGE)は9月1日、2023年第2四半期(4~6月期)の国内総生産(GDP)の成長率が、前期と比較して0.9%増加を記録したとする国民経済統計を発表した。

ヴァロール紙が74社のコンサルタント会社並びに金融機関対象の調査によると、今年第2四半期のGDP伸び率の最低予想はマイナス0.8%、最高予想は1.1%増加、平均予想は0.3%増加であった。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$ 5,00、2024年末は前回予想のR$ 5,05 からR$ 5,08、2025年末の為替もR$ 5,10からR$ 5,11に修正している。

10月のポウパンサ預金は120億レアルの赤字計上(2023年11月9日付けヴァロール紙)

今月10日のブラジル中央銀行の発表によると、2023年10月のポウパンサ預金は、引出総額が預入総額を120億1,570万レアル上回り、大幅な赤字を計上している。

また今年9月のポウパンサ預金も、引出総額が預入総額を58億3,500万レアル上回り、2カ月連続で大幅な赤字を計上している。

今年初め10か月間のポウパンサ預金は、引出総額が預入総額を982億8,500万レアル上回っており、大幅な赤字計上が続いている。

2022年10月のポウパンサ預金は、引出総額が預入総額を110億600万レアル上回っており、昨年1年間では1,032億3,700万レアルの赤字を計上していた。

今年10月末のポウパンサ預金残高は9,617億6,300万レアル、今年10月のポウパンサ預金の利払いは56億3,100万レアル、不動産クレジット(SBPE)向けポウパンサ預金は88億2,500万レアル、農村クレジット(SBPR)向けポウパンサ預金は33億3,100万レアルが利用されている。

10月のインフレ指数は航空運賃値上げが牽引して0.24%上昇(2023年11月9日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表の今年10月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、9月の0.26%から若干減少の0.24%を記録、昨年10月のIPCA指数は0.59%であった。

Valor Data社が41社の金融機関及びコンサルタント会社対象の調査によると、最低予想は0,18%、最高予想は0,39%、平均予想0,28%を若干下回った。

今年10月のIPCA指数0.24%上昇を牽引したのは、エアーチケット代の23.70%値上げでIPCA指数を0.14ポイント押し上げる要因となっている。また今年9月のエアーチケット代も13.47%値上げされており、2カ月連続で二桁台の値上げが行われている。

今年初め10か月間のエアーチケット代は13.53%値上り、10月の過去12カ月間のエアーチケット代は3.31%値上りを記録している。

今年9月及び10月のエアーチケット代の2カ月連続での二桁台の値上げ要因として、ジェット燃料のケロシン値上げ及び年末休暇向けの需要拡大が値上げに繋がっている。

今年10月の過去12カ月間の累積IPCA指数4,82%は、ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、許容範囲は±1.50%設定を上回っている。今年初め10か月間の累計IPCA指数は3.75%を記録している。

IPCA指数算出のための9グループのうち4グループは前月比増加、4グループは減少、1グループは前月並みであった。

食品・飲料グループは9月のマイナス0.71%から10月は0.31%増加、前記同様住居グループはマイナス0.58%から0.46%増加、衣料品グループは0.38%増加から0.45%増加、健康保健・パーソナルケアグループは0.04%増加から0.32%増加とそれぞれ増加を記録している。

一方住居グループは0.47%増加から0.02%増加、輸送グループは1.40%増加から0.35%増加、日用雑貨グループは0.45%増加から0.27%増加、通信グループはマイナス0.11%からマイナス0.19%とそれぞれ減少している。教育グループは0.05%増加から0.05%増加と前月並みで推移している。

ブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)の予想として先行して発表、1最低サラリーから40最低サラリーの所得層を対象に調査、カンポ・グランデ市、サン・ルイス市、アラカジュ市、リオ・ブランコ市、ブラジリア連邦直轄地とゴイアニア市の地方自治体に加えて、10大都市圏を対象に調査されている。

過去1年間のIPCA指数の月間推移

 

 

過去1年間のIPCA指数の中央目標値(青色)、上限値(赤色)、過去12カ月間の累積(緑色)の月間推移

13か月目特別サラリー支給は2,910億レアルの経済効果(2023年11月9日付けヴァロール紙)

