フィッチはペトロブラス及びブラジル企業18 社の格付けをBB’から‘BB+’に格上げ (2023年7月31日付けヴァロール紙)

フィッチ・レーティングスは、先週ブラジルのソブリン格付けを「BB-」から「BB」に引き上げたことを受け、ブラジル企業19社の長期信用格付けを安定的な見通しとして「BB」から「BB+」に引き上げた。

フィッチ・レーティングスはペトロブラス石油公社以外にもサンパウロ州水道会社(Sabesp), Rumo, Localiza, Engie Brasil, Rede D’Or, Energisa, Taesa, BR Malls, Alupar, 聖州電力公社 (Cesp), Companhia de Gás de São Paulo (Comgás), MRS Logística, Energisa Minas Rio, Energisa Paraíba, Energisa Sergipe, Aché Laboratórios Farmacêuticos, Transportadora Associada de Gás (TAG) e Globo Comunicação e Participaçõesの18 社の格付けをBB’から‘BB+’に格上げしている。

ブラジルの格付け上昇は、近年の相次ぐショックの中でも予想を上回るマクロ経済・財政実績、この実績を維持した積極的な政策や改革、そして新政権がさらなる改善に努めるという期待を反映している。

ソブリン格付けにも同様のことが起こった場合、これらの企業の格付け見通しがポジティブに修正されるか、格付けが再び引き上げられる可能性がある。逆に、ソブリン格付けが引き下げられた場合、企業の格付けにも同様の影響を及ぼす。

今年上半期のブラジル国内の化学工業部門の需要はマイナス4,6%と危機的な減少 (2023年7月31日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2023年上半期のブラジル化学業界の国内生産及び輸入から輸出を差引いた国内需要は、前年同期比マイナス4,6%と大幅な落ち込みを記録している。

今年上半期のブラジル国内需要がマイナス4,6%を記録した要因として、ロシアによるウクライナ侵攻の悪影響の中でのブラジル国内の経済減速と化学製品輸入増加が牽引している。

今年上半期のブラジル国内の化学製品生産は前年同期比マイナス9,73%、国内の化学製品販売はマイナス11%と二桁台の大幅な落ち込みを記録した一方で、化学製品輸入は0,6%増加、化学製品輸出はマイナス3,9%を記録している。

今年上半期の輸入化学製品の平均価格はマイナス28,2%を記録して、9%のデフレがあった国内市場での価格に影響を与えた。

今年上半期のブラジル国内の化学工業部門の設備稼働率は、前年同期比マイナス5%の67%を記録、特に合成繊維中間体群の設備稼働率は56%、工業用溶剤71%、熱可塑性樹脂の設備稼働率は 69%とそれぞれ縮小している。

世界中の化学業界が経験している需要サイクルの低さにも関わらず、ブラジルの化学品業界では国内需要を上回る輸入品の過剰なマーケットシェア上昇を懸念しているとブラジル化学工業協会(Abiquim)経済統計担当のFátima Giovanna Coviello Ferreira理事は指摘している。

化学製品の生産に影響を与え、投資の推進を妨げる化学部門の主なコスト要素は、基本的な原材料とエネルギーのコストに関連している上に、この部門は化学産業のための特別制度であるREIQの廃止という主要な財政手段を失い、また昨年いくつかの製品の輸入税率が引き下げられたことも大きな影響を受けている。

 

最終フォーカスレポートによると、2024年末のSelic金利を9,25% 、2025 年末は8,75% に下方修正(2023年7月31日付けヴァロール紙)

中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の4,90%から4,84%、2024年は3,90%から3,89%,とそれぞれ下方修正したが、2025年のIPCA指数は前回同様3,50%に据置いている。

今年末の政策誘導金利Selicは前回同様12%に据置、また2024年末のSelic金利は9,50%から9,25%、2025年末のSelic金利は9,00%から8,75%にそれぞれ下方修正している。.

