大手企業が23年1Qの貸借対照表からICMSへのIRPJ/CSLLの課税の影響に言及 (2023年5月25日付けバロール紙)

州税である商品サービス流通税(ICMS)の免税額を利益と見なして法人所得税(IRPJ)と純利益に対する社会分担金(CSLL)を課徴するのは妥当とこのほど司法高等裁判所(STJ)が判決を下したことで、上場各社が公表する貸借対照表にもその影響が表示され始めている。コーザンとブラスケン、JBSの少なくとも3社が5月に公表した2023年第1四半期(1―3月期)の貸借対照表に関連してこの問題に言及している。

 

この問題は現在、税金に関連して最も活発に議論が交わされているテーマのひとつになっている。STJは4月26日、州政府が州内の企業に与えた税制優遇措置や特定の恩典に対して、これを利益と見なして連邦政府がIRPJとCSLLを課徴することは妥当とする判決を下した。

 

この判決を受けて連邦政府は、IRPJとCSLLの課徴を通じておよそ700億レアルの税収の増加につながると期待しており、その対応を急いでいる。州税の恩典に対する課税について連邦政府の経済部門は、公会計を調整して新しい財政の枠組みである新財政基本規定の実現を可能にする対策の柱と位置付けている。

 

しかし複数の専門家が、この問題には「未解決事項」が残されていると受け止めている。STJは4月26日の判決について公示しておらず、弁護士の間でも、具体的に連邦政府が何に課税するのか、あるいは非課税にするのかについて、疑問の余地があると受け止められている。

 

さらに専門家と弁護士らはこの問題について、司法高等裁判所(STJ)だけでなく連邦最高裁判所(STF)にも上訴が可能な点を指摘する。

 

コーザンとJBSもこの問題について、市場への発表の中で言及している。世界最大の食肉会社であるJBSの場合、第1四半期に関する決算発表で言及したのは5月11日である。

 

貸借対照表では同社及び同社の子会社が確保した政府による補助として20億3,000万レアルを表示。その内6億9,400万レアルが見なし税クレジット(見なし税額控除)、13億4,000万レアルがICMSの課税標準に対する免税措置として表示した。

 

これらの金額は、第1四半期決算におけるIRPJ及びCSLLの課税標準から除外されており、このため当期は、税効果会計においてに6億9,200万レアルの税金資産を計上した。

 

JBSはSTJの判決に言及したが、発表の時点までに判決が公示されていなかった点を指摘。「当社は、訴訟の最終的な判決が公示され次第、起こり得る影響を監視し、評価することを通知する」とし、貸借対照表において何等の調整も加えなかった。

 

バロール(Valor)紙に対して同社は、「訴訟において最終的な判断が下されるまで、その判決の影響を安全に評価するどころか、推定することすら不可能である」とその事情を説明した。

 

一方のコーザンは、より保守的な対応を採用した。すなわち、第1四半期の貸借対照表において15億レアルの引当金を計上したのである。この金額は、同グループのコンガス(Comgás)とモーヴェの2社のICMSの免税額に対するIRPJ及びCSLLの課徴を除外したことに対応したものである。

 

この2社は「当時の有力なあらゆる法理学的根拠に基づいて」2021年の年初から除外する判断を下したと説明。しかしながら2022年にこの問題に関連した損失の可能性を「可能性は低い」ものから「可能性がある」ものに分類しなおした。この判断は、納税者側に厳しい判断を示したSTJの第2法定の判断を受けたものである。

 

今回、すべての係争に影響する判決を第1法廷が下したことで、同社は引当金を表示する判断を下した。同社の決算発表は、5月15日。

 

ブラスケンはこの問題に関してSTJの判決には言及せず、同社に関連した訴訟に飲み言及した。すなわち、ICMSに関連した税制優遇措置と補助金をIRPJ及びCSLLの課税標準から除外することを認める差し止め命令を同社は2021年に受けており、その支払いを停止。ところが2022年8月には、この権利をICMSの見なし税レジットに限定する判決が出た。この判決を受けて同社は、税金を全額、すなわち10億レアルが支払った。

 

同社はバロール紙に対して、「2023年4月のSTJの判決は当社にとって受動的な不測の事態の発生を意味するものではない」と説明した。

 