労使間社会経済調査・統計所(Dieese)の調査によると、2023年の13か月目特別サラリー支給は、ブラジル国内経済にとって2,910億レアルの経済効果に繋がると予想しているが、2022年の13か月目特別サラリー支給の経済効果は2,500億レアルであった。

今年の13か月目特別サラリー支給額はGDP比2.7%に相当するが、ハウスキーパーを含む労働手帳に記載される正規労働者、連邦政府公務員や地方公務員、社会保障院(INSS)による年金・恩給受給者などが恩恵を受ける。

今年の13か月目特別サラリー支給対象の受給者は8,770万人が見込まれており、13か月目特別サラリーの平均支給金額は3,057レアルが見込まれている。

今年の13か月目特別サラリー支給金額のうち、69%に相当する約2,016億レアルがハウスキーパーを含む正規雇用者に支払われる。 支給総額2,910億レアルの31%に相当する約898億レアルは年金・恩給受給者に支払われる。

社会保障院(INSS)による年金・恩給受給者の13か月目特別サラリー支給対象は、3,280万人で支給総額は554億レアルとなっている。そのうち連邦公務員の年金・恩給受給者の13か月目特別サラリー支給総額は全体の3.8%に相当する112億レアル、前記同様州政府公務員は6.0%に相当する175億レアル、市役所公務員に対しては56億レアルが支給される。

10月の住宅賃貸調整率(IVAR) は1.80%上昇(2023年11月9日付けヴァロール紙)

ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)の調査によると、2023年10月の住宅賃貸調整率(IVAR) は、1.80%増加と9月のマイナス1.74%から一挙に大幅に反転している。

今年10月の過去12カ月間の累計住宅賃貸調整率(IVAR) は、7.43%増加と9月の5.64%増加から1.79%の大幅増加を記録している。

また今年9月及び10月の住宅賃貸調整率(IVAR)の地域別増減比較では、ベロ・オリゾンテ市は9月のマイナス0.02%から10月は1.17%増加を記録。前記同様にポルト・アレグレ市は、マイナス6.83%から8.67%増加に転じている。

一方サンパウロ市は、マイナス0.34%からマイナス0.75%と更に減少を記録したが、リオ市は1.08%増加からマイナス1.65%と反転している。

住宅賃貸調整率(IVAR)は、ブラジル国内の不動産市場における住宅家賃の月次推移を測定するために用いられているが、次回の調査発表は12月7日が予定されている。

ブラジルの銀行システムの収益性は今年第2四半期以降改善傾向(2023年11月9日付けヴァロール紙)

2023年上半期のブラジルの銀行システムの収益性は引き続き圧迫されていたが、第2四半期以降から改善の兆しが出てきているとブラジル中央銀行では評価している。

しかし、9日に発表された2023年上半期の金融安定報告書によると、リボ払いクレジットカードの利息制限に関する議論は、注意を払う必要があると指摘している。

今年上半期の銀行システムの収益性低下は、貸倒引当金を伴うコスト増加、営業収益の伸びの低下、管理費の圧迫など、前年同期に見られた動きの継続を反映していると報告されている。

一方、今年第 1 四半期と第 2 四半期を比較すると、収益性の改善要因として、主に貸倒引当金支出への圧力の低下、クレジット部門の収益性の改善及び比重の増加、資金調達支出の安定化が寄与している。

今年上半期のブラジルの銀行システムの純利益は、前年同期比3.0%増加の679億レアルを記録した一方で、6月末の過去12カ月間の累積純益は、前年同期比マイナス6.0%の1344億レアルに留まってる。

今年6月末の過去 12 か月の自己資本利益率 (利益率の指標である自己資本利益率 – ROE) は、前年同期比2.1%減少の 13.6% に留まった要因として、ROEがマイナスの企業数の増加や、システム上重要性の高い金融機関の収益性低下など、金融機関の業績に対する圧力が一層高まっている状況を反映している。

個人向けクレジットに関しては、支払い能力も圧迫されているにもかかわらず、最近の雇用の質の向上は今後数カ月間の改善を示しており、中小・小規模企業向けクレジットに関しては、短期的には反転の兆しはないと予想されている。

中央銀行では、銀行システムは予想される損失の水準に対して十分な引当金を備えているために、金融の安定に関連するリスクはないと評価している。