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

今年のGDP伸び率は前回同様2,24%に据置かれたが、2024年のGDP伸び率は1,30%.に据置、2025年のGDP伸び率も1,90%.に据え置かれている。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回予想のR$ 4,97 RからR$ 4,91に上方修正、2024年末はR$ 5,05からR$ 5,00に上方修正、2025年末はR$ 5,12 からR$ 5,08に上方修正されている。

過去1年間及び今後1年間のインフレ指数推移及び予想

過去1年間及び今後1年間のSelic金利の指数推移及び予想

過去1年間及び今後1年間のGDP伸び率指数推移及び予想

過去1年間及び今後1年間のドルの為替推移及び予想

 

今年第2四半期の失業率は8.0%と2014年同期以降では最低の失業率を記録(2023年7月28日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の継続的全国家庭サンプル調査(Pnad Continua)の調査結果を発表によると、2023年第2四半期の月間平均失業率は、8.0%と今年第1四半期の8.8%を0.8%下回り、前年同期の9.3%よりも1.3%と大幅な失業率の減少を記録している。また第2四半期の月間平均失業率としては、2014年第2四半期以降では最低の失業率を記録している。

ヴァロール社が26社のコンサルタント会社及び金融機関対象の調査では、最低予想失業率8.1%、最高失業率8.4%、平均失業率8.2%を上回っている。

14歳以上の労働者で就職活動をしているにも拘らず、第2四半期の月間平均失業者数は860万人を数えているが、今年第1四半期の平均月間失業率8.3%に相当する78万5,000人減少、前年同期比では14.2%に相当する140万人の失業者の減少を記録している。

第2四半期の月間平均雇用者数は、前四半期比1.1%増加の9,890万人を記録、前年同期比では、0.7%に相当する64万1,000人が雇用されている。

Covid-19 パンデミックが発生した2020年の失業者は大幅な増加を記録したが、2021 年の第 2 四半期から雇用が増加傾向を示している。

今年第2四半期の労働人口に占める雇用比率は前四半期比0.5%増加の56.6%、前年第2四半期比では同じ水準で安定している。

今年第2四半期の就職活動をしていない失業者は前四半期比5.1%減少の370万人、前年第2四半期では13.9%と二桁台の減少を記録している。今年第2四半期の平均賃金は前四半期比並みの2,921レアル、前年同期比では6.2%増加を記録している。

2012年3月から2023年4月までの各四半期の平均失業率の推移

2012年3月から2023年4月までの各四半期の平均賃金の推移

今年6月のブラジルの財政プライマリーは489億レアルの赤字計上(2023年7月28日付けヴァロール紙)

27日のブラジル中央銀行の発表によると、2023年6月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び州政府と市町村で構成される地方政府を合わせたブラジル政府の財政プライマリー収支は、488億9,900万レアルの赤字計上したが、昨年6月は143億9,500万レアルの黒字を計上していた。

ブラジル政府の財政プライマリー収支には、ペトロブラス石油公社(Petrobras)、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)、ブラジル銀行(BB)及び連邦貯蓄金庫(Caixa)などの公立銀行の決算は含まれていない。

6月の中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー収支は、452億2,300万レアルの赤字を計上した一方で、地方政府の実質財政プライマリー収支は、53億300万レアルの黒字を計上している。

6月の過去12カ月間の財政プライマリー収支は、GDP比0.24%に相当する242億7,000万レアルの赤字を計上したが、5月の過去12カ月間の財政プライマリー収支はGDP比0.38%の黒字を計上していた。

また今年初め6か月間の財政プライマリー収支は203億6,900万レアルの赤字を計上したが、昨年同期の財政プライマリー収支は、1,298億9,500万レアルの大幅な黒字を計上していた。

今年6月の利払いを含むブラジルの名目財政プライマリー収支は896億2,500万レアルの赤字を記録、昨年6月の名目財政プライマリー収支は、837億9,300万レアルの赤字を記録していた。