複数の専門家らが、ICMSに関連した税制優遇措置と補助金をIRPJ及びCSLLの課税標準とするSTJの判決に関連して、これを貸借対照表上で考慮した表示は、多くの企業が第2四半期から導入すると予想している。

5月24日に4州の知事がアダジ財務大臣にRRFの見直しを要求(2023年5月25日付けバロール紙)

ゴイアス州とミナス・ジェライス州、リオデジャネイロ州、リオ・グランデ・ド・スル州の知事が5月24日、フェルナンド・アダジ財務大臣に対して州財政救済制度(RRF)の9項目を見直すよう要求した。

 

ゴイアス州のロナルド・カイアード知事とミナス・ジェライス州のロメウ・ゼマ知事、リオデジャネイロ州のクラウジオ・カストロ知事、リオ・グランデ・ド・スル州のエドゥアルド・レイテ知事は財務大臣との協議後、燃料及び電力に対する州税の商品サービス流通税(ICMS)を通じた免税措置の実施後、州の歳入が失われたとしてジャイール・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領(PL:自由党)の政策に責任があるという見解を示した。この減税措置は、前大統領が再選に向けたインフレ抑制策の切り札のひとつとして2022年下半期(7―12月期)に採用された。州知事らは、前年の後半以降の歳入の減少で連邦政府に対する債務の償還が「不可能になった」と訴えた。

 

エドゥアルド・レイテ知事は、「連邦政府は2022年に州の歳入の大部分を削減、各州は数10億レアル規模の機会損失を被った。各州の財政は悪化し、連邦政府と合意した債務の償還の履行は不可能だ」とコメントした。

 

またボルソナロ前大統領とは協力関係にあるロナルド・カイアード知事は、「問題を連邦政府に押し付けようというのではない。我々は、州の歳入構造を変更するという判断の被害者なのだ」とコメントした。

 

4州の知事らの主な要求のひとつは、州財政の健全化に向けた救済のための期間を現在の9年から15年に延長することである。連邦政府と合意した州財政の救済策に関して2年ごとに見直すことに加え、連邦政府に償還する債務の価額修正のための指標を変更することも求めている。残りの6項目について州知事らは具体的な要求を明らかにしなかった。

 

また州知事らによるとアダジ財務大臣は、州政府の要請を真摯に受け止め、財務省の専門部署がこの問題を評価すると回答したという。また連邦政府として6月末までに対応を判断すると回答したとしている。

FGVの2023年第1四半期のICEが58.8ポイントに急落(2023年5月24日付けバロール紙)

ブラジルの経済政策に対する市場の信頼感が不足しているのに加えて、財政問題に対する懸念から、2023年第2四半期(4―6月期)の経営者信頼感指数(ICE)が大きく下落した。計測したゼツリオ・バルガス財団(FGV)によると第2四半期のICEは58.8ポイント(100ポイント以上がポジティブな認識)で、第1四半期の73.5ポイントから大きく落ち込んだだけでなく、2022年第3四半期に記録した54.5ポイント以来の低水準となった。

 

FGVの研究者、リラ・ヴァルス氏は、「ICEを大きく押し下げた原因は、現在の状況に関連したブラジルの経済情勢だ」という。

 

ICEを構成する2つの指標の内、期待感指数(IE)は前期の76.5ポイントから92.9ポイントに上昇した。しかしながら現況指数(ISA)は、第1四半期の70.6ポイントから第2四半期は28.6ポイントへ大幅な落ち込みとなった。

 

リラ氏は、ICEを計測する期間中、新しい財政の枠組みに関する様々な議論があったことを指摘した。新財政基本規定の骨子は5月23日夜、下院で可決した。その上でリラ氏は、マクロ経済に関連する他の要因について、大幅に悪化してはいないと指摘した。政策金利は引き続き高率ではあるがインフレは減速、さらに市場は第1四半期の国内総生産(GDP)に対する見通しを上方修正している。

 

しかしながら経済政策の推進と同様に政局運営も金融市場の懸念材料になっており、ICEの悪化を後押しした。「ラテンアメリカを対象にした調査では、各国が直面している3つの大きな課題について質問した。ブラジルの場合、調査対象者の64.3%が経済政策に対する信頼の欠如を指摘、3大課題のトップに位置付けられた」という。残りの2つは、35.7%が指摘した不十分なインフラと所得格差の拡大、28.6%が指摘したのが国際的な競争力不足だった。

 

ただし、新財政基本規定の骨子を下院が可決したことでICEが改善するかという問題にはリラ氏は、慎重な見方を示した。「その通りとは言えない」と同氏はコメント。さらに、現政権の政局運営能力も依然としてアナリストらの疑念のもととなっており、これが経済環境の見通しに悪影響を与えていると同氏は指摘した。

 

「これから省庁再編が行われる。現在、政局運営は複雑になっていくと思われる。まだ極めて不透明というのが現状だ」と同氏はコメント、ICEの今後の予測について言及を避けた。(

サンパウロ州政府が地下鉄17号線のコンセッション契約を破棄へ(2023年5月23日付けバロール紙)

サンパウロ州政府は、モノレール方式を採用した地下鉄17号線(ゴールド)の工事の責任会社であるコンソーシアム、「コンソルシオ・モノトリーリョ・オウロ」との契約を破棄する方針。工事はストップしており、地下鉄公社によると5月23日に公式に発表される。

 

コンソーシアムには1億1,800万レアルの罰金が科されるほか、今後実施される公共事業入札への応札が2年にわたり禁じられる。

 

建設工事を完了させると期待される対応のひとつは、工事をヴィアモビリダーデに引き継ぐことである。2018年に交わされた契約に基づくもので、この契約には地下鉄5号線(ライラック)も含まれる。」

 

州政府によると、17号線の土木工事は80%が完了している。今後は、残りの工事を完了させるべく法律で認められている3つのシナリオを州政府と地下鉄公社が検討の上で採用することになる。ひとつは、実施済みの入札に基づき妥当とされる次点の1社と契約する。もうひとつは、停滞している工事を将来の運営会社(今回のケースではヴィアモビリダーデ)が推進する。最後の選択肢は、新たな事業入札の実施である。

 

またCCRグループを中心に組織され2022年1月から地下鉄8号線(ダイヤモンド)及び9号線(エメラルド)を運営しているヴィアモビリダーデは、州当局の要請を受け工事の再開を検討していると5月22日夜に発表している。

 

地下鉄17号線は当初、2014年にブラジルで開催されたサッカー・ワールドカップ(W杯)の開幕までに完成する予定だった。総工費は45億レアルを見込み、コンゴーニャス空港からモルンビー駅を結ぶ7.7kmのルートである。

 

2023年のGDP成長率に対する見通しの改善が利下げに直接つながるわけではないとSPEが指摘(2023年5月24日付けバロール紙)

2023年第1四半期のGDP成長率が良い意味で期待を裏切るものになる可能性があるものの、このことが中央銀行の利下げに直結しているわけではないと財務省の財務省経済政策局(SPE)が受け止めている。5月23日に発表したマクロ財政ブレティン(Boletim Macrofiscal)で、最新の見通しとともに明らかにした。

 

SPEの推算に基づくと、第1四半期に国内総生産(GDP)は、前期比+1.2%(季調済)の成長を達成した模様。

 

しかしSPEのラケル・ナダル・マクロ財政政策課長によると、ここ数日発表されていた指標がこの予測に組み込まれていないため、予測値には上振れ圧力がかかっているという。同課長が言及している指標には、いずれも3月に関連したものであるが、中央銀行経済活動指数(IBC-Br)と、ブラジル地理統計院(IBGE)が計測する月例サービス業調査(PMS)と月例工業調査(PIM)がある。なお、第1四半期の国民経済統計(GDP統計)は、IBGEが6月1日に発表する予定。

 

経済政策局のギリェルメ・メーロ局長は今回のブレティンについて、農作物の作柄と「予想を上回る雇用を創出した回復力のある労働市場」というポジティブな側面を強調。その上で、「この労働市場の回復力は労働市場の過熱を意味するものではなく、この回復のペースで労働市場が成長しているに過ぎないものだ」と付け加えた。

 

まさにこうした観点から同局長は、経済活動に対する良好な見通しが政策金利の利下げとは「両立しない」ものになっていると指摘する。現在、中銀通貨政策委員会(Copom)が設定しているブラジル経済基本金利(Selic)は、年利13.75%である。

 