6月の過去12カ月間のブラジルの名目財政プライマリー収支は、GDP比6.42%に相当する6,623億8,100万レアルと5月のGDP比6.39%を若干上回っている。また6月の実質財政プライマリー収支は、GDP比6.18%の6,381億1,100万レアルであった。

今年6月の連邦政府の純公的負債残高はGDP比59.1%(2023年7月28日付けヴァロール紙)

2023年6月のブラジルのインフレ指数を差引いた実質公的負債残高は、GDP比59.1%に相当する6兆960億レアルを記録、5月のGDP比57.8%に相当する5兆9,360億レアルよりも1,600億レアル増加している。

ブラジル中央銀行によると、6月のブラジルの実質公的負債残高が前月比で1,600億レアル増加した要因として、レアル通貨に対するドルの為替変動幅5.4%のインパクトが大きく、0.7ポイントの増加に結び付いている。

また6月のブラジルの財政プライマリー収支赤字は、実質公的債務残高を0.5ポイント押し上げる効果に繋がり、名目利払いも0.4ポイント押し上げた一方で、名目GDP伸び率は0.3ポイントの減少効果となっている。

また今年6月のインフレ指数を差引かない名目公的債務残高は、5月の7兆5,640億レアルから7兆9,540億レアルと3,900億レアル増加、GDP比では73.6%で推移している。

6月の中央政府の財政プライマリー収支は452億2,300万レアルの赤字計上

2023年6月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府のインフラ指数を差引いた実質財政プライマリー収支は、452億2,300万レアルの赤字を計上している。

今年6月の過去12カ月間の累積財政プライマリー収支は、GDP比0.41%に相当する415億レアルの黒字を計上している。2022年6月の財政プライマリー収支は145億8,800万レアルの黒字を計上していた。

今年6月の中央政府の実質財政プライマリー収支452億2,300万レアルの赤字の内訳は、国庫庁の黒字は65億5,900万レアル、社会保障院(INSS)の赤字は517億万レアルを計上、ブラジル銀行の赤字は僅か8,200万レアルであった。

今年初め6か月間の中央政府の実質財政プライマリー収支425億900万レアルの赤字内訳は、国庫庁の決算が1,226億300万レアルの黒字を計上した一方で、社会保障院(INSS)は1,649億8,400万レアルの赤字を計上、ブラジル銀行も1億2,700万レアルの赤字を計上している。

2023年度の中央政府の財政プライマリー収支目標は、2,315億レアル以内の赤字に収めることであるにも関わらず、財務省は1,454億レアルの赤字を見込んでいる。

国庫庁の発表によると、6月の実質歳入総額は前年同月比マイナス26.1%増加の1,453億万3,400レアルの一方で、歳出総額は4.9%増加の1,905億5,700万レアルを記録していた。

今年初め6か月間の実質収入総額は前年同期比マイナス5.3%の9,378億3,200万レアル、一方支出総額は5.1%増加の9,790億8,900万レアルを記録している。

今年6月の連邦公社の配当金支出は51億5,800万レアルの一方で昨年同月の配当金支出は 270億2,100万レアルであった。

今年6月の連邦政府の公共投資はマイナス17.41%の49億8,200 万レアルの一方で、昨年同月は9.4%増加の223億万8,200レアルであった。

今年第2四半期のペトロブラスの石油生産は0,6% 減少の264万バレル (2023年7月26日付けヴァロール紙)

今年第2四半期のペトロブラス石油公社の石油や天然ガス、液化天然ガスなどの1日当たりの平均石油派生品生産は前年同期比0,6% 減少の264万バレル (BOE/dia)を記録している。

今年第2四半期の石油や液化天然ガスの1日当たりの平均生産は、前年同期比0,6%減少の210万バレル 、天然ガスの生産は0,2%減少の50万1,000バレルを記録している。