同局長によると、政策金利の利下げを阻止する要素と言える給与またはサービスからくる「インフレ圧力」は存在しないという。それだけでなく、いくつかの観点からはインフレの「根強い圧力」と受け止められる部分も存在はするが、12カ月で見た拡大消費者物価指数(IPCA)では、卸売物価及びコア指標(ボラティリティーの大きな品目を除外した指標)で大幅な減速がみられるという。

 

さらに同局長は、「信用市場が、2023年のブラジル経済の減速を説明する中核的な要素だ」とし、まさに「金融政策の遅行効果」によるものだと指摘。その意味で、「インフレの減速効果は長期的に持続する可能性がある」という。

 

こうした認識を示しているものの、SPEは今回、2024年のインフレの見通しを上方修正した。2024年のIPCAについてSPEは、これまで+3.52%と予想していたものを+3.63%に引き上げた。ただし、この最新の予測でも金融機関を対象に中銀が週次で実施している経済動向調査「Relatório Focus」の最新レポートで示された市場の予測の平均(+4.13%)を下回る。

 

Selicの判断において中央銀行は現時点で、2024年のインフレ率がインフレ目標である+3%(許容範囲は±1.5ポイント)に収束させるよう、照準を合わせている。メーロ局長によると、IPCAの場合、実際に+3.63%に収まるならコア・インフレ率はインフレ目標の中間値である+3%になっている可能性が高いと受け止めている。

 

なお、4月までの12カ月間のIPCAは+4.13%であるが、これには2022年に導入されていた燃料減税の統計上の影響が含まれていることから、政府と民間部門は2023年末までIPCAが上昇していくと予想する。財務省自身、2023年のIPCAの予想は、+5.58%である。

 

また5月22日にSPEが発表した2024年のGDP成長率に関する見通しは、従来から変更を加えず+2.3%だった。

ANTTが2023年5月23日に公定最低運賃を値下げ(2023年5月23日付けバロール紙)

国家陸上交通監督庁(ANTT)は、陸上道路貨物輸送に関連した公定最低運賃を2.34%から3.21%の間で値下げした。値下げは、23日付連邦官報(D.O.U)で公示された。

 

国家石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁(ANP)は先週、5月14日から20日に10%のバイオディーゼルを混合したS10ディーゼル油が5.70%値下がりしたと発表したばかり。

 

値下げは、以下の通り。

 

A種: ばら積み貨物 -2.34%

B種:貨物自動車 -2.66%

C種:高性能ばら積み貨物 2.86%

D種:高性能貨物自動車 3.21%

 

陸上道路貨物輸送に関する公定最低運賃に関する国家政策(PNPM-TRC)を規定する法律第13,703/2018号(Lei nº 13.703/2018)によると、ANTTが6か月ごと、またはディーゼル油の価格変動が5%を超えた場合に料金を見直すことが決められている。

連邦政府が2023年の基礎的財政赤字を上方修正するもその規模はGDP比0.5%で維持。(2023年5月23日付けバロール紙)

連邦政府は、2023年の基礎的財政赤字の見通しを、これまでの1,076億レアルから1,362億レアルに引き上げた。同時に、GDP成長率に対する見通しも従来の+1.0%から+1.3%に引き上げた。このため国庫管理局のロジェリオ・セロンは、GDP比で見た2023年の基礎的財政収支がこれまで通りGDP比0.5%という水準の達成に自信を持っているとコメントした。

 

先週の時点で報じられていたように連邦政府は、歳入面の施策に基づいた計算により連邦収税局の標準的運用に影響が生じることから、2023年に想定される赤字が増加するという仮定に基づき再計算を進めていた。考慮すべき要素の中には、法人所得税(IRPJ)及び純利益に対する社会賦課金(CSLL)の課税ベースから州政府により付与された商品サービス流通税(ICMS)の税制優遇措置の減税分を差し引いてはならないとする司法高等裁判所(STJ)の判決も含まれる。

 

セロン局長は5月22日、「(STJの判決の影響は)大きな金額で、連邦収税局が計算を進めているが、(歳入増加は)数100億レアル規模になると推定している」とコメント。さらに、歳入増につながるその他の政策、例えば、導入されながらも連邦政府が期待するような効果を発揮しておらず国会で法制化される前に失効する見込みの租税資産管理理事会(Carf)の暫定措置などが含まれると同局長は指摘した。

 

またセロン局長によると、2023年1―2月期に歳入は期待された金額を計上しなかったものの、「納税状況は今後改善する見込みだ」という。この見解はまさにSTJの判決などを連邦政府が歳入増につながると見做していることを反映している。

 

前回の見通しと比較すると、今回は、主に4項目の要因が歳出の増加につながった。第1に、看護士の最低賃金に対する補助(73億レアル)。第2に、社会保障給付金(60億レアル)。第3に、失業保険給付及び手当(39億レアル)。第4に、パウロ・グスタヴォ法に関連した州及び市役所に対する財政支援(39億レアル)である。

 

なお、セロン局長は2023年の基礎的財政赤字をGDP比1%未満に抑えるという「財政管理のシナリオ」を連邦政府が達成するため、「必要であればその他の対策も講じる」とコメント。ただし同局長は、税収に改善の見込みがあることと、「回収可能なプール予算がこれらの見通しでは算入されていない」ことを強調する。この回収可能なプール予算とは、各省庁に割り当てられた予算であるが、運用上の問題から支出されずに留め置かれ、かつ支出が認められない資金で、これを国庫管理局に回収することで基礎的財政収支の改善につながると期待される資金である。

 

セロン局長の推算によると、STJの判決を受けて税収が「500億レアルを上回る」水準に引き上げられ、回収可能なプール予算が300億レアル台に達すれば、2023年の基礎的財政赤字はGDP比0.5%を達成可能だという。

 

なお、22日に連邦予算局のパウロ・ビジョス局長は記者会見で、新しい財政の枠組みが国会で可決すれば凍結されている17億レアル規模の予算も解除されるのかという質問を受け、新しい財政の枠組みが効力を持つのは2024年以降であり、そのような対応はないと回答した。(

鳥インフルエンザ感染拡大で農務省が180日の動物防疫緊急事態を宣言(2023年5月23日付けバロール紙)

5月だけで国内で8例の高原性鳥インフルエンザ感染が確認されたことを受け、農務省が、全国を対象に180日間の動物防疫緊急事態を宣言した。カルロス・ファヴァロ農務大臣が5月22日、この省令に署名した。

 

連邦官報(D.O.U)で公示される前の22日午後の同省の決定が漏洩したが、夜になって正式に公示された。

 

この情報の漏洩後、ブラジル動物蛋白協会(ABPA)は書面で、今回の措置は想定内であり、政府と家禽生産業界が幅広い協議を行ってきたという見解を発表した。「同省と州当局が一丸となって取り組み、予算を確保し、その他の対応を迅速ささせるための措置である」という。

 

ABPAによると、国内の動物防疫緊急事態は、ブラジル政府が国内のモニタリングと対策において透明性を確保する取り組みの一環でもあるという。その上で、野鳥の鳥インフルエンザ感染が確認されたことは、国際獣疫事務局(OIE)が定めた鳥インフルエンザ・フリーというブラジルのステータスを変更させるものではないと指摘した。

 

ブラジルではこれまでに、H5N1型高原性鳥インフルエンザの野鳥への感染が8例確認されている。この内7例がエスピリト・サント州、1例がリオデジャネイロ州である。直近の例は、この週末と22日の感染確認である。

 

エスピリト・サント州ではこの週末、1羽のアメリカオオアジサシの感染を確認したほか、22日には3羽のカボアジサシの感染を確認した。さらにリオデジャネイロ州では、この週末に1羽のカボアジサシで感染が確認された。

 

ファヴァロ農務大臣が22日に署名した動物防疫緊急事態では、無期限に2023年3月29日発令の省令第572号を延長する対応も含む。同省令は、屋外で囲いに網の仕切りを備えず密集した状態で鳥と家禽を飼育することを禁止する。この省令第572号は、国内で初めての高原性鳥インフルエンザ予防策として導入された。

 

ブラジル政府はさらに、国内の商業養鶏場に鳥インフルエンザが侵入した場合にブラジルに適用される検疫要件を見直すため、鶏肉の主要輸入国との交渉を進めている。

 