今年第2四半期の岩塩層下(プレソルト)原油生産は、前年同期比0,4%減少の170万8,000バレル増加した要因として岩塩層下(プレソルト)原油開発向けのFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)のプラットフォームP-71及びサントス海盆のブージオス油田プラットフォームAlmirante Barroso,の操業開始による増産に結び付いている。

今年第2四半期の岩塩層上(ポスソルト)原油生産は、多くの油田の保守点検、Albacora Lest油田の原油開発停止、生産量の減少などの要因で前年同期比9,7%減少の34万6,000バレルに留まった一方で、FPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)のプラットフォームAnna Neryの原油生産開始およびカンポス海盆の箇所の新規油田の生産開始が減少幅を最小限にとどめた。

ペトロブラスの今年第2四半期の石油輸出は、前年同期比22,6% 減少の41万1,000バレル、同社傘下の石油製油所の設備稼働率は93%に達し、前年同期比では4ポイント上昇している。

ペトロブラスの今年第2四半期のガソリン販売は、石油派生品の3回の価格引き下げ効果で15,7%増加の43万4,000バレルを記録している。

6月のブラジル銀行システムのクレジット残高は5兆4,000億レアル (2023年7月27日付けヴァロール紙)

2023年6月のブラジル銀行システムのクレジット残高は、前月比0,8%増加の5兆4,010億レアルを記録、6月の過去12カ月間の累計クレジット残高は前年同期比8,9%と大幅な増加を記録している。

6月の融資先が自由に選択できる自由クレジットは、マイナス0,2%に相当する3兆1,890億レアル、大型プロジェクト向けクレジットで融資先が限定されている限定クレジット残高は、0,5%増加の2兆2,110億レアルを記録している。

6月の個人向けクレジット残高はマイナス0. 4%の3兆2,890億レアル、法人向けクレジット残高は1,0%増加の2兆1,120億レアルとなっている。

ブラジル中央銀行では、今年のブラジル国内のクレジット部門伸び率は前年比7,7%増加を予想、そのうち自由クレジット伸び率は6,3%増加、個人向けクレジットは9,9%増加、法人向けクレジットは4,4%増加を予想している。

今年6月の新規クレジットは前月比0,8%増加、そのうち個人向けクレジットは0,4%増加、法人向け新規クレジット伸び率は3,0%増加、新規自由クレジットは1,5%増加、限定クレジットは1,7%増加を記録している。

 

ルーラ政権末までの新経済成長加速プログラム(PAC)による投資総額は2400億レアルに達する可能性 (2023年7月25日付けヴァロール紙)

2007年に左派政権の労働者党のルーラ大統領は、国内経済を牽引するために経済成長加速プログラム(PAC-1)発表、ジウマ・ロウセフ政権では引き継ぐために経済成長加速プログラム(PAC-2)発表していた経緯があった。

2023年~2026年まで政権を担当するルーラ大統領政権は、8月11日に新経済成長加速プログラム(PAC-3)の詳細なプロジェクトや投資の詳細について発表すると今月25日にルイ・コスタ官房長官はアナウンスしている。

PT政権がプログラムの実施日の変更を発表するのはこれで5回目となり、プラナルト宮殿は当初、4月までに「新PAC」を発足させると説明していた。この予想は後に5月、さらに6月に変更された。最終的には7月に予定されていたが、実現しなかった。

ルーラ政権の4年間で過去のPT政権時並みのブラジルの国内総生産を加速化するために、新経済成長加速プログラム(PAC-3)を導入するが、年間平均600億レアルの投資が予定されており、政権末までに総額2,400億レアルの投資が見込まれている。

この新経済成長加速プログラム(PAC-3)には、サンパウロ州南海岸地帯のサントス市とグアルジャ―市を結ぶ海底トンネルの建設が含まれているが、民営化官民パートナーシッププロジェクト(PPP)での実施が見込まれている。

コスタ官房長官は、下院議会での勢力取組にセントロン(Centrão:中道多数派)との政治工作が不可欠ではあるが、アツール・リラ下院議長との交渉は慎重に期すようにルーラ大統領に要請している。