この交渉は、国内の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が確認された場合に全国的に鶏肉輸出を規制するのを回避し、地域的な規制にとどめるのが農務省の目的。また業界も、市場におけるブラジルの重要性を考慮すれば、輸出が完全に禁止されるのは難しいと受け止めている。加えて、商業用の生産施設で鳥インフルエンザの感染が確認された他の国でも、同様に完全な輸出停止措置は講じられていないという。

 

この高原性鳥インフルエンザ問題は、フランスのパリで今週開催されるOIEの第90回会合でも取り上げられる。ワクチンの接種で対応することが話し合われる見込みだが、ブラジルはワクチン接種には反対している。

 

ブラジル動物蛋白協会(ABPA)は、日本家禽学会(IPC)及び国際鶏卵委員会(IEC)の主張に沿ったかたちで、鳥インフルエンザのワクチンの研究を支持すると表明している。「鳥インフルエンザの発生を監視し根絶することがブラジルの戦略であるため、国内生産においてワクチン接種を求めるものではないとしても、ブラジルの生産部門は、この措置の採用を選択した国への貿易障壁はないという見解を支持する」とABPAは書面でコメントした。

第一三共がブラジル国内工場に4億レアルを投資して生産能力を2倍以上引き上げへ(2023年5月22日付けバロール紙)

日本の製薬会社第一三共が、サンパウロ州バルエリ市の工場の拡張に約4億レアルを投資する。この投資を通じて同社は、国内工場の生産能力を2倍以上拡大する。

 

同社によるとこの生産拡大計画は、現地工場の生産能力拡大に照準を合わせた戦略計画の一環で、この計画を通じて同社は、国内各地に加えて他のラテンアメリカ諸国でも拡大する需要に対応する。

 

拡張工事が完了して稼働を始める2025年までに、国内の生産能力は年間3億5,000錠から9億錠に引き上げる。同社は、2026年に売り上げが20億レアルに達すると予想している。

 

この投資は、生産能力の拡張だけでなく、パッケージング部門や倉庫部門にも投下される。「プライマリ・ヘルスケア」部門は最も多くの投資を受け入れ、既発売の医薬品の増産を可能にし、将来の新薬のリリースにも道を開くとしている。

 

第一三共ブラジルのマルセーロ・ゴンサルヴェス社長は書面で、今回の投資について、「品質と誠実さ、卓越性をもって患者のニーズに応える」ため、ブラジルとラテンアメリカにおける同社の事業を「確信して拡大し続ける」という同社のコミットメントに対する取り組みの一環だとしている。

 

その上で同社長は、「健全かつポジティブな社会環境の開発を促進する」とコメントした。(

FGVが計測するGDPモニターで2023年第1四半期のGDP成長率は1.6%(2023年5月22日付けバロール紙)

ゼツリオ・バルガス財団(FGV)は5月22日、2023年第1四半期にGDPが前月比1.6%の成長を記録したとするGDPモニターの調査結果を発表した。前年同期との比較では、3.6%成長した。また3月だけを見ると、前月比1.8%の成長で、前年同月比では4.5%の成長だった。

 

発表の中でFGVのエコノミスト、ジュリアーナ・トレセ氏は、第1四半期に記録した1.6%という成長の原動力は主に農畜産業が前期比で10.9%の成長を達成したことによるものだと説明した。

 

その上で同氏は、「実質的にすべてのセグメントで活動がプラスとなったサービス業の好調さも、2023年初頭における業界の回復力を示すもので、際立っていた。ただし、こうした状況はあるにしても農畜産業の著しく集中した成長は重要な役割を果たした。ただしこの伸びは、年間を通じて維持されるものではない。大豆生産量と相場が農業生産額を事実上引き上げ、第1四半期のGDPに重要な役割を果たした。ただし、大豆の収穫は第1四半期に集中していることを考慮する必要がある。すなわち、力強い成長を持続させるには、年間を通じて大きな課題を抱えているということだ」という。

 

また第1四半期のGDPモニターでは、民間最終消費支出が前年同期と比較して4.7%成長したことも示された。同様の比較で政府最終消費支出は、0.1%の成長にとどまった。また総固定資本形成(GFCF)は、0.2%の増加だった。生産面から見ると工業は前年同期比1.2%の成長で、サービス業は同3.5%、農業は13.1%の成長だった。

 

さらにブラジルの2023年第1四半期GDPについてFGVは、2兆8,304億8,900万レアルと推計している。(